JPH10235615A - チッパー機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 原木材の拒絶反応を無くし生産性を向上させ
るとともに、低騒音でかつ円滑に原木材を切削できるよ
う改善することで、小さいサイズのチップを生産するの
に好適なチッパー機を提供する。 【解決手段】 ケーシング内に回転可能に軸支したディ
スクを設け、このディスクに配設した切削刃の刃出寸法
と投入角度とを調節可能にし、短辺５〜１０ｍｍ、長辺
５〜２０ｍｍの大きさのザラメチップを生産可能にする
とともに、切削刃に原木材を移送するコンベアと、加圧
ローラの押し圧により原木材を押えて送り込む原木強制
送り手段とを設け、このコンベアと加圧ローラとは回転
手段により回転駆動され正逆回転可能にする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、原木材を切削する
チッパー機、とくに比較的チップの形状が小さいザラメ
チップ等も生産可能なチッパ−機に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、原木材を切削するチッパー機とし
ては主に製紙用チップを生産する装置がよく知られてい
る。この装置は、ディスクの一部にスリットを設け、こ
のスリットに切削刃を配設し、回転駆動するように構成
されており、投入口から原木材を投入させ、切削刃と原
木材とを接触させることにより原木材が細かく切削され
る。また、原木材は切削と同時に衝撃により繊維方向に
分解され小さなチップになる。このとき原木材の径が比
較的小さい場合にはディスクを高速回転させて切削す
る。一方、原木材の径が比較的大きい場合には切削する
とき大きな力を必要とするのでディスクの回転速度も必
然的に低速にする必要がある。

【０００３】図２は従来の製紙用チッパー機の主要部を
示す平面図である。図２に示す装置は、特開平５−４９
４４１号公報に記載がある装置と実質的に同一なチッパ
ー機である。図２に示すように、台８０にケーシング６
０が固定してあり、このケーシング６０内にディスク７
０の軸両端が軸受け７５により軸支されている。このデ
ィスク７０はモータ（図示せず）により回転駆動され
る。またディスク７０にはスリット７０ａが設けてあ
り、このスリット７０ａ部に切削刃７３が装着、固定さ
れる。原木材５０を投入する投入部にはコンベア９０が
設けられており、このコンベア９０により原木材５０を
ディスク７０に移送する。またコンベア９０とディスク
７０の間には受刃台７９が設けてある。

【０００４】このように構成された従来の製紙用チッパ
ー機を使用する場合、図２に示すようにディスク７０を
回転させるとともにコンベア９０を駆動させる。このコ
ンベア９０一端の矢印Ｓで示す個所に投入口が設けてあ
り、この投入口から原木材５０を投入する。コンベア９
０に投入された原木材５０は受刃台７９を通り、この受
刃台７９の一端で突出したところを回転するディスク７
０に設けた切削刃７３により薄く切削される。台８０の
後方には排出口が設けてあり、所定の大きさに切削され
たチップがスリット７０ａを通り、この排出口から矢印
Ｅに向けて排出される。

【０００５】図３は従来の製紙用チッパー機の切削主要
部を示す断面図である。図３に示すように、製紙チップ
の場合にはディスク７０に設けた切削刃７３の刃出し寸
法を１０ｍｍに設定し、また投入角度を３７°に設定す
る。これによりサイズが短辺１５〜３０ｍｍ、長辺２０
〜４０ｍｍのチップが生産される。なお厚みは原木が切
削される瞬間に繊維方向に沿って分解される（剥がれ
る）状態で厚みが決まるので均一ではない。すなわち、
切削刃の入角度を少し鈍角にするか、または切削速度を
遅くすることによって少し厚めのチップを生産すること
ができる。しかし、この場合には生産効率が低下すると
ともにトルクの大きいモータを必要とする。このように
従来の製紙用チッパー機では、切削刃の刃出し寸法、ま
たは切削速度などの生産条件を調節することにより、各
種用途に適応したサイズのチップを生産していた。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来のチ
ッパー機で生産可能なチップのサイズは短辺１５〜３０
ｍｍ、長辺２０〜４０ｍｍの製紙チップだけであった。
一方、特願平７−３１０８７９号に記載された有機廃棄
物処理用に使用する小いサイズのザラメチップがあり、
このようなチップは従来のチッパー機では生産されてい
なかった。従来のチッパー機で小いサイズのザラメチッ
プを生産するためには、たとえば刃出し寸法を４ｍｍに
設定し、また投入角度を３７°に設定する必要がある。
これにより生産できるチップは短辺５〜１０ｍｍ、長辺
５〜２０ｍｍの大きさのチップが生産できる。

