JPH102245A - 空燃比フィードバック制御系の異常診断装置 - Google Patents

空燃比フィードバック制御系の異常診断装置

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JPH102245A
JPH102245A JP8156907A JP15690796A JPH102245A JP H102245 A JPH102245 A JP H102245A JP 8156907 A JP8156907 A JP 8156907A JP 15690796 A JP15690796 A JP 15690796A JP H102245 A JPH102245 A JP H102245A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】空燃比センサの異常や、マイクロコンピュータ
等からなる電子制御装置による制御異常を含む空燃比フ
ィードバック制御系の異常を精度良く診断し、ひいては
空燃比フィードバック制御システムの制御精度向上に貢
献する。 【構成】内燃機関1の排気管12には空燃比をリニアに
検出するA/Fセンサ26が配設されている。ECU4
1内のCPU42は、A/Fセンサ26により検出され
た空燃比と目標空燃比との偏差に応じて空燃比補正係数
を設定し、該補正係数を用いて空燃比フィードバック制
御を実行する。また、CPU42は、A/Fセンサ26
により検出された空燃比と目標空燃比との偏差を算出す
ると共に、空燃比補正係数とその平均値との偏差を算出
する。そして、それら算出された異常判定要素を、それ
ぞれ2つずつのしきい値にて区画した正常・異常判定領
域に対応させて空燃比フィードバック制御系の異常を診
断する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、内燃機関の空燃
比に対してリニアに出力を増減させる空燃比センサを備
え、該センサによる検出結果に基づいてマイクロコンピ
ュータ等からなる電子制御装置による空燃比フィードバ
ック制御を実施する空燃比フィードバック制御システム
に係るものであって、空燃比フィードバック制御系の異
常診断装置に関するものである。なお、本明細書におい
ては、空燃比センサの異常や電子制御装置(マイクロコ
ンピュータ)による制御異常(フィードバックゲインの
異常等)を空燃比フィードバック制御系の異常として定
義する。
【0002】
【従来の技術】近年の空燃比フィードバック制御システ
ムにおいては、排気ガス中の酸素濃度に応じてリニアに
空燃比を検出する空燃比センサ(例えば、限界電流式酸
素センサ)が用いられており、マイクロコンピュータは
前記センサによる空燃比検出結果を取り込んで内燃機関
への燃料噴射量を制御する。この場合、マイクロコンピ
ュータは前記空燃比センサによる空燃比検出結果に基づ
き空燃比補正係数を算出し、該空燃比補正係数にて燃料
噴射量を補正する。これにより、内燃機関での最適な燃
焼が実現され、排気ガス中の有害成分(CO,HC,N
OX 等)が低減される。
【0003】一方で、上記空燃比フィードバック制御シ
ステムでは、空燃比センサにより検出される空燃比の信
頼性が低下すると制御精度が著しく悪化するため、従来
より同空燃比センサの異常診断を精度良く検出するため
の技術が要望されている。そこで、従来技術として、例
えば特開昭62−225943号公報の「酸素濃度セン
サの異常検出方法」では、限界電流式の酸素濃度センサ
について印加電圧と検出電流とに応じて接続系の異常を
検出する異常診断手順が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来技
術では、接続系の断線や短絡等の回路構成上の異常が検
出できるものの、空燃比センサの劣化等が生じた場合に
は、それによる異常の症状を検出することができない。
つまり、空燃比センサにより検出された空燃比の真偽
(センサ出力が正常か否か)を判断すること、即ちセン
サ出力の信頼性を判断することができなかった。また、
空燃比センサの検出結果を用いて実現される空燃比フィ
ードバックの電子制御システムの信頼性を診断すること
もできなかった。
【0005】本発明は、上記従来の問題点に着目してな
されたものであってその目的は、空燃比センサの異常
や、マイクロコンピュータ等からなる電子制御装置によ
る制御異常を含む空燃比フィードバック制御系の異常を
精度良く診断し、ひいては同制御システムの制御精度向
上に貢献することができる空燃比フィードバック制御系
の異常診断装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】先ず以って、本発明の空
燃比フィードバック制御システムでは、内燃機関の空燃
比に対してリニアに出力を増減させる空燃比センサを備
え、該空燃比センサにより検出された空燃比をマイクロ
コンピュータ等からなる電子制御装置に入力する。そし
て、電子制御装置は、前記検出された空燃比と目標空燃
比との偏差に応じた空燃比補正係数を設定すると共に、
当該空燃比補正係数を用いて前記内燃機関への燃料供給
量を補正し空燃比フィードバック制御を実現する(空燃
比補正係数設定手段,空燃比フィードバック制御手
段)。
【0007】かかる制御システムでは、空燃比センサの
劣化や断線による異常が発生したり、マイクロコンピュ
ータによる制御性の異常が発生したりすると、適正な空
燃比フィードバック制御が継続できなくなる。そこで、
本発明では、空燃比センサの異常やマイクロコンピュー
タの制御異常をまとめて空燃比フィードバック制御系の
異常とし、当該異常を精度良く検出するものである。
【0008】請求項1に記載の発明では、その特徴とし
て、空燃比センサにより検出された空燃比から第1の異
常判定要素を演算すると共に(第1の要素演算手段)、
空燃比補正係数設定手段により設定された空燃比補正係
数から第2の異常判定要素を演算する(第2の要素演算
手段)。また、、前記第1,第2の異常判定要素をそれ
ぞれ少なくとも1つのしきい値にて区画した複数の正常
・異常判定領域に対応させ、当該対応した領域に応じて
空燃比フィードバック制御系の異常を診断する(異常診
断手段)。
【0009】上記構成によれば、異常判定要素に対応し
た複数の正常・異常判定領域に応じて空燃比フィードバ
ック制御系の異常を診断することにより、既存の異常診
断装置とは異なる装置を提供することができる。かかる
場合、空燃比センサの異常、マイクロコンピュータによ
る制御異常等含む空燃比フィードバック制御系の異常を
容易且つ明確に診断することができる。つまり、空燃比
フィードバック制御系の異常を精度良く診断し、ひいて
は同制御システムの制御精度向上に貢献することができ
る。
【0010】なお、正常判定領域としては、第1,第2
の異常判定要素の各々に対して、例えば2つずつのしき
い値にて区画される中間領域として与えられる。具体的
には、図11のしきい値A,B,C,Dにより囲まれる
中間領域がその一例である。但し、図11の縦軸「Tλ
(空燃比偏差の積算値)」が第1の異常判定要素に相当
し、横軸「TFAF(空燃比補正係数偏差の積算値)」
が第2の異常判定要素に相当する。また、異常判定領域
としては、第1,第2の異常判定要素の各々に対して、
例えば2つずつのしきい値にて区画される外部領域とし
て与えられる。具体的には、図11のしきい値A,B,
C,Dにより設定される斜線領域がその一例である。
【0011】請求項2に記載の発明では、その特徴とし
て、前記第1の要素演算手段は、空燃比センサにより検
出された空燃比と目標空燃比との偏差を前記第1の異常
判定要素として演算する。また、前記第2の要素演算手
段は、空燃比補正係数と当該補正係数の平均値との偏差
を前記第2の異常判定要素として算出する。この場合、
異常診断手段は、前記空燃比の偏差(第1の異常判定要
素)及び前記空燃比補正係数の偏差(第2の異常判定要
素)が正常・異常のいずれの判定領域にあるかに応じて
空燃比フィードバック制御系の異常を診断する。
【0012】さらに、請求項3に記載の発明では、その
特徴として、前記第1の要素演算手段は、空燃比センサ
