JPH10245619A - 低炭素鋼の製造方法 - Google Patents
低炭素鋼の製造方法Info
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Abstract
も高生産性を維持しつつ、製造することのできる方法を
提供する。 【解決手段】 予備処理した溶銑を酸素上吹精錬によ
り、最終目標炭素量より0.01〜0.1%高い炭素量
に精錬し、次いで軽真空脱ガス処理して炭素量0.02
〜0.05%に精錬する低炭素鋼の製造方法である。
Description
造方法に関するものである。
は、通常酸素上吹(転炉)精錬によって、最終目標炭素
量まで脱炭し、次いで簡易取鍋精錬設備等の二次精錬で
最終成分に調整して、次工程の連続鋳造工程へ移行する
ものである。しかして、上記のごとく酸素上吹精錬にお
いては、脱炭精錬とともに、脱珪、脱燐することからC
aO等の副原料の使用量が増大する。また脱珪反応時に
生成するSiO2 及副原料として使用するCaO等によ
りスラグ(鋼滓)量が増加して、精錬中に成分調整のた
めに投入するMn鉱石中のMn歩留りが低下する。この
ため酸素上吹(転炉)精錬に先立ち溶銑の脱珪、脱燐を
施す、溶銑の予備処理方法が知られている。
吹(転炉)精錬で低炭素鋼としての最終目標炭素量まで
脱炭処理する場合、鋼中炭素量が低下(脱炭)するに従
い、鉄の酸化が優先してFeOとしてスラグになり、鉄
の酸化損失が増大するとともに、FeO濃度の上昇によ
り精錬炉の耐火物の溶損が増大する。また、鉄の酸化損
失にともない、精錬中に成分調整のために投入するMn
鉱石中のMn歩留りが低下する。更に、FeO濃度が高
くなることによって、鋼中の酸素濃度が高くなり後工程
でAl等による脱酸時に合金歩留りを低下させ、かつ非
金属介在物を多量に生成して材質上好ましくない等の課
題がある。
で最終目標炭素量より若干高めに脱炭処理して、RH、
DH等の真空脱ガス装置で脱炭処理することが提案され
ているが、このような真空脱ガス処理においては、約
1.0trの高真空度で処理するため、ランニングコス
トが増大する等経済的に不利である。また、最終目標炭
素量より高めで精錬を停止すると、酸素上吹(転炉)精
錬での脱燐反応はほとんど進行しないため、製品の硬度
に悪影響を及ぼすことになる等の課題がある。本発明方
法は、このような課題を有利に解決するためなされたも
のであり、溶銑予備処理を施した後、酸素上吹精錬し次
いで、軽真空脱ガス処理することによって、低コストで
低炭素鋼を製造する方法を提供することを目的とするこ
のである。
ところは、予備処理した溶銑を酸素上吹精錬により、最
終目標炭素量より0.01〜0.10%高い炭素量に精
錬し、次いで軽真空脱ガス処理して炭素量0.02〜
0.05%に精錬することを特徴とする低炭素鋼の製造
方法である。
ては、例えば高炉から溶銑を払い出すとき、傾注樋で溶
銑中へ脱珪剤として生石灰等を投入して脱珪する。さら
に、溶銑を混銑車へ装入して酸素上吹精錬工程へ搬送す
るとき、混銑車内溶銑中へ脱燐剤として例えば、生石灰
等を投入して脱燐を施す。この他、容器内へ溶銑中へ脱
燐剤を投入して、酸素ガスを吹き込み脱珪と脱燐を施す
ものである。このような溶銑の予備処理で溶銑中の珪素
0.01%以下、燐0.02%(最終目標燐量)以下に
脱珪と脱燐を施す。このように溶銑の珪素と脱燐を施す
ことによって、次記のごとき酸素上吹精錬において、S
iO2 系スラグの増大を抑え、かつ副原料として使用す
るCaOの使用量が低減できることから、成分調整用の
Mn歩留り等を向上するとともに、最終目標炭素量より
若干高めに脱炭することができる。このようにして溶銑
の予備処理後、次記のごとく酸素上吹(転炉)精錬する
ものである。
してスクラップを5〜15%装入(溶銑配合率85〜9
5%)して精錬するものであるが、溶銑とスクラップを
装入して最終目標炭素量より高い炭素量で精錬すると、
スクラップの溶解により酸素上吹精錬での熱源が不足す
ることから、最終目標炭素量まで脱炭して温度を補償し
なければならなくなること、あるいはスクラップの溶解
タイミングのバラツキにより、酸素上吹精錬での操業が
不安定になることから、例えば上記溶銑の予備処理で、
酸素ガスを吹き込み予備処理するとき必要スクラップ量
を溶銑とともに装入しておき、脱珪等の予備処理を施す
と同時にスクラップを溶解させることによって、酸素上
吹精錬ではスクラップを装入しないため熱源は不足しな
い。また、スクラップの溶解タイミングのバラツキによ
る操業が不安定にならず、最終目標炭素量より高い炭素
量で脱炭処理が、安定的にでき極めて有意義である。
炭素量より0.01〜0.10%高い炭素量に脱炭す
る。最終目標炭素量より0.01%未満になるとFeO
スラグが増加して精錬歩留りが低下し、鋼中の酸素量が
多くなり後工程での合金鉄添加歩留りを低下させること
になる等好ましくない。また、最終目標炭素量より0.
