JPH1024161A - 密閉式パチンコ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 プリペイドカードの事実上の換金性を低減さ
せた密閉式パチンコ装置を提供すること。 【解決手段】 パチンコ装置のパチンコ玉の総数は一定
数に限定し、遊技者の持ち玉数のうちそれを超える分は
電子的に計数する。そして、玉貸し要求ボタンが押下さ
れたときには、遊技者の持ち玉数をチェックして、所定
の上限値以内である場合に限りプリペイドカードの度数
引き落としによる玉貸しを行い、上限値を超えている場
合には玉貸しを行わないこととした。また、精算時に、
玉貸しにより付与された玉数を記録するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、プリペイドカード
の利用により遊技できるパチンコ装置に関し、さらに詳
細には、実際のパチンコ玉はあらかじめ定めた所定数の
みを循環使用するとともに遊技者の持玉数であって実玉
数を超える分を電子的に計数することとし、購入した玉
数と遊技により獲得した玉数とを区別して管理するよう
にした密閉式パチンコ装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】プリペイドカードの利用により遊技でき
る従来のパチンコ装置としては、特開平５−１７７０５
０号公報に記載された封入式パチンコ機が挙げられる。
この封入式パチンコ機では、封入式のパチンコ機を、プ
リペイドカードを利用可能な台間玉貸機に通信可能に接
続するとともに、遊技店の管理装置に通信可能に接続
し、パチンコ機には、玉貸機操作手段、玉貸機表示手
段、パチンコ機操作手段、遊技情報表示手段、遊技情報
記憶判別手段を設け、その遊技情報記憶判別手段により
遊技用カードに遊技情報を書き込み、および読み出して
遊技可能としたものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記公
報の封入式パチンコ機においては、プリペイドカードを
台間玉貸機に挿入して玉貸機操作手段を操作すると、プ
リペイドカードに残り度数がある限りいくらでもこれを
持ち玉数の遊技情報に変換して遊技情報記憶判別手段に
送信することができる。そして、その遊技情報を遊技用
カードに書き込んで取り出し精算することができるの
で、パチンコ遊技を目的とせず、プリペイドカードの残
り度数を事実上換金する目的で遊技店を訪れる者が現れ
るのを避け難い。このことから、偽造プリペイドカード
の横行を招来するおそれが多分に存するのである。

【０００４】本発明は、従来のパチンコ機が有する上記
問題点の解決を課題としてなされたものであり、プリペ
イドカードの事実上の換金性を低減させた密閉式パチン
コ装置を提供することを主目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
になされた請求項１の発明は、遊技者がパチンコ遊技を
行うパチンコ機と、前記パチンコ機に対しパチンコ玉の
供給および回収を行う玉タンクと、プリペイドカードの
利用により遊技者に持ち玉数を付与する玉貸し手段とを
備え、遊技者が実際にパチンコ玉に触れることなく遊技
可能な密閉式パチンコ装置であって、実際のパチンコ玉
の総個数があらかじめ定めた所定数とされ、遊技者の持
ち玉数のうち前記パチンコ機内のパチンコ玉の個数を超
える分の個数を電子的に計数する仮想玉数計数手段と、
前記玉タンクにパチンコ玉がありかつ前記仮想玉数計数
手段の計数値が正である場合に、前記仮想玉数計数手段
の計数値の減算により前記玉タンクから前記パチンコ機
へのパチンコ玉の補充を指令する玉補充手段と、遊技者
の持ち玉数があらかじめ定めた上限値を超えている場合
に前記玉貸し手段の操作を無効とする玉貸し禁止手段と
を備えることを特徴として特定される。

【０００６】この密閉式パチンコ装置では、実際のパチ
ンコ玉の総個数が所定数に限られているので、パチンコ
機内に存在するパチンコ玉の個数も所定数を超えること
はない。そこで、遊技者の持ち玉数のうち所定数を超え
る分は、仮想玉数計数手段により電子的に計数される。
以下、この計数値を「仮想玉数」といい、パチンコ機内
に実際に存在するパチンコ玉の個数を「実玉数」とい
う。仮想玉数と実玉数との合計が遊技者の持ち玉数であ
る。なお遊技者の持ち玉数は、玉貸し手段が有効に操作
されたときの他、パチンコ遊技にいわゆる入賞があった
ときに付与される。その一方、パチンコ遊技の玉打ちに
より消費され減少する。

【０００７】来店した遊技者がパチンコ機の前に着席し
たとき、実玉数は０であり、仮想玉数も０となってい
る。遊技者がプリペイドカードを利用して玉貸し手段を
操作すると、遊技者に持ち玉数が付与されるので、付与
された個数のパチンコ玉が玉タンクからパチンコ機に供
給され実玉数となる。ただし、付与された個数が所定数
を超えているときは、その超える分については玉タンク
からの供給ができないので代わりに仮想玉数計数手段の
計数値に電子的に加算され仮想玉数となり、このときの
実玉数は所定数である。なお、持ち玉数の付与のとき、
プリペイドカードの残り度数の引き落としも行われる。

【０００８】もう一度玉貸し手段を操作すると、上限数
が所定数より小さい設定となっていない限り、プリペイ
ドカードの残り度数の引き落としとともに遊技者にさら
に所定数の持ち玉数が付与され、玉タンクからパチンコ
機へのパチンコ玉の供給かまたは仮想玉数の加算が行わ
れる。

【０００９】そして遊技者がパチンコ遊技を行うと、パ
チンコ機内のパチンコ玉が消費され、そのパチンコ玉は
玉タンクに帰るが、玉補充手段が作用して仮想玉数が０
でない限りその減算とともにパチンコ玉が玉タンクから
パチンコ機に補充される。このため、仮想玉数が尽きな
い限り実玉数は所定値を維持する。仮想玉数が尽きる
と、補充ができないのでパチンコ遊技により消費された
分実玉数は減少する。

【００１０】遊技中、すなわち遊技者の持ち玉数が０で
ないときに遊技者がプリペイドカードを利用して玉貸し
手段を操作した場合には、その時点での持ち玉数により
結果が異なる。持ち玉数が上限値以内である場合には、
着席時と同様に、プリペイドカードの残り度数引き落と
しとともに遊技者に所定数の持ち玉数が付与される。持
ち玉数が上限値を超えていた場合には、玉貸し手段の操
作が玉貸し禁止手段により無効とされるので、遊技者に
持ち玉数が付与されず、プリペイドカードの残り度数引
き落としもされない。この上限値の判断については、実
玉数により判断するようにしてもよく、仮想玉数により
判断するようにしてもよい。

【００１１】したがって、例えば玉貸し手段の操作１回
当たりの持ち玉付与数が所定数と等しい場合において、
上限値の判断を実玉数により行うこととし、その値を所
定値未満に設定しておけば、遊技者がパチンコ遊技をす
ることなくプリペイドカードの利用による玉貸し手段の
操作ばかりを繰り返して度数を引き落とそうとしても、
１回分しか持ち玉数の付与および度数の引き落としはな
されない。あるいは、上限値の判断を仮想玉数により行
うこととし、仮想玉数が１以上であるときに上限値を超
えていると判断するように設定しておけば、遊技者がパ
チンコ遊技をすることなくプリペイドカードの利用によ
る玉貸し手段の操作ばかりを繰り返して度数を引き落と
そうとしても、２回分しか持ち玉数の付与および度数の
引き落としはなされない。

【００１２】このためこれらの場合に、残り度数が多い
プリペイドカードについて事実上の換金を試みようとす
ると、玉貸し手段の操作１回または２回ごとに精算を行
う必要があり著しく面倒である。また遊技店側でもその
ような行為を行う者を不審者として認識しやすい。その
者は、パチンコ遊技よりもむしろ事実上の換金を真の目
的としている可能性が強いからである。これにより、プ
リペイドカードの事実上の換金性が大きく低減されてい
る。

【００１３】また、請求項２の発明は、請求項１に記載
する密閉式パチンコ装置であって、パチンコ遊技終了時
に遊技者の持ち玉数を記録した媒体を出力する出力手段
を備えることを特徴として特定される。

【００１４】この密閉式パチンコ装置では、遊技者がパ
チンコ遊技を終了して出力手段を操作すると、その時点
での遊技者の持ち玉数が、媒体に記録して出力される。
媒体とは、例えば各計数値を印字した紙、あるいは各計
数値を記録した磁気カードやＩＣカード（プリペイドカ
ードとは別）等である。媒体には具体的には、少なくと
も実玉数と仮想玉数との合計、すなわち全持ち玉数が記
録される。さらに、実玉数と仮想玉数との各別の値や、
時刻、日付、パチンコ機の個別台番号等をも記録するよ
うにしてもよい。遊技者は、この媒体を遊技店のフロン
トに持参して精算を行うことになる。あるいは、他のパ
チンコ機に移動してその媒体に記録された持ち玉数によ
り遊技を再開できるようにしてもよい。

【００１５】また、請求項３の発明は、請求項２に記載
する密閉式パチンコ装置であって、前記仮想玉数計数手
段が、パチンコ遊技の入賞により獲得された分の個数を
計数する入賞玉係数部と、前記玉貸し手段の操作により
獲得された分の個数を計数する購入玉係数部とを有し、
前記玉補充手段は、パチンコ玉の補充を指令する際に前
記購入玉係数部の計数値を前記入賞玉係数部の計数値よ
り優先して減算させ、前記出力手段は、パチンコ遊技終
了時に前記購入玉数係数部の計数値をも媒体に記録して
出力することを特徴として特定される。

