JPH10222881A - 光ディスクの貼合わせ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 外周部でのバリの影響で径方向の反りが急増
するのを防ぐことができる光ディスクの貼合わせ装置を
提供する。 【解決手段】 透明プラスチック基板１ａ，１ｂの一主
面上に少なくとも１層以上の記録層もしくは反射層から
なる記録面もしくは反射面が形成されているディスク、
もしくは記録層もしくは、反射層が形成されていないデ
ィスクを相互に接着剤で貼合わせるための光ディスクの
貼合わせ装置において、ディスクの密着プレスを行う際
に、使用するプレスダイ７ａ，７ｂのプレス面７ａ１，
７ｂ１の外径をデータエリアより０〜２ｍｍ程度小さく
したことを特徴とする光ディスクの貼合わせ装置とし、
光ディスクの径方向の反りを少なくした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は単一基板片面上に、
少なくとも１層以上の反射膜が形成されている基板同士
を貼合せた構造の光ディスクを貼合わせるための光ディ
スクの貼合わせ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】レーザー光の照射により情報の記録／再
生を行う光ディスクとしては、光磁気ディスク、各種追
記型光ディスク、デジタルオーディオディスク（コンパ
クトディスク）、光学式ビデオディスク（レーザーディ
スク）等の各種記録媒体が実用化されている。これらの
光ディスクは、いずれもポリカーボネート等のプラスチ
ックあるいはガラス製の透明基板上に、記録層や反射膜
等の機能膜よりなる記録部が形成された構成となってい
る。

【０００３】従来、このような光ディスクの利用法とし
ては、コンパクトディスク（ＣＤ）や、レーザーディス
クのようにユーザーは再生のみを行って利用するＲＯＭ
（Ｒｅａｄ Ｏｎｌｙ Ｍｅｍｏｒｙ）的な利用法と、
光磁気ディスクのように、ユーザーが任意情報を記録
し、必要に応じて再生や追加書き込み、書き換えを行う
ＲＡＭ（Ｒａｎｄｏｍ Ａｃｃｅｓｓ Ｍｅｍｏｒｙ）
的な利用法がある。

【０００４】光ディスクの再生方法としては、ＲＯＭに
おいては、透明基板上に再生光の１／４波長程度の深さ
に凹凸状プリピットが形成され、その上を覆うように反
射膜が成膜されており、プリピットで生じる光の干渉に
よる反射率変化を検出して行われる。

【０００５】一方、ＲＡＭにおいては、相変化ディスク
の場合は、記録情報に応じて記録ピットを結晶からアモ
ルファス状態に変えて、それに伴う反射率変化を検出し
て行っている。従来の相変化ディスクの記録部は、相変
化膜であるＧｅＳｂＴｅ膜の両側を、酸化防止と、多重
干渉による光磁気信号のエンハンス効果のため、透明な
誘電体膜、例えばＺｎＳーＳｉＯ₂膜等で覆い、更にＡ
ｌ反射膜で覆った４層構造で構成されている。

【０００６】ところで最近、コンパクトディスクと同じ
直径１２０ｍｍのディスクに現行テレビ並みの画質で映
画１本を納めるデジタルビデオディスク（ＤＶＤ）の開
発が進められている。ＤＶＤは記録容量をＣＤの６〜８
倍まで高める必要があるため、現行レーザーの波長であ
る７８０ｎｍよりも短い６３５〜６５０ｎｍの波長を記
録再生に用い、厚さ０．６ｍｍの単板ディスクの記録面
同士を２枚貼合わせた構造のディスクが考案されている
（日経エレクトロニクス１９９５年２月２７日号Ｎｏ．
６３０）。

【０００７】再生専用のＲＯＭディスクには、記録面が
ディスク両面に形成されているＳＤ−１０型ディスク
と、記録面は片面のみで、もう一方のディスクは記録面
が形成されていないダミーディスクであるＳＤ‐５型デ
ィスクが提案されている。また、記録が可能なＲＡＭデ
ィスクにも、記録面が両面にあるタイプと、記録面が片
側のみのタイプがある。

【０００８】これら光ディスクに用いられる透明基板と
しては、ガラスの他、ポリカーボネート、アクリル、エ
ポキシ樹脂等が用いられている。その中でも成形性、寸
法安定性、低吸水性等で優れていることからポリカーボ
ネートが最も使用されている。これらディスクの貼合わ
せは、一般にホットメルト型接着剤、紫外線硬化型接着
剤、熱硬化性接着剤、あるいは両面接着シート等により
行っている。

