JPH10245225A - 酸化チタン−酸化セリウム−酸化スズ複合ゾルの製造方法 - Google Patents

酸化チタン−酸化セリウム−酸化スズ複合ゾルの製造方法

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JPH10245225A
JPH10245225A JP5017297A JP5017297A JPH10245225A JP H10245225 A JPH10245225 A JP H10245225A JP 5017297 A JP5017297 A JP 5017297A JP 5017297 A JP5017297 A JP 5017297A JP H10245225 A JPH10245225 A JP H10245225A
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啓太郎 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プラスチックスレンズ、フィルム、プラ
スチックス成形品の表面に施される高屈折率ハードコー
ト剤の成分や、ガラス、セラミックスの表面処理剤、触
媒及び触媒用結合剤、各種ファインセラミックス用原
料、無機質陰イオン交換体などの用途に用いられる酸化
チタン(TiO2 )−酸化セリウム(CeO 2)−酸化
スズ(SnO2 )複合ゾルの製造方法を提供する。 【解決手段】 チタン塩、セリウム塩及び金属スズを、
過酸化水素の存在下に水性媒体中で反応させる酸化チタ
ン−酸化セリウム−酸化スズ複合ゾルの製造方法であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は酸化チタン(Ti
2 )−酸化セリウム(CeO2)−酸化スズ(SnO2
)複合ゾルの製造方法に関する。本願発明で得られる
酸化チタン(TiO2)−酸化セリウム(CeO2)−酸
化スズ(SnO2 )複合ゾルはプラスチックスレンズ、
フィルム、プラスチックス成形品の表面に施される高屈
折率ハードコート剤の成分や、ガラス、セラミックスの
表面処理剤、触媒及び触媒用結合剤、各種ファインセラ
ミックス用原料、無機陰イオン交換体などの用途に用い
られる。
【0002】
【従来の技術】近年多用されるようになってきたプラス
チックレンズの表面を改良するために、この表面に適用
されるハードコート剤の成分として高い屈折率を有する
金属酸化物のゾルが用いられている。例えば特公昭63
−37142号公報には、1〜300nmの粒子径を有
するAl、Ti、Zr、Sn、Sbから選ばれる1種以
上の金属酸化物からなる微粒子状無機物の粒子を含有さ
せた透明被覆層を有する成形体が記載されている。
【0003】特公平4−27168号公報には、粒子径
50nm以下の粒子を有する結晶性酸化チタン−酸化ス
ズゾルが開示されている。水溶性チタン化合物及び水溶
性スズ化合物と、アルカリ金属の水酸化物又はその炭酸
塩及び/又はアンモニウム化合物とを反応させ水熱処理
する方法で得られる。特公平5−29363号公報に
は、水和酸化チタン及び水和酸化セリウムの分散液に過
酸化水素を加えて、水和酸化チタン及び水和酸化セリウ
ムを溶解し、そして加熱して得られる酸化チタン−酸化
セリウム複合系ゾルが配合された化粧料が開示されてい
る。
【0004】更に、特開平2−178219号公報及び
特公平4−45453号公報には、酸化チタン−酸化鉄
複合系ゾルの製造方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】特公昭63−3714
2号公報記載の1〜300nmの粒子径を有するAl、
Ti、Zr、Sn、Sb等の金属酸化物の粒子は、ハー
ドコート剤成分としてそれぞれ単独で用いてもレンズな
どのプラスチックス基材に塗布して硬化させた場合に、
得られる塗膜の耐水性が十分ではなく好ましくない。ま
た特に屈折率の高い酸化チタンをこの用途に用いる場
合、透明性との関係で一次粒子径を20nm以下、好ま
しくは15nm以下にする必要があるが、紫外線照射に
より青色に着色するという問題を有している。
【0006】特公平4−45453号公報、特開平2−
178219号公報また特公平5−29363号公報記
載のゾルを用いた場合には、酸化チタンに少量の酸化鉄
や酸化セリウムを含有させれば紫外線照射による変色を
抑制することができる。しかし着色を抑制できる程度に
添加した酸化鉄や酸化セリウムのため、それらゾル自体
が褐色や黄色を呈し、これらを使用したコート膜が着色
されるために好ましくない。
【0007】また特公平4−27168号公報記載の結
晶質酸化チタン−酸化スズゾルは複合化させるために1
00℃以上の水熱処理が不可欠となり、このため強固な
二次凝集体が生成し得られるゾルの透明性が著しく低下
するので好ましくない。本願発明は、上記問題点を克服
する事ができる酸化チタン−酸化セリウム−酸化スズ複
合ゾルの製造方法を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本願発明は、チタン塩、
