JPH102314A - ワンサイドボルト - Google Patents

ワンサイドボルト

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JPH102314A
JPH102314A JP15429796A JP15429796A JPH102314A JP H102314 A JPH102314 A JP H102314A JP 15429796 A JP15429796 A JP 15429796A JP 15429796 A JP15429796 A JP 15429796A JP H102314 A JPH102314 A JP H102314A
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bolt
sleeve
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nut
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Nobutaka Tamura
暢崇 田村
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HAUJINGU TAMURA KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 接合完了までの時間がかかるし面倒である。
専用の工具が必要である。構造が複雑で、接合強度が製
品ごとでばら付くおそれがある。仮締めした後に本締め
することができない。応力伝達が確実になされるかどう
か不安がある。 【解決手段】 角型鋼管柱3と鉄骨製の梁のエンドプレ
ート5に形成された挿通穴3a,5aを挿通可能なボル
ト本体7を備え、ボルト本体7の外周には、スリーブ
9、受けワッシャ11、複数枚の変形ワッシャ13,1
3,……、ガイドワッシャ15、筒状ナット17が先端
(図中左側)に向けて順に嵌装されている。ボルト本体
7とナット21とを相対回転させると、密接状態となっ
た変形ワッシャ13,13,……の後端がスリーブ9の
変形部9bを介して鋼管柱3の端面に当接するととも
に、その先端および外周部がボルト本体7の先端部に固
定された筒状ナット17の変形部17Bで包囲され、か
つ筒状ナット17の後端縁が鋼管柱3の端面に当接し、
さらに、密接状態の変形ワッシャが受けワッシャ11お
よびガイドワッシャ15間で挟み込まれる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば角型鋼管
柱と鉄骨製の梁との接合に用いられるワンサイドボルト
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、閉鎖断面である角型鋼管柱と鉄骨
製の梁との接合や、該柱同士の接合に際し、閉鎖断面の
一方(外側)から他方(内側)への動作のみでこれらの
部材を接合するワンサイドボルトとして、例えば図10
(a),(b)に示されるものが周知である(例えば、
特開平7−331745号公報参照)。
【0003】同図に示すワンサイドボルトは、主部10
1aより若干大径の頭部101bを有するピン101
と、その外周に順に被嵌された第1スリーブ102、第
2スリーブ103、グリップアジャスタ104、ワッシ
ャ105、およびカラー106とからなり、頭部101
bを先頭にして、閉鎖断面の外側から接合される二つの
部材107,108に形成された挿通穴に挿通してワッ
シャ105を外側の部材107の端面に密着させた後、
専用の工具109を用いカラー106に反力をとってピ
ンテール101cを外側に向けて引くことにより、同図
(b)に示すように、カラー106、グリップアジャス
タ104、第2スリーブ103を相対的に前進せしめて
第1スリーブ102を拡径状態に塑性変形させ、さらに
グリップアジャスタ104を剪断破壊させて第1スリー
ブ102の後端を内側の部材108の端面に接触させ、
カラー106を塑性変形して所定の張力が導入されたと
きにピンテール101cが破断されるものである。
【0004】また、閉鎖断面の内側にてピンの外周に被
嵌されたバルブスリーブを鍔状に塑性変形させるものも
周知である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のワンサイドボルトにあっては、次のような課