により検出された空燃比と目標空燃比との偏差を逐次積
算して前記第1の異常判定要素を演算する。また、前記
第2の要素演算手段は、空燃比補正係数と当該補正係数
の平均値との偏差を逐次積算して前記第2の異常判定要
素を演算する。この場合、異常診断手段は、前記空燃比
の偏差の積算値(第1の異常判定要素)及び前記空燃比
補正係数の偏差の積算値(第2の異常判定要素)が正常
・異常のいずれの判定領域にあるかに応じて空燃比フィ
ードバック制御系の異常を診断する。
【0013】上記請求項2,3のいずれにおいても、空
燃比フィードバック制御系の異常診断に際してより適正
な空燃比情報、及び空燃比補正係数情報(異常判定要
素)が得られる。但し、請求項3では、積算値に基づい
て異常診断を行うために、外乱(センサ出力や補正係数
の一時的な乱れ)による影響の少ない異常診断が可能と
なる。
【0014】請求項4に記載の発明では、異常診断手段
は、予め設定されている異常診断回数内において所定回
数以上、その時の前記第1,第2の異常判定要素が異常
判定領域に属すると判定された場合、最終的に空燃比フ
ィードバック制御系の異常である旨を診断する。かかる
場合には、処理毎の異常診断結果を最終の診断結果とす
る場合に比べて、異常診断の信頼性を向上させることが
できる。
【0015】請求項5に記載の発明では、前記異常診断
手段は、目標空燃比に対する空燃比の変動量、及び平均
値に対する空燃比補正係数の変動量が所定値未満の領域
について、空燃比フィードバック制御系が正常である旨
の判定を禁止する。つまり、空燃比の変動や空燃比補正
係数の変動が少ない領域では、それらの情報を用いた異
常診断の信頼性が低く、異常を見逃してしまうおそれが
ある。この場合、上記の如く正常判定を禁止することに
より、異常診断の誤検出を防止してその信頼性を高める
ことができる。
【0016】請求項6に記載の発明では、前記第1,第
2の異常判定要素に対応する複数の正常・異常判定領域
をマップとしてメモリに記憶保持しておき、前記異常診
断手段は、前記マップ上の正常・異常判定領域により異
常診断を実施する。この場合、正常・異常判定領域の判
断がより一層簡便に実現できる。
【0017】また、請求項6に記載したマップの詳細と
しては、請求項7に記載したように、第1,第2の異常
判定要素のそれぞれに応じて複数に均等区分された領域
を多数有し、各領域に正常である旨のデータ又は異常で
あることのデータを記憶しておくのが望ましい。具体的
には、図15のマップの太線枠内にある各領域が正常領
域として記憶保持され、太線枠外にある各領域が異常領
域として記憶保持される。
【0018】請求項8に記載の発明では、前記第1,第
2の異常判定要素に対応する正常・異常判定領域を所定
の学習条件に基づいて学習する判定領域学習手段を備え
ている。その詳細な構成として、請求項9に記載の発明
では、前記判定領域学習手段は、前記第1の異常判定要
素に基づいて異常が検出された場合に空燃比補正係数に
係わる正常判定領域を拡大させるよう正常・異常判定領
域を学習し、他方、第2の異常判定要素に基づいて異常
が検出された場合に空燃比に係わる正常判定領域を拡大
させるよう正常・異常判定領域を学習する。
【0019】つまり、空燃比センサの異常や制御系の異
常が発生する場合には、双方の異常が同時に発生するこ
とは少なく、一方のみが発生していることが多いと考え
られる。この場合、例えば空燃比センサ又は制御装置の
いずれか一方に異常が発生すると、それに起因して他方
にも異常の症状が現れることが多い。そこで、上記構成
では、一方の異常が検出されると、他方の正常判定領域
を拡大して異常判定条件を甘くする。それにより、実際
に発生している異常を直接的に反映した形で異常診断を
行うことができる。また、異常内容の特定をより正確に
行うことも可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)以下、本発明を内燃機関の空燃比
制御装置において具体化した第1の実施の形態を説明す
る。
【0021】図1は本実施の形態における内燃機関の空
燃比制御装置が設けられた内燃機関とその周辺機器の概
略構成図である。図1に示すように、内燃機関1は4気
筒4サイクルの火花点火式として構成されている。その
吸入空気は上流よりエアクリーナ2、吸気管3、スロッ
トルバルブ4、サージタンク5及びインテークマニホー
ルド6を通過して、インテークマニホールド6内で各燃
料噴射弁7から噴射された燃料と混合され、所定空燃比
の混合気として各気筒に供給される。また、内燃機関1
の各気筒に設けられた点火プラグ8には、点火回路9か
ら供給される高電圧がディストリビュータ10にて分配
供給され、点火プラグ8は前記各気筒の混合気を所定タ
イミングで点火する。そして、燃焼後の排気ガスはエキ
ゾーストマニホールド11及び排気管12を通過し、排
気管12に設けられた三元触媒13にて有害成分(C
O、HC、NOX 等) が浄化されて大気に排出される。
【0022】前記吸気管3には吸気温センサ21及び吸
気圧センサ22が設けられ、吸気温センサ21は吸入空
気の温度(吸気温Tam)を、吸気圧センサ22はスロ
ットルバルブ4の下流側の吸入空気の圧力(吸気圧P
M)をそれぞれ検出する。また、前記スロットルバルブ
4には同バルブ4の開度(スロットル開度TH)を検出
するためのスロットルセンサ23が設けられ、このスロ
ットルセンサ23はスロットル開度THに応じたアナロ
グ信号を出力すると共に、スロットルバルブ4が略全閉
である旨の検出信号を出力する。また、内燃機関1のシ
リンダブロックには水温センサ24が設けられ、この水
温センサ24は内燃機関1内の冷却水の温度(冷却水温
Thw)を検出する。前記ディストリビュータ10には
内燃機関1の回転数(機関回転数Ne)を検出するため
の回転数センサ25が設けられ、この回転数センサ25
は内燃機関1の2回転、すなわち720°CA毎に等間
隔で24個のパルス信号を出力する。
【0023】さらに、前記排気管12の三元触媒13の
上流側には、内燃機関1から排出される排気ガスの酸素
濃度に比例して広域で且つリニアな空燃比信号を出力す
る、限界電流式酸素センサからなるA/Fセンサ(空燃
比センサ)26が設けられている。また、三元触媒13
の下流側には、空燃比λが理論空燃比(λ=1)に対し
てリッチかリーンかに応じた電圧VOX2を出力する下
流側O2 センサ27が設けられている。なお、本実施の
形態では、空燃比を空気過剰率「λ」で表し、理論空燃
比(=14.7)を空燃比λ=1として記載する。
【0024】図2は、A/Fセンサ26の概略を示す断
面図である。図2において、A/Fセンサ26は排気管
12の内部に向けて突設されており、同センサ26はカ
バー31、センサ本体32及びヒータ33に大別され
る。カバー31は断面コ字状をなし、その周壁にはカバ
ー内外を連通する多数の小孔31aが形成されている。
センサ本体32は、空燃比リーン領域における酸素濃
度、若しくは空燃比リッチ領域における未燃ガス(C
O,HC,H2 等)濃度に対応する限界電流を発生す
る。
【0025】センサ本体32の構成について詳述する。
センサ本体32において、断面カップ状に形成された固
体電解質層34の外表面には、排気ガス側電極層36が
固着され、内表面には大気側電極層37が固着されてい
る。また、排気ガス側電極層36の外側には、プラズマ
溶射法等により拡散抵抗層35が形成されている。固体
電解質層34は、ZrO2 、HfO2 、ThO2 、Bi
2 O3 等にCaO、MgO、Y2 O3 、Yb2 O3 等を
安定剤として固溶させた酸素イオン伝導性酸化物焼結体
からなり、拡散抵抗層35は、アルミナ、マグネシャ、
ケイ石質、スピネル、ムライト等の耐熱性無機物質から
なる。排気ガス側電極層36及び大気側電極層37は共
に、白金等の触媒活性の高い貴金属からなりその表面に
は多孔質の化学メッキ等が施されている。なお、排気ガ
ス側電極層36の面積及び厚さは、10〜100mm2
(平方ミリメートル)及び0.5〜2.0μm程度とな
っており、一方、大気側電極層37の面積及び厚さは、
10mm2 (平方ミリメートル)以上及び0.5〜2.
