JPH1024362A - こて先および接合方法 - Google Patents

こて先および接合方法

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JPH1024362A
JPH1024362A JP8236355A JP23635596A JPH1024362A JP H1024362 A JPH1024362 A JP H1024362A JP 8236355 A JP8236355 A JP 8236355A JP 23635596 A JP23635596 A JP 23635596A JP H1024362 A JPH1024362 A JP H1024362A
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JP
Japan
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tip
graphite
carbon
columnar body
solder
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Application number
JP8236355A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuo Tanimoto
一夫 谷本
Norio Okuya
憲男 奥谷
Yoshimichi Ishii
好通 石井
Tsutomu Kawashima
川島  勉
Daido Komyoji
大道 光明寺
Naomi Nishiki
直巳 西木
Takao Inoue
孝夫 井上
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期間の使用による劣化がなく、半田付け量
のばらつきの少ないこて先を提供する。 【解決手段】 このこて先は、グラファイトなどの炭素
系材料で形成された柱状体1を本体とし、この炭素系材
料が少なくともこて先の先端部1aで露出していて、こ
の先端部1aで露出した炭素系材料が当て面となってお
り、この当て面が柱状体の後端側で受容した熱の放出を
行うようになっている。柱状体1は、たとえば、グラフ
ァイトシート2を巻き重ね合わせた積層体からなってい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子部品等の半田
付けや、プラスチック成形品の熱かしめまたは封止など
に使用するこて先およびこのこて先を使用する接合方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電子回路の高密度実装化が進み、
フローソルダリング、リフローソルダリングなど、多点
での半田付けを一括に高品質に行う技術が進歩してきて
いる。しかし、フローソルダリング、リフローソルダリ
ング等で処理できない半田付けには、これまでと同様に
半田ごてが多く使用されている。
【0003】半田ごては、半田付け時に半田付け対象物
と半田との間で合金層を得るため、半田付け対象物を所
定の温度まで加熱するのに使用される。半田こてのこて
先には、熱伝導性の良い銅が多く用いられている。半田
付け時には、高温に加熱されたこて先の半田濡れ面
(「半田当て面」とも言う。)を半田付け対象物に押し
当ててこの対象物を加熱するとともに、この濡れ面上で
所定量の半田を溶融させ溶融半田をその対象物の方へ流
している。半田付け対象物は、こて先からの直接的伝熱
により加熱されるとともに、こて先濡れ面から流れてき
た溶融半田を介した間接的伝熱によっても加熱促進さ
れ、半田との間で合金層を形成する。
【0004】銅製こて先は溶融半田による溶食、半田時
のフラックスによる腐食などによって消耗していく。こ
の溶食や腐食を防ぐため、銅製こて先には、鉄またはニ
ッケルなどの金属または合金で耐食性メッキ層を形成し
ている。そして、このこて先の濡れ面では、半田濡れ性
を向上させるためにその耐食性メッキ層の上にさらに半
田メッキ層を形成している。また、こて先の非濡れ面で
は、その耐食性メッキ層の上にさらにクロムなどの金属
または合金で半田濡れ性の低いメッキ層を形成して半田
の付着を防いでいる。
【0005】しかし、こて先を長期間使用すれば耐食性
のメッキ層でも摩耗が起きるため、銅素地が露出して溶
融半田により溶食される。また、メッキ層形成時に、あ
るいは、こて先を使用する間に、メッキ層に欠陥または
亀裂が生じる場合があり、この欠陥や亀裂から侵入した
溶融半田により銅素地が溶食されてメッキ層が崩れてく
る。このため、こて先の半田濡れ面形状が変化してしま
い、半田付け対象物間で半田が連なるいわゆるブリッジ
不良が発生しやすくなる。高密度実装に用いられる半田
ごてではこて先の濡れ部が、微細間隔での半田付けに適
応できるように、尖端部となっているが、この尖端部が
溶食や腐食によりわずかに変形しても微細間隔での半田
付けでブリッジ不良が発生する。このブリッジ不良は、
半田付け間隔が微細化すると一層著しくなる。
【0006】そこで、溶融半田による溶食を防ぐため
に、グラファイトのごとき炭素体からなるこて先が特公
平2−50827号公報に記載されている。炭素体は元
々半田濡れ性が低いので、このこて先では、半田濡れ性
を向上させるために、その炭素体の表面全面に鉄メッキ
層が形成されている。すなわち、先端部の半田濡れ面は
鉄メッキ層で覆われているのである。
【0007】一方、銅製こて先の絶縁性および耐久性向
上のため、耐食性メッキ層よりも耐食性に優れた、高硬
度のセラミックスあるいはアモルファス等のコーティン
グ膜を形成したこて先も半田付けに使用されている。他
方、銅製こて先の先端部にフッ素樹脂をコーティングし
たこて先が、プラスチック成形品の熱かしめにおいて一
方の成形品に設けた柱体を他方の成形品に設けた孔を貫
通させてその柱体の先端部を加熱し溶融させてかしめた
り、プラスチック製容器中への物品封入後に封止を行っ
たりするために使用されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らの見い出し
たところによると、炭素体表面を鉄メッキ層で覆った前
記公知のこて先は、鉄メッキ層の半田濡れ性が良いため
に却って重大な問題を生じることがわかった。すなわ
ち、上記炭素体からなるこて先の濡れ面では、鉄メッキ
層の半田濡れ性によって半田を濡れ面に載せるようにし
ている。半田付け装置では、半田付け部ごとに所定量の
半田を供給し、加熱したこて先でこの半田を溶融させて
対象物へと流すようにしている。しかし、前記濡れ面は
元々半田に対する付着性が強いので、溶融した半田の全
部が対象物へ流れるのでなく、一部は濡れ面上に残る。
半田がこて先の濡れ面に残留すると、対象物へ流れてい
く半田の量が供給量よりも少なくなるが、その残留量が
一定でないため、対象物へ流し出す量が一定しない。ま
た、濡れ面に残留した半田が蓄積されてその量が多くな
るとその残留半田が新たに供給された半田とともに対象
物へと流れていくので、そのときには、対象物へ流れて
いく半田の量が一時的に供給量よりも多くなってしま
う。このように、こて先の濡れ面が半田濡れ性の良いも
ので構成されていると、却って、対象物へ流れていく半
田の量が供給量よりも多くなったり少なくなったりして
半田付け量にばらつきを生じ、精密部品の高精度半田付
けができないという問題が生じるのである。この半田付
け量のばらつきを防ぐために、半田付けを一定回数行う
ごとに、こて先の濡れ面に残留した半田の除去、あるい
はその濡れ面に付着したフラックスの除去のため、その
濡れ面をクリーニングする必要がある。
【0009】一方、セラミックスあるいはアモルファス
等のコーティング膜を形成したこて先では、コーティン
グ膜に半田濡れ性がほとんどないため、半田のとけ込み
が非常に悪く、溶融した半田がボール状になって濡れ面
上を急速度でころがるので、対象物の方に正確に半田を
流すのが困難であり、半田付け精度が非常に悪い。半田
ボールを発生させないようにするため、このこて先は、
半田付け対象物に予め塗布しておいた半田を加熱溶融す
る方法にしか使用できず、不便である。
【0010】フッ素樹脂をコーティングしたこて先で
は、このコーティング膜がはがれやすく、このコーティ
ング膜がはがれて銅素地が露出すると溶融プラスチック
が銅素地に付着して使用できなくなるため、こて先の寿
命が短かった。最近では、こて先は、上でも述べたよう
に、電子回路の高密度実装化による半田付け間隔の微細
化に対応するために濡れ部が尖端部とされている。上記
炭素体表面に形成されたメッキ層を構成する金属は、炭
素体よりも熱伝導性が低いため、このメッキ層が熱伝導
性を悪化させる。このため、半田付け対象物の加熱不足
が起こり半田が載らないいわゆる半田不足が発生しやす
い。
【0011】本発明は、上記従来の問題点を解決するも
ので、長期間の使用による劣化がなく、半田付け量のば
らつきを少なくさせるこて先を提供することを目的とす
る。本発明は、さらに、濡れ部の細寸化に伴う半田付け
不良の発生を抑え、こて先が被半田付け面や半田付け対
象物に当たる際の衝撃に耐える機械的強度をもつこて先
を提供することを目的とする。
【0012】本発明は、また、半田付け量のばらつきの
少ない接合方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決するために種々検討した。その結果、炭素系材料
が鉄材料に比べ半田濡れ性は低いが、セラミックスやア
モルファスに比べてそこそこの半田濡れ性を有してお
