JP3834898B2 - 空燃比センサの異常診断装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、内燃機関の空燃比に対してリニアに出力を増減させる空燃比センサの異常診断装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の空燃比制御システムにおいては、排気ガス中の酸素濃度に応じてリニアに空燃比を検出する空燃比センサ(例えば、限界電流式酸素センサ)が用いられており、マイクロコンピュータは前記空燃比センサにより検出された空燃比を取り込んで内燃機関への燃料噴射量を制御する。具体的には、マイクロコンピュータは、前記検出空燃比と目標空燃比との偏差に基づいて空燃比補正係数FAFを算出し、該FAF値にて燃料噴射量を補正する。これにより、内燃機関での最適な燃焼が実現され、排気ガス中の有害成分(CO,HC,NOX 等)が低減される。
【0003】
一方、こうした空燃比制御システムでは、空燃比センサに異常が発生して同センサによる検出空燃比の信頼性が低下すると、空燃比の制御精度が著しく悪化し、ひいては上記有害成分の排出量が増加する、すなわちエミッションが悪化するという問題を引き起こすことになる。つまり、空燃比をリニアに検出する空燃比センサを用いた空燃比制御システムでは、センサ出力に追従してFAF値が逐次変化し、該FAF値を用いて燃料供給量を補正することで精密な空燃比制御が実現される。従って、空燃比センサが正常であればその検出結果は実際の空燃比を反映したものとなり、空燃比フィードバックの制御精度が保持されてエミッションが良好に保たれるが、空燃比センサが異常になればその検出結果は実際の空燃比を反映できず、空燃比フィードバックの制御精度が低下してエミッションが悪化する。因みに、空燃比センサの異常モードとしては、センサ出力の特性異常や応答性の低下といったものが従来より知られている。
【0004】
ここで、センサ出力の特性異常を図23(a)を用いて説明する。すなわち、センサ正常時には、同図に実線で示すように検出空燃比(検出λ)と実際の空燃比(実λ)とが略一致するのに対し、センサ異常時には、破線で示すように実λに対して検出λが小さくなったり又は大きくなったりする。この特性異常の原因としては、熱による電極凝集、電極剥離、素子割れ(拡散抵抗層の割れ又は固体電解質層の割れ)といった経時変化に起因するものや、導通不良或いは絶縁不良に起因するもの等が考えられる。
【0005】
また、センサ出力の応答性が低下する異常を図23(b)を用いて説明する。すなわち、センサ出力の応答性低下時には、例えば図示するように燃料噴射量がリーン側からリッチ側に変化した際において実λの推移に対して検出λの推移が大幅に遅れることになる。この応答性低下の原因としては、センサの汚損によるカバーや多孔質電極層の目詰まりやヒータ異常による活性不良といった原因が考えられる。
【0006】
以上のように空燃比センサは、多々ある要因からその出力が異常となりうるものであり、従来より同空燃比センサの異常診断を精度良く検出するための技術が要望されていた。こうした要望に対し、例えば空燃比センサによる検出空燃比の挙動、或いはFAF値の挙動に基づいてセンサ異常を診断する装置が提案されていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、空燃比のフィードバック制御では一般に、例えば燃料タンクでの蒸発燃料(エバポガス)を機関吸気系に放出するために前記FAF値が目標値(例えば、基準値=1.0)から不用意にずれたり、過渡運転時にも同じくFAF値が目標値からずれたりする。さらに、バッテリの交換直後に空燃比学習値がクリアされている場合にも、機関の個体差に応じてFAF値に誤差が生じたりする。そのため、こうしたFAF値の変動時において、既存のセンサ異常の診断処理を実施すると、誤診断を生じ易いという問題があった。
【0008】
本発明は、上記従来の問題に着目してなされたものであってその目的は、空燃比センサの異常を精度良く診断し、ひいては当該空燃比センサの検出結果を用いた空燃比制御システムの制御精度向上に貢献することができる空燃比センサの異常診断装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明ではその特徴として、空燃比センサにより検出された空燃比が変動する際の速度変化量と、空燃比補正係数が変動する際の速度変化量とを比較し、その比較結果に基づいて空燃比センサの異常を診断するようにしている。
【0010】
要するに、空燃比センサによる検出空燃比と、空燃比補正係数FAFとを比較した場合、それらの感度は互いに独立したものであり、例えばセンサ異常が発生してその応答性が低下した場合にはその差が顕著になる。具体的には、センサの応答性低下時には、検出空燃比の変化速度が大幅に遅くなるのに対し、FAF値の変化速度の遅れは比較的小さい。これは、例えばセンサ応答性が低下しても、FAF値は設計当初の適合値に基づいて推移しようとするためである。
【0011】
従って、検出空燃比の速度変化量とFAF値の速度変化量とを異常診断のパラメータとして両パラメータを比較判定すれば、空燃比センサの異常を精度良く診断することができることとなる。この場合、実機への適用に際し、既述したようにエバポパージ、空燃比学習値のクリア処理、過渡運転等によりFAF値が変動しても、両パラメータの算出誤差への影響が少なく、異常診断の誤検出が防止できる。その結果、信頼性の高い空燃比制御システムが実現でき、エミッションが悪化する等の不都合を抑制することができる。
【0012】
上記請求項1に記載した発明の具体的構成として、請求項2に記載の発明では、空燃比が変動した際の速度変化量を空燃比の2階差分演算により求めるようにし、請求項3に記載の発明では、空燃比補正係数が変動した際の速度変化量を補正係数の2階差分演算により求めるようにしている。また、請求項4に記載の発明では、空燃比が変動した際の速度変化量及び空燃比補正係数が変動した際の速度変化量を、空燃比変動及び前記補正係数変動の振幅により求めるようにしている。
【0013】
この場合、上記の如く各々の速度変化量を算出するようにすれば、これら速度変化量に適確に対応したパラメータが得られることとなり、センサ異常の診断精度が向上する。
【0014】
また、請求項5に記載の発明では、空燃比の2階差分値を所定期間で積算し、その積算値を前記空燃比が変動した際の速度変化量とすると共に、空燃比補正係数の2階差分値を所定期間で積算し、その積算値を前記補正係数が変動した際の速度変化量とする。また、空燃比の2階差分値の積算値と空燃比補正係数の2階差分値の積算値との比を所定の異常判定値と比較し、その比較結果から前記空燃比センサの異常を診断するようにしている。
【0015】
すなわち、空燃比及びFAFの2階差分値を所定期間内で積算することは、空燃比センサの特性異常や応答性異常といった現象をフィードバック制御系に相関させつつ、各々の挙動の差を明確化するための一手法であり、これら積算値の比を求めれば、センサ異常(特性異常や応答性異常)が容易に診断できるようになる。
【0016】
請求項6に記載の発明では、空燃比変動の振幅を所定時間で積算し、その積算値を前記空燃比が変動した際の速度変化量とすると共に、空燃比補正係数変動の振幅を所定期間で積算し、その積算値を前記補正係数が変動した際の速度変化量とする。また、空燃比変動の振幅の積算値と空燃比補正係数変動の振幅の積算値との比を所定の異常判定値と比較し、その比較結果から前記空燃比センサの異常を診断するようにしている。
【0017】
つまり、本構成でも前記請求項5の構成と同様に、空燃比変動及びFAF変動の振幅を所定期間内で積算することは、空燃比センサの特性異常や応答性異常といった現象をフィードバック制御系に相関させつつ、各々の挙動の差を明確化するための一手法であり、これら積算値の比を求めれば、センサ異常が容易に診断できるようになる。
【0018】
因みに、請求項5,6の発明の積算処理に際し、異常診断の精度を向上させるにはその積算時間をできるだけ長く設定するのが望ましいが、少なくとも空燃比変動又はFAF変動の半波長分だけを積算すれば請求項5,6のいずれの手法においても同等の精度で異常診断が実施できることになる(但し、各変動は略正弦波状に推移し、その半波長内で複数回の積算が実施される)。このことは、空燃比変動又はFAF変動の2階差分値が各変動時の加速度に相当すると共に、空燃比変動又はFAF変動の振幅が各変動時の速度の振幅に相当し、空燃比変動又はFAF変動の波形から見ると前記両者の積算値が実質上同意になることから言えることである。
【0019】
請求項7に記載の発明では、前記異常判定値を機関運転状態に応じて可変に設定するようにしている。この場合、例えば吸気圧、機関回転数、スロットル開度、水温等の機関運転条件が変化したとしても、それに追従した正確な異常診断が実施できる。
【0020】
請求項8に記載の発明では、空燃比λが変動した際の速度変化量と、空燃比補正係数FAFが変動した際の速度変化量との比を所定の異常判定値Aと比較する場合に、
(FAFの速度変化量/λの速度変化量)<A
であれば、前記空燃比センサが正常である旨を診断するようにしている。つまり、既述したように、センサの応答性低下時には概ね、検出λの変化速度が大幅に遅くなるのに対し、FAF値の変化速度の遅れの程度は比較的小さい。そのため、本構成の診断処理によれば、センサ応答性が低下するといった異常が好適に診断できることとなる。
