JPH10237573A - めっき用通電ロール - Google Patents
めっき用通電ロールInfo
- Publication number
- JPH10237573A JPH10237573A JP4333897A JP4333897A JPH10237573A JP H10237573 A JPH10237573 A JP H10237573A JP 4333897 A JP4333897 A JP 4333897A JP 4333897 A JP4333897 A JP 4333897A JP H10237573 A JPH10237573 A JP H10237573A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- roll
- metal powder
- less
- hardness
- sintered body
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Electroplating Methods And Accessories (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 安定して長い再研磨寿命を持つめっき用通電
ロールとその製造方法を提供する。 【解決手段】 通電ロール表面を、化学組成が質量%
で、C:0.01%以下、Si:2%以下、Cr:18
〜37%、Mo:3〜15%、(Nb+Ta):3%未
満、Al:1.0%以下、Ti:1.0%以下、N:
0.02%以下、O:0.02%以下、残部Niおよび
不可避的不純物からなり、かつ、(Cr+Mo+Nb+
Ta)≦40%の関係を満足する金属粉末焼結体とす
る。Cr含有率を25〜37質量%としたもの、金属粉
末焼結体の硬さを25〜45Hsとしたもの、金属粉末
焼結体を冷間加工して25〜45Hsの硬さとしたもの
はビードマークの発生に対する抵抗性も高い。
ロールとその製造方法を提供する。 【解決手段】 通電ロール表面を、化学組成が質量%
で、C:0.01%以下、Si:2%以下、Cr:18
〜37%、Mo:3〜15%、(Nb+Ta):3%未
満、Al:1.0%以下、Ti:1.0%以下、N:
0.02%以下、O:0.02%以下、残部Niおよび
不可避的不純物からなり、かつ、(Cr+Mo+Nb+
Ta)≦40%の関係を満足する金属粉末焼結体とす
る。Cr含有率を25〜37質量%としたもの、金属粉
末焼結体の硬さを25〜45Hsとしたもの、金属粉末
焼結体を冷間加工して25〜45Hsの硬さとしたもの
はビードマークの発生に対する抵抗性も高い。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、亜鉛、すず、鉛等
の金属および合金を鋼板等の金属材料の表面に連続的に
電気めっきするのに用いるめっき用通電ロールに関す
る。
の金属および合金を鋼板等の金属材料の表面に連続的に
電気めっきするのに用いるめっき用通電ロールに関す
る。
【0002】
【従来の技術】鋼板の表面に連続的に電気めっきを施す
技術としては、例えば図1に示すように、めっき浴容器
1の内部に金属めっき溶液例えば亜鉛めっき溶液2が充
満されており、この亜鉛めっき溶液2中に鋼板5を搬送
するためのロール3、4が浸漬されている。このロール
3、4が矢印の方向に回転することによって鋼板5が図
示矢印方向に搬送される。この鋼板の搬送時に、亜鉛め
っき溶液2中において、鋼板5に対向して亜鉛電極6を
設置して正極とし、ロール3または4を介して、鋼板5
を負極として通電することにより鋼板5の表面に連続的
に亜鉛被膜を形成する技術が広く知られている。
技術としては、例えば図1に示すように、めっき浴容器
1の内部に金属めっき溶液例えば亜鉛めっき溶液2が充
満されており、この亜鉛めっき溶液2中に鋼板5を搬送
するためのロール3、4が浸漬されている。このロール
3、4が矢印の方向に回転することによって鋼板5が図
示矢印方向に搬送される。この鋼板の搬送時に、亜鉛め
