JPH1024361A - こて装置および接合方法 - Google Patents

こて装置および接合方法

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JPH1024361A
JPH1024361A JP8236354A JP23635496A JPH1024361A JP H1024361 A JPH1024361 A JP H1024361A JP 8236354 A JP8236354 A JP 8236354A JP 23635496 A JP23635496 A JP 23635496A JP H1024361 A JPH1024361 A JP H1024361A
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JP
Japan
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tip
heat
columnar body
rear end
graphite
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JP8236354A
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English (en)
Inventor
Kazuo Tanimoto
一夫 谷本
Norio Okuya
憲男 奥谷
Yoshimichi Ishii
好道 石井
Yukio Maeda
幸男 前田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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Priority to JP8236354A priority Critical patent/JPH1024361A/ja
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    • B29C65/56Joining or sealing of preformed parts, e.g. welding of plastics materials; Apparatus therefor using mechanical means or mechanical connections, e.g. form-fits
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期間の使用により劣化したり破損したりし
たこて先を修理して再使用することができ、こて先の先
端部の変形による接合不良の発生を抑えるようにしたこ
て装置を提供する。 【解決手段】 このこて装置は、柱状のこて先1と、こ
のこて先1を加熱する加熱手段4とを備え、加熱された
こて先1の先端を接合対象物に接触させて加熱するよう
になっていて、こて先1の後端側を着脱可能に保持する
ホルダー3をも備え、こて先1のホルダー3外部への突
出量がこて先の軸線方向に沿って可変とされている。柱
状体が熱伝導異方性を有するグラファイトで形成され、
このグラファイトの高熱伝導方向が柱状体の軸線方向に
沿うようになっている場合には、加熱手段4がこて先1
の後端面から熱エネルギーを注入するようになっている
ことが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子部品等の半田
付けや、プラスチック成形品の熱かしめまたは封止など
に使用するこて装置およびこのこて装置を使用する接合
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電子回路の高密度実装化が進み、
フローソルダリング、リフローソルダリングなど、多点
での半田付けを一括に高品質に行う技術が進歩してきて
いる。しかし、フローソルダリング、リフローソルダリ
ング等で処理できない半田付けには、これまでと同様に
半田ごてが多く使用されている。
【0003】半田ごては、半田付け時に半田付け対象物
と半田との間で合金層を得るため、半田付け対象物を所
定の温度まで加熱するのに使用される。半田ごてのこて
先には、熱伝導性の良い銅が多く用いられている。半田
付け時には、高温に加熱されたこて先の半田濡れ面
(「半田当て面」とも言う。)を半田付け対象物に押し
当ててこの対象物を加熱するとともに、この濡れ面上で
所定量の半田を溶融させ溶融半田をその対象物の方へ流
している。半田付け対象物は、こて先からの直接的伝熱
により加熱されるとともに、こて先濡れ面から流れてき
た溶融半田を介した間接的伝熱によっても加熱促進さ
れ、半田との間で合金層を形成する。
【0004】銅製のこて先は溶融半田による溶食、半田
付け時のフラックスによる腐食などによって消耗してい
く。この溶食や腐食を防ぐため、銅製のこて先には、鉄
またはニッケルなどの金属または合金で耐食性メッキ層
を形成している。そして、このこて先の濡れ面では、半
田濡れ性を向上させるためにその耐食性メッキ層の上に
さらに半田メッキ層を形成していく。また、こて先の非
濡れ面では、その耐食性メッキ層の上にさらにクロムな
どの金属または合金で半田濡れ性の低いメッキ層を形成
し半田の付着を防いでいる。
【0005】しかし、こて先を長期間使用すれば耐食性
のメッキ層でも摩耗が起きるため、銅素地が露出して溶
融半田により溶食される。また、メッキ層形成時に、あ
るいは、こて先を使用する間に、メッキ層に欠陥または
亀裂が生じる場合があり、この欠陥や亀裂から侵入した
溶融半田により銅素地が溶食されてメッキ層が崩れてく
る。このため、こて先の半田濡れ面形状が変化してしま
い、半田付け対象物間で半田が連なるいわゆるブリッジ
不良が発生しやすくなる。こて先の濡れ面の変形は、こ
て先に機械的衝撃が加わることによっても起こりうる。
高密度実装に用いられる半田ごてではこて先の濡れ部
が、微細間隔での半田付けに適応できるように、尖端部
となっているが、この尖端部が溶食や腐食や機械的衝撃
によりわずかに変形しても微細間隔での半田付けでブリ
ッジ不良が発生する。このブリッジ不良は、半田付け間
隔が微細化すると一層著しくなる。
【0006】他方、銅製こて先の先端部にフッ素樹脂を
コーティングしたこて先が、プラスチック成形品の熱か
しめにおいて一方の成形品に設けた柱体を他方の成形品
に設けた孔を貫通させてその柱体の先端部を加熱し溶融
させてかしめたり、プラスチック製容器中への物品封入
後に封止を行ったりするために使用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】濡れ面形状が変化した
こて先は、上記のようにブリッジ不良を起こすので、廃
棄して新品と交換する必要がある。先端のごく一部が変
形しただけのこて先を安易に廃棄するのは資源やコスト
の浪費である。高価な素材を用いたこて先の場合には、
特にコスト高を招きやすい。変形した先端部を修理して
こて先を再使用することが望まれる。
【0008】しかし、先端部を修理したこて先は、通
常、長さが短くなるので、この短くなったこて先を修理
前と同様にしてこて装置のホルダーに取り付けるとこて
先の先端部のホルダー外部への突出量が短くなる。この
ため、こて先の先端部を半田付け対象物に接触させにく
くなる。フッ素樹脂をコーティングしたこて先では、こ
のコーティング膜がはがれやすく、このコーティング膜
がはがれて銅素地が露出すると溶融プラスチックが銅素
地に付着して使用できなくなるため、こて先の寿命が短
かった。このこて先でも修理すればこて先の寿命を伸ば
すことができる。
【0009】最近では、こて先は、上でも述べたよう
に、電子回路の高密度実装化による半田付け間隔の微細
化に対応するために濡れ部が尖端部とされている。上記
銅製こて先表面に形成されたメッキ層を構成する金属
は、銅よりも熱伝導性が低いため、このメッキ層が熱伝
導性を悪化させる。このため、半田付け対象物の加熱不
足が起こり半田が載らないいわゆる半田不足が発生しや
すい。
【0010】そこで、熱伝導異方性を有するグラファイ
トで柱状体を形成し、このグラファイトの高熱伝導方向
が柱状体の軸線方向に沿うようにしたこて先が考えられ
た。このグラファイトからなる柱状体では、軸線を中心
とする放射方向の熱伝導は、高熱伝導方向に比べて極め
て小さい。ところが、従来のこて装置では、こて先の外
周面に接してヒーターが配されているので、柱状体は、
その外周面で熱を受容するようになっており、この外周
面での熱の受容は低熱伝導方向になり、ヒーターから柱
状体への熱伝達の効率が極めて悪い。このため、グラフ
ァイトの高熱伝導性が生かされていない。
【0011】本発明は、上記従来の問題点を解決するも
ので、長期間の使用により劣化したり破損したりしたこ
て先を修理して再使用することができ、こて先の先端部
の変形による接合不良の発生を抑える、こて装置の提供
を目的とする。本発明は、さらに、上記従来の問題点を
解決するもので、熱伝導異方性を有するグラファイトの
熱伝導特性を十分生かすことにより、接合対象物の加熱
不足による接合不良の発生を抑えることができ、しか
も、長期間の使用によるこて先の劣化がない、こて装置
の提供を目的とする。
【0012】本発明は、また、こて先の先端部の変形に
よる接合不良、または接合対象物の加熱不足による接合
不良の発生を抑えることができる接合方法を提供するこ
とを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明のこ
て装置は、柱状のこて先と、このこて先を加熱する加熱
手段とを備え、加熱されたこて先の先端を接合対象物に
接触させて加熱するようになっているこて装置におい
て、こて先の後端側を着脱可能に保持するホルダーをも
備え、こて先のホルダー外部への突出量がこて先の軸線
方向に沿って可変とされていることを特徴とする。
【0014】請求項2に係る発明のこて装置は、請求項
1に記載のこて装置において、こて先が炭素系材料で形
成された柱状体を本体とし、柱状体が熱伝導異方性を有
するグラファイトで形成され、このグラファイトの高熱
伝導方向が柱状体の軸線方向に沿うにようになっている
ことを特徴とする。請求項3に係る発明のこて装置は、
柱状のこて先と、このこて先を加熱する加熱手段とを備