【0021】
請求項9に記載の発明では、空燃比λが変動した際の速度変化量と、空燃比補正係数FAFが変動した際の速度変化量との比を所定幅の異常判定値B1,B2と比較する場合に、
B1<(FAFの速度変化量/λの速度変化量)<B2
であれば、前記空燃比センサが正常である旨を診断するようにしている。つまり、センサの特性異常時はその出力が実際の空燃比に対して大きくなるか、若しくは小さくなる(図23(a)参照)。そのため、本構成の診断処理のように異常診断パラメータの正常域(B1〜B2)を設定すれば、センサの特性異常が好適に診断できることとなる。
【0022】
なお、請求項8及び請求項9の発明では、前記請求項7に記載したように、異常判定値A,B1,B2を機関運転状態に応じて可変に設定することも可能である。
【0023】
請求項10に記載の発明では、空燃比が変動した際の速度変化量及び空燃比補正係数が変動した際の速度変化量に対し、平滑化処理を実施するようにしている。この場合には、多気筒内燃機関に本発明を適用する際において、各要素の気筒間バラツキを解消することができ、センサ異常の診断精度をより一層向上させることが可能となる。
【0024】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明を内燃機関の空燃比制御装置において具体化した第1の実施の形態を説明する。
【0025】
図1は本実施の形態における内燃機関の空燃比制御装置が設けられた内燃機関とその周辺機器の概略構成図である。図1に示すように、内燃機関1は4気筒4サイクルの火花点火式として構成されている。その吸入空気は上流よりエアクリーナ2、吸気管3、スロットルバルブ4、サージタンク5及びインテークマニホールド6を通過して、インテークマニホールド6内で各燃料噴射弁7から噴射された燃料と混合され、所定空燃比の混合気として各気筒に供給される。また、内燃機関1の各気筒に設けられた点火プラグ8には、点火回路9から供給される高電圧がディストリビュータ10にて分配供給され、点火プラグ8は前記各気筒の混合気を所定タイミングで点火する。そして、燃焼後の排気ガスはエキゾーストマニホールド11及び排気管12を通過し、排気管12に設けられた三元触媒13にて有害成分(CO、HC、NOX 等) が浄化されて大気に排出される。
【0026】
前記吸気管3には吸気温センサ21及び吸気圧センサ22が設けられ、吸気温センサ21は吸入空気の温度(吸気温Tam)を、吸気圧センサ22はスロットルバルブ4の下流側の吸入空気の圧力(吸気圧PM)をそれぞれ検出する。また、前記スロットルバルブ4には同バルブ4の開度(スロットル開度TH)を検出するためのスロットルセンサ23が設けられ、このスロットルセンサ23はスロットル開度THに応じたアナログ信号を出力すると共に、スロットルバルブ4が略全閉である旨の検出信号を出力する。また、内燃機関1のシリンダブロックには水温センサ24が設けられ、この水温センサ24は内燃機関1内の冷却水の温度(冷却水温Thw)を検出する。前記ディストリビュータ10には内燃機関1の回転数(機関回転数Ne)を検出するための回転数センサ25が設けられ、この回転数センサ25は内燃機関1の2回転、すなわち720°CA毎に等間隔で24個のパルス信号を出力する。
【0027】
さらに、前記排気管12の三元触媒13の上流側には、内燃機関1から排出される排気ガスの酸素濃度に比例して広域で且つリニアな空燃比信号を出力する、限界電流式酸素センサからなるA/Fセンサ(空燃比センサ)26が設けられている。また、三元触媒13の下流側には、空燃比λが理論空燃比(=14.7)に対してリッチかリーンかに応じた電圧VOX2を出力する下流側O2 センサ27が設けられている。なお、本実施の形態では、空燃比を空気過剰率「λ」で表し、理論空燃比(=14.7)を空燃比λ=1として記載する。
【0028】
図2は、A/Fセンサ26の概略を示す断面図である。図2において、A/Fセンサ26は排気管12の内部に向けて突設されており、同センサ26はカバー31、センサ本体32及びヒータ33に大別される。カバー31は断面コ字状をなし、その周壁にはカバー内外を連通する多数の小孔31aが形成されている。センサ本体32は、空燃比リーン領域における酸素濃度、若しくは空燃比リッチ領域における一酸化炭素(CO)濃度に対応する限界電流を発生する。
【0029】
センサ本体32の構成について詳述する。センサ本体32において、断面カップ状に形成された固体電解質層34の外表面には、排気ガス側電極層36が固着され、内表面には大気側電極層37が固着されている。また、排気ガス側電極層36の外側には、プラズマ溶射法等により拡散抵抗層35が形成されている。固体電解質層34は、ZrO2 、HfO2 、ThO2 、Bi2 O3 等にCaO、MgO、Y2 O3 、Yb2 O3 等を安定剤として固溶させた酸素イオン伝導性酸化物焼結体からなり、拡散抵抗層35は、アルミナ、マグネシャ、ケイ石質、スピネル、ムライト等の耐熱性無機物質からなる。排気ガス側電極層36及び大気側電極層37は共に、白金等の触媒活性の高い貴金属からなりその表面には多孔質の化学メッキ等が施されている。なお、排気ガス側電極層36の面積及び厚さは、10〜100mm^2(平方ミリメートル)及び0.5〜2.0μm程度となっており、一方、大気側電極層37の面積及び厚さは、10mm^2(平方ミリメートル)以上及び0.5〜2.0μm程度となっている。
【0030】
ヒータ33は大気側電極層37内に収容されており、その発熱エネルギーによりセンサ本体32(大気側電極層37、固体電極質層34、排気ガス側電極層36及び拡散抵抗層35)を加熱する。ヒータ33は、センサ本体32を活性化するに十分な発熱容量を有している。
【0031】
上記構成のA/Fセンサ26において、センサ本体32は理論空燃比点よりリーン領域では酸素濃度に応じた限界電流を発生する。この場合、酸素濃度に対応する限界電流は、排気ガス側電極層36の面積、拡散抵抗層35の厚さ、気孔率及び平均孔径により決定される。また、センサ本体32は酸素濃度を直線的特性にて検出し得るものであるが、このセンサ本体32を活性化するのに約650℃以上の高温が必要とされると共に、同センサ本体32の活性温度範囲が狭いため、内燃機関1の排気ガスのみによる加熱ではセンサ本体32を活性温度域に保持できない。そのため、本実施の形態では、ヒータ33の加熱制御によりセンサ本体32を所定の活性温度にまで加熱するようにしている。なお、理論空燃比よりもリッチ側の領域では未燃ガスである一酸化炭素(CO)の濃度が空燃比に対してほぼリニアに変化し、センサ本体32はCO濃度に応じた限界電流を発生する。
【0032】
センサ本体32の電圧−電流特性について図3を用いて説明する。図3によれば、A/Fセンサ26の検出酸素濃度(空燃比)に比例する固体電解質層34への流入電流と、同固体電解質層34への印加電圧とがリニアな特性を有することが分かる。そして、センサ本体32が温度T=T1にて活性状態にあるとき、図3の実線で示すように特性線L1でもって安定した状態を示す。かかる場合、特性線L1の電圧軸Vに平行な直線部分がセンサ本体32の限界電流を特定する。この限界電流の増減は空燃比の増減(即ち、リーン・リッチ)に対応しており、空燃比がリーン側になるほど限界電流は増大し、空燃比がリッチ側になるほど限界電流は減少する。
【0033】
また、この電圧−電流特性において電圧軸Vに平行な直線部分よりも小さい電圧域は抵抗支配域となっており、その抵抗支配域における特性線L1の傾きは、センサ本体32における固体電解質層34の内部抵抗により特定される。固体電解質層34の内部抵抗は温度変化に伴い変化するため、センサ本体32の温度が低下すると抵抗の増大により上記傾きが小さくなる。つまり、センサ本体32の温度TがT1よりも低いT2にあるとき、電流−電圧特性は図3の破線で示すように特性線L2でもって特定される。かかる場合、特性線L2の電圧軸Vに平行な直線部分がT=T2におけるセンサ本体32の限界電流を特定するもので、この限界電流は特性線L1による限界電流とほぼ一致している。
【0034】
そして、特性線L1において、センサ本体32の固体電解質層34に正の印加電圧Vposを印加すれば、センサ本体32に流れる電流が限界電流Iposとなる(図3の点Pa参照)。また、センサ本体32の固体電解質層34に負の印加電圧Vnegを印加すれば、センサ本体32に流れる電流が酸素濃度に依存せず、温度のみに比例する負の温度電流Inegとなる(図3の点Pb参照)。
【0035】
また、図1の内燃機関1の運転を制御する電子制御装置(以下、ECUという)41は、CPU(中央処理装置)42、ROM(リードオンリメモリ)43、RAM(ランダムアクセスメモリ)44、バックアップRAM45等を中心に論理演算回路として構成され、これらCPU42、ROM43、RAM44及びバックアップRAM45は前記各センサの検出信号を入力する入力ポート46及び各アクチュエータに制御信号を出力する出力ポート47等に対しバス48を介して相互に接続されている。そして、ECU41は、入力ポート46を介して前記の各種センサから吸気温Tam、吸気圧PM、スロットル開度TH、冷却水温Thw、機関回転数Ne、空燃比信号等を入力してそれらの各値に基づいて燃料噴射量TAU、点火時期Ig等の制御信号を算出し、さらに、それら制御信号を出力ポート47を介して燃料噴射弁7及び点火回路9等にそれぞれ出力する。また、ECU41は後述するセンサ異常診断処理を実行してA/Fセンサ26の異常の有無を診断し、異常時には警告灯49を点灯して運転者に異常発生の旨を警告する。
