JPS62136544A - 電気めつき通電ロ−ル用合金 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、耐摩耗性および耐食性等にすぐれた電気めっ
き通電ロール用合金に関する。

〔従来の技術〕

連続電気亜鉛めっき等の電気めっきに使用される通電ロ
ールは、所要の通電性のほか、強酸性腐食液であるめっ
き液（通常、ｐＨ１〜２）に対する腐食抵抗、およびめ
っき液中を連続移行する被めっき鋼板との摩擦に耐える
摩耗抵抗を備えていること、が要求、される。

また、通電ロールは、使用中その表面に当接する被めっ
き鋼板と同じく陰極となり、その胴部表面に亜鉛等のめ
っき金属がめっきされるので、付着しためっき金属を取
り除き、胴部表面を常時清浄な状態に保つことが必要で
ある。胴部表面にめっき金属が付着したままめっき操業
を行うと、これに当接する被めっき鋼板のめっき層の表
面に疵が付き、めっき品質が損なわれるからである。こ
の通電ロール胴部表面に付着しためっき金属の除去処理
は、胴部表面に砥石を摺り付けることにより行われるの
で、胴部表面は砥石の摺り付けによる摩耗や肌荒れが生
じないように、研磨摩耗性にもすぐれていなければなら
ない。

このように、通電ロールの胴部表面の耐摩耗性は、通電
ロールの機能上要求される最も重要な因子の１つである
。

従来、この電気めっき通電ロールの胴部構成材料として
、ニッケル基合金「ハステロイＣ」、または高ニツケル
ステンレス鋼であるＳＵＳ　　３１６等が賞月されてい
た。

〔解決しようとする問題点〕

しかるに、ニッケル基合金「ハステロイＣ」を胴部構成
材料とする通電ロールは、耐食性の点では全く問題がな
いものの、硬度がＨｓ：２５〜３０程度と低く、耐摩耗
性が十分でないため、胴部表面、特に被めっき鋼板エッ
ヂが当接する部分に疵が付き易い、という問題がある。

通電ロールの胴部表面にこのような疵が付（と、その疵
が被めっき鋼板のめっき金属層に転写され、めっき品質
が低下する原因となる。

また、ＳＵＳ　　３１６ステンレス鋼を胴部材料とする
通電ロールについても、硬度がＨｓ：２０〜２５程度と
低く、耐摩耗性に乏しいために、摩耗による肌荒れが生
じ易く、これに腐食による肌荒れが加重されることによ
り、早期に胴部表面の劣化がすすむ。

このため、従来の通電ロールは、耐用寿命が短く、短期
間、例えば１力月の周期で、胴部表面を修復するための
再研磨加工を必要とし、従って頻繁なロールの取替えと
、そのための操業中断を余儀なくされると共に、ロール
胴部表面の再研磨加工に多大のコスト負担を強いられて
いるのが実情である。

本発明は、上記問題点を解決するための改良された通電
ロール用合金を提供しようとするものである。

〔問題点を解決するための手段および作用〕本発明の電
気めっき通電ロール用合金は、Ｃ：　０．２〜３．０％
、Ｃｒ　：２０．０〜３５．０％、Ｍｏ：１５．０％以
下、Ｎｉ：５．０％以下、不純分であるＦ　ｅ　：　１
０．０％以下、残部は脱酸元素であるＳｉおよびＭｎを
除いて、実質的にＣｏからなるＣｏ基合金である。また
、本発明の通電ロール用合金は、材質の改善を目的とし
て、所望により、Ｓ　ｉ　：２．０〜６．０％およびＢ
：Ｑ、５〜５，０％を含有する。

本発明合金を胴部構成材料として形成された通電ロール
は、後記実施例にも示すように、めっき液に対するすぐ
れた腐食抵抗を有すると共に、その腐食環境における摩
耗抵抗（以下、「耐腐食摩耗性」とも言う）にすぐれて
おり、従って長期にわたり平滑美麗な胴部表面を保持し
、従来ロールを凌ぐ耐久性を保証する。更に、本発明合
金は、溶接性も良好であり、本発明合金からなるロール
胴部に対するロールエンドの溶接に問題はなく、また後
記のように、多種材料からなるロール胴部の表面に溶接
肉盛を適用して本発明合金からなる肉盛層で被覆された
二層構造のロール胴部を形成することもできる。