0μm程度となっている。
【0026】ヒータ33は大気側電極層37内に収容さ
れており、その発熱エネルギーによりセンサ本体32
(大気側電極層37、固体電極質層34、排気ガス側電
極層36及び拡散抵抗層35)を加熱する。ヒータ33
は、センサ本体32を活性化するに十分な発熱容量を有
している。
【0027】上記構成のA/Fセンサ26において、セ
ンサ本体32は、理論空燃比点よりリーン領域の酸素濃
度に応じた限界電流を発生する。この場合、酸素濃度に
対応する限界電流は、排気ガス側電極層36の面積、拡
散抵抗層35の厚さ、気孔率及び平均孔径により決定さ
れる。また、センサ本体32は酸素濃度を直線的特性に
て検出し得るものであるが、このセンサ本体32を活性
化するのに約650℃以上の高温が必要とされると共
に、同センサ本体32の活性温度範囲が狭いため、エン
ジン1の排気ガスのみによる加熱では活性領域を制御で
きない。そのため、本実施の形態では、後述するECU
41によりヒータ33が加熱制御され、センサ本体32
が所定の活性温度に保持されるようになっている。な
お、理論空燃比よりもリッチ側の領域では、未燃ガスで
ある一酸化炭素(CO)等の濃度が空燃比に対してほぼ
リニアに変化し、センサ本体32はCO等の濃度に応じ
た限界電流を発生する。
【0028】センサ本体32の電圧−電流特性について
図3を用いて説明する。図3に示すように電流−電圧特
性は、A/Fセンサ26の検出酸素濃度(空燃比)に比
例するセンサ本体32の固体電解質層34への流入電流
と、同固体電解質層34への印加電圧との関係が直線的
であることを示す。そして、センサ本体32が温度T=
T1にて活性状態にあるとき、図3の実線で示すように
特性線L1でもって安定した状態を示す。かかる場合、
特性線L1の電圧軸Vに平行な直線部分がセンサ本体3
2の限界電流を特定する。この限界電流の増減は空燃比
の増減(即ち、リーン・リッチ)に対応しており、空燃
比がリーン側になるほど限界電流は増大し、空燃比がリ
ッチ側になるほど限界電流は減少する。
【0029】また、この電圧−電流特性において電圧軸
Vに平行な直線部分よりも小さい電圧域は抵抗支配域と
なっており、その抵抗支配域における特性線L1の傾き
は、センサ本体32における固体電解質層34の内部抵
抗により特定される。固体電解質層34の内部抵抗は温
度変化に伴い変化するため、センサ本体32の温度が低
下すると抵抗の増大により上記傾きが小さくなる。つま
り、センサ本体32の温度TがT1よりも低いT2にあ
るとき、電流−電圧特性は図3の破線で示すように特性
線L2でもって特定される。かかる場合、特性線L2の
電圧軸Vに平行な直線部分がT=T2におけるセンサ本
体32の限界電流を特定するもので、この限界電流は特
性線L1による限界電流とほぼ一致している。
【0030】そして、特性線L1において、センサ本体
32の固体電解質層34に正の印加電圧Vposを印加
すれば、センサ本体32に流れる電流が限界電流Ipo
sとなる(図3の点Pa参照)。また、センサ本体32
の固体電解質層34に負の印加電圧Vnegを印加すれ
ば、センサ本体32に流れる電流が酸素濃度に依存せ
ず、温度のみに比例する負の温度電流Inegとなる
(図3の点Pb参照)。
【0031】また、図1の内燃機関1の運転を制御する
電子制御装置(以下、ECUという)41は、CPU
(中央処理装置)42、ROM(リードオンリメモリ)
43、RAM(ランダムアクセスメモリ)44、バック
アップRAM45等を中心に論理演算回路として構成さ
れ、前記各センサの検出信号を入力する入力ポート46
及び各アクチュエータに制御信号を出力する出力ポート
47等に対しバス48を介して接続されている。そし
て、ECU41は、入力ポート46を介して前記各セン
サから吸気温Tam、吸気圧PM、スロットル開度T
H、冷却水温Thw、機関回転数Ne、空燃比信号等を
入力して、それらの各値に基づいて燃料噴射量TAU、
点火時期Ig等の制御信号を算出し、さらに、それら制
御信号を出力ポート47を介して燃料噴射弁7及び点火
回路9等にそれぞれ出力する。また、ECU41は後述
する異常判定処理を実行して空燃比フィードバック制御
系の異常の有無を診断し、異常時には警告灯49を点灯
して運転者に異常発生を警告する。
【0032】次に、上述した燃料噴射制御システムにお
いて、空燃比制御を行うために予め設計されている手法
について順次説明する。なお、以下の設計手法は特開平
1−110853号公報に開示されている。
【0033】(1)制御対象のモデリング この実施の形態では、内燃機関1の空燃比λを制御する
システムのモデルに、むだ時間P=3を有する次数1の
自己回帰移動平均モデルを用い、更に外乱dを考慮して
近似している。
【0034】まず、自己回帰移動平均モデルを用いた空
燃比λを制御するシステムのモデルは、次の数式1によ
り近似できる。
【0035】
【数1】
【0036】ただし、この数式1において、符号FAF
は空燃比補正係数を表す。また、符号a,bはモデルの
応答性を決定するためのモデル定数を表す。また、符号
kは、最初のサンプリング開始からの制御回数を示す変
数を表す。
【0037】さらに、外乱dを考慮すると、制御システ
ムのモデルは、次の数式2で近似できる。
【0038】
【数2】
【0039】以上のように近似したモデルに対し、ステ
ップ応答を用いて回転周期(360°CA)サンプリン
グで離散化して上記モデル定数a,bを定めること、即
ち空燃比λを制御する系の伝達関数Gを求めることは容
易である。
【0040】(2)状態変数量Xの表示方法(ただし、
Xはベクトル量である) 上記数式2を、状態変数量X(k)=[X1(k),X
2(k),X3(k),X4(k)]^Tを用いて書き直
すと、数式3の如き行列式となり、更には数式4のよう
になる。ここで、符号Tは転置行列を示す。
【0041】
【数3】
【0042】
【数4】
【0043】(3)レギュレータの設計 上記数式3,数式4に基づいてレギュレータを設計する
と、空燃比補正係数FAFは、最適フィードバックゲイ
ンK=[K1,K2,K3,K4]と、状態変数量X^T
(k)=[λ(k),FAF(k−3),FAF(k−
2),FAF(k−1)]とを用いて、数式5のように
表せる。
【0044】
【数5】
【0045】さらに、この数式5において、誤差を吸収
させるための積分項ZI(k)加えると、空燃比補正係
数FAFは、次の数式6によって与えられる。
【0046】
【数6】
【0047】なお、上記の積分項ZI(k)は、目標空
燃比λTG及び現実の空燃比λ(k)間の偏差と積分定数
Kaとから決まる値であって、次の数式7により与えら
れる。
【0048】
【数7】
【0049】図4は、上述のようにモデルを設計した空
燃比λの制御システムのブロック線図を表す。なお、こ
の図4においては、空燃比補正係数FAF(k)をFA
F(k−1)から導出するためにZ-1変換を用いて表記
したが、これは過去の空燃比補正係数FAF(k−1)
をRAM44に記憶しておき、次の制御タイミングで読
み出して用いている。因みに、「FAF(k−1)」は
1回前の空燃比補正係数を表し、「FAF(k−2)」
は2回前の空燃比補正係数を表し、「FAF(k−
3)」は3回前の空燃比補正係数を表す。
【0050】また、同図4において、二点鎖線で囲まれ
たブロックP1が、空燃比λ(k)を目標空燃比λTGに
フィードバック制御している状態にて状態変数量X
(k)を定める部分であり、ブロックP2が、積分項Z
I(k)を求める部分(累積部)であり、そしてブロッ
クP3が、ブロックP1で定められた状態変数量X
(k)とブロックP2で求められた積分項ZI(k)と
から今回の空燃比補正係数FAF(k)を演算する部分
である。
【0051】(4)最適フィードバックゲインK及び積
分定数Kaの決定 最適フィードバックゲインK及び積分定数Kaは、例え
ば、次の数式8で示される評価関数Jを最小にすること
で設定できる。
【0052】
【数8】
【0053】ただしこの数式8において、評価関数J
は、空燃比補正係数FAF(k)の動きを制約しつつ、
空燃比λ(k)と目標空燃比λTGとの偏差を最小にする
