JPH10225643A - 繊維状イオン交換体 - Google Patents

繊維状イオン交換体

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JPH10225643A
JPH10225643A JP9044844A JP4484497A JPH10225643A JP H10225643 A JPH10225643 A JP H10225643A JP 9044844 A JP9044844 A JP 9044844A JP 4484497 A JP4484497 A JP 4484497A JP H10225643 A JPH10225643 A JP H10225643A
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fiber
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Yoshihiko Kanchiku
嘉彦 寒竹
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Abstract

(57)【要約】 【課題】優れたイオン交換能と繊維物性を兼備した繊維
状イオン交換体を提供する。 【解決手段】ポリオレフィンまたはフッ化ポリオレフィ
ンを繊維形成ポリマーとする、A、B2相よりなる複合
繊維であって、A相はフィブリル構造をとり、該構造内
にイオン交換性微粒子が保持されてなるイオン交換機能
相であり、B相は該粒子を含まない繊維物性発現相であ
ることを特徴とする繊維状イオン交換体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】繊維状イオン交換体は細くて
長いという形態的特徴から、イオンの交換速度が高く、
かつ理想的な交換度が期待できるので、そのような交換
体には近年極性ガスの除去やイオン電導性のメリットを
生かした純水製造などの新規応用分野が開け、その開発
が活発になされるようになっている。本発明はこうした
分野において特に高性能で使い勝手の優れた繊維状イオ
ン交換体を提供しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】繊維状イオン交換体はその形状メリット
を引き出すためのしっかりした「繊維物性」と、イオン
交換容量、交換速度、利用率などを総合してなる「イオ
ン交換機能」を兼ね備える必要があり、さらに工業プロ
セスにより経済的に、しかも安定に供給できることが望
ましい。
【0003】こうした観点から見ると、従来の技術はい
ずれも「繊維物性」と「イオン交換機能」の両立に成功
したとは言い難い。これは従来技術では技術的に上記し
た物性と機能の「両立」がきわめてむずかしく、加えて
イオン交換樹脂やイオン交換膜などに比べて用途展開が
おくれていたこともあって、商品としての完成度が低い
段階に留まっていたためと考えられる。
【0004】繊維状イオン交換体の1つの製造法とし
て、ポリオレフィンと粉末状のイオン交換樹脂(イオン
交換性微細粒子)を混合し、溶融押出しする方法が特開
昭49−43888号において提案されている。この方
法では粉末状のイオン交換樹脂を囲むポリオレフィンが
熱水に浸漬されると、イオン交換樹脂が吸水して膨潤す
る力により樹脂が存在する空間が可塑的に広げられると
ともに、細かな割れ目が生じることによりイオン交換機
能が発現することが明らかにされている。
【0005】しかしながら、この方法により得られる繊
維状イオン交換体は溶融押出ししただけの賦型物であ
り、繊維物性を付与する上で重要な延伸あるいはドラフ
トといった処理が欠落しており、繊維物性面で課題を抱
えた技術と考えられる。本発明者のトレースでも、粒状
物を多量に混合した場合、繊維形成ポリマーの連続性が
絶たれるためと考えられるが、特に繊維製造上最も重要
な要件である延伸性に問題があり、このままでは良好な
繊維物性が得られないと判断される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、上記した
技術は数ある繊維状イオン交換体の製造法の中でも特に
原料が安価であるという点で有利であるので、上記課題