【0036】
一方、内燃機関1に供給される燃料(ガソリン)を保有する燃料タンク50には、タンクポート通路51を介してキャニスタ52が接続されており、このキャニスタ52には燃料タンク50内で発生する蒸発燃料を吸着する吸着剤としての活性炭が収納されている。キャニスタ52には外気を導入するための大気ポート53が設けられている。また、キャニスタ52と吸気管3内のスロットルバルブ4下流側との間は放出通路54により接続されており、キャニスタ52から給送される蒸発ガスは吸気管2の集合部(図示しないインテークマニホールドの上流部)に放出されるようになっている。
【0037】
放出通路54の途中には、ECU41からの制御信号に応じてパージ流量を制御するパージVSV(Vacuum Switching Valve)55が配設されている。つまり、パージVSV55にECU41から制御信号を供給し、それによりキャニスタ52と前記吸気管2とが放出通路54を介して連通されるようにしてやれば、大気中から新気が大気ポート53を介して導入される。こうして新気がキャニスタ52内を換気して内燃機関1の吸気管2内に送り込まれることにより、キャニスタ52の吸着機能が回復されることになる。このときの新気の導入量に基づくパージ流量は、ECU41からパージVSV55に供給されるパルス信号のデューティ比を変えることにより調整される。要するに、パージVSV55は、ECU41からのパルス幅変調に基づくデューティ比信号により開度調整され、キャニスタ52からの蒸発燃料を含む空気のパージ流量を調整する。
【0038】
次に、上述した燃料噴射制御システムにおいて、空燃比制御を行うために予め設計されている手法について順次説明する。なお、以下の設計手法は特開平1−110853号公報に開示されている。
【0039】
(1)制御対象のモデリング
この実施の形態では、内燃機関1の空燃比λを制御するシステムのモデルに、むだ時間P=3を有する次数1の自己回帰移動平均モデルを用い、更に外乱dを考慮して近似している。
【0040】
まず、自己回帰移動平均モデルを用いた空燃比λを制御するシステムのモデルは、次の式(1)により近似できる。
【0041】
【数1】
【0042】
但し、この式(1)において、符号FAFは空燃比補正係数を表す。また、符号a,bはモデルの応答性を決定するためのモデル定数を表し、符号kは、最初のサンプリング開始からの制御回数を示す変数を表す。
【0043】
さらに、外乱dを考慮すると、制御システムのモデルは、次の式(2)で近似できる。
【0044】
【数2】
【0045】
以上のように近似したモデルに対し、ステップ応答を用いて回転周期(360°CA)サンプリングで離散化して上記モデル定数a,bを定めること、すなわち空燃比λを制御する系の伝達関数Gを求めることは容易である。
【0046】
(2)状態変数量Xの表示方法(ただし、Xはベクトル量である)
上記式(2)を、状態変数量X(k)=[X1(k),X2(k),X3(k),X4(k)]^Tを用いて書き直すと、下記の式(3)の如き行列式となり、更には式(4)のようになる。ここで、符号Tは転置行列を示す。また、「^」はべき乗を表すこととする(以下の記載についても同様の符号を用いる)。
【0047】
【数3】
【0048】
【数4】
【0049】
(3)レギュレータの設計
上記式(3),式(4)に基づいてレギュレータを設計すると、空燃比補正係数FAFは、最適フィードバックゲインK=[K1,K2,K3,K4]と、状態変数量X^T(k)=[λ(k),FAF(k−3),FAF(k−2),FAF(k−1)]とを用いて、次の式(5)のように表せる。
【0050】
【数5】
【0051】
さらに、この式(5)において、誤差を吸収させるための積分項ZI(k)加えると、空燃比補正係数FAFは、次の式(6)によって与えられる。
【0052】
【数6】
【0053】
なお、上記の積分項ZI(k)は、目標空燃比λTG及び現実の空燃比λ(k)間の偏差と積分定数Kaとから決まる値であって、次の式(7)により与えられる。
【0054】
【数7】
【0055】
図4は、上述のようにモデルを設計した空燃比λの制御システムのブロック線図を表す。なお、この図4においては、空燃比補正係数FAF(k)をFAF(k−1)から導出するためにZ-1変換を用いて表記したが、これは過去の空燃比補正係数FAF(k−1)をRAM44に記憶しておき、次の制御タイミングで読み出して用いている。因みに、「FAF(k−1)」は1回前の空燃比補正係数を表し、「FAF(k−2)」は2回前の空燃比補正係数を表し、「FAF(k−3)」は3回前の空燃比補正係数を表す。
【0056】
また、同図4において、二点鎖線で囲まれたブロックP1が、空燃比λ(k)を目標空燃比λTGにフィードバック制御している状態にて状態変数量X(k)を定める部分であり、ブロックP2が、積分項ZI(k)を求める部分(累積部)であり、そしてブロックP3が、ブロックP1で定められた状態変数量X(k)とブロックP2で求められた積分項ZI(k)とから今回の空燃比補正係数FAF(k)を演算する部分である。
【0057】
(4)最適フィードバックゲインK及び積分定数Kaの決定
最適フィードバックゲインK及び積分定数Kaは、例えば次の式(8)で示される評価関数Jを最小にすることで設定できる。
【0058】
【数8】
【0059】
但しこの式(8)において、評価関数Jは、空燃比補正係数FAF(k)の動きを制約しつつ、空燃比λ(k)と目標空燃比λTGとの偏差を最小にすることを意図したものである。また、空燃比補正係数FAF(k)に対する制約の重み付けは、重みのパラメータQ,Rの値によって変更できる。従って、重みパラメータQ,Rの値を種々変えて最適な制御特性が得られるまでシミュレーションを繰り返し、最適フィードバックゲインK及び積分定数Kaを定めればよい。
【0060】
さらに、最適フィードバックゲインK及び積分定数Kaは、先のモデル定数a,bに依存している。従って、実際の空燃比λを制御する系の変動(パラメータ変動)に対するシステムの安定性(ロバスト性)を保証するためには、これら各モデル定数a,bの変動分を見込んで、最適フィードバックゲインK及び積分定数Kaを設定する必要がある。よって、シミュレーションは、各モデル定数a,bの現実に生じ得る変動を加味して行い、安定性を満足する最適フィードバックゲインK及び積分定数Kaを定める。
【0061】
以上、(1)制御対象のモデリング、(2)状態変数量の表示方法、(3)レギュレータの設計、(4)最適フィードバックゲイン及び積分定数の決定について説明したが、該実施の形態の装置では、これらは何れも既に設定されているものとする。そして、ECU41では、前記式(6)及び式(7)のみを用いて、該燃料噴射制御システムにおける空燃比制御を実行するものとする。
【0062】
次に、上記のように構成された本実施の形態における空燃比制御装置の動作を説明する。
図5は、ECU41内のCPU42により実行される燃料噴射量算出ルーチンを示すフローチャートであり、同ルーチンは、内燃機関1の回転に同期して360°CA毎に実行される。
【0063】
さて、CPU42は、先ずステップ101で吸気圧PM、機関回転数Ne等に基づいて基本燃料噴射量Tpを算出し、続くステップ102で空燃比λのフィードバック条件が成立しているか否かを判別する。ここで、周知のようにフィードバック条件とは、冷却水温Thwが所定水温以上で、且つ高回転・高負荷でないときに成立する。現時点にてフィードバック条件が成立していれば、CPU42はステップ103に進み、空燃比λを目標空燃比λTG(本実施の形態では、理論空燃比λ=1としている)とするための空燃比補正係数FAFを設定し、その後ステップ104に進む。すなわち、ステップ103では、前述の式(6)及び式(7)に基づいて目標空燃比λTGとA/Fセンサ26にて検出された空燃比λ(k)とから空燃比補正係数FAFが算出される。
【0064】
また、前記ステップ102でフィードバック条件が成立していなければ、CPU42はステップ105に進んで空燃比補正係数FAFを「1.0」に設定し、その後ステップ104に進む。この場合、FAF=1.0とは空燃比λを補正しないことを意味し、いわゆるオープン制御が実施される。
【0065】
ステップ104では、CPU42は、次の式(9)に従って基本燃料噴射量Tp、空燃比補正係数FAF及びその他の補正係数FALLから燃料噴射量TAUを設定する。
【0066】
TAU=Tp・FAF・FALL ・・・(9)
その後、上記燃料噴射量TAUに基づく制御信号が燃料噴射弁7に出力され、同弁7の開弁時間、即ち実際の燃料噴射時間が制御され、その結果、空燃比λが目標空燃比λTGに調整される。
【0067】
他方、本実施の形態の空燃比制御装置ではその特徴として、A/Fセンサ26により検出された空燃比λを用いてそのなまし値λSMの2階差分値Δ^2λSMを算出すると共に、空燃比補正係数FAFを用いてそのなまし値FAFSMの2階差分値Δ^2FAFSMを算出する。そして、これら2階差分値Δ^2λSM,Δ^2FAFSMの積算値Σ|Δ^2λSM|及びΣ|Δ^2FAFSM|の比と所定の判定値との比較結果に応じてA/Fセンサ26の特性異常や応答性異常を診断するようにしている。本実施の形態では、これら2階差分値の積算値Σ|Δ^2λSM|及びΣ|Δ^2FAFSM|がそれぞれ、空燃比λが変動した際の速度変化量及び空燃比補正係数FAFが変動した際の速度変化量に相当する。また、なまし値λSMが空燃比を平滑化した値に、なまし値FAFSMが補正係数FAFを平滑化した値に相当する。