ことを意図したものである。また、空燃比補正係数FA
F(k)に対する制約の重み付けは、重みのパラメータ
Q,Rの値によって変更できる。従って、重みパラメー
タQ,Rの値を種々変えて最適な制御特性が得られるま
でシミュレーションを繰り返し、最適フィードバックゲ
インK及び積分定数Kaを定めればよい。
【0054】さらに、最適フィードバックゲインK及び
積分定数Kaは、先のモデル定数a,bに依存してい
る。従って、実際の空燃比λを制御する系の変動(パラ
メータ変動)に対するシステムの安定性(ロバスト性)
を保証するためには、これら各モデル定数a,bの変動
分を見込んで、最適フィードバックゲインK及び積分定
数Kaを設定する必要がある。よって、シミュレーショ
ンは、各モデル定数a,bの現実に生じ得る変動を加味
して行い、安定性を満足する最適フィードバックゲイン
K及び積分定数Kaを定める。
【0055】以上、(1)制御対象のモデリング、
(2)状態変数量の表示方法、(3)レギュレータの設
計、(4)最適フィードバックゲイン及び積分定数の決
定について説明したが、該実施の形態の装置では、これ
らは何れも既に設定されているものとする。そして、E
CU41では、前記数式6及び数式7のみを用いて、該
燃料噴射制御システムにおける空燃比制御を実行するも
のとする。
【0056】次に、上記のように構成された本実施の形
態における空燃比制御装置の動作を説明する。図5はE
CU41内のCPU42により実行される燃料噴射量算
出ルーチンを示すフローチャートであり、同ルーチン
は、内燃機関1の回転に同期して360°CA毎に実行
される。なお、本実施の形態では、図5のルーチンが空
燃比補正係数設定手段及び空燃比フィードバック制御手
段に相当する。
【0057】さて、CPU42は、先ずステップ101
で吸気圧PM、機関回転数Ne等に基づいて基本燃料噴
射量Tpを算出し、続くステップ102で空燃比λのフ
ィードバック条件が成立しているか否かを判別する。こ
こで、周知のようにフィードバック条件とは、冷却水温
Thwが所定水温以上で、且つ高回転・高負荷でないと
きに成立する。現時点にてフィードバック条件が成立し
ていれば、CPU42はステップ103に進み、空燃比
λを目標空燃比λTG(本実施の形態では、理論空燃比λ
=1としている)とするための空燃比補正係数FAFを
設定し、その後ステップ104に進む。即ち、ステップ
103では、前述の数式6及び数式7に基づいて目標空
燃比λTGとA/Fセンサ26にて検出された空燃比λ
(k)とから空燃比補正係数FAFが算出される。
【0058】また、前記ステップ102でフィードバッ
ク条件が成立していなければ、CPU42はステップ1
05に進んで空燃比補正係数FAFを「1.0」に設定
し、その後ステップ104に進む。この場合、FAF=
1.0とは空燃比λを補正しないことを意味し、いわゆ
るオープン制御が実施される。
【0059】ステップ104では、CPU42は、次の
数式9に従って基本燃料噴射量Tp、空燃比補正係数F
AF及びその他の補正係数FALLから燃料噴射量TA
Uを設定する。
【0060】
【数9】TAU=Tp・FAF・FALL その後、上記燃料噴射量TAUに基づく制御信号が燃料
噴射弁7に出力され、同弁7の開弁時間、即ち実際の燃
料噴射時間が制御され、その結果、空燃比λが目標空燃
比λTGに調整される。
【0061】以上、空燃比補正係数FAFが空燃比λと
目標空燃比λTG(本実施の形態では、λTG=1.0)と
の偏差に応じて設定される旨を記載したが、A/Fセン
サ26が異常になると、或いはCPU42による制御異
常(例えばフィードバックゲインの異常等)が発生する
と、空燃比フィードバック制御系が正常に機能しなくな
る。そこで、本実施の形態では、A/Fセンサ26によ
り検出された空燃比λと空燃比補正係数FAFとのから
得られる異常判定要素に基づいて、空燃比フィードバッ
ク制御系の異常の有無を診断する。
【0062】ここで、本異常判定処理を略述すれば、本
処理では、所定時間内においてA/Fセンサ26により
検出された空燃比λと目標空燃比λTGとの差の積算値
(以下、λ積算値Tλという)を算出すると共に、同じ
く所定時間内において空燃比補正係数FAFと当該FA
Fの平均値FAFAVとの差の積算値(以下、FAF積
算値TFAFという)を算出する。この場合、空燃比λ
が目標空燃比λTGを基準に変動すると共に、空燃比補正
係数FAFがその平均値FAFAVを基準に変動すると
すれば、λ積算値Tλ、FAF積算値TFAFは、図1
0における斜線部の面積に相当する。なお、本実施の形
態では、λ積算値Tλが第1の異常判定要素に相当し、
FAF積算値TFAFが第2の異常判定要素に相当す
る。
【0063】そして、これらTλ,TFAFが正常判定
領域にあるか又は異常判定領域にあるかに応じて空燃比
フィードバック制御系の異常を検出する。具体的には、
図11に示すように、Tλがしきい値A〜Bの範囲内に
あり、且つTFAFがしきい値C〜Dの範囲内にあれば
(図の斜線部を除く中間領域)、空燃比フィードバック
制御系が正常であると診断される。また、Tλ及びTF
AFが図の斜線領域にあれば、空燃比フィードバック制
御系が異常であると診断される。この場合、Tλ≦A且
つTFAF≦Cの領域は、本来、異常領域として断定し
にくい領域であるが、本実施の形態では、当該領域につ
いては異常診断の信頼性が低く、異常を見逃してしまう
おそれがあるとして、正常である旨の判定を禁止するよ
うにしている(即ち、異常判定領域としている)。
【0064】図6は、本実施の形態における空燃比フィ
ードバック系異常判定ルーチンを示すフローチャートで
あり、同ルーチンは例えば4ms周期でCPU42によ
り実行される。なお、本実施の形態では、図6のルーチ
ンが異常診断手段に相当する。
【0065】さて、図6のルーチンがスタートすると、
CPU42は、先ずステップ210で今現在の機関運転
状態が異常判定可能な状態であるか否かを判別する。具
体的には、ステップ210では例えば以下の条件が満た
されているか否かが判別される。 ・A/Fセンサ26が活性化状態であること(センサ本
体32の素子温が650℃以上、或いはA/Fセンサ2
6の素子抵抗が90Ω以下であること)。 ・吸気圧PMが所定圧以下であること。 ・機関回転数Neが所定回転数以下であること。 ・スロットル開度THが所定開度以下であること。 ・アイドル状態であること。 ・空燃比フィードバックの開始から所定時間が経過して
いること。
【0066】そして、上記ステップ210が肯定判別さ
れ、異常判定が許可されると、CPU42はステップ2
20に進み、λ積算値Tλを算出する。ここで、λ積算
値Tλは図7のサブルーチンにより算出されるものであ
って、同図7のルーチンが第1の要素演算手段に相当す
る。その内容を説明すれば、CPU42は、図7のステ
ップ221でA/Fセンサ26により検出された空燃比
λと、目標空燃比λTGとの差を算出し、続くステップ2
22で前記空燃比λと目標空燃比λTGとの差の絶対値|
λ−λTG|を、λ積算値の前回値Tλi-1 に加算してλ
積算値の今回値Tλi を算出する(Tλi =Tλi-1 +
|λ−λTG|)。
【0067】また、図6のステップ230において、C
PU42はFAF積算値TFAFを算出する。ここで、
FAF積算値TFAFは図8のサブルーチンにより算出
されるものであって、同図8のルーチンが第2の要素演
算手段に相当する。その内容を説明すれば、CPU42
は、図8のステップ231で既述した手順に従って求め
た空燃比補正係数FAFを読み込み、続くステップ23
2で当該FAFを空燃比補正係数の今回値FAFi とす
る。
【0068】さらに、CPU42は、ステップ233で
周知のなまし処理を用いて空燃比補正係数FAFの平均
値FAFAVi (今回値)を算出する。即ち、当該平均
値FAFAVi は、次の数式10により算出される。
【0069】
【数10】FAFAVi ={FAFAVi-1 ・(n−
1)+FAFi }/n 但し、上記数式10において、例えばn=64である。
【0070】その後、CPU42は、ステップ234で
空燃比補正係数FAFi (今回値)とその平均値FAF
AVi (今回値)との差を算出し、続くステップ235
