JPH10227331A - 制振装置 - Google Patents

制振装置

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JPH10227331A
JPH10227331A JP4732097A JP4732097A JPH10227331A JP H10227331 A JPH10227331 A JP H10227331A JP 4732097 A JP4732097 A JP 4732097A JP 4732097 A JP4732097 A JP 4732097A JP H10227331 A JPH10227331 A JP H10227331A
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vibration damping
damping device
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acceleration
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Yoshiya Nakamura
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 パッシブ型の制振装置よりも十分な制振効果
を得ることができ、また、アクティブ型の制振装置より
も簡易で安価な制振装置を提供する。 【解決手段】 建物30の最上部等に固設されたベース
部36と移動可能に支持された重錘32との間に、バネ
38、減衰器40および駆動装置42を設ける。重錘3
2、バネ38および減衰器40は、重錘32の減衰自由
振動によって建物30の振動を吸収するパッシブ型動吸
振器を構成している。また、ベース部36に加速度計4
4を設け、この検出出力を制御装置46を介して駆動装
置42に供給する。これにより、駆動装置42の駆動力
は、重錘32の減衰自由振動と同位相で、その振幅を増
幅するように作用することになり、パッシブ型動吸振器
の制振効果を補強して、より大きい制振効果を得ること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建物等の構造物に
おける振動を抑制する制振装置に関し、詳しくは可動質
量を運動させて制振作用を得る動吸振器を用いた制振装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、地震や風圧等の外力によって
建物等の構造物に発生する振動を抑制するために、可動
質量(重錘)の運動を利用して制振作用を得る動吸振器
を用いた制振装置が知られている。そして、このような
制振装置には、パッシブ型、アクティブ型がある。
【0003】図8は、パッシブ型動吸振器を用いた制振
装置の概要を示す説明図である。この制振装置は、建物
2の最上部に設置され、建物2の水平方向の振動を吸収
するものである。パッシブ型動吸振器は、水平方向に移
動可能に支持された重錘4と建物2に固定されたベース
部6との間にバネ8と減衰器(ダンパ)10とを介在さ
せたものである。そして、重錘4、バネ8および減衰器
10は、建物2の1次固有振動に同調するようにチュー
ニングされた減衰振動系を構成しており、重錘4の減衰
振動によって建物2の振動を吸収する。
【0004】また、図9は、アクティブ型の制振装置の
概要を示す説明図である。この制振装置は、建物2の最
上部に設置した重錘12を駆動装置14によって強制振
動させることにより、建物2の水平方向の振動を吸収す
るものである。重錘12は、パッシブ型と同様に、水平
方向に移動可能に支持されており、この重錘12と建物
2に固定されたベース部16との間に駆動装置14が配
置されている。また、この制振装置では、建物2の最下
部と最上部、および重錘12に、それぞれ振動計18、
20、22を設け、各部の変位、応答速度、加速度等を
リアルタイムで検出し、その検出信号をコンピュータ2
4で演算処理することにより、駆動装置14の駆動信号
を算出し、重錘12の最適な強制振動を得るようになっ
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たパッシブ型の制振装置では、制振効果は重錘4が重い
ほど大きくなるが、装置の大きさの制約から、重錘4の
大きさにも限界がある。したがって、十分な制振効果を
得ることは困難であった。一方、アクティブ型の制振装
置では、駆動装置14、複数の振動計18、20、2