り、別に鉄メッキ層で被覆しなくても半田当て面となり
得ること、また、この炭素系当て面では溶融半田の残留
が起きず、常にほぼ計算量どおりに溶融半田を対象物に
流せること、したがって、半田当て面は炭素系材料それ
自体で形成するのが良いことを見いだし、本発明を完成
した。
【0014】請求項1に係る発明のこて先は、柱状のこ
て先において、炭素系材料で形成された柱状体を本体と
し、この炭素系材料が少なくともこて先の先端部で露出
していて、この先端部で露出した炭素系材料が当て面と
なっており、この当て面が柱状体の後端側で受容した熱
の放出を行うようになっていることを特徴とする。請求
項2に係る発明のこて先は、請求項1に記載のこて先に
おいて、柱状体が筒状に形成されており、この筒状の柱
状体の中心部が中空部となっていることを特徴とする。
【0015】請求項3に係る発明のこて先は、請求項2
に記載のこて先において、中空部が溶融半田の流路にな
ることを特徴とする。請求項4に係る発明のこて先は、
請求項1から3までのいずれかに記載のこて先におい
て、柱状体が、炭素系材料の層構造を有するブロックか
らなることを特徴とする。
【0016】請求項5に係る発明のこて先は、請求項1
から3までのいずれかに記載のこて先において、柱状体
が、炭素系材料の可撓性シートを巻き重ね合わせた積層
体からなることを特徴とする。請求項6に係る発明のこ
て先は、請求項5に記載のこて先において、炭素系材料
の可撓性シートが芯材を中心としてその外周面に重ね合
わされて積層体が形成されていることを特徴とする。
【0017】請求項7に係る発明のこて先は、請求項5
または6に記載のこて先において、柱状体の外周部が接
着剤で固められていることを特徴とする。請求項8に係
る発明のこて先は、請求項1から7までのいずれかに記
載のこて先において、炭素系材料がグラファイトである
ことを特徴とする。請求項9に係る発明のこて先は、請
求項8に記載のこて先において、グラファイトが熱伝導
異方性を有していて、このグラファイトの高熱伝導方向
が柱状体の後端部から先端部への方向に沿うようになっ
ていることを特徴とする。
【0018】請求項10に係る発明のこて先は、請求項
9に記載のこて先において、グラファイトの高熱伝導方
向の熱伝導率が400W/(m・K)以上2000W/
(m・K)以下であることを特徴とする。請求項11に
係る発明のこて先は、請求項9または10に記載のこて
先において、グラファイトが高配向性グラファイトであ
ることを特徴とする。
【0019】請求項12に係る発明のこて先は、請求項
1から11までのいずれかに記載のこて先において、先
端部が、柱状体の軸線方向と斜めに交差するテーパ面を
有することを特徴とする。請求項13に係る発明のこて
先は、請求項1から12までのいずれかに記載のこて先
において、先端部がその外周部に溝を有し、この溝が柱
状体の軸線方向に沿って柱状体の先端面に向かって徐々
に深くなりながら延びていることを特徴とする。
【0020】請求項14に係る発明のこて先は、請求項
1から13までのいずれかに記載のこて先において、炭
素系材料が少なくとも先端部だけで露出するように、柱
状体の外周面に被覆層が形成されていることを特徴とす
る。請求項15に係る発明のこて先は、請求項14に記
載のこて先において、被覆層の材料が、金属、ガラスお
よびセラミックスからなる群から選ばれる少なくとも1
つからなることを特徴とする。
【0021】請求項16に係る発明のこて先は、請求項
15に記載のこて先において、被覆層が金属層からな
り、この金属層の表面が鏡面であることを特徴とする。
請求項17に係る発明の接合方法は、請求項1から16
までのいずれかに記載のこて先の前記先端部を加熱し、
この先端部において露出している前記炭素系材料を溶融
可能な材料に接触させてこの溶融可能な材料を溶融させ
て接合対象物の接合を行うようにしている。
【0022】こて先が、炭素系材料で形成されて柱状体
(こて先基体)を本体としていて、この炭素系材料が少
なくともこて先の先端部で露出して熱の放出を行うよう
になっているので、この先端部を半田当て面などの当て
面として用いることができる。この場合、先端部の先端
面および/または外周面を当て面として用いることがで
きる。
【0023】炭素系材料は、溶融半田または溶融プラス
チック、あるいは、半田付けなどの活性材として使用す
るフラックスに溶解せず、耐食性に優れているので、使
用時に溶融半田、溶融プラスチックまたはフラックスに
よって溶食されたり腐食したりしない。このこて先を半
田付けやプラスチックの熱溶接に長期間使用したときで
も、先端部の当て面の形状が変化せず先端部の劣化が生
じない。このこて先は、半田付け対象物間で半田が連な
るブリッジ不良を生じさせずに、半田付けに長期間使用
することができる。
【0024】炭素系材料は、フラックスの成分が通常、
天然または合成の樹脂であり、炭素−炭素間共有結合を
有する点でこれらの樹脂と共通していて、フラックスと
のなじみがよいので、半田やプラスチックは、炭素系材
料が露出した、こて先の先端部で加熱することにより、
容易に溶融する。しかし、この溶融物に対する炭素系材
料の濡れ性が低いので、その溶融物は、先端部の当て面
に流れ込みにくく当て面に付着しない。このため、この
こて先によれば、供給した量の半田やプラスチックをす
べて溶融物にして対象物の方へ流すことができるので、
半田付け量やプラスチック量の一定化が図れ、半田付け
量やプラスチック量のばらつきの少ない高精度の接合が
可能となる。しかも、炭素系材料は熱を非常に良く伝達
するのでその表面への半田の溶け込みがよく、このこて
先の先端部では、半田濡れ性の低い金属やセラミックス
のように半田の溶け込み不良が発生せず、半田ボールが
発生せず、半田濡れ性の低い金属やセラミックスのよう
に半田付け部に予め半田を塗布する必要が殆どない。
【0025】炭素系材料の露出した、こて先の先端部
は、溶融半田や溶融プラスチックが付着せず、フラック
スによって腐食しないので、クリーニングの必要がほと
んどない。炭素系材料は一般に熱の良導体であり、炭素
系材料で形成された柱状体の後端側で受容された熱は、
炭素系材料中を十分な速さで先端部にまで伝わる上、先
端部では、その炭素系材料が露出して半田当て面となっ
ているので、メッキ層やコーティング膜によって伝導を
妨げられることなく、速やかに放出される。しかも、炭
素系材料は空気中の酸素によって酸化されないので、炭
素系材料が露出していても先端部では表面層の劣化が起
きにくく、劣化した表面層による熱伝達効率の低下が起
きない。このため、長期間の使用によっても、こて先の
先端部の当て面から常に安定した熱量を放出することが
できる。
【0026】柱状体が、炭素系材料の可撓性シートを巻
き重ね合わせた積層体からなるときには、高熱伝導性を
有する面が柱状体の後端部から先端部への方向に連続し
て形成されるので、この方向の熱伝導を比較的速い上、
柱状体の内周部と外周部とが1つの炭素系材料のシート
で形成されているので、柱状体の先端面における内周部
と外周部との間でも熱が炭素系材料中を伝わり、この先
端面が全体的に均一な温度になりやすい。その上、この
積層体では、積層に伴う年輪状または渦巻き状の接合線
の見える面に衝撃を受けると炭素系材料シートが剥離し
やすくて脆いのであるが、この脆い面は柱状体の軸線に
交差していて柱状体の外周面に現れないため、積層体の
外周面が被半田付け面や半田付け対象物に当たっても、
炭素系材料シートが剥離しにくく、機械的強度に優れて
いる。炭素系材料のシートを芯材を中心としてその外周
面に重ね合わせて積層体が形成されているときには、こ
のシートを巻き重ね合わせやすく、また、芯材を機械的
強度を高めるために利用できる。
【0027】炭素系材料がグラファイトであり、このグ
ラファイトが熱伝導異方性を有していて、このグラファ
イトの高熱伝導方向が柱状体の後端部から先端部への方
向に沿うようになっているときには、後端部で受容した
熱が銅製こて先よりも非常に速く先端部に伝わることが
できる。この熱伝導異方性を有するグラファイト、特に
高配向性グラファイトをこて先に用いることにより、こ
て先の先端部が尖端部となるなど細寸化しても高熱伝導
性により対象物を所定の温度に加熱するために必要な熱
量を供給することができ、対象物の加熱不足による半田
不足やプラスチック不足が発生することもなく、安定し
た半田付けやプラスチックの熱かしめまたは封止が可能
である。
【0028】
【発明の実施の形態】本発明のこて先の本体は、炭素系
材料で形成された柱状体である。この柱状体の形として
は、特に限定はなく、円柱状、角柱状、円筒状、角筒状
などの形状が挙げられる。柱状体としては、たとえば、
炭素系材料の層構造を有するブロック、炭素系材料の可
撓性シートを巻き重ね合わせた積層体、炭素系材料のシ
ートを多数枚重ね合わせた積層体、炭素系材料の繊維を
多数本束ねた束、炭素系材料の粉末を成形した成形体な
どが挙げられる。ブロックまたは積層体において炭素系
材料の層同士を固定したり、ブロックまたは積層体の重
ね合わせ方向に沿った側面部を固定したりするのに、た
とえば接着剤を使用することができる。繊維の束におい
て繊維同士を固定したり、成形体において粒子同士を固
定したりするのに、たとえば結合剤(バインダー)を使
用することができる。この接着剤または結合剤として
は、こて先の使用時の加熱によっても変質しにくく、し
かも比較的熱伝導性が良いという点を考慮すると、たと
えば、不定形炭素(「無定形炭素」とも言う。)、ガラ
ス状炭素などが挙げられる。
【0029】炭素系材料としては、たとえば、グラファ
