JPH10229268A - 回路板の製造方法 - Google Patents

回路板の製造方法

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JPH10229268A
JPH10229268A JP10079383A JP7938398A JPH10229268A JP H10229268 A JPH10229268 A JP H10229268A JP 10079383 A JP10079383 A JP 10079383A JP 7938398 A JP7938398 A JP 7938398A JP H10229268 A JPH10229268 A JP H10229268A
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irradiated
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Riyuuji Ootani
隆児 大谷
Takeshi Okamoto
剛 岡本
Yoshimitsu Nakamura
良光 中村
Yoshiyuki Uchinono
良幸 内野々
Sakuo Kamata
策雄 鎌田
Kunji Nakajima
勲二 中嶋
Toshiyuki Suzuki
俊之 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 レーザ等の電磁波の照射処理時間を短縮して
生産性を高める。 【構成】 絶縁性基材1の表面にめっき用触媒、めっき
用触媒の化合物、金属膜などのようなめっき下地層2を
形成する。絶縁性基材1の回路部3と非回路部4の少な
くとも境界領域に、非回路部4のパターンに対応してレ
ーザ等の電磁波を照射することによって、非照射部を残
してレーザ等の電磁波を照射したこの照射部のめっき下
地層2を除去する。この後、非照射部のめっき下地層2
の表面にめっきを施す。レーザ等の照射は回路絶縁部4
のうち少なくとも回路部3との境界領域におこなえばよ
く、回路絶縁部4の広い領域の全面にレーザを照射する
必要がない。また、CADによって回路設計するにあた
って、CAD情報に基づいてレーザ等の電磁波を照射お
こなう。CAD情報から短時間でレーザ等の操作データ
を作成して作業時間を短縮することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、平面又は三次元立体の
絶縁性基材の表面に回路を形成することによって得られ
る回路板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】絶縁性基材の表面に回路を形成すること
によって回路板を製造するにあたって、回路間の絶縁部
となる非回路部の箇所にレーザ等を照射することによっ
てこの箇所にめっきがおこなわれないように処理し、そ
してこの後に回路形成用のめっきを施すようにした技術
が、特開平4−263490号公報や特開昭61−68
92号公報、特開平3−122287号公報で提供され
ている。
【0003】すなわち特開平4−263490号公報は
「薄膜回路の製造方法」に関するものであり、絶縁材の
基板の上に導体薄膜を形成し、パターン形成したホトマ
スクを通して導体薄膜にレーザ光を照射して導体薄膜を
除去し、導体薄膜のパターンに無電解めっきあるいは電
気めっきして導体を堆積させることによってめっき導体
パターンを形成するようにしてある。
【0004】また特開昭61−6892号公報は「プリ
ント回路の製造方法」に関するものであり、化学めっき
反応用触媒を表面に設けた基板にパターン状にレーザ光
等の高強度光を照射して触媒作用を低下乃至消失させた
後、化学めっき処理して高強度光の非照射部に選択的に
めっきすることによってプリント回路を形成するように
してある。
【0005】さらに特開平3−122287号公報は
「基板の金属化方法」に関するものであり、基板の上に
触媒層を被着し、区域的に紫外線照射して触媒層を活性
化又は不動態化した後に、活性化区域にめっき等をする
ようにしてある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のように特開平4
−263490号公報や特開昭61−6892号公報、
特開平3−122287号公報のものでは、絶縁性基材
の非回路部にレーザや紫外線等を照射する工程を設けて
回路板を製造するようにしているが、いずれのものにあ
っても、非回路部の領域全面にめっきがなされないよう