え、加熱されたこて先の先端を接合対象物に接触させて
加熱するようになっているこて装置において、こて先は
炭素系材料からなる柱状体を本体とし、柱状体が熱伝導
異方性を有するグラファイトで形成され、このグラファ
イトの高熱伝導方向が柱状体の軸線方向に沿うようにな
っていて、加熱手段が柱状体の後端面から熱エネルギー
を注入するようになっていることを特徴とする。
【0015】請求項4に係る発明のこて装置は、請求項
3に記載のこて装置において、柱状体の後端面に接する
熱伝導性部材をも備え、加熱手段が熱伝導性部材に接し
て配置されたヒーターであることを特徴とする。請求項
5に係る発明のこて装置は、請求項4に記載のこて装置
において、熱伝導性部材が少なくとも柱状体の後端面に
接する部分と加熱手段に接する部分とを残して断熱材で
覆われていることを特徴とする。
【0016】請求項6に係る発明のこて装置は、請求項
3に記載のこて装置において、加熱手段が、柱状体の後
端面に光ビームまたは熱ビームを照射する照射装置であ
ることを特徴とする。請求項7に係る発明のこて装置
は、請求項6に記載のこて装置において、柱状体の後端
部に熱センサを配し、この熱センサからの信号により照
射装置の照射量を制御するようにすることを特徴とす
る。
【0017】請求項8に係る発明のこて装置は、請求項
3に記載のこて装置において、加熱手段が、柱状体の後
端面に接するように配され、柱状体よりも太い発熱部を
有することを特徴とする。請求項9に係る発明のこて装
置は、請求項8に記載のこて装置において、加熱手段
が、柱状体の後端部の外周面に接する熱伝導性の筒状壁
部をも有することを特徴とする。
【0018】請求項10に係る発明のこて装置は、請求
項3から9までのいずれかに記載のこて装置において、
こて先を着脱可能に保持するホルダーをも備え、こて先
のホルダー外部への突出量がこて先の軸線方向に沿って
可変とされていることを特徴とする。請求項11に係る
発明のこて装置は、請求項1、2または10に記載のこ
て装置において、こて先のホルダーへの装着はテーパ面
を有するナットの締付けにより行うことを特徴とする。
【0019】請求項12に係る発明のこて装置は、請求
項1、2または10に記載のこて装置において、ホルダ
ーがコレットであることを特徴とする。請求項13に係
る発明のこて装置は、請求項1、2、10、11または
12に記載のこて装置において、こて先をその先端方向
へ押し出すためのねじをも備えていることを特徴とす
る。
【0020】請求項14に係る発明のこて装置は、請求
項1から13までのいずれかに記載のこて装置におい
て、柱状体が、この柱状体の軸線方向に延びる芯材と、
この芯材を中心として巻き重ね合わされた高配向性グラ
ファイトシートとからなることを特徴とする。請求項1
5に係る発明の接合方法は、請求項1から14までのい
ずれかに記載のこて装置の前記こて先の先端部を加熱
し、この先端部を溶融可能な材料に接触させてこの溶融
可能な材料を溶融させて接合対象物の接合を行うように
している。
【0021】本発明のこて装置では、柱状のこて先の後
端側がホルダーによって着脱可能に保持されている場合
には、こて先が劣化したり破損したりしたときにはこて
先をホルダーから外して修理することができる。この場
合のこて装置では、こて先のホルダー外部への突出量が
こて先の軸線方向に沿って可変とされているので、修理
したこて先をホルダーに装着するときには、このこて先
の長さに合わせてホルダーにより保持される部分を修理
前に対してずらすことができる。このため、短くなった
こて先の先端部のホルダーからの突出量を修理前と同じ
量にすることができ、修理前と同様に、こて先の先端部
を半田付け対象物やプラスチック成形品などの接合対象
物に接触させることができる。長期間の使用により先端
部が劣化したり破損したりしたこて先を修理して再使用
することができ、こて先の先端部の変形による接合不良
の発生を抑えることができる。
【0022】本発明のこて装置では、こて先が炭素系材
料からなる柱状体を本体とし、柱状体が熱伝導異方性を
有するグラファイトで形成されている場合には、このこ
て先にその後端面から熱エネルギーを注入することによ
り、熱が高熱伝導方向に伝わる。この場合、グラファイ
トの高熱伝導方向が柱状体の軸線方向に沿うようになっ
ているので、後端面で受容した熱が銅製こて先よりも非
常に速く先端部に伝わることができ、先端面、または、
この先端に設けたテーパ面から放出される。このため、
こて先の尖端の細寸化に伴う加熱不足による、半田付け
不良や熱かしめ不良や封止不良などの接合不良の発生を
抑えることができる。しかも、グラファイトは、溶融半
田や溶融プラスチックによって溶食されず、フラックス
によって腐食せず、空気中の酸素によって酸化しないの
で、グラファイトが先端部で露出していても、長期間の
使用による劣化もほとんどない。
【0023】こて先を構成する柱状体が、この柱状体の
軸線方向に延びる芯材と、この芯材を中心として巻き重
ね合わされた高配向性グラファイトシートとからなると
きには、こて先の内周部と外周部とが1つの高配向性グ
ラファイトシートで形成されているので、柱状体の先端
面における内周部と外周部との間でも熱が高配向性グラ
ファイトシートの高熱伝導方向に伝わり、この先端面が
全体的に均一な温度になりやすい。その上、この柱状体
は、高配向性グラファイトシートの剥離しやすくて脆い
方向がシートの厚み方向、すなわちこて先の中心部から
外周部への方向になっているので、この柱状体の外周面
が被半田付け面や半田付け対象物に当たっても、剥離し
にくく、機械的強度に優れている。しかも、高配向性グ
ラファイトシートを芯材を中心として筒状に柱状体が形
成されているので、このシートを巻き重ね合わせやす
く、また、芯材を機械的強度を高めるために利用でき
る。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明のこて装置は、こて先と加
熱手段とを備えていて、加熱されたこて先の先端を接合
対象物に接触させて加熱するようになっている。こて先
の先端を接合対象物に接触させて加熱するには、たとえ
ば、こて先の先端部が外部に突出するようにしてこて先
と加熱手段とを1つのケースに収容固定して1つのユニ
ットを形成し、このユニットを適宜移動させることによ
り、こて先の先端部を所望の位置に所望の向きで配する
ことができる。このユニットの移動は、たとえば、ユニ
ットを移動装置に取り付けて固定し、この移動装置を作
動させることにより行うことができる。移動装置として
は、たとえばロボット装置が挙げられる。ユニットをロ
ホット装置のアームの先端部に取り付け、このアームを
動かすことにより自動制御でユニットの移動を行うこと
ができる。ユニットの移動装置への固定は、着脱可能に
なっていることが好ましい。着脱可能になっていれば、
こて先や加熱手段の点検・修理・クリーニングなどの作
業を行う場合、このユニットを移動手段から外してその
作業を行うことができる。作業中、代わりのユニットを
移動装置に装着すればこて装置を稼働させることができ
る。
【0025】加熱手段は、たとえば、こて先を直接的に
および/または間接的に加熱するようになっているもの
であればよく、たとえば、電気ヒーター、セラミックヒ
ーターなどの発熱装置、こて先に光ビームまたは熱ビー
ムを照射できる照射装置などである。加熱手段が発熱装
置である場合には、加熱手段はこて先に直接的におよび
/または熱伝導性部材を介して間接的に接していて熱伝
導によりこて先を加熱する。熱伝導性部材としては、た
とえば、熱伝導等方性を有していて熱伝導のための回路
設計の自由度が高いという点を考慮すると、金属部材な
どが使用される。金属部材は、高熱伝導性を有するとい
う点を考慮すると、たとえば、銅、アルミニウム、銅合
金、アルミニウム合金などが挙げられる。熱伝導性部材
は、少なくともこて先に接する部分と加熱手段に接する
部分とを残して断熱材で覆われていることが好ましい。
これは、熱を放出する部分をできるだけ少なくするため
である。加熱手段が照射装置である場合には、加熱手段
はこて先に接している必要はなく、こて先から離して設
置することができる。加熱手段として照射装置を用いる
場合には、たとえば、こて先の加熱不足または加熱し過
ぎを起こりにくくしてできるだけ温度を一定にしやすく
するという点を考慮すると、こて先の後端部に熱センサ
を配し、この熱センサからの信号により照射装置の照射
量を制御するようにすることができる。
【0026】こて先の先端部が、接合作業の際に熱溶融
可能な材料の当て部となる場合、加熱手段のこて先への
熱エネルギーの注入は、たとえば、こて先を構成する柱
状体の後端面および/または外周面から行われ、柱状体
が熱伝導異方性を有する場合には、熱伝導をより速くす
るという点を考慮すると、高熱伝導方向と交差する面か
ら熱エネルギーを注入するようにすることができる。た
とえば、柱状体がその軸線方向に高熱伝導方向となるよ
うな熱伝導異方性を有する場合には、加熱手段は、こて
先の後端面から熱エネルギーを注入する手段であること
ができる。加熱手段は、こて先の後端面に接するように
配される場合には、こて先に供給する熱が不足しないよ
う加熱手段の熱容量を多くするために、こて先よりも太
い発熱部を有することができる。この場合において、熱
容量をさらに多くするためには、加熱手段が、こて先の
後端部の外周面に接する熱伝導性の筒状壁部をも有する
ことができる。
【0027】こて先のこて装置への取り付けは、上述の
ごとき着脱可能なユニットを用いるか否かに係わらず、
こて先そのものが着脱可能に取り付けられることが好ま
しい。こて先が着脱可能に取り付けられるようになって
いると、必要に応じてこて先を交換したりこて先の先端
部の形状を整えたりすることができる。こて先のこて装
置への着脱可能な取り付けは、たとえば、こて先を着脱
可能に保持するホルダーまたは止めねじを利用すること
ができる。たとえば、装着されているこて先が摩耗した
り破損したりしたときには、このこて先をホルダーから
外したり止めねじをゆるめたりして、別のこて先(たと
えば、新品のこて先)をホルダーに新たに装着したり止
めねじでとめたりするのである。止めねじでこて先を固
定する場合、後端部の外周部には、止めねじの先端部を
受け入れる凹部を形成しておくことができ、この凹部に
止めねじの先端部を入れて凹部底面に止めネジ先端を押