イト、ダイヤモンド、不定形炭素、ガラス状炭素、カル
ビン、フラーレンなどが挙げられ、安価で熱伝導性が良
いという点からはグラファイトが好ましい。また、グラ
ファイトは、たとえば空気中で600℃の耐熱性を有し
ているため、熱伝導性低下の原因となる、酸化による表
面層の劣化が起こりにくい。
【0030】グラファイトとしては、熱伝導等方性を有
するものでも、熱伝導異方性を有するものでも使用する
ことができる。普通のグラファイトは、不規則に配列し
た多数のグラファイト結晶粒からなっているため熱伝導
等方性を有する。一方、熱伝導異方性を有するグラファ
イトは、c軸が一定の方向に配列している割合が高い多
数のグラファイト結晶粒からなっていて、c軸と直交す
る方向に高熱伝導であり、c軸と平行な方向に低熱伝導
である。熱伝導異方性を有するグラファイトは、銅に比
べて、特定方向の熱伝導率が極めて高いので、この高熱
伝導方向を柱状体の後端部から先端部への方向(柱状体
の軸線方向)に沿うように配することにより、後端部で
受容された熱が銅製こて先に比べて速やかに先端部に伝
わるようになるので好ましい。この高熱伝導方向の熱伝
導率は、たとえば、400W/(m・K)以上2000
W/(m・K)以下であり、低熱伝導方向の熱伝導率は
5W/(m・K)程度である。このように、熱伝導異方
性を有するグラファイトは、高熱伝導方向については、
銅の熱伝導率約400W/(m・K)の1〜5倍の熱伝
導率を有することができる。
【0031】熱伝導異方性を有するグラファイトとして
は、たとえば、熱分解グラファイト(「パイログラファ
イト」または「配向グラファイト」とも言う。)のうち
の配向性を有するものが挙げられ、高熱伝導方向の熱伝
導率がより高いという点を考慮すると、高配向性グラフ
ァイトが好ましい。ここで「配向」とは、多数のグラフ
ァイト結晶粒のc軸がある一定の方向に配列している割
合が高いことを言う。高配向性グラファイトは、多数の
グラファイト結晶のc軸がある一定の方向に配列してい
る割合が特に高く、好ましくはロッキング特性が20度
以下であり、高熱伝導方向の熱伝導率が特に高い。ここ
で測定したロッキング特性は、X線回折装置を用いて測
定した、グラファイト(0002)線のピーク位置にお
けるX線強度の分散角である。
【0032】高配向性グラファイトとしては、たとえ
ば、炭化水素系ガスを用いCVD法によって炭素原子を
基板上に積層させてからアニーリングして得られるも
の、高分子化合物のシート(フィルムと称されるものを
含む)をグラファイト化したものを挙げることができ
る。たとえば、芳香族ポリイミドのシートを焼成して得
られた高配向性グラファイトのシートは、グラファイト
結晶のAB面方向(c軸と直交する方向)の熱伝導率が
860kcal/(m・h・℃)であり、Cuの2.2
倍,Alの4.2倍の値の熱伝導率を持つことができ
る。
【0033】前記高分子化合物として、各種ポリオキサ
ジアゾール(POD)、ポリベンゾチアゾール(PB
T)、ポリベンゾビスチアゾール(PBBT)、ポリベ
ンゾオキサゾール(PBO)、ポリベンゾビスオキサゾ
ール(PBBO)、各種ポリイミド(PI)、各種ポリ
アミド(PA)、ポリフェニレンベンゾイミダゾール
(PBI)、ポリフェニレンベンゾビスイミダゾール
(PPBI)、ポリチアゾール(PT)、ポリパラフェ
ニレンビニレン(PPV)からなる群の中から選ばれる
少なくとも1つを使用することができる。
【0034】上記各種ポリオキサジアゾールとしては、
ポリパラフェニレン−1,3,4−オキサジアゾールお
よびそれらの異性体がある。上記各種ポリイミドには下
記の一般式(1)で表される芳香族ポリイミドがある。
【0035】
【化1】
【0036】
【化2】
【0037】
【化3】
【0038】上記各種ポリアミドには下記一般式(2)
で表される芳香族ポリアミドがある。
【0039】
【化4】
【0040】使用されるポリイミド、ポリアミドはこれ
らの構造を有するものに限定されない。前記高分子化合
物のシートの厚さは5〜400μmの範囲であるのが好
ましく、可撓性が良い点を考慮するとより好ましくは5
〜200μmである。原料シートの厚さが400μmを
超えると、炭素化またはグラファイト化するための熱処
理過程時にシート内部より発生するガスによって、シー
トがボロボロの崩壊状態になり、単独で良質の材料とし
て使用することは難しい。
【0041】前記高分子化合物のシートをグラファイト
化する焼成条件は、特に限定されないが、2000℃以
上、好ましくは3000℃近辺の温度域に達するように
焼成すると、より高配向性の優れたグラファイトができ
るため好ましい。焼成は、普通、不活性ガス中で行われ
る。最高温度が2000℃未満で焼成する場合は、得ら
れたグラファイトは硬くて脆くなる傾向がある。焼成
後、さらに必要に応じて圧延処理するようにしてもよ
い。前記高分子化合物のシートは適当な大きさに切断し
てからグラファイト化することができる。なお、高分子
化合物のシートからグラファイトシートを得る場合、た
とえば、高分子化合物のシートを400〜2000℃で
熱処理して炭素質シートを得、この炭素質シートを1枚
だけまたは2枚以上重ねて成形型に入れ、または、高分
子化合物のシートを1枚だけまたは2枚以上重ねて成形
型に入れ、そして、不活性雰囲気中で成形型内の炭素質
シートを2200℃以上の温度に維持しつつ0.98M
Pa以上、好ましくは1.96MPa以上の圧力で成形
する方法を採用することができる。炭素質シートまたは
高分子化合物のシートを2枚以上使う場合には、たとえ
ば、得ようとする高配向性グラファイトの厚みに応じて
適宜決めればよく、また、使用する炉に入れることがで
きる枚数だけ重ねることができる。この成形工程では、
グラファイト結晶はそのc軸がシートの厚み方向に沿う
ように配向させられ、炭素質シートを2枚以上重ねた場
合には圧着も行われる。炭素質シートの少なくとも一部
の加熱は、たとえば、このシート端面へレーザ光を照射
するかまたはガスバーナの炎をあてることにより、成形
型の型面に配したヒータにより、あるいは、炭素質シー
トに通電することにより、行われる。
【0042】このようにして得られる高配向性グラファ
イトは、たとえば、シート(プレートまたはフィルムと
称される形態を含む)状またはブロック状の形状を有す
る。このブロック状グラファイトでは、高配向性グラフ
ァイト層が多数重なった層構造を有する。このシート状
グラファイト(グラファイトシート)またはブロック状
グラファイトでは、元のシートの面に沿った方向(シー
ト状グラファイトの場合には、シート状グラファイトの
面に沿った方向と同じである。)がグラファイト結晶の
AB面方向と平行になるようにグラファイト結晶が配向
されていて、この方向が高熱伝導方向になっている。た
とえば、高熱伝導方向についての熱伝導率が、シート状
グラファイトでは400〜800W/(m・K)、ブロ
ック状グラファイトでは600〜2000W/(m・
K)であり、低熱伝導方向についての熱伝導率がいずれ
も5W/(m・K)程度であることができる。
【0043】高配向性グラファイトのシートは、可撓性
を有していても、可撓性のない硬いものでもいずれも製
造可能である。可撓性を有する高配向性グラファイトの
シートは、本発明において、巻き重ね合わせて、円柱
状、円筒状、角柱状または角筒状などの柱状体を形成す
るのに使用できるので好ましい。高配向性グラファイト
シートで普通のグラファイトシート(またはカーボンシ
ート)を挟み込んだサンドイッチシート(高配向性グラ
ファイトシート/一般シート/高配向性グラファイトシ
ート)を使って柱状体を作ることができる。
【0044】ブロック状グラファイトからなる柱状体
は、また、高配向性グラファイトのシートを用いて作る
ことができる。このブロック状グラファイトは、たとえ
ば、高配向性グラファイトシートを、ブロック状グラフ
ァイトの厚みに応じて適宜設定した枚数重ねて成形型に
入れ、このシートを2200℃以上の温度に維持しつつ
0.98MPa以上の圧力で成形する方法により作るこ
とができる。このようにして得られるブロック状グラフ
ァイトは、元のシートの面に沿った方向がグラファイト
結晶のAB面方向と平行になるようにグラファイト結晶
が配向されていて、この方向が高熱伝導方向になってい
る。このブロック状グラファイトでも、たとえば、高熱
伝導方向についての熱伝導率が600W/(m・K)〜
2000W/(m・K)であり、低熱伝導方向について
の熱伝導率が5W/(m・K)程度である。
【0045】高配向性グラファイトの繊維を用いる場
合、この繊維は、たとえば、紡糸した上記高分子化合物
またはピッチを張力をかけて延伸しながら上記シートの
ごとくグラファイト化のための熱処理を行うことにより
作られる。こうして得られた高配向性グラファイトの繊
維は、グラファイト結晶のc軸に直交する方向が繊維軸
方向に配向しているので、繊維軸方向が高熱伝導方向と
なっている。
【0046】高配向性グラファイトの粉末を用いる場
合、この粉末は、たとえば、高配向性グラファイトのシ
ート、炭素化またはグラファイト化の際にボロボロの崩
壊状態になった高配向性グラファイトを粉砕することに
より作られる。この粉末は、通常、リン片状粒子からな
っている。この粉末を成形して柱状体を作るときには、
この粉末のリン片状粒子のc軸に直交する方向が柱状体
の後端部から先端部への方向に沿うように、押出成形な
どにより粒子を配向させるのが好ましい。
【0047】炭素系材料で形成された柱状体の先端部
は、炭素系材料が露出していて当て面となっていて、こ
の当て面が熱を放出することにより、半田やプラスチッ