【0068】
図6,7は、CPU42により例えば32ms周期(噴射同期でも可)で実行されるセンサ異常診断ルーチンを示すフローチャートであり、以下、このフローを用いて異常診断手順を説明する。
【0069】
同ルーチンがスタートすると、CPU42は、先ず図6のステップ201でA/Fセンサ26の活性状態を判別する。具体的には、A/Fセンサ26の素子温(センサ本体32の温度)が650℃以上、或いはA/Fセンサ26の素子抵抗が90Ω以下であれば、A/Fセンサ26が活性化している旨が判別される。また、CPU42は、ステップ202でA/Fセンサ26以外の他の異常が検出されていないか否かを判別する。この処理は、他の異常がA/Fセンサ26の異常診断に影響を与えないことを判別するために実施される。
【0070】
そして、上記ステップ201,202が共に成立することを条件に、CPU42はステップ300に進み、後述する図8,9のサブルーチンにより積算値Σ|Δ^2λSM|,Σ|Δ^2FAFSM|を算出する。
【0071】
その後、CPU42は、ステップ203で積算時間カウンタCDG1が所定値KX1(本実施の形態では、積算時間30秒に相当する数値)になったか否かを判別する。そして、CDG1≠KX1であれば、CPU42はそのまま本ルーチンを終了し、CDG1=KX1であればステップ204に進む。CPU42は、ステップ204で積算値Σ|Δ^2λSM|,Σ|Δ^2FAFSM|の比を異常診断パラメータとして、そのパラメータと所定の異常判定値αとを比較判別する。すなわち、
Σ|Δ^2FAFSM|/Σ|Δ^2λSM|<α
が成立するか否かを判別する。
【0072】
この場合、上記の不等式が成立することは、空燃比λとFAF値との速度変化量が良好な状態で相関しつつ変化していることを意味し、例えばA/Fセンサ26の応答性が確保されていることに相当する。ここで、図10には、センサ応答性と上記異常診断パラメータ「(Σ|Δ^2FAF|)/(Σ|Δ^2λ|)」との関係を表す特性線Laを示しており(但し、Σ|Δ^2FAF|,Σ|Δ^2λ|は、便宜上なまし処理をしていないパラメータ値で表す)、同図によれば、センサ応答性の良否の判定基準を例えば500msとした場合に、前記異常判定値αが特性線Laに応じて設定されるようになる。図10の特性線Laでは、センサ応答性が悪化するほど、「(Σ|Δ^2FAF|)/(Σ|Δ^2λ|)」の数値が大きくなっており、同図の縦軸に示す異常診断パラメータは、センサ応答性をより良く反映してセンサ異常を判定するには好都合であることが分かる。
【0073】
以上のことから、
Σ|Δ^2FAFSM|/Σ|Δ^2λSM|<α
であれば、A/Fセンサ26が正常であるとみなすことができ、
Σ|Δ^2FAFSM|/Σ|Δ^2λSM|≧α
であれば、A/Fセンサ26が異常であるとみなすことができることとなる。
【0074】
従って、ステップ204が成立すれば、CPU42は、センサ正常とみなしてステップ205に進み、ステップ204が不成立であれば、センサ異常とみなしてステップ207に進む。ステップ205に進むと、CPU42は異常判定カウンタCDG3をホールドし、続くステップ206で連続正常判定カウンタCDG4を「1」インクリメントする。また、ステップ207に進むと、CPU42は異常判定カウンタCDG3を「1」インクリメントし、続くステップ208で連続正常判定カウンタCDG4を「0」にクリアする。
【0075】
その後、CPU42は、ステップ209で積算値Σ|Δ^2λSM|を「0」にクリアし、続くステップ210で積算値Σ|Δ^2FAFSM|を「0」にクリアする。さらに、CPU42は、ステップ211で積算時間カウンタCDG1を「0」にクリアする。
【0076】
その後、CPU42は、図7のステップ212に進んで異常診断実行カウンタCDG2を「1」インクリメントし、続くステップ213で異常診断実行カウンタCDG2が所定値KX2(本実施の形態では、KX2=3)に達しているか否かを判別する。この場合、CDG2≠KX2であれば、CPU42はそのまま本ルーチンを終了し、CDG2=KX2であれば、ステップ214に進んでその時の異常判定カウンタCDG3が所定値KX3(本実施の形態では、KX3=2)以上であるか否かを判別する。
【0077】
このステップ214の処理が実質上、異常発生の有無を判定する処理に相当し、CDG3<KX3であれば、CPU42はステップ215に進んで異常判定フラグXDGAFを「0」にクリアする。この異常判定フラグXDGAFは、異常の有無の最終判断により操作されるものであって、XDGAF=0は異常無しの旨を表し、XDGAF=1は異常有りの旨を表す。
【0078】
一方、前記ステップ214においてCDG3≧KX3であれば、CPU42はステップ216に進んで異常判定フラグXDGAFに「1」をセットする。そして、このフラグ操作に伴い、CPU42は、続くステップ217で警告灯49を点灯させる。なお因みに、こうした異常判定時には、上記警告灯49の点灯処理の他に、空燃比フィードバック制御を停止させたりする等のダイアグ処理を実施してもよい。
【0079】
その後、CPU42は、ステップ218,219で異常診断実行カウンタCDG2及び異常判定カウンタCDG3を共に「0」にクリアする。
さらに、CPU42は、ステップ220で連続正常判定カウンタCDG4が所定値KX4(本実施の形態では、KX4=4)以上であるか否かを判別すると共に、続くステップ221で今現在、警告灯49が点灯中であるか否か、すなわち異常判定フラグXDGAFがセット状態されているか否かを判別する。そして、ステップ220,221のいずれかが否定判別されれば、CPU42はそのまま本ルーチンを終了する。また、ステップ220,221が共に肯定判別されれば、CPU42はステップ222に進んで警告灯49を消灯した後、本ルーチンを終了する。またこれと同時に、異常判定フラグXDGAFを「0」にクリアしておく。
【0080】
上記ステップ220〜222の処理は、A/Fセンサ26の異常が一時的に発生したものであって、その異常状態が回避された時にその旨を知らしめるものである。また、異常診断時に空燃比フィードバック制御が停止されるのであれば、当該制御を再開させるものである。
【0081】
次に、図8,図9のフローチャートを用いて前記6のステップ300の詳細な処理であるところの、積算値Σ|Δ^2λSM|,Σ|Δ^2FAFSM|の算出手順を説明する。
【0082】
図8のルーチンがスタートすると、CPU42は、空燃比フィードバックが実行中であることを条件に(ステップ301の診断条件が成立していることを条件に)、ステップ302〜304でA/Fセンサ26により検出された空燃比λを用いて2階差分値Δ^2λSMi (λの加速度に相当)を算出すると共に、ステップ305〜307で空燃比補正係数FAFを用いて2階差分値Δ^2FAFSMi (FAFの加速度に相当)を算出する。
【0083】
すなわちCPU42は、ステップ302でA/D変換後の空燃比λを読み込み、続くステップ303で前記読み込んだ空燃比λに対してフィルタリング処理を実施する。このフィルタリング処理は、気筒間バラツキの影響を取り除くために実施されるものであり、同処理では次の式(10)によりなまし値λSMi が求められる。
【0084】
λSMi =λSMi-1 +(λ−λSMi-1 )/k ・・・(10)
なお、上式の添字iはCPU42による処理回数に相当し、添字iを付した値は今回値を、添字i−1を付した値は前回値を示している。
【0085】
続くステップ304では、CPU42は次の式(11)を用いてなまし値λSMi の2階差分値Δ^2λSMi を算出する。
また、CPU42は、ステップ305で空燃比補正係数FAFを読み込み、続くステップ306で前記読み込んだ空燃比補正係数FAFに対してフィルタリング処理を実施する。このフィルタリング処理では次の式(12)によりなまし値FAFSMi が求められる。
【0086】
ステップ307では、CPU42は次の式(13)を用いてなまし値FAFSMi の2階差分値Δ^2FAFSMi を算出する。
【0087】
その後、CPU42は、ステップ308〜310で前記2階差分値Δ^2λSMi 及びΔ^2FAFSMi を積算するための条件(積算条件)が成立しているか否かを判別する。
【0088】
つまり、CPU42は、ステップ308で機関の暖機が完了しているか否かを判別する。具体的には、冷却水温Thwが所定温度Y1(例えば80℃)を越えるか否かを判別する。また、CPU42は、ステップ309で運転条件が所定条件を満たすか否かを判別する。具体的には、機関回転数Neが所定域Y2〜Y3(例えば、600〜4000rpm)の範囲内にあるか否か、車速SPDが所定域Y4〜Y5(例えば、0〜120km/h)の範囲内にあるか否か、吸気圧PMが所定域Y6〜Y7(例えば、25〜95kPa)の範囲内にあるか否かをそれぞれに判別する。さらに、CPU42は、ステップ310で急加速時でないか否かを判別する。具体的には、吸気圧PMの変化量ΔPMが所定値未満であるか否かを判別する。
【0089】
因みに、本実施の形態の空燃比フィードバック制御系では、A/Fセンサ26と内燃機関1とをモデル化していることから、その適合条件下で上記積算条件が成立すれば、空燃比λ及びFAF値の挙動として、
Δ^2λSM<Δ^2FAFSM