【０００７】しかし従来のチッパー機で刃出し寸法を４
ｍｍに設定すると、原木材を円滑に切削する許容範囲の
限界に近くなり、安定した切削を期待することは困難で
あった。具体的には、４ｍｍの刃出し寸法設定で切削を
行うと、原木材と切削刃とが噛み合わず拒絶反応を起こ
す不具合があった。この拒絶反応によりザラメチップが
切削できず「カンナ屑」だけが発生してしまうという不
具合があった。このように、拒絶反応を起こす限界の状
態で切削を続けると、切削刃の研磨寿命も著しく低下
し、作業員は切削刃を頻繁に取り替えなければならない
ため作業能率が低下してしまう。また、切削刃の研磨寿
命が著しく低下した状態で切削を行うと、切削時に余分
な衝撃と振動を与えてしまい切削音が大きくなり騒音公
害の原因となる不具合があった。

【０００８】さらに従来の製紙用チッパー機では、原木
材を投入口に数本投入し切削を行うと、材と材とがから
み合い「つまった」状態になる。このため、生産を停止
し詰まった材を除去する作業が必要になり、生産効率が
低下してしまうという不具合があった。本発明はこのよ
うな従来技術の問題を解決し、原木材の拒絶反応を無く
し生産性を向上させるとともに、低騒音でかつ円滑に原
木材を切削できるよう改善することで、小さいサイズの
チップを生産するのに好適なチッパー機を提供すること
を目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】ケーシング内に回転手段
により回転するディスクを設け、このディスクに配設し
た切削刃の刃出寸法と投入角度とを調節可能にし、矩形
状のチップを切削可能な切削手段と、原木材を切削手段
に移送する送り手段と、この送り手段により移送される
原木材に所定の押し圧を加えながら切削手段に送り込む
強制原木送り手段とを設ける。また切削手段の投入角度
を調節することにより、サイズが短辺５〜１０ｍｍ、長
辺５〜２０ｍｍのチップを切削可能にし、強制原木送り
手段に、加圧ローラが取り付けられた上下自在に作動す
るサブロータを設け、この加圧ローラの圧力により原木
材を押えるとともに切削手段に送り込むように配設す
る。また送り手段を回転駆動させる正逆回転可能な第一
駆動手段と、加圧ローラを回転駆動させる正逆回転可能
な第二駆動手段とを各々設け、この第一駆動手段と第二
駆動手段の正逆回転により、原木材を切削手段の方向に
送り込むとともに、逆方向にも送れるようにする。

【００１０】

【発明の実施の形態】次に添付図面を参照して本発明に
よるチッパー機の実施の形態を詳細に説明する。図１
は、本発明の実施の形態によるチッパー機の主要部を示
す構成図である。なお、図１では強制原木送り装置４０
の内部構造が理解できるよう、ここでは一部切り欠いて
示している。図１に示すように、台２０にケーシング１
が固定しており、このケーシング１内にディスク１０の
軸両端がベアリング１５により軸支されている。またデ
ィスク１０には十字状に４ヵ所（図４参照）スリット１
０ａを設け、このスリット１０ａ部に切削刃１３が装着
されている。この切削刃１３は、刃出し寸法の許容範囲
限界まで調節できるように設けられている。

【００１１】ディスク１０の切削投入口には原木材５０
を移送する送り手段としてコンベア３０が設置されてお
り、このコンベア３０により原木材５０はディスク１０
に移送される。コンベア３０は、対抗する一対のローラ
３２ａ、３２ｂと、この間に張設された無端鎖３４によ
り構成された鎖コンベアである。このコンベア３０のロ
ーラ３２ｂはチェーン３８ａにより駆動モータ３６ａと
連結されており、このローラ３２ｂが回転することによ
り無端鎖３４が駆動し原木材５０を移送する。またコン
ベア３０とディスク１０との間には、受刃台１９が設け
てあり、この受刃台１９と切削刃１３との間隔によって
最良のチップを生産できる条件が決まるため、ゲージ
（図示せず）により受刃台１９を正確に設置できるよう
に設けてある。