題があった。
【0006】最終的にピンテールが破断されるまでこ
れを引く作業が必要であり、接合完了までの時間がかか
るし、作業自体が特殊で面倒である。
【0007】専用の工具が必要であり、工具の取扱い
に熟練を要するし、工具自体の管理、とりわけ一般に高
所作業となる接合場所での管理が面倒である。
【0008】ボルト自体の構造が複雑で部品点数が多
く、歩留まりが多いことが懸念されるし、製造誤差が蓄
積されるので、最終的に導入される張力、すなわち接合
強度が製品ごとでばら付くおそれがある。
【0009】一度仮締めした後に本締めするといった
ことができない。
【0010】目視できない閉鎖断面の内側にて、第1
スリーブまたはバルブスリーブが所望の塑性変形がなさ
れているかの確認が困難であり、所望の変形がなされて
いたとしても第1スリーブの先端がボルト頭部の後端部
に僅かに係止されているだけであって、応力伝達が確実
になされるかどうかに不安がある。また、接合部材の肉
厚の合計が小さい場合には、第1スリーブの先端とボル
ト頭部の後端部との係止部に第2スリーブが至るおそれ
があり、この場合、第1スリーブの先端部をも拡開変形
させてボルト頭部との係止を不十分にするおそれがあ
る。
【0011】近年、大被害をもたらした阪神大震災で
は、不測の荷重が接合される部材間に加わっていたこと
が報告され、このような大震災時には、第1スリーブや
バルブスリーブの塑性変形部分が再変形する可能性を完
全に否定しさることはできない。
【0012】異種の部品点数が多く構造が複雑であっ
てボルト単体が高価である上、専用の工具のコストも必
要である。
【0013】この発明は、前述した従来の問題に鑑みな
されたもので、その目的は、作業が迅速かつ容易であ
り、特殊な工具が不要であり、構造も簡単で単価も低廉
でありながら、仮締め後の本締めが可能であり、確実に
応力伝達が可能なワンサイドボルトを提供することにあ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に係る発明は、接合される複数の部材に形
成された挿通穴を軸方向に挿通可能なボルト本体と、こ
のボルト本体の外周に嵌装されその軸方向に移動可能な
スリーブと、このスリーブよりボルト本体の先端側に嵌
装され軸方向に移動可能で、かつ拡開変形可能な複数枚
のワッシャと、前記ボルト本体の先端側に固定された筒
状ナットとを備え、前記ボルト本体とその後端部に形成
されたねじに螺合されたナットとの相対回転により、前
記ワッシャを前記接合される部材の端面との間で密接状
態で拡開変形させつつ、前記筒状ナットの後端側の変形
部を該ワッシャの周囲を包囲あるいは該ワッシャの先端
面に圧接するように拡開変形させることを特徴とするも
のである。
【0015】この発明では、接合される複数の部材に形
成された挿通穴にボルト本体を挿通させ、ボルト本体と
その後端部に形成されたねじに螺合されたナットとを相
対回転させると、ボルト本体に対してスリーブが先端に
向けて相対移動し、後端側に位置するワッシャから順に
先端に向けて相対移動する。スリーブ、各ワッシャ、筒
状ナットがそれぞれ当接した後、さらにナットを締め付
けると、ワッシャが順に拡開変形しつつ、筒状ナットの
後端側の変形部が拡開変形し、ワッシャが密接状態とな
るとともに筒状ナットの変形部がワッシャの周囲を包囲
しあるいはワッシャの先端面に圧接する。その結果、ワ
ッシャおよび筒状ナットの拡開変形部が協働してあたか
も単一のナットが形成されることになる。その後、さら
にナットを締め付けると、ボルト本体に所定の張力が導
入され、接合される複数の部材が摩擦接合される。
【0016】筒状ナットの変形部はすべてのワッシャの
周囲を包囲し、さらにその後端縁が接合される部材の端
面に当接することが望ましいが、変形部の後端縁が接合
部材の端面に当接すること、およびすべてのワッシャの
周囲を包囲することは本発明において必須ではなく、ワ
ッシャの一部の周囲のみを包囲するものであってもよい
し、ワッシャの周囲を包囲することなくその先端部に圧
接するものであってもよい(この場合、筒状ナットの変
形部は、単に外側に向けて塑性変形するものでもよい
し、折り返し変形されるものであってもよい)。
【0017】また、請求項3にかかる発明は、接合され
る複数の部材に形成された挿通穴を軸方向に挿通可能な
ボルト本体と、このボルト本体の外周に嵌装されその軸
方向に移動可能で、かつ先端側の変形部が拡開変形可能
