JPH1022110A - 希土類永久磁石及びその製造方法、並びに希土類永久ボンド磁石 - Google Patents

希土類永久磁石及びその製造方法、並びに希土類永久ボンド磁石

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JPH1022110A
JPH1022110A JP8169435A JP16943596A JPH1022110A JP H1022110 A JPH1022110 A JP H1022110A JP 8169435 A JP8169435 A JP 8169435A JP 16943596 A JP16943596 A JP 16943596A JP H1022110 A JPH1022110 A JP H1022110A
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Chisato Mishima
千里 三嶋
Toshio Konaka
寿夫 小中
Yoshinobu Motokura
義信 本蔵
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Aichi Steel Corp
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    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
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Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた磁気特性をもち、特に(BH)maxの
大きい希土類永久磁石を提供し、また、このような希土
類永久磁石の製造方法を提供することを目的とする。さ
らには、優れた磁気特性をもち、特に(BH)maxの
大きい希土類永久ボンド磁石を提供する。 【解決手段】本発明の希土類永久磁石は、イットリウム
(Y)を少なくとも含む希土類元素と、鉄(Fe)と、
ホウ素(B)と、ガリウム(Ga)と、ニオブ(Nb)
と、からなる希土類永久磁石であって、原子百分率で、
12〜15at%の希土類元素と、5.5〜8at%の
Bとを含み、かつ(Ga+10Nb)が0.5〜8.0
at%の範囲内にあるGaおよびNbを含み、残りがF
e及び不可避な不純物の組成をもち、また最大エネルギ
ー積が33MGOe以上であることを特徴とする。ま
た、この希土類永久磁石を用いることにより、18MG
Oe以上の高い最大エネルギー積をもつ希土類永久ボン
ド磁石が形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、最大エネルギー積
((BH)max)の高い希土類元素−鉄−ホウ素系の
希土類永久磁石粉末、およびその製造方法、並びに希土
類永久ボンド磁石粉末に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、永久磁石として希土類元素の少な
くとも一種(R)と鉄とホウ素とからなる希土類元素−
鉄−ホウ素(R−Fe−B)系の希土類永久磁石があ
り、残留磁束密度、保磁力および(BH)maxなどの
磁気特性に優れるとして工業的に広く利用されている。
【0003】このような希土類永久磁石を製造する技術
として、例えば特公平7−68561号公報にも開示さ
れているように、希土類永久磁石の原料を調製し、10
Torr(0.013atm)以上の水素ガスもしくは
10Torr以上の分圧の水素ガスと不活性ガスからな
る混合ガスの雰囲気の下で500℃〜1000℃の温度
で熱処理して原料中に水素を吸収させ、再び脱水素を行
うといった一連の水素処理を行うことにより希土類永久
磁石を製造する方法で最大10MGOeの希土類永久ボ
ンド磁石が得られることが開示されている。
【0004】また、前記公報では、このR−Fe−B系
の希土類永久磁石の鉄の一部をCo、Ni、V、Nb、
Ta、Cu、Cr、Mn、Mo、W、Ti、Al、G
