JP2006174829A - 簡易式養液栽培容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】手を汚すことなく定植でき、容易に植物の養液栽培を行うことができる簡易式養液栽培容器を提供する。
【解決手段】本発明の簡易式養液栽培容器1によれば、所定の形状に保形されかつ膨潤性を有する植物育成用の培地Cに、ビニールポット等に収容された培養土に定植されている栽培植物Aをその培養土Bごと配置するための孔部C1を設けた。
【選択図】 図1

Description

本発明は、植物を養液により栽培する簡易式養液栽培容器に関するものである。
従来、家庭の庭先やベランダ等の身近な場所で草花や野菜等の植物を栽培することが盛んに行われている。このような植物栽培においては土耕栽培が一般的であるが、灌水などの手間が掛からない養液栽培が家庭においても普及しつつある。
この養液栽培は、保水性を有する培地等に養液を供給し、この培地に植物を定植し、培地あるいは直接養液中に根を張らせて、植物を栽培するものである、この養液栽培の特徴としては、灌水の手間が省けることや、植物の栄養状態の管理がし易いという利点があるがその一方で、養液を循環あるいは浄化するためのポンプ等の補機類を必要とする場合がある(例えば特許文献1参照)。
これに対して本発明者は、上記のようなポンプ等の補機類を必要とせず、より簡単に植物の養液栽培ができる簡易式養液栽培容器を提案している(例えば特許文献2,3参照)。
特開2000−23581号公報(第2頁) 特開2003−38035号公報(第3頁) 特開2004−222552号公報(第5頁)
一般に、植物の苗等は小型のビニールポットなどに定植された状態で市販されており、このような定植された植物の苗を用いて上記従来例のような養液栽培を行う場合、植物をビニールポットから養液栽培用の培地に植え替える必要がある。このような植え替えは、植物の苗を一旦ビニールポットから取り出し、苗に付着している土等を洗い流す等の処置を施した後、養液栽培用の培地に定植するといった方法を採る。
また、土耕栽培においては、植え替えたい植木鉢に培養土を収容し、この植木鉢の培養土にビニールポットから取り出した植物の苗が配置できる程度の穴を掘り、そして、前記穴に植物の苗をビニールポットに収容されていた培養土ごと配置し埋めることで植物を植え替える。
しかしながら、このような植物の苗の植え替えは、比較的手間が掛かる上に手を汚す作業であるので、家庭で手軽に行うといった観点からは好ましいものではなかった。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、手を汚すことなく、容易に植物の養液栽培を行うことができる簡易式養液栽培容器の提供をその目的とする。
本発明の簡易式養液栽培容器は、植物の養液の貯留部を有する容器本体と、前記貯留部の上方に所定の空間を置いて設けられ、膨潤性を有する植物育成用の培地が収容された栽培ベッドと、前記培地へ前記養液貯留部に貯留した養液を供給する給液手段と、所定の形状に保形された培養土に定植された植物を、その培養土ごと挿入するための開口部を有する前記容器本体の上面を覆う蓋と、を備え、前記培地の前記開口部に対応する部分には、所定の形状に保形された培養土に定植された植物を、その培養土ごと配置することができ、且つ前記培地が膨潤すると前記培養土と前記培地とが接触する程度に狭まる空間が設けられていることを特徴としている。
上記のように構成された簡易式養液栽培容器によれば、例えば小型の植木鉢に収容された培養土に定植された植物を、培養土ごと取り出し、植物を培養土ごと前記開口部から挿入して前記培地の空間に配置する。その後、前記培地を膨潤させることで前記空間が狭まり、前記培養土と前記培地とを接触させることで植物を当該簡易式養液栽培容器に定植できる。従って、ほとんど培養土等に触れることなく、きわめて簡便に植物を定植することができる。
前記開口部および空間は、3号の植木鉢の内寸形状に保形された培養土が配置できる程度の大きさに形成されていることが好ましい。
この場合、他の植木鉢に植え替えることを前提として市販されている植物の苗等は、通常、3号のビニール製の植木鉢等(ビニールポット)に定植されており、このような植物を容易に定植できる。
上記簡易式養液栽培容器において、養液を前記栽培ベッドに収容された培地を透過させることなく前記貯留部に注入する養液注入部を備えるのが好ましく、この場合には、前記養液注入部を通して前記培地を透過させることなく前記貯留部に直接養液を注入することができるので、当該養液が培地によって汚れるのを防止できる。
上記簡易式養液栽培容器において、前記栽培ベッドには、前記植物の根を前記栽培ベッドの下方に導くための根垂下用開口部を有していてもよい。
この場合、植物の生育に伴って、根を前記栽培ベッドの下方へ垂下させて前記貯留部の養液中に直接根を張らせることができる。これによって、植物に養水分を大量に摂取させることができその生長を促すことができる。
また、前記給液手段は、前記栽培ベッドより前記養液中に垂下され、浸透圧によって上記養液を供給する吸水部材で構成してもよい。
この場合、養液中に垂下された吸水部材は、貯留部の養液を浸透圧の作用によって栽培ベッドに収容された培地へ供給することができる。
上記簡易式養液栽培容器において、前記吸水部材が、前記栽培ベッドの底面から下方に突出する通水可能な中空の突起部に収容されていてもよい。