が解決できればきわめて有力な製法になる可能性がある
ことに着目し、特に繊維物性の向上について鋭意研究中
のところ、まず複合紡糸技術を導入することにより顕著
な改善が見られることを見出し、さらにその詳細につい
て検討を重ねる過程で、特殊な延伸条件を採用すること
により粒状イオン交換体と外部との連絡を格段に改善で
きる微細孔構造を繊維に付与することができ、上記した
引例の方法で必須的に行われているイオン交換機能を発
現するための熱水浸漬処理も必ずしも必要としないなど
大きな改善を加えて、遂に本発明を完成した。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明はポリ
オレフィンまたはフッ化ポリオレフィンを繊維形成ポリ
マーとする、A、B2相よりなる複合繊維であって、A
相(例えば鞘部、以下も同様)はフィブリル(三次元網
状)構造をとり、該構造内にイオン交換性微粒子が保持
されてなるイオン交換機能相であり、B相(例えば芯
部、以下も同様)は該粒子を含まない繊維物性発現相で
あることを特徴とする繊維状イオン交換体に関するもの
である。本発明の繊維状イオン交換体では、イオン交換
性粒子がフィブリル構造に囲まれて複合繊維のA相に存
在し、比表面積が際立って大きな微粒子特有のイオン交
換機能を遺憾なく発揮できる状態となっている。本発明
の繊維状イオン交換体では、繊維形成性および繊維物性
は主として繊維ポリマーのみのB相に依存している。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の内容についてさら
に詳細に説明する。本発明の繊維状イオン交換体を構成
する繊維形成ポリマーとしてはポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリ−3−メチルブテン−1、ポリ−4−メチ
ルペンテン−1などのポリオレフィン類;ポリフッ化ビ
ニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプ
ロピレン共重合体、ポリフッ化ビニル、エチレン−テト
ラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン
−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体などの
フッ化ポリオレフィン類が使用され、一般的にはポリエ
チレンおよびポリプロピレンおよびこれらの混合物が好
適であり、耐熱性、耐放射線などが要求される分野に対
してはフッ化ポリオレフィンを選択することができる。
【0009】イオン交換性粒子としては、有機イオン交
換体および無機イオン交換体があり、ともに本発明の原
料として用いることができる。
【0010】このうち有機イオン交換体には、交換基の
種類と機能の観点から区別すると、強酸性カチオン交
換、弱酸性カチオン交換、強塩基性アニオン交換、弱塩
基性アニオン交換、さらに特定の金属やイオンに対し高
い選択吸着性を特徴とするキレートタイプが含まれてお
り、いずれも多くの交換基と架橋結合を持っており、親
水性で熱変形しないという共通の特徴がある。
【0011】これらはイオン交換樹脂あるいはキレート
樹脂として種々の用途に安定供給されており、本発明の
繊維状イオン交換体を製造するには、一般的にこれらを
粉砕して用いるのが経済的である。
【0012】繊維製造時の熱的影響に関しては充分な配
慮が必要である。一般に熱安定性は官能基を遊離形とす
るよりも塩形にする方が優れており、さらにカウンター
イオンの種類を選択することによりかなりの改善を図る
ことができる。しかし、第4級アンモニウム基のように
耐熱性に明らかな問題が見られる官能基の場合にはその
前駆体、例えば粉末状スチレン−ジビニルベンゼン共重
合体を混合した繊維の製造を行い、しかる後に官能基の
導入を行えば問題を回避できる。
【0013】無機イオン交換体としては、カチオン交換
タイプとしてゼオライトを初め、ジルコニウム系、錫
系、アンチモン系、チタン系があり、一方アニオン交換
タイプとしてビスマス系、マグネシウム系、アルミニウ
ム系、ジルコニウム系、鉛系がある。これらのイオン交
換体としては東亜合成株式会社より「IXE」の商品名