にレーザや紫外線等を非回路部の領域の全面に照射する
ようにしている。しかしこのように非回路部の広い領域
の全面にレーザや紫外線等を照射すると、レーザや紫外
線等の照射処理時間が長く必要になって回路板の生産性
が低下するという問題があった。
【0007】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、レーザ等の電磁波の照射処理時間を短縮して生産
性を高めることができる回路板の製造方法を提供するこ
とを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、絶縁性基材1
の表面にめっき用触媒、めっき用触媒の化合物、金属膜
などのようなめっき下地層2を形成し、絶縁性基材1の
回路部3と非回路部4の少なくとも境界領域に、非回路
部4のパターンに対応してレーザ等の電磁波を照射する
ことによって、非照射部を残してレーザ等の電磁波を照
射した照射部のめっき下地層2を除去した後、めっき下
地層2にめっきを施すようにした回路板の製造方法にお
いて、CADによって回路設計するにあたって、CAD
情報に基づいて上記のレーザ等の電磁波の照射をおこな
うことを特徴とするものである。
【0009】さらに本発明は、レーザ等の電磁波の照射
部の幅を非回路部の幅の最小値に設定して、電磁波の照
射をおこなうことを特徴とするものである。さらに本発
明は、レーザ等の電磁波を移動させながら照射するにあ
たって、照射移動中に照射ビーム径を可変にすることを
特徴とするものである。さらに本発明は、レーザ等の電
磁波ビームを離間した複数スポットにして照射すること
を特徴とするものである。
【0010】さらに本発明は、周辺のエネルギー分布が
急峻なビームモードのレーザ等の電磁波を用いて、電磁
波の照射をおこなうことを特徴とするものである。さら
に本発明は、レーザ等の電磁波の照射スポット形状を角
型、長角型、長円型のいずれかに形成して、電磁波の照
射をおこなうことを特徴とするものである。
【0011】さらに本発明は、レーザ等の電磁波の照射
スポットを回路部3と非回路部4との境界線と平行に振
動させながら、回路部3と非回路部4との境界に沿って
移動させて電磁波を照射することを特徴とするものであ
る。
【0012】
【作用】絶縁性基材1の非回路部4の少なくとも回路部
3との境界領域に沿ってレーザ等の電磁波を照射するこ
とによって、非回路部4の領域の全面に電磁波を照射す
るような必要なく、回路5を形成することができる。そ
して非回路部4にめっきがなされても、回路部3とはレ
ーザ等の電磁波の照射で分離絶縁されており、回路板の
回路性能に特に問題は生じない。
【0013】
【実施例】以下本発明を実施例によって詳述する。図1
は本発明の一実施例を示すものであり、絶縁性基材1と
してはポリイミド、ABS、ポリエーテルイミド、液晶
ポリマー、アルミナセラミックス等の電気絶縁材料によ
って形成したものを用いるものであり、図1(a)のよ
うに平面状に形成したものの他に、三次元立体状に作成
したものを用いることができる。そして先ず、この絶縁
性基材1の表面をクロム酸液やKOH水溶液、リン酸液
等で処理することによって、図1(b)のように微細な
凹凸11を付与する粗面化処理をおこなう。
【0014】次に、絶縁性基材1の表面の全面に図1
(c)のようにめっき下地層2を形成する。めっき下地
層2はめっき用触媒やめっき用触媒の化合物を絶縁性基
材1の表面に付着させたり、金属膜を絶縁性基材1の表
面に設けたりすることによって形成することができる
が、図1の実施例では、無電解めっきの触媒となるPd
を含有する液に絶縁性基材1を浸漬した後に、活性化処
理して、絶縁性基材1の表面にPd核付けをおこなうこ
とによって、めっき下地層2を形成するようにしてあ
る。
【0015】次に、絶縁性基材1の表面にレーザ等の電
磁波を照射して電磁波を照射した部分のめっき下地層2
を除去する。電磁波としてはレーザの他に、X線や紫外
線等を用いることができるが、レーザが最も好適である
ので、以下主として電磁波としてレーザを用いたものに
ついて説明する。このレーザとしては例えばQスイッチ
YAGレーザを用いることができるものであり、ガルバ
ノミラー等で操作することによってレーザを絶縁性基材
1の表面に移動させつつ照射するようにしてある。ガル
バノミラーはガルバノメータを用いて角度可変に形成し
たミラーであり、高速でビーム移動が可能であると共に
レーザスポット径も数十μmを得ることが可能である。
またレーザの照射は、絶縁性基材1の表面のうち回路5