なスリーブと、前記ボルト本体の先端側に固定された筒
状ナットとを備え、前記ボルト本体とその後端部に形成
されたねじに螺合されたナットとの相対回転により、前
記スリーブの変形部を前記接合される部材の端面との間
で拡開変形させつつ、前記筒状ナットの後端部を該スリ
ーブの周囲を包囲あるいは該スリーブの先端面に圧接す
るように拡開変形させることを特徴とするものである。
【0018】この発明では、接合される複数の部材に形
成された挿通穴にボルト本体を挿通させ、ボルト本体と
その後端部に形成されたねじに螺合されたナットとを相
対回転させると、ボルト本体に対してスリーブが先端に
向けて相対移動し、該スリーブの変形部が拡開変形しつ
つ、筒状ナットの後端側の変形部が拡開変形し、筒状ナ
ットの変形部がスリーブの周囲を包囲しあるいはスリー
ブの先端面に圧接する(筒状ナットの後端縁が部材の端
面に当接することが望ましいことは請求項1の発明と同
様であるし、その変形例は請求項1の「ワッシャ」を
「スリーブ」に置換することで得られる)。その結果、
スリーブおよび筒状ナットの拡開変形部が協働してあた
かも単一のナットが形成されることになる。その後、さ
らにナットを締め付けると、ボルト本体に所定の張力が
導入され、接合される複数の部材が摩擦接合されること
は請求項1に係る発明と同様である。
【0019】以上の各発明では、ボルトを挿通穴に挿通
した後は、通常のナットの締め付け作業を行うだけでよ
く、作業時間が短くてすむし、作業自体がきわめて容易
である。また、ナットを締め付ける従来の工具があれば
足り、従来のワンサイドボルトで用いられるような特殊
な工具が不要であり、特殊な工具の取扱いに熟練を要す
ることもないし、管理も容易である。
【0020】そして、ナットの締め付けにより、複数枚
のワッシャが密接状態になること、ならびにボルト本体
に固定された筒状ナットの変形部がこれらを包囲しある
いは圧接すること、および筒状ナットの後端縁が接合部
材の端面に当接される場合にはこれが相俟って、ボルト
本体に所定の張力が確実に導入されるので、不測の荷重
が接合される部材に加わっても、ワッシャおよび筒状ナ
ットで形成されるナットが変形するおそれはなく、確実
に応力を伝達することができる。
【0021】また、ボルト単体でみた場合には、構成が
簡単であるし、最終的に導入される張力、すなわち接合
強度が製品ごとでばら付くおそれが解消されるし、単価
が安い。
【0022】請求項1において、筒状ナットの拡開変形
する後端部は、後端部のみが別体となっていてもよい
し、請求項2において、スリーブの拡開変形する先端部
は、先端部のみが別体となっていてもよい。
【0023】請求項1にかかる発明においては、ワッシ
ャがボルト本体の先端に向けて凸となる傘状であること
が好ましい(請求項2)。この場合、ナットの締め付け
によるワッシャの変形がスムーズに行われる。
【0024】また、筒状ナットをボルト本体に固定する
手段としては、ボルト本体の先端部に形成されたねじ部
への螺合、スポット溶接等の溶接、かしめ、ボルト本体
の先端部に形成された大径の頭部への当接等の種々の技
術を採用することができることはもちろんである。
【0025】請求項3にかかる発明においてはスリーブ
を複数設けることができ(請求項4)、この場合、変形
したスリーブ同士が径方向に重ね合わされたり、軸方向
に重ね合わされたりし、さらに、その周囲または先端面
に筒状ナットの変形部が係合するので、接合強度が高く
なる。
【0026】ボルト本体の先端部にはねじが形成され、
前記筒状ナットがこのねじに螺合されていれば(請求項
5)、ボルト本体と筒状ナットとが強固に一体化される
ので、接合強度が高い。また、筒状ナットが、ボルト本
体の先端部に形成された大径の頭部に当接していれば
(請求項6)、本発明にかかるワンサイドボルトの製造
が容易である。
【0027】そして、請求項1およびこれに従属する請
求項のいずれかに記載のワッシャと筒状ナットとの間に
配置され、または請求項3およびこれに従属する請求項
のいずれかに記載のスリーブと筒状ナットとの間に配置
され、前記筒状ナットの拡開変形をガイドするガイドワ
ッシャを設けることもできる(請求項7)。この場合、
筒状ナットの拡開変形がガイドワッシャにガイドされて
スムーズに行われる。
【0028】また、スリーブの先端側に配置され該スリ
ーブの拡開変形をガイドする受けワッシャを設ければ