a、In、Zr、Hf等の金属の一種もしくは二種類以
上を少量で置換してもよいことが記載されている。そし
て、こうした金属元素で置換した例として、Co、P
r、Dyの金属の一種を少量置換させたものを実施例と
して挙げている。しかし、この公報では、こうした実施
例も含め、これらの金属元素の置換により磁気特性が向
上することを示唆していない。実際問題としてこれらの
合金元素を添加した実施例によると希土類永久ボンド磁
石の最大エネルギー積は最大で13MGOeにすぎな
い。
【0005】この他に、R−Fe−B系の希土類永久磁
石の一部を前記のような金属元素で置換して磁気特性を
付与するものとして、例えば特開平3−129702号
公報では、希土類元素:10〜20%、B:3〜20
%、Ga、Zr、Hfのうち1種もしくは2種以上の合
計0.001〜5.0%を含有し、残りがFeおよび不
可避な不純物からなるR−Fe−Bを主成分とする希土
類永久磁石が開示されている。また、特開平4−133
406号公報では、希土類元素:10〜20%、B:3
〜20%、Ti、V、Nb、Ta、Al、Siのうち1
種もしくは2種以上の合計0.001〜5.0%を含有
し、残りがFeおよび不可避な不純物からなるR−Fe
−Bを主成分とする希土類永久磁石が開示されている。
【0006】いずれも、正方晶構造をとるR2 Fe14
型金属間化合物を主相とする再結晶粒が集合した再結晶
集合組織を有する希土類永久磁石粉末で、磁気異方性お
よび耐食性に優れていると説明されているが、(BH)
maxは16MGOe以下と低い値である。また、いず
れの実施例においても水素処理における水素ガス圧を1
atmに固定して実施している。水素ガス圧もしくは水
素ガス分圧による(BH)maxの向上に対する影響は
示唆されておらず、合金組成に応じた水素ガス圧にて水
素処理をしていないために高い(BH)maxを得るこ
とに成功していないものと推測される。
【0007】したがって、十分に高い(BH)maxを
有する希土類永久磁石粉末は、特開平3−129703
号公報に開示されているようにCo量を0.1〜50
%、実施例によれば7〜50%を含有しており、また文
献においても10〜20%を含有している。すなわち、
18MGOe以上の(BH)maxを得るためにはCo
は必須の添加元素であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記実情に鑑
みてなされたものであり、優れた磁気特性をもち、特に
(BH)maxの大きい希土類永久磁石を提供し、ま
た、このような希土類永久磁石の製造方法を提供するこ
とを目的とする。さらには、優れた磁気特性をもち、特
に(BH)maxの大きい希土類永久ボンド磁石を提供
することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】R−Fe−B系の希土類
永久磁石にさらに高い(BH)maxをもたせ、優れた
磁気特性を持つ希土類永久磁石を得るため、R−Fe−
B系の希土類永久磁石の一部を様々な金属元素で置換
し、様々な組成のR−Fe−B系の希土類永久磁石を作
製するなどして鋭意研究を重ねた結果、原子百分率で、
12〜15at%のRと、5.5〜8at%のBとを含
み、かつ(Ga+10Nb)が0.5〜8.0at%の
範囲内にあるGaおよびNbを含み、残りがFe及び不
可避な不純物の組成をもつ希土類永久磁石が、33MG
Oe以上の高い(BH)maxをもち、また、残留磁束
密度および保磁力も高い優れた磁気特性をもつことを見
出し、本発明に至ったものである。
【0010】また、水素処理を用いた製造方法により高
い(BH)maxを持つ希土類永久磁石を作製するため
に本発明者は、原子百分率で、12〜15at%のR
と、5.5〜8at%のBとを含み、(Ga+10N
b)が0.5〜8.0at%の範囲内にあるGaおよび
Nbを含み、残りがFe及び不可避な不純物の組成をも
つ希土類永久磁石の原料を調製し、前記(Ga+10N
b)と水素圧力もしくは水素分圧とが図1に示されるグ
ラフの4つの座標点α(0.5,0.1)、β(0.
