JPH10219406A - 建具用フェライト系ステンレス鋼板 - Google Patents

建具用フェライト系ステンレス鋼板

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JPH10219406A
JPH10219406A JP3977797A JP3977797A JPH10219406A JP H10219406 A JPH10219406 A JP H10219406A JP 3977797 A JP3977797 A JP 3977797A JP 3977797 A JP3977797 A JP 3977797A JP H10219406 A JPH10219406 A JP H10219406A
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JP
Japan
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weight
stainless steel
ferritic stainless
steel
fittings
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JP3977797A
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English (en)
Inventor
Takeshi Utsunomiya
宇都宮武志
Kazu Shiroyama
和 白山
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Original Assignee
Nisshin Steel Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】海岸地区での使用に耐え得る高い耐候性で曲げ
部の肌荒れの目立ちにくい建具用フェライト系ステンレ
ス鋼板を提供する。 【解決手段】曲げ加工部を有する金属製建具に加工され
る鋼板であって、CrとMoの含有量の総和が18重量
%以上(好ましくは22重量%以上、さらに好ましくは
27重量%以上)であり、かつ、表面にRz≧2μm以
上の凹凸のあるダル又はエンボスあるいはショットブラ
スト仕上が付与されており、引張り強さが600N/m
2 以下とした耐候性ならびに成形後の表面外観に優れ
た建具用フェライト系ステンレス鋼板。鋼板はCr:1
6〜32重量%、Mo:0.5〜6重量%、Nb:0〜
1.0重量%、更に、Ti:0.05〜0.5重量%、
Al:0.03〜0.3重量%の1種以上を含有でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビルや体育館、あ
るいは家屋などに用いられるサッシ、ドアフレームおよ
びフロント材などの各種建具で、特に腐食性の厳しい環
境において使用される建具用ステンレス鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、ビルなどに用いられる建具に
は、金属製の部材が用いられている。一般に用いられて
いる材料は、表面処理したアルミニウム板(アルマイ
ト)であるが、耐食性の観点からSUS304に代表さ
れるオーステナイト系ステンレス鋼も一部使用されてい
る。建具を製作するために、プレスブレーキによる曲げ
やロール成形による加工がなされる。図1に建具の一例
としてドア・フレームの断面図を示す。この図のよう
に、建具には多くの曲げ加工部を有する複雑な形状をし
たものもあり、かつ、曲げ部や開口部においては高度の
寸法精度が要求される。従って、ステンレス鋼を使用す
る場合には、伸びが大きく、加工性に優れているオース
テナイト系ステンレス鋼SUS304が使用されてい
る。また、建具は成形時や施工時の擦れによって疵が生
じやすいために、ステンレス鋼の表面仕上を、疵が目立
ちにくいHL仕上にしたり、塗装を行うなどの対策が取