っき溶液2中において、鋼板5に対向して亜鉛電極6を
設置して正極とし、ロール3または4を介して、鋼板5
を負極として通電することにより鋼板5の表面に連続的
に亜鉛被膜を形成する技術が広く知られている。
【0003】このようなロール3、4(通電ロール)に
は優れた耐食性と耐摩耗性を有する鋳造材、鍛造材、粉
末焼結材などが用いられている。しかし、鋼板5がロー
ル3、4に接触している通電部は、鋼板5がロール3、
4に接触していない非通電部よりも腐食摩耗が著しいた
めに通電部と非通電部との境界には明瞭な段差(板道と
呼ぶ)が生じる。
は優れた耐食性と耐摩耗性を有する鋳造材、鍛造材、粉
末焼結材などが用いられている。しかし、鋼板5がロー
ル3、4に接触している通電部は、鋼板5がロール3、
4に接触していない非通電部よりも腐食摩耗が著しいた
めに通電部と非通電部との境界には明瞭な段差(板道と
呼ぶ)が生じる。
【0004】板道が生じたロール3、4を用いて板道の
幅よりも広幅の鋼板5を処理した場合には、ロール3、
4と鋼板5との電気的導通が不安定となるので鋼板5の
めっき状態が不均一となる。このような板道による製品
品質の劣化を避けるために、通常、ロールに板道が生じ
たら順次板幅の狭い製品へと生産移行することが行われ
る。
幅よりも広幅の鋼板5を処理した場合には、ロール3、
4と鋼板5との電気的導通が不安定となるので鋼板5の
めっき状態が不均一となる。このような板道による製品
品質の劣化を避けるために、通常、ロールに板道が生じ
たら順次板幅の狭い製品へと生産移行することが行われ
る。
【0005】途中で広幅製品を製造したいときには、板
道の生じたロール3、4等の通電ロールセットを更新す
るとか、再研磨する等して板道のないロールにする必要
があり、著しく生産性を害するため随時必要な幅のめっ
き鋼板を製造することは困難であった。上記のような生
産上の不都合を軽減するために、ロール3、4をめっき
処理中に研磨して板道境界部の段差を無害化しようとす
るいわゆるインライン研磨が行われているが、ロール材
料の研削性が悪く、その効果は十分ではなかった。
道の生じたロール3、4等の通電ロールセットを更新す
るとか、再研磨する等して板道のないロールにする必要
があり、著しく生産性を害するため随時必要な幅のめっ
き鋼板を製造することは困難であった。上記のような生
産上の不都合を軽減するために、ロール3、4をめっき
処理中に研磨して板道境界部の段差を無害化しようとす
るいわゆるインライン研磨が行われているが、ロール材
料の研削性が悪く、その効果は十分ではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の現状
に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、イ
ンライン研磨によって板道を除去し得る、優れた研削性
を有するめっき用通電ロールを提供することにある。
に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、イ
ンライン研磨によって板道を除去し得る、優れた研削性
を有するめっき用通電ロールを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のめっき用通電ロールは、 (1)少なくとも通電ロール表面が金属粉末焼結体であ
って、該金属粉末焼結体の化学組成が質量%で、C :
0.01%以下、Si:2%以下、Cr:18〜37
%、Mo:3〜15%、(Nb+Ta):3%未満、A
l:1.0%以下、Ti:1.0%以下、N :0.0
2%以下、O :0.02%以下、残部Niおよび不可
避的不純物からなり、かつ、 (Cr+Mo+Nb+Ta)≦40% の関係を満足することを特徴とする。 (2)上記(1)記載の通電ロールにおいて、上記金属
粉末焼結体の化学組成のうちCr含有率が25〜37質
量%であることを特徴とする。 (3)上記(1)記載の通電ロールにおいて、上記金属
粉末焼結体の硬さが25〜45Hsであることを特徴と
する。 (4)上記(1)記載の通電ロールにおいて、上記金属