といった関係が得られることとなる。
【0090】
そして、上記ステップ308〜310の積算条件が全て成立していれば、CPU42は、図9のステップ311に進み、それまでの積算値Σ|Δ^2λSM|に今回算出した2階差分値Δ^2λSMi の絶対値を加算して新たな積算値Σ|Δ^2λSM|を算出する(Σ|Δ^2λSM|=Σ|Δ^2λSM|+|Δ^2λSMi |)。さらに、CPU42は、続くステップ312でそれまでの積算値Σ|Δ^2FAFSM|に今回算出した2階差分値Δ^2FAFSMi の絶対値を加算して新たな積算値Σ|Δ^2FAFSM|を算出する(Σ|Δ^2FAFSM|=Σ|Δ^2FAFSM|+|Δ^2FAFSMi |)。
【0091】
最後に、CPU42は、ステップ313で積算時間カウンタCDG1を「1」インクリメントして本ルーチンを終了する。
一方、前記ステップ301の診断条件が不成立の場合、或いはステップ308〜310のいずれかの積算条件が不成立の場合、CPU42は、図9のステップ314に進む。そして、CPU42は、ステップ314,315で積算値Σ|Δ^2λSM|及びΣ|Δ^2FAFSM|をホールドすると共に、続くステップ316で積算時間カウンタCDG1をホールドして本ルーチンを終了する。
【0092】
上記CPU42による異常診断処理を図11のタイムチャートを用いてより具体的に説明する。なお、図11において、時間t1以前はA/Fセンサ26の異常が検出されることがないのに対し、時間t1以降にはA/Fセンサ26の異常が検出されるようになっている。また、積算条件(前記図8のステップ308〜310の条件)は、通常、時間t1以前に示すように成立及び不成立を繰り返すものであるが、ここでは便宜上、時間t1以降において積算条件が常に成立しているものとしている。診断条件(前記図8のステップ301の条件)についても、ここでは便宜上、一旦成立した後はその状態が保持されるものとしている。
【0093】
かかる場合、図11では、積算時間カウンタCDG1、積算値Σ|Δ^2λSM|及びΣ|Δ^2FAFSM|がそれぞれ、診断条件及び積算条件の成立時に増加し、診断条件又は積算条件の不成立時にその時の値にホールドされるようになっている。
【0094】
以降図11を順を追って説明する。先ず時間t1以前では、例えば時間t0で積算時間カウンタCDG1が所定値KX1に達し、このタイミングで積算値Σ|Δ^2λSM|及びΣ|Δ^2FAFSM|の比を用いて異常診断が実施される(前記図6のステップ204)。時間t1以前では、
Σ|Δ^2FAFSM|/Σ|Δ^2λSM|<α
の関係が成立しているため(図6のステップ204がYES)、異常判定カウンタCDG3がカウントアップされることはない。またこの時間t0では、異常診断実行カウンタCDG2がカウントアップされ、そのカウント値が所定値KX2(=3)に達するため(図7のステップ213がYES)、CDG2が「0」にクリアされる。かかる場合には、異常判定カウンタCDG3=0であるため、異常判定フラグXDGAFが「0」に保持されている。
【0095】
そして、時間t1以降においては、時間t2,t3,t4で異常診断実行カウンタCDG2がカウントアップされる。このとき、時間t2では、
Σ|Δ^2FAFSM|/Σ|Δ^2λSM|<α
の関係が成立するものの(図6のステップ204がYES)、時間t3,t4では、
Σ|Δ^2FAFSM|/Σ|Δ^2λSM|≧α
の関係となり(図6のステップ204がNO)、それに伴い異常判定カウンタCDG3がカウントアップされる。その結果、時間t4で異常判定カウンタCDG3が所定値KX3(=2)に達し(図7のステップ214がYES)、異常判定フラグXDGAFがセットされることになる(図7のステップ216)。そして、このフラグ操作に伴い警告灯49が点灯される。
【0096】
なお、異常の現象が一時的なものであり、図6のステップ204が再び肯定判別されるようになると、その回数が連続正常判定カウンタCDG4によりカウントされる(図示略)。そして、A/Fセンサ26の正常状態が連続し同カウンタCDG4のカウント値がKX4(=4)になると(図7のステップ220がYES)、異常判定フラグXDGAFがクリアされると共に、警告灯49が消灯される。
【0097】
以上詳述したように本実施の形態によれば、次の効果が得られる。
(a)要するに、A/Fセンサ26による検出λと、FAF値とを比較した場合、それらの感度は互いに相違するものであり、例えばセンサ異常が発生してその応答性が低下した場合にはその差が顕著になる。従って、検出λの速度変化量とFAF値の速度変化量との比を異常診断パラメータとして同パラメータを比較判定すれば、A/Fセンサ26の異常を精度良く診断することができる。この場合、実機への適用に際し、既述したようにエバポパージや空燃比学習値の変動等によりFAF値が変動しても、異常診断パラメータの算出誤差が小さく、異常診断の誤検出が防止できる。
【0098】
また、エバポパージの実行時等において、その影響が異常診断パラメータに及びにくいことから、異常診断の実行が制限されることが少なくなり、異常診断の実行頻度を高めることができる。その結果、信頼性の高い空燃比制御システムが実現でき、エミッションの悪化等の不都合が抑制できる。なお、本実施の形態においては実際上、前記図8のフローにて診断条件や積算条件を設定していたが、これらの条件は比較的制限の緩いものであり、センサ異常の診断頻度を著しく低下させるようなことはない。
【0099】
(b)特に本実施の形態では、λの2階差分値Δ^2λSMを所定期間で積算し、その積算値Σ|Δ^2λSM|を空燃比λの速度変化量とすると共に、FAFの2階差分値Δ^2FAFSMを所定期間で積算し、その積算値Σ|Δ^2FAFSM|をFAF値の速度変化量とした。また、λの2階差分値の積算値とFAFの2階差分値の積算値との比を異常診断パラメータとしてそのパラメータを所定の異常判定値αと比較し、その比較結果からA/Fセンサ26の異常を診断するようにした。この場合、λ及びFAFの2階差分値を所定期間内で積算することは、A/Fセンサ26の特性異常や応答性異常といった現象をフィードバック制御系に相関させつつ、各々の挙動の差を明確化するための一手法であり、これら積算値の比を求めることにより、センサ異常(特性異常や応答性異常)が容易に診断できるようになる。
【0100】
(c)また、本実施の形態では、λの2階差分値の積算値Σ|Δ^2λSM|とFAFの2階差分値の積算値Σ|Δ^2FAFSM|との比を所定の異常判定値αと比較する際に、
Σ|Δ^2FAFSM|/Σ|Δ^2λSM|<α
であれば、A/Fセンサ26が正常である旨を診断するようにした。つまり、既述したように、センサ26の応答性低下時には概ね、検出λの変化速度が大幅に遅くなるのに対し、FAF値の変化速度の遅れは比較的小さい。そのため、本構成の診断処理によれば、センサ応答性が低下するといった異常が好適に診断できることとなる。
【0101】
(d)併せて、空燃比λの変動量及び空燃比補正係数FAFの変動量に対し、平滑化処理としてのフィルタリング処理を実施した。この場合、4気筒内燃機関に診断処理を適用する際において、各要素の気筒間バラツキを解消することができ、異常診断精度をより一層向上させることが可能となる。
【0102】
(e)本実施の形態では、連続正常判定カウンタCDG4を用い、異常の旨の判定後であっても当該カウンタCDG4のカウント処理により異常判定をクリアできるようにした。その結果、センサ異常が一時的に発生したものであってその異常状態が回避された場合、或いは一度だけ異常が誤判定された場合において、空燃比フィードバック制御が適宜再開できるようになる。
【0103】
なお、上記実施の形態は、その一部を次のように変更して具体化することも可能である。つまり、前記異常判定値αを機関運転状態に応じて可変に設定する。この場合、図12に示す処理を前記図6のステップ203とステップ204との間に挿入する。
【0104】
図12において、ステップ250では吸気圧PMの積算値ΣPMを読み込む。この積算値ΣPMは、所定期間内における吸気圧PMの変動量を表すパラメータである。そして、続くステップ251では前記PMの積算値ΣPMに基づいて異常判定値αを可変に設定する。このとき、例えば図13の関係を用いてα値が求められる。図13ではΣPM値が大きくなるほど、α値が大きくなる関係が設定されている。
【0105】
かかる構成によれば、機関運転条件が変化したとしても、それに追従した異常診断が逐次実施でき、センサ異常の診断精度をより一層向上させることができるようになる。因みに、図13に示す関係は、横軸を機関回転数Neの変動量、或いはスロットル開度THの変動量としても略同様に得られるため、α値を可変設定するパラメータをこれらの変動量に変更してもよい。
【0106】
次に、本発明の第2〜第5の実施の形態について図面を用いて説明する。但し、以下の各実施の形態の構成において、上述した第1の実施の形態と同等であるものについてはその説明を簡略化する。そして、以下には第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0107】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について図14を用いて説明する。
図14は、本実施の形態における異常診断ルーチンを示すフローチャートである。この図14は、前記第1の実施の形態における図6のフローチャートに取って代わるものであり、前記した通り所定周期(又は噴射同期)にてCPU42により実行されるようになっている。