圧することにより、こて先のこて装置への固定がより安
定する。ホルダーは、たとえば、上記熱伝導性部材から
なっていたり、あるいは、加熱手段を兼ねていたりする
ことができる。こて先の外部への突出量が柱状体の軸線
方向に沿って可変とされている場合には、外したこて先
を修理して再び取り付ける際にこて先の先端部の突出量
を、新品のときの突出量と同じになるように調整するこ
とができる。あるいは、先端部が摩耗したり破損したり
したときには、ホルダーや止めねじをゆるめてこて先を
繰り出して適宜の位置で再度固定してから、こて先の先
端部を切断、切削、研磨などの加工によって元の形状に
修復することができる。特に、こて先の先端部に尖端加
工などの精度を要求される加工を施すときには、こて先
をこて装置や上記ユニットから取り外すことにより、そ
の加工作業をしやすくすることができる。こて先の外部
への突出量を柱状体の軸線方向に沿って可変とするため
には、たとえば、テーパ面を有するナット、コレット、
止めねじを使用することができ、あるいは、ねじ込みを
利用することができる。テーパ面を有するナットを使用
する場合、たとえば、こて装置に設けられた、こて先の
後端部を収容するための凹部にこて先の後端部を挿入し
た状態でこて先にそのナットを通してこのナットをその
凹部の側壁の先端部の外周部に設けたテーパ面にねじ込
むことによりこて先が柱状体の軸線方向の所望の位置で
こて装置に固定される。コレットを使用する場合、たと
えば、こて装置に設けられた、こて先の後端部を収容す
るための凹部にこて先の後端部を挿入した状態でこて先
にコレットを通してこのコレットをこて先外周面と前記
凹部内周面との間に打ち込むことによりこて先が柱状体
の軸線方向の所望の位置でこて装置に固定される。止め
ねじを使用する場合、たとえば、こて装置に設けられ
た、こて先の後端部を収容するための凹部にこて先の後
端部を挿入し、凹部の側壁にあけたねじ孔に止めねじを
ねじ込んで貫通させて止めねじ先端でこて先の後端部の
外周面を押圧することによりこて先が柱状体の軸線方向
の所望の位置でこて装置に固定される。ねじ込みを利用
する場合、たとえば、こて先の後端部の外周部に雄ねじ
加工を施しておくとともに、こて装置に設けられた、こ
て先の後端部を収容するための凹部の内周部に雌ねじ加
工を施しておき、後端部をこの凹部にねじ込むことによ
りこて先が柱状体の軸線方向の所望の位置でこて装置に
固定される。こて先の外部への突出量を柱状体の軸線方
向に沿って変えるときには、こて先を手で引っ張り出し
たり押し込んだりすることができる。こて装置がこて先
をその先端方向へ押し出すためのねじをも備えていると
きには、このねじを使用することにより、こて先に触れ
ないでこて先の突出量を長くすることができる。
【0028】柱状体が熱伝導異方性を有していて、この
柱状体の高熱伝導方向が柱状体の軸線方向に沿うように
なっている場合には、柱状体の後端面から熱エネルギー
を注入するために、たとえば、こて装置に設けられた、
こて先の後端部を収容するための凹部にこて先を挿入し
て固定したときに、柱状体の後端面が、たとえば、加熱
手段または熱伝導性のホルダー部材などの部材面に接触
するか、あるいは、こて先の後端面に光ビームまたは熱
ビームを照射できるようにすることができる。こて先の
後端部を収容するための凹部は、たとえば、加熱手段、
熱伝導性部材、ホルダーなどに設けることができる。
【0029】こて先を構成する柱状体の形としては、特
に限定はなく、円柱状、角柱状、円筒状、角筒状などの
形状が挙げられる。この柱状体は、熱伝導性が良いとい
う点を考慮すると、たとえば、金属または炭素系材料で
形成されている。この金属としては、たとえば、銅、鉄
などが挙げられる。この炭素系材料としては、たとえ
ば、グラファイト、ダイヤモンド、不定形炭素、ガラス
状炭素、カルビン、フラーレンなどが挙げられ、安価で
熱伝導性が良いという点からはグラファイトが好まし
い。また、グラファイトは、たとえば空気中で600℃
の耐熱性を有しているため、熱伝導性低下の原因とな
る、酸化による表面層の劣化が起こりにくい。柱状体の
表面全体または表面の一部には従来のこて先と同様にメ
ッキ層またはコーティング膜が形成されていることがで
きる。炭素系材料で形成された柱状体では、表面全体ま
たは表面の一部において、炭素系材料が露出しているこ
とができる。表面の一部としては、たとえば、半田など
の溶融可能な材料の当て面となる面、あるいは、後端面
などが挙げられる。柱状体が炭素系材料からなりその先
端部で炭素系材料が露出しているこて先を修理する場
合、その修理作業は、先端部を所望の形に成形して炭素
系材料を露出させるだけで、先端部にメッキ層またはコ
ーティング膜を形成する必要がないので容易に行われ
る。
【0030】グラファイトとしては、熱伝導等方性を有
するものでも、熱伝導異方性を有するものでも使用する
ことができる。普通のグラファイトは、不規則に配列し
た多数のグラファイト結晶粒からなっているため熱伝導
等方性を有する。一方、熱伝導異方性を有するグラファ
イトは、c軸が一定の方向に配列している割合が高い多
数のグラファイト結晶粒からなっていて、c軸と直交す
る方向に高熱伝導であり、c軸と平行な方向に低熱伝導
である。熱伝導異方性を有するグラファイトは、銅に比
べて、特定方向の熱伝導率が極めて高いので、この高熱
伝導方向を柱状体の後端部から先端部への方向(柱状体
の軸線方向)に沿うように配することにより、後端部で
受容された熱が銅製こて先に比べて速やかに先端部に伝
わるようになるので好ましい。この高熱伝導方向の熱伝
導率は、たとえば、400W/(m・K)以上2000
W/(m・K)以下であり、低熱伝導方向の熱伝導率は
5W/(m・K)程度である。このように、熱伝導異方
性を有するグラファイトは、高熱伝導方向については、
銅の熱伝導率約400W/(m・K)の1〜5倍の熱伝
導率を有することができる。
【0031】熱伝導異方性を有するグラファイトとして
は、たとえば、熱分解グラファイト(「パイログラファ
イト」または「配向グラファイト」とも言う。)のうち
の配向性を有するものが挙げられ、高熱伝導方向の熱伝
導率がより高いという点を考慮すると、高配向性グラフ
ァイトが好ましい。ここで「配向」とは、多数のグラフ
ァイト結晶粒のc軸がある一定の方向に配列している割
合が高いことを言う。高配向性グラファイトは、多数の
グラファイト結晶のc軸がある一定の方向に配列してい
る割合が特に高く、好ましくはロッキング特性が20度
以下であり、高熱伝導方向の熱伝導率が特に高い。ここ
で測定したロッキング特性は、X線回折装置を用いて測
定した、グラファイト(0002)線のピーク位置にお
けるX線強度の分散角である。
【0032】高配向性グラファイトとしては、たとえ
ば、炭化水素系ガスを用いCVD法によって炭素原子を
基板上に積層させてからアニーリングして得られるも
の、高分子化合物のシート(フィルムと称されるものを
含む)をグラファイト化したものを挙げることができ
る。たとえば、芳香族ポリイミドのシートを焼成して得
られた高配向性グラファイトのシートは、グラファイト
結晶のAB面方向(c軸と直交する方向)の熱伝導率が
860kcal/(m・h・℃)であり、Cuの2.2
倍,Alの4.2倍の値の熱伝導率を持つことができ
る。
【0033】前記高分子化合物として、各種ポリオキサ
ジアゾール(POD)、ポリベンゾチアゾール(PB
T)、ポリベンゾビスチアゾール(PBBT)、ポリベ
ンゾオキサゾール(PBO)、ポリベンゾビスオキサゾ
ール(PBBO)、各種ポリイミド(PI)、各種ポリ
アミド(PA)、ポリフェニレンベンゾイミダゾール
(PBI)、ポリフェニレンベンゾビスイミダゾール
(PPBI)、ポリチアゾール(PT)、ポリパラフェ
ニレンビニレン(PPV)からなる群の中から選ばれる
少なくとも1つを使用することができる。
【0034】上記各種ポリオキサジアゾールとしては、
ポリパラフェニレン−1,3,4−オキサジアゾールお
よびそれらの異性体がある。上記各種ポリイミドには下
記の一般式(1)で表される芳香族ポリイミドがある。
【0035】
【化1】
【0036】
【化2】
【0037】
【化3】
【0038】上記各種ポリアミドには下記一般式(2)
で表される芳香族ポリアミドがある。
【0039】
【化4】
【0040】使用されるポリイミド、ポリアミドはこれ
らの構造を有するものに限定されない。前記高分子化合
物のシートの厚さは5〜400μmの範囲であるのが好
ましく、可撓性が良い点を考慮するとより好ましくは5
〜200μmである。原料シートの厚さが400μmを
超えると、炭素化またはグラファイト化するための熱処
理過程時にシート内部より発生するガスによって、シー
トがボロボロの崩壊状態になり、単独で良質の材料とし
て使用することは難しい。
【0041】前記高分子化合物のシートをグラファイト
化する焼成条件は、特に限定されないが、2000℃以
上、好ましくは3000℃近辺の温度域に達するように
焼成すると、より高配向性の優れたグラファイトができ
るため好ましい。焼成は、普通、不活性ガス中で行われ
る。最高温度が2000℃未満で焼成する場合は、得ら
れたグラファイトは硬くて脆くなる傾向がある。焼成
後、さらに必要に応じて圧延処理するようにしてもよ
い。前記高分子化合物のシートは適当な大きさに切断し
てからグラファイト化することができる。なお、高分子
化合物のシートからグラファイトシートを得る場合、た
とえば、高分子化合物のシートを400〜2000℃で
熱処理して炭素質シートを得、この炭素質シートを1枚
だけまたは2枚以上重ねて成形型に入れ、または、高分
子化合物のシートを1枚だけまたは2枚以上重ねて成形
型に入れ、そして、不活性雰囲気中で成形型内の炭素質
シートを2200℃以上の温度に維持しつつ0.98M
Pa以上、好ましくは1.96MPa以上の圧力で成形
する方法を採用することができる。炭素質シートまたは
高分子化合物のシートを2枚以上使う場合には、たとえ
ば、得ようとする高配向性グラファイトの厚みに応じて
適宜決めればよく、また、使用する炉に入れることがで
きる枚数だけ重ねることができる。この成形工程では、
グラファイト結晶はそのc軸がシートの厚み方向に沿う
ように配向させられ、炭素質シートを2枚以上重ねた場
合には圧着も行われる。炭素質シートの少なくとも一部