【０００９】従来、前述したＤＶＤディスクのように、
接着剤を用いて貼合わせた光ディスクは、情報の読み出
しにはレーザー光を読み取りヘッド部よりディスクの記
録面に向けて照射し、記録面にて反射して戻って来たレ
ーザー光の強弱で記録内容を判断する方法がとられてい
る。

【００１０】それゆえ、ディスクの反りが大きいと戻り
光の光量が充分に得られず情報の誤検出、若しくは判読
不能の状態となる。それゆえ、ディスクの反りに関して
はある範囲以内に入っている必要がある。特に、ＤＶＤ
では記録密度が従来のＣＤ等に比べて高いためにより厳
しく反りを管理する必要がある。（±６〜±１２ｍｒａ
ｄ以内 ＩＳＯＭ／ＯＤＳ９６Ｈａｗａｉ予稿集）

【００１１】ディスクの反りには径方向の反りと、周方
向の反りの２種類がある。本件はそのうち径方向の反り
を低減できる光ディスクの貼合わせ装置を提供する。従
来、５インチサイズの光ディスクの貼合わせ時には、平
面を対向させた形状のプレス台で被接着ディスクを平行
に押して密着させる方法がとられている。このサイズの
ディスクは厚みが１．２ｍｍあり、基板単体でも相当の
剛性をもっている。それゆえ、基板表面、特に外周部等
に成型時のバリや、傷防止用の表面被覆である紫外線硬
化型アクリル樹脂等が表面張力により全体より盛り上が
る形で付着したとしても、プレス時には基板全体を反ら
せ、局部的には大きな反りとならない。

【００１２】しかし、前述のＤＶＤで同様のバリが生じ
たとする。基板の厚みが０．６ｍｍであるために、基板
の剛性は厚みの３乗に比例するため、一桁下の剛性にな
る。その結果、基板全体の反りとはならず局部的に変位
が発生し、その結果外周近傍で径方向の反りが急激に悪
化して規定の値に入らない場合があり得る。

【００１３】図６（ａ）は片面のみに記録層もしくは反
射層が存在する貼合わせ構造の光ディスクの断面図であ
り、射出成形により片面に凸凹状の記録ピットを形成し
た直径１２０ｍｍのポリカーボネートから成る基板１ａ
を作成し、ピットが形成されている面（図６（ｂ）のデ
ータエリア１６）にスパッタリング等の方法で機能膜２
ａを形成する。この機能膜２ａは再生専用のものではＡ
ｌ，Ａｕなどの単層膜が使われ、記録可能なものでは多
層膜が使われる。この上に、機能膜２ａの防湿、防蝕の
ために紫外線硬化型樹脂製の保護膜３ａが形成され、第
１のディスク５ａと第２のディスク５ｂは接着剤４によ
り結合されている。

【００１４】第１と第２の基板１ａ，１ｂは射出成形に
より製造され、このときディスクの成形が射出成形によ
り行われるために、ディスクの成型金型の構造次第では
周部の端部に抜きバリ６ａ，６ｂが生じる場合がある。

【００１５】そして、従来の光ディスクの貼合わせ装置
は図７に示すごとく、重ね合わせた２枚のディスク基板
５ａ、５ｂに対して基板の直径とほぼ同じ直径のプレス
ダイ７ａ，７ｂで、その上下を挟みプレスする。このと
きプレスダイ７ａ，７ｂが端部に生じているバリ６ａ、
６ｂもカバーしてプレスするため、貼合わせ加工の終了
後に光ディスクの反りを発生させる要因となっていた。

【００１６】

【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、このような外周部でのバリの影響で径方向
の反りが急増するのを防ぐことができる光ディスクの貼
合わせ装置を提供することである。

【００１７】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項１に記載の光ディスクの貼合わせ装置は、透
明プラスチック基板の一主面上に少なくとも１層以上の
記録層もしくは、反射層からなる記録面もしくは反射面
が形成されているディスク、もしくは、記録層もしく
は、反射層が形成されていないディスクを相互に接着剤
で貼合わせるための光ディスクの貼合わせ装置におい
て、ディスクの密着プレスを行う際に、使用する金型の
プレス面の外径を光ディスクのデータエリアの直径より
０〜２ｍｍ小さくしたことを特徴とする光ディスクの貼
合わせ装置の構成とし、光ディスクの径方向の反りを少
なくした。