2、コンピュータ24を有する構成であるため、複雑で
高価なシステムとなり、またメンテナンスも必要とな
る。また、このようなアクティブ型の制振装置では、制
振効果が大きい反面、制御系の故障により、制振作用が
大幅に低下したり、システムの暴走により危険な状態に
なることもあり、安全性の確保のために完全な管理シス
テムを設ける必要があり、その点からもコスト高とな
る。そこで本発明の目的は、パッシブ型の制振装置より
も十分な制振効果を得ることができ、また、アクティブ
型の制振装置よりも簡易で安価な制振装置を提供するこ
とにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
本発明は、構造物の振動を抑制する制振装置において、
前記構造物に固定されるベース部と、支持機構を介して
前記ベース部に対して移動可能に支持された可動質量
と、前記ベース部と前記可動質量との間に配設され、前
記ベース部に対する前記可動質量の変位の速度に応じた
減衰力を発生する減衰手段と、前記ベース部と前記可動
質量との間に配設され、前記ベース部に対する前記可動
質量の変位の大きさに応じたバネ力を発生するバネ手段
と、前記構造物の振動によって発生する前記ベース部の
加速度を表す加速度信号を出力する加速度計と、前記加
速度信号を受取り、その加速度信号に応じた制御信号を
発生する制御信号発生手段と、前記ベース部と前記可動
質量との間に配設され、前記制御信号に応じた駆動力を
前記ベース部と前記可動質量との間に作用させる駆動手
段とを備え、前記構造物の振動時に前記可動質量に作用
する前記ベース部を基準とした慣性力と、前記可動質量
に作用する前記駆動手段の駆動力とが、略々同位相にな
るように、前記制御信号発生手段及び前記駆動手段を構
成したことを特徴とする。
【0007】また、本発明は、前記可動質量、前記減衰
手段および前記バネ手段によって、前記構造物の固有振
動に同調した振動系が構成されていることを特徴とす
る。また、本発明は、前記制御信号が前記加速度信号に
略々比例するように前記制御信号発生手段を構成したこ
とを特徴とする。また、本発明は、前記加速度信号は前
記加速度に比例した大きさをもつ電気信号であり、前記
制御信号発生手段が増幅器を含んでいることを特徴とす
る。また、本発明は、前記制御信号が前記加速度信号に
略々比例し、その比例定数が前記加速度信号の振幅に応
じて変化するように前記制御信号発生手段を構成したこ
とを特徴とする。また、本発明は、前記加速度信号は前
記加速度に比例した大きさをもつ電気信号であり、前記
制御信号発生手段が、可変利得増幅器と、前記加速度信
号の振幅に応じて該可変利得増幅器の利得を制御する利
得制御回路とを含んでいることを特徴とする。また、本
発明は、前記加速度信号の振幅が小さいときには前記比
例定数を大きくし、前記加速度信号の振幅が大きくなる
につれて前記比例定数を小さくすることによって、前記
可動質量の変位が適正変位範囲を逸脱せず前記駆動手段
の駆動力が適正駆動力上限を超えないようにしつつ、前
記構造物の振動の大きさの広い範囲に亙って常に最大制
振能力に近い制振能力が得られるようにしたことを特徴
とする。また、本発明は、前記加速度信号は前記加速度
に比例した大きさをもつ電気信号であり、前記制御信号
発生手段が、可変利得増幅器と、前記加速度信号の振幅
に応じて該可変利得増幅器の利得を制御する利得制御手
段とを含んでおり、前記利得制御手段が、前記加速度信
号の振幅に応じて前記可変利得増幅器の利得を自動的に
関数的に算出する手段を含んでいることを特徴とする。
また、本発明は、前記構造物の水平方向の振動を吸収す
ることを特徴とする。また、本発明は、前記構造物の垂
直方向の振動を吸収することを特徴とする。また、本発
明は、1つの可動質量に対して複数の制振装置を設ける
ことにより、前記構造物の複数次元方向の振動を吸収す
ることを特徴とする。
【0008】本発明に係る制振装置において、構造物に
振動が生じると、可動質量、減衰手段およびバネ手段に
よって構成される減衰自由振動系がパッシブ型の動吸振
器として機能し、構造物の振動に対して位相のずれた状
態で可動質量が振動することで、構造物の振動を吸収す
るように作用する。また、加速度計から出力される加速
度信号に応じて発生される制御信号に従って、駆動手段
が可動質量に強制的な変位力を付与することにより、上
述したパッシブ型の動吸振器による可動質量の減衰振動
の振幅を増幅するように作用する。したがって、可動質
量の質量によって制約されるパッシブ型動吸振器の制振
能力を、加速度計の出力に基づく駆動手段の作用によっ