で前記空燃比補正係数FAFi とその平均値FAFAV
i との差の絶対値|FAFi−FAFAVi |を、FA
F積算値の前回値TFAFi-1 に加算してFAF積算値
の今回値TFAFi を算出する(TFAFi =TFAF
i-1 +|FAFi −FAFAVi |)。
【0071】一方、図6のステップ220,230の処
理(Tλ,TFAFの算出処理)後において、CPU4
2は、ステップ240で前回の異常判定時から所定時間
t(本実施の形態では、1280ms)が経過したか否
かを判別し、これが否定判別されれば本ルーチンをその
まま終了する。つまり、ステップ240が否定判別され
ている期間内(1280ms期間内)では、前記ステッ
プ220,230により空燃比λの偏差の積算処理、及
び空燃比補正係数FAFの偏差の積算処理が繰り返し実
行される。
【0072】また、ステップ240が肯定判別されれ
ば、CPU42はステップ250に進み、異常判定処理
を実行する。この異常判定処理は図9に示すサブルーチ
ンに従って実施される。
【0073】このステップ250の異常判定処理(図9
に示すサブルーチン)は、前記算出したλ積算値Tλと
FAF積算値TFAFとを用いて空燃比フィードバック
制御系の異常を判定するものであって、その判定処理
後、CPU42は図6のステップ280でλ積算値Tλ
及びFAF積算値TFAFを「0」にクリアして本ルー
チンを一旦終了する。
【0074】次に、図9の異常判定サブルーチンを詳細
に説明する。図9において、CPU42は、先ずステッ
プ251で異常判定処理の実施回数を表す処理カウンタ
CDGを「1」インクリメントし、続くステップ252
で当該処理カウンタCDGが「5」を超えるか否かを判
別する。処理開始当初には、ステップ252が否定判別
され、CPU42はステップ253に進む。
【0075】CPU42は、ステップ253でλ積算値
Tλが所定のしきい値A,Bで区画される正常領域にあ
るか否かを判別する。ここで、しきい値A,Bは、図1
1の縦軸に表される値である。この場合、A<Tλ<B
であれば、CPU42はステップ254でλ異常判定カ
ウンタCAFDGを現状のままとし、Tλ≦A又はTλ
≧Bであれば、ステップ255でλ異常判定カウンタC
AFDGを「1」インクリメントする。
【0076】さらに、CPU42は、ステップ256で
λ異常判定カウンタCAFDGが「3」以上であるか否
かを判別する。そして、CAFDG<3であれば、CP
U42はステップ257でλ異常判定フラグXDGAF
を「0」にクリアし、CAFDG≧3であれば、ステッ
プ258でλ異常判定フラグXDGAFに「1」をセッ
トする。
【0077】その後、CPU42は、ステップ259で
FAF積算値TFAFが所定のしきい値C,Dで区画さ
れる正常領域にあるか否かを判別する。ここで、しきい
値C,Dは、図11の横軸に表される値である。この場
合、C<TFAF<Dであれば、CPU42はステップ
260でFAF異常判定カウンタCFAFDGを現状の
ままとし、TFAF≦C又はTFAF≧Dであれば、ス
テップ261でFAF異常判定カウンタCFAFDGを
「1」インクリメントする。
【0078】さらに、CPU42は、ステップ262で
FAF異常判定カウンタCFAFDGが「3」以上であ
るか否かを判別する。そして、CFAFDG<3であれ
ば、CPU42は、ステップ263でFAF異常判定フ
ラグXDGFAFを「0」にクリアして本ルーチンを終
了する。また、CAFDG≧3であれば、CPU42
は、ステップ264でFAF異常判定フラグXDGFA
Fに「1」をセットして本ルーチンを終了する。
【0079】一方、同図9の処理が繰り返し実行され、
それに伴なってステップ252が肯定判別されると、C
PU42はステップ265に進み、λ異常判定フラグX
DGAF又はFAF異常判定フラグXDGFAFのいず
れかに「1」がセットされているか否かを判別する。こ
の場合、XDGAF又はXDGFAFがいずれも「0」
であれば、CPU42はステップ266に進み、最終異
常判定フラグXDGを「0」にクリアする。また、XD
GAF又はXDGFAFの少なくともいずれかに「1」
がセットされていれば、CPU42はステップ267に
進み、最終異常判定フラグXDGに「1」をセットす
る。なお、図示は省略したが、最終異常判定フラグXD
Gのセット操作に伴ない前記異常判定フラグXDGA
F,XDGFAFは共に「0」にクリアされるようにな
っている。
【0080】かかる場合、XDG=0となることは、λ
積算値Tλ及びFAF積算値TFAFが図11の正常領
域(図の中央の領域)にあることを意味し、XDG=1
となることは、λ積算値Tλ及びFAF積算値TFAF
が図11の異常領域(図の斜線領域)にあることを意味
する。
【0081】その後、CPU42は、ステップ268で
処理カウンタCDGを「0」にクリアすると共に、続く
ステップ269でλ異常判定カウンタCAFDGを
「0」にクリアする。さらに、CPU42は、ステップ
270でFAF異常判定カウンタCFAFDGを「0」
にクリアして本ルーチンを終了する。なお、上記最終異
常判定フラグXDGがセットされると、CPU42は警
告灯49を点灯させたり、空燃比フィードバックを停止
させたりする等のダイアグ処理を実施する。
【0082】次に、上記の如く実施される異常判定処理
を図12のタイムチャートを用いてより具体的に説明す
る。なお、図中の時間t1,t2,t3,t4,t5,
t6は、前記図9の異常判定処理が実施されるタイミン
グを示す。さて、図12においては、処理カウンタCD
Gが1280ms毎にカウントアップされ、CDG=5
に達した後、「0」にクリアされる。
【0083】時間t1〜t2の期間、時間t3〜t5の
期間においては、空燃比λが目標空燃比λTGに対して大
きく変動しており、かかる期間ではλ積算値Tλが正常
領域としての許容範囲(A〜B)から外れることとな
る。従って、時間t2,t4,t5において、λ異常判
定カウンタCAFDGが1つずつインクリメントされ、
CAFDG=3となる時間t5では、λ異常判定フラグ
XDGAFに「1」がセットされている(即ち、この時
間t5で図9のステップ256が肯定判別される)。
【0084】また、時間t1以前、時間t1〜t3の期
間、時間t4〜t5の期間においては、空燃比補正係数
FAFが当該FAFの平均値FAFAVに対して大きく
変動しており、かかる期間ではFAF積算値TFAFが
正常領域としての許容範囲(C〜D)から外れることと
なる。従って、時間t1,t2,t3,t5において、
FAF異常判定カウンタCFAFDGが1つずつインク
リメントされ、CFAFDG=3となる時間t3では、
FAF異常判定フラグXDGFAFに「1」がセットさ
れている(即ち、この時間t3で図9のステップ262
が肯定判別される)。
【0085】そして、CDG=5となる時間t6では、
λ異常判定フラグXDGAF,FAF異常判定フラグX
DGFAFに「1」がセットされているため、最終異常
判定フラグXDGに「1」がセットされることとなる。
【0086】なお、上記図12のタイムチャートでは、
λ異常(A/Fセンサ26の異常)とFAF異常(CP
U42によるフィードバックゲインの異常等)とが略同
時に発生している事例を説明したが、実際のシステムで
は、いずれか一方の異常が発生し、それに起因して他方
の異常が発生することが多い。
【0087】そこで、本実施の形態の空燃比制御装置で
は、λ異常、FAF異常のうちでいずれか一方の異常判
定後において、上記λ異常,FAF異常を判定するため
のしきい値A,B,C,Dを学習するようにしており、
以下にその詳細を説明する。なお図示は省略したが、か
かる構成では、前記λ異常判定フラグXDGAFに
「1」がセットされた回数(図9のステップ256が肯
定判別された回数),並びにFAF異常判定フラグXD
GFAFに「1」がセットされた回数(図9のステップ
262が肯定判別された回数)が継続的にカウントさ
れ、同カウント値がRAM44に記憶されるようになっ
ている。
【0088】図13のフローチャートは、λ異常判定フ
ラグXDGAF,FAF異常判定フラグXDGFAFの