の加熱は、たとえば、このシート端面へレーザ光を照射
するかまたはガスバーナの炎をあてることにより、成形
型の型面に配したヒータにより、あるいは、炭素質シー
トに通電することにより、行われる。
【0042】このようにして得られる高配向性グラファ
イトは、たとえば、シート(プレートまたはフィルムと
称される形態を含む)状またはブロック状の形状を有す
る。このブロック状グラファイトでは、高配向性グラフ
ァイト層が多数重なった層構造を有する。このシート状
グラファイト(グラファイトシート)またはブロック状
グラファイトでは、元のシートの面に沿った方向(シー
ト状グラファイトの場合には、シート状グラファイトの
面に沿った方向と同じである。)がグラファイト結晶の
AB面方向と平行になるようにグラファイト結晶が配向
されていて、この方向が高熱伝導方向になっている。た
とえば、高熱伝導方向についての熱伝導率が、シート状
グラファイトでは400〜800W/(m・K)、ブロ
ック状グラファイトでは600〜2000W/(m・
K)であり、低熱伝導方向についての熱伝導率がいずれ
も5W/(m・K)程度であることができる。
【0043】高配向性グラファイトのシートは、可撓性
を有していても、可撓性のない硬いものでもいずれも製
造可能である。可撓性を有する高配向性グラファイトの
シートは、本発明において、巻き重ね合わせて、円柱
状、円筒状、角柱状または角筒状などの柱状体を形成す
るのに使用できるので好ましい。高配向性グラファイト
シートで普通のグラファイトシート(またはカーボンシ
ート)を挟み込んだサンドイッチシート(高配向性グラ
ファイトシート/一般シート/高配向性グラファイトシ
ート)を使って柱状体を作ることができる。
【0044】ブロック状グラファイトからなる柱状体
は、また、高配向性グラファイトのシートを用いて作る
ことができる。このブロック状グラファイトは、たとえ
ば、高配向性グラファイトシートを、ブロック状グラフ
ァイトの厚みに応じて適宜設定した枚数重ねて成形型に
入れ、このシートを2200℃以上の温度に維持しつつ
0.98MPa以上の圧力で成形する方法により作るこ
とができる。このようにして得られるブロック状グラフ
ァイトは、元のシートの面に沿った方向がグラファイト
結晶のAB面方向と平行になるようにグラファイト結晶
が配向されていて、この方向が高熱伝導方向になってい
る。このブロック状グラファイトでも、たとえば、高熱
伝導方向についての熱伝導率が600W/(m・K)〜
2000W/(m・K)であり、低熱伝導方向について
の熱伝導率が5W/(m・K)程度である。
【0045】高配向性グラファイトの繊維を用いる場
合、この繊維は、たとえば、紡糸した上記高分子化合物
またはピッチを張力をかけて延伸しながら上記シートの
ごとくグラファイト化のための熱処理を行うことにより
作られる。こうして得られた高配向性グラファイトの繊
維は、グラファイト結晶のc軸に直交する方向が繊維軸
方向に配向しているので、繊維軸方向が高熱伝導方向と
なっている。
【0046】高配向性グラファイトの粉末を用いる場
合、この粉末は、たとえば、高配向性グラファイトのシ
ート、炭素化またはグラファイト化の際にボロボロの崩
壊状態になった高配向性グラファイトを粉砕することに
より作られる。この粉末は、通常、リン片状粒子からな
っている。この粉末を成形して柱状体を作るときには、
この粉末のリン片状粒子のc軸に直交する方向が柱状体
の後端部から先端部への方向に沿うように、押出成形な
どにより粒子を配向させるのが好ましい。
【0047】こて先の先端部は、炭素系材料または金属
などが露出していて当て面となっていて、この当て面が
熱を放出することにより、半田やプラスチックなどの溶
融可能な材料、接合対象物などを加熱するようになって
いる。先端部は、柱状体の軸線方向と直交する先端面を
有することができ、この先端面が当て面となることがで
きる。
【0048】こて先の先端部は、半田付け間隔の微細化
に対応するように、尖端部とされていることができる。
たとえば、先端部は、柱状体の軸線方向と斜めに交差す
るテーパ面を有することができる。この場合、このテー
パ面では、たとえば炭素系材料または金属が露出してい
るので、テーパ面が当て面となることができる。このテ
ーパ面が、先端部を先細りにするとともに半田やプラス
チックの溶融物の流れの方向をある程度制御することが
できる。このため、接合対象物が、電子回路板のランド
とこのランドから直角にまたは鋭角に立ち上がった電子
部品のピンとの間の角部のごとき角部を有する場合に
は、テーパ面を設けることにより先細りとなった先端部
がその角部の隅まで達しやすくなり、半田やプラスチッ
クの溶融物を角部の隅まで十分供給できるようになる。
このテーパ面は、たとえば、柱状体の先端部を研磨加工
することにより形成されうる。また、テーパ面では、炭
素系材料が露出しているので、熱伝導性が良く、溶融半
田やプラスチックが付着しにくく、溶食されにくい。こ
て先が破損したときには研磨加工などによりテーパ面を
新たに作りだすことができる。テーパ面としては、柱状
体を、平面で斜めに切った切断面、円錐面、円錐台面な
どが挙げられる。なお、先端部は、テーパ面と柱状体の
軸線方向と直交する先端面とを有することができ、この
テーパ面と先端面とを当て面とすることができる。炭素
系材料のシートを多数枚重ね合わせた積層体、または、
炭素系材料の可撓性シートを巻き重ね合わせた積層体か
らなる柱状体の先端部に上記テーパ面を形成した場合に
は、シートの断面がテーパ面に露出していて、重なり合
ったシートの断面間にフラックスだまりが生じ、半田の
溶け込み性が良くなり、良好な半田付けを行うことがで
きる。
【0049】こて先の先端部は、その外周部に溝を有す
ることができる。この場合、この溝の内面では、炭素系
材料または金属などが露出していて、溝の内面が当て面
となることができる。この溝は、たとえば、柱状体の軸
線方向に沿って柱状体の先端面に向かって徐々に深くな
りながら延びている。この溝は、半田やプラスチックの
溶融物が流れるガイドとなり、これらの溶融物を狙った
箇所に正確に流すのに有用である。溝の中を流れた溶融
物は柱状体の先端面から流出するので、この先端面を狙
った箇所に向けるようにしてこて先を使用するのであ
る。溝は、切削加工などにより形成される。溝の形状と
しては、たとえば、断面V字形またはU字形が挙げられ
る。
【0050】こて先の後端部は、たとえば、先端部を加
熱する熱を受容するのに使用され、また、こて先を保持
するこて装置に取り付けるのに使用される。後端部が熱
を受容するのに使用される場合には、後端面および/ま
たは外周面で熱を受容することができる。この場合、メ
ッキ層やコーティング膜によって熱伝導が妨げられない
ように後端部でも、たとえば炭素系材料または金属が露
出していることが好ましい。後端面は、柱状体の軸線方
向と直交したり斜めに交差したりすることができる。
【0051】こて先を構成する柱状体が円筒状、角筒状
などの筒状である場合、中心部が中空部になっている。
この中空部は、溶融した半田やプラスチックを後端部か
ら先端部へ流す流路となることができる。中空部内を流
れてきた溶融物は先端面の開口部から外部に流出する。
また、こて先を半田付けまたはプラスチックの熱かしめ
や熱溶接ではなく半田やプラスチック除去に用いる場合
には、この中空部は、先端部の開口部から吸い取った溶
融半田やプラスチックを後端部へ流す流路となることが
できる。溶融半田やプラスチックが中空部の途中で詰ま
らずに流れるようにするためには、この中空部の内周面
には炭素系材料が露出していることが好ましい。炭素系
材料は、半田やプラスチックに対する濡れ性が低いた
め、半田やプラスチックの溶融物が炭素系材料表面では
じかれて付着せずに流れるからである。
【0052】こて先の中心部には、芯材が配され得る。
この場合、柱状体は、円筒状または角筒状などの筒状と
されていて、この芯材を中心としてその外周面に重ね合
わされている。芯材は、たとえば、こて先の機械的強度
を確保するための強度保持材として用いられ、あるい
は、上述のごとき炭素系材料の可撓性シートを巻き重ね
合わせるための巻心として用いられる。芯材としては、
たとえば金属、セラミックス、炭素系材料などの棒やパ
イプが使用される。芯材の端面が柱状体の先端部におい
て露出していることがあり、この場合には、芯材に用い
る金属、セラミックスとしては、半田濡れ性の低いも
の、たとえば、クロム、窒化アルミニウム等が挙げられ
る。
【0053】柱状体の外周面に、炭素系材料が少なくと
も先端部でだけ、好ましくは先端部と後端部で露出する
ように被覆層を形成することができる。この被覆層は、
柱状体の補強、炭素系材料の剥離防止、輻射熱の低減な
どの働きをする。被覆層の材料としては、たとえば、金
属、ガラスおよびセラミックスからなる群から選ばれる
少なくとも1つから選ばれる。たとえば、柱状体の外周
面に、鉄板などの金属板を張ったり、ガラス状カーボン
等の耐熱性接着剤やコーティング剤をコーティングした
り、焼成によりなどの樹脂をコーティングしたり、ガラ
スまたはセラミックスをコーティングしたり、メッキ層
を形成したり、金属チューブを被せたりすることにより
被覆層が設けられる。ブロック状グラファイトでは層構
造の側面を覆うように、また、炭素系材料のシートを多
数枚重ね合わせた積層体ではこの積層方向の側面を覆う
ように被覆層を設けることにより、層の剥離または炭素
系材料のシートの剥離を防止することができる。被覆層
が、金属板、メッキ層、金属チューブなどの金属層であ
る場合には、その表面が金属光沢を持っているため、輻
射熱を低減する効果がある。この効果は、金属層表面が
鏡面であることにより一層著しくなる。輻射熱を低減す
ることは、柱状体の後端部と先端部との間で柱状体外周
面からの放熱がなくなって伝熱効率が上がるとともに、
被半田付け部の周囲に熱影響が小さくなり、熱に弱い電
子部品の近くでも半田付け作業ができることになり便利
である。金属板は、耐熱性接着剤で貼ることができる。
メッキ層は、炭素系材料の柱状体の先端部のみをあるい
は後端部と先端部とをメッキレジストで覆い、この柱状
体を電極に用いて電気メッキすることにより形成され
る。メッキ層の種類としては、金、銀、アルミニウム等
が挙げられる。金属チューブとしては、アルミニウム筒
等が使用され、この筒に柱状体を圧入する方法等により