セリウム塩及び金属スズを、過酸化水素の存在下に水性
媒体中で反応させる酸化チタン−酸化セリウム−酸化ス
ズ複合ゾルの製造方法である。更には、本願発明は、下
記(a)工程、(b)工程及び(c)工程; (a):過酸化水素水及び金属スズを、2〜3のH22
/Snモル比に保持しつつ同時に又は交互にチタン塩及
びセリウム塩の混合物水溶液に添加して、チタン成分、
セリウム成分及びスズ成分がTiO2、CeO2及びSn
2に換算して0.01〜0.5のCeO2/TiO2
ル比、0.25〜10のTiO2/(CeO2+Sn
2)モル比と、TiO2、CeO2及びSnO2に換算し
た総濃度が5〜50重量%となるチタン−セリウム−ス
ズの塩基性塩水溶液を生成する工程、 (b):(a)工程で得られたチタン−セリウム−スズ
の塩基性塩水溶液を0.1〜100時間かけて50〜1
00℃の温度で保持して酸化チタン−酸化セリウム−酸
化スズ複合コロイドの凝集体を生成させる工程、及び (c):(b)工程で生成した酸化チタン−酸化セリウ
ム−酸化スズ複合コロイドの凝集体スラリー中の電解質
を除去する工程、より成る酸化チタン−酸化セリウム−
酸化スズ複合水性ゾルの製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】本願発明の(a)工程で使用され
るチタン塩としては四塩化チタン、硫酸チタン、硝酸チ
タン等が挙げられる。これらのチタン塩は水溶液で用い
る事が好ましい。本願発明の(a)工程で使用されるセ
リウム塩としては、塩化セリウム、硫酸セリウム、硝酸
セリウム、炭酸セリウム等の無機酸セリウム、酢酸セリ
ウム等の有機セリウム、又は水酸化セリウムが挙げられ
る。
【0010】本願発明の(a)工程で使用される金属ス
ズは粉末状又は粒状で用いることが出来る。例えばイン
ゴットを溶融し噴霧凝固させて得られるアトマイゼーシ
ョン法による金属スズ粉末や、インゴットを旋盤やヤス
リ等により切削し製造されたフレーク状金属スズ粉末を
用いる事が出来る。過酸化水素は、市販の35重量%濃
度の水溶液を所望の濃度で用いる事が出来る。
【0011】(a)工程ではチタン塩とセリウム塩の混
合水溶液に、過酸化水素水と金属スズを同時に又は交互
に添加して、チタン−セリウム−スズの塩基性塩水溶液
を生成する工程である。撹拌機を備えた反応容器にチタ
ン塩とセリウム塩の混合物水溶液を入れ、撹拌下に過酸
化水素水と金属スズを各々、別々の添加口から同時に又
は交互に添加する。上記の混合物水溶液は、純水中にチ
タン塩とセリウム塩を溶解する方法、チタン塩水溶液と
セリウム塩水溶液を混合する方法、チタン塩水溶液にセ
リウム塩を添加する方法、又はセリウム塩水溶液にチタ
ン塩を添加する方法で得られる。(a)工程の塩基性塩
水溶液、及び以下に続く(b)工程の酸化チタン−酸化
セリウム−酸化スズ複合コロイドの凝集体を含むスラリ
ーは酸性であるため、それら工程で使用される反応装置
はガラス製反応装置やグラスライニング(ホウロウ)製
反応装置を用いる事が好ましい。
【0012】過酸化水素水と金属スズのH22/Snモ
ル比は2〜3に保持しつつチタン塩とセリウム塩の混合
物水溶液中に添加する。より詳しくは、過酸化水素水及
び金属スズの添加すべき全重量部に対して1/3〜1/
30重量部をそれぞれ分収して、チタン塩とセリウム塩
の混合物水溶液への過酸化水素水の添加と、それに続く
金属スズの添加そして2〜20分間反応を行う一連の工
程を、3〜30回繰り返す分割添加の方法が挙げられ
る。また、過酸化水素水及び金属スズの添加すべき全重
量部に対して1/3〜1/30重量部をそれぞれ分収し
て、チタン塩とセリウム塩の混合物水溶液への金属スズ
の添加と、それに続く過酸化水素水の添加そして2〜2
0分間反応を行う一連の工程を、3〜30回繰り返す分
割添加の方法も挙げられる。
【0013】この時に、初めに全量の過酸化水素を酸性
のチタン塩とセリウム塩の混合物水溶液に加え、これに
金属スズを加えると過酸化水素の大部分が反応の初期に
分解してしまい過酸化水素の量が不足し、また過酸化水
素の分解反応は発熱反応のため危険であり好ましくな
い。H22/Snモル比が3を少し越えても反応は可能
であるが、大幅に越えることは上記理由から好ましくな
い。H22/Snモル比が2未満では酸化不充分となる
ため好ましくない。過酸化水素水と金属スズの添加時間
は、例えばチタン塩とセリウム塩の合計モル数で1モル
が溶存する混合物水溶液を用いた場合に、0.4〜10
時間、好ましくは0.4〜5時間をかけて添加すること
が出来る。この添加時間が0.4時間以下では発熱反応
が激しくコントロールが出来なくなり、また未反応の金
属スズが残存し易くなるため好ましくない。また、10
時間以上でも良いが経済的でないため好ましくない。
【0014】(a)工程において生成するチタン−セリ
ウム−スズの塩基性塩は、チタン成分、セリウム成分及
びスズ成分を酸化チタン(TiO2)、酸化セリウム
(CeO2)及び酸化スズ(SnO2)に換算したCeO
2/TiO2モル比が0.01〜0.5、好ましくは0.