10%超になると、後述の軽真空脱ガス処理で長時間処
理することになり、生産性、コスト的に不利となり好ま
しくない。
鋼を軽真空脱ガス処理によって、鋼中炭素量を0.02
〜0.05%の低炭素鋼とするものであり、例えば酸素
上吹精錬後の溶鋼を満たした取鍋を軽真空脱ガス装置へ
位置せしめて、真空度100〜500trの軽真空度で
精錬し、炭素量を0.02〜0.05%、の低炭素鋼に
するものである。真空度500tr超では、炭素量を
0.02〜0.05%に脱炭処理するのに長時間を要し
生産性が低下するとともに、溶鋼温度が低下するので酸
素上吹精錬での出鋼温度を上昇することになり、製鋼炉
の耐火物原単位が高くなる等好ましくない。また、10
0tr未満の真空度にしなくとも上記炭素量に短時間で
精錬することができ、かつ真空度保持のためのコストも
軽減することができる。
予備処理で脱珪、脱燐等を施した後、酸素上吹精錬によ
って、軽真空脱ガス処理で炭素量0.02〜0.05
%、の低炭素鋼に処理(精錬)するのに好適な炭素量に
精錬し、次いで精錬する軽真空脱ガス処理で高生産性を
維持しつつ、低コストで低炭素鋼に精錬するとともに、
軽真空度であり脱ガス処理中に発生する溶鋼スプラッシ
ュによる真空脱ガス反応容器内壁への地金付着を確実に
防止し、しかもランニングコストも著しく軽減すること
ができる。
処理方法の一例を説明する。図1において、溶銑予備処
理後、酸素上吹精錬した溶鋼1を取鍋2に出鋼し、取鍋
2内の溶鋼1表面下に反応容器3の下部を浸漬位置せし
め、取鍋2底部羽口4を介してArガスを溶鋼1底部か
ら吹き込み、溶鋼1を攪拌しつつ同時に反応容器3内を
メカニカルポンプ5によって、軽真空度に維持しすると
ともに、ランス6から酸素ガスを反応容器3内へ吹き込
み溶鋼1を低炭素鋼に処理(精錬)する。
器は、容器高さH(長さ)としては3500〜7500
mm。反応容器直径は、反応容器直径D1 と取鍋直径D
2 の比(D1 /D2 )0.25〜0.50に構成するこ
とによって、前記のごとく真空度100〜500tr
で、酸素上吹精錬後の炭素量は、最終目標炭素量より
0.01〜0.10%高い溶鋼を0.02〜0.05
%、の低炭素鋼に安定して精錬することができる。即
ち、反応容器高さが3500mm未満。反応容器直径
が、反応容器D1 と取鍋直径D2 の比(D1 /D2 )で
0.25未満であると、軽真空脱ガス処理に際し反応容
器内壁に溶鋼地金の飛散付着が多くなり、溶鋼歩留りの
低下、操業が不安定になることがあり好ましくない。ま
た、反応容器高さHが7500mm超、反応容器直径D
1 と取鍋直径D2 の比(D1 /D2 )が0.50超にな
ると、RH等の真空脱ガス装置とほぼ同等の大きさとな
り、ランニングコストを高めることになり好ましくな
い。
いて、溶鋼飛散による反応容器への付着等を防止しつ
つ、操業することのできる反応容器の高さを設定する数
式の一例を挙げる。
2+〔86.9/P(18.7×ΔC×W/t+QBB/
60)/πD2 /4〕0.6 ×550 D:反応容器内径(m)、P:真空度(torr)、Δ
C:脱炭量(%) W:溶鋼量(t)、t:脱炭時間(min)、QBB:ガ
ス吹込量(Nm3 /H) H:反応容器高さ
挙げる。下表の実施例は、溶銑予備処理工程で〔P〕濃