【0108】
図14の異常検出ルーチンについて、前記図6との相違点のみを抽出して説明する。つまり、前記図6では、ステップ300において、空燃比λの速度変化量として空燃比λの2階差分値Δ^2λSMの積算値「Σ|Δ^2λSM|」を算出すると共に、FAF値の速度変化量としてFAF値の2階差分値Δ^2FAFSMの積算値「Σ|Δ^2FAFSM|」を算出していた。そして、同図のステップ204で、
Σ|Δ^2FAFSM|/Σ|Δ^2λSM|<α
が成立するか否かにより、A/Fセンサ26の異常診断を実施していた。
【0109】
これに対し、図14のルーチンでは、ステップ410で空燃比λの速度変化量として差分値ΔλSM(=λSMi −λSMi-1 )の積算値「Σ|ΔλSM|」を算出すると共に、FAF値の速度変化量として2階差分値Δ^2FAFSMの積算値「Σ|Δ^2FAFSM|」を算出するようにしている。すなわち、空燃比λの速度変化量を、「Σ|Δ^2λSM|」から「Σ|ΔλSM|」に変更している。かかる場合、本ルーチンで用いる積算値Σ|ΔλSM|は、積算時間カウンタCDG1が所定値KX1に達するまでの期間内で積算される値である(Σ|ΔλSM|=Σ|ΔλSM|+ΔλSMi )。
【0110】
そして、ステップ420では、所定の異常判定値β1を用い、
Σ|Δ^2FAFSM|/Σ|ΔλSM|<β1
が成立するか否かによりA/Fセンサ26の異常を診断するようにしている。また、異常診断後のステップ430では、Σ|ΔλSM|を「0」にクリアするようにしている。なお、前記図6と同一のステップ番号を付した処理、並びにステップ211以降の処理は前記図6,7と同一であるため、ここではその説明を省略する。
【0111】
本実施の形態においても、上記第1の実施の形態と同様に、本発明の目的が達せられる。因みに、前記図12及び図13で説明したように、ΣPM値などにより異常判定値β1を可変に設定して異常診断の精度向上を図るようにすることも可能である。
【0112】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態について図15を用いて説明する。
図15は、本実施の形態における異常診断ルーチンを示すフローチャートである。この図15は、前記第1の実施の形態における図6のフローチャートに取って代わるものであり、前記した通り所定周期(又は噴射同期)にてCPU42により実行されるようになっている。
【0113】
図15の異常検出ルーチンについて、前記図6との相違点のみを抽出して説明する。つまり、図15のルーチンでは、ステップ450で空燃比λの速度変化量として2階差分値Δ^2λSMの積算値「Σ|Δ^2λSM|」を算出すると共に、FAF値の速度変化量として差分値ΔFAFSM(=FAFSMi −FAFSMi-1 )の積算値「Σ|ΔFAFSM|」を算出するようにしている。すなわち、FAF値の速度変化量を、「Σ|Δ^2FAFSM|」から「Σ|ΔFAFSM|」に変更している。かかる場合、本ルーチンで用いる積算値Σ|ΔFAFSM|は、積算時間カウンタCDG1が所定値KX1に達するまでの期間内で積算される値である(Σ|ΔFAFSM|=Σ|ΔFAFSM|+ΔFAFSMi )。
【0114】
そして、ステップ460では、所定の異常判定値β2を用い、
Σ|ΔFAFSM|/Σ|Δ^2λSM|<β2
が成立するか否かによりA/Fセンサ26の異常を診断するようにしている。また、異常診断後のステップ470では、Σ|ΔFAFSM|を「0」にクリアするようにしている。なお、前記図6と同一のステップ番号を付した処理、並びにステップ211以降の処理は前記図6,7と同一であるため、ここではその説明を省略する。
【0115】
本実施の形態においても、上記第1の実施の形態と同様に、本発明の目的が達せられる。因みに、前記図12及び図13で説明したように、ΣPM値などにより異常判定値β2を可変に設定して異常診断の精度向上を図るようにすることも可能である。
【0116】
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態について図16〜図18を用いて説明する。本実施の形態では、空燃比λの速度変化Δλの振幅ΔλLRを求めると共に、FAF値の速度変化ΔFAFの振幅ΔFAFLRを求め、それぞれの振幅値の所定期間内における積算値「ΣΔλLR」,「ΣΔFAFLR」を速度変化量としている。そして、この積算値ΣΔλLR,ΣΔFAFLRに基づいてA/Fセンサ26の異常診断を実施するようにしている。
【0117】
要するに、上記各実施の形態で用いた積算値Σ|Δ^2λSM|,Σ|Δ^2FAFSM|と、本実施の形態で用いる積算値ΣΔλLR,ΣΔFAFLRとは、各値の積算期間が空燃比λ又は空燃比補正係数FAFの変動周期の半波長よりも長ければ実質上、同等となる(「2階差分値の和=振幅の和」の関係が成立する)。そこで、本実施の形態では、積算値ΣΔλLR,ΣΔFAFLRを速度変化量として、それを用いた異常診断処理を実施する。
【0118】
図16は、本実施の形態における異常診断ルーチンを示すフローチャートである。この図16は、前記第1の実施の形態における図6のフローチャートに取って代わるものであり、前記した通り所定周期(又は噴射同期)にてCPU42により実行されるようになっている。
【0119】
さて、図16がスタートすると、CPU42は、先ずステップ501でA/Fセンサ26の活性状態を判別し、続くステップ502でA/Fセンサ26以外の他の異常が検出されていないかを判別する。そして、上記ステップ501,502が共に成立することを条件に、CPU42はステップ600に進み、後述する図17,18のサブルーチンにより積算値ΣΔλLR,ΣΔFAFLRを算出する。
【0120】
その後、CPU42は、ステップ503で積算時間カウンタCDG0,CDG1が共に所定値KX1(本実施の形態では、積算時間30秒に相当する数値)以上になったか否かを判別する。そして、CDG0<KX1又はCDG1<KX1であれば、CPU42はそのまま本ルーチンを終了し、CDG0≧KX1且つCDG1≧KX1であれば、ステップ504に進む。CPU42は、ステップ504で積算値ΣΔλLR,ΣΔFAFLRの比を異常診断パラメータとして、そのパラメータと所定の異常判定値γとを比較判別する。すなわち、
ΣΔFAFLR/ΣΔλLR<γ
が成立するか否かを判別する。
【0121】
この場合、上記の不等式が成立することは、空燃比λとFAF値との速度変化量が良好な状態で相関しつつ変化していることを意味し、例えばA/Fセンサ26の応答性が確保されていることに相当する。つまり、この異常判定パラメータ(ΣΔFAFLR/ΣΔλLR)と異常判定値γとの間には、前記図10で示したような関係が成立し(図10の縦軸及び横軸が上記パラメータ及びγに置換できる)、当該パラメータが異常判定値γを越えることはセンサ応答性が悪化したことに相応する。
【0122】
以上のことから、
ΣΔFAFLR/ΣΔλLR<γ
であれば、A/Fセンサ26が正常であるとみなすことができ、
ΣΔFAFLR/ΣΔλLR≧γ
であれば、A/Fセンサ26が異常であるとみなすことができる。
【0123】
従って、ステップ504が成立すれば、CPU42は、ステップ505で異常判定カウンタCDG3をホールドすると共に、続くステップ506で連続正常判定カウンタCDG4を「1」インクリメントする。また、ステップ504が不成立であれば、ステップ507で異常判定カウンタCDG3を「1」インクリメントすると共に、続くステップ508で連続正常判定カウンタCDG4を「0」にクリアする。
【0124】
その後、CPU42は、ステップ509で積算値ΣΔλLRを「0」にクリアし、続くステップ510で積算値ΣΔFAFLRを「0」にクリアする。さらに、CPU42は、ステップ511で積算時間カウンタCDG0,CDG1を共に「0」にクリアする。なお、ステップ511以降の処理は前記図7と同一であるため、ここではその説明を省略する。
【0125】
次に、図17,図18のフローチャートを用いて前記16のステップ600の詳細な処理であるところの、積算値ΣΔλLR,ΣΔFAFLRの算出手順を説明する。
【0126】
さて図17のルーチンがスタートすると、CPU42は、ステップ601〜603でA/Fセンサ26による検出空燃比λを用いて差分値ΔλSMi を算出すると共に、ステップ604〜606で空燃比補正係数FAFを用いて差分値ΔFAFSMi を算出する。すなわちCPU42は、ステップ601でA/D変換後の空燃比λを読み込み、続くステップ602で前記読み込んだ空燃比λに対してフィルタリング処理を実施してなまし値λSMi を算出する。また、ステップ603において、CPU42は、前記算出したなまし値λSMの今回値と前回値とから差分値ΔλSMi を算出する(ΔλSMi =λSMi −λSMi-1 )。
【0127】
一方、CPU42は、ステップ604でFAF値を読み込み、続くステップ605で前記読み込んだFAF値に対してフィルタリング処理を実施してなまし値FAFSMi を算出する。また、ステップ606において、CPU42は、前記算出したなまし値FAFSMの今回値と前回値とから差分値ΔFAFSMi を算出する(ΔFAFSMi =FAFSMi −FAFSMi-1 )。
【0128】