05〜0.5である。また、TiO2/(CeO2+Sn
2)モル比が0.25〜10、好ましくは0.4〜
4.0である。
【0015】TiO2/(CeO2+SnO2)モル比が
0.25未満でもチタン−セリウム−スズの塩基性塩水
溶液を作成できるが、カウンターアニオンのモル比が低
下しコロイドが生成しやすく、また屈折率も低下するた
めに好ましくない。またモル比が10を越えてもチタン
−セリウム−スズの塩基性塩水溶液を作成できるが、こ
れを用いて製造した酸化チタン−酸化セリウム−酸化ス
ズ複合ゾルの紫外線による変色の抑制効果が低下するた
めに好ましくない。(a)工程のチタン−セリウム−ス
ズの塩基性塩水溶液中の(TiO2+CeO2+Sn
2)に換算した総濃度は5〜50重量%が好ましい。
5重量%未満でも可能であるが、効率が悪く経済的でな
い。また50重量%を越える事も可能であるが、粘度が
高く、撹拌しにくくなり、反応が不均一になるために好
ましくない。
【0016】(a)工程において、水性媒体中でのチタ
ン塩、セリウム塩、金属スズ及び過酸化水素水の反応
は、30〜95℃、好ましくは40〜85℃で行われ
る。過酸化水素と金属スズとの反応は酸化反応であるた
め発熱反応となり、また過酸化水素の分解反応も同時に
起こり、この反応も発熱反応であるため反応時の温度コ
ントロールには注意が必要であり、必要に応じて冷却す
る事が出来る。反応温度は30℃未満でもよいが、発熱
反応であるために過剰の冷却が必要となり、反応に時間
が懸かり過ぎ、経済的でない。反応温度が95℃以上の
沸騰状態では(a)工程で粗大なコロイド粒子が生成し
てしまうため好ましくない。
【0017】(b)工程では、(a)工程で得られたチ
タン−セリウム−スズの塩基性塩を加水分解する事によ
って、酸化チタン−酸化セリウム−酸化スズ複合コロイ
ドの凝集体を得る工程である。(b)工程においてチタ
ン−セリウム−スズの塩基性塩水溶液は、酸化チタン
(TiO2)、酸化セリウム(CeO2)、及び酸化スズ
(SnO2)に換算した総濃度(TiO2+CeO2+S
nO2)が2〜15重量%に調製する事が好ましい。2
重量%未満でも可能であるが、効率が悪く経済的でな
い。また15重量%を越える事も可能であるが、粘度が
高く、撹拌しにくくなり、加水分解反応が不均一になる
ために好ましくない。また粒子径をコントロールするた
めに予め塩基性物質を添加しpH調整してから加水分解
を行うことが出来る。上記の塩基性物質は例えば、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニウム、及びエ
チルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン
等のアルキルアミン、トリエタノールアミン等のアルカ
ノールアミン、及び第4級アンモニウム水酸化物等が挙
げられる。そしてpHは1〜2に調製する事が好まし
い。
【0018】(b)工程において加水分解の温度は50
〜100℃の温度が好ましい。50℃未満でもよいが加
水分解に時間が懸かりすぎるために好ましくない。10
0℃を越えて行ってもよいが、オートクレーブなどの特
殊な水熱処理装置が必要となり、また水熱処理により生
成したコロイドの二次凝集体が強固になり、得られる酸
化チタン−酸化セリウム−酸化スズ複合ゾルの透明性が
低下するために好ましくない。
【0019】(b)工程において加水分解に要する時間
は0.1〜100時間が好ましい。0.1時間未満では
加水分解が不充分となり好ましくない。また100時間
を越えた場合は、一次粒子径が大きくなりまた強固な二
次凝集体が形成されるために好ましくない。この(b)
工程により得られる酸化チタン−酸化セリウム−酸化ス
ズ複合コロイド粒子の一次粒子径は2〜20nm(ナノ
メートル)である。
【0020】(c)工程は、(b)工程で得られた酸化
チタン−酸化セリウム−酸化スズ複合コロイドの凝集体
スラリー中から過剰な電解質(主にアニオン)を除去し
て、酸化チタン−酸化セリウム−酸化スズ複合コロイド
粒子を解膠させてゾルを得る工程である。過剰な電解質
を除去することにより酸化チタン−酸化セリウム−酸化
スズ複合コロイド粒子が一次粒子に近い状態で分散した
ゾルを得ることが出来る。この洗浄は凝集沈降させ、上
澄みをデカンテーションする方法、限外濾過法、イオン
交換法などにより行うことができるが、多量の電解質を
含む場合は限外濾過→注水→限外濾過の繰り返しによる
洗浄方法が特に好ましい。
【0021】(c)工程を経て酸化チタン−酸化セリウ
ム−酸化スズ複合水性ゾルが得られる。この(c)工程
で得られるゾル中の酸化チタン−酸化セリウム−酸化ス
ズ複合コロイド粒子の一次粒子径は2〜20nmであ
る。一次粒子径とは凝集形態にある酸化チタン−酸化セ
リウム−酸化スズ複合コロイド粒子の直径ではなく、個
々に分離した時の1個の酸化チタン−酸化セリウム−酸
化スズ複合コロイド粒子の直径であり、電子顕微鏡によ
って測定することが出来る。この一次粒子径が2nm未
満であると、これを用いて製造した酸化チタン−酸化セ
リウム−酸化スズ複合ゾルの粘度が高くなり、耐水性も
低下するので好ましくない。また一次粒子径が20nm
以上の場合は、これを用いて製造した酸化チタン−酸化
セリウム−酸化スズ複合ゾルの透明性が低下するために