で販売されている一連の商品群があり、一般的に耐熱性
に優れ、高い選択イオン吸着性など有機イオン交換体に
ない特性を備えている。
【0014】イオン交換体あるいはその前駆体の粒径は
乾燥状態において10μm以下である必要があり、平均
粒径が5μm以下で、しかも10μmを超える粒子が含
まれていないことが好ましい。
【0015】粒径が10μmを超えるものが含まれてい
ると、繊維製造工程で紡糸原液の詰まりや、糸切れなど
のトラブルが発生し易くなる。逆に粒径が0.01μm
以下の粒子はフィブリル(網状)構造の間より抜出るこ
とが考えられるが、現実的にはこれほどの超微粒子の生
成はほとんどなく、したがって粒子が細か過ぎることに
よるトラブルはほとんど見られない。
【0016】市販のイオン交換樹脂などそのままでは粒
径が大きな場合には、これを粉砕して使用する。粉砕に
際しては、一般的に乾式粉砕は粉砕速度は大であるが、
粒径分布が広く粗粒物の混入が見られるので、湿式粉砕
か乾式粉砕の後に湿式粉砕を行うのが望ましい。湿式粉
砕はボールミル法かこの原理を利用する他の方法によっ
て効果的に実施できる。
【0017】なお、有機イオン交換体を使用する場合、
特定の重合方法、例えば乳化重合法を使用することによ
って粒子径を小さくしておくと、粉砕工程を回避ないし
大幅に簡略化できる。
【0018】かかるイオン交換性微粒子はそのまま、も
しくは界面活性剤などで処理してポリマーに混合され
る。無機イオン交換体の場合、シランカップリング剤あ
るいはチタンカップリング剤による表面処理をすると好
ましい効果を与える場合がある。
【0019】A相に含まれるイオン交換性微粒子は、カ
チオン交換性微粒子とアニオン交換性微粒子の如く特性
の異なる微粒子が混合して含まれていてもよく、またそ
れぞれが繊維軸に沿って別々の存在領域を持っていても
よい。
【0020】A相におけるこうした粒子のブレンド量
は、好ましくは該粒子を含むA相の重量に基づいて10
〜80重量%である。ブレンドされたイオン交換性微粒
子の量が10重量%以下では、後述する直接熱延伸する
延伸方法の場合においてイオン交換容量の発現率が低下
し、イオン交換体としての魅力が失われる。逆にブレン
ド量が80重量%を超すと相対的に繊維形成ポリマーが
不足し、架橋度が低く膨潤度の高いイオン交換体粒子を
用いた場合、これらを繊維内に捕捉しておくことが困難
になるなどの問題が出てきたり、繊維製造工程でのトラ
ブルが多くなる。
【0021】一方のB相は繊維製造時にA相の乏しい延
伸性を補い、糸切れを防ぎ、製品に一般の繊維に近い取
扱いができる強度および伸度を付与するものであり、通
常はA相と同じポリマーか、これより良好な繊維物性が
得られるポリマーを前記したポリオレフィンまたはフッ
化ポリオレフィンから選ぶことができる。
【0022】繊維の製造は溶融した上記A、B両相用紡
糸原液をそれぞれ定量供給し、複合繊維用ノズルより吐
出することより始まるが、本発明の場合A相原液に多量
の微粒子が含まれており、傾向的にはノズルに詰まり易
いので、A相紡糸原液配管系でのフィルタは粗めとし、
場合によっては省略するなどの工夫が望まれる。しか
し、ノズル部などA、B両相紡糸原液が合流してからは
予想外に詰まりは少ない。これは粒子が詰まりかける
際、全く粒子が存在しないB相により粒子の会合による
粒径の成長(ブリッジ形成)が起き難くなっているため
と推定される。
【0023】本発明ではA相の少なくとも一部が接液側
(一般的には外側)に面し、B相の連続性が確保される
限り、繊維の断面は鞘芯タイプをはじめ、芯が2〜4の
複数になった海島タイプ、または1ないし3段のノズル
内スタチックミキサーを使用して得られる混合タイプで
あってもよい。さらに、中空糸状であってA相が外層で
B相を内層、逆にA相が内層でB相が外層であってもよ
い。前者の場合、B相(内層)も多孔化することにより
イオン交換性を持った中空濾過膜として、後者の場合に
は内壁のイオン交換性を利用するキャピラリーカラムと
しての応用が可能である。こうした複合繊維の混合比に
ついてはそれぞれの機能を考慮してニーズに応じた選択
ができ、おおむねA/B比は重量比で9/1〜3/7の
範囲から選択できる。
【0024】かくして得られる未延伸糸のイオン交換容