操作状態に基づいて、λ積算値Tλ及びFAF積算値T
FAFを正常・異常判定するためのしきい値A,B,
C,Dを学習するためのしきい値学習ルーチンであり、
同ルーチンは例えば10分周期でCPU42により実行
される。なお、本実施の形態では、図13のルーチンが
判定領域学習手段に相当する。
【0089】さて、図13がスタートすると、CPU4
2は、先ずステップ301で前回の処理時と今回の処理
時との期間中にλ異常判定フラグXDGAF及びFAF
異常判定フラグXDGFAFのうち、いずれのフラグが
先にセットされたかを判別する。但し、いずれのフラグ
もセットされていなければCPU42はそのまま処理を
終了する(図示略)。
【0090】かかる場合において、λ異常判定フラグX
DGAFが先にセットされたとすれば、CPU42はス
テップ302に進み、当該XDGAFのセット回数を読
み込むと共に、続くステップ303で前記セット回数が
所定値K1に達しているかを判別する。また、CPU4
2は、ステップ304でしきい値C,Dが予め設定され
ているガード値に達しているかを判別する。即ち、しき
い値C,Dの過剰な学習が行われていないかを判別す
る。
【0091】この場合、ステップ303が肯定判別さ
れ、且つステップ304が否定判別されれば、CPU4
2はステップ305に進む。また、ステップ303が否
定判別されるか、或いはステップ304が肯定判別され
れば、CPU42はステップ305をバイパスしてステ
ップ306に進む。
【0092】CPU42は、ステップ305でしきい値
C,Dに対し学習処理を実行する。具体的には、空燃比
λ(A/Fセンサ26)に異常が発生すると、その影響
を受けて本来正常なはずの空燃比補正係数FAFに異常
な兆候が現れることがある。そこで、しきい値C,Dで
区画される正常領域を広くする。つまり、図11におい
て、しきい値Cを小さくし、しきい値Dを大きくする。
このとき、正常領域を広くするためのしきい値C,Dの
学習処理は、しきい値C,Dのいずれか一方についての
み行うようにしてもよい。
【0093】その後、CPU42は、ステップ306で
異常判定フラグXDGAF,XDGFAFのセット回数
をクリアするように指令し、本ルーチンを終了する。ま
た、FAF異常判定フラグXDGFAFが先にセットさ
れたとすれば、CPU42はステップ307に進み、当
該XDGFAFのセット回数を読み込むと共に、続くス
テップ308で前記セット回数が所定値K2に達してい
るかを判別する。また、CPU42は、ステップ309
でしきい値A,Bが予め設定されているガード値に達し
ているかを判別する。即ち、しきい値A,Bの過剰な学
習が行われていないかを判別する。
【0094】この場合、ステップ308が肯定判別さ
れ、且つステップ309が否定判別されれば、CPU4
2はステップ310に進む。また、ステップ308が否
定判別されるか、或いはステップ309が肯定判別され
れば、CPU42はステップ310をバイパスしてステ
ップ306に進む。
【0095】CPU42は、ステップ310でしきい値
A,Bに対し学習処理を実行する。具体的には、空燃比
補正係数FAF(フィードバックゲイン)に異常が発生
すると、その影響を受けて本来正常なはずの空燃比λに
異常な兆候が現れることがある。そこで、しきい値A,
Bで区画される正常領域を広くする。つまり、図11に
おいて、しきい値Aを小さくし、しきい値Bを大きくす
る。このとき、正常領域を広くするためのしきい値A,
Bの学習処理は、しきい値A,Bのいずれか一方につい
てのみ行うようにしてもよい。
【0096】以上詳述した本実施の形態によれば、以下
の効果を得ることができる。 (a)本実施の形態では、A/Fセンサ26により検出
された空燃比λと目標空燃比λTGとの偏差(λ積算値T
λ)を算出すると共に、空燃比補正係数FAFとその平
均値FAFAVとの偏差(FAF積算値TFAF)を算
出した。そして、それら算出された異常判定要素(λ積
算値Tλ,FAF積算値TFAF)を、それぞれ2つず
つのしきい値にて区画した正常・異常判定領域(図11
参照)に対応させて空燃比フィードバック制御系の異常
を診断するようにした。
【0097】かかる場合、異常判定要素と正常・異常判
定領域とを照合させることにより、容易且つ明確な当該
異常診断を実施することができ、既存の異常診断装置と
は異なる装置が提供できる。その結果、A/Fセンサ2
6の異常、マイクロコンピュータ(ECU41)による
制御異常等含む空燃比フィードバック制御系の異常を精
度良く診断して、ひいては同制御システムの制御精度向
上に貢献することができる。
【0098】(b)また、異常診断に際しては、A/F
センサ26により検出された空燃比λと目標空燃比λTG
との偏差を逐次積算すると共に、空燃比補正係数FAF
と当該FAFの平均値FAFAVとの偏差を逐次積算
し、これらの演算結果(λ積算値Tλ,FAF積算値T
FAF)を異常判定要素とした(Tλ=第1の異常判定
要素,TFAF=第2の異常判定要素)。この場合、適
正な空燃比情報及び空燃比補正係数情報が得られる。ま
た、各情報の積算値に基づいて異常診断を行うために、
外乱(センサ出力や補正係数の一時的な乱れ)による影
響の少ない異常診断が可能となる。
【0099】(c)また、本実施の形態では、所定の異
常診断回数(本実施の形態では、CDG=5回)内にお
いて所定回数(本実施の形態では、3回)以上、その時
の異常判定要素が異常判定領域に属すると判定された場
合、最終的に空燃比フィードバック制御系の異常である
旨を診断するようにした。かかる場合には、処理毎の異
常診断結果を最終結果とする場合に比べて、異常診断の
信頼性を向上させることができる。
【0100】(d)さらに、λ積算値Tλ及びFAF積
算値TFAFが所定値未満の領域(Tλ≦A、且つTF
AF≦Cの領域)では、空燃比フィードバック制御系が
正常である旨の判定を禁止するようにした(図11参
照)。つまり、空燃比λの変動や空燃比補正係数FAF
の変動が少ない領域では、それらの情報を用いた異常診
断の信頼性が低く、異常を見逃してしまうおそれがあ
る。この場合、上記の如く正常である旨の判定を禁止す
れば、異常診断の誤検出を防止してその信頼性を高める
ことができる。
【0101】(e)併せて、本実施の形態では、λ積算
値Tλに基づいて異常が検出された場合に空燃比補正係
数FAFに係わる正常判定領域(図11のC〜Dの領
域)を拡大させるよう正常・異常判定領域を学習し、他
方、FAF積算値TFAFに基づいて異常が検出された
場合に空燃比λに係わる正常判定領域(図11のA〜B
の領域)を拡大させるよう正常・異常判定領域を学習す
るようにした。
【0102】つまり、A/Fセンサ26の異常やECU
41内の制御異常が発生する場合には、双方の異常が同
時に発生することは少なく、一方のみが発生しているこ
とが多いと考えられる。この場合、例えばA/Fセンサ
26又はECU41のいずれか一方に異常が発生する
と、それに起因して他方にも異常の症状が現れることが
多い。そこで、上記構成では、一方の異常が検出される
と、他方の正常判定領域を拡大して異常判定条件を甘く
する。それにより、実際に発生している異常を直接的に
反映した形で異常診断を行うことができる。また、異常
内容の特定をより正確に行うことも可能となる。
【0103】(第2の実施の形態)次に、本発明におけ
る第2の実施の形態を図14〜図17を用いて説明す
る。但し、本実施の形態の構成において、上述した第1
の実施の形態と同等であるものについては図面に同一の
記号を付すと共にその説明を簡略化する。そして、以下
には第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0104】本実施の形態では、λ積算値TλとFAF
積算値TFAFとを異常判定要素とした図15の正常・
異常判定マップを用い、異常判定処理を実施する。即
ち、図15では、λ積算値Tλが多数のしきい値により
複数領域(図では16領域)に均等区分されると共に、
FAF積算値TFAFが多数のしきい値により複数領域
(図では16領域)に均等区分されている。従って、マ
ップ全体としては、16×16=256個の小領域が設
けられていることとなっている。