金属チューブが柱状体の外周面に被せられる。金属表面
を鏡面にする方法としては、金属表面を研磨加工する方
法、メッキ層の場合には鏡面メッキ層を形成するように
メッキする方法などが挙げられる。柱状体の外周面に被
覆層が形成されているこて先を修理するときには、必要
に応じて、その被覆層の先端部寄りの部分を除去して素
地を露出させることができる。
【0054】炭素系材料からなる柱状体は、たとえば、
炭素系材料のシート(可撓性の有無に係わらない)を多
数重ね合わせて成形する方法、炭素系材料の可撓性シー
トを巻き重ね合わせて円柱状または角柱状の積層体を得
る方法、芯材の周りに可撓性シートを巻き重ね合わせて
円筒状または角筒状の積層体を得る方法、この芯材を用
いた円筒状または角筒状の積層体から芯材を抜き去って
筒状体を得る方法、上記高分子化合物シートを多数重ね
合わせて上記のごとく成形し焼成してブロック状グラフ
ァイトを得る方法、炭素系材料の繊維を多数本束ねて結
合材で固める方法、炭素系材料の粉末を成形して結合材
で固める方法などにより作られる。シート同士は、たと
えば接着剤で結合される。また、繊維または粉末は、た
とえば、結合材で結合される。必要に応じて、接着剤ま
たは結合材を炭化させるための焼成を行うことができ
る。炭素系材料の繊維または粉末と結合材の割合(重量
比率)は、たとえば、炭素系材料:結合材=50:1〜
2:1の範囲である。炭素系材料の粉末を用いる場合に
は、この粉末と結合材とを混合したコンポジット体を押
し出し成形などにより柱状のブロックに成形することが
できる。また、押し出し成形では押し出し方向に直交す
る方向にグラファイトのリン片状結晶などの炭素系材料
の結晶が配向するので、その方向の熱伝導性が高くな
る。成形後に必要に応じて焼成を行って結合剤を炭化さ
せることができる。接着剤または結合材としては、たと
えば、ピッチ、タール、高分子化合物などが使用され、
これらの接着剤または結合材としては焼成により炭化し
て、グラファイト、不定形炭素またはガラス状炭素など
の炭素系材料に変わるものが挙げられる。
【0055】本発明のこて装置は、たとえば、溶融可能
な材料による接合に使用される。このこて装置で接合を
行うときには、こて先の先端部を加熱する。こて先の先
端部の加熱は、こて先の後端部および/または外周部で
外部から熱を受容させ、こて先中を先端部へ伝熱させる
ことにより行われる。加熱されたこて先の先端部を溶融
可能な材料に接触させることによりこの溶融可能な材料
を溶融させる。溶融可能な材料としては、たとえば、半
田、プラスチック(熱可塑性樹脂)などが挙げられる。
接合の種類としては、たとえば、半田付け、プラスチッ
ク成形品の熱かしめまたは封止などが挙げられる。半田
付けを行う場合、たとえば、溶融可能な材料として半田
を使用し、この半田は、糸半田のごとき線状体または棒
状体の形で供給され、加熱された先端部の当て面に接触
することにより熱を受容して昇温し、溶融し、溶融物が
当て面上を流れて接合部へ送られる。プラスチック成形
品の熱かしめを行う場合、たとえば、溶融可能な材料と
してプラスチック成形品の一方の一部を使用する。この
プラスチック成形品の一方の一部としては、たとえば、
成形時にこの成形品表面から突出するように設けた柱体
部が挙げられる。プラスチック成形品の他方に設けた貫
通孔にこの柱体部を通してその先端部を突出させ、この
突出した先端部は、加熱された先端部の当て面に接触す
ることにより熱を受容して昇温し、溶融し、溶融物が当
て面による押圧を受けて変形し、貫通孔の径よりも大き
くなってかしめられる。プラスチックの封止を行う場
合、たとえば、溶融可能な材料としてプラスチック製容
器の一部を用いる。このプラスチック製容器の一部とし
ては、たとえば、成形時にこの容器表面から突出するよ
うに設けた管状体が挙げられる。この管状体は、容器内
に封入する物品の封入口となり、物品を封入した後に、
加熱された先端部の当て面に接触することにより熱を受
容して昇温し、溶融し、溶融物が当て面による押圧を受
けて変形し、管状体の中心部の孔を埋めて封止する。ま
た、こて先が中空部を有する場合には、溶融可能な材料
を溶融させて溶融物とし、この溶融物を中空部に流すこ
とによりこて先の先端部に供給することができる。
【0056】
【実施例】以下、本発明の好ましい実施例について図を
用いて説明するが、本発明の実施形態は下記のものに限
定されるものではない。 (実施例1)図1は、本発明のこて装置がこて先を着脱
可能に保持するホルダーを備え、こて先の外部への突出
量が可変とされている場合の1実施例を示す。図1の
(a)は、このこて装置の正面図、(b)はその側面一
部断面(I−I断面)図である。図1に示すように、こ
のこて装置は、こてユニット5を有する。こてユニット
5は、一端開口の有底円筒状ケース51を備えており、
この開口部が先端向きになるようにして、ロボット装置
のアームの先端部9に着脱可能に取り付けられるように
なっている。この取り付けは、アームの先端部9の外側
面に設けられた保持部材82の四角いリング80を、有
底円筒状ケース51の一端部外周面に設けた止め具81
に引っかけることにより行われる。リング80を止め具
81への引っかけたりまたは止め具81から取り外した
りするのは、止め具81の先端部81aを持ち上げてケ
ース51の外周面から離した状態で行うことができる。
【0057】こてユニット5は、こて先1と、こて先1
を着脱可能に保持するホルダー3と、こて先1を固定す
るためのナット2と、ホルダー3を介してこて先1を加
熱する電気ヒータ4とを備えていて、ロボット装置のア
ームの先端部9を作動させることにより、電気ヒータ4
で加熱されたこて先1によって半田付け部、プラスチッ
クの熱溶接部または熱かしめ部などの接合対象部を接触
加熱して半田付けしたり熱溶接したり熱かしめしたりす
るようになっている。
【0058】電気ヒータ4は一端開口の有底円筒状に形
成されていて、この開口部がケース51の開口部に向く
ようにしてケース51内に収容されている。ホルダー3
は、その先端側がケース51の開口部から突出するよう
にして電気ヒータ4に差し込まれている。ホルダー3
は、くびれ部31よりも他端寄りの部分でケース51内
に収容され、ケース51の開口縁部51aで係止されて
ケース51からの抜け出しが防止されている。ケース5
1内では、ホルダー3の外周面が、円筒状の電気ヒータ
4の内周面に密着していて、電気ヒータ4からの熱を受
容するようになっている。
【0059】ホルダー3は、こて先1を収容する円柱状
中空部を有する筒状体であり、ケース51の開口縁部5
1aで係止された部分よりも先端側に位置するくびれ部
31と、くびれ部31よりも先端寄りに位置する円筒状
外ねじ部32と、この外ねじ部32よりも先端寄りに位
置する外円錐部7とを有する。外ねじ部32の外周面に
はねじが切られている。外ねじ部32と外円錐部7と
は、こて先1を差し込んだり取り外したりし易いよう、
先端からホルダーの長さ方向に設けられた抜き穴33に
より、3つ割りに形成されている。抜き穴33は1、2
個または4個以上であってもよい。ホルダー3は、内部
に、こて先1の差し込み量を制限するための段差を有し
ていて、こて先1がこの段差よりも奥には入り込まない
ようにしている。ホルダー3を形成する材料としては、
こて先1に電気ヒータ4による熱を効率良く供給するこ
とを考慮すると、熱伝導率の大きい銅系の材料が良い。
【0060】こて先1は、図2に示すように、柱状体2
0と芯材23とを備えていて、円柱状に形成されてい
る。柱状体20は、芯材23を中心としてこの芯材23
の外周面に重ね合わされるように筒状に形成されてい
る。この筒状の柱状体20は、可撓性を有する高配向性
グラファイトシート(高品質炭素状シート)22を巻き
重ね合わせた積層体からなっている。高配向性グラファ
イトシート22は、高結晶グラファイトで形成されてい
て熱伝導異方性を有しており、グラファイト結晶の配向
方向がシート22の面に沿う方向に揃っている。このた
め、柱状体20では、グラファイト結晶の配向方向が、
巻き重ね合わせの周方向にそろっているとともに、柱状
体20の軸線方向に平行になっている。このシート22
の面に沿った方向の熱伝導率は、銅の熱伝導率約400
kcal/(m・h・℃)に対して約2.2倍の860
kcal/(m・h・℃)である。高配向性グラファイ
トシート22の代表的なものとしては、たとえば、特開
平8−23183号公報に開示されたもの、商品名とし
てはパナソニックスーパーグラファイト(松下電器産業
株式会社製)と呼ばれるものが挙げられる。高配向性グ
ラファイトシート22同士は、また、高配向性グラファ
イトシート22と芯材23とは、たとえば、耐熱性接着
剤で接着されている。耐熱性接着剤としては、400℃
以上の耐熱性をもち、グラファイトの接着強度が強いも
のを用いることができ、例えば、ガラス状カーボン、あ
るいはセラミックス等が使用できる。
【0061】芯材23は、柱状体20の軸線方向の中心
部に配されていて、強度保持材として、または、シート
22を巻き付ける巻芯として使用されている。芯材23
としては、たとえば、半田濡れ性の低い金属、セラミッ
クス、炭素系材料(カーボン)等が使用される。芯材2
3としては高配向性グラファイトシート22と同じ化学
的性質を持ち、引っ張り強度が大きい炭素系材料が良
い。
【0062】柱状体20の先端部には軸線方向に対する
直交面25が形成され、後端部には軸線方向に対する直
交面1aが形成されている。直交面25、1aは、たと
えば、研磨加工によって形成される。被半田付け面の大
きさの微細化に対応させるために、円柱状のこて先の先
端部(円柱状積層体の一方の端部)を尖端加工してテー
パ面24からなる半田当て面が形成されている。この尖
端加工は、たとえば、研磨加工によって行われる。
【0063】図1にみるように、こて先1は、ホルダー
3内の段差まで差し込んだ状態で装着される。こて先1
の装着は、ナット2の内円錐部6とホルダー3の外円錐
部7のテーパ締め付けによる固定方式を用いている。ナ
ット2は、一端に円筒状内ねじ部21を他端に内円錐部
6をそれぞれ有する。内ねじ部21の内周面にはねじが
切られている。ナット2の内ねじ部21をホルダー3の
外ねじ部32にねじ込むことにより、ナット2の内円錐
部6がホルダー3の外円錐部7に接して押圧していき、