5,0.6)、γ(8,0.9)、δ(8,0.4)で
形成される四角形の領域内にある水素ガス雰囲気もしく
は水素ガスと不活性ガスとの混合雰囲気の下で、該原料
を加熱して昇温し、該原料の温度を760℃以上870
℃以下として保持することにより該原料に水素を吸蔵さ
せ、0.001atmより低い水素圧力の水素ガス雰囲
気の下で、もしくは、0.001atmより低い水素分
圧の水素ガスと不活性ガスとの混合雰囲気の下で該原料
を760℃以上870℃以下の温度で保持して該水素を
吸蔵した該原料の脱水素を行い、脱水素を行った該原料
を急冷する一連の水素処理により、18MGOe以上の
高い(BH)maxをもち、また、残留磁束密度および
保磁力も高い優れた磁気特性をもつ希土類永久磁石が得
られることを見出し、本発明に至ったものである。
【0011】さらに、本発明者は、この粉末状の希土類
永久磁石と、このバインダーとなる樹脂と、を用いてボ
ンド磁石を形成したところ、このボンド磁石が18MG
Oe以上の高い(BH)maxをもち、また、残留磁束
密度および保磁力も高い優れた磁気特性をもつことを見
出し、本発明に至ったものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の希土類永久磁石は、Yを
少なくとも含むRと、Feと、Bと、Gaと、Nbと、
からなり、原子百分率で、12〜15at%のRと、
5.5〜8at%のBとを含み、かつ(Ga+10N
b)が0.5〜8.0at%の範囲内にあるGaおよび
Nbを含み、残りがFe及び不可避な不純物の組成をも
ち、最大エネルギー積が33MGOe以上である。
【0013】このとき、Yを少なくとも含む希土類元素
としては、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、
Td、Dy、Ho、Er、Tm、Luから選ばれる1種
または2種以上が利用できる。中でもコスト及び磁気特
性の理由からNdを用いることが好ましい。含有量が1
2%より低くても、また15%より高くても希土類永久
磁石の保磁力および残留磁束密度が低下するので好まし
くない。
【0014】また、Gaは、希土類永久磁石に高い磁気
異方性を付与するのに有用な元素であり、また保磁力お
よび耐食性を向上させる効果をもつ。さらに、本発明の
希土類永久磁石では製造過程において原料の熱処理が不
可欠であり、このときNbは再結晶粒が粗大化するのを
防止し、結果として保磁力が低下するのを防ぐ。また、
本発明の希土類永久磁石は、前記(Ga+10Nb)が
0.5〜4.5at%の範囲内にあるGaおよびNbを
含むことがさらに望ましい。これにより、希土類永久磁
石にさらに高い磁気異方性を付与でき、34MGOeよ
り高い(BH)maxをもつ希土類永久磁石となる。
【0015】本発明の希土類永久磁石の形状については
特に限定されないが、粉末状であることが望ましい。粉
末状の本発明の希土類永久磁石は加工が容易で、用途に
より加工方法を選択することができる。本発明の希土類
永久磁石の製造方法では、原料調製工程において原料の
調製の方法は特に限定されないが、高純度の希土類、
鉄、ホウ素、ガリウム、ニオブを、用い、原子百分率
で、12〜15at%のRと、5.5〜8at%のBと
を含み、かつ(Ga+10Nb)が0.5〜8.0at
%の範囲内にあるGaおよびNbを含み、残りがFe及
び不可避な不純物の組成となるようにそれぞれ用意し、
これらを混合して溶解炉等で溶解し、これを鋳造して合
金のインゴットを作製し、これを原料とすることができ
る。さらに、このインゴットを粉砕して粉末状とし、こ
れを原料とすることもできる。
【0016】このとき、原料の調製の方法によっては原
料中の組成分布の偏りが生じることもある。このような
組成分布の偏りが生じると、原子百分率で、12〜15
at%のRと、5.5〜8at%のBとを含み、かつ
(Ga+10Nb)が0.5〜8.0at%の範囲内に
あるGaおよびNbを含み、残りがFe及び不可避な不
純物の組成をもたない部分が原料中に生じ好ましくな
い。そこで、これらの原料を均質化処理しておくことが