粉末焼結体は冷間加工され、かつ、25〜45Hsの硬
さを有することを特徴とする。
に、本発明のめっき用通電ロールは、 (1)少なくとも通電ロール表面が金属粉末焼結体であ
って、該金属粉末焼結体の化学組成が質量%で、C :
0.01%以下、Si:2%以下、Cr:18〜37
%、Mo:3〜15%、(Nb+Ta):3%未満、A
l:1.0%以下、Ti:1.0%以下、N :0.0
2%以下、O :0.02%以下、残部Niおよび不可
避的不純物からなり、かつ、 (Cr+Mo+Nb+Ta)≦40% の関係を満足することを特徴とする。 (2)上記(1)記載の通電ロールにおいて、上記金属
粉末焼結体の化学組成のうちCr含有率が25〜37質
量%であることを特徴とする。 (3)上記(1)記載の通電ロールにおいて、上記金属
粉末焼結体の硬さが25〜45Hsであることを特徴と
する。 (4)上記(1)記載の通電ロールにおいて、上記金属
粉末焼結体は冷間加工され、かつ、25〜45Hsの硬
さを有することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のめっき用通電ロールは、
その少なくとも表面(通電ロール表面の一部もしくは全
部、あるいは通電ロールの一部もしくは全部等)が金属
粉末の焼結体で構成される。金属粉末の焼結体とするこ
とによって、化学成分の偏析の生成を低減し、通電ロー
ル表面にアバタ状の腐食やピット状の腐食などの局所的
に深い腐食痕が生じることを防ぐことができる。金属粉
末としては単一金属の粉末、合金粉末およびそれらの混
合物のいずれであってもよい。
その少なくとも表面(通電ロール表面の一部もしくは全
部、あるいは通電ロールの一部もしくは全部等)が金属
粉末の焼結体で構成される。金属粉末の焼結体とするこ
とによって、化学成分の偏析の生成を低減し、通電ロー
ル表面にアバタ状の腐食やピット状の腐食などの局所的
に深い腐食痕が生じることを防ぐことができる。金属粉
末としては単一金属の粉末、合金粉末およびそれらの混
合物のいずれであってもよい。
【0009】前記焼結体は、高温静水圧処理(HI
P)、粉末を直接鍛造するなどの方法によって焼結・高
密度化するか、焼結後鍛造するなどの方法によって得ら
れる。好ましくは前記焼結体の空孔率は0.01%以下
とする。ここに空孔率とは、前記焼結体の断面において
該焼結体に存在する空孔の断面が占める面積率とする。
本発明のめっき用通電ロールは、化学組成の調整によ
り、通電ロールとして基本的に必要な耐食性、耐摩耗性
等の諸特性を得るとともに、インライン研磨によって板
道の生成を排除することができる優れた研削性を得てい
る。以下、本発明のめっき用通電ロール金属粉末焼結体
を構成する各化学成分とその含有率の限定理由について
説明する。(以下、化学成分の含有率は質量%とする) C:0.01%以下、N:0.02%以下 C、Nは、オーステナイト結晶粒界に炭窒化物として優
先析出する傾向があり、C、Nを過剰に含有すると、こ
の炭窒化物が結晶粒界に網状に析出し、著しく耐食性を
損う。それゆえ、含有率の上限を、それぞれCは0.0
1%、Nは0.02%とする。
P)、粉末を直接鍛造するなどの方法によって焼結・高
密度化するか、焼結後鍛造するなどの方法によって得ら
れる。好ましくは前記焼結体の空孔率は0.01%以下
とする。ここに空孔率とは、前記焼結体の断面において
該焼結体に存在する空孔の断面が占める面積率とする。
本発明のめっき用通電ロールは、化学組成の調整によ
り、通電ロールとして基本的に必要な耐食性、耐摩耗性
等の諸特性を得るとともに、インライン研磨によって板
道の生成を排除することができる優れた研削性を得てい
る。以下、本発明のめっき用通電ロール金属粉末焼結体
を構成する各化学成分とその含有率の限定理由について
説明する。(以下、化学成分の含有率は質量%とする) C:0.01%以下、N:0.02%以下 C、Nは、オーステナイト結晶粒界に炭窒化物として優
先析出する傾向があり、C、Nを過剰に含有すると、こ
の炭窒化物が結晶粒界に網状に析出し、著しく耐食性を