外ねじ部32と外円錐部7が内周面でこて先1の外周面
を強く押圧して締め付け固定する。この固定は、こて先
1をその軸線方向に沿って所望の長さだけホルダー3か
ら突出させた状態で行うことができるので、こて先1の
突出量は可変とすることができる。
【0064】電気ヒータ4で発生した熱は、ホルダー3
の外周面で受容され、ホルダー3中を伝わって、こて先
1の外周面や後端面1a(後端面1aがホルダー3の内
底面に密着している場合)で受容され、こて先1中を伝
わってこて先1の先端のテーパ面24や先端面25から
放出される。電気ヒータ4の外周面を断熱材で覆ってお
くことができ、電気ヒータ4の外周面を断熱材で覆った
場合には、電気ヒータ4の外周面からの放熱が防がれる
ので、熱効率が高くなり、また、ケース51の温度上昇
を抑えることができる。この断熱材としては、たとえ
ば、500〜800℃での耐熱性を有するセラミックス
などが使用される。
【0065】こて装置を使用するうちに破損または摩耗
したこて先1を新品に交換したりあるいは修理したりす
るときには、ナット2を緩ますことにより、外ねじ部3
2と外円錐部7による締め付けが解除され、容易にこて
先1の取り外し、あるいは、こて先1の軸線方向への移
動ができるようになる。こて先1のテーパ面24や先端
面25が変形したときには、ナット2を緩めた状態で、
こて先1の突出している部分を手で引っ張ることにより
こて先1の突出量を変えるか、あるいは、こて先1をホ
ルダー3から取り外すかして、こて先1の尖端加工を行
い、元の形状を再現することができる。その後、こて先
1を所望の突出量となるようにホルダー3内においてこ
て先1の軸線方向に移動させてナット2を締め付けてこ
て先1を固定する。このときには、こて先1の後端面1
aは、ホルダー3の底内面には接しないでこの底内面よ
りも手前に位置する。このように、こて先1の装着がテ
ーパ締め付けによる固定方式を用いることにより、こて
先1の再使用の際にこて先1の突出量の調整が可能であ
り、こて先1の再使用によりランニングコストを低くで
きる。
【0066】なお、以上の説明では、こて先を高配向性
グラファイトシートからなる積層構造とした例で説明し
たが、こて先にその他の材質、たとえば、高配向性グラ
ファイト以外の炭素系材料(炭素系材料シートからなる
積層体を用いることができる。)、または、銅、鉄など
の金属を用いても同様に実施可能である。以上のように
本実施例において、こて先1に用いる高配向性グラファ
イトシート22は熱伝導性に優れ、こて先1を銅製こて
先に比較して2.2倍の高熱伝導性を有する高配向性グ
ラファイトシートで形成することにより、こて先尖端が
細寸化しても高熱伝導性により接合対象物を半田付けや
熱溶接や熱かしめなどに必要な温度に加熱するために必
要な熱量を供給することができ、対象物の加熱不足によ
り半田やプラスチックが載らないいわゆる半田不足やプ
ラスチック不足が発生することもなく、安定した半田付
けや熱溶接や熱かしめなどの接合を行うことが可能であ
る。
【0067】高配向性グラファイトシートなどの炭素系
材料は、半田やプラスチックの溶融物に対する濡れ性が
低いので、その溶融物は、先端部の当て面に流れ込みに
くく当て面に残って付着しない。このため、炭素系材料
からなるこて先によれば、供給した量の半田やプラスチ
ックをすべて溶融物にして対象物の方へ流すことができ
るので、半田付け量やプラスチック量の一定化が図れる
ばかりでなく、当て面が溶融半田に溶喰され当て面形状
が変化することもないため、対象物間で半田部が連なる
いわゆるブリッジ不良が発生することもない。特に、半
田付けでは、炭素系材料の成分が半田付けの活性材とし
て使用するフラックスの成分と近いためフラックスとの
なじみもよく安定した半田付けが可能である。
【0068】(実施例2)図3は、加熱手段がこて先の
後端面から熱エネルギーを注入するようになっている場
合の本発明のこて装置の1実施形態を示す。このこて装
置は、こてユニット50を有する。こてユニット50
は、一端開口の有底円筒状ケース17を備えており、こ
の開口部が先端向きになるようにして、ロボット装置の
アームの先端部に着脱可能に取り付けられるようになっ
ている。この取り付けは、たとえば、ケース17の外周
面を抱きしめる保持具を用いたり、あるいは、実施例1
のこて装置のこてユニット5と同様の取り付け手段を用
いたりすることにより行われる。
【0069】こてユニット50は、こて先1と、セラミ
ックヒータ11と、熱伝導性部材12と、セラミック断
熱材13と、ナット14と、円錐部材15とを備えてい
る。こて先1は実施例1で説明したものと同じである。
熱伝導性部材12は、銅などの高熱伝導性材料からなる
円柱体であり、その先端面がこて先1の後端面1aに重
ね合わせられるようにして配されている。セラミック断
熱材13も、円柱体であり、その先端面が熱伝導性部材
12の後端面に重ね合わせられるようにして配されてい
る。こて先1と熱伝導性部材12とセラミック断熱材1
3とをひと続きに並べたものをセラミックヒータ11が
覆っている。セラミックヒータ11は円筒体であり、そ
の中央の中空部にこて先1と熱伝導性部材12とセラミ
ック断熱材13とを収容している。セラミックヒータ1
1で発生した熱は、熱伝導性部材12中を速やかに伝わ
ってこて先1の後端面1aで受容され、こて先1中を速
やかに伝わってこて先1の先端面25とテーパ面24か
ら放出される。なお、こて先1の後端部の外周面がセラ
ミックヒータ11の内周面に接しているので、こて先1
外周面からの放熱が抑えられている。熱伝導性部材12
の後端面は、セラミック断熱材13で覆われているた
め、熱を放出しにくくなっている。セラミックヒータ1
1は、ケース17に収容されている。ケース17は、先
端筒部17aと後端筒部17bとに2分割されるように
なっている。ケース先端筒部17aは、金属製の円筒体
である。ケース先端筒部17aの両端部の外周面にはね
じが切られている。ケース後端筒部17bは一端開口の
有底円筒状体であり、その開口側の端部の内周面にねじ
が切られていて、後端部にはねじ孔171が形成されて
いる。
【0070】ケース先端筒部17aの一端部の外周面の
ねじにケース後端筒部17bの内周面に切られたねじが
合わさって固定されることにより、ケース先端筒部17
aと後端筒部17bとが一体化されてケース17を形成
する。ケース先端筒部17aの他端部の外周面のねじに
ナット14の内周面に切られたねじが合わさって固定さ
れることにより、円錐部材15の底外面がケース17と
セラミックヒータ13の先端面に当たるとともに、ナッ
ト14の一端側の円錐部14aが円錐部材15の円錐部
15aを押圧し、円錐部15aがこて先1外周面を締め
付けて保持する。ケース先端筒部17aの内周面全体に
はセラミック断熱層18が設けられており、セラミック
ヒータ11で発生した熱がその外周面から放出されても
この断熱層18によりケース先端筒部17aに伝わりに
くくする。
【0071】セラミックヒータ11の後端部は、ヒータ
保持部材131に設けられた凹部に差し込まれて保持さ
れている。このヒータ保持部材131は、たとえば断熱
材からなり、一端部が円筒状に形成されていて、その側
壁131a内にヒータ11の後端部を挿入して保持する
ようになっている。こて先突出量調整用ねじ120がケ
ース後端筒部17bのねじ孔171にねじこまれてこれ
を貫通してヒータ保持部材131に差し込まれている。
このねじ120の先端は、ヒータ保持部材131内でセ
ラミック断熱材13の後端面に当接している。ナット1
4を緩めた状態で、ねじ120をねじ込むことにより、
セラミック断熱材13の後端面を押圧し、この押圧によ
り、セラミック断熱材13と熱伝導性部材12とこて先
1とをその軸線方向(図3では下向き)に移動させるこ
とができ、こて先1の突出量を増大させる。突出量を所
望の量だけこて先1の先端を円錐部材15から突出させ
てからナット14を締め付けることにより、こて先1が
この突出状態で保持される。
【0072】セラミックヒータ11を発熱させるための
電流を供給するための電線29がヒータ保持部材131
内を通ってケース後端筒部17bの後端肩部に取り付け
たコネクター28に電気的に接続されている。コネクタ
ー28の外側部分を覆いかくしたり、コネクター28の
ケース後端筒部17bへの取付をより安定にしたりする
ためにケース後端筒部17bが壁27を有することがで
きる。こてユニット50をロボット装置のアーム先端部
に取り付ける際にコネクター28には外部電源(図示省
略)から電流を供給するためのコネクターが電気的に接
続されるようになっている。
【0073】(実施例3)図4は、本発明のこて装置
が、熱エネルギー注入手段として光源装置44を備えて
いる場合の1実施例を示す。このこて装置は、実施例1
のこて装置において、電気ヒータの代わりに光源装置4
4を備えていることとホルダー3が熱伝導性材料ではな
く断熱材からなっていること以外は同じである。光源装
置44は、ケース51の外部に設置されていて、この光
源装置44から光を導く光ファイバー40がこのケース
51の底面を貫通してホルダー3内に取り付けられてい
て、こて先1の後端面1aにレーザビーム41を照射す
るようになっている。この光源装置44としては、たと
えば、半導体レーザーを用いたグラスファイバー光源が
使用され、また、レーザビームの代わりに熱ビームを照
射する、放電管やフィラメント電球を用いたファイバー
光源なども使用可能である。ホルダー3を構成する断熱
材としては、たとえば、500〜800℃での耐熱性を
有する断熱材が使用される。
【0074】光源装置44は、こて先1の繰り出しによ
りこて先1の後端面1aが遠ざかるのに応じてレーザビ
ーム41の照射範囲の大きさを調節する手段(たとえば
レンズなど。図示省略)を備えている。なお、こて先1
の後端部には、熱センサ42が埋め込まれていることが
できる。この熱センサ42からの信号が制御装置43に
入力されて処理されることにより、光源装置44から照
射されるレーザビーム41の強さが調節され、こて先1
に供給する熱量が調整されるのである。光源装置44か
ら照射されたレーザビーム41がこて先1の後端面1a
で受容され、このレーザビーム41の熱がこて先1中を
その軸線方向に速やかに伝わってこて先1のテーパ面2
4と先端面25から放出される。
【0075】この実施例のこて装置のごとく、こて先と