【００１２】コンベア３０には、原木材５０を固定しデ
ィスク１０へ送り込む強制原木送り装置４０が軸４０ａ
により軸支され設けられている。この強制原木送り装置
４０内には、原木材５０を加圧により固定するサブロー
タ４３が軸４６ａに軸支され設けられている。また、サ
ブロータ４３には原木材５０を巻き込むための加圧ロー
ラ４５Ａ、４５Ｂが軸４６ａ、４６ｂにそれぞれ軸支さ
れている。加圧ローラ４５Ａ、４５Ｂは円柱形状であ
り、この外周により原木材５０を巻き込み噛み合いなが
らディスク１０に移送するため、歯車のように凹凸を形
成し、凸部先端は原木材５０と噛み合うように鋭角に形
成されている。この加圧ローラ４５Ａは駆動モータ３６
ｂとチェーン３８ｂにより連結されており、駆動モータ
３６ｂの回転により加圧ローラ４５Ａが回転駆動する。
このように、駆動モータ３６ａ、３６ｂの回転により、
コンベア３０と加圧ローラ４５Ａとを回転駆動させディ
スク１０に原木材５０を移送させる。また駆動モータ３
６ａ、３６ｂは逆回転可能なモータであり、数本の原木
材５０が切削時に投入口で材と材とがからみ合い「つま
った」状態になった時、駆動モータ３６ａ、３６ｂを逆
回転させることにより簡単にトラブルから回避できるよ
うに構成されている。

【００１３】図４は、図１に示すチッパー機を上部から
見た主要部を示す構成図である。なお、図４では強制原
木送り装置４０の内部構造が理解できるように、ここで
は一部切り欠いて示している。図４に示すように、ディ
スク１０の上部には、プーリ１７が設けてあり、このプ
ーリ１７の横にはモータ２３が配設されている。このプ
ーリ１７とモータ２３とはベルト２５により連動され、
小さな動力で大きなトルクを得られるよう構成されてい
る。このようにモータ２３の動力をプーリ１７に伝える
ことよりディスク１０が回転駆動する。

【００１４】このように本実施の形態によるチッパー機
を使用する場合は、モータ２３を回転させることにより
ディスク１０を回転駆動させる。また図１に示すよう
に、駆動モータ３６ａ、３６ｂを回転させることにより
コンベア３０と加圧ローラ４５Ａとを回転駆動させる。
コンベア３０の一端には、矢印Ｓに示す個所に投入口が
あり、この投入口からチップ用の原木材５０を矢印Ｓに
示す向きに投入する。コンベア３０一端に投入した原木
材５０はディスク１０の方向に移送される途中で強制原
木送り装置４０内を通過する。

【００１５】原木材５０は強制原木送り装置４０内を通
過する際、軸４６ｂに軸支された加圧ローラ４５Ｂに接
触する。加圧ローラ４５Ｂが原木材５０と接触すると、
加圧ローラ４５Ｂが原木材５０と噛み合い巻き込んで矢
印Ｈで示すように、軸４６ａを中心にサブロータ４３と
一緒に加圧ローラ４５Ｂが上下動する。このサブロータ
４３の上下動により、点線に示すように原木材５０は上
部からサブロータ４３の重みにより押えつけられる。さ
らに原木材５０はディスク１０に向い移送され、軸４６
ａに軸支した加圧ローラ４５Ａに接触する。加圧ローラ
４５Ａが原木材５０と接触すると、加圧ローラ４５Ａが
原木材５０を巻き込んで、矢印Ｆに示すように、軸４０
ａを中心に強制原木送り装置４０全体が上下動する。こ
の強制原木送り装置４０の上下動により、点線に示すよ
うに原木材５０は、上部から強制原木送り装置４０の重
みにより押えつけられる。強制原木送り装置４０の上下
動により原木材５０の上部より加えられる加圧は約３０
０Ｋｇである。この約３００Ｋｇの加圧により原木材５
０は押えられ一定の速度で送り込まれるので安全な切削
が可能となる。

【００１６】図５は、本実施の形態によるチッパー機で
ザラメチップを切削する際の切削主要部を示す断面図で
ある。図５に示すように、本実施の形態によるチッパー
機によりザラメチップを生産するには、ディスク１０に
設けた切削刃１３の刃出し寸法を４ｍｍに設定し、また
投入角度を３７°に設定する。これにより短辺５〜１０
ｍｍ、長辺５〜２０ｍｍの小さいサイズのザラメチップ
が生産される。また、厚みは原木が切削される瞬間に繊
維方向に沿って分解し（剥がれ）、この状態で厚みが決
まるので均一ではない。このように、製紙チップより小
さいサイズのザラメチップを生産するためには、製紙用
の刃出し寸法１０ｍｍからザラメチップ用の刃出し寸法
４ｍｍに変更することで生産可能である。しかし刃出し
寸法４ｍｍは許容範囲の限界に近いため拒絶反応を起し
やすくなる。この拒絶反応を防止するため、強制原木送
り装置４０の上下作動により約３００Ｋｇの加圧を加え
原木材５０を押えることにより円滑な切削が可能とな
る。