損う。それゆえ、含有率の上限を、それぞれCは0.0
1%、Nは0.02%とする。
【0010】Si:2%以下 Siは、溶湯の脱酸元素として有効な元素であり、粉末
の酸素含有率を低減するほか、溶湯の流動性を向上して
安定した粉末の製造に有効である。しかし、過剰に含有
すると、溶湯の噴霧時にノズル閉塞を生じやすくし、ま
た、粉末形状を不規則とし、高温静水圧処理(HIP処
理)時の安定した作業を阻害する。それゆえ、Si含有
率の上限は2%とする。
の酸素含有率を低減するほか、溶湯の流動性を向上して
安定した粉末の製造に有効である。しかし、過剰に含有
すると、溶湯の噴霧時にノズル閉塞を生じやすくし、ま
た、粉末形状を不規則とし、高温静水圧処理(HIP処
理)時の安定した作業を阻害する。それゆえ、Si含有
率の上限は2%とする。
【0011】Cr:18〜37% Crは、主に合金耐全面腐食性向上のための基本元素で
あり、また合金の硬さを高める。Crの含有率の下限を
18%としたのは、本発明における金属粉末焼結体に必
要な耐全面腐食性を維持するためには18%以上のCr
が必要であることによる。
あり、また合金の硬さを高める。Crの含有率の下限を
18%としたのは、本発明における金属粉末焼結体に必
要な耐全面腐食性を維持するためには18%以上のCr
が必要であることによる。
【0012】Cr含有率の増加に伴って金属粉末焼結体
の硬さが上昇するが、過大となると金属粉末焼結体の研
削性を損い、インライン研磨によって板道の生成を阻止
することができなくなる。また、σ相の析出が顕著とな
り金属粉末焼結体の脆化が著しくなる。そのためCr含
有率の上限を37%とする。 Mo:3〜15% Moは、金属粉末焼結体の耐孔食性を向上するために添
加する。そのためには3%以上必要である。しかし15
%を超えて含有してもそれ以上耐孔食性向上の効果が挙
がらないので、含有率の上限は15%とする。
の硬さが上昇するが、過大となると金属粉末焼結体の研
削性を損い、インライン研磨によって板道の生成を阻止
することができなくなる。また、σ相の析出が顕著とな
り金属粉末焼結体の脆化が著しくなる。そのためCr含
有率の上限を37%とする。 Mo:3〜15% Moは、金属粉末焼結体の耐孔食性を向上するために添
加する。そのためには3%以上必要である。しかし15
%を超えて含有してもそれ以上耐孔食性向上の効果が挙
がらないので、含有率の上限は15%とする。
【0013】(Nb+Ta):3%未満 NbおよびTaは、いずれもC、Nを固定し、金属粉末
焼結体の耐全面腐食性を向上し、パルス通電時の耐食性
を改善する元素である。また、金属粉末焼結体の硬さを
高める。しかし(Nb+Ta)として3%以上を含有す
ると高硬度の化合物を形成し、金属粉末焼結体の研削性
を損い、例えロール硬さが45Hs以下であってもイン
ライン研磨によって板道の生成を阻止することができな
くなる。それゆえ、(Nb+Ta)含有率は3%未満と
する。
焼結体の耐全面腐食性を向上し、パルス通電時の耐食性
を改善する元素である。また、金属粉末焼結体の硬さを
高める。しかし(Nb+Ta)として3%以上を含有す
ると高硬度の化合物を形成し、金属粉末焼結体の研削性
を損い、例えロール硬さが45Hs以下であってもイン
ライン研磨によって板道の生成を阻止することができな
くなる。それゆえ、(Nb+Ta)含有率は3%未満と
する。
【0014】Al:1.0%以下、Ti:1.0%以下 AlおよびTiはそれぞれ溶湯の脱酸、脱窒に有効な元
素であるが、過剰に含有すると溶湯の噴霧時にノズル閉
塞を生じやすくなるので、含有率の上限をそれぞれ1.
0%とする。 O:0.02%以下 Oは、主に粉末表面に酸化膜として存在し、粉末の焼結
固化後の合金では、この酸化物は旧粉末粒界に沿って網
状に分布する。通電ロールとして使用時には酸化物の周
囲が優先的に腐食され、金属粉末焼結体の耐食性を損
う。それゆえ、O含有率の上限を0.02%とする。
素であるが、過剰に含有すると溶湯の噴霧時にノズル閉
塞を生じやすくなるので、含有率の上限をそれぞれ1.