(請求項8)、スリーブの拡開変形が受けワッシャにガ
イドされてスムーズに行われる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施例を図面を
用いて詳細に説明する。
【0030】図1(a),(b)は、本発明の好適な実
施例を示している。本発明にかかるワンサイドボルト1
は、接合される複数の部材(同図では、例えば角型鋼管
柱3と鉄骨製の梁のエンドプレート5)に形成された挿
通穴3a,5aを挿通可能なボルト本体7を備え、ボル
ト本体7の外周には、スリーブ9、受けワッシャ11、
複数枚の変形ワッシャ13,13,……、ガイドワッシ
ャ15、筒状ナット17が先端(図中左側)に向けて順
に嵌装されている。
【0031】ボルト本体7は、先端および後端にねじ部
7a,7bを有し、後端のねじ部7bは右ねじとなって
いるのに対し、先端のねじ部7aは左ねじとなってい
る。また、ボルト本体7の後端部には若干小径のピンテ
ール7cが設けられている。
【0032】スリーブ9は、内径がボルト本体7の外径
より僅かに大きい貫通孔9aを有し(JIS規格に準じ
ればその内径はボルト本体7の外径+2mm)、全体が
ボルト本体7に対し相対回転および軸方向への相対回転
可能となっている。そして、スリーブ9の先端側は、内
周部が穿たれて拡開変形可能な薄肉の変形部9bとなっ
ている。また、スリーブ9の後端縁から変形部9bの中
間部までの長さは、接合される鋼管柱3とエンドプレー
ト5の肉厚の合計とほぼ一致している。
【0033】ぞれぞれの変形ワッシャ13は、先端に向
けて凸となる傘状となっていて、拡開状態に塑性変形可
能となっており、ボルト本体7に嵌装されてその軸方向
に移動可能となっている。この実施例では、1mmのも
のが5枚設けられているが、後述する作用を奏するもの
であれば厚さを任意に設定することができるし、その枚
数も1〜12,13枚程度とすることができる。
【0034】そして、ボルト本体7のねじ部7aには筒
状ナット17が螺合されている。筒状ナット17は、ボ
ルト本体7のねじ部7aに螺合される内ねじ部17aが
形成された肉厚部17Aと、後端側に設けられ内周部が
穿たれて拡開変形可能な薄肉の変形部17Bとからなっ
ている。ここで、少なくとも肉厚部17Aは、焼き入れ
を施すことが望ましい。
【0035】受けワッシャ11には、スリーブ9の変形
部9bの先端部内側角部が当接し、かつボルト本体7の
先端に向けて漸次拡開するテーパー部11aが形成され
ている。ガイドワッシャ15には、筒状ナット17の変
形部17Bの後端部内側角部に対向し、かつボルト本体
7の後端に向けて漸次拡開するテーパー部15aが形成
されている。
【0036】以上のスリーブ9、受けワッシャ11、変
形ワッシャ13,13,……、ガイドワッシャ15、筒
状ナット17は、その外径がほぼ一致しており、挿通穴
3a,5aを挿通可能となっている。また、ボルト本体
7、筒状ナット17、スリーブ9、受けワッシャ11、
変形ワッシャ13、ガイドワッシャ15は、従来のボル
トと同質または同等の材質からなっている。
【0037】また、ボルト本体7のねじ部7bにはワッ
シャ19を介して通常のナット21が螺合されている。
ここで、前記筒状ナット17の肉厚部17Aの軸方向の
長さは、ナット21のそれに対し1.5〜2倍程度であ
ることが好ましい。
【0038】以上の構造を有するワンサイドボルト1
は、次のようにして鋼管柱3と梁のエンドプレート5と
を接合する。
【0039】まず、角型鋼管柱3と梁のエンドプレート
5に形成された挿通穴3a,5aに対し、エンドプレー
ト5の外側から筒状ナット17を先頭にしてガイドワッ
シャ15、変形ワッシャ13,13,……、受けワッシ
ャ11、スリーブ9の先端部を順に挿通し、これらを閉
鎖断面である鋼管柱3の内側に抜け出させる。
【0040】次いで、ボルト本体7とナット21とを相
対回転させると、スリーブ9がボルト本体7の先端に向
けて相対移動し、後端側に位置する変形ワッシャ13か
ら順に先端に向けて相対移動する。スリーブ9、各変形
ワッシャ13,13,……、筒状ナット17がそれぞれ
当接した後、さらにナット21を締め付けると、受けワ
ッシャ11にガイドされてスリーブ9の変形部9bが拡
開変形し、さらに変形ワッシャ13の先端が筒状ナット
17の肉厚部17A後端に阻止され、複数枚のワッシャ
13,13,……が順に拡開変形するとともに、筒状ナ