【００１７】図１に示すように、コンベア３０に投入さ
れた原木材５０は、強制原木送り装置４０を通過しサブ
ロータ４３の３００Ｋｇの加圧により押えられる。さら
に押えられた原木材５０は受刃台１９を通り受刃台１９
の一端から突出したところを回転するディスク１０に設
けた切削刃１３により薄く切削される。このように薄く
切削されたチップは、台２０の矢印Ｅに示す方向に落下
し、この矢印Ｅの下部には排出口（図示せず）が設けて
あり、この排出口から切削されたチップが排出される。

【００１８】以上、本実施の形態を説明したが、本発明
は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨
を逸脱しない範囲の変更または修正は本発明の範囲に含
まれる。たとえば、本発明の実施の形態により生産され
るサイズの小さいチップは、ザラメチップだけに限定さ
れるものではなく、椎茸の菌床栽培に使用するチップな
どにも適用できる。またディスクに設けた切削刃は４ヵ
所に限定するものではなく、切削効率上、切削刃を増や
してもよい。またサブロ−タの上下自在に作動する約３
００Ｋｇの加圧は、この荷重に限定するものではない。

【００１９】

【発明の効果】以上、詳細に説明したように本発明によ
るチッパー機によれば、サブロ−タが上下自在に作動し
て３００Ｋｇの加圧により、原木材を押えながら送りこ
まれるため、拒絶反応が全くなく一定の間隔でスム−ズ
に切削でき、サイズも均一に切削できる。このように拒
絶反応を無くすことにより、刃物の研磨寿命が向上で
き、切削刃の交換も少なくなるので作業性や経済性の向
上を期待できる。

【００２０】また原木材を押えながら一定の速度で送り
こまれるため、ディスクを低速回転でも安全に切削で
き、切削時の切削音は極めて低騒音であり、余分な衝撃
と振動がなく静かな運転、切削を可能にする。さらに原
木材を送り込むコンベアと加圧ローラとを回転させる駆
動モータが正逆回転可能であるため、投入した数本の原
木材が投入口で材と材とがからみ合い「つまった」状態
になった時でもモータを逆回転することにより作業を停
止することなく簡単にトラブルが解消できるので作業性
が向上する。このように、原木材の拒絶反応を無くし生
産性を向上させるとともに、低騒音でかつ円滑な切削作
業が可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態によるチッパー機の主要部
を示す構成図。

【図２】従来の製紙用チッパー機の主要部を示す平面
図。

【図３】従来の製紙用チッパー機の切削主要部を示す断
面図。

【図４】図１に示すチッパー機を上部から見た主要部を
示す構成図。

【図５】本実施の形態によるチッパー機でザラメチップ
を切削する際の切削主要部を示す断面図。

【符号の説明】

１ ケーシング １０ ディスク １０ａ スリット １３ 切削刃 １５ ベアリング １７ プーリ １９ 受刃台 ２０ 台 ３０ コンベア ３２ａ、３２ｂ ローラ ３４ 無端鎖 ３６ａ、３６ｂ 駆動モータ ３８ａ、３８ｂ チェーン ４０ 強制原木送り装置 ４０ａ 支持部 ４３ サブロータ ４５Ａ、４５Ｂ 加圧ローラ ４６ａ、４６ｂ 軸 ５０ 原木材

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ケーシング内の回転軸にディスクを固定
   し、このディスクに切削刃を配設するとともに、前記回
   転軸とディスクとを回転駆動させる回転手段を備え、前
   記回転手段により回転駆動された前記切削刃が原木材を
   所定の大きさに切削するチッパー機において、 前記ディスクに配設した切削刃の刃出寸法と投入角度と
   を調節可能にし、矩形状のチップに切削可能な切削手段
   と、 前記原木材を前記切削手段に移送する送り手段と、 前記送り手段により移送される原木材に所定の押し圧を
   加えながら前記切削手段に送り込む強制原木送り手段と
   を有することを特徴とするチッパー機。
2. 【請求項２】 請求項１に記載のチッパー機において、 前記切削手段の投入角度を調節することにより、サイズ
   が短辺５〜１０ｍｍ、長辺５〜２０ｍｍのチップを切削
   可能であることを特徴とするチッパー機。
3. 【請求項３】 請求項１に記載のチッパー機において、 前記強制原木送り手段は、加圧ローラが取り付けられた
   上下自在に作動するサブロータを備え、前記加圧ローラ
   の圧力により前記原木材を押えるとともに前記切削手段
   に送り込むことを特徴とするチッパー機。
4. 【請求項４】 請求項３に記載のチッパー機において、 前記送り手段を回転駆動させる正逆回転可能な第一駆動
   手段と、前記加圧ローラを回転駆動させる正逆回転可能
   な第二駆動手段とを各々設け、前記第一駆動手段、第二
   駆動手段の正逆回転により、前記原木材を前記切削手段
   の方向に送り込むとともに、逆方向にも送れることを特
   徴とするチッパー機。