【００１６】この密閉式パチンコ装置では、パチンコ遊
技の入賞により遊技者に持ち玉数が付与されその結果仮
想玉数が加算されるときは、その加算分は入賞玉係数部
に加算される。その一方、玉貸し手段を操作することに
より遊技者に持ち玉数が付与されその結果仮想玉数が加
算されるときは、その加算分は購入玉係数部に加算され
る。以下、入賞玉係数部の計数値を「入賞玉数」とい
い、購入玉係数部の計数値を「初期玉数Ａ」という。入
賞玉数と初期玉数Ａとの合計が仮想玉数である。

【００１７】そして、玉補充手段によりパチンコ玉の補
充指令のために仮想玉数が減算されるときは、初期玉数
Ａが入賞玉数よりも優先して減算される。すなわち、初
期玉数Ａの値が正である限り初期玉数Ａが減算され入賞
玉数は減算されず、初期玉数Ａの値が０であるときにパ
チンコ玉の補充指令が出される場合に入賞玉数は減算さ
れる。

【００１８】そして、パチンコ遊技終了時に遊技者が出
力手段を操作すると、その時点での初期玉数Ａも媒体に
記録されて出力される。したがって、遊技者が媒体を持
参して精算のためにフロントを訪れた際に、初期玉数Ｂ
として大きい値が媒体に記録されているときは、遊技店
側がその者を不審者として認識することができる。

【００１９】また、請求項４の発明は、請求項２に記載
する密閉式パチンコ装置であって、前記玉貸し指令手段
により遊技者に持ち玉数が付与される際にその玉数を計
数値に加算するとともにパチンコ遊技に使用された玉数
を計数値から減算する購入玉数係数手段を備え、前記出
力手段は、パチンコ遊技終了時に前記購入玉数係数手段
の計数値をも媒体に記録して出力することを特徴として
特定される。

【００２０】この密閉式パチンコ装置では、玉貸し手段
を操作することにより遊技者に持ち玉数が付与される
際、その分の玉数が購入玉数係数手段の計数値に加算さ
れる。遊技中に玉貸し指令手段が有効に操作された場合
も同様である。以下、この計数値を「初期玉数Ｂ」とい
う。一方、パチンコ遊技のいわゆる入賞により遊技者に
持ち玉数が付与される際には、初期玉数Ｂの加算はなさ
れない。そして初期玉数Ｂは、パチンコ遊技によりパチ
ンコ玉が消費されると減算される。ただし負の値にはな
らないものとする。

【００２１】そして、パチンコ遊技終了時に遊技者が出
力手段を操作すると、その時点での初期玉数Ｂも媒体に
記録されて出力される。したがって、遊技者が媒体を持
参して精算のためにフロントを訪れた際に、初期玉数Ｂ
として大きい値が媒体に記録されているときは、遊技店
側がその者を不審者として認識することができる。

【００２２】また、請求項５の発明は、請求項２ないし
請求項４のいずれかに記載する密閉式パチンコ装置であ
って、前記出力手段による出力を所定時間にわたり禁止
する出力禁止手段を備えることを特徴として特定され
る。

【００２３】この密閉式パチンコ装置では、出力禁止手
段を操作するとそれから所定時間を経過するまでの間
は、出力手段による出力が出力禁止手段により禁止され
ており、媒体を出力することができない。したがって、
遊技者がトイレ等の目的で離席しようとするときは、出
力禁止手段を操作しておけば、所定時間の間は他の遊技
者等により不正に媒体が出力され精算されてしまうこと
がない。その一方、出力が禁止される所定時間は、有限
（遊技店の営業方針により任意に定めうる）であるた
め、１人の遊技者がパチンコ機を占拠したまま他のパチ
ンコ機で遊技したりあるいは離店したりするような事実
上の営業妨害行為は抑制される。

【００２４】また、請求項６の発明は、請求項１ないし
請求項５のいずれかに記載する密閉式パチンコ装置であ
って、遊技者が前記パチンコ機にパチンコ玉を投入する
端数玉投入口を備えることを特徴として特定される。

【００２５】パチンコ遊技店のフロントにおける遊技後
の精算は通常、ある程度まとまった玉数を単位に行われ
るので、その単位玉数に満たない端数が出る場合があ
る。パチンコ遊技店の営業方針によっては、端数分を実
際のパチンコ玉として遊技者に交付することにより遊技
の続行を許容する場合がある。この密閉式パチンコ装置
ではそのような場合であっても、フロントで交付された
パチンコ玉を遊技者が端数玉投入口から投入することに
より、遊技の続行が可能である。

【００２６】また、請求項７の発明は、請求項１ないし
請求項６のいずれかに記載する密閉式パチンコ装置であ
って、遊技者の持ち玉数の概数を遊技者に絵柄表示する
絵柄表示手段を備えることを特徴として特定される。

【００２７】この密閉式パチンコ装置では、遊技中、絵
柄表示手段により遊技者の持ち玉数の概数が遊技者に絵
柄表示されている。この絵柄表示により遊技者は、密閉
式でない通常のパチンコ装置における通称「ドル箱」と
称される玉容器とほぼ同じ感覚で、現在の持ち玉数の概
数を把握できるものである。なお、密閉式パチンコ装置
は、この絵柄表示手段の他、各計数値（実玉数、仮想玉
数、場合により初期玉数ＡまたはＢ）を遊技者にデジタ
ル表示する手段を備えることができる。

【００２８】また、請求項８の発明は、請求項１ないし
請求項７のいずれかに記載する密閉式パチンコ装置であ
って、遊技者の持ち玉数の概数を遊技者以外の者に表示
する誇示手段を備えることを特徴として特定される。

【００２９】この密閉式パチンコ装置では、遊技中、誇
示手段により遊技者の持ち玉数の概数が遊技者以外の者
に対し表示されている。密閉式でない通常のパチンコ装
置の場合には、遊技者心理として自己の出玉状況を「ド
ル箱」の数により他の遊技者に自慢したい気持ちがある
が、密閉式パチンコ装置でもこの誇示手段によりそのよ
うな欲求が満たされるものである。また遊技店として
は、誇示手段を店外からも見えるように設置すれば、入
店するか否か迷っている客に対し出玉状況をアピールで
きるので入店誘引作用があり、この点でも「ドル箱」の
感覚に近くなる。この誇示手段は、前記した絵柄表示手
段と兼用でも別々でもいずれでもよい。

【００３０】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係る実施の形態
を、図面を参照しつつ詳細に説明する。

【００３１】［第１の実施の形態］本実施の形態に係る
パチンコ装置の正面は図１に示すように、パチンコ機１
と玉貸し機２とを有し、パチンコ遊技を行うための種々
の操作スイッチ類や表示類などが配置されている。この
パチンコ装置は、プリペイドカードを利用してパチンコ
遊技を行うものである。

【００３２】操作スイッチ類としては、パチンコ機１の
盤面１０の下方の操作板１１に、玉打ちハンドル１２の
他、玉貸し要求ボタン１３、プリペイドカード返却ボタ
ン１４が設けられている。盤面１０の上方には、係員呼
び出しボタン１６が設けられている。また、玉貸し機２
には、発券ボタン１７と発券ロックボタン１８とが設け
られている。

【００３３】玉打ちハンドル１２は、遊技者が打ち強度
を調整しつつ玉打ち操作をするハンドルである。玉貸し
要求ボタン１３は、プリペイドカードの残り度数を引き
落とすことによる玉貸しを要求するときに押下するボタ
ンである。プリペイドカード返却ボタン１４は、玉貸し
機２にプリペイドカードが挿入されているときにこれを
排出させるボタンである。係員呼び出しボタン１６は、
遊技店の係員を呼び出すためのボタンであり、釘に引っ
かかって動かないパチンコ玉が発生したとき等のトラブ
ル時に使用されるものである。発券ボタン１７は、遊技
者の持ち玉数その他の遊技情報を記録した精算カード
（プリペイドカードとは別）を出力させるボタンであ
る。そして発券ロックボタン１８は、発券ボタン１７の
押下による精算カードの出力を所定時間（５分程度）に
わたり禁止するためのボタンであり、遊技者がトイレ等
の目的で一時的に離席するときに用いるものである。

【００３４】表示類としては、操作板１１に設けられた
プリペイドカード残り度数表示器２０および入賞玉数デ
ジタル表示器２１と、盤面１０の上方左側に設けられた
初期玉数デジタル表示器２２と、上方中央に設けられた
呼び出し表示灯２３および出玉状況表示灯２４と、上方
右側の入賞玉数デジタル表示器２５と、盤面１０の右上
隅に設けられたドル箱表示器２６と、左上隅に設けられ
た入賞表示灯２７とがある。

【００３５】プリペイドカード残り度数表示器２０は、
玉貸し機２内に挿入されているプリペイドカードの残り
度数をデジタル表示するものである。入賞玉数デジタル
表示器２１および初期玉数デジタル表示器２２は、遊技
者の持ち玉数のうちパチンコ機１内の打ち玉可能な実際
のパチンコ玉の個数を除いた分の個数をデジタル表示す
るものであり、その詳細な役割分担は後述する。呼び出
し表示灯２３は、係員呼び出しボタン１６が押下された
ときに点灯するものであり、呼び出しをしたのがどのパ
チンコ装置であるかが係員に認識できるように設置した
ものである。