クなどの溶融可能な材料、接合対象物などを加熱するよ
うになっている。先端部は、柱状体の軸線方向と直交す
る先端面を有することができ、この先端面が当て面とな
ることができる。
【0048】こて先の先端部は、半田付け間隔の微細化
に対応するように、尖端部とされていることができる。
たとえば、先端部は、柱状体の軸線方向と斜めに交差す
るテーパ面を有することができる。この場合、このテー
パ面では、炭素系材料が露出しているので、テーパ面が
当て面となることができる。このテーパ面が、先端部を
先細りにするとともに半田やプラスチックの溶融物の流
れの方向をある程度制御することができる。このため、
接合対象物が、電子回路板のランドとこのランドから直
角にまたは鋭角に立ち上がった電子部品のピンとの間の
角部のごとき角部を有する場合には、テーパ面を設ける
ことにより先細りとなった先端部がその角部の隅まで達
しやすくなり、半田やプラスチックの溶融物を角部の隅
まで十分供給できるようになる。このテーパ面は、たと
えば、こて先の先端部を研磨加工することにより形成さ
れうる。また、テーパ面では、炭素系材料が露出してい
るので、熱伝導性が良く、溶融半田やプラスチックが付
着しにくく、溶食されにくい。こて先が破損したときに
は研磨加工などによりテーパ面を新たに作りだすことが
できる。テーパ面としては、柱状体を、平面で斜めに切
った切断面、円錐面、円錐台面などが挙げられる。な
お、先端部は、テーパ面と柱状体の軸線方向と直交する
先端面とを有することができ、このテーパ面と先端面と
を当て面とすることができる。炭素系材料のシートを多
数枚重ね合わせた積層体、または、炭素系材料の可撓性
シートを巻き重ね合わせた積層体からなるこて先の先端
部に上記テーパ面を形成した場合には、シートの断面が
テーパ面に露出していて、重なり合ったシートの断面間
にフラックスだまりが生じ、半田の溶け込み性が良くな
り、良好な半田付けを行うことができる。
【0049】こて先の先端部は、その外周部に溝を有す
ることができる。この場合、この溝の内面では、炭素系
材料が露出しているので、溝の内面が当て面となること
ができる。この溝は、たとえば、柱状体の軸線方向に沿
ってこて先の先端面に向かって徐々に深くなりながら延
びている。この溝は、半田やプラスチックの溶融物が流
れるガイドとなり、これらの溶融物を狙った箇所に正確
に流すのに有用である。溝の中を流れた溶融物はこて先
の先端面から流出するので、この先端面を狙った箇所に
向けるようにしてこて先を使用するのである。溝は、切
削加工などにより形成される。溝の形状としては、たと
えば、断面V字形またはU字形が挙げられる。
【0050】こて先の後端部は、たとえば、先端部を加
熱する熱を受容するのに使用され、また、こて先を保持
するこて装置に取り付けるのに使用される。後端部が熱
を受容するのに使用される場合には、メッキ層やコーテ
ィング膜によって熱伝導が妨げられないように後端部で
も炭素系材料が露出していることが好ましい。こて装置
はヒーターなどの加熱手段を備えていて、こて先の後端
部は、この加熱手段から熱を受容するようになってい
る。こて先のこて装置への取り付けは、たとえば、止め
ねじまたはねじ込みにより行われる。こて装置に設けら
れた、こて先の後端部を収容するための凹部をこて装置
に設けておき、この凹部にこて先の後端部を挿入し、凹
部の側壁にあけたねじ孔に止めねじをねじ込んで貫通さ
せて止めねじ先端でこて先後端部の外周面を押圧するこ
とによりこて先がこて装置に固定される。また、こて先
後端部の外周部に雄ねじ加工を施しておくとともに、こ
て装置の前記凹部の内周部に雌ねじ加工を施しておき、
後端部をこの凹部にねじ込むことによりこて先がこて装
置に固定される。こて先がこて装置に固定された状態で
こて先後端部がこて装置の加熱手段から熱を受容するよ
うに、後端部が加熱手段に直接接触していたり、熱伝導
性部材を介して間接的に接触していたりすることができ
る。止めねじでこて先を固定する場合、後端部の外周部
には、止めねじの先端部を受け入れる凹部を形成してお
くことができ、この凹部に止めねじの先端部を入れて凹
部底面に止めネジ先端を押圧することにより、こて先の
こて装置への固定がより安定する。
【0051】こて先を構成する柱状体が円筒状、角筒状
などの筒状である場合、中心部が中空部になっている。
この中空部は、溶融した半田やプラスチックを後端部か
ら先端部へ流す流路となることができる。中空部内を流
れてきた溶融物は先端面の開口部から外部に流出する。
また、こて先を半田付けまたはプラスチックの熱かしめ
や熱溶接ではなく半田やプラスチック除去に用いる場合
には、この中空部は、先端部の開口部から吸い取った溶
融半田やプラスチックを後端部へ流す流路となることが
できる。溶融半田やプラスチックが中空部の途中で詰ま
らずに流れるようにするためには、この中空部の内周面
には炭素系材料が露出していることが好ましい。炭素系
材料は、半田やプラスチックに対する濡れ性が低いた
め、半田やプラスチックの溶融物が炭素系材料表面では
じかれて付着せずに流れるからである。
【0052】こて先の中心部には、芯材が配され得る。
この場合、柱状体は、円筒状または角筒状などの筒状と
されていて、この芯材を中心としてその外周面に重ね合
わされている。芯材は、たとえば、こて先の機械的強度
を確保するための強度保持材として用いられ、あるい
は、上述のごとき炭素系材料の可撓性シートを巻き重ね
合わせるための巻心として用いられる。芯材としては、
たとえば金属、セラミックス、炭素系材料などの棒やパ
イプが使用される。芯材の端面がこて先の先端部におい
て露出していることがあり、この場合には、芯材に用い
る金属、セラミックスとしては、半田濡れ性の低いも
の、たとえば、クロム、窒化アルミニウム等が挙げられ
る。
【0053】柱状体の外周面に、炭素系材料が少なくと
も先端部でだけ、好ましくは先端部と後端部で露出する
ように被覆層を形成することができる。この被覆層は、
柱状体の補強、炭素系材料の剥離防止、輻射熱の低減な
どの働きをする。被覆層の材料としては、たとえば、金
属、ガラスおよびセラミックスからなる群から選ばれる
少なくとも1つから選ばれる。たとえば、柱状体の外周
面に、鉄板などの金属板を張ったり、ガラス状カーボン
等の耐熱性接着剤やコーティング剤をコーティングした
り、焼成によりなどの樹脂をコーティングしたり、ガラ
スまたはセラミックスをコーティングしたり、メッキ層
を形成したり、金属チューブを被せたりすることにより
被覆層が設けられる。ブロック状グラファイトでは層構
造の側面を覆うように、また、炭素系材料のシートを多
数枚重ね合わせた積層体ではこの積層方向の側面を覆う
ように被覆層を設けることにより、層の剥離または炭素
系材料のシートの剥離を防止することができる。被覆層
が、金属板、メッキ層、金属チューブなどの金属層であ
る場合には、その表面が金属光沢を持っているため、輻
射熱を低減する効果がある。この効果は、金属層表面が
鏡面であることにより一層著しくなる。輻射熱を低減す
ることは、こて先の後端部と先端部との間で柱状体外周
面からの放熱がなくなって伝熱効率が上がるとともに、
被半田付け部の周囲に熱影響が小さくなり、熱に弱い電
子部品の近くでも半田付け作業ができることになり便利
である。金属板は、耐熱性接着剤で貼ることができる。
メッキ層は、炭素系材料の柱状体の先端部のみをあるい
は後端部と先端部とをメッキレジストで覆い、この柱状
体を電極に用いて電気メッキすることにより形成され
る。メッキ層の種類としては、金、銀、アルミニウム等
が挙げられる。金属チューブとしては、アルミニウム筒
等が使用され、この筒に柱状体を圧入する方法等により
金属チューブが柱状体の外周面に被せられる。金属表面
を鏡面にする方法としては、金属表面を研磨加工する方
法、メッキ層の場合には鏡面メッキ層を形成するように
メッキする方法などが挙げられる。
【0054】柱状体は、たとえば、炭素系材料のシート
(可撓性の有無に係わらない)を多数重ね合わせて成形
する方法、炭素系材料の可撓性シートを巻き重ね合わせ
て円柱状または角柱状の積層体を得る方法、芯材の周り
に可撓性シートを巻き重ね合わせて円筒状または角筒状
の積層体を得る方法、この芯材を用いた円筒状または角
筒状の積層体から芯材を抜き去って筒状体を得る方法、
上記高分子化合物シートを多数重ね合わせて上記のごと
く成形し焼成してブロック状グラファイトを得る方法、
炭素系材料の繊維を多数本束ねて結合材で固める方法、
炭素系材料の粉末を成形して結合材で固める方法などに
より作られる。シート同士は、たとえば接着剤で結合さ
れる。また、繊維または粉末は、たとえば、結合材で結
合される。必要に応じて、接着剤または結合材を炭化さ
せるための焼成を行うことができる。炭素系材料の繊維
または粉末と結合材の割合(重量比率)は、たとえば、
炭素系材料:結合材=50:1〜2:1の範囲である。
炭素系材料の粉末を用いる場合には、この粉末と結合材
とを混合したコンポジット体を押し出し成形などにより
柱状のブロックに成形することができる。また、押し出
し成形では押し出し方向に直交する方向にグラファイト
のリン片状結晶などの炭素系材料の結晶が配向するの
で、その方向の熱伝導性が高くなる。成形後に必要に応
じて焼成を行って結合剤を炭化させることができる。接
着剤または結合材としては、たとえば、ピッチ、ター
ル、高分子化合物などが使用され、これらの接着剤また
は結合材としては焼成により炭化して、グラファイト、
不定形炭素またはガラス状炭素などの炭素系材料に変わ
るものが挙げられる。