この場合、前記突起部を養液中に浸漬することによって、前記貯留部の養液を突起部内部の吸水部材もしくは培地を介して栽培ベッドに収容されている培地へ効率よく供給することができる。また、植物の生長に伴って、前記突起部を通して植物の根を速やかに直接養液中に張らせることができる。従って、栽培植物をより良好に生育させることができる。
また、上記簡易式養液栽培容器において、前記吸水部材は、ひも状に形成されており、前記栽培ベッドは、前記ひも状の吸水部材の一部を解除可能に挟み込んで、養液の供給を遮断できる養液供給遮断手段を有していることが好ましい。
この場合、必要に応じて養液の供給を遮断することができる。これにより、栽培ベッドへの養液の供給をほとんど必要としない時期である梅雨時や、冬期において、養液を供給するか否かを調整することができ、養液供給の過多による根腐れ等を防ぐことができる。よって、時期を選ばず、植物を健全に栽培することができる。
また、前記養液供給遮断手段は、前記栽培ベッドに形成され、当該栽培ベッドの内外を連通するとともに前記ひも状の吸水部材が挿通された孔部と、前記孔部を開閉可能に設けられ、前記孔部を閉じる際に前記孔部との間で前記吸水部材を挟み込む遮断部材と、を有していることが好ましい。この場合、簡単な構造でかつ容易に養液の供給を遮断することができる。
また、本発明の簡易式養液栽培容器は、植物の養液の貯留部を有する容器本体と、前記貯留部の上方に所定の空間を置いて設けられた栽培ベッドと、前記栽培ベッド内に収容されるとともに、吸水性を有する小石を網状の袋に複数個充填してなる植物育成用の培地と、前記培地へ前記養液貯留部に貯留した養液を供給する給液手段と、所定の形状に保形された培養土に定植された植物を、その培養土ごと挿入するための開口部を有するとともに、前記容器本体の上面を覆う蓋と、を備え、前記培地の前記開口部に対応する部分には、前記培養土が前記培地に接触した状態で配置される空間が設けられていることを特徴としている。
上記のように構成された簡易式養液栽培容器によれば、例えば小型の植木鉢に収容された培養土に定植された植物を、培養土ごと取り出し、植物を培養土ごと前記開口部から挿入して前記培地に設けられた空間に配置することで、植物を当該簡易式養液栽培容器に定植できる。従って、ほとんど培養土等に触れることなく、きわめて簡便に植物を定植することができる。また、上記のような小石は、洗浄が容易であり、栽培を終えた後、洗浄すれば、この小石を再度培地として利用することができ、栽培のためのコストが高くなるのを抑制できる。さらに、小石を袋に充填してなる培地は、その取り扱いが容易であり、植物の栽培をより手軽なものにできる。
以上のように、本発明に係る簡易式養液栽培容器によれば、培養土に定植された植物を培養土ごとそのまま当該簡易式養液栽培容器に定植することができるので、手を汚すことなく、容易かつ手軽に養液栽培を行うことができる。
次に、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照しながら説明する。図1は本発明の第一の実施形態である簡易式養液栽培容器の構成を示す断面図であり、図2は図1中の栽培ベッドを示す斜視図、図3は、栽培ベッドに収容される培地を示す外観図、図4は、図1中の蓋を示す斜視図である。
簡易式養液栽培容器1は、図1に示すように養液X貯留する貯留部2を内部に有する容器本体3と、この容器本体3の上面を覆う蓋4とを備えており、容器本体3内の上部には、栽培ベッド5が着脱可能に配置されている。この栽培ベッド5の内部には、保形された培養土Bに定植された栽培植物Aを定植するためのマット状に保形された培地Cが収容されている。保形された培養土Bに定植された栽培植物Aは、例えば3号のビニール製植木鉢(ビニールポット)等に収容された培養土に定植された栽培植物を培養土ごとビニールポットから取り出すことで、得ることができる。
また、この栽培ベッド5には収容された培地Cおよび培養土Bに対して貯留部2の養液Xを供給するための給液手段としての吸水ひも6(吸水部材)が一本垂れ下げられている。この吸水ひも6は、浸透圧の作用により、養液Xを栽培ベッド5に収容された培地Cを介して培養土Bに定植された栽培植物Aに供給する。
容器本体3は合成樹脂からなり、その形状は円形の底面3aとその周囲に側面3bとを有する上部が開口した鉢状を呈しており、その上部開口の内径17cm程度、底面内径15cm程度、高さが14cm程度のものである。この容器本体3は、光を遮断するような材質、色あるいは厚みであることが好ましく、この場合、光合成で繁殖するいわゆるアオコなどと呼ばれる植物プランクトンが容器本体3に貯留された養液X内で増加し、養液Xを汚染してしまうことを防止することができる。
側面3bの上方の内周面には段部3cが設けられており、この段部3cによって栽培ベッド5を支持している。側面3bの上方端部には容器本体3内部に空気を取り入れるための空気孔3dが所定の間隔をおいて周方向に配列されている。この空気孔3dは幅方向に20mm程度、高さ方向に5mm程度の長方形状で形成されている。
ここで貯留部2に貯留される養液Xについては、ハイポネックス(登録商標)又は、固形あるいは粒状の肥料等の市販の肥料を水で希釈したものが使用できる。また、養液Xの水位は、ハイドロカルチャー用として市販されている棒状の水位計(図示せず)を蓋4、栽培ベッド5を貫通させ、貯留部2の養液Xに浸漬させることで管理することができる。