【００３６】出玉状況表示灯２４は、遊技者の持ち玉数
の概数を電光表示するものであり、特に当該遊技者以外
の者に誇示することを目的とするものである。入賞玉数
デジタル表示器２５は、入賞玉数デジタル表示器２１と
同じ機能を有する表示器であるが、主として当該遊技者
以外の者に対する表示のためのものである。ドル箱表示
器２６は、遊技者の持ち玉数の概数を絵柄表示するもの
であり、従来型のパチンコ装置でパチンコ玉を収容する
ために使用される通称「ドル箱」を模した絵柄の数によ
り、持ち玉数の概数が表示されるものである。入賞表示
灯２７は、パチンコ遊技にいわゆる入賞があったときに
点灯するものである。

【００３７】そしてこれらの他、カード挿入口３０と端
数玉投入口３１とが玉貸し機２に設けられている。カー
ド挿入口３０は、遊技者がプリペイドカードまたは他の
パチンコ装置で発券された精算カードを挿入するポート
である。端数玉投入口３１は、遊技者が遊技店のフロン
トで精算の際に再挑戦のために交付された端数分のパチ
ンコ玉を投入するポートである。

【００３８】このパチンコ装置では、１２５個というあ
らかじめ決められた個数のパチンコ玉を内部で循環させ
て使用し、遊技者が実際にパチンコ玉に触れることなく
（端数分のパチンコ玉を端数玉投入口３１に投入すると
きを除く）遊技できるようにしている。すなわちこのパ
チンコ装置は、密閉式のパチンコ装置である。そのた
め、遊技者の持ち玉数が１２５個を超える場合には、そ
の超える分の個数は電子的に計数されるようになってい
る。

【００３９】このパチンコ装置におけるパチンコ玉の循
環系統を図２により説明する。この循環系統は、パチン
コ機１に設けられた上皿４０と、この上皿４０に対しパ
チンコ玉の供給および回収を行う玉タンク４５とを中心
に構成されている。上皿４０は、パチンコ機１の遊技者
から見て裏面側に玉打ち機４１とともに設置されてお
り、ここにパチンコ玉が収容されているときは、玉打ち
ハンドル１２の操作により玉打ち機４１でそのパチンコ
玉を盤面１０に向けて打ち出すことが可能であり、その
パチンコ玉は遊技者の持ち玉の一部をなすものである。
これに対し玉タンク４５内のパチンコ玉は、玉打ち機４
１で打ち出すことはできない。すなわち、遊技者の持ち
玉ではない。なお、本願においては用語上、パチンコ機
１は玉タンク４５を含まないものとする。

【００４０】パチンコ機１内には、玉打ち機４１により
上皿４０から打ち出されたパチンコ玉を受けるファウル
ポート４２、入賞ポート４３、アウトポート４４が設け
られている。ファウルポート４２は、盤面１０に向けて
打ち出されたパチンコ玉のうち、勢いが弱すぎるいわゆ
るファウル玉を、上皿４０に戻すためのポートである。
入賞ポート４３は、盤面１０内に複数個設けられてお
り、ここにパチンコ玉が入るといわゆる入賞である。ア
ウトポート４４は、盤面１０内の最下部に設けられてお
り、どの入賞ポート４３にも入らなかったパチンコ玉は
いわゆるアウト玉としてここに落ち込むこととなる。各
入賞ポート４３およびアウトポート４４はともに玉タン
ク４５に接続されており、入ったパチンコ玉が玉タンク
４５に帰るようになっている。

【００４１】また、上皿４０と玉タンク４５との間に
は、送玉機４６および排玉扉４７が設けられている。送
玉機４６は、玉タンク４５内のパチンコ玉を上皿４０へ
送るものである。排玉扉４７は、通常時は閉じられてお
り上皿４０内のパチンコ玉が勝手に玉タンク４５に落ち
ることがないようにしているが、精算のときに開かれて
上皿４０に残っているパチンコ玉を玉タンク４５に排出
するものである。

【００４２】端数玉投入口３１は、上皿４０と玉タンク
４５との両方に接続されている。そして、その分岐点Ｑ
と端数玉投入口３１との間には投入玉カウンタ４８が、
分岐点Ｑと玉タンク４５との間には投入余剰玉カウンタ
４９が、それぞれ設けられている。また、上皿４０から
分岐点Ｑに至る範囲のパチンコ玉容量は、１２５個とさ
れており、投入された玉数のうちこれを超える分は分岐
点Ｑから投入余剰玉カウンタ４９を経て玉タンク４５に
至るようになっている。また、多数のパチンコ装置の玉
タンク４５を統括管理する集中管理庫５０が設けられて
いる。

【００４３】次に、パチンコ装置の制御系について、図
３および図４を参照して説明する。図３のブロック図に
示す制御系は、公知のＲＯＭ６１およびＲＡＭ６２を備
えたＣＰＵ６０を中心に、種々のセンサ、アクチュエー
タ類を接続して構成されている。ＣＰＵ６０は、そのク
ロック機能をタイマとして使用できるようにされてい
る。ＲＯＭ６１には、パチンコ装置の制御のための種々
のプログラム類やデータテーブル等が格納されている。
ＲＡＭ６２には、パチンコ装置の制御上必要な数値類を
一時記憶する種々のデータメモリが設けられている。そ
の主なものとして、図４のメモリ構成図に示すように、
初期仮想玉数メモリ６２ａ、入賞仮想玉数メモリ６２
ｂ、実玉数メモリ６２ｃがある。

【００４４】初期仮想玉数メモリ６２ａは、遊技者の持
ち玉数のうちパチンコ機１内の実際のパチンコ玉数（実
玉数）を超えるために電子的に計数される分の個数であ
って、玉貸し要求ボタン１３の操作により得られた個数
（以下、「初期仮想玉数」という）を記憶する領域であ
る。この初期仮想玉数は後述するように、プリペイドカ
ードの使用による玉貸しを許容するか否かの判断の指標
としても用いられる。入賞仮想玉数メモリ６２ｂは、同
じく電子的に計数される個数であるが、パチンコ遊技の
入賞により獲得された個数（以下、「入賞仮想玉数」と
いう）を記憶する領域である。初期仮想玉数と入賞仮想
玉数との合計が、遊技者の持ち玉数のうち電子的に計数
されている分の個数（仮想玉数）である。したがって遊
技者の総持ち玉数は、初期仮想玉数と入賞仮想玉数と実
玉数との３つの合計である。実玉数メモリ６２ｃは、パ
チンコ機１内の実玉数を記憶する領域であるが、実際に
は精算動作時にしか使用されない。

【００４５】ＣＰＵ６０に付設されたセンサ、アクチュ
エータ類としては、カードユニット６３、発券機６４、
玉貸し要求ボタン１３、カード返却ボタン１４、発券ボ
タン１７、発券ロックボタン１８、玉打ちハンドル１
２、玉打ち機４１、送玉機４６、排玉扉４７、入賞セン
サ６５、玉タンク４５、表示類２８、投入玉カウンタ４
８、投入余剰玉カウンタ４９、等がある。また、図示は
省略するが、表示または音声により遊技者に対して簡単
なメッセージを伝達できるようになっている。

【００４６】カードユニット６３は、玉貸し機２に設置
されており、カード挿入口３０から挿入されたプリペイ
ドカードまたは精算カードを取り扱うものである。その
機能は、プリペイドカードの残り度数の読み取りおよび
引き落としと、精算カードに記録されている各種玉数の
読み取りである。発券機６４は、玉貸し機２に設置され
ており、遊技終了時に各種玉数を記録した精算カードを
発行するものである。発行した精算カードは、カード挿
入口３０から排出するようになっている。

【００４７】そしてＣＰＵ６０は、玉貸し要求ボタン１
３から玉貸し要求信号を、カード返却ボタン１４からカ
ード返却信号を、発券ボタン１７から精算カード発行要
求信号を、発券ロックボタン１８からタイマを起動する
ロック信号を、玉打ちハンドル１２から玉打ち要求信号
と玉打ち強度信号とを、それぞれ受けるようになってい
る。

【００４８】また、ＣＰＵ６０から玉打ち機４１に対し
て玉打ち指令信号を発するようになっている。そして、
ＣＰＵ６０から送玉機４６に対して送玉信号を発するよ
うになっており、その一方、送玉機４６からＣＰＵ６０
に対し、上皿４０に送ったパチンコ玉の個数を報告する
ようになっている。また、ＣＰＵ６０から排玉扉４７に
対して開扉信号を発するようになっており、その一方、
排玉扉４７からＣＰＵ６０に対し、上皿４０から排出さ
れたパチンコ玉の個数を報告するようになっている。

【００４９】またＣＰＵ６０は、入賞センサ６５から入
賞信号を受けるようになっている。入賞センサ６５は、
各入賞ポート４３に設けられており、ＣＰＵ６０では入
賞の種類をも識別できるようになっている。そして、Ｃ
ＰＵ６０は玉タンク４５から、帰り玉信号を受けるよう
になっている。帰り玉信号は、入賞ポート４３またはア
ウトポート４４から玉タンク４５への帰り玉があったと
きに発せられるものである。その一方、ＣＰＵ６０から
玉タンク４５に対しては、端数玉投入口３１への玉投入
があったときに、投入された玉数を集中管理庫５０へ返
させるための信号が送られるようになっている。