を形成する箇所である回路部3以外の部分、すなわち回
路部3間の絶縁スペースとなる非回路部4においておこ
なわれるものであり、非回路部4の少なくとも回路部3
との境界領域に非回路部4のパターンに沿ってレーザを
移動(走査)させながら照射することによって、非回路
部4の回路部3との境界領域のめっき下地層2を除去す
るものである。従って図1(d)に示すように、非回路
部4のめっき下地層2のうち、レーザの照射部である回
路部3との境界部分のめっき下地層2は除去され、非回
路部4のめっき下地層2のうちレーザの非照射部は、回
路部3のめっき下地層2と共に除去されずに残されるこ
とになる。レーザの照射エネルギーは例えば10〜30
0μJ/pulse程度が好ましく、めっき下地層2と
共に絶縁性基材1の表面部を同時に除去するようにして
もよい。ここで、非回路部4の幅(隣合う回路部3間の
幅)が照射レーザのスポット径(例えばφ100μm)
と同等の場合には、非回路部4に沿ってレーザを1回照
射することによって、非回路部4の両側の境界領域のめ
っき下地層2を除去することができる。
【0016】上記のようにしてレーザを絶縁性基材1の
表面の非回路部4に少なくとも回路部3との境界領域に
照射した後、無電解銅めっき液等の無電解めっき浴に絶
縁性基材1を浸漬等することによって、レーザが照射さ
れず絶縁性基材1の表面に残っているめっき下地層2に
銅等の無電解めっき層12を10μm程度の厚みで析出
させる。このように無電解めっき層12を回路部3のめ
っき下地層2の上に設けることによって、パターン形状
の回路5を形成することができるものである。無電解め
っき層12は非回路部4に残留するめっき下地層2にも
設けられることになるが、回路部3のめっき下地層2と
非回路部4のめっき下地層2との境界部分はレーザ照射
によって除去されているために、回路5の絶縁性は確保
されており、性能上特に問題は生じない。
【0017】このように回路部3のめっき下地層2にめ
っきをして回路形成した後、必要に応じてソルダーレジ
スト、Niめっき、Auめっきを施すことによって、回
路板として仕上げることができる。上記のようにして回
路板を製造するにあたって、レーザの照射は絶縁性基材
1の非回路部4の少なくとも回路部3との境界領域にお
こなっているだけであり、非回路部4の全面にレーザを
走査させて照射する必要はないので、非回路部4の広い
領域の全面にレーザを描画して照射する場合に比べてレ
ーザの照射処理時間を短縮することができ、回路板の生
産性を高めることが可能になるものである。尚、上記実
施例ではレーザ照射後にめっきをおこなって回路形成す
るにあたって、無電解めっきをおこなうようにしたが、
無電解めっきの他に、電気めっきやCVD(化学蒸
着)、PVD(物理蒸着)等の任意のめっき手段を用い
て回路形成をすることができるものである。
【0018】上記の実施例のように、絶縁性基材1の表
面の非回路部4に回路部3との境界線に沿ってレーザを
照射するにあたって、レーザの照射ビーム径を可変にし
て、レーザの照射をおこなうようにすることができる。
すなわち、レーザの照射ビームの径が大きいと広い面積
でレーザビームを照射することができるために、速い速
度で広い面積を照射することができるが、微細な描画を
しながら照射をおこなうことはできない。逆にレーザの
照射ビームの径が小さいと微細な描画で照射をおこなう
ことができるが、照射面積が小さいので速い速度で広い
面積を照射することができない。このようにレーザの照
射ビーム径が一定であれば一長一短があるが、レーザを
走査しながらレーザの照射ビーム径を変化させることに
よって、長所のみを得ることができるものである。
【0019】図2はレーザの照射ビーム径を可変にし
て、使い分けながら照射をおこなうようにした一例を示
すものであり、回路パターンのラインとスペースの幅が
標準的な200μm/200μm、すなわち回路部3の
幅が200μmで回路部3間の非回路部4の幅が200
μmの場合、レーザの照射ビーム径を制御してスポット
半径を100μmにし、非回路部4の中心線に沿って照
射ビームを移動させることによって(図2に照射ビーム
の大径のスポットをS1 の円で図示する)、このビーム
径の大きいレーザの一回の照射で非回路部4の両側の境
界線を同時に照射することができ、高速描画でレーザ照
射をおこなうことができる。また半径100μm以下の
小さなアールやピン間のような小さい幅の非回路部4に
レーザ照射する場合には、レーザを小さいビーム径に制
御して照射することによって(図2に照射ビームの小径