好ましくない。
【0022】(d)工程として、(c)工程で得られた
酸化チタン−酸化セリウム−酸化スズ複合水性ゾルを陰
イオン交換する工程を付加する事が出来る。この陰イオ
ン交換処理により高濃度でも安定なゾルを得ることが出
来る。(d)工程における陰イオン交換は市販の陰イオ
ン交換樹脂を用いることができ、陰イオン交換樹脂は水
酸基型に調整後に使用する。陰イオン交換樹脂を充填し
たカラムに酸化チタン−酸化セリウム−酸化スズ複合水
性ゾルを通液することにより容易に陰イオン交換でき
る。通液温度は0〜60℃、通液速度は空間速度SV1
〜10時間が好ましい。(d)工程では陰イオン交換処
理の前及び/又は後に、塩基性物質を酸化チタン−酸化
セリウム−酸化スズ複合水性ゾルに添加して安定性を増
大させることが出来る。(d)工程において用いられる
塩基性物質としては有機塩基が好ましく例えば、エチル
アミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミンなど
のアルキルアミン、トリエタノールアミンなどのアルカ
ノールアミン、及び第4級アンモニウム水酸化物等が用
いられる。
【0023】(d)工程で得たアルカリ性の酸化チタン
−酸化セリウム−酸化スズ複合ゾルはそのままでも安定
であるが、必要に応じて限外濾過法や蒸発法により濃縮
し、高濃度で安定なゾルを得ることが出来る。(e)工
程として、(c)工程又は(d)工程で得られた酸化チ
タン−酸化セリウム−酸化スズ複合水性ゾルの水性媒体
を有機溶媒に置換する工程を付加する事が出来る。
【0024】(e)工程の溶媒置換の際、安定化剤とし
て少量の有機塩基及び/又は有機酸等が添加される事に
より溶媒置換を安定に行うことができる。この有機塩基
としてはエチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロ
ピルアミン、ジイソブチルアミン等のアルキルアミン、
トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、及び第
4級アンモニウム水酸化物等が挙げられ、有機酸として
はグリコール酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸等のオキ
シカルボン酸やフェニルフォスフォン酸等が挙げられ
る。この溶媒置換は蒸留法、限外濾過法などの通常に用
いられる方法により行うことができる。この有機溶媒と
してはメタノール、エタノール、イソプロパノール等の
低級アルコール;ジメチルホルムアミド、N,N−ジメ
チルアセトアミド等の直鎖アミド類;N−メチル−2−
ピロリドン等の環状アミド類;エチルセロソルブ等のグ
リコールエーテル類;エチレングリコール等が挙げられ
る。
【0025】(d)工程及び(e)工程を経て得られる
ゾル中の酸化チタン−酸化セリウム−酸化スズ複合コロ
イド粒子の一次粒子径は、やはり2〜20nmである。
酸化チタン(TiO2)は、紫外線吸収能を有している
ため耐紫外線顔料やフィラーとして各種プラスチック
ス、繊維などに0.1〜10μm程度の粒子径のパウダ
ーが添加され、使用されている。また、光学関連用途、
例えば光学部材や透明性フィルムなどに塗布されるコ−
ティング組成物にマイクロフィラーとして使用される酸
化チタンは、一次粒子径が100nm以下、好ましくは
20nm以下のゾルとして用いられている。一次粒子径
が小さな酸化チタンは紫外線に対して非常に敏感になる
ため紫外線吸収効果が向上する反面、酸化チタンが紫外
線により部分的にTiO2→TiOへの還元反応が起こ
り、濃青色に呈するという欠点を持っている。酸化第二
スズ(SnO2)も一次粒子径が100nm以下、特に
30nm以下のゾルになると紫外線により部分的にSn
2→SnOへの還元反応が起こるため褐色あるいは青
緑色を呈するという欠点を持っている。
【0026】本願発明によって得られる酸化チタン−酸
化セリウム−酸化スズ複合ゾルは、予めチタン塩とセリ
ウム塩の混合物水溶液に、過酸化水素と金属スズをH2
2/Snモル比が2〜3の範囲に保持しつつ添加、反
応させてチタン−セリウム−スズの塩基性塩水溶液を作
成し、これを加水分解することより酸化チタン−酸化セ
リウム−酸化スズ複合コロイド水溶液が形成される。従
って、
【0027】
【化1】
【0028】という結合が生成すると考えられるため
に、紫外線照射によってもそれぞれ単独の酸化物の時、
又はそれぞれの酸化物が混合された時に比べてTiOや
SnOへの還元が著しく抑制され、ほとんど変色しなく
なる。また、本願発明で製造されたゾルは、(c)工
程、(d)工程及び(e)工程で電解質の除去、イオン
交換、溶媒置換等の操作を行った後でもTiO2粒子、
CeO2粒子、及びSnO2粒子に分離する様な事はない
ので、原子レベルで
【0029】
【化2】
【0030】の結合が生成しているものと考えられる。
また本願発明の酸化チタン−酸化セリウム−酸化スズ複
合ゾルは原子レベルで均一に複合(固溶)されているた
め、各種セラミックス用材料として用いた場合、焼結温
度の低減や、酸化チタン−酸化セリウム−酸化スズ系の
より均一な材料特性を供与することができる。
【0031】
【実施例】
実施例1 (a)工程:四塩化チタン(TiO2に換算して27.