【００５０】表示類２８としては、前記したプリペイド
カード残り度数表示器２０、入賞玉数デジタル表示器２
１、初期玉数デジタル表示器２２、呼び出し表示灯２
３、出玉状況表示灯２４、入賞玉数デジタル表示器２
５、ドル箱表示器２６、そして入賞表示灯２７がある。
このうちＲＡＭ６２に設けられている各玉数メモリと関
係するのは、入賞玉数デジタル表示器２１、初期玉数デ
ジタル表示器２２、入賞玉数デジタル表示器２５の３つ
である。入賞玉数デジタル表示器２１および２５はとも
に入賞仮想玉数メモリ６２ｂの計数値（入賞仮想玉数）
を表示するようになっており、初期玉数デジタル表示器
２２は初期仮想玉数メモリ６２ａの計数値（初期仮想玉
数）を表示するようになっている。

【００５１】またＣＰＵ６０は、端数玉投入口３１に投
入された玉数を投入玉カウンタ４８から、そのうち上皿
４０に入りきらずに分岐点Ｑから玉タンク４５に流れる
玉数を投入余剰玉カウンタ４９から、受信するようにな
っている。

【００５２】このパチンコ装置の動作を、図５ないし図
１１のフローチャートにより説明する。まず基本フロー
を図５により説明する。

【００５３】（Ｓ１）最初に初期設定が行われる。この
初期設定は、朝の開店時に全台について行われる他、打
ち止め等により遊技中止となったパチンコ装置について
その都度行われる。この初期設定が行われたとき、ＲＡ
Ｍ６２の各玉数メモリの内容はクリアされており値はす
べて０である。このため、入賞玉数デジタル表示器２
１、２５、初期玉数デジタル表示器２２はいずれも０を
表示している。同様に、出玉状況表示灯２４は消灯して
おり、ドル箱表示器２６にドル箱の絵柄は１つも表示さ
れていない。また、１２５個のパチンコ玉はすべて玉タ
ンク４５内に存在しており、上皿４０にはパチンコ玉は
１個もない。

【００５４】この初期設定が行われるとメインルーチン
状態となる。すなわち、カード挿入（Ｓ２）、玉貸し要
求（Ｓ４）、端数玉投入（Ｓ６）、入賞（Ｓ８）、帰り
玉（Ｓ１０）、カード返却要求（Ｓ１２）、精算要求
（Ｓ１４）、その他の信号（Ｓ１６）、についての有無
の判断を繰り返しつつ何らかの操作が行われるのを待つ
状態である。

【００５５】（Ｓ２、Ｓ３）玉貸し機２のカード挿入口
３０へのカードの挿入が検知されると（Ｓ２：Ｙｅ
ｓ）、カードユニット６３でそのカードを受け付けるカ
ード処理が行われる（Ｓ３）。カード処理の詳細は図６
で説明する。

【００５６】（Ｓ４、Ｓ５）玉貸し要求ボタン１３から
の玉貸し要求信号が検知されると（Ｓ４：Ｙｅｓ）、遊
技者の持ち玉数が所定の上限値を超えていない限り持ち
玉数を付与する玉貸し処理が行われる（Ｓ５）。玉貸し
処理の詳細は図７で説明する。

【００５７】（Ｓ６、Ｓ７）端数玉投入口３１へのパチ
ンコ玉の投入が検知されると（Ｓ６：Ｙｅｓ）、投入さ
れたパチンコ玉を受け付ける端数玉処理が行われる（Ｓ
７）。端数玉処理の詳細は後述する。

【００５８】（Ｓ８、Ｓ９）入賞ポート４３からのパチ
ンコ遊技の入賞信号が検知されると（Ｓ８：Ｙｅｓ）、
その入賞の種類に応じて遊技者に持ち玉数を付与する入
賞処理が行われる（Ｓ９）。入賞処理の詳細は後述す
る。

【００５９】（Ｓ１０、Ｓ１１）入賞ポート４３もしく
はアウトポート４４から玉タンク４５への帰り玉が検知
されると（Ｓ１０：Ｙｅｓ）、仮想玉数があればこれを
減算するともに上皿４０にパチンコ玉を補充する帰り玉
処理が行われる（Ｓ１１）。帰り玉処理の詳細は後述す
る。

【００６０】（Ｓ１２、Ｓ１３）カード返却ボタン１４
からのカード返却信号が検知されると（Ｓ１２：Ｙｅ
ｓ）、カードユニット６３にプリペイドカードが挿入さ
れていればカード挿入口３０からそのカードを排出して
返却する（Ｓ１３）。

【００６１】（Ｓ１４、Ｓ１５）発券ボタン１７からの
精算要求信号が検知されると（Ｓ１４：Ｙｅｓ）、上皿
４０に残っているパチンコ玉を排出してから精算カード
を発行する発券処理が行われる（Ｓ１５）。発券処理の
詳細は後述する。

【００６２】（Ｓ１６、Ｓ１７）発券ロックボタン１８
からのロック信号が検知されると（Ｓ１６：Ｙｅｓ）、
ＣＰＵ６０のタイマが起動される（Ｓ１７）。このタイ
マが起動されてからアップするまでの間は、後述するよ
うに発券ボタン１７の操作が無効とされ精算カードの発
行がなされない。

【００６３】（Ｓ１８、Ｓ１９）その他の信号があると
（Ｓ１８：Ｙｅｓ）、その信号の種類に応じた各種処理
が行われる（Ｓ１９）。ここでの各種処理には例えば、
呼び出しボタン１６が押されたとき等の一時停止などが
ある。釘に引っかかって動かないパチンコ玉が発生した
ときや遊技者が食事等のためにある程度まとまった時間
離席しようとするときのために係員を呼び出す場合等
に、呼び出しボタン１６が使用される。

【００６４】次に前記Ｓ３のカード処理について、図６
により説明する。

【００６５】（Ｓ２１）まず、カード挿入口３０から挿
入されたカードについて、カードユニット６３で情報を
読みとり、そのカードがパチンコ用のプリペイドカード
であるか否かを判断する。パチンコ用のプリペイドカー
ドである場合（Ｙｅｓ）にはＳ２２へ進み、パチンコ用
のプリペイドカードでない場合（Ｎｏ）にはＳ２４へ進
む。

【００６６】（Ｓ２２）そのカードはパチンコ用のプリ
ペイドカードであるので（Ｓ２１：Ｙｅｓ）、引き落と
し可能な残り度数の有無を判断する。残り度数がある場
合（Ｙｅｓ）にはＳ２３へ進み、残り度数がない場合
（Ｎｏ）にはＳ２５へ進む。

【００６７】（Ｓ２３）挿入されているプリペイドカー
ドに残り度数があるので（Ｓ２２：Ｙｅｓ）、その残り
度数をプリペイドカード残り度数表示器２０に表示す
る。これにより、遊技者が玉貸し要求ボタン１３を押せ
ば残り度数の引き落としによる玉貸しが行われ得る状態
となる。なお、そのプリペイドカードはこの後、カード
返却要求があるかまたは残り度数がなくなるまでカード
ユニット６３にとどまる。

【００６８】（Ｓ２４）そのカードはパチンコ用のプリ
ペイドカードでないので（Ｓ２１：Ｎｏ）、次に精算カ
ードであるか否かを判断する。精算カードである場合
（Ｙｅｓ）にはＳ２７へ進み、精算カードでない場合
（Ｎｏ）にはＳ２５へ進む。なお、精算カードについて
の詳細は図１１および図１２についての説明を参照され
たい。

【００６９】（Ｓ２５）そのカードは、パチンコ用のプ
リペイドカードであるが残り度数がない（Ｓ２２：Ｎ
ｏ）かまたはパチンコ用のプリペイドカードでも精算カ
ードでもない（Ｓ２４：Ｎｏ、テレホンカード等が挿入
された場合が考えられる）かのいずれかであり、玉貸し
機２での使用ができないのでその旨のメッセージを発す
る。ここで発せられるメッセージは例えば、「残り度数
がありません」、「このカードは使用できません」等で
ある。

【００７０】（Ｓ２６）使用できないカードをカード挿
入口３０から外部に排出し、遊技者に返却する。このた
め、カードユニット６３にカードがない状態となる。

【００７１】（Ｓ２７）挿入されているカードが精算カ
ードなので（Ｓ２４：Ｙｅｓ）、その精算カードに記録
されている玉数データをパチンコ装置に再現する。すな
わち、実玉数として記録されている個数のパチンコ玉を
玉タンク４５から上皿４０へ送玉機４６により送玉し、
カードの実玉数データを消去する。そして、初期仮想玉
数として０でない値が記録されていればそれを初期仮想
玉数メモリ６２ａに書き込むとともに初期玉数デジタル
表示器２２に表示し、カードの初期仮想玉数データを消
去する。これにより、遊技者が玉打ちハンドル１２を操
作すればパチンコ遊技が可能な状態となる。なお、入賞
仮想玉数については通常は再現させないが、遊技店の営
業方針として入賞仮想玉数の再現を許容する場合は、入
賞仮想玉数として０でない値が記録されていればそれを
入賞仮想玉数メモリ６２ｂに書き込むとともに入賞玉数
デジタル表示器２１および２５に表示し、カードの入賞
仮想玉数データを消去する。