【0105】この場合、同マップの太線枠内にある個々
の小領域(図では、10×10=100個の小領域)が
正常領域として設定されており、太線枠外にある個々の
小領域が異常領域として設定されている。そして、本実
施の形態では、その時々のTλ及びTFAFが正常・異
常のいずれの領域にあるかに応じて異常判定を行うよう
にしている。なお、図15のマップは、メモリとしての
バックアップRAM45に記憶保持されている。
【0106】図14は、本実施の形態における異常判定
ルーチンを示すフローチャートであり、同ルーチンは、
前記第1の実施の形態における図9のルーチン(図6の
ステップ250の処理)に置き換えられるものである。
【0107】さて、図14のルーチンがスタートする
と、CPU42は、先ずステップ401で異常判定処理
の実施回数を表す処理カウンタCDGを「1」インクリ
メントし、続くステップ402で当該処理カウンタCD
Gが「5」を超えるか否かを判別する。処理開始当初に
は、ステップ402が否定判別され、CPU42はステ
ップ403に進む。
【0108】CPU42は、ステップ403でその時の
λ積算値Tλ及びFAF積算値TFAFλが前記図15
のマップ上で正常領域にあるか否かを判別する。具体的
には、図15のマップ上において、Tλ=Tλ1,TF
AF=TFAF1であれば、正常領域内(太線枠内)の
小領域Pが選択され、結果として正常である旨が判定さ
れることとなる。また、Tλ=Tλ2,TFAF=TF
AF2であれば、異常領域内(太線枠外)の小領域Qが
選択され、結果として異常である旨が判定されることと
なる。
【0109】従って、Tλ,TFAFが正常領域にあり
ステップ403が肯定判別されれば、CPU42はステ
ップ404に進み、異常判定カウンタCMPDGを現状
のままとする。また、Tλ,TFAFが異常領域にあり
ステップ403が否定判別されれば、CPU42はステ
ップ405に進み、異常判定カウンタCMPFDGを
「1」インクリメントする。
【0110】その後、同図14の処理が繰り返し実行さ
れ、それに伴なってステップ402が肯定判別される
と、CPU42はステップ406に進み、異常判定カウ
ンタCMPDGが「3」以上であるか否かを判別する。
そして、CMPDG<3であれば、CPU42は、ステ
ップ407で最終異常判定フラグXDGを「0」にクリ
アし、CAFDG≧3であれば、ステップ408で最終
異常判定フラグXDGに「1」をセットする。
【0111】その後、CPU42は、ステップ409で
処理カウンタCDGを「0」にクリアする。また、CP
U42は、続くステップ410で異常判定カウンタCM
PDGを「0」にクリアして本ルーチンを終了する。
【0112】一方、図16は、前記図15のマップにお
ける正常・異常領域を学習するためのマップ学習ルーチ
ンを示すフローチャートであり、同ルーチンは所定周期
でCPU42により実行される。なお、本実施の形態で
は、図16のルーチンが判定領域学習手段に相当する。
【0113】図16において、CPU42は、先ずステ
ップ501でマップの正常・異常判定領域を学習するた
めの条件(学習条件)が成立しているか否かを判別す
る。この学習条件としては、例えば正常又は異常判定さ
れる小領域が毎回大きく異なることや、λ積算値Tλ及
びFAF積算値TFAFが共に微小値に維持されている
こと等が含まれる。かかる学習条件が成立する場合に
は、適正な異常判定が行われない可能性があり、図15
のマップにおける正常・異常の個々の小領域を学習すべ
きであるとしてステップ501を肯定判別する。
【0114】上記学習条件が成立してステップ501が
肯定判別された場合、CPU42はステップ502に進
み、カウンタCTを「1」インクリメントする。また、
CPU42は、続くステップ503でカウンタCTの数
値が所定の判定値KCTよりも大きいか否かを判別す
る。そして、ステップ503が肯定判別された場合の
み、CPU42は、ステップ504で前記図15に示す
正常・異常判定マップの学習処理を実行する。
【0115】さらに、CPU42は、続くステップ50
5で前記カウンタCTを「0」にクリアし、その後本処
理を終了する。なお、ステップ501,503が否定判
別された場合には、そのまま本処理を終了し、マップの
学習処理を実施しない。
【0116】正常・異常判定マップの学習例を図17
(a),(b)に示す。図17(a),(b)におい
て、太線枠内が正常領域を表し、太線枠外が異常領域を
表す。このような領域の更新は、1つの小領域毎に行っ
てもよいし、多数の小領域をまとめて行ってもよい。ま
た、かかる学習時には、正常領域となる小領域の数を不
変にしてもよいし(例えば、図15では100個)、可
変としてもよい。
【0117】本第2の実施の形態によれば、上記第1の
実施の形態と同様に本発明の目的を達成することができ
ると共に、既述の効果に加えて以下に示す効果をも得る
ことができる。
【0118】(イ)即ち、本実施の形態では、異常判定
要素(λ積算値Tλ,FAF積算値TFAF)に対応し
た正常・異常判定マップを用い、そのマップ上で空燃比
フィードバック制御系の異常を判定するようにした。か
かる場合、正常・異常判定領域の判断がより一層簡便に
実現できる。
【0119】(ロ)また、前記図15のマップには、λ
積算値Tλ,FAF積算値TFAFのそれぞれに応じて
複数に均等区分された小領域を多数設け(本実施の形態
では、16×16=256領域)、個々の小領域につい
て、正常である旨のデータ又は異常であることのデータ
を記憶しておくようにした。従って、正常・異常判定領
域を比較的大領域で設けた場合(例えば、4×4=16
領域)に比べて、緻密な正常・異常判定を実施すること
ができる。
【0120】(ハ)さらに、本実施の形態では、正常・
異常判定マップの正常又は異常データを必要に応じて学
習するようにした。その結果、一方(A/Fセンサ26
又はECU41のいずれか)の異常の影響から他方にも
異常の症状が現れるような事態にも、より正確な異常診
断が実施できる。
【0121】なお、本発明は、上記各実施の形態の他に
次のように具体化することもできる。 (1)上記各実施の形態では、1280ms間のλ積算
値Tλ及びFAF積算値TFAFを算出し、その算出結
果を用いて異常判定を行ったが、λ積算値Tλ及びFA
F積算値TFAFを算出する期間を短くしたり、又は長
くしたりしてもよい。例えば、図18に示すように、λ
積算値Tλ及びFAF積算値TFAFに応じてこれら積
算値を積算する期間を変更するようにしてもよい(図で
は、320ms,640ms,1280ms)。このと
き、λ積算値Tλ及びFAF積算値TFAFが大きい場
合ほど機関運転状態が過渡状態であると推測されるた
め、積算期間を長くするようにしている。
【0122】(2)上記各実施の形態では、異常判定の
実行回数を5回とし(図9のルーチン参照)、この5回
の異常判定回数内に3回以上、異常の旨が判定されれば
最終的に空燃比フィードバック制御系の異常があると判
定したが、この異常判定回数を図19に示すように変更
してもよい。図19では、λ積算値Tλ及びFAF積算
値TFAFに応じて、3回、5回、7回の実行回数が設
定されており、Tλ及びTFAFが大きい場合ほど機関
運転状態が過渡状態であると推測されるため、実行回数
を多くするようにしている。この場合、最終的に空燃比
フィードバック制御系の異常であると判定する際のλ異
常,FAF異常の判定回数(図9のステップ256,2
62)は、3回のままでもよいし、変更してもよい。
【0123】(3)上記各実施の形態では、第1,第2
の異常判定要素としてλ積算値Tλ及びFAF積算値T
FAFを用いたが、これを変更してもよい。例えば、単
にA/Fセンサ26により検出された空燃比λと目標空
燃比λTGとの偏差を算出すると共に、空燃比補正係数F
AFと当該FAFの平均値FAFAVとの偏差を算出
し、これら空燃比の偏差及びFAFの偏差を第1,第2
の異常判定要素とする。そして、上記各異常判定要素に
応じて空燃比フィードバック制御系の異常を診断するよ
うにしてもよい。この場合、第1の実施の形態のように
しきい値による異常判定を行ってもよいし、第2の実施
