JP3983560B2 - 制振装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は制振装置に係り、特に構造物の振動状態に基づいてアクチュエータの制御量を演算し、この制御量に応じてアクチュエータが付加質量を駆動して構造物の振動を制振する構成とした制振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば住宅等の構造物においては交通振動などのような微小な揺れを低減するための制振装置が開発されている。この種の制振装置では、構造物の振動状態に応じて主に構造物の質量に応じた重量を有する付加質量を変位させて構造物で発生した振動を制振するようになっている。そのため、構造物には、例えば変位センサ、速度センサ又は加速度センサ等の振動状態を検出するセンサが設置されている。
【0003】
また、付加質量を変位させる機構としては、例えば付加質量をリニアベアリング等により摺動自在に支持するとともに、付加質量に螺合するボールネジ等の伝達機構をモータ等により駆動し、付加質量が水平方向に往復動されるよう構成された動吸振器を有する装置がある。そして、動吸振器は、ビルの各階毎の変位又は速度などの振動状態を検出する各センサからの出力値の大きさに応じた制御量を演算する制御装置からの駆動信号によりモータが駆動制御されて付加質量を移動させ、その反力で構造物の振動を制振するようになっている。
【0004】
この種のアクティブ制御システムでは、構造物の振動伝達特性を正確に把握し、これを制御ゲインに反映する必要がある。しかしながら、一般住宅の交通振動を制振するのにアクティブ制御システムを用いる場合、住宅の構造が夫々異なり、各住宅ごとの振動伝達特性を正確に求めることは難しい。
【0005】
そのため、住宅の振動をアクティブ制御システムで制振する制振装置においては、制御対象の振動伝達特性が不明でも制御可能なスカイフック制御を用いた制御システムを適用している。
【0006】
この住宅用アクティブ制御システムにおいては、例えばあらかじめ複数のゲインを記憶装置に記憶しておき、センサによる構造物の振動伝達特性が変化した時は、演算装置に接続された記憶装置に記憶している複数のゲインの中から構造物の振動に対応するゲインを選択し、また付加質量の変位がある値以上の時は現在用いているゲインより弱いゲインを選択し、弱いゲインを目標となる制御ゲインとし、現在用いているゲインから目標ゲインに切替えて制御量の生成を行っていた。
【0007】
その後、構造物の振動が小さくなった場合には、現在用いている制御ゲインより強い基のゲイン等を目標ゲインとし、目標ゲインに切替わるようになっており、付加質量の動作は、大きくなり制振効果が向上するようになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
1〜3階の低層構造物からなる一般住宅では、通常発生する振動が地面から伝播する振動の場合、その殆どが1次振動であり、周波数が3.0〜5.0Hz程度である。このような低層一般住宅向けの制振装置においては、この1次振動が最も不快な振動であるため、1次振動を抑えるように制御している。このため、周波数が9〜15Hz程度の2次振動以上の振動が発生した場合、充分な制振効果が得られず、条件によっては、制振装置が建物を加振してしまう場合も考えられる。また、体感できない程度の小さい振動を制振させるのに付加質量を動作させると、動作音が気になるといった問題が生じる。
【0009】
このような問題の対策として、高層ビル用など高度な制振装置のように振動センサを多数設けたり、センサの信号処理を高速のコンピュータを用いて高度化するなどにより2次振動以上の振動を制御することも可能ではあるが、低層一般住宅に用いられるシステムでは、安価かつ汎用的なシステムであることが要求されている。
【0010】
そこで、本発明は上記課題を解決した制振装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は以下のような特徴を有する。
【0013】
本発明は、振動状態検出用センサから得られる信号が所定レベル以上のとき、制御ゲインをゼロより大きい値の通常ゲインに変更する通常ゲイン設定手段と、通常ゲイン設定手段によりゲインが通常ゲインに設定された後に所定時間の振動状態検出用センサから得られる信号の2次以上の振動モードの積算値が所定値以上の時に制御ゲインをゼロに設定するゼロゲイン設定手段とを備えており、2次以上の振動モードが大きい時、一旦制御ゲインをゼロとすることにより、制振作用による構造物の加振を効果的に抑えることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面と共に本発明の一実施例について説明する。