また、側面3bには、栽培ベッド5の底面より1〜2cm程度下方の高さ位置に、水位限界孔3fが設けられており、養液Xが所定の液面以上まで注入された場合、水位限界孔3fから養液Xを排出して、所定の液面以上まで注入されるのを防止している。なお、当該簡易式養液栽培容器1を屋内に設置する場合には、水位限界孔3fから養液Xが外部に排出される場合があるため、排水された養液Xを受けるための受け皿等を介して設置することが好ましい。
栽培ベッド5は合成樹脂からなり、図2に示すように円形の底面5aとその周囲に側面5bを有するものである。図1も参照して、この栽培ベッド5の底面5aの中央には直径70mm程度の円形の開口部5cが形成されており、この開口部5cには有底筒状の仕切り部材5dが固定されている。仕切り部材5dは、底面5d1と側面5d2とを有しており、底面5d1が栽培ベッド5の底面5aから10mm程度下方に突出しかつ側面5d2が底面5aから2〜3mm程度上方に突出するように開口部5cに固定されている。このように側面5d2を底面5aから突出させることで、後述する培地Cを栽培ベッド5に収容する際にその位置決めを容易にできる。
底面5d1には、その中心から放射状に開口している複数のスリット5d3が形成されており、培養土Bごと挿入される栽培植物Aの培養土Bが貯留部2に落ちないように保持しつつその根を下方に導くようになっている。すなわち、このスリット5d3は、培養土Bおよび培地Cを保持しつつ栽培植物Aの根を栽培ベッド5の下方に導くための根垂下用開口部を構成している。
なお、ここで底面5d1にはスリット5d3を設けたが、底面5d1は、培養土Bごと挿入される栽培植物Aを培養土Bが貯留部2に落ちないように保持しつつその根を下方に導けれることができればよく、例えば、底面5d1に複数の孔を設けてもよいし、金網等を用いて底面5d1としてももよい。また、栽培ベッド5の底面5aに直接スリットや孔を設けてもよい。
栽培ベッド5の外周面は、図1に示すように容器本体3に配置された状態で、空気孔3dを閉塞しないように容器本体3の内周面に対して隙間を設けている。そして、栽培ベッド5に配置される培地Cと蓋4との間には10mm程度の高さで空間Dが設けられており、空気孔3dは容器本体3と空間Dとを連通して、空間Dに外気を導入できるようにされている。これによって、栽培植物Aには、新鮮な外気が常に供給され、その成長を促すことができる。
またこの栽培ベッド5は、図2のように、その底面5aの端部を一部切り欠いてなる、養液Xを貯留部2に注入するための給液口5eが形成されている。この給液口5eの側面には吸水ひも6を挿通するためのひも孔5fが形成されており、吸水ひも6は培地Cと接触しつつ栽培ベッド5の内部からこのひも孔5fを通して下方に垂下されている。
栽培ベッド5に収容される培地Cとしては、圧縮してマット状に成形されたピートモス等の保形されかつ膨潤性を有する培地が用いられている。そして、その厚みを25mm程度に調整し、図3に示すように、外形を栽培ベッド5の内部の形状に合わせて成形して用いる。またその中央部には栽培植物Aを蓋の開口部から挿入し配置するための空間としての円形の孔部C1が形成されている。この孔部C1は、直径100mm程度に形成されており、最大内径が約9cmである3号のビニールポットに収容された培養土Bをビニールポットから取り出し、配置された際に、培養土Bよりもやや大きめの径となるようにされている。このようにすることで培養土Bが多少変形などしたとしても孔部C1に確実に配置できる。
なお、本実施形態では、培地Cには、ピートモスを用いたが、例えばピートモスと杉の樹皮とを3:1の割合で混合したものを用いてもよいし、ヤシ殻繊維、ロックウール、パーライト等、単体あるいはこれらの混合物として用いてもよい。また、本実施形態では、培地C栽培ベッド5の形状に合わせて一体に成形したが、培地Cを複数個に分割したものを、組み合わせることによって孔部C1を形成しつつ栽培ベッド5内部に収容してもよい。
また、図1に示すように、栽培ベッド5の底面5aと培地Cとの間には、合成樹脂製の網からなる中敷5gが配置されている。この中敷5gによって、培地Cの底面に空間を設けることができ、培地Cの湿気が過剰になるのを抑制できるとともに、より多くの酸素をこの根から栽培植物Aに供給することができる。
またこの中敷5gを栽培ベッド5に固定した状態で、栽培植物Aの根を張らせれば、根が中敷5gに絡み付き、栽培植物Aを安定させることができる。
なお、本実施形態では網からなる中敷5gを用いたが、例えば、栽培ベッド5の底面5aの表面に、高さ10mm程度の凹凸や、複数の凸条等を設けることで、底面5aと培地Cとの間に空間を設けるようにしてもよい。
蓋4は、合成樹脂からなり、図4に示すように上面4aと側面4bを有するものであり、上記給液口5eの直上となる部分には、給液口5eを通して貯留部2に養液Xを供給するための開閉扉4cが設けられている。この開閉扉4cおよび給液口5eは、容器本体3の外部から培地Cを透過することなく養液Xを直接貯留部2に注入するための養液注入部を構成している。この開閉扉4cは貯留部2に養液Xを供給する時に開け、それ以外の時には閉じておくことで、貯留部2に雨水等が侵入するのを防止する。また、蓋4の側面4bは、図1に示すように、容器本体3の側面を空気孔3dの直上まで覆うようにされており、空気孔3dを閉塞しないようにされている。