【0055】本発明のこて先は、たとえば、溶融可能な
材料による接合に使用される。このこて先で接合を行う
ときには、こて先の先端部を加熱する。こて先の先端部
の加熱は、こて先の後端側で外部から熱を受容させ、こ
て先中を先端部へ伝熱させることにより行われる。こて
先の、外部から熱を受容する部分では熱の受容が妨げら
れないように炭素系材料が露出していることが好まし
い。加熱された先端部で炭素系材料が露出して当て面と
なっており、この当て面に溶融可能な材料を接触させる
ことにより溶融させる。溶融可能な材料としては、たと
えば、半田、プラスチック(熱可塑性樹脂)などが挙げ
られる。接合の種類としては、たとえば、半田付け、プ
ラスチック成形品の熱かしめまたは封止などが挙げられ
る。半田付けを行う場合、たとえば、溶融可能な材料と
して半田を使用し、この半田は、糸半田のごとき線状体
または棒状体の形で供給され、加熱された先端部の当て
面に接触することにより熱を受容して昇温し、溶融し、
溶融物が当て面上を流れて接合部へ送られる。プラスチ
ック成形品の熱かしめを行う場合、たとえば、溶融可能
な材料としてプラスチック成形品の一方の一部を使用す
る。このプラスチック成形品の一方の一部としては、た
とえば、成形時にこの成形品表面から突出するように設
けた柱体部が挙げられる。プラスチック成形品の他方に
設けた貫通孔にこの柱体部を通してその先端部を突出さ
せ、この突出した先端部は、加熱された先端部の当て面
に接触することにより熱を受容して昇温し、溶融し、溶
融物が当て面による押圧を受けて変形し、貫通孔の径よ
りも大きくなってかしめられる。プラスチックの封止を
行う場合、たとえば、溶融可能な材料としてプラスチッ
ク製容器の一部を用いる。このプラスチック製容器の一
部としては、たとえば、成形時にこの容器表面から突出
するように設けた管状体が挙げられる。この管状体は、
容器内に封入する物品の封入口となり、物品を封入した
後に、加熱された先端部の当て面に接触することにより
熱を受容して昇温し、溶融し、溶融物が当て面による押
圧を受けて変形し、管状体の中心部の孔を埋めて封止す
る。また、こて先が中空部を有する場合には、溶融可能
な材料を溶融させて溶融物とし、この溶融物を中空部に
流すことによりこて先の先端部に供給することができ
る。
【0056】
【実施例】以下、本発明の好ましい実施例について図を
用いて説明するが、本発明の実施形態は下記のものに限
定されるものではない。 (実施例1)図1は、一方の端部が尖端である角柱状の
単結晶ライクグラファイトで形成されたこて先の1実施
例を示す。図1中、(a)、(b)、(c)は、それぞ
れ、こて先の、正面図、側面図、部分斜視図である。図
1にみるように、このこて先は、角柱状のグラファイト
5を備えている。この角柱状のグラファイト5は、高配
向性グラファイトシート51を多数枚重ね合わせた積層
体(ブロック状グラファイト)からなっていて、いわゆ
る単結晶ライクグラファイトになっている。シート51
の面に沿う方向は、こて先の後端部(こて先取付部)1
bから先端部(半田当て部)1aへの方向に平行になっ
ている。高配向性グラファイトシート51は、高結晶グ
ラファイトで形成されていて熱伝導異方性を有してお
り、グラファイト結晶の配向方向(c軸と直交する方向
で、高熱伝導方向である。)がシート51の面に沿う方
向に揃っている。このため、角柱状のグラファイト5で
は、グラファイト結晶の配向方向が、こて先の後端部1
bから先端部1aへの方向に平行になっている。このシ
ート51の面に沿った方向の熱伝導率は、たとえば、銅
の熱伝導率約400kcal/(m・h・℃)に対して
約2.2倍の860kcal/(m・h・℃)とするこ
とができる。高配向性グラファイトシート51同士は、
たとえば、積層成形により接着剤なしでも接合される
が、耐熱性接着剤で接合されてもよい。耐熱性接着剤と
しては、400℃以上の耐熱性をもち、グラファイトの
接着強度が強いものを用いることができ、例えば、ガラ
ス状カーボン、あるいはセラミックス等が使用できる。
【0057】このグラファイト5は高熱伝導面に対して
垂直方向に剥離しやすいため、この垂直方向に沿うとと
もに後端部1bから先端部1aへの方向に沿う側面(剥
離面)には、金属板61を貼り付けるか、あるいは、コ
ーティング膜62を形成することにより、その剥離面を
固め、グラファイト5の層間剥離を防止するとともに、
こて先の強度を上げている。金属板61としては、たと
えば、耐食性の、鉄板、ニッケル板などが挙げられる。
コーティング膜62は、たとえば、ガラス状カーボン等
の耐熱性接着剤またはコーティング剤から形成される。
金属板61の貼り付けは、たとえば、この耐熱性接着剤
で行われる。
【0058】先端部1aには、この角柱状のグラファイ
ト5の軸線方向と斜めに交差するテーパ面4を研磨加工
により形成してある。実施例1のこて先では、このテー
パ面4と、先端部1aにおける軸線方向との直交面5a
とが当て面となる。また、後端部1bには、軸線方向と
の直交面5bが形成されている。
【0059】この実施例1のこて先の具体例を以下に示
す。角柱状のグラファイト5として3.0mm(高熱伝
導方向)×2.0mm(低熱伝導方向)×20mmの寸
法のブロック状グラファイト(いわゆる「単結晶ライク
グラファイト」)を使用した。このグラファイト5は、
高配向性グラファイトシート51を500枚重ね合わせ
た積層体からなる。この積層体は、圧力1MPa、温度
3000℃、時間30分間の条件でプレス装置により作
られた。剥離防止として鉄板61を剥離面に接着してあ
る。
【0060】このこて先を使用して、ピン半田(たとえ
ば、電子回路板のランドの孔に差し通した、電子部品の
ピンのランドへの半田付け)と落とし込み半田(電子回
路板の電極部の表面上に載せた電子部品のピンなどの半
田付け)を行った。その結果、ピン半田では、3500
0ポイント、落とし込み半田では、50000ポイント
の半田付け後、こて先を確認したところ、こて先の劣化
は認められなかった。また、グラファイトは半田が付着
せず、熱伝導がよいため、こて先は、従来のこて先のよ
うに1次半田を送る必要がなく、こて先のクリーニング
の必要もなかった。また、半田の溶け込みがよく、半田
ボールの発生もなかった。
【0061】(実施例2)図2、3は、本発明のこて先
が熱伝導異方性を有するグラファイトシートで形成され
ている場合の1実施例を示す。図2はこのこて先を拡大
した斜視図、図3はこのこて先の横断面(こて先をその
中心を通る平面で軸線方向に切った断面)を表す。図2
にみるとおり、このこて先は、柱状体1と芯材3とを備
えていて、円柱状に形成されている。柱状体1は、芯材
3を中心としてこの芯材3の外周面に重ね合わされるよ
うに筒状に形成されている。この筒状の柱状体1は、可
撓性を有する高配向性グラファイトシート(高品質炭素
状シート)2を巻き重ね合わせた積層体からなってい
る。高配向性グラファイトシート2は、高結晶グラファ
イトで形成されていて熱伝導異方性を有しており、グラ
ファイト結晶の配向方向がシート2の面に沿う方向に揃
っている。このため、柱状体1では、グラファイト結晶
の配向方向が、巻き重ね合わせの周方向にそろっている
とともに、後端部1bから先端部1aへの方向に平行に
なっている。このシート2の面に沿った方向の熱伝導率
は、銅の熱伝導率約400kcal/(m・h・℃)に
対して約2.2倍の860kcal/(m・h・℃)で
ある。高配向性グラファイトシート2同士は、また、高
配向性グラファイトシート2と芯材3とは、たとえば、
耐熱性接着剤で接着されている。耐熱性接着剤として
は、400℃以上の耐熱性をもち、グラファイトの接着
強度が強いものを用いることができ、例えば、ガラス状
カーボン、あるいはセラミックス等が使用できる。
【0062】芯材3は、柱状体1の軸線方向の中心部に
配されていて、強度保持材として、または、シート2を
巻き付ける巻芯として使用されている。芯材3として
は、たとえば、半田濡れ性の低い金属、セラミックス、
炭素系材料(カーボン)等が使用される。芯材3として
は高配向性グラファイトシート2と同じ化学的性質を持
ち、引っ張り強度が大きい炭素系材料が良い。
【0063】柱状体1の先端部1aには軸線方向に対す
る直交面2aが形成され、後端部1bには軸線方向に対
する直交面2bが形成されている。直交面2a、2b
は、たとえば研磨加工により形成される。被半田付け面
の大きさの微細化に対応させるために、円柱状のこて先
の先端部1aを尖端加工して半田当て面用のテーパ面4
が形成されている。この尖端加工は、たとえば、研磨加
工によって行われる。
【0064】実施例2のこて先でも、このテーパ面4
と、先端部1aにおける軸線方向との直交面5aとが当
て面となる。図4は芯材3に高配向性グラファイトシー
ト2を巻き付けて実施例2のこて先を製造する方法を示
してある。図4(a)は、芯材3に高配向性グラファイ
トシート2の一端を固定した図である。次に、図4
(b)のように芯材3に高配向性グラファイトシート2
を固く巻き付けていく。この時、シート2同士間にガラ
ス状カーボン・セラミックス・樹脂・金属等を塗布して
もよい。次に図4(c)のようにシート2の巻き終わり
部を固定する。なお、外周部は接着剤などで固めても良
い。最後に図4(d)のように研磨等により任意の形状
に加工して(たとえば、先端部1aには直交面2aとテ
ーパ面4を形成し、後端部1bには直交面2bを形成す
る。)、柱状体1と芯材3とを備えたこて先を得る。
【0065】この実施例2のこて先を用いたグラファイ
ト半田ごての具体例を以下に示す。芯材3としてφ2.