以下、本発明合金の成分限定理由について説明する。

Ｃ：０．２〜３．０％ Ｃの存在は、耐食性の点から好ましくないが、その反面
、Ｃｒ、Ｍｏ等と結合し、炭化物を形成することにより
硬度を高め、耐摩耗性を向上させる。本発明では、耐食
性については、Ｃｏ、Ｃｒ。

Ｍｏ等により対処することとし、耐摩耗性確保の観点か
ら、ｃｔ−ｙなくとも０．２％含有することとした。Ｃ
ｉの増加に伴って耐摩耗性が向上するが、３．０％を越
えると、その効果はほぼ飽和し、それと共に材質の脆化
と溶接性の低下により溶接肉盛における割れが生じ易く
なるので、３．０％を上限とする。

Ｃｒ　：　２０．０〜３５．０％ Ｃｒは、Ｃと結合し、炭化物を形成して硬度を高めるこ
とにより耐摩耗性を向上させる。また、Ｃｒはめっき液
に対する腐食溶解速度が小さく、かつＣｏ％　Ｎ　ｔ　
％　Ｆ　ｅ等と固溶体をつくり、緻密で強固な保護皮膜
を形成することにより不働態化を与える。めっき液に対
するこの効果は、Ｃｒ量が２０．０％から現れ、その含
有量の増加に伴って強められるが、３５．０％を越える
と、材質の脆化、溶接性の劣化が生じる。

Ｍｏ：１５．０％以下 ＭｏはＣｒと同様にめっき液に対する腐食溶解速度が小
さく、Ｃｏｓ　Ｎ　ｉ等と固溶体をつくり、強固な不働
態化能を有する元素である。しがし、１５．０％を超え
ると、経済性を損なうだけでなく、溶接性の低下を招く
ので、１５．０％を上限とする。

好ましくは、３．０〜１５．０％である。

Ｎｉ：５．０％以下 Ｎｉは耐食性の向上に効果があり、またＣｏ基地を°強
化して耐摩耗性を高める効果を有する。但し、５．０％
を超えて添加しても、添加量の割りに効果の増加は少な
く、経済的でないので、５．０％を上限とする。好まし
くは、０．１〜５．０％である。

Ｆ　ｅ　：　１０．０％以下 Ｆｅは本発明合金の必要成分ではなく　、１０．０％ま
での混在が許容される不純分である。１０．０％を許容
上限値とするのは、それを越えると、Ｆｅ−Ｃｒ等の金
属間化合物が生成し、耐食性が低下するからである。な
お、不純分であるＦｅの混在量が厳しく制限される場合
は、溶解原料の選別・精錬工程でのＦｅ分の除去処理の
ためにコストの増加を伴うが、本発明においては、１０
．０％もの比較的多量の混在が許容されるので、コスト
的に有利である。

Ｃｏ：残部 Ｃｏは本発明合金の基本成分であリマトリ・ソクスをオ
ーステナイトＭｉ織として安定化し、かつ基地の硬度を
高める。更に、Ｃｏはめっき液に対する腐食溶解速度も
小さく、緻密で安定な不働態を形成する。

本発明合金は、脱酸元素として添加されるＳｉおよびｎ
を若干量（概ね、Ｓ　ｉ　：２．０％未満、Ｍｎ：２．
０％未満）を随伴する。

本発明の合金は、所望により材質の改善、特に耐摩耗性
の向上を目的として比較的多量のＳｉおよびＢが添加さ
れることもある。

Ｓｉ：２．０〜６．０％ Ｓｉは、前記のように脱酸元素として適量添加され、ま
たそれにより鋳造性の改善効果も得られるが、更に添加
量を増すと、硬度が向上し耐摩耗性改善効果が得られる
。その効果は、２．０％以上の添加で顕著となる。但し
、６．０％を越えると、脆弱化と溶接性の低下を招（。