られている。
【0003】
【発明の解決しようとする課題】しかし、従来から屋根
・外装などの建材用途において使用されているSUS3
04レベルのオーステナイト系ステンレス鋼は、海岸地
区など海塩粒子が飛散する環境においては顕著な発銹が
認められることがある。建具が取り付けられている箇所
は屋根とは異なり、軒下部など雨によって海塩粒子が洗
い流され難い場所に設置されることが多い。さらに、建
具は、屋内と屋外の温度差によって生じた結露による湿
潤環境に曝られている場合が多く、極めて腐食性の強い
環境で使用されている。従って、海岸近傍など腐食性の
厳しい環境で使用される建具にはSUS304より高レ
ベルの耐候性が要求される。また、建具では、屋根、外
装用途でステンレス鋼を使用する場合同様、単に腐食に
よる孔開きが生じないといった機能面が要求されるだけ
でなく、発銹による見映えの低下がないことが要求され
る。発銹を防止するために、ステンレス鋼の表面に塗装
をすることも行われるが、製造、施工時の擦れによって
塗膜の破壊が生じ、素地が露出した場合においては、塗
膜と素地の界面において隙間腐食が生じ、より顕著な腐
食に至る場合もある。
【0004】そこで、オーステナイト系ステンレス鋼に
おいても高Cr,高Mo系の材料を使用して建具を製造
した場合、発銹そのものは改善することができる。しか
し、オーステナイト系ステンレス鋼はフェライト系ステ
ンレス鋼に比べて加工硬化が大きいため、耐候性を確保
するレベルまで合金元素を添加した場合、かなり強度が
上昇し、プレスブレ−キによる加工又はロ−ル成形がで
きない(例えばパワ−が不足する)といった問題が生じ
る。
【0005】一方、フェライト系ステンレス鋼を用いた
場合には曲げ部で肌荒れが生じて美観を損ねる問題があ
る。また、肌荒れを目立たなくするためHL仕上した場
合には、ステンレス鋼表面の不動態皮膜を不安定にする
ため、一般に使用されている2B仕上などに比べて耐食
性に劣ることがある。更に、曲げ半径をシャ−プにする
ため、Vカットを入れて加工した場合、板取りの方向に
よっては、HLの研磨目が切り欠として作用し、材料の
靱性を低下させることがある。本発明は、フェライト系
ステンレス鋼を建具として用いる場合の従来技術の問題
点を解消すべくなされたものであり、海岸地区での使
用に耐える非常に高い耐食性を有し、既存設備による
成形加工が可能であり、建具製造、施工時に発生する
肌荒れが目立ちにくい、という性質を同時に満足する建
具用ステンレス鋼板を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】曲げ加工部を有する金属
製建具用ステンレス鋼板として、その目的を達成するも
のは、CrとMoの含有量の総和が18重量%以上であ
るフェライト系ステンレス鋼からなり、かつ、表面にR
z≧2μm以上の凹凸が付与されており、引張り強さが
600N/mm2 以下とした耐候性および成形後の表面
外観に優れた建具用フェライト系ステンレス鋼板であ
る。フェライト系ステンレス鋼は、Cr:16〜32重
量%、Mo:0.5〜6重量%、Nb:0〜1.0重量
%(無添加の場合を含む)を含み、好ましくはCr+M
o≧22重量%以上である。更に、Cr:24.5〜3
2重量%、Mo:1.0〜2.5重量%、Nb:0〜
0.5重量%(無添加の場合を含む)含み、より好まし
くはCr+Mo≧27重量%である。フェライト系ステ
ンレス鋼は、更に、Ti:0.05〜0.5重量%、A
l:0.03〜0.3重量%の1種又は2種を含むこと
ができる。鋼板の表面には、ダル、エンボス又はショッ
トブラスト仕上により、Rz≧2μm以上の凹凸を形成
することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明者らは曲げ加工部を有する
金属製建具用に適したステンレス鋼板を見出すために、
種々の金属組織、成分組成、材料特性を有するステンレ
ス鋼を用いて耐候性および加工性を評価した。加工性評