図1は本発明になる制振装置の第1実施例の概略構成図である。
図1に示されるように、制振装置11は、例えば一般住宅などからなる構造物12の屋上に設置された動吸振器13が制御装置14からの制御信号により制振動作して構造物12の水平方向(X方向)の振動を制振する。
【0016】
動吸振器13は、構造物12の屋上に設置された基台15上の付加質量16がX方向に摺動する構成であり、付加質量16は構造物12の総質量に対し約0.5%程度の質量を有する。そのため、付加質量16は基台15上のリニアベアリング17により摺動自在に支持されている。
【0017】
また、基台15上にはアクチュエータとしてのACサーボモータ(以下「モータ」と言う)18、モータ18の回転量を検出するエンコーダ19が設けられており、モータ18の出力軸18aはカップリング20を介してボールねじ23に結合されている。ボールねじ23は付加質量16に螺合して貫通している。従って、付加質量16はボールねじ23の回転により基台15の凹部15a内を移動する。
【0018】
また、構造物12の屋上には、振動状態(振幅、速度、加速度等)を検出する振動状態検出センサ(以下「センサ」と言う)21が設置されている。このセンサ21は、交通振動や地震等の振動が構造物12に伝播すると、そのとき検出された変位(振幅)、あるいは速度、あるいは加速度の検出信号を制振装置14に出力する。
【0019】
制御装置14は、後述するようにセンサ21からの検出信号が入力されると、そのときの振動の大きさに応じた制御量を演算して動吸振器13のモータ18へ駆動信号を出力する。モータ18は駆動信号の供給によりボールねじ23を回転させ、付加質量16をX方向(振動方向)に移動させる。このとき、発生する付加質量16の慣性力の反作用により構造物12の振動が制振される。
【0020】
ここで、制御装置14の構成について説明する。
図2は制御装置14の構成を示すブロック図である。
図2に示されるように、制御装置14は、センサ21からの検出信号(センサ信号)を増幅する増幅器24と、増幅器24で増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器25と、A/D変換器25から入力された信号に基づいて制御量を演算する演算装置26と、演算に必要なデータを記憶する記憶装置27と、演算装置26から出力された制御信号(デジタル信号)をアナログ信号に変換するD/A変換器28と、D/A変換器28から入力された駆動信号をモータ18へ出力するドライブ回路29とからなる。
【0021】
ドライブ回路29は、エンコーダ19の検出信号をデジタル信号に変換し、演算装置26に出力する。演算装置26は、後述するように、記憶装置27に格納された各制御プログラムを読み出して演算処理を実行する。尚、記憶装置27には、センサ21により検出された振動が所定レベル未満のとき制御ゲインをゼロに設定する制御プログラムIと、センサ21により検出された振動が所定レベル以上のとき前記制御ゲインをゼロより大きい値の制御ゲインに変更すると共に、振動レベルに応じた制御ゲインに調整する制御プログラムII(通常ゲイン設定手段)と、制御ゲインがゼロより大きい値に変更された後に所定時間が経過するまでの構造物の振動状態の積算値が所定値未満のとき制御ゲインをゼロに戻し、制御ゲインがゼロより大きい値に変更された後に所定時間が経過するまでの構造物の振動状態の積算値が所定値以上のとき調整された制御ゲインに戻す制御設定するプログラムIII(ゼロゲイン設定手段を含む)とが格納されている。
【0022】
また、演算装置26は、入力されたエンコーダ19の信号から付加質量16の位置を演算し、付加質量16の位置およびセンサ21のデジタル信号に基づいて、後述するような演算を行う。演算装置26の演算結果は、D/A変換器28に入力され、アナログ信号に変換した後、ドライブ回路29に入力される。
【0023】
ドライブ回路29は、モータ18を駆動するための回路でD/A変換器28からのアナログ信号およびエンコーダ19からの検出信号に基づいて駆動信号(トルク信号)を生成し、構造物12の振動に応じたトルクでモータ18を回転駆動させる。また、ドライブ回路29から出力されたトルク信号は、A/D変換器25を介して演算装置26に入力される。そして、演算装置26は、このトルク信号とセンサ21からの検出信号(センサ信号)、または付加質量16の変位を示すエンコーダ19からの検出信号(エンコーダ信号)に応じてゲインを調整しながら付加質量16を駆動させるための制御信号を生成する。
【0024】