て補強することができ、簡易で安価な構成で最大限の制
振効果を得ることができる。特に、構造物の加速度のみ
を測定してフィードバックする構成であるため、構造物
の応答速度や変位を検出する必要がなく、安価な加速度
計の使用が可能である。
【0009】
【発明の実施の形態】次に、本発明による制振装置の実
施の形態例について説明する。図1、図2は、本発明に
よる制振装置の一例を示す説明図であり、図1は設置状
態の概要を示し、図2は制振装置の構成を示している。
本例の制振装置は、建物30の最上部に設置され、建物
30の水平方向の振動を吸収するものである。建物30
の最上部に、制振装置のベース部36が固定されてお
り、制振装置の重錘32は、支持機構34を介してベー
ス部36の水平部36a上で、図中矢線AB方向に移動
可能に支持されている。
【0010】また、ベース部36には、重錘32と対向
する位置に垂直部36bが設けられ、この垂直部36b
と重錘32との間に、バネ38、減衰器(ダンパ)40
および駆動装置42が設けられている。バネ38は、ベ
ース部36に対する重錘32のAB方向の変位の大きさ
に応じた(即ち略々比例した)バネ力を発生するもので
ある。減衰器40は、ベース部36に対する重錘32の
AB方向の変位の速度に応じた(即ち略々比例した)減
衰力を発生するものである。駆動装置42は、後述する
制御信号を受取り、その制御信号に応じた駆動力を発生
するものであり、この駆動力がベース部36と重錘32
との間に、重錘32の移動方向(AB方向)に作用する
ようにしてある。駆動装置42は、例えば、リニアモー
タとその駆動制御回路並びに適当な駆動力伝達機構等で
構成することができる。重錘32、バネ38、および減
衰器40は、重錘32の減衰振動によって建物30の振
動を吸収するパッシブ型動吸振器を構成しており、建物
30の1次固有振動に同調するようにチューニングさ
れ、また、振動エネルギを速やかに吸収できるように減
衰定数が設定され、最適設計による動吸振器となってい
る。
【0011】建物30の最上部には、ベース部36の水
平部36a上に、加速度計44が設けられている。加速
度計44は、建物30の振動によって発生するベース部
36の加速度を表す加速度信号(図示例では電気信号)
を出力するものである。加速度計44は、必ずしもベー
ス部36に直接取付ける必要はなく、ベース部36の近
傍の建物30の床や壁等に取付けてベース部36の加速
度を検出するようにしてもよい。加速度計44が出力す
る加速度信号は制御装置46へ入力しており、この制御
装置46は受取ったその加速度信号に略々比例した制御
信号を発生する。この制御信号は駆動装置42に供給さ
れており、この駆動装置42は受取ったその制御信号に
略々比例した駆動力を発生する。この構成によれば、駆
動装置42が発生する駆動力の大きさは、ベース部36
の加速度に略々比例する。建物30が地震等の外力を受
けて振動して、この建物30に固定されたベース部36
に加速度を発生したときに、ベース部36に対して固定
した座標系を基準として見れば、ベース部36の加速度
と重錘32の質量との積に等しい慣性力が重錘32に作
用することになる。また、地震のように、瞬間的に作用
する大きな外力によって発生する建物30の振動は、略
々、建物30の固有振動数に等しい振動数の、減衰正弦
波振動になる。従って地震等によって建物30に振動が
発生したときに、重錘32に作用する上述の慣性力の波
形と駆動装置42から重錘32に作用する駆動力の波形
とは、相似の減衰正弦波振動波形となる。そして、本発
明においては、ベース部36を基準として見たときの重
錘32に作用する慣性力と、重錘32に作用する駆動装
置42の駆動力とが、略々同位相になるように、制御装
置46及び駆動装置42を構成してある。そのため、加
速度計44、制御装置46、および駆動装置42から成
るフィードバック系の働きによって、慣性力が駆動力で
増強されるようになっている。換言すれば、重錘32、
バネ38、および減衰器40から成る振動系に作用する
外力が、フィードバック系を備えない場合(即ち慣性力
のみ)と比べて増幅される(即ち慣性力と駆動力との和
になる)ようにしてある。この増幅倍数(即ち、(慣性
力+駆動力)/慣性力)を外力増幅係数と呼び、以下の
説明ではαで表す。
【0012】図3は、以上のような制振装置における振
動系の構成を示す説明図である。ここで、重錘32の質
量をm、バネ38のバネ定数をk、減衰器40の減衰係
数をcとし、建物に対する重錘32のAB方向の変位を