量の実測値は混合量から計算できる値に比べ、殆どゼロ
かきわめて低いものである。例えば、スルホン酸基を交
換基とするカチオン交換樹脂(ナトリウム型)とポリエ
チレンを原料とするケースにおいては、混合率が50%
までは実測されるイオン交換容量は殆どなく、80%で
も計算値の約3割程度に過ぎず、未延伸糸のままではと
てもイオン交換体として使用できるものではなかった。
こうした傾向は他の繊維形成性ポリマーを用いた場合お
よび交換基の異なるイオン交換微粒子を用いた場合にも
同様に観察される現象であり、未延伸糸の段階ではイオ
ン交換性微粒子が繊維形成性微粒子により被覆されてい
ることに起因するものと考えられる。
【0025】こうした未延伸糸は延伸などによるフィブ
リル構造の生成によりイオン交換容量が復元するばかり
か、延伸に伴うフィブリルの成長と共にイオン交換速度
も顕著に向上する。延伸は、未延伸糸を、1)熱処理し
て結晶を成長させた後、冷延伸により微孔を形成し、次
いで大きく延伸してフィブリルの成長を計る方法、2)
最初に熱水処理を行った後で延伸する方法、および3)
直接熱延伸する方法の大別3方法により実施できる。
【0026】冷延伸を先行する方法では、まず未延伸糸
をそのまま放置するかまたは融点より10℃以上低い温
度で熱処理することにより繊維形成ポリマーの結晶化度
を高めておくことが望ましい。これを延伸すると、降伏
点を超えたところで微孔が形成され、さらに延伸される
とフィブリルの形成とともに著しく空隙率が増加する。
【0027】ここでA相には多量のイオン交換性微粒子
が存在することにより伸張作用が不均一に及ぶため実質
的な降伏点が低く、B相に比べ遙に低い伸張で微孔の形
成が始まる。また、冷延伸の場合いきなり大幅な延伸に
は追随し難い傾向がA、B両相ともにある。このため冷
延伸は微孔の形成を目的とした小幅な延伸にとどめ、第
二段以降を熱延伸によりより大きく延伸してフィブリル
の成長を計ることが好ましい。
【0028】A、B相ともに繊維形成ポリマーとして高
密度ポリエチレンを用いた場合を例にとれば、まず室温
から−50℃の範囲で3〜50%の第一段の延伸を行
い、引き続いて90〜120℃で50〜500%熱延伸
し、合計で1.5〜7倍延伸するのが好適な条件であ
る。この場合冷延伸の倍率が低い領域ではA相のみに微
孔が形成され、20%以上ではB相もフィブリルの生成
を伴って多孔化される。一方、直接熱延伸する方法によ
れば、より簡単な工程により本発明の繊維状イオン交換
体を製造することができる。この場合繊維軸方向を縦に
した場合、A相中の粒子の周囲に、繊維軸方向に並んだ
フィブリルの形成がみられ、粒子の上または下に空隙が
できることがある。この場合、B相は多孔化されない。
【0029】第2の熱水処理を行う方法では、未延伸糸
を熱水に浸漬処理すると、イオン交換性微粒子が水を取
り込んで体積を増すため、粒子周囲のポリマーは微細な
クラックの生成を伴って不可逆的に押し広げられる。そ
の結果、乾燥後の粒子はポリマーと剥離して三次元フィ
ブリル構造に保持された状態となる。この処理によりA
相は幾分白化した外観となり、厚みと柔軟性を増し、次
の延伸処理によりフィブリルが伸長し大きく空隙率が増
加する。
【0030】A相に含まれる粒子がより細かな微粒子で
あれば形成される網状構造も繊細であり、粗ければ粗い
構造となる。延伸後もこうした構造の履歴が引き継がれ
るため、粒子の体積増は概して大きくない方が好まし
く、大きな場合には架橋度の高いイオン交換性粒子を用
いたり、熱水に無機塩を加えて膨潤を抑えるなどによっ
て最適化を図ることができる。
【0031】この熱水処理を取り入れた後の延伸は、熱
延伸してもよく、あるいは第1の方法の場合のように軽
い冷延伸と比較的大幅な熱延伸を組み合わせてもよい。
前者の場合、B相にはフィブリルの形成はなく、優れた
繊維物性が得られるメリットがあり、延伸は熱水処理浴
中で行うこともできる。後者の方法によればB相もフィ
ブリルの形成を伴って多孔化される。
【0032】また、A、B相ともに繊維形成ポリマーと
して高密度ポリエチレンを用い、直接熱延伸する場合に
は、未延伸糸を90〜120℃で2〜7倍延伸すること
が好ましい条件である。しかし直接熱延伸する方法は、