よって、２．０〜６゜０％とする。

Ｓ：Ｏ，Ｓ　　〜５．０　　％ Ｂは、Ｃｒ、Ｆｅ等とほう化物〔例えばＣｒ　Ｂ　ｓ（
Ｆ　ｅ　Ｃｒ）ｚＢ等〕を形成し、硬度の向上・耐摩耗
性の改善に奏効する。この効果は、０．５％の添加から
顕著に現れ、添加量と共に硬度の増加をみる。但し、５
．０％を越えると、脆弱化・溶接性の低下を招く。この
ため、０．５〜５．０％とする。

電気めっき通電ロールは、中空円筒形状のロール胴部と
、その両端部に嵌着される給電部材を兼ねる軸部材とを
主たる構成部材として組み立てられる。本発明合金を構
成材料とする通電ロールのロール胴部は、遠心力鋳造法
により、全肉厚（外表面から内表面まで）が本発明合金
からなる中空円筒体として形成することもできるが、そ
のめっき液に対する耐食性・耐摩耗性は胴部の外表面に
関する問題であるから、外側の表層部のみに本発明合金
を適用し、残余の部分は適当な他種材料（例えば、５Ｕ
Ｓ３０４等のステンレス鋼、３３５０等の炭素鋼）で形
成した二層構造とすることができる。このような、二層
構造のロール胴部を製作するには、他種材料からなる中
空円筒状の鋳造品または塑性加工品を準備し、その外周
面に溶接肉盛法等により本発明合金からなる表層部を適
当な層厚（例えば、１〜１０ｆｌ）に形成する方法を適
用することができる。また、別法として、本発明合金か
らなる中空円筒体を鋳造または塑性加工により製作し、
これを別途準備した他種材料からなる中空円筒体に、境
域め等にて外嵌・固着する方法、あるいは遠心力鋳造法
を適用し、遠心回転する鋳型内に、まず本発明合金から
なる中空円筒体を鋳造し、ついでその中空円筒体の内側
面に他種材料からなる中空円筒体を鋳造して二層積層鋳
造体を形成する方法、または鋳かけ法を用い、鋳型内に
鋳型内径より小径の他種材料からなる中空円筒体を同軸
に設置し、その中空円筒体の外周面と鋳型の内周面との
隙間内に本発明合金の溶湯を鋳込むことにより二層積層
体を形成する方法等を用いることができる。

〔実施例〕

第１表に示す成分組成を有する各合金について腐食試験
、腐食摩耗試験、溶接性試験および硬度測定を行い、同
表右欄に示す結果を得た。

表中、賦香（階）１〜１２は本発明例、隘１０１〜１０
９は比較例である。比較例隘１０１〜１０９のうち、１
’ｈ　１０１は従来材であるＳＵＳ　　３１６相当材、
Ｎｌ１１０２は「ハステロイＣ」相当材の例であり、隘
１０３〜１０９は本発明合金に類似する成分組成を有し
ているが、いずれかの元素の含有量（表中、下線付）が
本発明の規定から逸脱している例である。

ＣＩ）腐食試験 遠心力鋳造法により鋳造したパイプ（１３４φ×２０’
　Ｘ２８０６　、龍）から切り出した試験片（２０′Ｘ
３０７！Ｘ　５　ｔ、　ｍｓ）を亜鉛めっき液（液？ｊ
！ニア０”Ｃ）に浸漬し、７日間経過後の腐食減量を測
定。

めっき液組成：２０ｇ／Ｉ　ＨｚＳＯａ＋１００ｇ＃！
　ＮａｚＳ　Ｏ４＋１５０ｇ／／！　Ｚ　ｎ　Ｓ　０４
第１表中、「耐食性（腐食減量）」欄の数値は、比較例
１１ｈｌｏ１（Ｓ　Ｕ　Ｓ　　３１６相当材）の腐食減
量を１００とする重量比を示す。