望ましい。この均質化処理により組成分布の偏りが生じ
るのを減少させることができる。
【0017】水素吸蔵工程においては、原料調製工程で
調製された原料を、前記(Ga+10Nb)と水素圧力
もしくは水素分圧とが図1に示されるグラフの4つの座
標点α、β、γ、δにより形成される四角形の領域内に
ある水素ガス雰囲気もしくは水素ガスと不活性ガスとの
混合雰囲気の下に置き、これを加熱して昇温し、この原
料の温度を760℃以上870℃以下として保持するこ
とによりこの原料に水素を吸蔵させる。このような雰囲
気は真空槽等を用い、一旦高真空雰囲気にした後、高純
度のH2 ガス、もしくは高純度のH2 ガスと高純度の不
活性ガスを導入することにより形成することができる。
なお、このとき水素ガスと不活性ガスとの混合雰囲気の
下で行う場合、不活性ガスとしてアルゴン等の希ガスを
使用することができる。また、このとき該原料を加熱し
て760℃以上870℃以下の温度まで昇温する時間
は、原料の形状、大きさ、量等により異なり、この76
0℃以上870℃以下の温度を保持する時間も、原料の
形状、大きさ、量等により異なるが、原料に吸蔵される
水素が飽和するまで行うことが望ましい。このような水
素吸蔵処理により、原料に所望の磁気異方性を付与する
ことができる。
【0018】なお、(Ga+10Nb)および水素圧力
もしくは水素分圧が、図1に示されるグラフの4つの座
標点α、β、γ、δにより形成される四角形の領域外に
あるとき等方性もしくは未反応物となり好ましくない。
また、760℃より低い温度で水素吸蔵処理を行うと、
得られる希土類永久磁石において異方性が十分に得られ
ず、870℃を超える温度で行うと結晶粒の粗大化が起
こり好ましくない。
【0019】水素吸蔵工程に続く脱水素工程において
は、0.001atmより低い圧力の水素ガス雰囲気の
下で、もしくは、0.001atmより低い分圧の水素
ガスと不活性ガスとの混合ガス雰囲気の下で該原料を7
60℃以上870℃以下の温度で保持する。このとき保
持する時間は、原料の形状、大きさ、量等により異なる
が、水素を吸蔵した該原料から十分に脱水素を行える時
間であることが望ましい。なお、水素吸蔵工程と同様、
水素ガスと不活性ガスとの混合ガス雰囲気の下で行う場
合、不活性ガスとしてアルゴン等の希ガスを使用するこ
とができる。
【0020】また、このとき、800℃〜840℃温度
で該原料を保持して水素吸蔵処理および脱水素処理を行
うことが望ましい。この水素処理により、さらに大きい
磁気異方性を原料に付与することができる。急冷工程で
は、脱水素を行った該原料を室温に急冷する。この急冷
を行う時間は、原料の形状、大きさ、量等により異なる
が、少なくとも5℃/min.の冷却速度で行うことが
望ましい。
【0021】このとき、インゴット状の原料を用いたと
き、得られるインゴット状の希土類永久磁石は乳鉢等で
容易に粉砕することができる。また、粉末状の原料を用
いた場合、凝集等により固化することもあるが、乳鉢等
で容易に粉砕することができる。本発明の希土類永久ボ
ンド磁石は、Yを少なくとも含むRと、Feと、Bと、
Gaと、Nbと、からなり、原子百分率で12〜15a
t%のRと、5.5〜8at%のBとを含み、かつ(G
a+10Nb)が0.5〜8.0at%の範囲内にある
GaおよびNbを含み、残りがFe及び不可避な不純物
である組成をもつ希土類永久磁石粉末と、この磁石粉末
のバインダーとなる樹脂と、を用いて形成される。
【0022】その形成方法は特に限定されないが、本発
明の希土類永久磁石の磁石粉末と、この磁石粉末のバイ
ンダーとなる樹脂と、を用いて形成されることが望まし
い。このとき樹脂としてはエポキシ樹脂等の熱硬化性樹
脂を用いることができ、この樹脂と磁石粉末とを混合し
て得られた混合物を加圧成形等により成形した後、熱処
理して樹脂を熱硬化し、希土類永久ボンド磁石を形成す
ることができる。
【0023】
【発明の作用】本発明の希土類永久磁石は、異方性が大
きいため33MGOe以上の高い(BH)maxをも
ち、また、残留磁束密度および保磁力も高く、磁気特性