その後、CPU42は、ステップ607〜609で前記差分値ΔλSMi 及びΔFAFSMi を積算するための条件(積算条件)が成立しているか否かを判別する(なおこの処理は、前記図8のステップ308〜310の処理と同一である)。つまり、ステップ607では、冷却水温Thwに基づいて機関の暖機が完了しているか否かを判別し、ステップ608では、機関回転数Ne,車速SPD,吸気圧PMに基づいて運転条件が所定条件を満たすか否かを判別する。さらに、ステップン609では、吸気圧PMの変化度合に基づいて急加速時でないか否かを判別する。
【0129】
そして、上記ステップ607〜609の積算条件のいずれかが不成立であれば、CPU42はステップ610に進み、積算値ΣΔλLR,ΣΔFAFLRを共にホールドする。また、CPU42は、続くステップ611で積算時間カウンタCDG0,CDG1をホールドした後、本ルーチンを終了する。
【0130】
一方、上記ステップ607〜609の積算条件が全て成立していれば、CPU42は、図18のステップ612に進む。そして、CPU42は、ステップ612で差分値ΔλSMの今回値と前回値との差が「0」を越えるか否か、すなわち、
ΔλSMi −ΔλSMi-1 >0
が成立するか否かを判別する。また、CPU42は、ステップ613,614の双方で差分値ΔλSMの前回値と前々回値との差が「0」を越えるか否か、すなわち、
ΔλSMi-1 −ΔλSMi-2 >0
が成立するか否かを判別する。
【0131】
この場合、ステップ612が肯定判別され、且つステップ613が否定判別されると、CPU42はステップ615に進み、ΔλSM値の前回値(ΔλSMi-1 )がリッチピーク値ΔλRに相当するとして、前回差分値ΔλSMi-1 を「ΔλR」とする。また、ステップ612が否定判別され、且つステップ614が肯定判別されると、CPU42はステップ616に進み、ΔλSM値の前回値(ΔλSMi-1 )がリーンピーク値ΔλLに相当するとして、前回差分値ΔλSMi-1 を「ΔλL」とする。
【0132】
上記以外の場合(ステップ613がYESの場合、或いはステップ614がNOの場合)、CPU42はステップ617に進む。そして、CPU42は、ステップ617で積算値ΣΔλLRをホールドすると共に、続くステップ618で積算時間カウンタCDG0をホールドする。
【0133】
また、前記ステップ615又はステップ616の処理後、CPU42は、ステップ619でリーンピーク値ΔλLからリッチピーク値ΔλRを減算してΔλ振幅ΔλLRを算出する(ΔλLR=ΔλL−ΔλR)。その後、CPU42は、ステップ620でそれまでの積算値ΣΔλLRに前記算出したΔλ振幅ΔλLRを加算して積算値ΣΔλLRを更新する(ΣΔλLR=ΣΔλLR+ΔλLR)。さらに、CPU42は、ステップ621で積算時間カウンタCDG0を「1」インクリメントした後、ステップ622に進む。
【0134】
CPU42は、ステップ622で差分値ΔFAFSMの今回値と前回値との差が「0」を越えるか否か、すなわち、
ΔFAFSMi −ΔFAFSMi-1 >0
が成立するか否かを判別する。また、CPU42は、ステップ623,624の双方で差分値ΔFAFSMの前回値と前々回値との差が「0」を越えるか否か、すなわち、
ΔFAFSMi-1 −ΔFAFSMi-2 >0
が成立するか否かを判別する。
【0135】
この場合、ステップ622が肯定判別され、且つステップ623が否定判別されると、CPU42はステップ625に進み、ΔFAFSM値の前回値(ΔFAFSMi-1 )がリッチピーク値ΔFAFRに相当するとして、前回差分値ΔFAFSMi-1 を「ΔFAFR」とする。また、ステップ622が否定判別され、且つステップ624が肯定判別されると、CPU42はステップ626に進み、ΔFAFSM値の前回値(ΔFAFSMi-1 )がリーンピーク値ΔFAFLに相当するとして、前回差分値ΔFAFSMi-1 を「ΔFAFL」とする。
【0136】
上記以外の場合(ステップ623がYESの場合、或いはステップ624がNOの場合)、CPU42はステップ627に進む。そして、CPU42は、ステップ627で積算値ΣΔFAFLRをホールドすると共に、続くステップ628で積算時間カウンタCDG1をホールドする。
【0137】
また、前記ステップ625又は626の処理後、CPU42は、ステップ629でリーンピーク値ΔFAFLからリッチピーク値ΔFAFRを減算してΔFAF振幅ΔFAFLRを算出する(ΔFAFLR=ΔFAFL−ΔFAFR)。その後、CPU42は、ステップ630でそれまでの積算値ΣΔFAFLRに前記算出したΔFAF振幅ΔFAFLRを加算して積算値ΣΔFAFLRを更新する(ΣΔFAFLR=ΣΔFAFLR+ΔFAFLR)。さらに、CPU42は、ステップ631で積算時間カウンタCDG1を「1」インクリメントした後、本ルーチンを終了する。
【0138】
本実施の形態においても、上記各実施の形態と同様に、本発明の目的が達せられる。また、本実施の形態では特に、Δλ振幅の積算値ΣΔλLRを空燃比λの速度変化量とすると共に、ΔFAF振幅の積算値ΣΔFAFLRをFAF値の速度変化量とした。そして、積算値ΣΔλLR,ΣΔFAFLRの比を異常診断パラメータとしてそのパラメータを所定の異常判定値γと比較し、その比較結果からA/Fセンサ26の異常を診断するようにした。この場合、Δλ振幅及びΔFAF振幅を所定期間内で積算することは、A/Fセンサ26の特性異常や応答性異常といった現象をフィードバック制御系に相関させつつ、各々の挙動の差を明確化するための一手法であり、これら積算値の比(ΣΔFAFLR/ΣΔλLR)を求めれば、センサ異常が容易に診断できるようになる。
【0139】
なお本実施の形態においても、前記図12及び図13で説明したように、ΣPM値などにより異常判定値γを可変に設定して異常診断の精度向上を図るようにすることも可能である。
【0140】
(第5の実施の形態)
上記第1〜第4の実施の形態では、いずれも異常診断を行う際において、空燃比λ及びFAF値の速度変化量の比から求めた異常診断パラメータが異常判定値(α,β1,β2,γ)未満であるか否かに応じてセンサ異常を診断していたが、本実施の形態では、空燃比λ及びFAF値の速度変化量の比から求めた異常診断パラメータが所定範囲(δ1〜δ2)内にあるか否かに応じてセンサ異常を診断するものである。また、本実施の形態では、積算値Σ|Δ^2λSM|,Σ|Δ^2FAFSM|の比を異常診断パラメータとすると共に、異常診断時に用いる異常判定値δ1,δ2を可変に設定するようにしている。この場合、図19に示す処理を前記図6のステップ203の後に挿入すると共に、ステップ204の処理を変更する。
【0141】
図19において、ステップ270では吸気圧PMの積算値ΣPMを読み込む。この積算値ΣPMは、所定期間内における吸気圧PMの変動量を表すパラメータである。そして、続くステップ271では前記PMの積算値ΣPMに基づいて異常判定値δ1,δ2を可変に設定する。このとき、例えば図20の関係を用いてδ1,δ2値が求められる。図20ではΣPM値が大きくなるほど、δ1,δ2値が大きくなる関係が設定されている。
【0142】
その後、ステップ272では、
δ1<(Σ|Δ^2FAFSM|/Σ|Δ^2λSM|)<δ2
が成立するか否かにより異常診断を実施する。このとき、ステップ272が肯定判別されれば、前記図6のステップ205に進む。そして、同図のステップ205,206で異常判定カウンタCDG3をホールドすると共に、連続正常判定カウンタCDG4を「1」インクリメントする。また、ステップ272が否定判別されれば、前記図6のステップ207に進む。そして、同図のステップ207,208で異常判定カウンタCDG3を「1」インクリメントすると共に、連続正常判定カウンタCDG4をクリアする。
【0143】
本実施の形態の構成によれば、上記各実施の形態と同様に本発明の目的が達せられるのは勿論のこと、それに加えて次の効果が得られる。つまり、上記の異常診断パラメータが所定の正常域(δ1〜δ2)内であることからセンサ異常を診断する構成であれば、図23(a)で示すような態様で特性異常が発生した際にも、その特性異常が好適に診断できることとなる。
【0144】
因みに、図20に示す関係は、同図の横軸を機関回転数Neの変動量、或いはスロットル開度THの変動量としても略同様に得られるため、δ1,δ2値を可変設定するパラメータをこれらの変動量に変更してもよい。
【0145】
以下に、他の実施の形態を説明する。
(1)上記第1の実施の形態では、空燃比λ及びFAF値の加速度に相当する2階差分値Δ^2λSM,Δ^2FAFSMを前記の式(11)及び式(12)を用いて算出したが、こうした2階差分値の演算には、
といった基本式を用いればよい(但し、m=1,2,3・・・、n=1,2,3・・・)。第1の実施の形態では上記基本式において、m=1,n=1と設定していたのに過ぎず、これらm,n値を変更してもよい。
【0146】
(2)上記第1の実施の形態では、検出空燃比の速度変化量として、λSM値の2階差分値Δ^2λSMの積算値Σ|Δ^2λSM|を用いると共に、空燃比補正係数の速度変化量として、FAFSM値の2階差分値Δ^2FAFSMの積算値Σ|Δ^2FAFSM|を用い、
Σ|Δ^2FAFSM|/Σ|Δ^2λSM|<α
が成立するか否かに応じてセンサ異常を診断していたが、この構成を変更してもよい。例えば、検出空燃比の速度変化量としてλSM値の2階差分値Δ^2λSM(積算しない値)を用いると共に、空燃比補正係数の速度変化量としてFAFSM値の2階差分値Δ^2FAFSM(積算しない値)を用い、