Zとする。また、建物30の等価質量をM、建物30の
等価バネ要素のバネ定数をK、建物30の等価減衰要素
の減衰係数をCとし、地面に対する建物30のAB方向
の変位をXとする。さらに、静止基準点に対する地震動
による地面のAB方向の変位をYとし、駆動装置42に
よる制御力(駆動力)をuとすると、この振動系におけ
る運動方程式は以下のようになる。
【0013】まず、動吸振器の運動方程式は、 mZ”+cZ’+kZ=−m(X”+Y”)+u … 式(1) となる。また、建物の運動方程式は、 MX”+CX’+KX=−MY”+cZ’+kZ−u … 式(2) となる。なお、以上の式において、 X’=dX/dt、X”=d2 X/dt2 、Y’=dY
/dt、Y”=d2 Y/dt2 、Z’=dZ/dt、
Z”=d2 Z/dt2 、 である。
【0014】また、上述の外力増幅係数αを用いて制御
力(駆動力)uを表すと、次式のようになる。 u=−(α−1)m(X”+Y”) … 式(3) すなわち、加速度計44が検出する加速度(X”+
Y”)を入力とし、駆動装置42が発生する駆動力uを
出力とする上述のフィードバック系は、その増幅率が、
−(α−1)mになる。そして、式(3)を式(1)に
代入すると、 mZ”+cZ’+kZ=−αm(X”+Y”) … 式(4) となる。
【0015】したがって、制御力(駆動力)uを式
(3)のように与えることにより、動吸振器の運動方程
式は式(4)となり、動吸振器にかかる外力は、パッシ
ブ型動吸振器の場合に比べてα倍されることとなり、重
錘がより大きく応答することになる。そして、制御装置
44において、制振装置の外力増幅係数αを制御するこ
とにより、制振装置の制振効果を調節することができ
る。制御装置44は例えば、電気信号である加速度信号
を受取って増幅する可変利得増幅器(不図示)と、この
可変利得増幅器の利得を制御する利得制御装置(不図
示)とで構成すればよい。この場合、可変利得増幅器の
利得の制御によって外力増幅係数αを制御することがで
きる。尚、制御装置44の具体的な構成はそれ以外にも
様々なものが考えられるが、当業者には自明なものであ
るため、その詳細な説明は省略する。図4(a)は、外
力増幅係数αと建物の応答性との関係を示す説明図であ
り、横軸に外力増幅係数αを取り、縦軸に建物の応答性
(ここでは振動の振幅)を取っている。また、図4
(b)は、外力増幅係数αと駆動装置42が発生する制
御力(駆動力)uとの関係を示す説明図であり、横軸に
外力増幅係数αを取り、縦軸に制御力uを取っている。
図示のように、外力増幅係数αを大きくすることによ
り、制御力uが増大し、建物の応答を迅速に減衰でき
る。なお、α=1の時は、式(3)により、制御力uを
与えないことになり、この時、式(4)は式(1)と同
じになり、装置はパッシブ型動吸振器としての制振効果
のみを示す。
【0016】この実施の形態においては、減衰正弦波の
形で変化する加速度信号の振動振幅に応じて、外力増幅
係数αを変化させるようにしている。そのために、上述
の利得制御装置を、加速度信号の振幅を入力とし利得制
御信号を出力とする一種の関数発生装置として構成して
ある。更に詳しく説明すると、その利得制御装置を設計
するには、最初に所望の関数を決定し、次にその所望の
関数を実現できるように利得制御装置の具体的な構成を
設計すればよい。具体的には、例えば、加速度信号の振
動振幅を検出する回路の後に関数発生手段を接続すれば
よい。関数発生手段としては、例えば、マイクロプロセ
ッサを使用し、所望の関数をルックアップテーブルの形
または数式の形でデータとして記憶させておくのも1つ
の方法である。また別法として、関数発生手段を、演算
増幅器とコンデンサや抵抗等を組合せて所望の関数が得
られるようにした回路で構成するようにしてもよい。図
4(c)は、図示の実施の形態における、建物の応答
(加速度の振幅或いは変位の振幅)と、駆動装置42に
よる必要な制御力(駆動力)uの最大値との関係を示し
た関係図である。実線は外力増幅係数αを建物の応答に
応じて自動的に変化させた場合を示しており、点線は比
較のために、αを変化させずに一定値にした場合を示し
ている。図示のように、外力増幅係数αを建物の応答に
応じて自動的に変化させるようにした場合には、中・大
地震時に建物の応答が大きくなったときでも、駆動装置
の駆動力の最大値が過大にならず、巨大な駆動装置を必
要としない。また、建物の応答が小さいときには、駆動
力にも余裕があるので、αを大きくして制振効果を上昇
させ、駆動力を有効に利用することができる。