0%とする。 O:0.02%以下 Oは、主に粉末表面に酸化膜として存在し、粉末の焼結
固化後の合金では、この酸化物は旧粉末粒界に沿って網
状に分布する。通電ロールとして使用時には酸化物の周
囲が優先的に腐食され、金属粉末焼結体の耐食性を損
う。それゆえ、O含有率の上限を0.02%とする。
【0015】(Cr+Mo+Nb):40%以下 Cr、Mo、Nbの個々の効果は上述の通りであるが、
(Cr+Mo+Nb)の値が増すと特にパルス通電時の
腐食による減量が少なくなる。しかし(Cr+Mo+N
b)値が40%を超えると合金中にフェライト相が出現
し、通電ロールの使用中にこのフェライト相が優先腐食
することによりロール表面の肌あれの原因となる。ま
た、腐食面は白色を呈し、亜鉛めっき作業時に生じる亜
鉛まき事故との鑑別が困難であって、操業上にも不都合
である。それゆえ(Cr+Mo+Nb)の含有率の合計
は40%以下に限定する。
(Cr+Mo+Nb)の値が増すと特にパルス通電時の
腐食による減量が少なくなる。しかし(Cr+Mo+N
b)値が40%を超えると合金中にフェライト相が出現
し、通電ロールの使用中にこのフェライト相が優先腐食
することによりロール表面の肌あれの原因となる。ま
た、腐食面は白色を呈し、亜鉛めっき作業時に生じる亜
鉛まき事故との鑑別が困難であって、操業上にも不都合
である。それゆえ(Cr+Mo+Nb)の含有率の合計
は40%以下に限定する。
【0016】本発明のめっき用通電ロールの少なくとも
表面を構成する金属粉末の焼結体は上記成分を含み、残
部Niおよび不可避的不純物からなる。鋼板のめっき時
には、しばしば溶接によって鋼板を接合し、長尺化する
ことがおこなわれる。このとき溶接ビードが突起してい
ると、該突起がロール面に転写されてビードマークを生
成し、さらにこれがめっき製品に再転写されてめっき製
品の表面品質を損うことがある。
表面を構成する金属粉末の焼結体は上記成分を含み、残
部Niおよび不可避的不純物からなる。鋼板のめっき時
には、しばしば溶接によって鋼板を接合し、長尺化する
ことがおこなわれる。このとき溶接ビードが突起してい
ると、該突起がロール面に転写されてビードマークを生
成し、さらにこれがめっき製品に再転写されてめっき製
品の表面品質を損うことがある。
【0017】上記のごときビードマークの生成を防止す
る必要がある場合には、前記金属粉末焼結体の硬さを2
5Hs以上とすることが好ましい。この為には本発明の
めっき用通電ロールの化学組成において、Cr含有率を
25%以上とすることが好ましい。これによって上記の
ごときビードマークの生成を防止することができる。し
かし、硬さが45Hsを超えると前記金属粉末焼結体の
研削性が劣化し、インライン研磨によって板道の生成を
阻止することができなくなる。それゆえ、硬さの上限は
45Hsとする。
る必要がある場合には、前記金属粉末焼結体の硬さを2
5Hs以上とすることが好ましい。この為には本発明の
めっき用通電ロールの化学組成において、Cr含有率を
25%以上とすることが好ましい。これによって上記の
ごときビードマークの生成を防止することができる。し
かし、硬さが45Hsを超えると前記金属粉末焼結体の
研削性が劣化し、インライン研磨によって板道の生成を
阻止することができなくなる。それゆえ、硬さの上限は
45Hsとする。
【0018】さらに、本発明のめっき用通電ロールは、
冷間加工によって金属粉末焼結体の硬さを少なくとも2
5Hs以上とすることもできる。これによって通電ロー
ルの表面におけるビードマークの形成を防止することが
できる。しかし、冷間加工された金属粉末焼結体の硬さ
が45Hsを超えるとインライン研磨によって板道を無
害化することが困難となる。そのため冷間加工された金
属粉末焼結体の硬さの上限は45Hsとする。
冷間加工によって金属粉末焼結体の硬さを少なくとも2
5Hs以上とすることもできる。これによって通電ロー
ルの表面におけるビードマークの形成を防止することが
できる。しかし、冷間加工された金属粉末焼結体の硬さ
が45Hsを超えるとインライン研磨によって板道を無
害化することが困難となる。そのため冷間加工された金
属粉末焼結体の硬さの上限は45Hsとする。
【0019】
【実施例】アルゴンを用いたガスアトマイズ法によっ
て、粒度500μm以下の合金粉末を得た。軟鋼製の中
空円筒状カプセルの中心部にSUS304よりなる円筒
状ロール基体を同心円状に配置し、前記軟鋼製の中空円
筒状カプセルと円筒状ロール基体との間に形成された環
状の空間部分に前記合金粉末を充填し、脱気して合金粉
末の間隙部分に存在するガス成分を除去したのち封止し
て粉末充填体を製作し、これに熱間静水圧プレスによっ
て1200℃、1000kgf/cm2 の条件で5hr
のHIP処理を行ってロール形状に形成・焼結・高密度
化した合金粉末焼結体を得た。
て、粒度500μm以下の合金粉末を得た。軟鋼製の中
空円筒状カプセルの中心部にSUS304よりなる円筒
状ロール基体を同心円状に配置し、前記軟鋼製の中空円
筒状カプセルと円筒状ロール基体との間に形成された環
状の空間部分に前記合金粉末を充填し、脱気して合金粉