のスポットをS2 の円で図示する)、微細な描画をしな
がら照射をおこなうことができる。このようにレーザの
照射ビーム径を変えて使い分けるにあたっては、後述す
るCAD/CAMの情報に基づいておこなうようにする
ことができる。図3はレーザの照射ビーム径を変えて使
い分けながら照射をおこなうようにした他例を示すもの
であり、大きい径のビーム(スポットS1 )で高速描画
して照射すると共に、細部は細いビーム(スポット
2 )で描画して照射するようにしてある。
【0020】上記のようにレーザの照射ビーム径を調整
するにあたっては、例えばデフォーカス量を制御するこ
とによっておこなうことができる。すなわち、図4
(a)のようにレーザのビームBの焦点を照射面に合わ
せてデフォーカス量を0にすると、照射ビーム径を小さ
くすることができ(この場合は照射ビームの移動速度は
高速になる)、また図4(b)のようにレーザのビーム
Bの焦点を照射面からずらしてデフォーカス量を大きく
すると、照射ビーム径を大きくすることができる(この
場合は照射ビームの移動速度は低速になる)。また図5
に示すように、なだらかな強度分布を持つビームモード
のレーザの発振エネルギーを変化させるように制御する
ことによって、レーザの照射ビーム径L1 , L2 を調整
することもできる。さらに図6に示すように、なだらか
な強度分布を持つビームモードのレーザの走査速度を変
化させたり、あるいは照射時間を変化させたりすること
によっても、レーザの照射ビーム径L1 , L2 を調整す
ることができる。勿論、レーザの照射ビーム径の調整は
これらの方法に限定されるものではなく、任意の方法を
採用することができるものである。
【0021】上記のようにレーザの照射ビーム径を調整
しながら、図1の方法を実施することができるものであ
り、非回路部4の幅の広い箇所ではレーザの照射ビーム
の径を大きく調整して照射をおこなうことによって、広
い面積でレーザビームを照射して照射時間を短縮するこ
とができ、また微細な描画を必要とする箇所ではレーザ
の照射ビームの径を小さく調整して照射をおこなうこと
によって、小さい面積で微細に描画して照射をおこなう
ことができるものである。
【0022】また、回路設計をCAD/CAMによって
おこなう場合、CAD/CAMによる設計回路図の情報
に基づいて非回路部4の幅やその中心線等でデータを得
ることができる。そこでこの場合には、このデータに基
づいてレーザの照射位置やレーザの照射ビーム径を決定
しながら照射をおこなうことができる。すなわち図7の
フローチャートに示すように、回路部3の中心線データ
や回路部3の幅データから回路部3と非回路部4の境界
線を算出し、さらにこのデータに基づいて非回路部4の
幅の最小値を算出する。次にレーザの照射ビームのスポ
ット径を非回路部4の幅の最小値以下に調整し、レーザ
のスポット径の半径に相当するオフセット量を算出す
る。そして、回路部3と非回路部4の境界線よりも非回
路部4にオフセットしたレーザ照射中心線を算出し、さ
らにレーザの照射停止時間が最小となるように、つまり
照射する連続した輪郭線から他の輪郭線へのレーザ照射
を伴わない照射位置の移動長さの合計が最小となるよう
に、照射順序を決定し、これらのデータをガルバノミラ
ー制御装置に入力して、レーザの照射を制御することが
できる。
【0023】具体的には例えば、非回路部4の幅が50
〜200μmでレーザの照射ビーム径の取りうる最大径
が200μmの場合、CAD/CAMデータに基づい
て、レーザの照射ビーム径を非回路部4の幅に一致させ
ながら、また照射ビームの中心を非回路部4の中心線と
一致させるように調整してレーザを照射することによっ
て、一回の照射で非回路部4の両側の境界領域を同時に
照射することができる。また非回路部4の幅が例えば3
00μmで照射ビーム径の最大値以上であるときは、例
えば照射ビームの径を150μmに調整して、非回路部
4の両側の境界領域に沿って二回に分けて照射をおこな
うようにすることができる。尚、レーザの照射エネルギ
ーは例えば0.05〜1J/cm2 に設定するのが好ま
しい。
【0024】上記のようにCAD/CAMによる設計回
路図の情報に基づいてレーザの照射ビーム径を調整しな
がら、図1の方法を実施することができるものであり、
照射ビーム径の制御は、既述したデフォーカス制御、強
度制御、速度又は照射時間制御等でおこなうことができ
るものである。このように、CAD/CAM情報からレ
ーザ等の電磁波の照射位置やスポット径を決定するため
に、短時間でレーザ等の操作データを作成して、作業時