図4に戻って、蓋4の上面4aの中央には、栽培植物Aを培養土Bごと挿入するための円形の開口部4dが形成されている。この開口部4dは、蓋4が栽培ベッド5を覆った時に培地Cの孔部C1とその位置が一致するように対応して形成されている。そしてこの開口部4dの周縁には、培養土Bを安定させるためのガイド筒4eが取り付けられている。このガイド筒4eは、上面4aから上下方向に約10mm程度それぞれ突出している。また、このガイド筒4eの内周径は、85mm程度とされており、3号のビニールポットに定植された栽培植物Aをこれが定植された培養土Bごと挿入できるように設定されている。
なお、この蓋4は、径方向に2分割可能な構造としてもよい。この場合、植物の栽培が終了し、栽培ベッド5内部の植物や培地等を取り出す際に、蓋4を分割することで、蓋4を栽培ベッド5から容易に外すことができる。
上記のように構成された簡易式養液栽培容器1を用いて植物を栽培するには、まず、栽培ベッド5を容器本体3から取り外した状態で栽培ベッド5に培地Cを収容する。そして、この培地Cに水分を与えて、栽培ベッド5を容器本体3の段部3cに載置する。次いで、給液口5eから貯留部2に養液Xを所定量注入する。次に、蓋4を容器本体3の開口部に被せる。次に、例えば3号のビニールポットに収容された培養土Bに定植された栽培植物Aを、そのビニールポット内から培養土Bごと取り出す。このときこの培養土Bは、ビニールポットに収容されていた状態の形状に保形されている。そして、蓋4の開口部4dから、栽培植物Aを培養土Bごと挿入し、栽培ベッド5に収容されている培地Cの中央に開けられている孔部C1に配置する。
図11は、このときの培地Cと培養土Bとの位置関係を示した要部断面図である。図のように培地Cと培養土Bとは接触がなく、培地Cと培養土Bとの間には空間Fが存在している。このため、培養土Bは孔部C1に容易に配置できる。
その後、水分を与えられた培地Cは膨潤を開始し、培地Cが膨化することによって、孔部C1が狭まり、挿入した培養土Bと培地Cとを接触させることができる。これによって培養土Bと培地Cとは、相互に養液の行き来が可能な程度に一体とすることができる。
以後、容器本体3の貯留部2の養液Xが液切れしない程度の間隔(本実施形態の場合で、約20〜30日程度)で、容器本体3の外部から給液口5eを通して養液Xを補給する。この際、養液Xは培地Cを透過することなく直接貯留部2に注入されるので、培地Cによって養液Xが汚れるのが防止される。
このようにすることで、栽培植物Aは栽培ベッド5の培地Cで養分と酸素とを取り込みながら根を張り、養液X養水分を吸収しながら生長することができる。
なお、栽培ベッド5に培地Cを収容する際、予め吸水ひも6は、養液Xで湿らせておくことが好ましく、この場合、培地Cに対して即座に養液Xの供給ができる。
また、培地Cを栽培ベッド5に収容する際、上述の方法では予め培地Cに水分を与えたが、吸水ひも6による水分供給が充分な場合には、培地Cはその水分(養液X)によって膨潤するので、培地Cに予め水分を与えなくてもよい。
また栽培植物Aの生育に伴い、スリット5d3から根を垂下させて、養液X中に直接根を張らせることができる。これによって、栽培植物Aに養水分を大量に摂取させることができ、その生長を促すことができる。
上記のように構成された本実施形態に係る簡易式養液栽培容器1によれば、保形された培地Cには、定植されている植物を培養土ごと配置するための空間としての孔部C1が設けられ、且つ蓋4には孔部C1に対応して開口部4dが形成されているので、ビニールポットに収容された培養土Bに定植された栽培植物Aをビニールポットから取り出し、栽培植物Aを培養土Bごと孔部C1に配置することができる。そして、上述したように培地Cを膨潤させることによって栽培植物Aを定植することができる。従って、培養土Bにほとんど触れることなく栽培植物Aを簡易式養液栽培容器1に容易に定植することができるので、培養土等で手をほとんど汚すことなく容易かつ手軽に植物の養液栽培を行うことができる。
また、本実施形態の簡易式養液栽培容器では、培地Cに植物を培養土Bごと配置し、養液Xによって栽培するので、以下の利点を有している。
(1)従来の養液栽培では、栽培植物Aの種類に応じて肥料の専門的な処方が必要であるが、上記簡易式養液栽培容器1を用いると、培養土B中に存在する微生物の働きによる種々の養分の吸収が可能となり、貯留部の養液成分の細かな処方が不要となる。
(2)栽培植物Aは、培養土Bと培地Cの双方から養分をバランスよく吸収することができるので、栽培植物Aを効率よく生育させることができる。
(3)病害虫は主として土の中より発生し易いが、上記簡易式養液栽培容器1によれば、土耕栽培と比較して使用する土の量が少ないため、病害虫の発生が土耕栽培よりも少ない。
(4)培養土Bおよび培地Cは、吸水ひも6により養分とともに水分が供給されるので、栽培植物Aに灌水の必要がない。
(5)蓋4によって、外部から雨水等が簡易式養液栽培容器1の内部に侵入するのを抑制できるので、簡易式養液栽培容器1を屋外において栽培することができる。
(6)培地C等を蓋4によって隠せるので、清潔感が高く、室内に設置することもできる。
(7)蓋4および容器本体3の外面に装飾を施すことによって、室内インテリアに適したものにできる。
なお、簡易式養液栽培容器1の蓋4の開口部4dおよび培地Cの孔部C1は、その大きさや形状は限定されるものではないが、本実施形態で示した3号のビニールポットに収容された培養土Bおよびそれに定植された栽培植物Aが定植できるように形成されていることが好ましい。この場合、他の植木鉢に植え替えることを前提として市販されている植物の苗等は、通常、3号のビニールポットに定植されているからである。