【００１８】

【発明の実施の形態】以下、本発明を適用した実施の形
態について、図面を参照しながら説明する。

【００１９】第１の実施の形態 本発明の光ディスクの貼合わせ装置は、図１に示すごと
き構造で、光ディスクの貼合わせは、まず第１のプレス
ダイ７ａ上に接着する第２のディスク５ｂを載せる。第
１のプレスダイ７ａと第２のディスク５ｂとは中心軸８
を介してセンタを共有する。更に第１のディスク５ａも
中心軸８とセンタを共有するため、第１と第２のディス
ク５ａ，５ｂは同芯に位置合わせができ、第２のプレス
ダイ７ｂで押すことで密着貼合わせができる。第１，第
２のプレスダイ７ａ，７ｂはステンレス、構造用鋼（Ｓ
Ｋ材）などによりできており、表面は０．０５ｍｍ程度
の平面性が必要である。

【００２０】ＤＶＤでは図６（ｂ）に示すごとく、最大
のデータエリア１６として直径１１６ｍｍ、その外側に
１ｍｍのリードアウトエリア１７が規定されている。そ
れゆえ直径１１８ｍｍまではデータの読み出しが行われ
るために、ディスク５の表面上は成形性の突起等は生じ
ていない。それゆえ、第１、第２のプレスダイ７ａ，７
ｂのプレス面７ａ１、７ｂ１の径を直径１１８ｍｍとし
てある。またこれより小さい直径でもよく、ディスク基
板の剛性にもよるが、２ｍｍ位小さい径でも良い。

【００２１】この光ディスクの貼合わせ装置によれば、
バリの発生しがちなリードアウトエリア１７を避けて、
データエリア１６にプレスダイ７ａ，７ｂのプレス面７
ａ１，７ｂ１を当てることで光ディスクの外周端部の局
部的な反りを生じなくできる。

【００２２】図３に、従来の装置により貼合わせた光デ
ィスクの径方向の反りの変化（ａ）と、本発明の光ディ
スクの貼合わせ装置を用いて貼合わせた光ディスクの径
方向の反りの変化（ｂ）を実測した例を示す。

【００２３】これはディスク面に対し垂直方向よりレー
ザー光を照射して、その戻り光の位置変化によりディス
ク面の反り角の変化を知る方法で測定を行った結果であ
る。縦軸には反り（ｍｒａｄ）、横軸にはディスク半径
（ｍｍ）を示す。また測定値に重畳した縦方向の振れ
は、ディスクの回転に伴う周方向での反りを示してい
る。また、表面側と裏面側があるために一つのディスク
に付いて上下に二つの測定値がある。従来の装置による
もの（ａ）においては特に外周部分で反りが大きくなっ
ているのに対して、本発明の装置によるもの（ｂ）では
そのような傾向は見られず反りも小さくなっており、か
つ周方向の反りも小さくなっており、径方向の反りを減
少させるのに有効であることが良く分かる。

【００２４】第２の実施の形態 図２に示すごとく、プレス装置そのものは従来の平面対
向型で、プレスダイ７ａ，７ｂは、第１、第２のディス
クより大きいプレス面（つまり直径１２０ｍｍ以上）を
もち、これに芯合わせのための中心軸８を有するもので
ある。

【００２５】これに、中心軸８を共有するリング状治具
９ａを置く。このリング状治具９ａは、図２（ｂ）に示
す様にリング状になっており中心軸８の孔は前述の中心
軸８と共有する。また、外径は上に述べたと同様の理由
で直径１１８ｍｍ以下で２ｍｍ位小さいものでも良い。
リング状治具９ａの材料はステンレス、鋼、Ｃｒ鋼など
が挙げられる。また、表面は０．０５ｍｍ程度の平面性
と、上下面間で０．０５ｍｍ程度の平行度が必要であ
る。

【００２６】リング状治具９ａ上部に同様に被接着ディ
スクを重ね合わせ、その上に前述のリング状治具９ａと
同形状のリング状治具９ｂを重ねる。その後密着プレス
を行うことで反りの少ない貼合わせディスクが出来あが
る。

【００２７】第３の実施の形態 図４に第３の実施の形態に係る光ディスクの貼合わせ装
置の平面図、側断面図を示す。この第３の実施の形態で
はプレスダイ７ａに光ディスクのリードアウトエリアを
避けるための幅１８のリング状溝７ａ２を設けたもので
ある。そして、このリング状溝７ａ２の内周径１６ａを
光ディスクのデータエリアの直径以下２ｍｍ以内の径と
して、基板に生じがちなバリを避けてプレスできる大き
さのプレス面７ａ１を形成した。