間を短縮することができるものである。
【0025】また、CAD/CAM情報に基づいて上記
図7のフローチャートようにレーザの照射ビーム径を決
定しながら照射をおこなうにあたって、レーザの照射ビ
ームのスポット径を非回路部4の幅の最小値dに調整し
て図8のように照射をおこなうことによって(図8に照
射ビームのスポットをS1 の円で図示する)、回路5の
パターン間隔が狭い微細な回路であっても、容易に回路
パターン形成をおこなうことができるものである。
【0026】上記の実施例のように、絶縁性基材1の表
面の非回路部4に回路部3との境界線に沿ってレーザを
照射するにあたって、レーザの移動操作(走査)をガル
バノミラーを用いておこなう場合、レーザの走査を高速
でおこなうと回路部3の角部にレーザを照射するに際し
て、ガルバノミラーの慣性で照射がオーバーシュートし
てしまうおそれがある。このために回路部3の角部では
レーザの走査速度を遅くすることによってこのような慣
性によるオーバーシュートがおこらないようにしている
が、レーザの走査速度を遅くすると回路部3の角部にレ
ーザエネルギーが集中し、絶縁性基材1に損傷を与える
ことがある。このために回路部3の角部では照射を一時
的に停止することがおこなわれているが、照射処理時間
が長くなってしまうものであった。
【0027】そこでこの場合には、回路部3の角部では
非回路部4内でアールを描くようにガルバノミラー等に
よってレーザビームを走査させるようにするのがよい。
図9(a)は非回路部4の回路部3との境界線に沿って
レーザを走査させながら照射するにあたって、回路部3
の角部を過ぎると非回路部4内において一回転させるよ
うにアールを描かせて方向転換した後に、再度回路部3
との境界線に沿ってレーザを走査させるようにすること
によって、回路部3の角部を角張るよう仕上げるように
した実施例を示すものである。図9(b)は非回路部4
の回路部3との境界線に沿ってレーザを走査させながら
照射するにあたって、回路部3の角部ではアールを描か
せるように曲線で走査させることによって、速度を一定
にして走査させることができるようにした実施例を示す
ものである。
【0028】上記のように回路部3の角部でアールを描
くようにレーザを移動させるようにしながら、図1の方
法を実施することができるものであり、回路部3の角部
に損傷を与えることなく、高速でレーザを移動させて、
照射処理時間を短くすることができるものである。尚、
アールの半径はガルバノミラーの加速、減速に必要な距
離、例えば300μmとほぼ同等である。またアールの
半径等はCAD/CAMによる設計回路図の情報に基づ
いて設定することができる。
【0029】また、絶縁性基材1の表面の非回路部4に
回路部3との境界線に沿ってレーザを照射するにあたっ
て、レーザの照射を各境界線毎に一本ずつおこなってい
たのでは照射処理の時間が長時間必要になる。そこで、
この非回路部4と回路部3との境界線が平行な箇所で
は、レーザを複数スポットに分割して、各離間したスポ
ットを平行に移動させることによって、複数箇所を同時
に照射することができる。図10はその一例を示すもの
であり、レーザを二本のスポットに分割して各回路部3
の両側の境界に沿って平行に移動させながら照射するこ
とによって、回路部3の両側の境界領域へのレーザの照
射を同時におこなうことができるようにしてある(図1
0においてはレーザをデュアルスポットにして、イ矢印
箇所とイ矢印箇所の照射や、ロ矢印箇所とロ矢印箇所の
照射を同時におこなうようにしている)。
【0030】ここで、レーザの照射の移動をX,Yガル
バノミラーで操作しておこなうにあたって、例えばレー
ザ発振機とガルバノミラーとの間に2焦点レンズ系を挿
入することによって、レーザを二本のスポットに成形し
て照射をおこなうことができる。二本のスポットの間隔
は回路部3の平行な輪郭線の間隔に応じて調整するもの
である。また、二本のスポットを上記のように回路部3
の両側に同時に照射する他に、非回路部4の両側輪郭に
同時に照射するようにしてもよく、一本以上の回路部3
や非回路部4を挟んだ二本の平行な輪郭に同時に照射す
るようにしてもよい。
【0031】図11はレーザを二本のスポットに成形す
る一例を示すものであり、ピンホール16あるいはスリ
ットを設けた二枚のマスク17をレーザのビームBの光
路に挿入することによって、レーザを各マスク17のピ
ンホール16を通過する二本のスポットに分割するよう
にしてある。このものでは、マスク17,17の相対位