0mm、長さ50mmの等方性カーボン(たとえば、等
方性グラファイト)を使用し、膜厚0.1mmの高配向
性グラファイトシート2の一端をカーボンの芯材3に接
着剤で固定する。次に、カーボンの芯材3に高配向性グ
ラファイトシート2を全体がφ5.0mmになるまで固
く巻き付ける。巻き終わり部は、接着剤で固定する。シ
ート2同士間の接着剤として、たとえば、空気中での耐
熱性800℃を有するガラス状カーボンが使用される。
シート2の巻き付け後に、熱処理によってガラス状カー
ボンとなる液状物(たとえば、タール、ピッチ、または
液状樹脂など)中に浸し、真空にすることによって、シ
ート間の隙間にその液を浸透させる。最後に、熱処理す
ることにより、その液を炭化または硬化させ、研磨加工
により、一端の先端部1aにテーパ面4を形成し、他端
の後端部1bは円柱状とする。
【0066】このこて先を使用し、ピン半田の耐久性試
験を行ったところ、1万ポイントの半田付け後もこて先
の劣化は認められなかった。また、グラファイトは半田
が付着せず、熱伝導がよいため、従来のこて先のように
1次半田を送る必要がなく、こて先のクリーニングの必
要もなかった。また、半田の溶け込みがよく、半田ボー
ルの発生もなかった。
【0067】(実施例3)図5は、熱伝導異方性を有す
るグラファイトシート(シート状グラファイト)2で形
成され、中心部が中空部7であるこて先の1実施例を示
す横断面図(こて先をその中心を通る平面で軸線方向に
切った断面図)である。同図において、グラファイトシ
ート2の高熱伝導方向がこて先の後端部(ヒーター接触
部)1bから先端部1aへの方向に平行になるように筒
状の柱状体1を形成してある。先端部1aおよび後端部
1bを除く外周面には被覆層9を形成してこて先の強度
を上げている。被覆層9は、たとえば、セラミックス、
ガラス、樹脂、または金属で形成される。セラミックス
としては、たとえば、窒化珪素が挙げられ、カーボンと
しては、たとえば、気相成長ダイヤモンドが挙げられ、
ガラスとしては、たとえば、ほうけい酸ガラスが挙げら
れ、樹脂としては、たとえば、ポリイミドが挙げられ、
金属としては、たとえば、銅またはステンレスが挙げら
れる。なお、樹脂は、たとえば、熱処理などにより炭化
してガラス状炭素または不定形炭素などの炭素系材料の
被覆層9を形成する。セラミックス、ガラス、樹脂など
を被覆層9に用いる場合には、これらをコーティングす
ることにより被覆層9を形成することができる。金属を
被覆層9に用いる場合には、金属をメッキしたり、ある
いは、金属チューブを被せたりすることにより被覆層9
を形成することができる。柱状体1、グラファイトシー
ト2、直交面2a、2b、テーパ面4は、実施例2で説
明したのと同じであるのでここでの説明を省略する。
【0068】この実施例3のこて先を用いたグラファイ
ト半田ごての具体例を以下に示す。グラファイトシート
2をφ2.0mm、長さ50mmのカーボン芯などの芯
材に巻き付け、先端部1aおよび後端部1bを除く外周
部に空気中での耐熱性800℃を有するガラス状カーボ
ンをコーティングして被覆層9を形成した後に、カーボ
ン芯を取り除き、中心部を中空部7にした柱状体1を備
えたこて先を製作した。なお、グラファイトシート2と
して膜厚0.1mm、長さ50mmのものを使用し、全
体がφ5.0mmになるまで巻き付けている。シート2
同士は、空気中での耐熱性800℃を有するガラス状カ
ーボン接着剤で接着されている。
【0069】このこて先の中空部7を通して、半田を供
給すると、グラファイトは半田に濡れないため、中空部
7に半田が詰まることがなく、供給した量だけ半田が流
れ落ちる。また、こて先の先端部1aにも半田が付着す
ることがないため、半田当て部となる先端部1a及び中
空部7のクリーニングの必要がなかった。被覆層9とし
て金属層を形成した場合には、その表面が金属光沢を有
するため、こて先の外周面からの輻射による熱エネルギ
ーの放出を防ぐ。すでに半田付けされた電子部品間の微
細な隙間にこて先を差し入れて半田付けを行うときに、
こて先の外周面からの輻射熱が非常に少なくなるため、
こて先の周囲の電子部品が熱によるダメージを受けなく
なる。この金属層としては、たとえば、金属メッキ層、
金属チューブを使用することができる。金属メッキ層
は、たとえば、柱状体1を電極として用いた電気メッキ
により形成された、金、銀、アルミニウムの膜である。
金属チューブは、たとえば、アルミニウム筒である。金
属チューブは、たとえば、カーボン芯などの芯材に巻い
たグラファイトシート2の外周面に被せて固定される。
被覆層9が金属からなる場合には、被覆層9の表面を研
磨等により鏡面処理することができる。被覆層9がメッ
キ層である場合には、鏡面メッキを行うことにより表面
を鏡面にすることもできる。被覆層9の金属表面が鏡面
になっていると、輻射による熱エネルギーの放出がより
一層防がれ、注入された熱エネルギーがより高効率でこ
て先先端部に伝わる。
【0070】被覆層9は、実施例1のこて先に形成した
り、または、実施例2のこて先の金属板61またはコー
ティング膜62の代わりに形成したりすることができ
る。 (実施例4)図6は、グラファイトの柱状体20の外周
面に金属メッキ層23を形成した場合のこて先を示す。
この柱状体20は、実施例2で用いたのと同じ高配向性
グラファイトシート2を巻き重ね合わせた積層体からな
っている。このこて先では、柱状体20の先端部1aの
先端面2aおよび外周面2cと後端部1bの後端面2b
とだけにおいてグラファイトが露出するようにメッキ層
23が形成されている。この金属メッキ層23は、電鋳
メッキにより厚み10μmのアルミニウムによるもので
ある。
【0071】金属メッキ層23の表面は金属光沢を有す
るため、柱状体20外周面からの輻射による熱エネルギ
ーの放出を防ぐ。すでに半田付けされた電子部品間の微
細な隙間にこて先を差し入れて半田付けを行うときに、
こて先の外周面からの輻射熱が非常に少なくなるため、
こて先の周囲の電子部品が熱によるダメージを受けなく
なる。金属メッキ層23を鏡面メッキにより作るか、ま
たは、金属メッキ層23の表面が鏡面処理されている
と、メッキ層23の表面が鏡面となるため、柱状体20
の外周面からの輻射熱がより一層防がれ、注入された熱
エネルギーがより高効率でこて先の先端部1aに伝わ
る。
【0072】(実施例5)図7は、グラファイトの柱状
体10の先端部1aの外周部に、先端面に続く溝11を
形成した場合のこて先の1実施例を示す斜視図である。
この柱状体10は、実施例2で用いたのと同じ高配向性
グラファイトシート2を巻き重ね合わせた積層体からな
っている。
【0073】この溝11の内側面には、グラファイトシ
ート2の端面が多数の層状に露出している。このため、
溝11の内側面は、こて先11の後端部1bで受容した
熱が速やかに伝わって加熱されやすく、しかも、半田で
濡れにくい。このため、半田付け時に供給された半田を
この溝11の内側面に当てると、半田が加熱されて融解
し、溝11内を流れて先端面2aから飛びだす。溝11
が溶融半田の流れをガイドするので、溶融半田を狙った
位置に正確に供給することができる。溝11の内側面は
半田で濡れにくいので、この溝11に半田が残留しにく
く、半田を必要な量で正確に供給することができる。
【0074】溝11としては、断面V字形、U字形など
の形状の溝が形成される。柱状体10がφ5.0mmで
ある場合、溝11の長さ、深さは、それぞれ、たとえ
ば、10mm、1.5mm(最深部)程度に設定され
る。これは、溝11が柱状体1の中心に達せず、溶融半
田流れをガイドできるからである。なお、こて先の先端
部1aにテーパ面を形成した場合には、このテーパ面に
溝11を形成することもできる。
【0075】溝11は、実施例1から4までのいずれか
のこて先にも形成することができる。 (実施例6)図8は、実施例1から5までのいずれかの
こて先100で電子回路板110のランド111に電子
部品のピン121を半田付けする(ピン半田を行う)場
合の1実施例を示す概略断面図である。図8にみるよう
に、電子回路板110のランド111の孔112に電子
部品のピン121を貫通させた状態で、こて装置101
に取り付けられたこて先100の先端部1aを加熱しな
がらランド111とピン121との間の角部に接触する
ように移動させてランド111とピン121を加熱する
とともに、こて先100の先端部1aで露出しているグ
ラファイト表面に糸半田130を供給してこのグラファ