（ＩＩ）腐食摩耗試験 遠心力鋳造したパイプ（１３４φｘ２０ｔｘ２８０　！
！　。

１曹）から丸棒状試験片（１５φＸ１００　ｌ　、　ａ
ｍ）を切り出し、亜鉛めっき液（液温：室温）中、３０
０ｒｐｍで回転している相手材５ＧＰ５０Ａの周面に２
　ｋｇの荷重で押付け、２日間経過後の摩耗減量を測定
。

めっき液組成：　２０ｇ／βＨ２Ｓ　Ｏ＊＋１００ｇ／
　Ｉ　Ｎ　ａ　ｚＳ　０４＋１５０ｇ／Ｉ　Ｚ　ｎ　Ｓ
　Ｏ。

第１表中、「耐摩耗性（摩耗減量）」の欄の数値は、比
較何階１０１（Ｓ　Ｕ　Ｓ　　３１６相当材）の摩耗減
量を１００とする重量比を示す。

（ＩＩ［）溶接性試験 ５ＵＳ３１６ステンレス綱平板（５０″×１００Ｌ×１
０ｔ、　ａｍ）を製作し、その表面にＴＩＧ溶接法によ
り、各供試材の共金フィラーを溶接肉盛した後、液体浸
透探傷試験を行い、溶接線表面の割れの有無を調べ、溶
接性の良否を評価した。第１表中、「溶接性」欄の「○
」は良好（割れなし）、「×」は不良（割れあり）を表
す。

第１表に示すように、本発明合金は、従来材である５Ｕ
Ｓ３１６材（［１０１）や、「ハステロイＣ」（ｍ１０
２）に比し、めっき液中での摩耗量が著しく少なく、卓
越した腐食摩耗抵抗を有している。特に、ＳｉおよびＢ
を含有する場合の耐腐食摩耗性の改善効果は顕著である
。

本発明合金の耐食性については、「ハステロイＣ」に比
し劣ってはいるものの、ＳＵＳ　　３１６材と同等もし
くはそれ以上の水準を有しているので、実使用上全く問
題とならない。従来材の通電ロールの廃却・再研磨手直
し加工の主たる原因が、腐食摩耗による肌荒れであるか
ら、本発明合金を使用することにより、ロール寿命を大
きく改善することができる。

なお、本発明合金に類する成分組成をもつ比較何階１０
３〜１０９についてみると、耐食性または耐摩耗性のい
ずれかに劣っているが、または溶接性に劣る等の問題が
あり、いずれも耐食性と耐腐食摩耗性と溶接性とを兼備
した本発明合金に及ばない。

〔発明の効果〕

本発明の通電ロール用合金は、めっき液の腐食環境に対
する耐食性および耐摩耗性、とりわけ腐食摩耗抵抗にす
ぐれている。

本発明合金をロール胴部構成材料とする電気めっき用通
電ロールは、めっき液による腐食および被めっき鋼板の
摺接による腐食摩耗が少なく、また砥石等の摺り付けに
よる疵・摩損の発生も軽微であり、長期にわたって平滑
美麗な胴部表面性状を保持する。従って従来のような頻
繁なロール取替えを必要とせず、またロールの再研磨加
工費用が低減すると共に、安定した連続めっき操業を維
持することができ、更にめっき製品の品質の安定・向上
効果も得られる。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. （１）Ｃ：０．２〜３．０％、Ｃｒ：２０．０〜３５．
   ０％、Ｍｏ：１５．０％以下、Ｎｉ：５．０％以下、不
   純分であるＦｅ：１０．０％以下、残部は脱酸元素であ
   るＳｉおよびＭｎを除き、実質的にＣｏからなる耐食性
   ・耐摩耗性にすぐれた電気めっき通電ロール用合金。
2. （２）Ｓｉ：２．０〜６．０％およびＢ：０．５〜５．
   ０％を含有する上記第１項に記載の耐食性・耐摩耗性に
   すぐれた電気めっき通電ロール用合金。