【００７２】（Ｓ２８）再現後の精算カードの処理を行
う。すなわち、カードに入賞仮想玉数データが残ってい
ればカード挿入口３０から外部に排出し、遊技者に返却
する。入賞仮想玉数のデータがもともと０だった場合ま
たは遊技店の営業方針として入賞仮想玉数をもパチンコ
装置に再現させた場合は、その精算カードは役目を終え
たので、玉貸し機２の内部に回収する。これによりカー
ドユニット６３にカードがない状態となる。なお、精算
カードが回収された場合、その精算カードはすべてのデ
ータがクリアされ、次回の精算の際にリサイクルされ
る。

【００７３】前記Ｓ２３、Ｓ２６、Ｓ２８のいずれかの
工程がなされると、カード処理は終了し、図５の基本フ
ローに戻る。

【００７４】続いて、前記Ｓ５の玉貸し処理について、
図７により説明する。

【００７５】（Ｓ３１）まず、カードユニット６３にカ
ードがあるかないかを判断する。カードがある場合（Ｙ
ｅｓ）にはＳ３２へ進み、ない場合（Ｎｏ）にはＳ３９
へ進む。ここでカードがある場合には、そのカードは必
ずパチンコ用のプリペイドカードであって引き落とし可
能な残り度数が存在するものである。前記図６のカード
処理で説明したように、これ以外のカードをカード挿入
口３０に挿入してもすぐに返却される（Ｓ２６）か回収
され（Ｓ２８）、カードユニット６３に滞在することは
ないからである。

【００７６】（Ｓ３２）残り度数のあるプリペイドカー
ドがカードユニット６３に挿入されているので玉貸しは
可能であるが、その前に遊技者の持ち玉数が上限値以内
であるか否かの判断を行う。本実施の形態では前記のよ
うに、初期仮想玉数によりこの判断を行う。すなわち、
上限値が仮に初期仮想玉数「１００個」であるとすれ
ば、初期仮想玉数が１００以下ならＹｅｓと判断し、１
０１以上ならＮｏと判断する。上限値以内である場合
（Ｙｅｓ）にはＳ３３へ進み、上限値を超えている場合
（Ｎｏ）にはＳ３９へ進む。

【００７７】（Ｓ３３）上限値以内なので、玉貸しを行
う。すなわち、遊技者に所定数（例として１２５個とす
る）の持ち玉数が付与される。このため、玉タンク４５
内のパチンコ玉を送玉機４６により上皿４０へ送玉す
る。玉タンク４５内のパチンコ玉数は最大でも１２５個
なので、遊技中に貸し玉する場合などでは玉数が不足す
る場合がある。このため、実際に送られた玉数が送玉機
４６からＣＰＵ６０に報告される。

【００７８】（Ｓ３４）そして、実際に送られた玉数が
１２５個より少ない場合にはその不足分の個数を、初期
仮想玉数に加算する。すなわち、ＲＡＭ６２の初期仮想
玉数メモリ６２ａのデータをその分増やす。このとき、
初期玉数デジタル表示器２２の表示値も加算後の値に変
更する。

【００７９】（Ｓ３５）そしてカードユニット６３にお
いては、プリペイドカードの残り度数の引き落としを行
う。このとき、プリペイドカード残り度数表示器２０の
表示も引き落とし後の度数に変更する。

【００８０】（Ｓ３６）次に引き落とし後におけるプリ
ペイドカードの残り度数があるか否かを判断する。Ｓ３
５での引き落としにより残り度数がなくなる場合があ
り、その場合そのプリペイドカードはそれ以上使用でき
ないので遊技者に返却しなければならないからである。
具体的には、引き落とし後の残り度数が０である場合に
はＮｏと判断してＳ３７へ進み、０でない場合にはＹｅ
ｓと判断してそのまま玉貸し処理を終了する。

【００８１】（Ｓ３７）プリペイドカードに残り度数が
なくなったので、その旨のメッセージを発する。ここで
発せられるメッセージは例えば、「残り度数がなくなり
ました」等である。

【００８２】（Ｓ３８）当該プリペイドカードを、カー
ド挿入口３０から外部に排出して遊技者に返却する。こ
れにより、カードユニット６３にカードがない状態とな
る。

【００８３】（Ｓ３９）カードユニット６３にカードが
ない（Ｓ３１：Ｎｏ）ために玉貸しができないか、また
は遊技者の持ち玉数が上限値を超えている（Ｓ３２：Ｎ
ｏ）ために玉貸しをしない場合には、その旨のメッセー
ジを発する。ここで発せられるメッセージは例えば、
「カードが挿入されていません」、「持ち玉数が十分あ
るのでプレイして下さい」等である。

【００８４】前記Ｓ３８、Ｓ３９のいずれかの工程がな
されるか、Ｓ３６でＹｅｓと判断されると、玉貸し処理
は終了し、図５の基本フローに戻る。

【００８５】次に、前記Ｓ７の端数玉処理について、図
８により説明する。

【００８６】（Ｓ４１）端数玉投入口３１にパチンコ玉
が投入されると、投入されたパチンコ玉のうち上皿４０
に入りきらずに分岐点Ｑから玉タンク４５に流れる投入
余剰玉の玉数が投入余剰玉カウンタ４９によりカウント
されるので、その分を遊技者の持ち玉数に入れるため、
その投入余剰玉数を初期仮想玉数に加算する。すなわ
ち、ＲＡＭ６２の初期仮想玉数メモリ６２ａのデータを
その分増やす。このとき、初期玉数デジタル表示器２２
の表示値も加算後の値に変更する。なお、この工程にお
いて投入余剰玉数の加算先を初期仮想玉数でなく入賞仮
想玉数としてもよい。

【００８７】（Ｓ４２）また、端数玉投入口３１に投入
された玉数分そのパチンコ装置の総玉数が増えてしまう
ので、玉タンク４５から集中管理庫５０へ、投入玉カウ
ンタ４８によりカウントされた投入玉数分のパチンコ玉
を移動させる。これにより、パチンコ装置の総玉数は１
２５個に維持される。このＳ４２の工程がなされると、
端数玉処理は終了し、図５の基本フローに戻る。

【００８８】続いて、前記Ｓ９の入賞処理について、図
９により説明する。

【００８９】（Ｓ５１）パチンコ遊技によりいずれかの
入賞ポート４３にパチンコ玉が入ると、その入賞ポート
４３に設けられた入賞センサ６５が入賞信号を発するの
で、まず、入賞表示灯２７を点灯し、当該遊技者や他の
遊技者に対し入賞をアピールする。

【００９０】（Ｓ５２）そして、入賞の種類に応じた持
ち玉数を遊技者に付与するため、玉タンク４５から上皿
４０へ、送玉機４６により送玉する。ただし、入賞の種
類に応じた付与玉数を限度とする。このとき実際に送玉
された玉数が、送玉機４６によりカウントされている。

【００９１】（Ｓ５３）前記Ｓ５２において、玉タンク
４５にあった玉数が入賞の種類に応じた付与玉数より少
ないこともあり得るので、その不足分（付与玉数から送
玉機４６のカウント数を引いた残り）を入賞仮想玉数に
加算する。すなわち、ＲＡＭ６２の入賞仮想玉数メモリ
６２ｂのデータをその分増やす。このとき、入賞玉数デ
ジタル表示器２１、２５の表示値も加算後の値に変更す
る。また、出玉状況表示灯２４やドル箱表示器２６の表
示状態も加算後の値に応じて変更する。このＳ５３の工
程がなされると、入賞処理は終了し、図５の基本フロー
に戻る。なお、入賞ポート４３に入ったパチンコ玉はそ
の後玉タンク４５に帰って帰り玉信号を励起するので、
入賞処理の後には必ず図５中Ｓ１１の帰り玉処理が行わ
れることになる。

【００９２】次に、帰り玉処理について、図１０により
説明する。

【００９３】（Ｓ６１）まず、初期仮想玉数をチェック
しその値が０より大きいか否かを判断する。値が０より
大きい場合（Ｙｅｓ）にはＳ６２へ進み、０より大きく
ない場合（Ｎｏ）には、Ｓ６３へ進む。

【００９４】（Ｓ６２）初期仮想玉数に正の値があるの
で、その値を「１」減算する。このとき、初期玉数デジ
タル表示器２２の表示値も減算後の値に変更する。

【００９５】（Ｓ６３）初期仮想玉数の値が０であるた
め、入賞仮想玉数をチェックしその値が０より大きいか
否かを判断する。値が０より大きい場合（Ｙｅｓ）には
Ｓ６４へ進み、０より大きくない場合（Ｎｏ）には、そ
のまま帰り玉処理を終了する。

【００９６】（Ｓ６４）初期仮想玉数は０だが入賞仮想
玉数に正の値があるので、その値を「１」減算する。こ
のとき、入賞玉数デジタル表示器２１、２５の表示値も
減算後の値に変更する。また、出玉状況表示灯２４やド
ル箱表示器２６の表示状態も減算後の値に応じて変更す
る。

【００９７】（Ｓ６５）初期仮想玉数または入賞仮想玉
数のいずれか一方を「１」減算したので（Ｓ６２、Ｓ６
４）、玉タンク４５から上皿４０へパチンコ玉を１個、
送玉機４６により送玉する。このとき玉タンク４５に
は、少なくとも１個のパチンコ玉（入賞ポート４３また
はアウトポート４４からの帰り玉）が存在するので、送
玉できないということはない。