価のために機械試験とプレスブレーキによる曲げ試験を
行い、併せて耐肌荒れ性を調べ、表面仕上との関係を調
べた。
【0008】表1に試験に用いた供試材の化学成分を示
す。フェライト系ステンレス鋼8種類、オーステナイト
系ステンレス鋼4種類ならびに二相系ステンレス鋼1種
類を用いた。材料の板厚は1.6mmであり、表面仕上
は、特に記述の無いものはダル仕上げ(表面粗さRz:
約4〜6μm)とし、一部、HL、2D、2B、BA、
鏡面(バフ)、エンボスおよびショットブラスト仕上を
用いた。
【0009】
【表1】
【0010】表2に試験結果を示す。耐候性は、徳山市
の海岸から5mに位置する場所で2年間の大気暴露試験
を行い評価した。通常の屋根面を想定した屋外暴露だけ
でなく、建具が使用される環境と同様の軒下面を想定し
た暴露試験も行った。発銹の程度は、JIS Z 23
71の「付属書 レイティングナンバ法」に規定される
レイティングナンバ(以下「RN」と表示する)で表し
た。RN10が元の状態から全く変化していない場合の
値で、RNが小さくなるほど発銹の程度は著しくなる。
普通鋼とは異なり、ステンレス鋼では通常RN2のレベ
ルまでしか下がらない。一般にRN6以上にあると実用
的に良好であると言える。
【0011】
【表2】
【0012】ステンレス鋼の耐食性を改善するためには
Cr量の増加やMoの添加が有効であることは知られて
おり、一般には孔食指数Cr+3Moなどで整理されて
いる。つまり、MoはCrの約3倍の腐食抑制作用があ
ると言われている。しかし、耐候性のように表面皮膜の
強さに関連した耐食性においては、不動態皮膜を構成す
るCrの作用が大きく、耐候性を評価するための改良型
の孔食指数として、Cr+MoがRNと良い対応が得ら
れることを実験的に得た。
【0013】図2は表2の屋根面の暴露試験後のRNを
Cr+Moと金属組織で整理したものである。Cr+M
oが約18〜25重量%の範囲において、フェライト系
ステンレス鋼がオーステナイト系ステンレス鋼に比べて
良好な耐候性を有することが明確になっている。この結
果に基づき、海塩粒子が雨で洗い流される建具を想定し
た場合、フェライト系ステンレス鋼ではCr+Mo≧1
8重量%でRN6以上の良好な耐候性を有することがわ
かる。
【0014】図3は表2のフェライト系ステンレス鋼の
屋根面と軒下面のRNを図示したもので、暴露部位によ
る耐候性の違いを示したものである。同一サンプルにお
いても部位によって腐食性の強さは大きく異なり、軒下
面で屋根面と同等レベルのRN6以上を得るためには、
Cr+Moで約4重量%多く添加したCr+Mo≧22
重量%の材料が必要である。さらに、軒下部でRN8以
上のより良好な耐候性を確保するためには、Cr+Mo
で27重量%以上必要である。
【0015】表2の曲げ加工性は、プレスブレ−キで直
角曲げを行い、スプリングバックおよび曲げ形状の寸法
精度を、現行のステンレス鋼製建具に用いられるSUS
304との比較において評価したものである。SUS3
04よりもスプリングバックが小さく、目的とする曲げ
形状が容易に得られる場合を○印、材料の剛性により、
SUS304よりも著しくスプリングバックが大きい場
合、あるいは材料が硬く、プレスブレーキのパワーでは
所望の曲げ形状が得られなかった場合を×印、SUS3
04と同等レベルを△印として評価した。この結果、オ
ーステナイト系ステンレス鋼のCr+Moが約22重量
%のA3鋼が、一応の形状が得られる上限に近い成分で
ある。一方、フェライト系ステンレス鋼ではCr+Mo
が30重量%以上のF5鋼、F6鋼の30Cr−2Mo
系の材料においても、曲げ加工が可能であることがわか
る。ただし、安定化元素としてNbを単独添加(Alは
添加している)しているF6鋼の曲げ加工性は、Nb、
Ti、Alを複合添加したF5鋼に比べて若干劣る結果
となっている。なお、曲げ加工性と引張特性の対応を見
ると、曲げ加工性が劣る材料は引張強さが600N/m
2 を越えるものである。ここで、耐力、引張強さは、