末の間隙部分に存在するガス成分を除去したのち封止し
て粉末充填体を製作し、これに熱間静水圧プレスによっ
て1200℃、1000kgf/cm2 の条件で5hr
のHIP処理を行ってロール形状に形成・焼結・高密度
化した合金粉末焼結体を得た。
【0020】上記のようにして得た合金粉末焼結体の化
学組成を表1に示す。
学組成を表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】実施例6、7および比較例4、5の焼結体
については、前記軟鋼製の中空円筒状カプセルを被着し
たままの状態で、常温においてタップ金型を用いて、プ
レスにより合金粉末焼結体の直径方向に冷間加工を加え
た。ここに、冷間加工前における軟鋼製中空円筒状カプ
セル部の半径方向厚さtと合金粉末焼結体の半径方向厚
さTとの比t/Tは0.3以上となるようにした。これ
によって合金粉末焼結体の厚さ全体にわたって均一に加
工を施すことができた。
については、前記軟鋼製の中空円筒状カプセルを被着し
たままの状態で、常温においてタップ金型を用いて、プ
レスにより合金粉末焼結体の直径方向に冷間加工を加え
た。ここに、冷間加工前における軟鋼製中空円筒状カプ
セル部の半径方向厚さtと合金粉末焼結体の半径方向厚
さTとの比t/Tは0.3以上となるようにした。これ
によって合金粉末焼結体の厚さ全体にわたって均一に加
工を施すことができた。
【0023】以上のようにして製作した各合金粉末焼結
体に仕上加工を施してロール胴部の外径360mm、長
さ1700mmの試験ロールを製作した。ロール胴部の
表面相当位置から試験片を採取して測定倍率400倍で
実視野1200mm2 について空孔率を測定した結果、
空孔率はいずれも0.01%未満であった。前記試験ロ
ールについて電気亜鉛めっきラインにおいて実機テスト
を行った。インライン研磨は、回転する通電ロールのロ
ール表面に適当な圧力で粒度#200で材質SiCの砥
石を圧接しつつ、通電ロール回転軸に平行に、かつ、該
通電ロール表面の全長にわたって前記砥石を反復移動す
る方法によって行った。
体に仕上加工を施してロール胴部の外径360mm、長
さ1700mmの試験ロールを製作した。ロール胴部の
表面相当位置から試験片を採取して測定倍率400倍で
実視野1200mm2 について空孔率を測定した結果、
空孔率はいずれも0.01%未満であった。前記試験ロ
ールについて電気亜鉛めっきラインにおいて実機テスト
を行った。インライン研磨は、回転する通電ロールのロ
ール表面に適当な圧力で粒度#200で材質SiCの砥
石を圧接しつつ、通電ロール回転軸に平行に、かつ、該
通電ロール表面の全長にわたって前記砥石を反復移動す
る方法によって行った。
【0024】実機テストは150hr連続して行い、ロ
ール胴部の腐食状況、板道発生の有無、ビードマーク発
生の有無を観察した。また、試験ロールの表面について
ショアー硬さ計により硬さを測定した。各結果を表2に
示す。
ール胴部の腐食状況、板道発生の有無、ビードマーク発
生の有無を観察した。また、試験ロールの表面について
ショアー硬さ計により硬さを測定した。各結果を表2に
示す。
【0025】
【表2】
【0026】表2から判るように、本発明の実施例は、
いずれもアバタ状の腐食やピット状腐食などの顕著な腐
食痕を生じることがなく、また、有害な腐食生成物の付
着もなく良好な表面状況を保ち、優れた耐食性を有する
ことを示した。(Cr+Mo+Nb+Ta)含有率が4
0を超える比較例2、3は、ロール表面に肌あれを生
じ、また、亜鉛巻き事故の発生と紛らわしい白色の腐食
が発生した。
いずれもアバタ状の腐食やピット状腐食などの顕著な腐
食痕を生じることがなく、また、有害な腐食生成物の付
着もなく良好な表面状況を保ち、優れた耐食性を有する
ことを示した。(Cr+Mo+Nb+Ta)含有率が4
0を超える比較例2、3は、ロール表面に肌あれを生
じ、また、亜鉛巻き事故の発生と紛らわしい白色の腐食
が発生した。
【0027】(Nb+Ta)含有率が3%以上の比較例
1、Cr含有率が37%を超え硬さが45Hsを超える
比較例3、硬さが45Hsを超える比較例2などには板
道の生成が認められた。これに対して、本発明の実施例
においては、いずれも板道の生成は認められなかった。
これより、本発明の実施例は、比較例に比べて板道が生
じ難いことが明らかである。
1、Cr含有率が37%を超え硬さが45Hsを超える
比較例3、硬さが45Hsを超える比較例2などには板
道の生成が認められた。これに対して、本発明の実施例
においては、いずれも板道の生成は認められなかった。
これより、本発明の実施例は、比較例に比べて板道が生
じ難いことが明らかである。
【0028】Cr含有率25〜37%を満足する実施例
3、4、5は耐食性が良好であり、板道の生成もない
上、ビードマークの生成も認められなかった。実施例
3、4、5は、硬さ25〜45Hsを満足している。C
r含有率は25%を下回っても冷間加工を加えることに
より硬度を上げることができる。硬さが25Hs以上を
示す実施例2にはビードマークは認められていない。
