JPH10225233A - 鉢植え植物栽培用資材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 鉢植え植物栽培において要求される通気性、
保水性、排水性および保肥性を良好ならしめ、以て素
材、形状、大きさを各々異にする栽培容器により育成さ
れた植物の一括管理が可能にして且つ留守中にいても枯
渇や根腐れ等給水に伴う障害のない鉢植え植物栽培用資
材を提供する。 【構成】 発泡ポリウレタンのような屈曲性を有する合
成樹脂発泡体を素材として網目Ａが粗い発泡網状板体１
を形成するとともにこの発泡網状板体１の少なくとも一
面に防虫網のような網目Ｂが密な編織物２を張って、上
記発泡網状板体１の網目Ａおよび編織物２にて囲まれる
空洞室３を数多形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は植物栽培、特に鉢植え植
物栽培において要求される通気性、保水性、排水性およ
び保肥性を良好ならしめるために鉢やプランター等栽培
容器の植え込み材料中に埋設される鉢植え植物栽培用資
材に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】植物を丈夫に育て、これを長持ちさせる
には気候、温度、土壌等多くの環境条件が必要とされる
が、植木鉢やプランタ等の栽培容器を使用する鉢植え植
物栽培にあっては、環境条件が狭い栽培容器内に限定さ
れるために田畑における栽培と異なり栽培容器内におけ
る植え込み材料の通気性、保水性、排水性および保肥性
を良好ならしめることが特に必要である。

【０００３】そこで、従来にあっては上記植え込み材料
の環境条件を良好ならしめるために畑土、田土、黒土等
ベースとなる土に腐葉土、川砂、鹿沼土等を配合してな
る培養土が植え込み材料として一般に使用され、また、
一・二年草、宿根草、山草、球根類、ラン科植物、多肉
植物等植え込む植物の種類によっては上記培養土にパー
ライト、ミズゴケ、ピートモス、火山砂れき等を組合せ
て物理的条件を更に良好ならしめたものが植え込み材料
として使用されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記植え込
み材料は栽培される植物の生長とともに生じる根詰まり
による生育障害や土壌粒子の単粒化等に起因する老化や
老廃物の蓄積等により通気性、保水性、排水性および保
肥性が漸次低下するという経時変化に伴う障害を余儀な
くされていた。

【０００５】また、植物の発芽後や定植後における管理
面においても通気性が良く乾燥し易い素焼き鉢、通気性
が悪く乾燥し難い化粧鉢やプラスチック鉢等素材、形
状、大きさを各々異にする栽培容器を一緒に管理する際
に該栽培容器の種類によっても環境条件が異なるために
どちらかが乾き過ぎて根張り不良を生じたり、過湿にな
り過ぎて根が枯れる等という前記通気性、保水性、排水
性および保肥性に起因する弊害をも合わせ余儀なくさ
れ、更には、旅行等により何日か留守をする場合に鉢皿
に水を溜めるも、水が深過ぎると根腐れを生じるために
３乃至４日が限度である等という課題をも合わせ有して
いた。

【０００６】しかしながら、鉢植え植物栽培において、
呼吸作用の向上および老廃物の除去を目的として通気性
および排水性に改良を加えると、保水性および保肥性が
低下して根張り不良に伴う生長低下を来す等、前記植え
込み材料の環境条件たる通気性、保水性、排水性および
保肥性は一方に改良を加えるとその反面、他方が低下す
るというアンバランス的な面を有することから全ての条
件を満足させることは頗る困難であった。

【０００７】本発明は上記課題を解消すべく発明された
ものであって、植木鉢やプランタ等栽培容器を使用する
鉢植え植物栽培における植え込み材料の通気性、保水
性、排水性および保肥性を良好ならしめ、以て、栽培容
器の素材、形状、大きさ等の差異に左右されることなく
発芽後や定植後における管理が簡単に行える鉢植え植物
栽培用資材を提供せんとするものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は上記に基づき発
明されたものであって、発泡ポリウレタンのような屈曲
性を有する合成樹脂発泡体を素材として網目が粗目状か
らなる発泡網状板体を形成するとともに該発泡網状板体
の少なくとも一面に防虫網のような網目が密目状からな
る編織物を張設し、上記発泡網状板体の網目および編織
物にて囲繞される空洞室を数多形成せしめてなる鉢植え
植物栽培用資材である。

【０００９】本発明における発泡網状板体としては発泡
ポリウレタンや発泡ポリプロピレンのように植木鉢等栽
培容器の周壁に沿って屈曲可能な合成樹脂発泡体を素材
とする板体に千鳥状に配列された菱形からなる網目や格
子状に配列された方形状からなる網目等を粗目状に配列
してなる吸水性網状板体の使用が好ましい。

【００１０】また、上記発泡網状板体の素材たる合成樹
脂発泡体としては単独気泡合成樹脂発泡体に比し連続気
泡合成樹脂発泡体の使用が、保水性および保肥性よりし
て好ましい。