して熱伝導異方性を有するグラファイトからなる柱状体
であってこのグラファイトの高熱伝導方向が柱状体の軸
線方向に沿っており、光ビームまたは熱ビームをこて先
の後端面に照射することによりこて先に熱エネルギーを
注入し、この熱をこて先の先端部から外部に放出するよ
うにすると、こて先の先端部が極めて短い時間で所望の
温度に加熱されるので、必要なときに光ビームまたは熱
ビームを照射して接合を行い、接合を完了した後は直ち
にその照射を止めるようにすることができる。
【0076】(実施例4)図5は、加熱手段がこて先1
の後端部の外周面と後端面1aとを覆うようになってい
る場合の本発明のこて装置の1実施例を示す。このこて
装置は、実施例2のこて装置において、セラミックヒー
タ11が円筒部11aと円柱部11bとを備えていてこ
の円筒部11aがこて先1の後端部の外周面に被さって
いるともに円筒部11aの底内面がこて先1の後端面1
aに接していることと、セラミック断熱材13の長さが
短くされていることと、こて先1の長さが長くされてい
ることと、ケース先端筒部17aの長さが長くされてい
てケース後端筒部17bの長さが短くされていること
と、ヒータ保持部材131がないこと以外は同じであ
る。なお、セラミックヒータ11は、円筒部11aを持
っていない場合もありうるが、円筒部11aを持ってい
ることにより、この円筒部11aがこて先1の外周面を
保温してこの外周面からの放熱を抑え、熱効率を高める
ことができる。セラミックヒータ11の代わりに、同じ
形の電気ヒータを用いることができる。
【0077】(実施例5)図6は、本発明のこて装置
が、ホルダーとしてコレットを用いる場合の1実施例を
示す。実施例2のこて装置において、ケース先端筒部1
7aの長さが長くされていてケース後端筒部17bの長
さが短くされていることと、ケース先端筒部17aがケ
ース後端筒部17bにねじ172により固定されてケー
ス17が形成されていることと、ケース先端筒部17a
の内周面にセラミック断熱層18が設けられていないこ
とと、セラミックヒータ11とケース先端筒部17bと
の間の空間にこて先1の先端部に熱風を供給するための
管59が配されていてこの管59がヒータ11にコイル
状に巻かれていることと、こて先1をコレット151で
固定すること以外は同じである。管59の先端開口はこ
て先1の先端部に向けられている。なお、ケース先端筒
部17aの先端部内面には、コレット151を受け入れ
るためのテーパ面を有するコレット受け部材52が取り
付けられている。この取付は、たとえば、ケース先端筒
部17aの先端部内面に切られためねじにコレット受け
部材52の外周面に切られたおねじが嵌合するようねじ
こみにより行われる。
【0078】コレット151は、コレット受け部材52
との間の隙間53に先端の平たい器具(たとえばマイナ
スドライバー)などを差し込むことにより、こて先1の
先端向きに移動して緩む。コレット151を緩めた状態
で、ねじ120をねじ込むことにより、セラミック断熱
材13の後端面を押圧し、この押圧により、セラミック
断熱材13と熱伝導性部材12とこて先1とをその軸線
方向(図6では下向き)に移動させることができ、こて
先1の突出量を増大させる。所望の量だけこて先1の先
端をコレット受け部材52から突出させてからコレット
151を押し込むことにより、こて先1がコレット15
1から突出した状態で保持される。
【0079】セラミックヒータ11を発熱させるための
電流を供給するための電線29は、ケース後端筒部17
bに設けた貫通穴を通ってケース後端筒部17bの後端
肩部に溶接などにより取り付けたステー127に取り付
けたコネクター28に電気的に接続されている。こてユ
ニット50をロボット装置のアーム先端部に取り付ける
際にコネクター28には外部電源(図示省略)から電流
を供給するためのコネクターが電気的に接続されるとと
もに、管59に空気などの気体を供給するための配管が
接続されるようになっている。管59に供給された気体
は、ケース17内を通っている間にセラミックヒータ1
1からの熱で昇温して熱風となってこて先1の先端部に
向かって流れだすようになっている。
【0080】(実施例6)図7は、実施例1から5まで
のいずれかのこて装置101で電子回路板110のラン
ド111に電子部品のピン121を半田付けする(ピン
半田を行う)場合の1実施例を示す概略断面図である。
図7にみるように、電子回路板110のランド111の
孔112に電子部品のピン121を貫通させた状態で、
こて装置101に取り付けられたこて先100の先端部
1aを加熱しながらランド111とピン121との間の
角部に接触するように移動させてランド111とピン1
21を加熱するとともに、こて先100の先端部1a表
面に糸半田130を供給してこの表面から放出された熱
により糸半田130を溶融させ、この溶融物131を先
端部1a表面上で流してランド111とピン121との
間の角部に送り、ランド111とピン121を半田付け
する。こて先100の先端部1aに実施例1、2、3、
4、5のごときテーパ面が形成されている場合にはこの
テーパ面に糸半田130を供給して溶融させ、溶融物1
31をテーパ面上で流すようにする。実施例5のこて装
置のごとく熱風をこて先の先端部1aに供給する管59
を有する場合には、半田付け時に管59からこて先の先
端部1aに対して熱風を吹きつけることができる。こて
先100の先端部1aの外周部に溝が形成されている場
合にはこの溝に糸半田130を供給して溶融させ、溶融
物131を溝中を流すようにする。
【0081】(実施例7)図8は、実施例1から5まで
のいずれかのこて装置101で電子回路板110のラン
ド111に電子部品のピン121を半田付けする(落と
し込み半田を行う)場合の1実施例を示す概略断面図で
ある。図8にみるように、電子回路板110の電極部1
51の表面に電子部品のピン121を横向きに載せた状
態で、こて装置101に取り付けられたこて先100の
先端部1aを加熱しながら、こて先100の先端部1a
表面に糸半田130を供給してこの表面から放出された
熱により糸半田130を溶融させ、この溶融物131を
先端部1a表面上で流して電極部151とピン121と
を覆うように落下させて電極部151とピン121を半
田付けする。こて先100の先端部1aに実施例1、
2、3、4、5のごときテーパ面が形成されている場合
にはこのテーパ面に糸半田130を供給して溶融させ、
溶融物131をテーパ面上で流すようにする。実施例5
のこて装置のごとく熱風をこて先の先端部1aに供給す
る管59を有する場合には、半田付け時に管59からこ
て先の先端部1aに対して熱風を吹きつけることができ
る。こて先100の先端部1aの外周部に溝が形成され
ている場合にはこの溝に糸半田130を供給して溶融さ
せ、溶融物131を溝中を流すようにする。
【0082】(実施例8)図9は、実施例1から5まで
のいずれかのこて装置101でプラスチック成形品14
0、141の熱かしめを行う場合の1実施例を示す概略
断面図である。図9にみるように、2つのプラスチック
成形品140、141を部分的に重ね合わせ、成形品1
40に設けた柱状部143aを、成形品141に設けた
貫通孔142に通し、その先端部を突出させた状態で、
こて装置101に取り付けられたこて先100の先端部
1aを加熱しながら、この先端部1a表面を、貫通孔1
42から突出した柱状部143aの先端部に押し当てて
加熱して溶融させ、貫通孔142の径よりも大きくなる
とともにプラスチック成形品141に密着するように変
形させてかしめ(変形させた後の形状を図9中に一点鎖
線で示す。)、プラスチック成形品140、141を固
定する。こて先100の先端部1aに実施例1、2、
3、4、5のごときテーパ面が形成されている場合には
このテーパ面で押し当てることができる。実施例5のこ
て装置のごとく熱風をこて先の先端部1aに供給する管
59を有する場合には、熱かしめ時に管59からこて先
の先端部1aに対して熱風を吹きつけることができる。
【0083】(実施例9)図10は、実施例1から5ま
でのいずれかのこて装置101でプラスチック製容器1
45の封止を行う場合の1実施例を示す概略断面図であ
る。図10にみるように、表面から外向きに突出した管
状部145aの中心の中空部145bから容器145の
内部空間に物品(図示省略)を入れた後、こて装置10
1に取り付けられたこて先100の先端部1aを加熱し
ながら、この先端部1a表面を管状部145aに押し当
てて加熱して溶融させ、管状部145aを変形させると
ともに中空部145bを塞ぐ。これにより、容器145
が封止される。こて先100の先端部1aに実施例1、
2、3、4、5のごときテーパ面が形成されている場合
にはこのテーパ面で押し当てることができる。実施例5
のこて装置のごとく熱風をこて先の先端部1aに供給す
る管59を有する場合には、封止時に管59からこて先
の先端部1aに対して熱風を吹きつけることができる。
【0084】上述の様にこて先の柱状体に用いる高配向
性グラファイトシートは熱伝導性に優れ、こて先の熱伝
導率を銅に比較して2.2倍の熱伝導率とすることによ
り、こて先が尖端の細寸化しても高熱伝導性により半田
付け対象物、熱かしめ対象物、熱溶接対象物などの接合
対象物を半田付け、熱かしめ、熱溶接などの接合に必要
な温度に加熱するために必要な熱量を供給することがで
きる。このこて先を用いることにより、接合対象物の加
熱不足による接合不良が発生することもなく、安定した
接合が可能である。たとえば、半田付けの場合には、半
田付け対象物の加熱不足により半田が載らない、いわゆ
る半田不足が発生することもなく、高配向性グラファイ
トシートの成分が半田付けの活性材として使用するフラ
ックスの成分と近いためフラックスとのなじみもよく安
定した半田付けが可能である。また、熱かしめの場合に
は、熱かしめ対象物の加熱不足により変形が不充分にな
るかしめ不良が発生することもなく、安定した熱かしめ
が可能であり、熱溶接の場合には、熱溶接対象物の加熱
不足により溶融プラスチックが載りにくくなることもな
く、高配向性グラファイトシートの成分が熱溶接の活性
材として使用するフラックスの成分と近いためフラック
スとのなじみもよく安定した熱溶接が可能である。
【0085】高配向性グラファイトシートに半田濡れ性
がないことにより、こて先の先端部の当て面への溶融半