図5は、本発明の第二の実施形態に係る簡易式養液栽培容器の外観図であり、図6は、その断面を示した模式図、図7は栽培ベッドを示した斜視図である。本実施形態と第一の実施形態との主な相違点は、容器本体3、蓋4、および栽培ベッド5を大径なものとして栽培植物Aを5つ定植できるようにした点と、給液手段としての吸水ひも6に代えて内部に吸水部材Eを収容するとともに通水可能な中空の突起部7を栽培ベッド5の底面5a中央から下方に突出して設けた点と、栽培ベッド5の外周に栽培ベッド5内部の排水を行うための排水手段を設けた点と、である。その他の点については、第一の実施形態と同様なので説明を省略する。
本実施形態の簡易式養液栽培容器1は、図5に示すように3号のビニールポットに定植された栽培植物Aを5個定植することができるようにされており、容器本体3の上部開口の内径を30〜40cm程度、底面内径20〜30cm程度、高さが20〜30cm程度に設定されており、栽培ベッド5および蓋4も容器本体3に合わせて組み合わせることができる寸法に設定されている。また蓋4には栽培植物Aを通すための開口部4dが5ヶ所形成されている。
栽培ベッド5に設けられた突起部7は、図7に示すように合成樹脂製の網などを用いて円筒状に形成されており、突起部7の内外を通水可能とされている。また、栽培ベッド5の底面5aの突起部7に対応する部分は開口しており、突起部7の内部に吸水部材Eが収容できるようになっている。この吸水部材Eには、天然樹皮のチップやピートモス等の吸水部材が用いられている。
このような栽培ベッド5は、図6のように、突起部7に吸水部材Eを収容し、この吸水部材Eを覆うようにして接触した状態で培地Cを収容している。そして、上記栽培ベッド5が容器本体3に収容された状態で養液Xが最上位まで貯留されると、突起部7は、その根本付近まで養液Xに浸漬する。このため、養液Xを突起部7内の吸水部材Eを介して栽培ベッド5の培地Cへ効率よく供給することができる。すなわち、この突起部7は、培地Cへ養液Xを供給する給液手段を構成している。
また、栽培植物Aの生育に伴って伸びる根を、上記突起部7内部を通して、さらに突起部7の外方へ伸ばさせて、栽培植物Aの根を速やかに直接養液X中に張らせることができる。
なお、この突起部7は、円筒形状に限定されるものではなく、方形状に形成してもよいし、配置される位置や個数は、栽培植物Aの種類や数量によって必要に応じて設定することができる。また、この突起部7の底面に給水ひもを取り付けるようにしてもよい。
また、図6、図7に示すように、栽培ベッド5の底面5aの外端側には、栽培ベッド5内の水分を排出するための排水孔5hが複数個設けられている。また、容器本体3には、側面3bの内周側に容器本体3の段部3cから上方に向かって突設された縁部3gが形成されており、この縁部3gによって栽培ベッド5が支持されている。そして、縁部3gと段部3cと側面3bによって、栽培ベッド5から排水される水分を受けるための樋部3hが構成されている。さらにこの樋部3hには、前記水分を容器本体3の外部に排出するための排水孔3eが、段部3cに複数個設けられている。
このように栽培ベッド5および容器本体3に排水孔5h,3eを設けることで、栽培ベッド5内の余分な水分を簡易式養液栽培容器1の外部に排出することができる。このように、排水孔5h,3eは、栽培ベッド5内部の排水を行うための排水手段を構成している。また、この排水孔3eは、下方に向けて開口しているため、外部から目立たず、簡易式養液栽培容器1の美観を損なわない。
なお、当該簡易式養液栽培容器1を屋内に設置する場合には、上記排水孔3eや、第一の実施形態にて示した水位限界孔3fから養液X等の水分が外部に排出される場合があるため、上述したように、排水された水分を受けるための受け皿等を介して設置することが好ましい。
以上のように構成された本実施形態の簡易式養液栽培容器1によれば、養液Xを効率よく培地Cへ供給するとともに、栽培植物Aの根を養液X中に直接張らせることができる突起部7を備えているので、栽培植物Aをより良好に生育させることができる。
また、蓋4によってある程度雨水が栽培ベッド5内部に侵入するのは抑制されるため、第一の実施形態のように蓋4の開口部4dが1ヶ所の場合、屋外に設置したとしても問題ない。一方、本実施形態のように蓋4の開口部4dが複数個配置されると栽培ベッド5の内部に雨水が侵入し易くなる。本実施形態では、栽培ベッド5内の水分を簡易式養液栽培容器1の外部に排出することができる排水孔5h,3eを設けたので、栽培ベッド5内に雨水等が侵入したとしても、その大半を外部へ排出することができる。よって、養液Xに水分が混入して養液Xの組成が著しく狂ったり、培地Cに余分な水分が留まって培地Cが水浸しになることを防止できる。従って、この簡易式養液栽培容器1を雨水がかかる屋外に設置したとしても、植物を栽培することができる。
また、突起部7は、貯留部2の比較的深い位置まで下方に突出しているので、大型の植物を栽培する場合には、この突起部7にその根を深く張らせることができ、植物が大きく成長したとしても容易に倒れることなく安定して栽培することができる。
図8は、本発明の第三の実施形態に係る簡易式養液栽培容器の外観図であり、図9は、その断面を示した模式図、図10はこの簡易式養液栽培容器の栽培ベッドの外観を示した斜視図である。本実施形態と第二の実施形態との主な相違点は、容器本体3を箱型として栽培植物Aを6つ定植できるようにした点と、給水手段として吸水ひも6を垂下し、突起部7を設けていない点と、栽培ベッド5を容器本体3の段部3cに配置せずに上部開口に載置し、容器本体3の上面開口を栽培ベッド5によって覆っている点である。その他の点については、第二の実施形態と同様なので説明を省略する。