2重量%、Cl32.0重量%、住友シチックス(株)
製)587.5g(TiO2に換算して159.8g)
と炭酸セリウム(Ce2(CO33・8H2Oとして9
9.99重量%、関東化学(株)製)60.5g(Ce
2に換算して17.2g)と水687.7gを、3リ
ットルのジャケット付きガラス製セパラブルフラスコに
とり塩化チタンと塩化セリウムの混合物水溶液133
1.7g(TiO2に換算して12.0重量%、CeO2
に換算して2.58重量%)を作成した。
【0032】この水溶液をガラス製撹拌棒で撹拌しなが
ら60℃まで加温した後、冷却しながら35重量%濃度
の過酸化水素水(工業用)947.6gと金属スズ粉末
(山石金属(株)製、商品名AT−Sn、No.20
0)462.9gを添加した。過酸化水素水と金属スズ
の添加は、はじめに金属スズ25.5g(0.21モ
ル)を、次いで過酸化水素水52.2g(0.54モ
ル)を徐々に加えた。この反応が終了するのを待って
(5〜10分)、金属スズ25.5g(0.21モル)
を、次いで過酸化水素水52.2g(0.54モル)を
徐々に加えた。この様に金属スズの添加に続く過酸化水
素水の添加を、5〜10分の間隔を置いて合計17回繰
り返す事により、(金属スズ25.5gと過酸化水素水
52.2g)×17回の分割添加を行った後、最後に金
属スズ29.4gを次いで過酸化水素水60.2gを添
加し、トータル18回の分割添加を行った。
【0033】反応は発熱反応のため金属スズの添加によ
り80〜85℃になり反応が終了すると冷却のために6
0〜70℃に低下した。従って反応温度は60〜85℃
であった。添加時の過酸化水素水と金属スズの割合はH
22/Snモル比で2.57であった。過酸化水素水と
金属スズの添加に要した時間は2.5時間であった。な
お、反応により水が蒸発するので適量の補充を行った。
反応終了後、淡黄色透明な塩基性塩化チタン−セリウム
−スズ複合塩水溶液2635gを得た。得られた塩基性
塩化チタン−セリウム−スズ複合塩水溶液中では、チタ
ン成分は酸化チタン(TiO2)に換算した濃度として
6.06重量%、セリウム成分は酸化セリウム(CeO
2)に換算した濃度として0.65重量%、スズ成分は
酸化スズ(SnO2)に換算した濃度として22.30
重量%、CeO2/TiO2モル比は0.05で、TiO
2/(CeO2+SnO2)モル比0.5であった。また
(Ti+Ce+Sn)/Clモル比は1.13であっ
た。
【0034】(b)工程:(a)工程で得られた塩基性
塩化チタン−セリウム−スズ複合塩水溶液1726.3
gに28重量%濃度のアンモニア水151.5g、水8
142.4gを添加し、TiO2+CeO2+SnO2
換算した濃度で5重量%まで希釈した。この水溶液を9
5〜98℃で12時間加水分解を行い、一次粒子径4〜
8nmの酸化チタン−酸化セリウム−酸化スズ複合コロ
イドの凝集体を得た。
【0035】(c)工程:(b)工程で得た酸化チタン
−酸化セリウム−酸化スズ複合コロイドの凝集体スラリ
ーを限外濾過装置にて水約20リットルを用いて濃縮→
注水→濃縮の操作を繰り返し、過剰な電解質を洗浄除
去、解膠させ、酸性の酸化チタン−酸化セリウム−酸化
スズ複合水性ゾル7400gを得た。電子顕微鏡で測定
した酸化チタン−酸化セリウム−酸化スズ複合コロイド
粒子の一次粒子径は、4〜8nmであった。
【0036】(d)工程:(c)工程で得た酸性の酸化
チタン−酸化セリウム−酸化スズ複合水性ゾル7400
gにイソプロピルアミン10.0gを添加した後、陰イ
オン交換樹脂(アンバーライトIRA−410、オルガ
ノ(株)製)500ミリリットルを詰めたカラムに通液
し、アルカリ性の酸化チタン−酸化セリウム−酸化スズ
複合水性ゾル10277gを得た。このゾルを限外濾過
装置にて、濃縮を行ない、酸化チタン−酸化セリウム−
酸化スズ複合水性濃縮ゾル3055.6gを得た。得ら
れたゾルは比重1.158、粘度12.8mPa・s、
pH9.56、電導度1100μs/cm、TiO2
換算した濃度は3.43重量%、CeO2に換算した濃
度は0.37重量%、SnO2に換算した濃度は12.
6重量%であった。
【0037】(e)工程:(d)工程で得られたアルカ
リ性酸化チタン−酸化セリウム−酸化スズ複合水性濃縮
ゾル1097.6gに撹拌下、酒石酸7.2g、ジイソ
プロピルアミン10.8gを添加した後、ロータリーエ
バポレーターを用いて減圧下、メタノール30リットル
を徐々に添加しながら水を留去する方法で水媒体をメタ
ノールに置換させ、酸化チタン−酸化セリウム−酸化ス
ズ複合メタノールゾル585gを作成した。得られたメ
タノールゾルは比重1.104、酸化チタン−酸化セリ
ウム−酸化スズ複合コロイド粒子の一次粒子径は4〜8
nm、粘度3.0mPa・s、pH(1+1)7.3
4、電導度(1+1)1355μs/cm、TiO2
換算した濃度は6.38重量%、CeO2に換算した濃
度は0.69重量%、SnO2に換算した濃度は23.
43重量%、水分0.43重量%であった。
【0038】実施例2 (a)工程:四塩化チタン(TiO2に換算して27.