ット17の後端側の変形部17Bが拡開変形する。その
後、変形ワッシャ13,13,……が密接状態となり、
さらに、筒状ナット17の変形部17Bがガイドワッシ
ャ15にガイドされて密接状態となった変形ワッシャ1
3,13,……の周囲を包囲するよう変形するととも
に、筒状ナット17の後端縁が鋼管柱3の端面に当接す
る。
【0041】その結果、密接状態となった変形ワッシャ
13,13,……の後端がスリーブ9の変形部9bを介
して鋼管柱3の端面に当接するとともに、その先端およ
び外周部がボルト本体7の先端部に固定された筒状ナッ
ト17の変形部17Bで包囲され、かつ筒状ナット17
の後端縁が鋼管柱3の端面に当接し、さらに、密接状態
の変形ワッシャが受けワッシャ11およびガイドワッシ
ャ15間で挟み込まれる。
【0042】さらにナット21を締め付けると、以上の
スリーブ9の変形部9b、変形ワッシャ13,13,…
…、筒状ナット17が協働してあたかも単一のナットと
して機能し、ボルト本体7に所定の張力が導入され、鋼
管柱3および梁のエンドプレート5が高い強度で確実に
摩擦接合される(図1(b)を参照)。
【0043】なお、ピンテール7cに破断部(図示しな
い)を設け、ボルト本体7に所定の張力が導入されたと
きにこの破断部が破断する構成とすれば(図1(b)で
は破断されている)、破断部が破断するまでボルト本体
7とナット21とを相対回転することにより、安定した
接合作業を行うことができ、接合品質が均一化するし、
自動化も可能である。なお、この破断部は、本発明にお
いて必須の構成要件ではない。
【0044】このように、ボルトを挿通穴3a,5aに
挿通した後は、通常のナット21の締め付け作業を行う
だけでよく、作業時間が短くてすむし、作業自体がきわ
めて容易である。また、ナット21を締め付ける従来の
工具があれば足り、従来のワンサイドボルトで用いられ
るような特殊な工具が不要であり、特殊な工具の取扱い
に熟練を要することもないし、管理も容易である。さら
に、ナット21を二重ナットとすることもできるし、仮
締め後に本締めを行うことができるといった効果もあ
る。
【0045】そして、ナット21の締め付けにより、複
数枚の変形ワッシャ13,13,……が密接状態になる
こと、ならびにボルト本体7に固定された筒状ナット1
7の変形部17Bがこれらを包囲しあるいは圧接するこ
と、および筒状ナット17の後端縁が鋼管柱3の端面に
当接されること、変形ワッシャが受けワッシャ11およ
びガイドワッシャ15間で挟み込まれることが相俟っ
て、ボルト本体7に所定の張力が確実に導入されるの
で、鋼管柱3とエンドプレート5とを高い強度で接合す
ることができ、不測の荷重が接合される部材に加わって
も、変形ワッシャおよび筒状ナット等で形成されるナッ
トが変形するおそれはなく、確実に応力を伝達すること
ができる。
【0046】また、ボルト単体でみた場合には、構成が
簡単であるし、最終的に導入される張力、すなわち接合
強度が製品ごとでばら付くおそれが解消されるし、単価
が安い。
【0047】以下、他の実施例について説明する。
【0048】図2(a),(b)は、前述した実施例の
変形例を示している。この実施例では、ボルト本体7の
先端部にねじ部7aが形成される代わりに大径の頭部7
dが形成され、筒状ナット17の先端が該頭部7dに当
接しており、前述の実施例と同様の効果を奏する。
【0049】図3(a),(b)は他の実施例を示して
いる。この実施例では、筒状ナット17の軸方向長さが
短くなっており、ナット21の締め付け後におけるボル
ト本体7の張力導入時に筒状ナット17の後端縁が密接
される変形ワッシャの先端面に圧接する構成となってい
る。この実施例においても、前述の実施例と同様な効果
を奏する。
【0050】図4ないし図7は、以上の実施例と同様な
効果が得られるさらに他の実施例を示している。図4以
下では、ボルト本体7の図示を省略してスリーブ9と筒
状ナット17との関係を主として説明するが、その他の
構成は前述の実施例と同様である。
【0051】図4(a),(b)に示す実施例は、スリ
ーブ9の変形部が別体の変形スリーブ23となってお
り、ナット21の締め付けにより変形スリーブ23が折
り返されるように拡開状態に塑性変形し、この拡開変形
した変形スリーブ23の周囲を包囲するように筒状ナッ
ト17が変形するものである。この例では、変形スリー
ブ23が一つのものを示したが、軸方向に複数設けるこ