【００１１】尚、上記発泡網状板体の素材として単独気
泡合成樹脂発泡体を使用する場合はその網目および編織
物にて囲繞される空洞室内に通気性および排水性を阻害
しない範囲内において連続気泡合成樹脂発泡体、スポン
ジ、ミズゴケ等を素材としたブロック状からなる吸着材
を装着してなるものの使用が保水性および保肥性よりし
て好ましい。

【００１２】次いで、上記発泡網状板体の一面若しくは
両面に張設してなる編織物としては通気性および排水性
を阻害することなく前記空洞室内への植え込み材料の流
入を遮断し得るように網目が１０乃至３０メッシュの大
きさからなる防虫網や押出成形網体のような密目状編織
物の使用が好ましい。

【００１３】また、上記空洞室は発泡網状板体の相隣る
網目間に設けられた開口部を介して少なくとも一方向に
対して互いに連通する通気性空洞室であることが通気性
および排水性よりして好ましい。

【００１４】尚、上記発泡網状板体への編織物の張設で
あるが、発泡網状板体の一面のみに張設するものにあっ
ては接着手段や融着手段等により一体に成層され、一
方、発泡網状板体の両面に張設するものにあっては袋状
若しくは筒状に形成された編織物に発泡網状板体を挿入
することにより一体に成層される。

【００１５】

【作用】本発明は発泡ポリウレタンのような屈曲性を有
する合成樹脂発泡体を素材として網目が粗目状からなる
発泡網状板体を形成するとともに該発泡網状板体の少な
くとも一面に防虫網のような網目が密目状からなる編織
物を張設し、上記発泡網状板体の網目および編織物にて
囲繞される空洞室を数多形成せしめてなるため、植木鉢
やプランタ等の栽培容器に入れられた植え込み材料の中
間部分や底の部分や周縁部分等に適宜埋設することによ
りこの植え込み材料内に呼吸作用に必要な外気に連通す
る通気路、根腐れを防止するために必要な栽培容器外に
連通する排水路、そして栽培される植物の生育に必要な
水分および肥料を保持するために必要な空隙部が同時に
設けられる。

【００１６】

【実施例】以下、本発明を図面に示す実施例について更
に詳細に説明すれば、図１は本発明の鉢植え植物栽培用
資材の第一実施例を示す一部欠截斜視図で、図中、符号
１は網目Ａが粗目状からなる発泡網状板体を示すもので
あって、連続気泡発泡ポリウレタンを素材とした幅１０
ｍｍ程度にして厚さ５ｍｍ程度からなる複数本の帯状物
を井桁状に交差するとともにその交差部分を融着し、幅
１０ｍｍにして長さ５０ｍｍ程度の大きさからなる菱形
状の網目Ａが千鳥状に配列されるように一体に成形して
なるものである。

【００１７】図中、符号２は上記発泡網状板体１の両面
に張設された密目状からなる編織物であって、ポリエチ
レンを素材として成形されたモノフイラメントをもって
網目Ｂが３０メッシュ程度の大きさになるように編織さ
れた袋状編織物からなるものである。

【００１８】図中、符号３は上記袋状編織物からなる編
織物２内に発泡網状板体１を装着して該発泡網状板体１
の網目Ａおよびその両面に張設された編織物２にて囲繞
された空洞室であって、発泡網状板体１の全面に数多散
在せしめてなるものである。尚、上記空洞室３は発泡網
状板体１の相隣る網目Ａ間に設けられた開口部４を介し
て少なくとも一方向に対して互いに連通するように形成
されている。

【００１９】次に、図２は本発明の鉢植え植物栽培用資
材の第二実施例を示す一部欠截断面図で、単独気泡発泡
ポリエチレンを素材とした幅１０ｎｍｍ程度にして厚さ
５ｍｍ程度からなる複数本の帯状物を井桁状に交差する
とともにその交差部分を融着し、幅１０ｍｍにして長さ
５０ｍｍ程度の大きさからなる菱形状の網目Ａが千鳥状
に配列されるように一体に成形してなる発泡網状板体１
の該網目Ａに連続気泡発泡ポリウレタンを素材とした厚
さ５ｍｍ程度にして幅１０ｍｍ、長さ２０ｍｍ程度の大
きさの矩形状板体からなる吸水材５を付着してなるもの
の両面に第一実施例と同様に網目Ｂが３０メッシュ程度
の大きさからなる袋状編織物２を張設して該発泡網状板
体１の網目Ａおよび編織物２にて囲繞される空洞室３を
数多形成せしめてなるものである。

【００２０】次に、図３は本発明の鉢植え植物栽培用資
材の第三実施例を示す一部欠截断面図で、第一実施例と
同様に成形してなる発泡網状板体１の一面にポリ塩化ビ
ニルモノフイラメントを素材として平織状に織成された
網目Ｂが３０メッシュ程度の大きさからなる編織物２を
接着により張設して該発泡網状板体１の網目Ａおよび編
織物２にて囲繞される空洞室３を数多形成せしめてなる
ものである。