に優れる。また、これらの磁石粉末を用いたボンド磁石
は18MGOe以上の高い(BH)maxをもつ。特に
(Ga+10Nb)が0.5〜4.5at%の範囲内に
あるGaおよびNbを含む希土類永久磁石は34MGO
eより高い(BH)maxをもち、また、これらの磁石
粉末を用いたボンド磁石は19MGOe以上の高い(B
H)maxをもつ。
【0024】また、本発明の希土類永久磁石の製造方法
により、異方性が大きくなるため、33MGOe以上の
高い(BH)maxをもつ希土類永久磁石が製造され
る。これらの磁石粉末を用いたボンド磁石は18MGO
e以上の高い(BH)maxをもつ。特に、800℃〜
840℃温度で希土類永久磁石の原料を昇温、保持して
水素吸蔵処理および脱水素処理を行うことにより、さら
に異方性が大きくなるため、34MGOeより高い(B
H)maxをもつ希土類永久磁石が製造される。これら
の磁石粉末を用いたボンド磁石は19MGOe以上のさ
らに高い(BH)maxをもつ。
【0025】
【実施例】以下、実施例により具体的に説明する。Rと
してNdを用い、表1に示されるaからsの組成となる
ように、それぞれR、B、Ga、Nb、Feを所定量混
合し、ボタンアーク溶解炉にて溶解・鋳造して19種類
の組成の異なる合金インゴットを作製した。得られた各
合金のインゴットを1140℃で40時間の均質化処理
を施し、希土類永久磁石の原料とした。なお、表1で
は、各元素の含量を原子百分率の値で示しており、合金
全体で100原子%とし、Feはその残り全部であるこ
とを示している。
【0026】
【表1】
【0027】均質化処理が施された各合金のインゴット
を最高10-3Paの真空度を保てる真空加熱炉に設置
し、炉内に水素ガスを導入して所定の水素圧力とし、炉
内を水素ガス雰囲気とした。この水素ガス雰囲気で各合
金のインゴットを加熱して所定の処理温度まで昇温し、
インゴットが所定の処理温度となったら、そのままの水
素ガス雰囲気で所定の処理温度を3時間保持し、水素ガ
ス雰囲気での加熱によりインゴットに水素を吸蔵させ水
素ガス吸蔵処理を行った。水素ガス吸蔵処理後も加熱を
続け、この所定の処理温度を保ったまま、水素ガス吸蔵
処理がなされた各合金のインゴットを10-2Paの真空
雰囲気で0.5時間保持して脱水素処理を行った。脱水
素処理後、処理温度から室温に急冷した。急冷された各
合金のインゴットを乳鉢で軽く粉砕し、平均粒度105
μmの磁石粉末とした。
【0028】このとき、aからsの組成をもつ希土類永
久磁石の原料を用い、表2〜表4に示される水素圧力お
よび処理温度で水素ガス吸蔵処理を行い、それぞれ磁石
粉末(a−1〜5、b−1〜5、c−1〜5、d−1〜
5、e−1〜5、f−1〜5、g−1〜5、h−1〜
5、i−1〜5、j−1〜5、k−1〜5、l−1〜
5、m−1〜5、n−1〜5、o−1〜5、p−1〜
5、q−1〜5、r−1〜5、s−1〜5)を得た。こ
れらの各磁石粉末について磁化測定をVSMにより反磁
場補正した後、(BH)maxを求めた。
【0029】また、これらの各磁石粉末にそれぞれ3重
量%のエポキシ樹脂を混合し、15kOeの横磁場で6
ton/cm2 でプレス成形し、ついで120℃の熱硬
化処理を施してボンド磁石を作製した。得られたボンド
磁石について、磁石粉末の(BH)maxを求めた時と
同様にして(BH)maxを求めた。表2〜表4に、こ
れらの磁石粉末およびボンド磁石の(BH)maxを併
せて示す。
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】表2および表3より、aからnの組成をも
つ磁石粉末のうち、(a−1、b−1、c−1、d−
1、e−1、f−1、g−1、h−1、i−1、j−
1、k−1、l−1、m−1)は33.1〜39.7M
GOe以上の(BH)maxをもち、またこれらの磁石
粉末を用いたボンド磁石は18.2〜22.0MGOe
の(BH)maxをもつことがわかる。特に(a−1、
b−1、f−1、g−1、h−1、l−1)の磁石粉末
は、34.8〜39.7MGOeの(BH)maxをも
ち、またこれらの磁石粉末を用いたボンド磁石は19.