本実施形態の容器本体3は、従来からある箱形のプランターとほぼ同じ大きさであり、長さが75cm程度、幅が24cm程度、高さが22cm程度のものである。蓋4には栽培植物Aを通すための開口部4dが6ヶ所形成されている。
本実施形態の栽培ベッド5は、図9、図10に示すように、その上面開口を蓋4によって直接覆われた状態で、容器本体3の上面開口を覆っているので、その側面5bは外部に露出している。この栽培ベッド5の側面5bの上部には、栽培ベッド5の内外部を連通する空気孔5iが所定の間隔をおいて複数個設けられており、栽培ベッド5の内部に新鮮な外気が供給されるようになっている。
また、蓋4の側面4bは、栽培ベッド5の側面5bとの間隔をわずかに空けた状態で下方に延長されて、空気孔5iをその内外の通気を確保しつつ覆っている。これによって、空気孔5iが、外部から目立たないようにされている。この場合、蓋4の側面4bの内周面と栽培ベッド5の側面5bとの間隔を一定に保つための図示しない位置決め突起が、蓋4の側面4bの内周面側に、その周方向に沿って形成されている。
底面5aの外端部に設けられている排水孔5hは、下方に開口することで、外部から目立たないようにされており、栽培ベッド5内部の水分を直接外部に排出するようになっている。
また、栽培ベッド5の底面5aの中央付近には、ひも孔5fが2ヶ所設けられており、これらに1本の吸水ひも6を栽培ベッド5の底面5aの上面を栽培ベッド5の長手方向に沿って通過させ、下方に垂下するように吸水ひも6を2ヶ所のひも孔5fに渡すように挿通されている。吸水ひも6が底面5aの上面を通過する部分は、培地Cと接触するため、貯留部2からの養液Xをこの部分から培地Cに供給することができる。
また、吸水ひも6が底面5aの上面を通過する部分は、培養土Bが直接接触しない位置に配置されており、吸水ひも6から供給される養液Xが、培地Cを介して培養土Bに供給されるように構成されている。このように、その膨潤性によって水分を吸収し易い性質を有する培地Cを介して養液Xを培養土Bに供給することで、栽培ベッド5の底部(特に培養土Bの下部)に過度の水分(湿気)が偏在しないようにでき、栽培植物Aに根腐れ等が発生するのを防止できる。
このように構成された本実施形態の簡易式養液栽培容器1は、栽培ベッド5に収容された培地Cに対して吸水ひも6のみによって養液Xが供給される。従って、第二の実施形態で示した突起部7(図6参照)や、第一の実施形態で示した栽培ベッド5底面5aのスリット5d3(図2参照)のように、栽培植物Aの根を直接養液Xに浸漬することによる養液Xの供給は行われない。よって、養液Xの供給量は適度に抑えられることになる。
ここで一般に、トマト等の野菜類では、成長する過程において大量の水分と養分を必要とするが、草花類においては、野菜類と比較してそれほど大量の養水分を必要としない。逆に養水分の供給が過多となった場合、成長しすぎて栽培植物Aが繁りすぎ、観葉としての美観を損ねる場合がある。
従って、本実施形態のように、養液Xの供給量を適度に抑えることによって、草花類を適度な生育状態で栽培することができる。
また、本実施形態では、上述した突起部7等を有しないので、植物栽培に伴う段取りの手間がより簡略化され、より手軽に植物Aの栽培を行うことができる。
また、本実施形態では、栽培植物Aの根や突起部等が直接養液X中に浸漬されず、吸水ひも6のみが養液Xに浸漬されているので、養液Xの組成が安定し、養液Xの管理が容易となる。
また、本実施形態の簡易式養液栽培容器は、容器本体3の上面を栽培ベッド5が覆っており、栽培植物Aが定植された栽培ベッド5を蓋4とともに容易に分離できるので、容器本体3に対して栽培ベッド5のみをカートリッジのようにして取り替えれば、当該栽培容器全体を置き換えずとも、他の植物に簡単に替えることができる。
例えば、ホテルやオフィスビル等の玄関やロビーに装飾用として定位置に配置されている鉢植え等の植物を交換する場合、その鉢植えごと交換するため大きな労力を必要とするが、本実施形態の簡易式養液栽培容器を用いれば、栽培ベッド5のみを取り替えれるだけで、季節に応じてさまざまな植物に簡単に替えることができるし、草花の花が落ちて見頃が過ぎた場合にも簡単に別の植物に替えることができる。
また、栽培ベッド5が、容器本体3の内部に完全に収容される場合においても、栽培ベッド5と蓋4とを一体に固定可能とすることで、カートリッジのようにして植物ごと栽培ベッド5を取り替えることができる。
図12は、本発明の第四の実施形態に係る簡易式養液栽培容器の一部を示した断面図であり、図13は、図12中、P−P線矢視断面図である。本実施形態は、第一の実施形態との間において、以下の点において相違している。すなわち、本実施形態の簡易式養液栽培容器1は、栽培ベッド5に形成された給液口5eの側面に、ひも孔5fを開閉可能に設けられた遮断部材10を備えている。その他の点については、第一の実施形態と同様なので説明を省略する。
図中、遮断部材10は、断面L字形に形成された部材であり、その栽培ベッド5の給液口5eの側面5e1に沿うように配置されている。給液口5eにおいて両横側に位置し互いに対向している横側面5e2には、遮断部材10を側面5e1との間で挟持するように突出した突出部11がそれぞれ形成されている。この突出部11は、遮断部材10が側面5e1に沿って上下方向に滑らかに移動できかつ可動範囲における任意の位置に係止させることができる程度のクリアランスをもって遮断部材10を挟持するように形成されている。従って、遮断部材10は、図12中の破線で示すように突出部11によって側面5e1に沿って上下方向に移動可能とされ、側面5e1に形成されたひも孔5fを開閉することができる。