【００９８】このＳ６５の工程がなされるか、前記Ｓ６
３でＮｏと判断されると、入賞処理は終了し、図５の基
本フローに戻る。

【００９９】続いて、前記Ｓ１５の発券処理について、
図１１により説明する。

【０１００】（Ｓ８１）まず、精算カードの発行がロッ
クされているか否かを判断する。発券ロックボタン１８
によりＣＰＵ６０のタイマが起動され（図５のＳ１７）
てからアップするまでの間に発券ボタン１７が押下され
た場合にはＹｅｓと判断されてＳ９０に進む。すなわち
発券ボタン１７の操作が無効とされ精算カードの発行が
なされない。それ以外のときに発券ボタン１７が押下さ
れた場合にはＮｏと判断され、Ｓ８２へ進む。

【０１０１】（Ｓ８２）そして、排玉扉４７を開いて上
皿４０のパチンコ玉を玉タンク４５に排出する。このと
き、排玉扉４７を通過する玉数がカウントされる。この
玉数は、発券処理に入る直前における実玉の個数であ
る。

【０１０２】（Ｓ８３）Ｓ８２でカウントした玉数を実
玉数に加算する。すなわち、ＲＡＭ６２の実玉数メモリ
６２ｃにその玉数の値を書き込む。

【０１０３】（Ｓ８４、Ｓ８５）そして、カードユニッ
ト６３にプリペイドカードが挿入されているか否かを判
断し（Ｓ８４）、挿入されている場合（Ｓ８４：Ｙｅ
ｓ）にはそのカードをカード挿入口３０から外部に排出
して遊技者に返却してから（Ｓ８５）、Ｓ８６へ進む。
カードユニット６３にプリペイドカードが挿入されてい
ない場合（Ｓ８４：Ｎｏ）には、そのままＳ８６へ進
む。

【０１０４】（Ｓ８６）そして、ＲＡＭ６２に記録され
ている玉数がすべて０であるか否かを判断する。すなわ
ち、初期仮想玉数（６２ａ）、入賞仮想玉数（６２
ｂ）、実玉数（６２ｃ）のすべてが０である場合にはＹ
ｅｓと判断されてＳ９０に進む。すなわち遊技者に持ち
玉が全くなく精算の必要がないので精算カードの発行は
なされない。いずれか１つでも０でない玉数があればＮ
ｏと判断されてＳ８７へ進む。

【０１０５】（Ｓ８７、Ｓ８８、Ｓ８９）発券機６４を
用いて、遊技者の各玉数を記録した精算カードを発行す
る（Ｓ８７）。精算カードには、各玉数の他、日付、遊
技の開始および終了時刻、持ち玉総数、台番号等が磁気
記録され、また図１２に示すように記録内容が表面に記
載されている。発行された精算カードはカード挿入口３
０から外部に排出され遊技者に交付される（Ｓ８８）。
したがって遊技者は、この精算カードを遊技店のフロン
トに持参して精算を行うことができる。また他のパチン
コ装置に移動して、各持ち玉数を再現して遊技を再開す
ることもできる（図６のＳ２７）。精算カードを排出し
たら各表示類をオフする（Ｓ８９）。このときＲＡＭ６
２の各玉数データもクリアされ、次の遊技者を待つ状態
となる。

【０１０６】（Ｓ９０）精算カードの発行を行わないの
で、その旨のメッセージを発する。ここで発せられるメ
ッセージは例えば、「ロック中です」、「持ち玉数があ
りません」等である。

【０１０７】Ｓ８９、Ｓ９０のいずれかの工程がなされ
ると、発券処理は終了し、図５の基本フローに戻る。

【０１０８】このパチンコ装置では、着席した遊技者が
玉貸し機２のカード挿入口３０にプリペイドカードを投
入し、玉貸し要求ボタン１３を何度か押して残り度数を
引き落とし持ち玉数の付与を受けようとすると、１回目
は玉タンク４５から上皿４０へ１２５個全部のパチンコ
玉が送られる（図７のＳ３３）。２回目は玉タンク４５
にパチンコ玉がないので、初期仮想玉数に１２５個が加
算される（図７のＳ３４）。３回目は、初期仮想玉数が
上限値を超えているものと判断され（図７のＳ３２：Ｎ
ｏ）、玉貸しはなされず度数の引き落としもなされな
い。

【０１０９】パチンコ遊技を行い入賞があると、その入
賞により付与された持ち玉数であって玉タンク４５内の
実際のパチンコ玉数では不足する分は入賞仮想玉数に加
算される（図９のＳ５３）。入賞ポート４３またはアウ
トポート４４に入ったパチンコ玉は玉タンク４５への帰
り玉となるが、初期仮想玉数と入賞仮想玉数とのいずれ
かに正の値があればその減算と引き替えに再び上皿４０
へ送られる（図１０のＳ６２、Ｓ６４、Ｓ６５）。した
がって、初期仮想玉数または入賞仮想玉数に正の値があ
る限り玉タンク４５にパチンコ玉が滞留することはな
い。また、仮想玉数の減算は初期仮想玉数が優先される
（図１０のＳ６１）。初期仮想玉数が減少して上限値以
内となれば、再びプリペイドカードの残り度数の引き落
としが可能となる（図７のＳ３２：Ｙｅｓ）。

【０１１０】遊技中は入賞仮想玉数の概数が出玉状況表
示灯２４やドル箱表示器２６により表示され、従来の
「ドル箱」に近い感覚で当該遊技者や他の遊技者等に対
し出玉状況が示される。遊技を終了して精算しようとす
るときは、遊技者が発券ボタン１７を押すと、上皿４０
内のパチンコ玉が玉タンク４５に排出されるとともにそ
の個数（実玉数）がカウントされ（図１１のＳ８２、Ｓ
８３）、初期仮想玉数および入賞仮想玉数とともに精算
カードに記録される（図１１のＳ８７）。この精算カー
ドはフロントでの精算に使用できる他、他のパチンコ装
置に移動しての遊技再開にも使用できる（図６のＳ２
７）。また、フロントでの精算に際し端数玉の付与を受
けた場合はそれをパチンコ装置の端数玉投入口３１に投
入することにより遊技を再開することができる（図
８）。その場合もパチンコ装置のパチンコ玉の総数は１
２５個に維持される（図８のＳ４２）。また、遊技者が
トイレ等の目的で離席しようとするときは、発券ロック
ボタン１８を押してタイマを起動させれば（図５のＳ１
７）、その後所定の時間内は発券ボタン１７の操作が無
効とされるので（図１１のＳ８１：Ｙｅｓ）、他の遊技
者等に勝手に精算操作がなされ精算カードが持ち去られ
るのを防ぐことができる。

【０１１１】以上詳細に説明したように、本実施の形態
に係るパチンコ装置によれば、遊技者が玉貸し要求ボタ
ン１３を押してプリペイドカードの残り度数の引き落と
しによる持ち玉数の付与を受けようとしたときに、初期
仮想玉数をチェックして所定の上限値を超えている場合
には玉貸しを行わないこととし（図７のＳ３２）、また
玉貸しする場合に玉タンク４５内の実際のパチンコ玉数
の不足分を初期仮想玉数に加算することとしているので
（図７のＳ３４）、遊技者がパチンコ遊技を行うことな
く残り度数の引き落としのみを繰り返そうとしても、高
々２回が限度である。したがって、残り度数の引き落と
しによるプリペイドカードの事実上の換金を行おうとす
ると、玉貸し操作２回ごとに精算操作が必要なため著し
く面倒であり、また遊技店側でもそのような行為を行う
者を不審者として認識することができる。

【０１１２】また、遊技者の持ち玉数のうち仮想玉の部
分が、プリペイドカードの残り度数の引き落とし等によ
る初期仮想玉数とパチンコ遊技の入賞による入賞仮想玉
数とに分けられており、精算カードに区別されて記録さ
れるので、精算カードに記録された持ち玉数のうち初期
仮想玉数が占める割合の大きい場合、遊技店側ではその
者を不審者として認識することができる。かくして、プ
リペイドカードの事実上の換金性が著しく低減され、変
造カードを横行させるインセンティブをほとんどなくし
たパチンコ装置が実現されている。

【０１１３】また、発券ロックボタン１８が押下された
後所定時間にわたっては発券ボタン１７の操作が無効と
なるようにしたので、当該遊技者以外の者に勝手に精算
される危険を排除したセキュリティーの高いパチンコ装
置が実現されている。また、出玉状況を出玉状況表示灯
２４やドル箱表示器２６により表示するようにしたの
で、従来の「ドル箱」に近い感覚が維持され、パチンコ
遊技愛好者の心情に応えるとともに、パチンコ店として
顧客誘引性を期待できるようになっている。

【０１１４】なお、この実施の形態は本発明を何ら限定
するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で
種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。
例えば、フロントでの精算の際の端数玉の処理は、遊技
者に実際のパチンコ玉を交付する代わりに端数玉数を記
録した端数玉カードを交付することとしてもよい。この
場合端数玉カードをカード挿入口３０に投入することに
より図６のＳ４：Ｙｅｓの場合と同様に遊技が再開され
るので、端数玉投入口３１等を設ける必要がなくなる。
また、図１１のＳ８２でカウントした実玉数を、独立の
値として精算カードに記録する代わりに初期仮想玉数ま
たは入賞仮想玉数のいずれかに加算して出力することと
してもよい。また、図７のＳ３２の上限値の判断は、初
期仮想玉数で行う代わりに実玉数で行うこととしてもよ
い。ただしその場合には上皿４０または玉タンク４５に
玉数センサを設けることが必要となる。さらに、遊技者
が一時離席する際の安全策として、発券ロックボタン１
８のような短時間用のものの他に、食事等のための長時
間用のものを設けてもよい。ただしその場合には、遊技
者自身が操作するのでなく、係員呼び出しボタン１６に
より呼び出した店員が操作することとするのが好まし
い。