演算装置26では、スカイフック制御理論を用いて制御し、制御ゲインとセンサ21により検出された構造物12の応答に基づいて制御量を演算する。
【0025】
スカイフック制御は、構造物12が振動している場合に仮想の絶対静止座標を想定し、これと構造物12との間に仮想ダンパを設けることで構造物12を制振するという考え方であり、交通振動等により構造物12が振動したときの構造物12の上部の変位をXs、仮想ダンパの減衰係数をCaとして運動方程式に表すと、次式のように表せる。
【0026】
Ms・Xs”+Cs・Xs’+Ks・Xs=−Ca・Xs’・・・(1)
となる。ここで、Msは構造物の質量、Csは構造物の減衰係数、Ksは構造物12のばね定数である。尚、上記(1)式において、X”は2回微分、X’は1回微分を示す。
【0027】
制振装置11は、モータ18が付加質量16を動かすとき、構造物12に及ぼす反力により構造物12を制振する。付加質量16の質量をma、付加質量16の加速度をX”aとして運動方程式に表すと、次式のようになる。
【0028】
Ms・Xs”+Cs・Xs’+Ks・Xs=−ma・Xa’・・・(2)
スカイフック制御の仮想ダンパの力(−Ca・Xs’)は、構造物12の速度(Xs’)に制御ゲイン−Ga(=−Ca)を掛けてモータ18に加速度駆動信号を与えれば制御できる。
【0029】
このように構成された制振装置11では、付加質量16が移動できる動作範囲は限定されているため、付加質量16の限られた動作範囲内で最大の制振効果を上げるには、制御ゲインを構造物12の振動を検出するセンサ21の検出信号の大きさに応じて変更することが望ましい。
【0030】
ここで、制御装置14の演算装置26が実行する制御処理について説明する。
図3は制御装置14の演算装置26が実行する制御処理のフローチャートである。
【0031】
図3に示されるように、演算装置26は、ステップS11(以下「ステップ」を省略する)で電源スイッチ(図示せず)がオンになると、S12に進み、付加質量16を駆動させる制御系の制御ゲインをゼロに設定する。
【0032】
続いて、S13に進み、構造物21に入力された振動レベルを監視する。すなわち、S13において、センサ21により検出された加速度検出値から得られた構造物12の屋上変位Lが所定値a以上かどうかをチェックする。この所定値Lは、構造物12の構造や立地条件、入力される振動の大きさなどに応じて任意の値に設定される。
【0033】
S13において、構造物12の屋上変位Lが所定値a以上でないときは、構造物21に入力された振動レベルが小さいので、S12に戻り、付加質量16を駆動させる制御系の制御ゲインをゼロに設定する。
【0034】
また、S13において、構造物12の屋上変位Lが所定値a以上であるときは、構造物21に入力された振動レベルが体感できる程度の振動レベルに達しているので、S14に進み、付加質量16を駆動させる制御系の制御ゲインを調整する。尚、制御ゲインの調整方法については、後述する。
【0035】
次のS15では、制御ゲインをゼロより大きい値に変更された後に所定時間の構造物の振動状態の積算値が所定値未満かどうかをチェックする。すなわち、S15において、構造物12の2次以上の振動モードをカットするLPF(ローパスフィルタ)通過後の屋上加速度のRMS(Root Mean Square:2乗平均平方根)が一定時間の間で0.2(Gal)以下かどうかを判断する。この0.2(Gal)は、構造物12の中にいる人がかすかに体感できる最小値として設定される。尚、体感される振動の最小値は、個人差があるので、本実施例では、所定時間が経過するまでの構造物の振動状態の積算値によって構造物12の振動状態を判定するようになっている。
【0036】
上記では、積算値としてRMSを用いているが、このRMSは積算値(単純に足し算した値)そのものとは異なるが、結果的に積算値と同様の変化するので用いており、本発明でいう積算値とは、結果的にある幅をもった時間(所定時間)に出力される信号の積算された値と類似した信号を得られるものであればよく、他にも、加速度センサの出力を時定数の長いローパスフィルタ通し、その出力を所定時間の積算値としてもよい。
【0037】
S15で制御ゲインをゼロより大きい値に変更された後に所定時間の構造物12の振動状態の積算値が所定値未満であるときは、S16に進み、電源スイッチ(図示せず)がオフかどうかをチェックする。S16において、電源スイッチ(図示せず)がオフのときは、今回の処理を終了する。
【0038】