3、4、5は耐食性が良好であり、板道の生成もない
上、ビードマークの生成も認められなかった。実施例
3、4、5は、硬さ25〜45Hsを満足している。C
r含有率は25%を下回っても冷間加工を加えることに
より硬度を上げることができる。硬さが25Hs以上を
示す実施例2にはビードマークは認められていない。
【0029】冷間加工を施して硬さを25〜45Hsと
した実施例6、7は耐食性が良好であり、板道の生成も
ない上、ビードマークの生成も認められなかった。しか
し、冷間加工を加えて45Hsを超える硬さとした比較
例4、5では板道の生成が認められた。
した実施例6、7は耐食性が良好であり、板道の生成も
ない上、ビードマークの生成も認められなかった。しか
し、冷間加工を加えて45Hsを超える硬さとした比較
例4、5では板道の生成が認められた。
【0030】
【発明の効果】以上のように、本発明のめっき用通電ロ
ールは、使用時にロール表面にアバタ状の腐食やピット
状腐食などの局所的に深い腐食痕が生じ難い優れた耐食
性を有し、かつ、インライン研磨によって板道の生成を
阻止し得る優れた研削性を有する。また、ビードマーク
の発生に対する抵抗性も高い。本発明のめっき用通電ロ
ールによれば、通電ロールセットの更新とか、再研磨等
のために作業を中断することなく、随時必要な幅のめっ
き鋼板を製造することが可能となり、めっき設備の操業
度の向上、納期短縮、通電ロールの維持管理負担の軽減
を実現できるなど著しく優れた経済効果がもたらされ
る。
ールは、使用時にロール表面にアバタ状の腐食やピット
状腐食などの局所的に深い腐食痕が生じ難い優れた耐食
性を有し、かつ、インライン研磨によって板道の生成を
阻止し得る優れた研削性を有する。また、ビードマーク
の発生に対する抵抗性も高い。本発明のめっき用通電ロ
ールによれば、通電ロールセットの更新とか、再研磨等
のために作業を中断することなく、随時必要な幅のめっ
き鋼板を製造することが可能となり、めっき設備の操業
度の向上、納期短縮、通電ロールの維持管理負担の軽減
を実現できるなど著しく優れた経済効果がもたらされ
る。
【図1】通電めっきのロール装置を示す模式的斜視図で
ある。
ある。
3 ロール 4 ロール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平田 雅裕 愛知県東海市東海町5−3 新日本製鐵株 式会社名古屋製鐵所内 (72)発明者 品川 政信 愛知県東海市東海町5−3 新日本製鐵株 式会社名古屋製鐵所内
Claims (4)
- 【請求項1】 少なくとも通電ロール表面が金属粉末焼
結体であって、該金属粉末焼結体の化学組成が質量%
で、 C :0.01%以下、 Si:2%以下、 Cr:18〜37%、 Mo:3〜15%、 (Nb+Ta):3%未満、 Al:1.0%以下、 Ti:1.0%以下、 N :0.02%以下、 O :0.02%以下、 残部Niおよび不可避的不純物からなり、かつ、 (Cr+Mo+Nb+Ta)≦40% の関係を満足することを特徴とするめっき用通電ロー
ル。 - 【請求項2】 上記金属粉末焼結体の化学組成において
Cr含有率が25〜37質量%であることを特徴とする
請求項1記載のめっき用通電ロール。 - 【請求項3】 上記金属粉末焼結体の硬さが25〜45
Hsであることを特徴とする請求項1記載のめっき用通
電ロール。 - 【請求項4】 上記金属粉末焼結体は冷間加工され、か
つ、25〜45Hsの硬さを有することを特徴とする請
求項1記載のめっき用通電ロール。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4333897A JPH10237573A (ja) | 1997-02-27 | 1997-02-27 | めっき用通電ロール |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4333897A JPH10237573A (ja) | 1997-02-27 | 1997-02-27 | めっき用通電ロール |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10237573A true JPH10237573A (ja) | 1998-09-08 |
Family
ID=12661067
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4333897A Pending JPH10237573A (ja) | 1997-02-27 | 1997-02-27 | めっき用通電ロール |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10237573A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN106852131A (zh) * | 2014-08-21 | 2017-06-13 | 亨廷顿冶金公司 | 制造包覆金属管的方法 |
WO2020032235A1 (ja) * | 2018-08-09 | 2020-02-13 | 山陽特殊製鋼株式会社 | Ni基合金からなる窒化物分散型成形体 |