上述した冷延伸先行法に比べ、生成されるフィブリルが
やや粗いためかイオン交換速度が遅くなる傾向にある。
こうした場合、特開昭49−43888号記載の熱水処
理を行うことによりイオン交換速度を改善することがで
き、同時に柔軟性を増すことができる。いずれの延伸方
式においても延伸後、繊維形成ポリマーの融点より10
〜100℃低い温度で緊張または緩和状態で熱セットす
ることにより寸法安定性を向上することができる。
【0033】繊維の単繊維繊度が過度に細繊度になる
と、生産工程および加工工程で問題が発生し、また必要
以上に太繊度になると製造上の不都合があるので、単繊
維繊度は通常1〜500デニール、好ましくは5〜50
デニールである。また、繊維が中空糸状である場合に
は、内径10〜300μm、肉厚10〜1,000μm
が好ましい範囲である。以上、本発明をフィラメント糸
を中心にして説明したが、本発明の繊維はこれを切断し
て得られる極短繊維、綿、紡績糸、紡績糸またはフィラ
メント糸より作られる編織布、不織布および紙などの形
態であってもよく、さらにこれらは他の繊維と混用ある
いは複合されたものであってもよい。以下、実施例によ
り本発明の説明を続けるが、例中「部」は「重量部」を
意味する。
【0034】
【実施例】
実施例1 強酸性カチオン交換樹脂であるダイヤイオンPK−22
8(製造:三菱化学株式会社、販売:日本錬水株式会
社)をボールミルを用いて湿式粉砕し、全粒子の粒径が
5μm以下、メジアン径が1.6μmの微粒子を得た。
このものを乾燥重量として550部含む水性スラリーに
界面活性剤(デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)を
加え、水分を蒸発させた後、メルトインデックス0.2
6の高密度ポリエチレン450部を入れて溶融混練り
し、次いでペレット状とした。これを鞘用原料とし、芯
用原料には同じポリエチレンを用い、ともに220℃で
溶融し、鞘/芯比が重量比で3/2になるように、鞘芯
型ノズルブロックを用いた12ホールのノズルより紡出
し、ドラフト比1100で未延伸糸として巻取った。こ
れを緊張下に110℃で45秒間熱処理し、18℃で3
0%延伸し、さらに、二段目の延伸を110℃で行うこ
とによりトータルで2.5倍延伸し、120℃でセット
して180デニール/12フィラメントのフィラメント
糸を得た。得られた繊維は白っぽい茶色の外観をしてお
り、電子顕微鏡による繊維断面および表面の観察から鞘
部にフィブリル構造の形成が確認され、繊維物性は強度
1.1グラム/デニール、伸度64%であり、混率と樹
脂の交換容量とからの計算値にほぼ合致する1.5me
q./g−Na・formの中性塩分解能を有してい
た。
【0035】実施例2 実施例1で得られた未延伸糸を、熱処理することなく、
110℃で2.5倍に延伸し、120℃でセットして1
80デニール/12フィラメントのフィラメント糸を得
た。得られた繊維は白っぽい茶色の外観をしており、繊
維物性は強度1.3グラム/デニール、伸度60%であ
り、樹脂の交換容量と混率からの計算値にほぼ合致する
1.5meq./g−Na・formの中性塩分解能を
有していた。なお、実施例1と実施例2により得られた
繊維状イオン交換体の極少量を、酸化触媒として約10
0ppmの鉄イオンを含む60℃に保持された水溶液に
浸漬し、時々過酸化水素水を滴下して補充することによ
り、繊維内に含まれるイオン交換樹脂粉砕物を分解し
た。残ったポリエチレンのみよりなる繊維状物にはとも
に繊維軸方向に沿ったフィブリル構造が観察され、実施
例1により得られたものに、より繊細なフィブリルが多
く見られた。
【0036】比較例1 実施例1で得られた繊維状イオン交換体と同じ構成比に
なるように、実施例1で用いたポリエチレン770部と
粉砕したイオン交換樹脂330部とを混合し、まず実施
例1と同様にして溶融混練りしたペレットを作成した。
これを220℃で溶融し同じ孔径の12ホールのノズル
を用いて繊維を製造しようとしたが、ノズル直前の濾過
ユニットを使用していないにも拘わらずノズル詰まりや
糸切れが多発して連続的に未延伸糸をサンプリングでき
る状態ではなかった。辛うじて得られた吐出物を手動延
伸器を用いて18℃で延伸を試みたが破断伸度が低く延