2重量%、Cl32.0重量%、住友シチックス(株)
製)587.5g(TiO2に換算して159.8g)
と炭酸セリウム(Ce2(CO33・8H2Oとして9
9.99重量%、関東化学(株)製)121.0g(C
eO2に換算して34.4g)と水623.2gを、3
リットルのジャケット付きガラス製セパラブルフラスコ
にとり塩化チタンと塩化セリウムの混合物水溶液133
1.7g(TiO2に換算して12.0重量%、CeO2
に換算して2.58重量%)を作成した。この水溶液を
ガラス製撹拌棒で撹拌しながら60℃まで加温した後、
冷却しながら35重量%濃度の過酸化水素水(工業用)
358.0gと金属スズ粉末(山石金属(株)製、商品
名AT−Sn、No.200)190.0gを添加し
た。
【0039】過酸化水素水と金属スズの添加は、はじめ
に過酸化水素水35.8g(0.37モル)を、次いで
金属スズ19.0g(0.16モル)を徐々に加えた。
この反応が終了するのを待って(5〜10分)、過酸化
水素水35.8g(0.37モル)を、次いで金属スズ
19.0g(0.16モル)を徐々に加えた。この様に
過酸化水素水の添加に続く金属スズの添加を、5〜10
分の間隔を置いて合計10回繰り返す事により、(過酸
化水素水35.8gと金属スズ19.0g)×10回の
分割添加を行った。
【0040】反応は発熱反応のため金属スズの添加によ
り80〜85℃になり反応が終了すると冷却のために6
0〜70℃に低下した。従って反応温度は60〜85℃
であった。添加時の過酸化水素水と金属スズの割合はH
22/Snモル比で2.31であった。過酸化水素水と
金属スズの添加に要した時間は2.5時間であった。な
お、反応により水が蒸発するので適量の補充を行った。
反応終了後、淡黄色透明な塩基性塩化チタン−セリウム
−スズ複合塩水溶液1780gを得た。得られた塩基性
塩化チタン−セリウム−スズ複合塩水溶液中では、チタ
ン成分は酸化チタン(TiO2)に換算した濃度として
8.98重量%、セリウム成分は酸化セリウム(CeO
2)に換算した濃度として1.93重量%、スズ成分は
酸化スズ(SnO2)に換算した濃度として13.55
重量%、CeO2/TiO2モル比は0.1で、TiO2
/(CeO2+SnO2)モル比1.0であった。また
(Ti+Ce+Sn)/Clモル比は0.76であっ
た。
【0041】(b)工程:(a)工程で得られた塩基性
塩化チタン−セリウム−スズ複合塩水溶液1780gに
28重量%濃度のアンモニア水259g、水6661g
を添加し、TiO2+CeO2+SnO2に換算した濃度
で5重量%まで希釈した。この水溶液を95〜98℃で
12時間加水分解を行い、一次粒子径4〜8nmの酸化
チタン−酸化セリウム−酸化スズ複合コロイドの凝集体
スラリーを得た。
【0042】(c)工程:(b)工程で得た酸化チタン
−酸化セリウム−酸化スズ複合コロイドの凝集体スラリ
ーを限外濾過装置にて水約20リットルを用いて濃縮→
注水→濃縮の操作を繰り返し、過剰な電解質を洗浄除
去、解膠させ、酸性の酸化チタン−酸化セリウム−酸化
スズ複合水性ゾル8400gを得た。電子顕微鏡で測定
した酸化チタン−酸化セリウム−酸化スズ複合コロイド
粒子の一次粒子径は、4〜8nmであった。
【0043】(d)工程:(c)工程で得た酸性の酸化
チタン−酸化セリウム−酸化スズ複合水性ゾル8400
gにイソプロピルアミン27.0gを添加し、アルカリ
性にした後、更に限外濾過装置にて水約20リットルを
用いて濃縮→注水→濃縮を繰り返し、過剰な電解質を洗
浄除去し、アルカリ性の酸化チタン−酸化セリウム−酸
化スズ複合水性ゾル7000gを得た。このゾルを陰イ
オン交換樹脂(アンバーライトIRA−410、オルガ
ノ(株)製)500ミリリットルを詰めたカラムに通液
し、電解質(アニオン)の非常に少ないアルカリ性の酸
化チタン−酸化セリウム−酸化スズ複合水性ゾル805
0gを得た。このゾルを限外濾過装置にて、濃縮を行な
い、酸化チタン−酸化セリウム−酸化スズ複合水性濃縮
ゾル3307gを得た。得られたゾルは比重1.12
8、粘度10.5mPa・s、pH9.35、電導度7
90μs/cm、TiO2に換算した濃度は4.74重
量%、CeO2に換算した濃度は1.02重量%、Sn
2に換算した濃度は7.14重量%であった。
【0044】(e)工程:(d)工程で得られたアルカ
リ性酸化チタン−酸化セリウム−酸化スズ複合水性濃縮
ゾル1327.5gに撹拌下、酒石酸6.85g、ジイ
ソプロピルアミン10.3gを添加した後、ロータリー
エバポレーターを用いて減圧下、メタノール20リット
ルを徐々に添加しながら水を留去する方法で水媒体をメ
タノールに置換させ、酸化チタン−酸化セリウム−酸化
スズ複合メタノールゾル550gを作成した。得られた
メタノールゾルは比重1.102、酸化チタン−酸化セ
リウム−酸化スズ複合コロイド粒子の一次粒子径は4〜
8nm、粘度2.7mPa・s、pH(1+1)7.2
2、電導度(1+1)1415μs/cm、TiO2
換算した濃度は11.21重量%、CeO2に換算した
濃度は2.41重量%、SnO2に換算した濃度は1
6.88重量%、水分0.48重量%であった。
【0045】実施例3 (a)工程:四塩化チタン(TiO2に換算して27.
2重量%、Cl32.0重量%、住友シチックス(株)
製)587.5g(TiO2に換算して159.8g)
と炭酸セリウム(Ce2(CO33・8H2Oとして9
9.99重量%、関東化学(株)製)60.5g(Ce
2に換算して17.2g)と水687.7gを、3リ
ットルのジャケット付きガラス製セパラブルフラスコに
とり塩化チタンと塩化セリウムの混合物水溶液133
1.7g(TiO2に換算して12.0重量%、CeO2
に換算して2.58重量%)を作成した。
【0046】この水溶液をガラス製撹拌棒で撹拌しなが
ら60℃まで加温した後、冷却しながら35重量%濃度
の過酸化水素水(工業用)194.5gと金属スズ粉末
(山石金属(株)製、商品名AT−Sn、No.20
0)95.0gを添加した。過酸化水素水と金属スズの
添加は、はじめに過酸化水素水38.9g(0.40モ
ル)を、次いで金属スズ19.0g(0.16モル)を
徐々に加えた。この反応が終了するのを待って(5〜1
0分)、過酸化水素水38.9g(0.40モル)を、
次いで金属スズ19.0g(0.16モル)を徐々に加
えた。この様に過酸化水素水の添加に続く金属スズの添
加を、5〜10分の間隔を置いて合計5回繰り返す事に
より、(過酸化水素水38.9gと金属スズ19.0
g)×5回の分割添加を行った。反応は発熱反応のため
金属スズの添加により80〜85℃になり反応が終了す
ると冷却のために60〜70℃に低下した。従って反応
温度は60〜85℃であった。添加時の過酸化水素水と
金属スズの割合はH22/Snモル比で2.50であっ
た。過酸化水素水と金属スズの添加に要した時間は1.