また、S16において、電源スイッチ(図示せず)がオンであるときは、上記S12に戻り、付加質量16を駆動させる制御系の制御ゲインをゼロに設定すると共に、S12以降の処理を再度実行する。これにより、構造物12の振動状態が極めて小さい2次振動以上の場合には制御ゲインをゼロにして制振動作を停止させて、構造物12を加振してしまうことを防止すると共に、体感できない程度の小さい振動を制振させるのにモータ18を駆動させると、動作音が気になるといった問題も解消することが可能になる。
【0039】
特に、制振装置が建物を加振してしまうときに問題となる2次以上の振動は、一旦制振装置が停止すれば、制御周期程度の短時間で直ぐにおさまる。
【0040】
また、上記S15において、制御ゲインをゼロより大きい値に変更された後に所定時間の構造物12の振動状態の積算値が所定値以上であるときは、S14に戻り、再度、付加質量16を駆動させる制御系の制御ゲインを調整する。従って、構造物12の振動状態の積算値が所定値以上であるときは、制御ゲインの調整処理が繰り返される。これにより、構造物12の振動状態が大きい場合には構造物の振動状態に合わせて制御量を自動的に調整して構造物が2次振動以上の振動周波数で発振することを防止すると共に、構造物の制振効果をより一層高めることができる。
【0041】
次に、上記S14において、制御装置14の演算装置26が実行するゲイン調整処理を演算について説明する。
図4は演算装置26が実行するゲイン調整処理の第1実施例を示すPAD図である。
【0042】
図4に示されるように、演算装置26は、以下に示す方法で求められた制御ゲインを用いてスカイフック制御則により制振装置11を制御する。
【0043】
S21において、センサ21により検出された構造物12の振動に対して付加質量16の変位が大きくなりストロークに余裕がない場合には、S31の処理を行う。逆に、付加質量16のストロークに余裕がある場合にはS32の処理を行う。その後、S22の処理を実行する。
【0044】
また、S21において付加質量16のストロークに余裕がない場合には、付加質量16がストロークエンドのストッパ(図示せず)に接近しているので、S31ではボリュームを急激(瞬時)に小さくする。ここで、ボリュームは、ゲインを調整するための定数であり、0〜100%を示す値である。
【0045】
また、S21において、センサ21により検出された構造物12の振動に対して付加質量16の変位が小さく付加質量16が移動するストロークに余裕がある場合には、S32でボリュームの値を徐々に大きくすることにより付加質量16の移動距離を延長して制振効果を高める。ここで、ボリュームの最大値は、100%とする。
【0046】
S22において、センサ21により検出された構造物12の振動に対して付加質量16を駆動するトルクが大きくなり、ストロークに余裕がない場合、またはS31において、ボリュームの値が小さく変更され、100%未満の場合にはS41の処理を行う。逆に、センサ21により検出された構造物12の振動に対して付加質量16を駆動するトルクが小さくモータ18のトルクに余裕があり、ボリュームが100%の場合には、S42の処理を行う。その後、S23の処理を行う。
【0047】
また、S22において、センサ21により検出された構造物12の振動に対して付加質量16を駆動するトルクに余裕がない場合、またはボリュームが100%未満の場合には、S41で制御ゲインを徐々(段階的)に小さく変更する。尚、モータ18は、ある回転数に達すると、最大トルクを発生するため、回転数を必要以上に上げてもトルク増にならない。そのため、モータ18のトルクに余裕がない状態でゲインを上げても付加質量16の加速度を増加させることはできないので、ゲインを下げることになる。
【0048】
また、S22において、モータ18のトルクに余裕があり、ボリュームが100%の場合には、S42で制御ゲインを徐々(段階的)に大きく変更する。これにより、モータ18のトルクが増大して付加質量16の動作による制振効果が増大する。
【0049】
S23では、上記S41またはS42で変更した制御ゲインと、S31またはS32で変更したボリューム値を掛け合わせて制御ゲインを求める。
【0050】
ここで、上記S31,S32,S41,S42において、ボリュームおよび制御ゲインを急激に変化させると、付加質量16の加速度変化が大きくなり、構造物12を加振したり、あるいは異音が発生したりする可能性がある。これとは逆にボリュームおよび制御ゲインをゆっくり変化させると、制振装置11の能力を越える可能性がある。
【0051】
そこで、本実施例では、上記S31,S32,S41,S42において、例えば、ボリュームおよび制御ゲインを変更する速さをそれぞれA、B、C、Dの4段階とし、Aが最も急激に変更することとし、それぞれの関係をA>B、A>C>Dとすると良い。例えば、Aは1ms毎に1%づつ変化させ、Bは10ms毎に1%づつ変化させ、Cは10ms毎に1%づつ変化させ、Dは10秒毎に1%づつ変化させる。