【０１１５】［第２の実施の形態］第２の実施の形態に
係るパチンコ装置は、第１の実施の形態のものと大部分
は同じなので、相違点のみ説明する。

【０１１６】まず、ＲＡＭ６２の各玉数メモリ領域の定
義（第１の実施の形態のものは図４）に相違がある。本
実施の形態のＲＡＭ６２では図１３に示すように主な玉
数メモリ領域として、仮想玉数メモリ６２ｄ、初期玉数
メモリ６２ｅ、実玉数メモリ６２ｃを設けている。仮想
玉数メモリ６２ｄは、遊技者の持ち玉数のうち実玉数を
超える分である仮想玉数を記憶する領域であるが、第１
の実施の形態の場合のように初期仮想玉数と入賞仮想玉
数とに分けることはしていない。したがって本実施の形
態での遊技者の総持ち玉数は、仮想玉数と実玉数との２
つの合計である。初期玉数メモリ６２ｄは、遊技者の持
ち玉数のうち玉貸し要求ボタン１３の操作により得られ
た個数を記憶する領域であるが、第１の実施の形態の場
合と異なり実玉の部分も含めた値が記憶される。実玉数
メモリ６２ｃは、第１の実施の形態の場合と同じくパチ
ンコ機１内の実玉数を記憶する領域であり実際には精算
動作時にしか使用されない。

【０１１７】また、ＲＡＭ６２の玉数メモリのこの違い
に基づき、入賞玉数デジタル表示器２１、２５は、仮想
玉数の値（６２ｄ）を表示する。したがってこの表示は
必ずしも入賞によるものとは限らないので、以下本実施
の形態ではこれらを「仮想玉数デジタル表示器２１、２
５」と称する。そして出玉状況表示灯２４やドル箱表示
器２６は、仮想玉数の概数を表示する。また、初期玉数
デジタル表示器２２は、初期玉数の値（６２ｅ）を表示
する。

【０１１８】次に、パチンコ装置の動作における玉貸し
処理に相違がある。本実施の形態での玉貸し処理は図１
４に示すように行われる。第１の実施の形態の玉貸し処
理（図７）との相違点は、Ｓ３２の工程での判断方法の
違いと、Ｓ３４の工程がＳ３４ａ、Ｓ３４ｂの２つの工
程で代えられていることである。

【０１１９】（Ｓ３２）第１の実施の形態のＳ３２で
は、上限値以内であるか否かの判断を初期仮想玉数によ
り行ったが、本実施の形態では仮想玉数により行う。す
なわち、上限値が仮に仮想玉数「１００個」であるとす
れば、仮想玉数が１００以下ならＹｅｓと判断し、１０
１以上ならＮｏと判断する。

【０１２０】（Ｓ３４ａ）第１の実施の形態のＳ３４で
は、Ｓ３３で実際に送られた玉数が１２５個より少ない
場合の不足個数を初期仮想玉数に加算したが、本実施の
形態では仮想玉数に加算する。すなわち、ＲＡＭ６２の
仮想玉数メモリ６２ｄのデータをその分増やす。このと
き、仮想玉数デジタル表示器２１、２５の表示値も加算
後の値に変更する。そして出玉状況表示灯２４やドル箱
表示器２６の表示状態も、加算後の値に応じて変更す
る。

【０１２１】（Ｓ３４ｂ）そして、遊技者に玉貸しによ
り付与された持ち玉数を初期玉数に加算する。ここで加
算されるのは第１の実施の形態のＳ３４と異なり、Ｓ３
３で実際に送られた玉数とＳ３４ａで仮想玉数に加算し
た玉数との合計値である。このとき、初期玉数デジタル
表示器２２の表示値も加算後の値に変更する。

【０１２２】また、端数玉処理にも相違がある。本実施
の形態での端数玉処理は図１５に示すように行われる。
第１の実施の形態の端数玉処理（図８）との相違点は、
Ｓ４１の工程がＳ４１ａの工程で代えられていることで
ある。

【０１２３】（Ｓ４１ａ）第１の実施の形態のＳ４１で
は、端数玉投入口３１に投入されたパチンコ玉のうち上
皿４０に入りきらずに玉タンク４５に流れる投入余剰玉
の玉数を初期仮想玉数に加算したが、本実施の形態では
仮想玉数に加算する。すなわち、ＲＡＭ６２の仮想玉数
メモリ６２ｄのデータをその分増やす。このとき、仮想
玉数デジタル表示器２１、２５の表示値も加算後の値に
変更する。そして出玉状況表示灯２４やドル箱表示器２
６の表示状態も、加算後の値に応じて変更する。なお、
この工程において投入余剰玉数を仮想玉数に加算するば
かりでなく初期玉数にも加算することとしてもよい。

【０１２４】そして、入賞処理にも相違がある。本実施
の形態での入賞処理は図１６に示すように行われる。第
１の実施の形態の入賞処理（図９）との相違点は、Ｓ５
３の工程がＳ５３ａの工程で代えられていることであ
る。

【０１２５】（Ｓ５３ａ）第１の実施の形態のＳ５３で
は、入賞の種類に応じた付与玉数から送玉機４６のカウ
ント数を引いた残りを入賞仮想玉数に加算したが、本実
施の形態では仮想玉数に加算する。すなわち、ＲＡＭ６
２の仮想玉数メモリ６２ｄのデータをその分増やす。こ
のとき、仮想玉数デジタル表示器２１、２５の表示値も
加算後の値に変更する。そして出玉状況表示灯２４やド
ル箱表示器２６の表示状態も、加算後の値に応じて変更
する。

【０１２６】さらに、帰り玉処理にも相違がある。本実
施の形態での帰り玉処理は第１の実施の形態の場合（図
１０）と異なり図１７に示すように行われる。

【０１２７】（Ｓ７１、Ｓ７２）まず、初期玉数をチェ
ックしその値が０より大きいか否かを判断する（Ｓ７
１）。値が０より大きい場合（Ｓ７１：Ｙｅｓ）にはＳ
７２へ進み、初期玉数の値を「１」減算する。このと
き、初期玉数デジタル表示器２２の表示値も減算後の値
に変更する。Ｓ７１で初期玉数の値が０より大きくない
場合（Ｓ７１：Ｎｏ）には、Ｓ７２をバイパスしてＳ７
３へ進む。

【０１２８】（Ｓ７３）次に、仮想玉数をチェックしそ
の値が０より大きいか否かを判断する。値が０より大き
い場合（Ｙｅｓ）にはＳ７４へ進み、０より大きくない
場合（Ｎｏ）には、そのまま帰り玉処理を終了する。

【０１２９】（Ｓ７４）仮想玉数に正の値があるので、
その値を「１」減算する。このとき、仮想玉数デジタル
表示器２１、２５の表示値も減算後の値に変更する。ま
た、出玉状況表示灯２４やドル箱表示器２６の表示状態
も減算後の値に応じて変更する。

【０１３０】（Ｓ７５）仮想玉数を「１」減算したので
（Ｓ７４）、玉タンク４５から上皿４０へパチンコ玉を
１個、送玉機４６により送玉する。このとき玉タンク４
５には、少なくとも１個のパチンコ玉（入賞ポート４３
またはアウトポート４４からの帰り玉）が存在するの
で、送玉できないということはない。

【０１３１】このＳ７５の工程がなされるか、前記Ｓ７
３でＮｏと判断されると、入賞処理は終了する。

【０１３２】本実施の形態のパチンコ装置では、着席し
た遊技者が玉貸し機２のカード挿入口３０にプリペイド
カードを投入し、玉貸し要求ボタン１３を何度か押して
残り度数を引き落とし持ち玉数の付与を受けようとする
と、１回目は玉タンク４５から上皿４０へ１２５個全部
のパチンコ玉が送られ（図１４のＳ３３）、そして初期
玉数に１２５個が加算される（図１４のＳ３４ｂ）。２
回目は玉タンク４５にパチンコ玉がないので、仮想玉数
に１２５個が加算され（図１４のＳ３４ａ）、そして初
期玉数にも１２５個が加算されて２５０個となる（図１
４のＳ３４ｂ）。３回目は、仮想玉数が上限値を超えて
いるものと判断され（図１４のＳ３２：Ｎｏ）、玉貸し
はなされず度数の引き落としもなされない。

【０１３３】パチンコ遊技を行い入賞があると、その入
賞により付与された持ち玉数であって玉タンク４５内の
実際のパチンコ玉数では不足する分は仮想玉数に加算さ
れる（図１６のＳ５３ａ）。入賞ポート４３またはアウ
トポート４４に入ったパチンコ玉は玉タンク４５への帰
り玉となるが、初期玉数に正の値があればその値が減算
され（図１７のＳ７２）、仮想玉数に正の値があればそ
の減算と引き替えに再び上皿４０へ送られる（図１７の
Ｓ７４、Ｓ７５）。したがって、仮想玉数に正の値があ
る限り玉タンク４５にパチンコ玉が滞留することはな
い。仮想玉数が減少して上限値以内となれば、再びプリ
ペイドカードの残り度数の引き落としが可能となる（図
１４のＳ３２：Ｙｅｓ）。