イト表面から放出された熱により糸半田130を溶融さ
せ、この溶融物131をグラファイト表面上で流してラ
ンド111とピン121との間の角部に送り、ランド1
11とピン121を半田付けする。こて先100の先端
部1aに実施例1、2、3のごときテーパ面が形成され
ている場合にはこのテーパ面に糸半田130を供給して
溶融させ、溶融物131をテーパ面上で流すようにす
る。こて先100の先端部1aの外周部に実施例5のご
とき溝が形成されている場合にはこの溝に糸半田130
を供給して溶融させ、溶融物131を溝中を流すように
する。
【0076】(実施例7)図9は、実施例1から5まで
のいずれかのこて先100で電子回路板110のランド
111に電子部品のピン121を半田付けする(落とし
込み半田を行う)場合の1実施例を示す概略断面図であ
る。図9にみるように、電子回路板110の電極部15
1の表面に電子部品のピン121を横向きに載せた状態
で、こて装置101に取り付けられたこて先100の先
端部1aを加熱しながら、こて先100の先端部1aで
露出しているグラファイト表面に糸半田130を供給し
てこのグラファイト表面から放出された熱により糸半田
130を溶融させ、この溶融物131をグラファイト表
面上で流して電極部151とピン121とを覆うように
落下させて電極部151とピン121を半田付けする。
こて先100の先端部1aに実施例1、2、3のごとき
テーパ面が形成されている場合にはこのテーパ面に糸半
田130を供給して溶融させ、溶融物131をテーパ面
上で流すようにする。こて先100の先端部1aの外周
部に実施例5のごとき溝が形成されている場合にはこの
溝に糸半田130を供給して溶融させ、溶融物131を
溝中を流すようにする。
【0077】(実施例8)図10は、実施例1から5ま
でのいずれかのこて先100でプラスチック成形品14
0、141の熱かしめを行う場合の1実施例を示す概略
断面図である。図10にみるように、2つのプラスチッ
ク成形品140、141を部分的に重ね合わせ、成形品
140に設けた柱状部143aを、成形品141に設け
た貫通孔142に通し、その先端部を突出させた状態
で、こて装置101に取り付けられたこて先100の先
端部1aを加熱しながら、この先端部1aで露出したグ
ラファイト表面を、貫通孔142から突出した柱状部1
43aの先端部に押し当てて加熱して溶融させ、貫通孔
142の径よりも大きくなるとともにプラスチック成形
品141に密着するように変形させてかしめ(変形させ
た後の形状を図10中に一点鎖線で示す。)、プラスチ
ック成形品140、141を固定する。
【0078】(実施例9)図11は、実施例1から5ま
でのいずれかのこて先100でプラスチック製容器14
5の封止を行う場合の1実施例を示す概略断面図であ
る。図11にみるように、表面から外向きに突出した管
状部145aの中心の中空部145bから容器145の
内部空間に物品(図示省略)を入れた後、こて装置10
1に取り付けられたこて先100の先端部1aを加熱し
ながら、この先端部1aで露出しているグラファイト表
面を管状部145aに押し当てて加熱して溶融させ、管
状部145aを変形させるとともに中空部145bを塞
ぐ。これにより、容器145が封止される。
【0079】上述の様にこて先の柱状体に用いる高配向
性グラファイトシートは熱伝導性に優れ、こて先の熱伝
導率を銅に比較して2.2倍の熱伝導率とすることによ
り、こて先が尖端の細寸化しても高熱伝導性により半田
付け対象物、熱かしめ対象物、熱溶接対象物などの接合
対象物を半田付け、熱かしめ、熱溶接などの接合に必要
な温度に加熱するために必要な熱量を供給することがで
きる。このこて先を用いることにより、接合対象物の加
熱不足による接合不良が発生することもなく、安定した
接合が可能である。たとえば、半田付けの場合には、半
田付け対象物の加熱不足により半田が載らない、いわゆ
る半田不足が発生することもなく、高配向性グラファイ
トシートの成分が半田付けの活性材として使用するフラ
ックスの成分と近いためフラックスとのなじみもよく安
定した半田付けが可能である。また、熱かしめの場合に
は、熱かしめ対象物の加熱不足により変形が不充分にな
るかしめ不良が発生することもなく、安定した熱かしめ
が可能であり、熱溶接の場合には、熱溶接対象物の加熱
不足により溶融プラスチックが載りにくくなることもな
く、高配向性グラファイトシートの成分が熱溶接の活性
材として使用するフラックスの成分と近いためフラック
スとのなじみもよく安定した熱溶接が可能である。
【0080】高配向性グラファイトシートに半田濡れ性
がないことにより、こて先の先端部の当て面への溶融半
田流れ込みは難しいため残留半田が残らず、供給した半
田量だけ溶融半田として半田付け対象物方向に流れるの
で、半田付け量の一定化が図れる。その上、こて先の当
て面が溶融半田に溶喰され当て面形状が変化することも
ないため、半田付け対象物間で半田部が連なるいわゆる
ブリッジ不良が発生することもない。また、こて先が中
心部に中空部を有する場合でも、この中空部の内周面に
グラファイトが露出していると、こて先の先端部で溶融
した半田がこの中空部をさかのぼりにくいので、供給さ
れた半田をすべて半田付け対象物に流すことができ、中
空部のないこて先と同様にして半田付けを行うことがで
きる。
【0081】高配向性グラファイトシートにプラスチッ
クの濡れ性がないことにより、熱かしめを行う場合で
は、こて先の先端部への溶融プラスチックの付着が起こ
りにくく、溶融したプラスチックがすべてかしめに使用
されることによりかしめ不足の解消が図られ、また、熱
溶接を行う場合では、こて先の先端部の当て面への溶融
プラスチック流れ込みは難しいため残留プラスチックが
残らず、供給したプラスチック量だけ溶融プラスチック
として熱溶接対象物方向に流れることにより熱溶接量の
一定化が図られる。しかも、こて先の先端部が溶融プラ
スチックに溶喰され先端部の当て面形状が変化すること
もないため、こて先の寿命が長くなる。また、こて先が
中心部に中空部を有する場合でも、この中空部の内周面
にグラファイトが露出していると、こて先の先端部で溶
融したプラスチックがこの中空部をさかのぼりにくいの
で、中空部のないこて先と同様にして熱かしめや熱溶接
を行うことができる。
【0082】高配向性グラファイトシートからなる積層
構造にすることにより、こて先の機械的強度を高めるこ
とができ、こて先が被半田付け面、半田付け対象物、熱
かしめ対象物、熱溶接対象物などの接合対象物に当たり
破壊することを防ぐのと同時に、柱状体(こて先基体)
が炭素系材料などの芯材を中心にすることにより、こて
先を形成する時に高配向性グラファイトシートを巻き付
けやすい。
【0083】上記の実施形態では、十分な熱量を供給す
ることが難しい銅こてを用いた場合のこて先の尖端の細
寸化に伴う、半田付け不良、かしめ不良または熱溶接不
良などの接合不良の発生を抑え、半田やプラスチックに
対する濡れ性がないことにより、こて先の先端部の当て
面形状の変化をなくし、長期間の使用による劣化がな
く、こて先が、被半田付け面、半田付け対象物、熱かし
め対象物、熱溶接対象物などの接合対象物に当たる際の
機械的強度をもつこて先の提供が可能となる。
【0084】なお、以上の実施形態では、こて先の柱状
体が高配向性グラファイトシートの積層体からなる場合
を説明したが、高配向性グラファイトシート以外のグラ
ファイト、たとえば、通常のグラファイトシート、グラ
ファイト粒子、または他の炭素系材料などを用いても同
様の効果が得られる。
【0085】
【発明の効果】本発明によれば、こて先の本体を構成す
る柱状体が炭素系材料で形成されていて、この炭素系材
料が少なくともこて先の先端部で露出しており、この先
端部で露出した前記炭素系材料が当て面となっており、
この当て面が柱状体の後端側で受容した熱の放出を行う
ようになっているので、接合に用いる半田やプラスチッ
クなどの溶融物に対する濡れ性があまり良くなく、こて
先がその溶融物によって溶食されにくく、半田付けや熱
溶接時のフラックスによって腐食しにくく、空気中の酸
素によって劣化しにく熱を放出することができる。先端
部の当て面では、溶融物に対する濡れ性があまり良くな
く、フラックスとのなじみがよいので、溶融物が残留し
にくく、溶融物がボールを形成することはほとんどない
ので、当て面では安定した半田溶融やプラスチック溶融
などの溶融が行われ、供給した量だけ溶融物として正確