【0017】次に、図5(a)は、建物の応答に対する
パッシブ型動吸振器の応答を示す説明図であり、縦軸に
応答の振幅レベルを取り、横軸に時間を取っている。ま
た、図5(b)は、建物の応答に対する駆動装置42の
作用を加えた動吸振器の応答を示す説明図であり、縦軸
に応答の振幅レベルを取り、横軸に時間を取っている。
図5(a)に示すように、建物の応答に対して、パッシ
ブ型動吸振器の応答は90°位相の遅れた減衰振動とな
る。また、図5(b)に示すように、駆動装置42の駆
動力uによる応答は、パッシブ型動吸振器による応答と
位相が一致している。したがって、従来のパッシブ型動
吸振器による応答を、駆動装置42の駆動力uによって
増幅するような作用となり、建物の応答を迅速に減衰す
ることができる。
【0018】次に、図6、図7は、本発明による制振装
置の他の例を示す説明図であり、図6は設置状態の概要
を示し、図7は制振装置の構成を示している。上述した
図1、図2に示す制振装置は、建物30の水平方向の振
動を抑制するものであったが、図6、図7に示す制振装
置は、建物の床や梁等の横架材48に生じる垂直方向の
振動を抑制するためのものである。
【0019】この制振装置では、床や梁等に設けたベー
ス部50に対して、重錘52をバネ54でバランスさせ
て垂直方向に移動可能に支持したものである。なお、重
錘52の支持機構としては、重錘52の垂直方向の移動
をスライド機構でガイドするような構造としてもよい。
また、ベース部50と重錘52との間には、減衰器56
と駆動装置58が設けられ、ベース部50には、加速度
計60が設けられている。
【0020】重錘52、バネ54および減衰器56は、
重錘52の減衰振動によって横架材48の振動を吸収す
るパッシブ型動吸振器を構成しており、横架材48の固
有振動に同調するようにチューニングされ、最適設計に
よる動吸振器となっている。このような制振装置におい
ても、加速度計60の出力信号を制御装置62を介して
フィードバックし、駆動装置58を駆動させることによ
り、パッシブ型動吸振器の制振作用を強化することがで
き、限られた装置規模の範囲で有効な制振効果を得るこ
とができる。なお、加速度計60の出力信号に基づく駆
動装置58の作用の詳細については、上述した図1、図
2の例と同様であるので説明は省略する。
【0021】また、上述した各例の制振装置において、
加速度計44、60の検出レベルに基づき、構造物の振
動が大きい場合には、外力増幅係数αを下げることによ
り、過度の強制力が重錘32、52にかからないように
し、構造物の振動が小さい場合には、外力増幅係数αを
上げることにより、制振効果を高めるようにすれば、信
頼性の高い、安定したシステムを構成することができ
る。また、上述した各例の制振装置では、1自由度系の
制振装置について説明したが、1つの重錘に対して複数
の方向から制振作用を付与する複数の制振装置を設ける
ことにより、多自由度系の制振システムを構成し、多方
向の振動を抑制するようにすることも可能である。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る制振
装置では、可動質量、減衰手段およびバネ手段によって
構成したパッシブ型動吸振器の制振機能に加えて、この
構造物の加速度を加速度計で検出して駆動装置を駆動
し、前記可動質量を強制振動させるようにした。このた
め、可動質量の質量によって制約されるパッシブ型動吸
振器の制振効果を、加速度計の出力に基づく駆動手段の
作用によって補強することができ、限られた装置規模の
範囲で有効な制振効果を得ることができる。また、簡易
な構成により、低コストで信頼性の高いシステムを構築
することができる。特に、構造物の加速度のみを測定し
てフィードバックする構成であるため、構造物の応答速
度や変位を検出する必要がなく、安価な加速度計を用い
て実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による制振装置の一例を示す説明図であ
る。
【図2】図1に示す制振装置の構成を示す説明図であ
る。
【図3】図1に示す制振装置の振動系の構成を示す説明
図である。
【図4】図1に示す制振装置の、外力増幅係数αと建物
の応答性との関係、外力増幅係数αと駆動装置による制
御力uとの関係、それに、外力増幅係数を可変とした場
合の建物の応答と必要制御力の最大値との関係を示す説
明図である。
【図5】建物の応答に対する従来のパッシブ型動吸振器
の応答と図1に示す制振装置の応答を示す説明図であ
る。