0時間であった。なお、反応により水が蒸発するので適
量の補充を行った。反応終了後、淡黄色透明な塩基性塩
化チタン−セリウム−スズ複合塩水溶液1610gを得
た。得られた塩基性塩化チタン−セリウム−スズ複合塩
水溶液中では、チタン成分は酸化チタン(TiO2)に
換算した濃度として9.87重量%、セリウム成分は酸
化セリウム(CeO2)に換算した濃度として1.07
重量%、スズ成分は酸化スズ(SnO2)に換算した濃
度として7.49重量%、CeO2/TiO2モル比は
0.05で、TiO2/(CeO2+SnO2)モル比
2.0であった。また(Ti+Ce+Sn)/Clモル
比は0.57であった。
【0047】(b)工程:(a)工程で得られた塩基性
塩化チタン−セリウム−スズ複合塩水溶液1610gに
28重量%濃度のアンモニア水250g、水4074g
を添加し、TiO2+CeO2+SnO2に換算して5重
量%まで希釈した。この水溶液を95〜98℃で12時
間加水分解を行い、一次粒子径4〜8nmの酸化チタン
−酸化セリウム−酸化スズ複合コロイドの凝集体スラリ
ーを得た。
【0048】(c)工程:(b)工程で得た酸化チタン
−酸化セリウム−酸化スズ複合コロイドの凝集体スラリ
ーを限外濾過装置にて水約20リットルを用いて濃縮→
注水→濃縮の操作を繰り返し、過剰な電解質を洗浄除
去、解膠させ、酸性の酸化チタン−酸化セリウム−酸化
スズ複合水性ゾル5400gを得た。電子顕微鏡で測定
した酸化チタン−酸化セリウム−酸化スズ複合コロイド
粒子の一次粒子径は、4〜8nmであった。
【0049】(d)工程:(c)工程で得た酸性の酸化
チタン−酸化セリウム−酸化スズ複合水性ゾル5400
gにイソプロピルアミン6.0gを添加した後、陰イオ
ン交換樹脂(アンバーライトIRA−410、オルガノ
(株)製)500ミリリットルを詰めたカラムに通液
し、アルカリ性の酸化チタン−酸化セリウム−酸化スズ
複合水性ゾル6150gを得た。このゾルを限外濾過装
置にて、濃縮を行ない、酸化チタン−酸化セリウム−酸
化スズ複合水性濃縮ゾル2056gを得た。得られたゾ
ルは比重1.135、粘度10.3mPa・s、pH
9.31、電導度975μs/cm、TiO2に換算し
た濃度は7.55重量%、CeO2に換算した濃度は
0.82重量%、SnO2に換算した濃度は5.73重
量%であった。
【0050】(e)工程:(d)工程で得られたアルカ
リ性酸化チタン−酸化セリウム−酸化スズ複合水性濃縮
ゾル1214.5gに撹拌下、酒石酸6.85g、ジイ
ソプロピルアミン10.3gを添加した後、ロータリー
エバポレーターを用いて減圧下、メタノール20リット
ルを徐々に添加しながら水を留去する方法で水媒体をメ
タノールに置換させ、酸化チタン−酸化セリウム−酸化
スズ複合メタノールゾル553gを作成した。得られた
メタノールゾルは比重1.104、酸化チタン−酸化セ
リウム−酸化スズ複合コロイド粒子の一次粒子径は4〜
8nm、粘度2.9mPa・s、pH(1+1)7.3
3、電導度(1+1)1435μs/cm、TiO2
換算した濃度は16.33重量%、CeO2に換算した
濃度は1.77重量%、SnO2に換算した濃度は1
2.39重量%、水分0.41重量%であった。
【0051】比較例1 四塩化チタン(TiO2に換算して27.2重量%、C
l32.0重量%、住友シチックス(株)製)587.
5g(TiO2に換算して159.8g)と水260
8.5gを、3リットルのジャケット付きガラス製セパ
ラブルフラスコにとり塩化チタン水溶液3196g(T
iO2に換算して5.0重量%)を作成した。この水溶
液に28重量%濃度のアンモニア水50gをガラス製撹
拌棒で撹拌しながら添加した後、この水溶液を95℃で
10時間加水分解を行い、一次粒子径4〜8nmの酸化
チタンコロイドの凝集体を得た。この酸化チタンコロイ
ドの凝集体スラリーを5B濾紙を用いて吸引濾過を行
い、次いで水約40リットルを用いて注水洗浄し、過剰
な電解質を除去し、酸化チタンのウェットケーキ620
gを得た。得られたウェットケーキを水2576gに分
散させた後、イソプロピルアミン8.0gを添加し、ア
ルカリ性とした後、陰イオン交換樹脂(アンバーライト
IRA−410、オルガノ(株)製)200ミリリット
ルを詰めたカラムに通液し、アルカリ性の酸化チタン水
性ゾル3890gを得た。このゾルをロータリーエバポ
レーターにて減圧下、濃縮を行ない、アルカリ性酸化チ
タン水性濃縮ゾル1070gを得た。得られたゾルに撹
拌下、酒石酸12.1g、ジイソプロピルアミン26.