に接合対象物の方に一定量で供給することができ、半田
付け量、あるいは、熱かしめや封止でのプラスチック量
の精度を大幅に改善することができるとともにこて先の
先端部のクリーニングの必要がなくなる。また、半田ボ
ールの発生がないため、対象物に予め半田を塗布する必
要もない。当て面がその溶融物によって溶食されにく
く、半田付けや熱溶接時のフラックスによって腐食しに
くく、空気中の酸素によって劣化しにくいため、当て面
形状が変化しにくく、長期間の使用によるこて先の劣化
が起きにくい。このため、このこて先は、半田付け対象
物間で半田部が連なるいわゆるブリッジ不良を発生する
ことがなく、半田付けや熱かしめや封止などの接合に用
いたときでも長寿命であり、長期間安定した半田付け・
熱かしめ・封止などの接合が可能となる。
【0086】炭素系材料がグラファイトであり、このグ
ラファイトが熱伝導異方性を有していて、このグラファ
イトの高熱伝導方向が柱状体の後端部から先端部への方
向に沿うようになっているときには、後端側で受容した
熱が銅製こて先よりも速く先端部に伝わることができ
る。しかも、先端部では、グラファイトが露出している
ので、メッキ層やコーティング剤によって熱伝導を妨げ
られることなく、熱を放出することができる。このた
め、先端部が尖端部として形成されるなど細寸化して
も、対象物を接合に必要な温度に加熱するための熱量を
十分供給することができ、加熱不足を生じさせることも
なく、半田付け不良、熱かしめ不良、封止不良の発生を
抑え、良好な半田付けや熱かしめや封止などの接合を行
うことができるという効果が加わる。
【0087】グラファイトが熱伝導異方性を有してい
て、このグラファイトの高熱伝導方向が柱状体の後端部
から先端部への方向に沿うようになっている場合におい
て、柱状体が、グラファイトの可撓性シートを芯材を中
心として巻き重ね合わせた積層体からなるときには、こ
て先の内周部と外周部とが1つのグラファイトシートで
形成されているので柱状体の先端面における内周部と外
周部との間でも熱がこのグラファイトシート中を伝わ
り、この先端面が全体的に均一な温度になりやすい。そ
の上、この積層体は、芯材に巻き付けた構造を持つこと
により機械的強度を持っているため、こて先が、被半田
付け面、半田付け対象物、熱かしめ対象物、熱溶接対象
物などの接合対象物に当たって破壊することを防ぐとと
もに、こて先を形成する時にシートを巻き重ね合わせや
すい。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の実施例1に記した角柱状のグ
ラファイトで形成されたこて先の正面図 (b)は同こて先の側面図 (c)は同こて先の部分斜視図
【図2】本発明の実施例2のこて先の斜視図
【図3】本発明の実施例2に記したグラファイトシート
で形成されたこて先の断面図
【図4】(a)は本発明の実施例2に記した芯材にグラ
ファイトシートを巻き付けたこて先の製造方法における
芯材にグラファイトシートを固定した図 (b)は同製造方法における芯材にグラファイトシート
を固く巻き付けている図 (c)は同製造方法におけるグラファイトシートの巻き
終わり部を固定した図 (d)は同製造方法における研磨により、先端部を加工
した図
【図5】本発明の実施例3に記したグラファイトシート
で形成された中心部が中空であるこて先の断面図
【図6】本発明の実施例4に記した溝付きのこて先の斜
視図
【図7】本発明の実施例5に記した、外周面にメッキ層
を有するこて先の斜視図
【図8】本発明の実施例6においてこて先を半田付けに
用いた場合の断面説明図
【図9】本発明の実施例7においてこて先を半田付けに
用いた別の場合の断面説明図
【図10】本発明の実施例8においてこて先を熱かしめ
に用いた場合の断面説明図
【図11】本発明の実施例9においてこて先を封止に用
いた場合の断面説明図
【符号の説明】
1、10、20 柱状体 1a 先端部 2、51 高配向性グラファイトシート 3 芯材 4 テーパ面 5 角柱状のグラファイト 7 中空部 9 被覆層 11 溝 23 金属メッキ層 61 金属板 62 コーティング膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C04B 35/54 A (72)発明者 川島 勉 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 光明寺 大道 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 西木 直巳 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 井上 孝夫 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 柱状のこて先において、炭素系材料で形
    成された柱状体を本体とし、この炭素系材料が少なくと
    も前記こて先の先端部で露出していて、この先端部で露
    出した前記炭素系材料が当て面となっており、この当て
    面が前記柱状体の後端側で受容した熱の放出を行うよう
    になっていることを特徴とするこて先。
  2. 【請求項2】 前記柱状体が筒状に形成されており、こ
    の筒状の柱状体の中心部が中空部となっている、請求項
    1に記載のこて先。
  3. 【請求項3】 前記中空部が溶融半田の流路になる、請
    求項2に記載のこて先。
  4. 【請求項4】 前記柱状体は、前記炭素系材料の層構造
    を有するブロックからなる、請求項1から3までのいず
    れかに記載のこて先。
  5. 【請求項5】 前記柱状体が、前記炭素系材料の可撓性
    シートを巻き重ね合わせた積層体からなる、請求項1か
    ら3までのいずれかに記載のこて先。
  6. 【請求項6】 前記炭素系材料の可撓性シートが芯材を
    中心としてその外周面に重ね合わされて前記積層体が形
    成されている、請求項5に記載のこて先。
  7. 【請求項7】 前記柱状体の外周部が接着剤で固められ
    ている、請求項5または6に記載のこて先。
  8. 【請求項8】 前記炭素系材料がグラファイトである、
    請求項1から7までのいずれかに記載のこて先。
  9. 【請求項9】 前記グラファイトが熱伝導異方性を有し
    ていて、このグラファイトの高熱伝導方向が前記柱状体
    の後端部から先端部への方向に沿うようになっている、
    請求項8に記載のこて先。
  10. 【請求項10】 前記グラファイトの高熱伝導方向の熱
    伝導率が400W/(m・K)以上2000W/(m・
    K)以下である、請求項9に記載のこて先。
  11. 【請求項11】 前記グラファイトが高配向性グラファ
    イトである、請求項9または10に記載のこて先。
  12. 【請求項12】 前記先端部が、前記柱状体の軸線方向
    と斜めに交差するテーパ面を有する、請求項1から11
    までのいずれかに記載のこて先。
  13. 【請求項13】 前記先端部がその外周部に溝を有し、
    この溝が前記柱状体の軸線方向に沿って前記柱状体の先
    端面に向かって徐々に深くなりながら延びている、請求
    項1から12までのいずれかに記載のこて先。
  14. 【請求項14】 前記炭素系材料が少なくとも前記先端
    部だけで露出するように、前記柱状体の外周面に被覆層
    が形成されている、請求項1から13までのいずれかに
    記載のこて先。
  15. 【請求項15】 前記被覆層の材料が、金属、ガラスお
    よびセラミックスからなる群から選ばれる少なくとも1
    つからなる、請求項14に記載のこて先。
  16. 【請求項16】 前記被覆層が金属層からなり、この金
    属層の表面が鏡面である、請求項15に記載のこて先。
  17. 【請求項17】 請求項1から16までのいずれかに記
    載のこて先の前記先端部を加熱し、この先端部において
    露出している前記炭素系材料を溶融可能な材料に接触さ
    せてこの溶融可能な材料を溶融させて接合対象物の接合
    を行う接合方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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