【００２８】第４の実施の形態 図５はプレス装置の全体を示す側面図であり、このプレ
ス装置は、上部プレス板１０と圧力印加部１１との間に
自在継手１２を有する。この自在継手１２はアーム部１
３の先端に半球状の弾性体１４を固定し、圧力印加部１
１に取り付けたカップ状のカップ体１５に弾性体１４を
遊嵌して成る。この自在継手１２によると、押圧力は弾
性体１４を通じて圧力印加部１１の中央では直接伝わ
り、またアーム部１３に対してカップ体１５が若干首振
りできるので、圧力印加部１１は第１，第２ディスク５
ａ、５ｂの上面に対して、追随して動くことができ、被
接着ディスク（第１、第２ディスク５ａ，５ｂ）に対し
て常に平行に力を印加できるようになる。これにより、
平面性及び反りに優れたディスクを製造できる。

【００２９】

【発明の効果】本発明の光ディスクの貼合わせ装置によ
れば、少なくとも一方に記録層もしくは反射層を有する
光ディスクにおいて、外周端部でのバリ等の影響を排し
て径方向の反りの少ない光ディスクを製造することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施の形態の光ディスクの貼合
わせ装置の側断面図。

【図２】本発明の第２の実施の形態の光ディスクの貼合
わせ装置を示す側断面図とリング状治具の平面図。

【図３】本発明の貼合わせ装置を用いて製造した光ディ
スクの反りと、従来の装置を用いて製造した光ディスク
の反りの比較データ。

【図４】本発明の第３の実施の形態の光ディスクの貼合
わせ装置の平面図、側面図。

【図５】本発明の第４の実施の形態の光ディスクの貼合
わせ装置の側面図。

【図６】光ディスクの側断面図と平面図。

【図７】従来の光ディスクの貼合わせ装置の側断面図。

【符号の説明】

１ａ，１ｂ…基板、２ａ，２ｂ…機能膜、３ａ，３ｂ…
保護膜、４…接着剤、５ａ…第１のディスク、５ｂ…第
２のディスク、６ａ，６ｂ…バリ、７ａ…第１のプレス
ダイ、７ｂ…第２のプレスダイ、７ａ１，７ｂ１…プレ
ス面、７ａ２…リング状溝、８…中心軸、９ａ，９ｂ…
リング状治具、１０…上部プレス板、１１…圧力印加
部、１２…自在継手、１３…アーム部、１４…弾性体、
１５…カップ体、１６…データエリア、１６ａ…内周
径、１７…リードアウトエリア、１８…溝幅

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 透明プラスチック基板の一主面上に少な
   くとも１層以上の記録層もしくは反射層からなる記録面
   もしくは反射面が形成されているディスク、もしくは、
   記録層もしくは反射層が形成されていないディスクを相
   互に接着剤で貼合わせるための光ディスクの貼合わせ装
   置において、 ディスクの密着プレスを行う際に使用する金型のプレス
   面の外径を、 前記ディスクのデータエリアの直径より０から約２ｍｍ
   小さくしたことを特徴とする光ディスクの貼合わせ装
   置。
2. 【請求項２】 透明プラスチック基板の一主面上に少な
   くとも１層以上の記録層もしくは、反射層からなる記録
   面もしくは反射面が形成されているディスク、もしく
   は、記録層もしくは反射層が形成されていないディスク
   を相互に接着剤で貼合わせるための光ディスクの貼合わ
   せ装置において、 前記ディスクの密着プレスを行う際に、使用する金型と
   前記光ディスクの間にリング状治具を配置し、 該リング状治具の直径を前記光ディスクのデータエリア
   の直径より０から約２ｍｍ小さくしたことを特徴とする
   光ディスクの貼合わせ装置。
3. 【請求項３】 透明プラスチック基板の一主面上に少な
   くとも１層以上の記録層もしくは反射層からなる記録面
   もしくは反射面が形成されているディスク、もしくは、
   記録層もしくは反射層が形成されていないディスクを相
   互に接着剤で貼合わせるための光ディスクの貼合わせ装
   置において、 前記ディスクの密着プレスを行う際に使用する金型に溝
   で区切ったプレス面を設け、 該プレス面の外径を前記ディスクのデータエリアの直径
   より０から約２ｍｍ小さくしたことを特徴とする光ディ
   スクの貼合わせ装置。
4. 【請求項４】 請求項１または、請求項２または請求項
   ３に記載した光ディスクの貼合わせ装置において、 一方のプレス面側に自在継手を有することを特徴とする
   光ディスクの貼合わせ装置。