遮断部材10は、ひも孔5fをほぼ閉じた状態で、当該遮断部材10の先端部10aとひも孔5fとの間で、吸水ひも6を剪断する方向に挟み込む。このように、吸水ひも6の長手方向の一部を遮断部材10で挟み込むことによって、吸水ひも6による養液の供給を遮断することができる。また、先端部10aは先鋭にされており、吸水ひも6を挟み込んだ際に、確実に養液の供給を遮断することができるようにされている。
以上より、栽培ベッド5の内外を連通するとともに吸水ひも6が挿通された孔部としてのひも孔5fと、遮断部材10とは、ひも状の吸水部材である吸水ひも6による養液の供給を遮断する養液供給遮断手段を構成している。
また、上記養液供給遮断手段は、上述のような構成としたことで、簡単な構造でかつ容易の養液の供給を遮断することができる。
遮断部材10の上側端部には、外側方向に突出することで、遮断部材10を摘んで上下動させるのを容易にする摘み部10bが形成されている。この摘み部10bは、遮断部材10が吸水ひも6を確実に挟み込んだ状態で、突出部11の上面11aに当接するように形成されており、遮断部材10が下方側に移動させすぎないようにするとともに、遮断部材10が吸水ひも6を確実に挟み込んだ状態となる位置に位置決めするストッパとしての機能を有している。
上記のように構成された本実施形態の簡易式養液栽培容器1によれば、上記養液供給遮断手段によって、必要に応じて養液の供給を遮断することができる。これにより、栽培ベッド5への養液の供給をほとんど必要としない時期である梅雨時や、冬期において、養液を供給を供給するか否かを調整することができ、養液供給の過多による根腐れ等を防ぐことができる。よって、時期を選ばず、植物を健全に栽培することができる。
また、遮断部材10は、上下方向における可動範囲において任意の位置に係止させることができるので、遮断部材10による吸水ひも6の挟み込みの度合いを調整することができる。この挟み込みの度合いを調整することで、養液の供給を完全に遮断せず、その供給量を調節することができる。すなわち、遮断部材10によって、養液をわずかに供給する等、養液の供給量を季節や植物の種類等に応じて好適に調整することができる。
図14は、本発明の第五の実施形態に係る簡易式養液栽培容器の栽培ベッドを示した斜視図である。本実施形態は、第一の実施形態との間において、以下の点において相違している。すなわち、本実施形態の簡易式養液栽培容器1の栽培ベッド5に収容された培地Cは、吸水性を有する小石13を網状の袋12に複数個充填することで構成されている。その他の点については、第一の実施形態と同様なので説明を省略する。
図14において、小石13は、ハイドロカルチャー等に用いられる多孔質の小石であり、吸水性を有している。この小石13が充填された袋12は、水分や、植物根が通過できる程度のメッシュとされており、吸水ひも6から供給される養液が小石13によって吸水できるようにされているとともに、植物根が複数個の小石13の間に侵入できるようにされている。
小石13が充填された袋12は、栽培ベッド5内の形状に合わせるとともに、孔部C1に相当する培養土Bが配置される空間Gが確保されるように仕切り部材5dの周囲を囲むように整えられ、培地Cとして配置されている。前記空間Gは、栽培植物A(図1)が定植された培養土B(図1)を配置したときに、培地Cと培養土Bとが確実に接触した状態となる程度の空間とされている。
上記のように構成された簡易式養液栽培容器1によれば、小石13が充填された袋12には、植物が定植された培養土を配置するための空間Gが設けられ、且つ蓋4には空間Gに対応してその中央に開口部4dが形成されているので、ビニールポットに収容された培養土Bに定植された栽培植物Aをビニールポットから取り出し、栽培植物Aを培養土Bごと空間Gに配置し、栽培植物Aを定植することができる。従って、培養土Bにほとんど触れることなく栽培植物Aを簡易式養液栽培容器1に容易に定植することができるので、培養土等で手をほとんど汚すことなく容易かつ手軽に植物の養液栽培を行うことができる。
また、上記のような小石13は、洗浄が容易であり、栽培を終えた後、洗浄すれば、この小石13を再度培地Cとして利用することができ、栽培のためのコストが高くなるのを抑制できる。さらに、小石13を袋12に充填してなる培地Cは、その取り扱いが容易であり、植物の栽培をより手軽なものにできる。
なお、本発明の簡易式養液栽培容器は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、培地Cは、図3に示すように栽培ベッド5の形状に合わせて一体に成形したが、孔部C1が形成されかつこの孔部C1に配置される培養土Bと培地Cとが確実に接触させることができれば、複数個の培地Cを組み合わせて栽培ベッド5に配置してもよいし、栽培ベッド5の形状に正確に整える必要はない。
また、培地Cの孔部C1および蓋4の開口部4dは円形に限らず、用途に応じてその形状を変えてもよい。また、給液手段としての吸水ひも6および突起部7は、それぞれ併用することもできるし、その形状、配置場所、および配置数等は、栽培する植物の種類や数に応じて適宜変更することができる。