US20220275530A1 (en) * | 2019-08-05 | 2022-09-01 | Sms Group Gmbh | Method and system for electrolytically coating a steel strip by means of pulse technology |
-
1997
- 1997-02-27 JP JP4333897A patent/JPH10237573A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN106852131A (zh) * | 2014-08-21 | 2017-06-13 | 亨廷顿冶金公司 | 制造包覆金属管的方法 |
EP3183074A4 (en) * | 2014-08-21 | 2018-02-21 | Huntington Alloys Corporation | Method for making clad metal pipe |
US10112254B2 (en) | 2014-08-21 | 2018-10-30 | Huntington Alloys Corporation | Method for making clad metal pipe |
WO2020032235A1 (ja) * | 2018-08-09 | 2020-02-13 | 山陽特殊製鋼株式会社 | Ni基合金からなる窒化物分散型成形体 |
JP2020026537A (ja) * | 2018-08-09 | 2020-02-20 | 山陽特殊製鋼株式会社 | 窒化物分散型Ni基合金からなる成形体 |
US20220275530A1 (en) * | 2019-08-05 | 2022-09-01 | Sms Group Gmbh | Method and system for electrolytically coating a steel strip by means of pulse technology |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP2682490B1 (en) | Metal plate for laser processing | |
EP3584022B1 (en) | Ni-based thermal spraying alloy powder and method for manufacturing alloy coating | |
JPH10237573A (ja) | めっき用通電ロール | |
JP2960458B2 (ja) | 耐摩耗複合ロール | |
JP2978384B2 (ja) | 熱間圧延用ロール材 | |
KR101148631B1 (ko) | 주조 롤 장치 | |
JP2002361482A (ja) | 耐食性、耐摩耗性および耐焼付き性に優れた肉盛り用材料及び複合工具 | |
CN1316311A (zh) | 辊面堆焊用硬面合金管丝 | |
JPS62275511A (ja) | 耐摩耗性のすぐれた熱間用ロ−ルおよびその製造方法 | |
JPH05337690A (ja) | 耐摩耗性及び耐ビードマーク性に優れたサブマージアーク溶接用フラックス入りワイヤ | |
JPS62136544A (ja) | 電気めつき通電ロ−ル用合金 | |
JP3308058B2 (ja) | 棒鋼圧延用ロール | |
JPH10204561A (ja) | めっき用通電ロールおよびその製造方法 | |
JPH11267731A (ja) | 熱延工場用ロールおよびローラー | |
JPH04107235A (ja) | 電気メッキ用コンダクターロール | |
JPS62136541A (ja) | 電気めつき通電ロ−ル用合金 | |
JP2587492B2 (ja) | 加工用工具 | |
JP3343270B2 (ja) | コンダクターロール及びその製造方法 | |
JP3341858B2 (ja) | 通電めっき用ロール材料 | |
JP6809184B2 (ja) | 放電処理皮膜の形成方法 | |
JPS62136546A (ja) | 電気めつき通電ロ−ル用合金 | |
JPH0739026B2 (ja) | 熱間圧延用作業ロールの製造法及び圧延方法 | |
JP2778896B2 (ja) | 圧延用ロール及びその製造方法 | |
JPH0617173A (ja) | 電気メッキ用通電ロール | |
JPH10121101A (ja) | 電気めっき用通電ロール |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Effective date: 20041028 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Effective date: 20060821 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20070413 |