【図6】本発明による制振装置の他の例を示す説明図で
ある。
【図7】図6に示す制振装置の構成を示す説明図であ
る。
【図8】従来のパッシブ型制振装置の概要を示す説明図
である。
【図9】従来のアクティブ型制振装置の概要を示す説明
図である。
【符号の説明】
30 建物 32、52 重錘 34 支持機構 36、50 ベース部 38、54 バネ 40、56 減衰器 42、58 駆動装置 44、60 加速度計 46、62 制御装置 48 横架材

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造物の振動を抑制する制振装置におい
    て、 前記構造物に固定されるベース部と、 支持機構を介して前記ベース部に対して移動可能に支持
    された可動質量と、 前記ベース部と前記可動質量との間に配設され、前記ベ
    ース部に対する前記可動質量の変位の速度に応じた減衰
    力を発生する減衰手段と、 前記ベース部と前記可動質量との間に配設され、前記ベ
    ース部に対する前記可動質量の変位の大きさに応じたバ
    ネ力を発生するバネ手段と、 前記構造物の振動によって発生する前記ベース部の加速
    度を表す加速度信号を出力する加速度計と、 前記加速度信号を受取り、その加速度信号に応じた制御
    信号を発生する制御信号発生手段と、 前記ベース部と前記可動質量との間に配設され、前記制
    御信号に応じた駆動力を前記ベース部と前記可動質量と
    の間に作用させる駆動手段とを備え、 前記構造物の振動時に前記可動質量に作用する前記ベー
    ス部を基準とした慣性力と、前記可動質量に作用する前
    記駆動手段の駆動力とが、略々同位相になるように、前
    記制御信号発生手段及び前記駆動手段を構成した、 ことを特徴とする制振装置。
  2. 【請求項2】 前記可動質量、前記減衰手段および前記
    バネ手段によって、前記構造物の固有振動に同調した振
    動系が構成されている請求項1記載の制振装置。
  3. 【請求項3】 前記制御信号が前記加速度信号に略々比
    例するように前記制御信号発生手段を構成した請求項1
    または2記載の制振装置。
  4. 【請求項4】 前記加速度信号は前記加速度に比例した
    大きさをもつ電気信号であり、前記制御信号発生手段が
    増幅器を含んでいる請求項3記載の制振装置。
  5. 【請求項5】 前記制御信号が前記加速度信号に略々比
    例し、その比例定数が前記加速度信号の振幅に応じて変
    化するように前記制御信号発生手段を構成した請求項1
    または2記載の制振装置。
  6. 【請求項6】 前記加速度信号は前記加速度に比例した
    大きさをもつ電気信号であり、前記制御信号発生手段
    が、可変利得増幅器と、前記加速度信号の振幅に応じて
    該可変利得増幅器の利得を制御する利得制御回路とを含
    んでいる請求項5記載の制振装置。
  7. 【請求項7】 前記加速度信号の振幅が小さいときには
    前記比例定数を大きくし、前記加速度信号の振幅が大き
    くなるにつれて前記比例定数を小さくすることによっ
    て、前記可動質量の変位が適正変位範囲を逸脱せず前記
    駆動手段の駆動力が適正駆動力上限を超えないようにし
    つつ、前記構造物の振動の大きさの広い範囲に亙って常
    に最大制振能力に近い制振能力が得られるようにした請
    求項5記載の制振装置。
  8. 【請求項8】 前記加速度信号は前記加速度に比例した
    大きさをもつ電気信号であり、前記制御信号発生手段
    が、可変利得増幅器と、前記加速度信号の振幅に応じて
    該可変利得増幅器の利得を制御する利得制御手段とを含
    んでおり、前記利得制御手段が、前記加速度信号の振幅
    に応じて前記可変利得増幅器の利得を自動的に関数的に
    算出する手段を含んでいる請求項7記載の制振装置。
  9. 【請求項9】 前記構造物の水平方向の振動を吸収する
    請求項1乃至8のいずれか1項記載の制振装置。
  10. 【請求項10】 前記構造物の垂直方向の振動を吸収す
    る請求項1乃至8のいずれか1項記載の制振装置。
  11. 【請求項11】 1つの可動質量に対して複数の制振装
    置を設けることにより、前記構造物の複数次元方向の振
    動を吸収する請求項1乃至8のいずれか1項記載の制振
    装置。
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