【００２１】本発明の鉢植え植物栽培用資材は上記構成
よりなるため、使用に際しては図４乃至図６に示すよう
に、植木鉢やプランタ等の栽培容器ａや該栽培容器ａ内
に入れられた植え込み材料ｂ等栽培せんとする植物ｃの
環境条件が最も良好ならしめられるように、栽培容器ａ
の中間部分や該栽培容器ａの内壁面や底面に沿うよう植
え込み材料ｂ中に適宜埋設することにより使用される。

【００２２】

【発明の効果】以上より明らかなように、本発明の鉢植
え植物栽培用資材は発泡ポリウレタンのような屈曲性を
有する合成樹脂発泡体を素材として網目が粗目状からな
る発泡網状板体を形成するとともに該発泡網状板体の少
なくとも一面に防虫網のような網目が密目状からなる編
織物を張設し、上記発泡網状板体の網目および編織物に
て囲繞される空洞室を数多形成せしめてなるため、これ
を素焼き鉢やプラスチック製プランタ等使用される栽培
容器の種類、植え込み材料の物理的条件、栽培される植
物の品種に応じて栽培容器の中間部分や該栽培容器の内
壁面や底面に沿うように植え込み材料中に適宜埋設する
ことにより、植物の呼吸作用に必要な酸素が外気と連通
する空洞室を介して絶えず供給されるために通気性が良
好ならしめられ、また、給水された水分の一部が発泡網
状板体に貯留される一方、余剰水分が上記空洞室を介し
て老廃物とともに栽培容器外に排出されるために保水性
と合わせ該保水性と相矛盾する排水性も合わせ良好なら
しめられ、更には、植物の生育活動に必要な肥料分も上
記発泡網状板体に吸着されるために保肥性も合わせ助長
せしめられ、これより従来困難視されていた素材、形
状、大きさを各々異にする栽培容器による植物の一括管
理が可能にして且つ留守中における枯渇や根腐れ等給水
に伴う障害も合わせ解消せしめられる。

【００２３】また、植え込み材料内に合成樹脂発泡体を
素材とした発泡網状板体および該発泡網状板体の網目お
よび編織物にて囲繞された空洞室が設けられているため
に定植時における押圧や給水、根張り等に伴う圧力が吸
収され、これより上記圧力に伴う植え込み材料の収縮に
起因する形崩れも合わせ防止せしめられる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の鉢植え植物栽培用資材の第一実施例を
示す一部欠截斜視図である。

【図２】本発明の鉢植え植物栽培用資材の第二実施例を
示す一部欠截断面図である。

【図３】本発明の鉢植え植物栽培用資材の第三実施例を
示す一部欠截断面図である。

【図４】本発明の鉢植え植物栽培用資材の使用状態を示
す一部欠截断面図である。

【図５】本発明の鉢植え植物栽培用資材の使用状態を示
す一部欠截断面図である。

【図６】本発明の鉢植え植物栽培用資材の使用状態を示
す一部欠截断面図である。

【符号の説明】

１ 発泡網状板体 ２ 編織物 ３ 空洞室 ４ 開口部 ５ 吸着材 Ａ 網目 Ｂ 網目

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 発泡ポリウレタンのような屈曲性を有す
   る合成樹脂発泡体を素材として網目が粗目状からなる発
   泡網状板体を形成するとともに該発泡網状板体の少なく
   とも一面に防虫網のような網目が密目状からなる編織物
   を張設し、上記発泡網状板体の網目および編織物にて囲
   繞される空洞室を数多形成せしめてなることを特徴とす
   る鉢植え植物栽培用資材。
2. 【請求項２】 上記発泡網状板体が連続気泡合成樹脂発
   泡体を素材とする吸水性網状板体からなることを特徴と
   する請求項１記載の鉢植え植物栽培用資材。
3. 【請求項３】 上記発泡網状板体が単独気泡合成樹脂発
   泡体を素材として網目の一部にスポンジのような吸水材
   を付着してなる吸水性網状板体からなることを特徴とす
   る請求項１記載の鉢植え植物栽培用資材。
4. 【請求項４】 上記編織物が１０乃至３０メッシュの密
   目状編織物からなることを特徴とする請求項１記載の鉢
   植え植物栽培用資材。
5. 【請求項５】 上記編織物が袋状若しくは筒状に形成さ
   れた密目状編織物からなることを特徴とする請求項１記
   載の鉢植え植物栽培用資材。
6. 【請求項６】 上記空洞室が発泡網状板体の相隣る網目
   間に設けられた開口部を介して少なくとも一方向に対し
   て互いに連通する通気性空洞室であることを特徴とする
   請求項１記載の鉢植え植物栽培用資材。