の形態のようにマップ上での異常判定を行ってもよい。
【0124】(4)上記各実施の形態では、正常・異常
を判定するためのしきい値をλ積算値Tλ及びFAF積
算値TFAFのそれぞれに対して複数設けていたが、こ
のしきい値を1つにしてもよい。また、λ積算値Tλ及
びFAF積算値TFAFのそれぞれに対して同数のしき
い値を設けていたが、各々に異なる数のしきい値を設け
るようにしてもよい。
【0125】(5)上記第2の実施の形態において、正
常・異常判定マップの領域を区画するためのしきい値の
数を変更し、当該区画される領域数を増やしたり、減ら
したりすることもできる。例えば領域数を減らせば判定
精度は多少ラフなものになるが、メモリ容量を軽減する
ことができる。
【0126】(6)最終異常判定フラグXDGが一旦セ
ットされた後には、それ以降、異常判定処理を実施しな
いようにし、CPU42の演算負荷を軽減させるように
してもよい。この場合、例えば図6の異常判定条件に最
終異常判定フラグXDGがセットされていないことを確
認する条件を追加する。そして、最終異常判定フラグX
DGがセットされていれば、以降の処理をバイパスして
そのまま本ルーチンを終了する。
【0127】(7)上記実施の形態では、現代制御理論
を用いて空燃比フィードバック制御を実現した空燃比制
御システムに本発明のセンサ異常診断処理を具体化した
が、当然ながら他の制御(例えば、PID制御等)によ
るシステムで本発明を具体化してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の形態における内燃機関の空燃比制
御装置の全体構成図。
【図2】A/Fセンサの詳細な構成を示す断面図。
【図3】A/Fセンサの電圧−電流特性を示す図。
【図4】空燃比フィードバック制御システムの原理を説
明するためのブロック図。
【図5】燃料噴射量算出ルーチンを示すフローチャー
ト。
【図6】空燃比フィードバック制御系の異常を判定する
ためのメインルーチンを示すフローチャート。
【図7】λ積算値算出のサブルーチンを示すフローチャ
ート。
【図8】FAF積算値算出のサブルーチンを示すフロー
チャート。
【図9】異常判定サブルーチンを示すフローチャート。
【図10】目標空燃比λTGに対する空燃比λの変化状
態、及び空燃比補正係数平均値FAFAVに対する空燃
比補正係数FAFの変化状態を示すタイムチャート。
【図11】しきい値A,B,C,Dにより区画されたλ
積算値及びFAF積算値の正常・異常判定領域を示す
図。
【図12】空燃比フィードバック制御系の異常判定動作
をより具体的に示すタイムチャート。
【図13】しきい値学習ルーチンを示すフローチャー
ト。
【図14】第2の実施の形態における異常判定サブルー
チンを示すフローチャート。
【図15】λ積算値及びFAF積算値に応じて小領域に
区分された正常・異常判定マップ。
【図16】判定領域学習ルーチンを示すフローチャー
ト。
【図17】図16のルーチンにより学習された結果を示
す正常・異常判定マップ。
【図18】λ積算値及びFAF積算値に応じてTλ,T
FAFの積算時間を設定するためのマップ。
【図19】λ積算値及びFAF積算値に応じて異常判定
回数を設定するためのマップ。
【符号の説明】
1…内燃機関、26…空燃比センサとしてのA/Fセン
サ、42…空燃比補正係数設定手段,空燃比フィードバ
ック制御手段,第1の要素演算手段,第2の要素演算手
段,異常診断手段,判定領域学習手段としてのCPU、
45…メモリとしてのバックアップRAM。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内燃機関の空燃比に対してリニアに出力を
    増減させる空燃比センサと、 前記空燃比センサにより検出された空燃比と目標空燃比
    との偏差に応じた空燃比補正係数を設定する空燃比補正
    係数設定手段と、 前記空燃比補正係数設定手段により設定された空燃比補
    正係数を用いて、前記内燃機関への燃料供給量を補正す
    る空燃比フィードバック制御手段とを備えた空燃比フィ
    ードバック制御システムに適用されるものであって、 前記空燃比センサにより検出された空燃比から第1の異
    常判定要素を演算する第1の要素演算手段と、 前記空燃比補正係数設定手段により設定された空燃比補
    正係数から第2の異常判定要素を演算する第2の要素演
    算手段と、 前記第1,第2の異常判定要素をそれぞれ少なくとも1
    つのしきい値にて区画した複数の正常・異常判定領域に
    対応させ、当該対応した領域に応じて空燃比フィードバ
    ック制御系の異常を診断する異常診断手段を備えること
    を特徴とする空燃比フィードバック制御系の異常診断装
    置。
  2. 【請求項2】前記第1の要素演算手段は、前記空燃比セ
    ンサにより検出された空燃比と目標空燃比との偏差を前
    記第1の異常判定要素として演算し、 前記第2の要素演算手段は、前記空燃比補正係数設定手
    段により設定された空燃比補正係数と当該補正係数の平
    均値との偏差を前記第2の異常判定要素として演算する
    ことを特徴とする請求項1に記載の空燃比フィードバッ
    ク制御系の異常診断装置。
  3. 【請求項3】前記第1の要素演算手段は、前記空燃比セ
    ンサにより検出された空燃比と目標空燃比との偏差を逐
    次積算して前記第1の異常判定要素を演算し、 前記第2の要素演算手段は、前記空燃比補正係数設定手
    段により設定された空燃比補正係数と当該補正係数の平
    均値との偏差を逐次積算して前記第2の異常判定要素を
    演算することを特徴とする請求項1に記載の空燃比フィ
    ードバック制御系の異常診断装置。
  4. 【請求項4】前記異常診断手段は、予め設定されている
    異常診断回数内において所定回数以上、その時の前記第
    1,第2の異常判定要素が異常判定領域に属すると判定
    された場合、最終的に空燃比フィードバック制御系の異
    常である旨を診断する請求項1〜3のいずれかに記載の
    空燃比フィードバック制御系の異常診断装置。
  5. 【請求項5】前記異常診断手段は、目標空燃比に対する
    空燃比の変動量、及び平均値に対する空燃比補正係数の
    変動量が所定値未満の領域について、空燃比フィードバ
    ック制御系が正常である旨の判定を禁止する請求項1に
    記載の空燃比フィードバック制御系の異常診断装置。
  6. 【請求項6】前記第1,第2の異常判定要素について、
    それらに対応する複数の正常・異常判定領域をマップと
    してメモリに記憶保持しておき、前記異常診断手段は、
    前記マップ上の正常・異常判定領域により異常診断を実
    施する請求項1に記載の空燃比フィードバック制御系の
    異常診断装置。
  7. 【請求項7】請求項6に記載の空燃比フィードバック制
    御系の異常診断装置において、 前記マップは、前記第1,第2の異常判定要素のそれぞ
    れに応じて複数に均等区分された領域を多数有し、各領
    域には正常である旨のデータ又は異常であることのデー
    タが記憶されている空燃比フィードバック制御系の異常
    診断装置。
  8. 【請求項8】前記第1,第2の異常判定要素に対応する
    正常・異常判定領域を所定の学習条件に基づいて学習す
    る判定領域学習手段を備えた請求項1〜7のいずれかに
    記載の空燃比フィードバック制御系の異常診断装置。
  9. 【請求項9】請求項8に記載の空燃比フィードバック制
    御系の異常診断装置において、 前記判定領域学習手段は、前記第1の異常判定要素に基
    づいて異常が検出された場合に空燃比補正係数に係わる
    正常判定領域を拡大させるよう正常・異常判定領域を学
    習し、他方、前記第2の異常判定要素に基づいて異常が
    検出された場合に空燃比に係わる正常判定領域を拡大さ
    せるよう正常・異常判定領域を学習する空燃比フィード
    バック制御系の異常診断装置。
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