また、栽培ベッド5は、第三の実施形態で示したように、容器本体3から蓋4とともに容易に分離できる構成とすれば、容器の形状や突起部等の有無に関わらず、容器本体3に対して栽培ベッド5のみをカートリッジのようにして取り替えて、当該栽培容器全体を置き換えることなく、栽培植物の交換を行うことができる。
また、開閉扉4cおよび給液口5eとを備えた養液注入部は、本実施形態では蓋4の上面から養液Xを給液するようにしたが、例えば、容器本体3の側面3bに開口部を設けて側面から給液できるようにしてもよいし、栽培ベッド5に収容された培地Cを透過させることなく貯留部2に給液できればその形状や構成は限定されるものではない。
また、上記第四の実施形態で示した遮断部材10は、吸水ひも6が複数のひも孔5fから垂下されている場合には、それぞれのひも孔5fに対して遮断部材10を設けることもできるし、第三の実施形態にて示した箱形のものに対しても設けることもできる。
また、容器本体3のみを大型化して、植物が定植された栽培ベッド5を複数配置できるようにしてもよい。この場合、複数の栽培ベッド5に対して養液Xの管理は一括してできるので、栽培の手間を大きく増すことなく栽培面積を広げることができる。また、このように手間を増やすことなく栽培面積を広げることができるので、本発明の簡易式養液栽培容器を屋上等に設置することで比較的容易に屋上緑化を行うこともできる。
本発明の第一の実施形態である簡易式養液栽培容器の構成を示す断面図である。 図1中の栽培ベッドを示す斜視図である。 栽培ベッドに収容される培地を示す外観図である。 図1中の蓋の外観を示す斜視図である。 本発明の第二の実施形態に係る簡易式養液栽培容器の外観図である。 図5に示す簡易式養液栽培容器の構成を示す断面図である。 図6中の栽培ベッドの外観を示す斜視図である。 本発明の第三の実施形態に係る簡易式養液栽培容器の外観図である。 図8に示す簡易式養液栽培容器の構成を示す断面図である。 図9中の栽培ベッドの外観を示す斜視図である。 膨潤前の培地Cと培養土Bとの位置関係を示した要部断面図である。 本発明の第四の実施形態に係る簡易式養液栽培容器の一部を示した断面図である。 図12中、P−P線矢視断面図である。 本発明の第五の実施形態に係る簡易式養液栽培容器の栽培ベッドを示した斜視図である。
符号の説明
1 簡易式養液栽培容器
2 貯留部
3 容器本体
4 蓋
4c 開閉扉
4d 開口部
5 栽培ベッド
5d3 スリット
5e 給液口
5f ひも孔(孔部)
6 吸水ひも(吸水部材)
7 突起部
10 遮断部材
A 栽培植物
B 培養土
C 培地
C1 孔部
E 吸水部材

Claims (9)

  1. 植物の養液の貯留部を有する容器本体と、
    前記貯留部の上方に所定の空間を置いて設けられ、膨潤性を有する植物育成用の培地が収容された栽培ベッドと、
    前記培地へ前記養液貯留部に貯留した養液を供給する給液手段と、
    所定の形状に保形された培養土に定植された植物を、その培養土ごと挿入するための開口部を有する前記容器本体の上面を覆う蓋と、を備え、
    前記培地の前記開口部に対応する部分には、所定の形状に保形された培養土に定植された植物を、その培養土ごと配置することができ、且つ前記培地が膨潤すると前記培養土と前記培地とが接触する程度に狭まる空間が設けられていることを特徴とする簡易式養液栽培容器。
  2. 前記開口部および空間は、3号の植木鉢の内寸形状に保形された培養土が配置できる程度の大きさに形成されている請求項1記載の簡易式養液栽培容器。
  3. 養液を前記栽培ベッドに収容された培地を透過させることなく前記貯留部に注入する養液注入部を備える請求項1または2に記載の簡易式養液栽培容器。
  4. 前記栽培ベッドには、前記植物の根を前記栽培ベッドの下方に導くための根垂下用開口部を有している請求項1〜3のいずれかに記載の簡易式養液栽培容器。
  5. 前記給液手段は、前記栽培ベッドより前記養液中に垂下され、浸透圧によって上記養液を供給する吸水部材である請求項1〜4のいずれかに記載の簡易式養液栽培容器。
  6. 前記吸水部材が、前記栽培ベッドの底面から下方に突出する通水可能な中空の突起部に収容されている請求項5に記載の簡易式養液栽培容器。
  7. 前記吸水部材は、ひも状に形成されており、
    前記栽培ベッドは、前記ひも状の吸水部材の一部を解除可能に挟み込んで、養液の供給を遮断できる養液供給遮断手段を有している請求項5に記載の簡易式養液栽培容器。
  8. 前記養液供給遮断手段は、前記栽培ベッドに形成され、当該栽培ベッドの内外を連通するとともに前記ひも状の吸水部材が挿通された孔部と、
    前記孔部を開閉可能に設けられ、前記孔部を閉じる際に前記孔部との間で前記吸水部材を挟み込む遮断部材と、を有している請求項7に記載の簡易式養液栽培容器。
  9. 植物の養液の貯留部を有する容器本体と、
    前記貯留部の上方に所定の空間を置いて設けられた栽培ベッドと、
    前記栽培ベッド内に収容されるとともに、吸水性を有する小石を網状の袋に複数個充填してなる植物育成用の培地と、
    前記培地へ前記養液貯留部に貯留した養液を供給する給液手段と、
    所定の形状に保形された培養土に定植された植物を、その培養土ごと挿入するための開口部を有するとともに、前記容器本体の上面を覆う蓋と、を備え、
    前記培地の前記開口部に対応する部分には、前記培養土が前記培地に接触した状態で配置される空間が設けられていることを特徴とする簡易式養液栽培容器。
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