0〜22.0MGOeの(BH)maxをもつことがわ
かる。
【0033】一方、(a−2〜5、b−2〜5、c−2
〜5、d−2〜5、e−2〜5、f−2〜5、g−2〜
5、h−2〜5、i−2〜5、j−2〜5、k−2〜
5、l−2〜5、m−2〜5、n−1〜5)の磁石粉末
は33MGOeより低い(BH)maxをもち、またこ
れらの磁石粉末を用いたボンド磁石は18MGOeより
低い(BH)maxをもつことがわかる。
【0034】
【表4】
【0035】また、表4より、oからsの組成をもつ磁
石粉末では、いずれの条件で水素処理がなされたものに
おいても(o−1〜5、p−1〜5、q−1〜5、r−
1〜5、s−1〜5)33MGOeより低い(BH)m
axをもち、またこれらの磁石粉末を用いたボンド磁石
は18MGOeより低い(BH)maxをもつことがわ
かる。
【0036】aからnの各磁石粉末は、原子百分率で、
12〜15at%のRと、5.5〜8at%のBとを含
み、かつ(Ga+10Nb)が0.5〜8.0at%の
範囲内にあるGaおよびNbを含み、残りがFe及び不
可避な不純物である組成をもつものである。そして、
(a−1、b−1、c−1、d−1、e−1、f−1、
g−1、h−1、i−1、j−1、k−1、l−1、m
−1)の各磁石粉末は、図2に示されるように、(Ga
+10Nb)と水素吸蔵処理における水素圧力とが、図
1の4つの座標点α、β、γ、δで形成される四角形の
領域内にあり、その他の磁石粉末(a−2〜5、b−2
〜5、c−2〜5、d−2〜5、e−2〜5、f−2〜
5、g−2〜5、h−2〜5、i−2〜5、j−2〜
5、k−2〜5、l−2〜5、m−2〜5、n−1〜
5)の水素吸蔵処理条件は、この四角形の領域外であ
る。また、特に(a−1、b−1、f−1、g−1、h
−1、l−1)の希土類永久磁石は、(Ga+10N
b)が0.5〜4.5at%の範囲内にあるGaおよび
Nbを含むものである。
【0037】従って、上記の結果より、本発明の希土類
永久磁石は33MGOe以上の高い(BH)maxをも
ち、またこれらの磁石粉末を用いたボンド磁石は18M
GOe以上の高い(BH)maxをもつことがわかる。
特に、(Ga+10Nb)が0.5〜4.5at%の範
囲内にあるGaおよびNbを含む希土類永久磁石は34
MGOeよりさらに高い(BH)maxをもち、またこ
れらの磁石粉末を用いたボンド磁石は19MGOe以上
のさらに高い(BH)maxをもつことがわかる。
【0038】また、本発明の希土類永久磁石の製造方法
により、33MGOe以上の高い(BH)maxをもつ
希土類永久磁石が製造され、またこれらの磁石粉末を用
いたボンド磁石は18MGOe以上の高い(BH)ma
xをもつことがわかる。特に、水素吸蔵工程および脱水
素工程において、800℃〜840℃温度で希土類永久
磁石の原料を昇温、保持して水素処理がなされることに
より、(BH)maxが34MGOeより高い希土類永
久磁石が製造でき、またこれらの磁石粉末を用いたボン
ド磁石は19MGOe以上のさらに高い(BH)max
をもつことがわかる。
【0039】
【発明の効果】本発明の希土類永久磁石は、高い(B
H)maxをもつ異方性ボンド磁石等に利用することが
できる。本発明の希土類永久磁石の製造方法により、高
い(BH)maxをもつ異方性ボンド磁石等に利用でき
る永久磁石を製造することができる。
【0040】本発明の希土類永久ボンド磁石により、高
い(BH)maxが要求される磁石材料に利用すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この図は、本発明の希土類永久磁石の製造方法
において、(Ga+10Nb)と水素吸蔵工程での水素
圧力との条件を示す図である。
【図2】この図は、本実施例の希土類永久磁石(a−