【0052】
これにより、付加質量16は動作範囲を越えることなく、付加質量16の制振動作に余裕があればモータ18は最大トルク付近で動作するようになる。
【0053】
従って、自動的に制御ゲインの大きさを変更し、常に制振装置11の性能内でできるだけ大きい制御ゲインを設定することができるため、取付初期において、適当なゲインを記憶しておけばよく、各構造物12に個別のゲイン調整作業が不要である。また、住宅の質量変化や経年変化により、住宅の振動伝達特性が変化してもゲイン調整不要であり、しかも時間帯によって揺れが変化するような交通振動が入力される住宅においても常に最大の制振効果が得られる。
【0054】
さらに、付加質量16が動作範囲を超えることがないので、付加質量16が動吸振器13のストッパ(図示せず)に衝突するときの異音や振動の発生を防止できる。また、モータ18が発生できるトルク内で動作するので、モータ18の異常な発熱や故障の発生を防止できる。
【0055】
尚、上記実施例では、ドライブ回路29からのトルク信号に基づいて付加質量16を駆動するモータ18のトルクを求めているが、これに限らず、例えばモータ18のトルクを検出するセンサを設けるようにしても良いし、あるいは動吸振器13の設置面あるいは付加質量16を支持する基台15の支持面に付加質量16を駆動する力を検出するセンサを設けても良い。
【0056】
次にゲイン調整処理の第2実施例について説明する。
図5は第2実施例の演算装置26が実行するゲイン調整処理を説明するためのフローチャートである。
【0057】
図5に示されるように、演算装置26は、S51で動吸振器13を加振器として作動させる。例えば、動吸振器13の付加質量16を構造物12の加振方向に2Hz〜5Hzの間で一定間隔(例えば、0.1Hz〜0.2Hzの間隔)の周波数で駆動する。
【0058】
次のS52では、上記S31で加振された周波数における応答加速度あるいは振幅が最大となる周波数を探す。すなわち、2Hz〜5Hzの周波数で構造物12の応答加速度あるいは振幅が最大となる固有振動数を検出する。また、加速度の応答レベルから構造物12の1次モード有効質量を推定する。
【0059】
続いて、S53では、予め記憶装置27に記憶させたゲインマップ(図示せず)からその固有振動数と構造物12の1次モード有効質量に対応したゲインを選定する。尚、ゲインマップは、横軸が周波数、縦軸が応答レベルからなり、制振装置11の設置時あるいは年に1回程度ゲイン調整を行う。
【0060】
次のS54では、上記S53で選定された制御ゲインを用いて付加質量16の制振制御を開始する。そして、S55に進み、付加質量16の移動距離が有効ストローク内かどうかをチェックする。
【0061】
S55において、付加質量16の移動距離が有効ストローク内に入っていないときは、S56進み、制御ゲインを1段階小さい値に変更する。その後、S54に戻り、1段階小さく変更された制御ゲインを用いて付加質量16の制振制御を行う。
【0062】
また、S55において、付加質量16の移動距離が有効ストローク内に入っているときは、S57進み、付加質量16の移動距離が有効ストロークの一定閾値以内で一定時間以上継続しているかどうかをチェックする。このS57において、付加質量16の移動距離が有効ストロークの一定閾値以内で一定時間以上継続していないときは、そのまま制御ゲインを変更せずに上記S54に戻り、前回と同じ制御ゲインを用いて付加質量16の制振制御を行う。
【0063】
しかしながら、S57において、付加質量16の移動距離が有効ストロークの一定閾値以内で一定時間以上継続しているときは、S58に進み、制御ゲインを1段階大きい値に変更する。その後、上記S54に戻り、1段階大きく変更された制御ゲインを用いて付加質量16の制振制御を行う。
【0064】
このように、付加質量16の移動距離が有効ストローク内に入っていないときは、制御ゲインを1段階小さい値に変更し、付加質量16の移動距離が有効ストロークの一定閾値以内で一定時間以上継続しているときは、制御ゲインを1段階大きい値に変更することにより、その構造物12が有する固有振動数と当該構造物12の質量に適した制御ゲインに調整することができるので、付加質量16の制振動作(振幅や加速度)を最適な状態で駆動することが可能になる。
【0065】
従って、自動的に制御ゲインの大きさを変更し、常に制振装置11の性能内でできるだけ大きい制御ゲインを設定することができるため、各構造物別のゲイン調整作業が不要である。また、住宅の質量変化や経年変化により、住宅の振動伝達特性が変化してもゲイン調整不要であり、しかも時間帯によって揺れが変化するような交通振動が入力される住宅においても常に最大の制振効果が得られる。