1gを添加した後、ロータリーエバポレーターを用いて
減圧下、メタノール25リットルを徐々に添加しながら
水を留去する方法で水媒体をメタノールに置換させ、酸
化チタンメタノールゾル775.2gを作成した。得ら
れたメタノールゾルは比重0.970、酸化チタン粒子
の一次粒子径は4〜8nm、粘度4.5mPa・s、p
H(1+1)8.98、電導度1600μs/cm、T
iO220.2重量%、水分3.4重量%であった。
【0052】実施例4 実施例1〜3の酸化チタン−酸化セリウム−酸化スズ複
合ゾルはゾルの状態では極薄いコロイド色を呈するが、
ガラス板上で乾燥するとコロイド色を示さず、無色透明
であった。実施例1〜3と比較例1のゾルをアプリケー
ターにてガラス板上に薄膜の状態でコーティングし、1
50℃で乾燥した後、これにUV照射装置OHD−32
0CM(オーク社製)で1時間紫外線を照射し、耐光性
を試験した。紫外線照射前後の被膜の色の変化を目視で
観察し、耐光性を判定した。結果を下記に示す。変化の
大きいもの(すなわち淡青色となるもの)は×印で、変
化の小さいものを○印で表した。
【0053】
【表1】表1 (サンプル\評価項目) 耐光性 実施例1 ○ 実施例2 ○ 実施例3 ○比較例1 × 表1に示された結果の通り、酸化チタン、酸化セリウム
及び酸化スズの単なる混合物ではなく、酸化チタン成
分、酸化セリウム成分及び酸化スズ成分が原子レベルで
【0054】
【化3】
【0055】の結合が生成していると考えられる本願製
法に基づくゾルは、耐光性において優れた性質を示す。
【0056】
【発明の効果】本願発明によって得られる酸化チタン−
酸化セリウム−酸化スズ複合ゾルは透明性が高く、その
乾燥被膜は約1.8〜2.0の屈折率を示し、また結合
強度、硬度のいずれもが高く、耐光性、耐候性、帯電防
止性、耐摩耗性、付着性なども良好である。
【0057】このゾルは、工業製品として供給されるに
充分な安定性を持っている。このゾルは樹脂エマルジョ
ン、界面活性剤やエチルシリケートなどのシラン類、シ
ランカップリング剤の部分加水分解物などと安定に混合
することが出来る。このような性質を有する本願発明の
ゾルはプラスチックスレンズ、フィルム、プラスチック
ス成形品の表面上にハードコート膜を形成させるための
屈折率、染色性、耐薬品性、耐水性、耐光性、耐候性、
耐摩耗性、耐擦傷性等の向上成分として特に有効であ
る。
【0058】本願発明のゾルは、誘電体材料、圧電体材
料、センサー材料等のセラミックス原料や触媒や耐火物
用結合剤、繊維、紙、プラスチックスなどの帯電防止
剤、無機イオン交換体、紫外線吸収用マイクロフィラ
ー、遠赤外線放射用マイクロフィラー、金属、ガラス、
セラミックスの表面処理剤などの用途に使用することが
出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 飯島 根子 千葉県船橋市坪井町722番地1 日産化学 工業株式会社中央研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタン塩、セリウム塩及び金属スズを、
    過酸化水素の存在下に水性媒体中で反応させる酸化チタ
    ン−酸化セリウム−酸化スズ複合ゾルの製造方法。
  2. 【請求項2】 下記(a)工程、(b)工程及び(c)
    工程; (a):過酸化水素水及び金属スズを、2〜3のH22
    /Snモル比に保持しつつ同時に又は交互にチタン塩及
    びセリウム塩の混合物水溶液に添加して、チタン成分、
    セリウム成分及びスズ成分がTiO2、CeO2及びSn
    2に換算して0.01〜0.5のCeO2/TiO2
    ル比、0.25〜10のTiO2/(CeO2+Sn
    2)モル比と、TiO2、CeO2及びSnO2に換算し
    た総濃度が5〜50重量%となるチタン−セリウム−ス
    ズの塩基性塩水溶液を生成する工程、 (b):(a)工程で得られたチタン−セリウム−スズ
    の塩基性塩水溶液を0.1〜100時間かけて50〜1
    00℃の温度で保持して酸化チタン−酸化セリウム−酸
    化スズ複合コロイドの凝集体を生成させる工程、及び (c):(b)工程で生成した酸化チタン−酸化セリウ
    ム−酸化スズ複合コロイドの凝集体スラリー中の電解質
    を除去する工程、より成る酸化チタン−酸化セリウム−
    酸化スズ複合水性ゾルの製造方法。
  3. 【請求項3】 上記(a)工程、(b)工程、(c)工
    程及び下記(d)工程; (d)工程:(c)工程で得られた酸化チタン−酸化セ
    リウム−酸化スズ複合水性ゾルを陰イオン交換する工
    程、より成る酸化チタン−酸化セリウム−酸化スズ複合
    水性ゾルの製造方法。
  4. 【請求項4】 上記(a)工程、(b)工程、(c)工
    程、(d)工程及び下記(e)工程; (e):(d)工程で得られた酸化チタン−酸化セリウ
    ム−酸化スズ複合水性ゾルの水性媒体を有機溶媒に置換
    する工程、より成る酸化チタン−酸化セリウム−酸化ス
    ズ複合オルガノゾルの製造方法。
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DE69841885T DE69841885D1 (de) 1997-03-03 1998-02-26 Verfahren zur herstellung von kompositsolen, überzugkomposition und optischem element
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN115957733A (zh) * 2021-10-08 2023-04-14 中国科学院理化技术研究所 光热协同催化材料的合成方法

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