伸は全く不可能であった。
【0037】実施例3 スチレンとジビニルベンゼン(純分55%)を重量比9
0:10で、アゾビスイソブチロニトロを触媒として懸
濁重合させて粒状スチレン−ジビニルベンゼン共重合体
を得た。この共重合体を湿式粉砕して、粒径がメジアン
径で1.2μm、しかも5μmを超える粒子を実質的に
含まない粉砕物とし、得られたスチレン−ジビニルベン
ゼン共重合体微粒子と、実施例1で使用したポリエチレ
ンとを混練機で重量比1:1で溶融混合し、次いでペレ
ットに加工した。このペレットを鞘部の原料とし、芯に
は同じポリエチレンを使用し、215℃で溶融紡糸して
鞘/芯の重量比を3/1とする未延伸糸を得た。この未
延伸糸を20℃で15%延伸し、さらに室温から110
℃で300%の延伸を行い、120℃で定長熱処理する
ことにより、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体微粒
子を多量に内蔵する180デニール/12フィラメント
の多孔性繊維を得た。この繊維を、四塩化錫を触媒とし
てクロルメチルエーテルで処理してクロルメチル基を導
入し、さらにトリメチルアミンを作用させることによ
り、繊維内のスチレン−ジビニルベンゼン共重合体に第
4級アンモニウム基を導入した繊維状強塩基性アニオン
交換体とした。かくして得られた本発明の繊維状イオン
交換体はわずかに黄色がかった白っぽい色彩を示してお
り、単繊維繊度は23.5デニールに増加しており、繊
維物性は強度0.9グラム/デニール、伸度36%であ
り、1.8meq./g−CL・formの中性塩分解
能を有していた。
【0038】実施例4 アンチモン系無機イオン交換体(商品名:IXE−30
0、東亜合成株式会社製品、粒径が5μmを超える粒子
はなく、メジアン径は0.50μm)300部を密度
1.80g/ccのポリフッ化ビニリデン200部と溶融
混合してからペレットを調製し、このペレットを鞘部
に、芯部には同じポリフッ化ビニリデンをそれぞれ原料
として、溶融紡糸法により250℃で鞘芯型複合繊維の
未延伸糸を製造した。この未延伸糸を−10℃で15%
延伸し、さらに第二段階の延伸を125℃で行って、鞘
/芯重量比が3/1の5倍延伸糸を得た。得られた繊維
は、繊度が250デニール/12フィラメント、繊維物
性は強度が1.2g/d、伸度22%であり、電子顕微
鏡により鞘部のフィブリル構造が観察され、ほぼ添加量
からの計算値に近い2.0meq./gのナトリウムイ
オン吸着能を有していた。かくして得られた繊維状交換
体は、無機イオン交換体と繊維形成ポリマーがともに卓
越した耐熱性、耐薬品性、耐放射線性を有するので、高
い選択イオン吸着性を生かした用途に使用することがで
きる。
【0039】
【発明の効果】本発明は繊維状のイオン交換体に関する
ものであり、その中ではイオン交換性微粒子が、高度に
発達したフィブリル構造内に保持され、実質的に裸に近
い状態でしかも表面近くに存在することにより、イオン
交換速度、利用率などのイオン交換機能が理想的に発揮
され、同時に繊維物性は、微粒子が存在しない中心部の
寄与により、繊維製造時、加工時および使用時に必要な
水準を備えている。したがって、本発明の繊維状イオン
交換体は高性能で使い勝手の良いイオン交換体として、
極性ガスの除去や電気透析法を利用した純水製造などの
用途に利用できる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィンまたはフッ化ポリオレフ
    ィンを繊維形成ポリマーとする、A、B2相よりなる複
    合繊維であって、A相はフィブリル構造をとり、該構造
    内にイオン交換性微粒子が保持されてなるイオン交換機
    能相であり、B相は該粒子を含まない繊維物性発現相で
    あることを特徴とする繊維状イオン交換体。
JP9044844A 1997-02-14 1997-02-14 繊維状イオン交換体 Pending JPH10225643A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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