ともできる。この場合、複数の変形スリーブのすべての
周囲を筒状ナット17の変形部17Bが包囲することは
本発明において必須ではなく、変形部17Bは変形スリ
ーブの一部を包囲することもできる。筒状ナット17の
変形部17Bは、折り返し変形されるものでもよく、こ
の場合、変形部17Bとスリーブ9の変形部9bとの間
で一又は複数の変形スリーブが挟持されることになる。
さらに、複数の変形スリーブを設ける場合、それらの変
形の仕方は同じでも同じでなくてもよく、他の変形スリ
ーブの周囲を包囲するものでもよい。
【0052】図5(a),(b)に示す実施例は、スリ
ーブ9の変形部9bが折り返されるように拡開状態に塑
性変形するものであり、受けワッシャ11およびガイド
ワッシャ15なしでこのような変形を可能にするため、
スリーブ9の先端部が先端側に向けて縮径するテーパー
部9cとなっている一方、筒状ナット17の後端部がテ
ーパー部9cと係合するテーパー部17bとなってい
る。
【0053】図6(a),(b)に示す実施例は、図5
の実施例におけるスリーブ9の先端部より若干後部側に
内周部を穿たれた肉薄部9dが形成されていて、ボルト
本体7とナット21との相対回転によるスリーブ9と筒
状ナット17との当接によりスリーブ9の先端肉厚部9
eが外側に折れ曲げられるように拡開状態となるもので
ある。
【0054】図7(a),(b)に示す実施例は、スリ
ーブ9と筒状ナット17の双方が同様に折り返されるよ
うに拡開変形するものである。
【0055】図8(a),(b)および図9(a),
(b)は、またさらに他の実施例を示し、図8はスリー
ブ9の変形部9bが筒状ナット17の外周を包囲するよ
うに変形する例であり、図9は図8の実施例にガイドワ
ッシャを付加することによってスリーブ9の変形を大き
くした例である。
【0056】なお、それぞれの構成部材の外形寸法は、
接合される部材に応じて適宜設定される。また、ボルト
本体7の筒状ナット17との接合部は、異形状とするこ
ともできる。
【0057】また、以上の実施例では、二つの接合され
る部材として角型鋼管柱3と梁のエンドプレート5とを
例示したが、鋼管柱同士の接合その他の接合に適用する
ことができることはいうまでもない。
【0058】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明にか
かるワンサイドボルトは、作業が迅速かつ容易であり、
特殊な工具が不要であり、構造も簡単で単価も低廉であ
りながら、仮締め後の本締めが可能であり、高い強度で
接合することができ、確実に応力伝達が可能であるとい
った優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の好適な実施例を示すナット締
め付け前の断面図である。(b)はナット締め付け後の
断面図である。
【図2】(a)は他の実施例を示すナット締め付け前の
断面図である。(b)はナット締め付け後の断面図であ
る。
【図3】(a)は他の実施例を示すナット締め付け前の
断面図である。(b)はナット締め付け後の断面図であ
る。
【図4】(a)は他の実施例を示すナット締め付け前の
断面図である。(b)はナット締め付け後の断面図であ
る。
【図5】(a)は他の実施例を示すナット締め付け前の
断面図である。(b)はナット締め付け後の断面図であ
る。
【図6】(a)は他の実施例を示すナット締め付け前の
断面図である。(b)はナット締め付け後の断面図であ
る。
【図7】(a)は他の実施例を示すナット締め付け前の
断面図である。(b)はナット締め付け後の断面図であ
る。
【図8】(a)は他の実施例を示すナット締め付け前の
断面図である。(b)はナット締め付け後の断面図であ
る。
【図9】(a)は他の実施例を示すナット締め付け前の
断面図である。(b)はナット締め付け後の断面図であ
る。
【図10】(a),(b)は従来例を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1 ワンサイドボルト 3 角型鋼管柱(挿通穴3a) 5 エンドプレート5(挿通穴5a) 7 ボルト本体 9 スリーブ(9b 変形部) 11 受けワッシャ 13 変形ワッシャ 15 ガイドワッシャ 17 筒状ナット(17B 変形部) 19 ワッシャ 21 ナット

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 接合される複数の部材に形成された挿通