置関係を変化させて、ピンホール16,16の間隔を調
整することによってレーザの二本のスポット間隔を設定
することができると共に、二枚のマスク17,17を一
体にして回転させることによってレーザの走査の向きを
方向転換することができる。
【0032】図12の実施例では二焦点レンズ28をレ
ーザのビームBの光路に挿入することによって、レーザ
を二焦点のスポットに分割するようにしてあり、このも
のでは二焦点レンズ28を回転させることによってレー
ザの走査の向きを方向転換することができる。図13は
レーザを二本のスポットに成形する他例を示すものであ
り、レーザのビームBの光路にプリズム18を挿入して
光路を二本に分割し、分割した各光路に傾斜角度を調整
自在な可動ミラー19,20が挿入してあり、さらにA
Oスイッチ21やレンズ22が挿入してある。プリズム
18と可動ミラー19,20、AOスイッチ21、レン
ズ22は全体が一体となって水平に回転されるようにな
っている。そしてこのものにあって、レーザはプリズム
18によって二本に分割され、さらに可動ミラー19,
20で反射されてAOスイッチ21及びレンズ22を通
って絶縁性基材1の表面に照射される。このようにして
レーザを二本の平行なスポットにして同時に照射するこ
とができるものであり、平行線の方向が変化する箇所で
は各スポットの向きを同時に変えるようにして照射をお
こなうものである。また回路部3が交叉する箇所や回路
部3の端部など、二本の平行線のうち一方が不要なとき
は、一方の可動ミラー20のみを傾動させたり(図13
に想像線で示す)、AOスイッチ21などのシャッター
で一方のレーザビームの照射をオフにしたりして、照射
をおこなうようにすることができるものである。
【0033】上記のようにレーザを複数スポットに分割
して、各スポットを平行に移動させながら照射すること
によって、上記図1の方法を実施することができるもの
であり、一回のレーザ操作で複数本のレーザ照射をおこ
なうことができ、照射時間を短縮することができるもの
である。また、上記各実施例のように、絶縁性基材1の
表面の非回路部4に回路部3との境界線に沿ってレーザ
を照射するにあたって、周辺のエネルギー分布が急峻な
ビームモードのレーザを用いることによって、レーザの
照射によるめっき下地層2の除去の効果が照射部と非照
射部、すなわち非回路部4と回路部3との境界で明確な
差となってあらわれ、境界のにじみやぼけがなくなり、
回路部3の端縁部の仕上げ精度を高く得ることができ
る。
【0034】図14は周辺のエネルギー分布が急峻なビ
ームモードのレーザを得る一例を示すものであり、円錐
プリズム24の廻りに円錐台の内周を鏡面として形成し
た円錐ミラー25を配置し、円錐ミラー25の下方に上
下複数枚のリング状のシリンドリカルレンズ26が配置
してある。このものにあって、円錐プリズム24の頂部
上方からレーザを照射すると、レーザビームBは円錐プ
リズム24の外方へ放射されると共に円錐ミラー25で
リング状に反射され、さらにシリンドリカルレンズ26
で絞られた後に、環状ビームとして絶縁性基材1に照射
されることになる。このようにして得られる環状ビーム
は、周辺のエネルギー分布が急峻なビームモードになっ
ている。
【0035】上記のように周辺のエネルギー分布が急峻
なビームモードのレーザを用いて照射をおこなうことに
よって、上記図1の方法を実施することができるもので
あり、レーザの照射によるめっき下地層2の除去の効果
が非回路部4と回路部3との境界で明確な差となってあ
らわれ、回路部3の端縁部の仕上げ精度を高く得ること
ができるものである。
【0036】また、上記各実施例のように、絶縁性基材
1の表面の非回路部4に回路部3との境界線に沿ってレ
ーザ等の電磁波を照射するにあたって、レーザ等の電磁
波の照射スポット形状を図15(a)のような角型、図
16(b)のような長角型、あるいは図17(c)のよ
うな長円型のいずれかに形成して(各スポットをSで示
す)、このスポットSを移動させることによって、照射
パターンの角部をエッジ形状に仕上げることができるも
のである。レーザ等の電磁波の照射スポット形状を角
型、長角型、長円型に成形するには、アパーチャやプリ
ズム、シリンドリカルレンズ等を用いておこなうことが
できる。またパルス状のレーザを用いて走査をおこなう
と、走査して照射した縁部がジグザグになるが、照射ス
ポット形状を上記のように角型、長角型、長円型に成形
して、スポット形状の長辺が非回路部4と回路部3との
間の境界線に一致するように走査しながら照射をおこな
うと、照射の縁部のジグザグが小さくなり、回路部3の