1、b−1、c−1、d−1、e−1、f−1、g−
1、h−1、i−1、j−1、k−1、l−1、m−
1)について、(Ga+10Nb)と水素吸蔵工程での
水素圧力との関係を示す図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】イットリウム(Y)を少なくとも含む希土
    類元素(以下、Rと称す)と、鉄(Fe)と、ホウ素
    (B)と、ガリウム(Ga)と、ニオブ(Nb)と、か
    らなる希土類永久磁石であって、原子百分率で、12〜
    15at%のRと、5.5〜8at%のBとを含み、か
    つ(Ga+10Nb)が0.5〜8.0at%の範囲内
    にあるGaおよびNbを含み、残りがFe及び不可避な
    不純物の組成をもち、また最大エネルギー積が33MG
    Oe以上であることを特徴とする希土類永久磁石。
  2. 【請求項2】前記(Ga+10Nb)が0.5〜4.5
    at%の範囲内にあるGaおよびNbを含む請求項1に
    記載の希土類永久磁石。
  3. 【請求項3】Yを少なくとも含むRと、Feと、Bと、
    Gaと、Nbと、からなる希土類永久磁石であって、原
    子百分率で、12〜15at%のRと、5.5〜8at
    %のBとを含み、かつ(Ga+10Nb)が0.5〜
    8.0at%の範囲内にあるGaおよびNbを含み、残
    りがFe及び不可避な不純物の組成をもち、また最大エ
    ネルギー積が33MGOe以上である希土類永久磁石の
    製造方法であって、 原子百分率で、12〜15at%のRと、5.5〜8a
    t%のBとを含み、かつ(Ga+10Nb)が0.5〜
    8.0at%の範囲内にあるGaおよびNbを含み、残
    りがFe及び不可避な不純物の組成をもつ該希土類永久
    磁石の原料を調製する原料調製工程と、 前記(Ga+10Nb)と水素圧力もしくは水素分圧と
    が図1に示されるグラフの4つの座標点α(0.5,
    0.1)、β(0.5,0.6)、γ(8,0.9)、
    δ(8,0.4)により形成される四角形の領域内にあ
    る水素ガス雰囲気もしくは水素ガスと不活性ガスとの混
    合雰囲気の下で、該原料を加熱して昇温し、該原料の温
    度を760℃以上870℃以下として保持することによ
    り該原料に水素を吸蔵させる水素吸蔵工程と、 0.001atmより低い水素圧力の水素ガス雰囲気の
    下で、もしくは、0.001atmより低い水素分圧の
    水素ガスと不活性ガスとの混合雰囲気の下で該原料を7
    60℃以上870℃以下の温度で保持して該水素を吸蔵
    した該原料の脱水素を行う脱水素工程と、 脱水素を行った該原料を急冷する急冷工程と、 からなることを特徴とする希土類永久磁石の製造方法。
  4. 【請求項4】前記水素吸蔵工程および脱水素工程におい
    て800℃〜840℃温度で該原料を保持する請求項3
    に記載の希土類永久磁石の製造方法。
  5. 【請求項5】Yを少なくとも含むRとFeとBとGaと
    Nbとからなる希土類永久磁石粉末と、該希土類永久磁
    石粉末のバインダーとなる樹脂と、からなるボンド磁石
    であって、 該希土類永久磁石粉末は、原子百分率で、12〜15a
    t%のRと、5.5〜8at%のBとを含み、かつ(G
    a+10Nb)が0.5〜8.0at%の範囲内にある
    GaおよびNbを含み、残りがFe及び不可避な不純物
    の組成をもち、また該ボンド磁石の最大エネルギー積が
    18MGOe以上であることを特徴とする希土類永久ボ
    ンド磁石。
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