度を0.017%まで脱〔P〕し、その溶銑を上吹転炉
で炭素濃度を0.069%に吹止め、図1に示す底吹き
機能を有する取鍋2に出鋼1(溶鋼1)した後、Arガ
スを30Nm3 /Hの割合で取鍋2に設けた底吹き羽口
4から底吹きして、スラグを排出した溶鋼1の表面部位
に内径1.5m、内高4.5mの反応容器3を被せた
後、反応容器3をメカニカルポンプ5で排気しつつ30
0torrの真空度に保持しながら、酸素ガスを反応容
器3に設けたランス6から吹き付けながら脱炭処理を行
った例である。このときの溶鋼量は、291.3tであ
る。溶銑予備処理工程と転炉工程にて使用したCaO原
単位は15.0Kg/tであった。また、炭素濃度は脱
炭前0.069%から5.1分後に0.04%まで脱炭
できた。その後、脱酸用Alを反応容器3内で添加し、
連続鋳造工程で鋳造した。
の低炭素鋼をRH脱ガス装置を用いて精錬した例であ
る。溶銑予備処理工程で〔P〕濃度を0.017%まで
脱〔P〕し、その溶銑を上吹転炉で炭素濃度を0.06
8%に吹止め、RH脱炭を3分間実施したが、最終目標
炭素濃度は0.025%であった。しかし使用した電
力、蒸気量は溶鋼1t当たり7.7KWh、2.4Kg
に達した。また、温度降下が大きく昇熱を必要とした。
の低炭素鋼を溶銑予備処理工程で〔P〕濃度を0.01
7%まで脱〔P〕し、その溶銑を上吹転炉で精錬した例
を示す。生成した転炉スラグ中のFeO濃度は20.3
%、溶鋼の酸素濃度は540ppmであった。また、転
炉精錬中に投入するMn鉱石中のMn歩留りは35%で
あった。
濃度0.04%の低炭素鋼を上底吹き転炉で精錬した例
を示す。生成した転炉スラグ中のFeO濃度は19.4
%、溶鋼の酸素濃度は520ppmであった。このとき
転炉工程で使用したCaO原単位は28.9Kg/tで
あった。また、転炉精錬中に投入するMn鉱石中のMn
歩留りは31%であった。
2、比3は比較例3。
m)との比。 注2:精錬は、270t溶鋼取鍋底部から溶鋼攪拌のた
め30Nm3 /分のArガスを吹き込みつつ処理した。 注3:比較例のRH型真空脱ガス処理は、反応容器高さ
10700mm、径2400mmの一般に用いられてい
る真空脱ガス処理装置。 注5:精錬後溶鋼成分のO量は、Al脱酸前のO量。 注6:電力使用量及び蒸気使用量は、真空度を保持する
ための使用量。
トで、しかも高生産性を維持しつつ、製造することがで
きる等工業的に大きな効果を得ることができる。
一例を示す側面図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 予備処理した溶銑を酸素上吹精錬によ
り、最終目標炭素量より0.01〜0.10%高い炭素
量に精錬し、次いで軽真空脱ガス処理して炭素量0.0
2〜0.05%に精錬することを特徴とする低炭素鋼の
製造方法。 - 【請求項2】 溶銑予備処理において、スクラップを装
入しSi≦0.01%まで脱珪及び最終目標燐量より低
く脱燐処理することを特徴とする請求項1に記載の低炭
素鋼の製造方法。 - 【請求項3】 真空度100〜500trで軽真空脱ガ
ス処理することを特徴とする請求項1または請求項2に
記載の低炭素鋼の製造方法。
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