境界端面を直線状に仕上げることができるものである。
【0037】さらに、このようにレーザ等の電磁波を照
射するにあたって、図16(a)に示すように照射スポ
ットSを回路部3と非回路部4との境界線と平行に振動
させながら、図16(b)に示すように回路部3と非回
路部4との境界に沿って移動させるようにすることによ
って、丸いスポットであってもパルス状のレーザを用い
た場合のような照射の縁部のジグザグを小さくして、回
路部3の境界端面を直線状に仕上げることができるもの
である。この場合、1パルスの照射の時間内にビーム位
置がビーム径の1/10〜10倍の距離を動く程度に振
動させながら移動(走査)させるようにするのがよい。
【0038】上記のようにレーザ等の電磁波の照射スポ
ット形状を角型や長角型、あるいは長円型のいずれかに
形成して照射したり、あるいは照射スポットを回路部3
と非回路部4との境界線と平行に振動させながら回路部
3と非回路部4との境界に沿って移動させて照射したり
することによって、上記図1の方法を実施することがで
きるものであり、照射パターンの角部をエッジ形状に仕
上げることができ、また照射の縁部のジグザグを小さく
して回路部3の境界端面を直線状に仕上げることができ
るものである。
【0039】図17乃至図19は、非回路部4の回路部
3との境界輪郭部分のレーザの照射状態を示すものであ
り、図17や図18の実施例では小さい径の照射スポッ
トS 1 を走査させてレーザを照射するようにしてある。
また図19の実施例では小さい径の照射スポットS1
走査させてレーザを照射する他に、大きい径の照射スポ
ットS2 を走査させてレーザを照射するようにしてあ
る。
【0040】
【発明の効果】上記のように本発明は、絶縁性基材の表
面にめっき用触媒、めっき用触媒の化合物、金属膜など
のようなめっき下地層を形成し、絶縁性基材の回路部と
非回路部の少なくとも境界領域に、非回路部のパターン
に対応してレーザ等の電磁波を照射することによって、
非照射部を残してレーザ等の電磁波を照射したこの照射
部のめっき下地層を除去した後、めっき下地層にめっき
を施すようにしたので、レーザの照射は非回路部のうち
少なくとも回路部との境界領域におこなえば足りるもの
であり、非回路部の広い領域の全面にレーザを照射する
場合に比べてレーザの照射処理時間を短縮することがで
き、回路板の生産性を高めることが可能になるものであ
る。またCADによって回路設計するにあたって、CA
D情報に基づいてレーザ等の電磁波を照射するようにし
たので、CAD情報から短時間でレーザ等の操作データ
を作成して作業時間を短縮することができるものであ
る。
【0041】さらに、レーザ等の電磁波を移動させなが
ら照射するにあたって、照射移動中にビーム径を可変に
したので、非回路部の幅の広い箇所では照射ビームの径
を大きく調整して照射をおこなうことによって、広い面
積でレーザビームを照射して照射時間を短縮することが
でき、また微細な描画を必要する箇所ではレーザ等の照
射ビームの径を小さく調整して照射をおこなうことによ
って、小さい面積の照射で微細に描画して照射をおこな
うことができるものである。
【0042】さらに、レーザ等の電磁波の照射部の幅を
非回路部の幅の最小値に設定して、電磁波の照射をおこ
なうようにしたので、回路のパターン間隔が狭い微細な
回路であっても容易に回路形成をおこなうことができる
ものである。さらに、レーザ等の電磁波ビームを複数ス
ポットにして、平行に移動させながら照射するようにし
たので、一回の操作で複数本の照射をおこなうことがで
き、照射時間を短縮することができるものである。
【0043】さらに、周辺のエネルギー分布が急峻なビ
ームモードのレーザ等の電磁波を用いて、電磁波を照射
するようにしたので、レーザの照射によるめっき下地層
の除去の効果が非回路部と回路部との境界で明確な差と
なってあらわれ、回路部の端縁部の仕上げ精度を高く得
ることができるものである。さらに、レーザ等の電磁波
の照射スポット形状を角型、長角型、長円型のいずれか
に形成して、電磁波を照射するようにしたので、照射パ
ターンの角部をエッジ形状に仕上げることができるもの
である。
【0044】さらに、レーザ等の電磁波の照射スポット
を回路部と非回路部との境界線と平行に振動させなが
ら、回路部と非回路部との境界に沿って移動させて電磁
波を照射するようにしたので、照射の縁部のジグザグを
小さくして回路部の境界端面を直線状に仕上げることが
できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すものであり、(a)乃