Δ^2FAFSM/Δ^2λSM<α’
が成立するか否かに応じてセンサ異常を診断するようにしてもよい。
【0147】
また、その他第2〜第4の実施の形態でも同様に、所定期間内での積算を実施しない値を用いてセンサ異常を診断するようにしてもよい。これらの構成にて異常診断を実施する場合、積算前の各数値が速度変化量になると共にそれらの比が異常診断パラメータとなり、この構成においても本発明の目的が達せられる。
【0148】
(3)上記各実施の形態では、異常判定値(α,β1,β2,γ,δ1,δ2)の可変設定に際し、機関の負荷状態量ΣPM,ΣNe等が大きくなるほど、当該異常判定値を大きくする方向に変更したが、これを変更してもよい。例えば図21に示すように、冷却水温Thwが高くなるほど、異常判定値αが小さくなるように可変設定してもよい(β1,β2,γも同様)。また、図22に示すように、冷却水温Thwが高くなるほど、正常域を設定するための異常判定値δ1,δ2が小さくなるように可変設定してもよい。
【0149】
(4)上記各実施の形態では、空燃比λ又はFAF値の気筒間バラツキを解消するべく、例えば図8のステップ303,306のフィルタリング処理を実施していたが、この処理をn回なまし処理(nは16,64等)など、他の平滑化処理に変更してもよい。また、このフィルタリング処理(平滑化処理)は、必ずしも必要ではなく当該処理を省略して本異常診断装置を具体化してもよい。
【0150】
(5)上記実施の形態の図6,7では、カウンタCDG1〜CDG4を用いて異常判定処理を実施したが、これを簡略化してもよい。具体的には、例えば連続正常判定カウンタCDG4を省略し、一旦異常判定フラグXDGAFがセットされた後は、その状態を保持するようにしてもよい。また、各カウンタCDG1〜CDG4のカウント値を判定するための所定値KX1〜KX4の具体値は既述した値に限定されるものではなく、任意に変更できる。センサ異常の診断精度を向上させるには、積算時間カウンタCDG1のカウント時間を長くしたり(図16のCDG0も同様)、異常診断実行カウンタCDG2及び異常判定カウンタCDG3の回数を多くしたりすることが有効である。
【0151】
(6)また、機関の定常運転時には所定値KX1〜KX4を比較的小さい値に設定すると共に、機関の過渡運転時には所定値KX1〜KX4を比較的大きい値に設定する等、各所定値KX1〜KX4を機関運転状態に応じてその都度、可変に設定するようにしてもよい。
【0152】
(7)上記第5の実施の形態に記載したように、異常診断パラメータが所定の正常域にあるか否かに応じて異常診断を実施する形態において、その際の異常診断パラメータを空燃比変動の振幅及びFAF変動の振幅の比に変更してもよい。
【0153】
(8)上記各実施の形態では、限界電流式酸素センサからなる空燃比センサ(A/Fセンサ26)について異常診断を実施していたが、ポンピング電流式酸素センサからなる空燃比センサについても上記各実施の形態と同様の異常診断処理が適用できる。
【0154】
(9)上記各実施の形態では、現代制御理論を用いて空燃比フィードバック制御を実現した空燃比制御システムに本発明のセンサ異常診断処理を具体化したが、当然ながら他の制御(例えば、PID制御等)によるシステムで本発明を具体化してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の形態における内燃機関の空燃比制御装置の全体構成図。
【図2】A/Fセンサの詳細な構成を示す断面図。
【図3】A/Fセンサの電圧−電流特性を示すグラフ。
【図4】空燃比制御システムの原理を説明するためのブロック図。
【図5】燃料噴射量算出ルーチンを示すフローチャート。
【図6】第1の実施の形態におけるセンサ異常診断ルーチンを示すフローチャート。
【図7】図6に続くフローチャート。
【図8】積算値Σ|Δ^2λSM|,Σ|Δ^2FAFSM|の算出ルーチンを示すフローチャート。
【図9】図8に続くフローチャート。
【図10】異常診断パラメータとセンサ応答性との相関を示すグラフ。
【図11】異常診断の処理動作を具体的に示すタイムチャート。
【図12】図6の途中に挿入される処理を示すフローチャート。
【図13】異常判定値αを可変設定するためのグラフ。
【図14】第2の実施の形態におけるセンサ異常診断ルーチンを示すフローチャート。
【図15】第3の実施の形態におけるセンサ異常診断ルーチンを示すフローチャート。
【図16】第4の実施の形態におけるセンサ異常診断ルーチンを示すフローチャート。
【図17】積算値ΣΔλLR,ΣΔFAFLRの算出ルーチンを示すフローチャート。
【図18】図17に続くフローチャート。
【図19】第5の実施の形態において、図6の途中に挿入される処理を示すフローチャート。
【図20】異常判定値δ1,δ2を可変設定するためのグラフ。
【図21】他の実施の形態において、異常判定値αを可変設定するためのグラフ。
【図22】他の実施の形態において、異常判定値δ1,δ2を可変設定するためのグラフ。
【図23】空燃比センサの特性異常並びに応答性低下の状態を示す図。
【符号の説明】
1…内燃機関、26…空燃比センサとしてのA/Fセンサ(限界電流式酸素センサ)、41…ECU(電子制御装置)、42…空燃比変化量演算手段,補正係数変化量演算手段,異常診断手段,異常判定値設定手段を構成するCPU。
Claims (10)
- 内燃機関の空燃比に対してリニアに出力を増減させる空燃比センサを備え、該空燃比センサにより検出された空燃比と目標空燃比との偏差に対応する空燃比補正係数を用いて空燃比フィードバック制御を実施する装置に適用されるものであって、
前記空燃比センサにより検出された空燃比が変動する際の速度変化量を演算する空燃比変化量演算手段と、
前記空燃比補正係数が変動する際の速度変化量を演算する補正係数変化量演算手段と、
前記空燃比が変動する際の速度変化量と前記補正係数が変動する際の速度変化量とを比較し、その比較結果に基づいて前記空燃比センサの異常を診断する異常診断手段と
を備えることを特徴とする空燃比センサの異常診断装置。 - 前記空燃比変化量演算手段は、前記空燃比が変動する際の速度変化量を、空燃比の2階差分演算により求めることを特徴とする請求項1に記載の空燃比センサの異常診断装置。
- 前記補正係数変化量演算手段は、前記補正係数が変動する際の速度変化量を空燃比補正係数の2階差分演算により求めることを特徴とする請求項1に記載の空燃比センサの異常診断装置。
- 前記空燃比変化量演算手段は、前記空燃比が変動する際の速度変化量を空燃比変動の振幅により演算し、
前記補正係数変化量演算手段は、前記補正係数が変動する際の速度変化量を前記補正係数変動の振幅により演算することを特徴とする請求項1に記載の空燃比センサの異常診断装置。 - 前記空燃比変化量演算手段は、空燃比の2階差分値を所定期間で積算し、その積算値を前記空燃比が変動する際の速度変化量とする手段であり、
前記補正係数変化量演算手段は、空燃比補正係数の2階差分値を所定期間で積算し、その積算値を前記補正係数が変動する際の速度変化量とする手段であり、
前記異常診断手段は、前記空燃比の2階差分値の積算値と前記空燃比補正係数の2階差分値の積算値との比を所定の異常判定値と比較し、その比較結果から前記空燃比センサの異常を診断する手段であることを特徴とする請求項1に記載の空燃比センサの異常診断装置。 - 前記空燃比変化量演算手段は、空燃比変動の振幅を所定時間で積算し、その積算値を前記空燃比が変動する際の速度変化量とする手段であり、
前記補正係数変化量演算手段は、空燃比補正係数変動の振幅を所定期間で積算し、その積算値を前記補正係数が変動する際の速度変化量とする手段であり、
前記異常診断手段は、前記空燃比変動の振幅の積算値と前記空燃比補正係数変動の振幅の積算値との比を所定の異常判定値と比較し、その比較結果から前記空燃比センサの異常を診断する手段であることを特徴とする請求項1に記載の空燃比センサの異常診断装置。 - 前記異常判定値を機関運転状態に応じて可変に設定する異常判定値設定手段を備えることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の空燃比センサの異常診断装置。
- 前記異常診断手段は、空燃比λが変動する際の速度変化量と、空燃比補正係数FAFが変動する際の速度変化量との比を所定の異常判定値Aと比較する場合に、
(FAFの速度変化量/λの速度変化量)<A
であれば、前記空燃比センサが正常である旨を診断する請求項1に記載の空燃比センサの異常診断装置。 - 前記異常診断手段は、空燃比λが変動する際の速度変化量と、空燃比補正係数FAFが変動する際の速度変化量との比を所定幅の異常判定値B1,B2と比較する場合に、
B1<(FAFの速度変化量/λの速度変化量)<B2
であれば、前記空燃比センサが正常である旨を診断する請求項1に記載の空燃比センサの異常診断装置。 - 前記空燃比変化量演算手段は、前記空燃比を平滑化しこの平滑化した空燃比を用いて当該空燃比が変動した際の速度変化量を演算し、前記補正係数変化量演算手段は、前記補正係数を平滑化しこの平滑化した補正係数を用いて当該補正係数が変動した際の速度変化量を演算することを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載の空燃比センサの異常診断装置。
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