【０１３４】遊技中は仮想玉数の概数が出玉状況表示灯
２４やドル箱表示器２６により表示され、従来の「ドル
箱」に近い感覚で当該遊技者や他の遊技者等に対し出玉
状況が示される。遊技を終了して精算しようとするとき
は、遊技者が発券ボタン１７を押すと、上皿４０内のパ
チンコ玉が玉タンク４５に排出されるとともにその個数
（実玉数）がカウントされ（図１１のＳ８２、Ｓ８
３）、初期玉数および仮想玉数とともに図１８に示す精
算カードに記録される（図１１のＳ８７）。この精算カ
ードをフロントでの精算や他のパチンコ装置に移動して
の遊技再開に使用できることや、端数玉の投入により遊
技を再開することができること、発券ロックボタン１８
により離席中の不正な精算を防止できること等は第１の
実施の形態の場合と同様である。

【０１３５】以上詳細に説明したように、本実施の形態
に係るパチンコ装置によれば、遊技者が玉貸し要求ボタ
ン１３を押してプリペイドカードの残り度数の引き落と
しによる持ち玉数の付与を受けようとしたときに、仮想
玉数をチェックして所定の上限値を超えている場合には
玉貸しを行わないこととし（図１４のＳ３２）、また玉
貸しする場合に玉タンク４５内の実際のパチンコ玉数の
不足分を仮想玉数に加算することとしているので（図１
４のＳ３４ａ）、遊技者がパチンコ遊技を行うことなく
残り度数の引き落としのみを繰り返そうとしても、高々
２回が限度である。したがって、残り度数の引き落とし
によるプリペイドカードの事実上の換金を行おうとする
と、玉貸し操作２回ごとに精算操作が必要なため著しく
面倒であり、また遊技店側でもそのような行為を行う者
を不審者として認識することができる。

【０１３６】また、遊技者の持ち玉数のうちプリペイド
カードの残り度数の引き落としによる部分であってパチ
ンコ遊技により消費されていない部分が、初期玉数とし
て精算カードに区別されて記録されるので、精算カード
に記録された持ち玉数に対し初期玉数の割合が大きい場
合、遊技店側ではその者を不審者として認識することが
できる。かくして、プリペイドカードの事実上の換金性
が著しく低減され、変造カードを横行させるインセンテ
ィブをほとんどなくしたパチンコ装置が実現されてい
る。

【０１３７】なおこの実施の形態は、第１の実施の形態
と同様、本発明を何ら限定するものではなく、本発明の
要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であ
ることはもちろんである。例えば、端数玉の処理を実際
のパチンコ玉の代わりに端数玉カードを交付すること
や、長時間離席用の精算禁止手段を設けることは、第１
の実施の形態と同様に可能である。また、図１１のＳ８
２でカウントした実玉数を、独立の値として精算カード
に記録する代わりに仮想玉数に加算して、総持ち玉数と
初期玉数とのみを出力することとしてもよい。また、図
１４のＳ３２の上限値の判断は、仮想玉数で行う代わり
に実玉数で行うこととしてもよい。ただしその場合に
は、第１の実施の形態と同様に上皿４０または玉タンク
４５に玉数センサを設けることが必要となる。

【０１３８】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明に
よれば、パチンコ遊技を伴わないプリペイドカードの度
数引き落としを著しく面倒になっているので、プリペイ
ドカードの事実上の換金性を低減させた密閉式パチンコ
装置が提供されている。特に、請求項３、４に係る本発
明によれば、持ち玉数のうち玉貸し手段により付与され
た個数が媒体に記録されるので、遊技店側で不審者を認
識しやすい密閉式パチンコ装置が提供されている。ま
た、請求項５に係る本発明によれば、遊技者本人以外に
よる媒体の不正な持ち去りを防止できる密閉式パチンコ
装置が提供されている。また、請求項６に係る本発明に
よれば、端数玉の有効利用ができる密閉式パチンコ装置
が提供されている。また、請求項７、８に係る本発明に
よれば、従来機のドル箱と同じ感覚で持ち玉数をアピー
ルできる密閉式パチンコ装置が提供されている。

【図面の簡単な説明】

【図１】パチンコ装置の全体正面図である。

【図２】パチンコ装置の玉循環系統を説明する図であ
る。

【図３】パチンコ装置の制御系を説明するブロック図で
ある。

【図４】パチンコ装置の制御系におけるメモリ構成を説
明する図である。

【図５】パチンコ装置の制御の基本を示すフローチャー
トである。

【図６】カード処理の制御を示すフローチャートであ
る。

【図７】玉貸し処理の制御を示すフローチャートであ
る。

【図８】端数玉処理の制御を示すフローチャートであ
る。

【図９】入賞処理の制御を示すフローチャートである。

【図１０】帰り玉処理の制御を示すフローチャートであ
る。

【図１１】発券処理の制御を示すフローチャートであ
る。

【図１２】精算カードの記載例を示す図である。

【図１３】第２の実施の形態におけるメモリ構成を説明
する図である。

【図１４】第２の実施の形態における玉貸し処理の制御
を示すフローチャートである。

【図１５】第２の実施の形態における端数玉処理の制御
を示すフローチャートである。

【図１６】第２の実施の形態における入賞処理の制御を
示すフローチャートである。

【図１７】第２の実施の形態における帰り玉処理の制御
を示すフローチャートである。

【図１８】第２の実施の形態における精算カードの記載
例を示す図である。

【符号の説明】

１ パチンコ機 ２ 玉貸し機 １３ 玉貸し要求ボタン １７ 発券ボタン １８ 発券ロックボタン ２４ 出玉状況表示灯（誇示手段） ２６ ドル箱表示器（絵柄表示手段） ３１ 端数玉投入口 ４５ 玉タンク ６０ ＣＰＵ ６２ ＲＡＭ ６２ａ 初期仮想玉数メモリ ６２ｂ 入賞仮想玉数メモリ ６２ｄ 仮想玉数メモリ ６２ｅ 初期玉数メモリ ６４ 発券機

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｇ０７Ｆ 7/08 Ｇ０７Ｆ 7/08 Ｌ Ｓ

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 遊技者がパチンコ遊技を行うパチンコ機
   と、前記パチンコ機に対しパチンコ玉の供給および回収
   を行う玉タンクと、プリペイドカードの利用により遊技
   者に持ち玉数を付与する玉貸し手段とを備え、遊技者が
   実際にパチンコ玉に触れることなく遊技可能な密閉式パ
   チンコ装置において、 実際のパチンコ玉の総個数があらかじめ定めた所定数と
   され、 遊技者の持ち玉数のうち前記パチンコ機内のパチンコ玉
   の個数を超える分の個数を電子的に計数する仮想玉数計
   数手段と、 前記玉タンクにパチンコ玉がありかつ前記仮想玉数計数
   手段の計数値が正である場合に、前記仮想玉数計数手段
   の計数値の減算により前記玉タンクから前記パチンコ機
   へのパチンコ玉の補充を指令する玉補充手段と、 遊技者の持ち玉数があらかじめ定めた上限値を超えてい
   る場合に前記玉貸し手段の操作を無効とする玉貸し禁止
   手段とを備えることを特徴とする密閉式パチンコ装置。
2. 【請求項２】 請求項１に記載する密閉式パチンコ装置
   において、 パチンコ遊技終了時に遊技者の持ち玉数を記録した媒体
   を出力する出力手段を備えることを特徴とする密閉式パ
   チンコ装置。
3. 【請求項３】 請求項２に記載する密閉式パチンコ装置
   において、 前記仮想玉数計数手段が、 パチンコ遊技の入賞により獲得された分の個数を計数す
   る入賞玉係数部と、 前記玉貸し手段の操作により獲得された分の個数を計数
   する購入玉係数部とを有し、 前記玉補充手段は、パチンコ玉の補充を指令する際に前
   記購入玉係数部の計数値を前記入賞玉係数部の計数値よ
   り優先して減算させ、 前記出力手段は、パチンコ遊技終了時に前記購入玉数係
   数部の計数値をも媒体に記録して出力することを特徴と
   する密閉式パチンコ装置。
4. 【請求項４】 請求項２に記載する密閉式パチンコ装置
   において、 前記玉貸し手段により遊技者に持ち玉数が付与される際
   にその玉数を計数値に加算するとともにパチンコ遊技に
   使用された玉数を計数値から減算する購入玉数係数手段
   を備え、 前記出力手段は、パチンコ遊技終了時に前記購入玉数係
   数手段の計数値をも媒体に記録して出力することを特徴
   とする密閉式パチンコ装置。
5. 【請求項５】 請求項２ないし請求項４のいずれかに記
   載する密閉式パチンコ装置において、 前記出力手段による出力を所定時間にわたり禁止する出
   力禁止手段を備えることを特徴とする密閉式パチンコ装
   置。
6. 【請求項６】 請求項１ないし請求項５のいずれかに記
   載する密閉式パチンコ装置において、 遊技者が前記パチンコ機にパチンコ玉を投入する端数玉
   投入口を備えることを特徴とする密閉式パチンコ装置。
7. 【請求項７】 請求項１ないし請求項６のいずれかに記
   載する密閉式パチンコ装置において、 遊技者の持ち玉数の概数を遊技者に絵柄表示する絵柄表
   示手段を備えることを特徴とする密閉式パチンコ装置。
8. 【請求項８】 請求項１ないし請求項７のいずれかに記
   載する密閉式パチンコ装置において、 遊技者の持ち玉数の概数を遊技者以外の者に表示する誇
   示手段を備えることを特徴とする密閉式パチンコ装置。