至(e)はそれぞれ斜視図である。
【図2】本発明の異なる径のビームを用いた実施例を示
す平面図である。
【図3】本発明の異なる径のビームを用いた他の実施例
を示す平面図である。
【図4】同上の実施例のデフォーカス量制御を示すもの
であり、(a),(b)はそれぞれ概略図である。
【図5】同上の実施例のビーム径の制御の他の例を示す
概略図である。
【図6】同上の実施例のビーム径の制御のさらに他の例
を示す概略図である。
【図7】レーザ制御の手順を示すフローチャートであ
る。
【図8】同上の他の実施例を示す平面図である。
【図9】同上の他の実施例を示すものであり、(a)、
(b)はぞれぞれ概略平面図である。
【図10】同上の他の実施例を示す平面図である。
【図11】同上の他の実施例を示す斜視図である。
【図12】同上の他の実施例を示す斜視図である。
【図13】同上の他の実施例を示す斜視図である。
【図14】同上の他の実施例を示す概略断面図である。
【図15】同上の他の実施例を示すものであり、
(a),(b),(c)は照射ビームの形状を示す概略
図である。
【図16】同上の他の実施例を示すものであり、
(a),(b)は照射ビームの態様を示す概略図であ
る。
【図17】同上の他の実施例を示す平面図である。
【図18】同上の他の実施例を示す平面図である。
【図19】同上の他の実施例を示す平面図である。
【符号の説明】
1 絶縁性基材 2 めっき下地層 3 回路部 4 非回路部 5 回路
フロントページの続き (72)発明者 内野々 良幸 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 鎌田 策雄 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 中嶋 勲二 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 鈴木 俊之 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁性基材の表面にめっき用触媒、めっ
    き用触媒の化合物、金属膜などのようなめっき下地層を
    形成し、絶縁性基材の回路部と非回路部の少なくとも境
    界領域に、非回路部のパターンに対応してレーザ等の電
    磁波を照射することによって、非照射部を残してレーザ
    等の電磁波を照射したこの照射部のめっき下地層を除去
    した後、めっき下地層にめっきを施すようにした回路板
    の製造方法において、CADによって回路設計するにあ
    たって、CAD情報に基づいて上記のレーザ等の電磁波
    の照射をおこなうことを特徴とする回路板の製造方法。
  2. 【請求項2】 レーザ等の電磁波の照射部の幅を非回路
    部の幅の最小値に設定して、電磁波の照射をおこなうこ
    とを特徴とする請求項1に記載の回路板の製造方法。
  3. 【請求項3】 レーザ等の電磁波を移動させながら照射
    するにあたって、照射移動中に照射ビーム径を可変にす
    ることを特徴とする請求項1又は2に記載の回路板の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 レーザ等の電磁波ビームを離間した複数
    スポットにして照射することを特徴とする請求項1乃至
    3のいずれかに記載の回路板の製造方法。
  5. 【請求項5】 周辺のエネルギー分布が急峻なビームモ
    ードのレーザ等の電磁波を用いて、電磁波の照射をおこ
    なうことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載
    の回路板の製造方法。
  6. 【請求項6】 レーザ等の電磁波の照射スポット形状を
    角型、長角型、長円型のいずれかに形成して、電磁波の
    照射をおこなうことを特徴とする請求項1乃至5のいず
    れかに記載の回路板の製造方法。
  7. 【請求項7】 レーザ等の電磁波の照射スポットを回路
    部と非回路部との境界線と平行に振動させながら、回路
    部と非回路部との境界に沿って移動させて電磁波を照射
    することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載
    の回路板の製造方法。
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