田流れ込みは難しいため残留半田が残らず、供給した半
田量だけ溶融半田として半田付け対象物方向に流れるの
で、半田付け量の一定化が図れる。その上、こて先の当
て面が溶融半田に溶喰され当て面形状が変化することも
ないため、半田付け対象物間で半田部が連なるいわゆる
ブリッジ不良が発生することもない。また、こて先が中
心部に中空部を有する場合でも、この中空部の内周面に
グラファイトが露出していると、こて先の先端部で溶融
した半田がこの中空部をさかのぼりにくいので、供給さ
れた半田をすべて半田付け対象物に流すことができ、中
空部のないこて先と同様にして半田付けを行うことがで
きる。
【0086】高配向性グラファイトシートにプラスチッ
クの濡れ性がないことにより、熱かしめを行う場合で
は、こて先の先端部への溶融プラスチックの付着が起こ
りにくく、溶融したプラスチックがすべてかしめに使用
されることによりかしめ不足の解消が図られ、また、熱
溶接を行う場合では、こて先の先端部の当て面への溶融
プラスチック流れ込みは難しいため残留プラスチックが
残らず、供給したプラスチック量だけ溶融プラスチック
として熱溶接対象物方向に流れることにより熱溶接量の
一定化が図られる。しかも、こて先の先端部が溶融プラ
スチックに溶喰され先端部の当て面形状が変化すること
もないため、こて先の寿命が長くなる。また、こて先が
中心部に中空部を有する場合でも、この中空部の内周面
にグラファイトが露出していると、こて先の先端部で溶
融したプラスチックがこの中空部をさかのぼりにくいの
で、中空部のないこて先と同様にして熱かしめや熱溶接
を行うことができる。
【0087】高配向性グラファイトシートからなる積層
構造にすることにより、こて先の機械的強度を高めるこ
とができ、こて先が被半田付け面、半田付け対象物、熱
かしめ対象物、熱溶接対象物などの接合対象物に当たり
破壊することを防ぐのと同時に、柱状体(こて先基体)
が炭素系材料などの芯材を中心にすることにより、こて
先を形成する時に高配向性グラファイトシートを巻き付
けやすい。
【0088】上記の実施形態では、十分な熱量を供給す
ることが難しい銅こてを用いた場合のこて先の尖端の細
寸化に伴う、半田付け不良、かしめ不良または熱溶接不
良などの接合不良の発生を抑え、半田やプラスチックに
対する濡れ性がないことにより、こて先の先端部の当て
面形状の変化をなくし、長期間の使用による劣化がな
く、こて先が、被半田付け面、半田付け対象物、熱かし
め対象物、熱溶接対象物などの接合対象物に当たる際の
機械的強度をもつこて先の提供が可能となる。
【0089】なお、以上の実施形態では、こて先の柱状
体が高配向性グラファイトシートの積層体からなる場合
を説明したが、高配向性グラファイトシート以外のグラ
ファイト、たとえば、通常のグラファイトシート、グラ
ファイト粒子、または他の炭素系材料などを用いても同
様の効果が得られる。
【0090】
【発明の効果】以上のように本発明によると、柱状のこ
て先の後端側がホルダーによって着脱可能に保持されて
いて、こて先のホルダー外部への突出量がこて先の軸線
方向に沿って可変とされている場合には、こて先が劣化
したり破損したり摩耗したりしたときにはこて先をホル
ダーから外して修理して再使用したり交換したりするこ
とができ、ランニングコストの低減に寄与する。修理し
たこて先をホルダーに装着するときには、このこて先の
長さに合わせてホルダーにより保持される部分を修理前
に対してずらすことができる。このため、短くなったこ
て先の先端部のホルダーからの突出量を修理前と同じ量
にすることができ、修理前と同様に、こて先の先端部を
半田付け対象物に接触させることができる。長期間の使
用により先端部が劣化したり破損したりしたこて先を修
理して再使用することができ、こて先の先端部の変形に
よる接合不良の発生を抑えることができる。また、新品
のこて先をホルダーに装着するときには、このこて先の
長さに合わせてホルダーにより保持される部分を適宜設
定することができる。
【0091】本発明によると、こて先が炭素系材料から
なる柱状体を本体とし、柱状体が熱伝導異方性を有する
グラファイトで形成され、このグラファイトの高熱伝導
方向が柱状体の軸線方向に沿うようになっていて、この
柱状体の後端面から熱エネルギーを注入する場合には、
この熱伝導異方性を有するグラファイトの熱伝導特性を
十分生かすことができる。この高熱伝導方向が柱状体の
軸線方向に沿うようになっているので、後端面で受容し
た熱は、銅製こて先よりも非常に速く先端部に伝わるこ
とができ、先端面、または、この先端に設けたテーパ面
から放出される。このため、十分な熱量を供給すること
が難しいこて先の尖端の細寸化に伴う加熱不足による、
半田付け不良や熱かしめ不良や熱溶接不良などの接合不
良の発生を抑えることができる。しかも、グラファイト
は、溶融半田や溶融プラスチックによって溶食されず、
フラックスによって腐食せず、空気中の酸素によって酸
化しないので、グラファイトが先端部で露出していて
も、長期間の使用による劣化もほとんどない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における、こて装置の構成を
示す断面図
【図2】図1に示すこてユニットにおけるこて先の斜視
【図3】本発明の実施例2における、こて装置の構成を
示す断面図
【図4】本発明の実施例3における、こて装置の構成を
示す断面図
【図5】本発明の実施例4における、こて装置の構成を
示す断面図
【図6】本発明の実施例5における、こて装置の構成を
示す断面図
【図7】本発明の実施例6においてこて先を半田付けに
用いた場合の断面説明図
【図8】本発明の実施例7においてこて先を半田付けに
用いた別の場合の断面説明図
【図9】本発明の実施例8においてこて先を熱かしめに
用いた場合の断面説明図
【図10】本発明の実施例9においてこて先を封止に用
いた場合の断面説明図
【符号の説明】
1 こて先 2 ナット 3 ホルダー 4 電気ヒータ 5、50 こてユニット 11 セラミックヒータ 12 熱伝導性部材 13 断熱材 44 光源装置
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29C 65/56 B29C 65/56 (72)発明者 前田 幸男 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 柱状のこて先と、このこて先を加熱する
    加熱手段とを備え、加熱された前記こて先の先端を接合
    対象物に接触させて加熱するようになっているこて装置
    において、前記こて先の後端側を着脱可能に保持するホ
    ルダーをも備え、前記こて先の前記ホルダー外部への突
    出量が前記こて先の軸線方向に沿って可変とされている
    ことを特徴とする、こて装置。
  2. 【請求項2】 前記こて先が炭素系材料で形成された柱
    状体を本体とし、前記柱状体が熱伝導異方性を有するグ
    ラファイトで形成され、このグラファイトの高熱伝導方
    向が前記柱状体の軸線方向に沿うにようになっている、
    請求項1に記載のこて装置。
  3. 【請求項3】 柱状のこて先と、このこて先を加熱する
    加熱手段とを備え、加熱された前記こて先の先端を接合
    対象物に接触させて加熱するようになっているこて装置
    において、前記こて先は炭素系材料からなる柱状体を本
    体とし、前記柱状体が熱伝導異方性を有するグラファイ
    トで形成され、このグラファイトの高熱伝導方向が前記
    柱状体の軸線方向に沿うようになっていて、前記加熱手
    段が前記柱状体の後端面から熱エネルギーを注入するよ
    うになっていることを特徴とする、こて装置。
  4. 【請求項4】 前記柱状体の後端面に接する熱伝導性部
    材をも備え、前記加熱手段が前記熱伝導性部材に接して
    配置されたヒーターである、請求項3に記載のこて装
    置。
  5. 【請求項5】 前記熱伝導性部材が少なくとも前記柱状
    体の後端面に接する部分と前記加熱手段に接する部分と
    を残して断熱材で覆われている、請求項4に記載のこて
    装置。
  6. 【請求項6】 前記加熱手段が、前記柱状体の後端面に
    光ビームまたは熱ビームを照射する照射装置である、請
    求項3に記載のこて装置。
  7. 【請求項7】 前記柱状体の後端部に熱センサを配し、
    この熱センサからの信号により前記照射装置の照射量を
    制御するようにする、請求項6に記載のこて装置。
  8. 【請求項8】 前記加熱手段が、前記柱状体の後端面に
    接するように配され、前記柱状体よりも太い発熱部を有
    する、請求項3に記載のこて装置。
  9. 【請求項9】 前記加熱手段が、前記柱状体の後端部の
    外周面に接する熱伝導性の筒状壁部をも有する、請求項
    8に記載のこて装置。
  10. 【請求項10】 前記こて先を着脱可能に保持するホル
    ダーをも備え、前記こて先の前記ホルダー外部への突出
    量が前記こて先の軸線方向に沿って可変とされている、
    請求項3から9までのいずれかに記載のこて装置。
  11. 【請求項11】 前記こて先の前記ホルダーへの装着は
    テーパ面を有するナットの締付けにより行う、請求項
    1、2または10に記載のこて装置。
  12. 【請求項12】 前記ホルダーがコレットである、請求
    項1、2または10に記載のこて装置。
  13. 【請求項13】 前記こて先をその先端方向へ押し出す
    ためのねじをも備えている、請求項1、2、10、11
    または12に記載のこて装置。
  14. 【請求項14】 前記柱状体が、この柱状体の軸線方向
    に延びる芯材と、この芯材を中心として巻き重ね合わさ
    れた高配向性グラファイトシートとからなる、請求項1
    から13までのいずれかに記載のこて装置。
  15. 【請求項15】 請求項1から14までのいずれかに記
    載のこて装置の前記こて先の先端部を加熱し、この先端
    部を溶融可能な材料に接触させてこの溶融可能な材料を
    溶融させて接合対象物の接合を行う接合方法。
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