    穴を軸方向に挿通可能なボルト本体と、このボルト本体
    の外周に嵌装されその軸方向に移動可能なスリーブと、
    このスリーブよりボルト本体の先端側に嵌装され軸方向
    に移動可能で、かつ拡開変形可能な複数枚のワッシャ
    と、前記ボルト本体の先端側に固定された筒状ナットと
    を備え、 前記ボルト本体とその後端部に形成されたねじに螺合さ
    れたナットとの相対回転により、前記ワッシャを前記接
    合される部材の端面との間で密接状態で拡開変形させつ
    つ、前記筒状ナットの後端側の変形部を該ワッシャの周
    囲を包囲あるいは該ワッシャの先端面に圧接するように
    拡開変形させることを特徴とするワンサイドボルト。
  2. 【請求項2】 前記ワッシャは、ボルト本体の先端に向
    けて凸となる傘状であることを特徴とする請求項1に記
    載のワンサイドボルト。
  3. 【請求項3】 接合される複数の部材に形成された挿通
    穴を軸方向に挿通可能なボルト本体と、このボルト本体
    の外周に嵌装されその軸方向に移動可能で、かつ先端側
    の変形部が拡開変形可能なスリーブと、前記ボルト本体
    の先端側に固定された筒状ナットとを備え、 前記ボルト本体とその後端部に形成されたねじに螺合さ
    れたナットとの相対回転により、前記スリーブの変形部
    を前記接合される部材の端面との間で拡開変形させつ
    つ、前記筒状ナットの後端部を該スリーブの周囲を包囲
    あるいは該スリーブの先端面に圧接するように拡開変形
    させることを特徴とするワンサイドボルト。
  4. 【請求項4】 前記スリーブは複数設けられていること
    を特徴とする請求項3に記載のワンサイドボルト。
  5. 【請求項5】 前記ボルト本体の先端部にはねじが形成
    され、前記筒状ナットがこのねじに螺合されていること
    を特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のワン
    サイドボルト。
  6. 【請求項6】 前記筒状ナットは、前記ボルト本体の先
    端部に形成された大径の頭部に当接していることを特徴
    とする請求項1ないし4のいずれかに記載のワンサイド
    ボルト。
  7. 【請求項7】 請求項1およびこれに従属する請求項の
    いずれかに記載のワッシャと筒状ナットとの間に配置さ
    れ、または請求項3およびこれに従属する請求項のいず
    れかに記載のスリーブと筒状ナットとの間に配置され、
    前記筒状ナットの拡開変形をガイドするガイドワッシャ
    を設けたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか
    に記載のワンサイドボルト。
  8. 【請求項8】 前記スリーブの先端側に配置され該スリ
    ーブの拡開変形をガイドする受けワッシャを設けたこと
    を特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のワン
    サイドボルト。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4884678A (en) * 1987-09-28 1989-12-05 Graham S Neal Orbital cap selecting and feeding mechanism
KR100489464B1 (ko) * 2002-09-17 2005-05-12 현대모비스 주식회사 자동차의 다이내믹 댐퍼 취부구조
JP2008133900A (ja) * 2006-11-28 2008-06-12 Fujitsu Access Ltd ネジの締結構造
CN105840621A (zh) * 2016-04-28 2016-08-10 苏州市林氏精密五金标准件制造有限公司 一种异形专用螺钉
CN110685990A (zh) * 2019-10-24 2020-01-14 中国矿业大学 一种折叠垫片式单边螺栓紧固件
CN112196880A (zh) * 2020-11-06 2021-01-08 广东电网有限责任公司广州供电局 一种新型花兰螺栓

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