【0066】
なお、上記S13では、構造物12の変位Lを用いて、構造物の振動を判断しているが、これに限らず、このS13では、構造物が体感振動を起しているかを判断できればよいので、建物に設けられた加速度、速度計等でもよく、間接的な測定として、庭等の地面の振動を測定し、建物の振動を推定してもよい。但し、このS13の判断は、S15と異なり、振動に関する瞬時値が所定を越えた場合とすることが望ましい。
【0067】
また、上記S15において、ゲイン調整後に構造物12の振動状態を判定する方法以外の方法としては、例えば、次のような判定方法の変形例がある。
(1)建物の1次以下の振動モードをカットするハイパスフィルタ通過後(2次以上の振動モード)の屋上加速度のRMSが一定時間の間0.2Gal以上かを判断し、Yesの場合は、図3と同様にS12でゲインを0に設定するようにしてもよい。この「2次以上の振動モードの屋上加速度のRMSが一定時間の間0.2Gal以上」の状態は、制振装置が建物を加振している状態であるので、このとき制御を一旦中止し、加振を治める。
【0068】
この場合、1次振動も発生している場合も含んでしまうが、S13で直ぐにゲインを通常ゲインに戻し制御を開始するので、構築物によっては、十分な制振効果が得られる。
【0069】
なお、この例の場合であっても、積算値としてRMSを用いているが、前記の実施の形態同様にローパスフィルターなどを用いてもよい。
(2)建物の1次振動に影響する周波数成分(建物によって異なる)のみ通過するフィルタを通過した後のモーターの回転速度信号やアクチュエータへの出力信号のRMSが一定時間の間、一定値以下であるかを判断し、Yesの場合は、図3と同様にS12でゲインを0に設定するようにしてもよい。これは、建築物の1次振動の状態をモータの出力から想定するもので、モーターの回転速度信号やアクチュエータの出力という実際に構造物が加振される原因となる信号により制御するので、構造物の実振動を測定するより早く制御することができる。
【0072】
【発明の効果】
上述の如く、本発明によれば、振動状態検出用センサから得られる信号が所定レベル以上のとき、前記制御ゲインをゼロより大きい値の通常ゲインに変更する通常ゲイン設定手段と、前記通常ゲイン設定手段により前記ゲインが通常ゲインに設定された後に所定時間の前記振動状態検出用センサから得られる信号の2次以上の振動モードの積算値が所定値以上の時に前記制御ゲインをゼロに設定するゼロゲイン設定手段とを備えており、2次以上の振動モードが大きい時、一旦制御ゲインをゼロとすることにより、制振作用による構造物の加振を効果的に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる制振装置の一実施例の概略構成図である。
【図2】制御装置14の構成を示すブロック図である。
【図3】制御装置14の演算装置26が実行する制御処理のフローチャートである。
【図4】制御装置14の演算装置26が実行するゲイン調整処理のPAD図である。
【図5】第2実施例の演算装置26が実行するゲイン調整処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
11 制振装置
12 構造物
13 動吸振器
14 制御装置
15 基台
16 付加質量
18 ACサーボモータ
19 エンコーダ
21 振動状態検出センサ
23 ボールねじ
24 増幅器
25 A/D変換器
26 演算装置
27 記憶装置
28 D/A変換器
29 ドライブ回路

Claims (1)

  1. 構造物の振動状態を検出する振動状態検出用センサと、
    該振動状態検出用センサからの検出値に制御ゲインを乗じた値に基づいて制御量を演算する演算手段と、
    該演算手段からの制御量に応じて駆動されるアクチュエータと、
    該アクチュエータに駆動されて前記構造物の振動を制振する付加質量と、
    を備えてなる制振装置において、
    前記振動状態検出用センサから得られる信号が所定レベル以上のとき、前記制御ゲインをゼロより大きい値の通常ゲインに変更する通常ゲイン設定手段と、
    前記通常ゲイン設定手段により前記ゲインが通常ゲインに設定された後に所定時間の前記振動状態検出用センサから得られる信号の2次以上の振動モードの積算値が所定値以上の時に前記制御ゲインをゼロに設定するゼロゲイン設定手段と、
    を備えてなることを特徴とする制振装置。
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