JIS Z 2201に規定される13B号引張試験片
(試験片採取方向:フェライト系および2相系ステンレ
ス鋼は圧延方向に平行、オ−ステナイト系ステンレス鋼
は圧延方向に垂直)を切り出し、JIS Z 2241
に規定される引張試験を実施して求めた。耐力は0.2
%オフセット耐力で表した。
【0016】建具は玄関回りのフロント材に代表される
ように、一般に屋根に比べて人目に付きやすい場所で使
用される。このため、単に曲げ加工を行えば良いのでは
なく、加工部材においても高度な意匠性が要求される。
従って、表面仕上としては、前述のHLの他、鏡面や着
色仕上なども使用されている。また、曲げ加工半径もシ
ャープなものが好まれる傾向にあり、通常の素曲げの
他、曲げ内面にVカットを入れた角出し加工も行われ
る。
【0017】表3には、表1におけるF4鋼およびF5
鋼の材料を用いて表面仕上および表面粗さを種々変化さ
せたサンプルを作成し、耐肌荒れ性評価および耐候性評
価を行った結果を示す。耐肌荒れ性は、プレス・ブレ−
キにより90度曲げ加工後の肌荒れの目立ち易さを目視
により評価した。肌荒れが目立たないものを○印、肌荒
れが近寄ると目立つが5m離れた位置からは目立たない
ものを△印、肌荒れが5m離れた位置からでも目立つも
のを×印で示した。耐候性は、表2と同様の大気暴露試
験を行い屋根面のRNで評価した。表面粗さと耐肌荒れ
性の関係を比較すると、表面粗さRzが2μm未満の2
D、2B、鏡面、BAの各表面仕上の場合は、肌荒れが
目立ちやすい。なお、RzはJIS B 0601に規
定される十点平均粗さを示す。一方、表面粗さRzが2
μm以上のダル、エンボスあるいはショットブラスト仕
上げでは、表面の肌荒れが極めて目立ち難く、現行仕上
げのHL仕上と比べても同等以上の外観を呈していた。
HLは耐肌荒れ性は実用上問題のないレベルにあるが、
Cr+Moが24重量%レベルでは耐候性が低下する。
そこで、耐候性を損なわないで耐肌荒れ性を改善するた
めには、表面粗さRzが2μm以上のダル、エンボス又
はショットブラスト仕上げが好ましい。
【0018】
【表3】
【0019】なお、曲げ加工部の曲げ半径をシャープに
するため、Vカットを入れて加工した場合、材料によっ
ては、加工時に割れることがある。特に、HL仕上で
は、板取りの方向によっては、HLの研磨目が切り欠と
して作用するため、その傾向が強くなるが、中でも高C
r系のフェライト系ステンレス鋼は、一般的にオーステ
ナイト系ステンレス鋼に比べて材料の靱性に劣るため、
割れる可能性が高くなる。図4は30Cr−2Mo系鋼
のシャルピー衝撃靱性に及ぼす安定化元素の影響を示し
たものである。安定化元素Nbを単独添加(Alは添加
している)したF6鋼に比べ、Nb,Ti,Alを複合
添加したF5鋼は脆性・延性遷移温度が低く、より低温
でも良好な靱性が得られることが判る。
【0020】以下に本発明を特定するための事項につい
て説明する。 ステンレス鋼:フェライト系ステンレス鋼 オーステナイト系で高Cr,高Mo化を図った場合、合
金による固溶強化とオーステナイト相の加工硬化の両方
により成形後の材料は著しく硬化する。一方、フェライ
ト系ステンレス鋼では、固溶強化は生じるものの加工硬
化の程度が小さく、曲げ加工やロール成形のような加工
には適しているため、フェライト系ステンレス鋼とし
た。また、図1に示すように、フェライト系ステンレス
鋼の方がより少ないCr+Moで顕著な耐候性向上効果
を示すことが確認されたためである。
【0021】Cr+Mo:18重量%以上、好ましくは
22重量%以上、より好ましくは27重量%以上 ステンレス鋼の耐食性を改善するためにはCr量の増加
やMoの添加が有効であることは知られており、耐候性
を評価するにはCr+Moを指標とするのがよいとの結
果を得た。図2および図3に示す結果より、海岸近くで
あって、付着した塩が雨で洗い流される環境において
は、CrとMoの含有量総和であるCr+Moが18重
量%以上必要であり、また、海岸近くの軒下面に適用す
るためには実用上Cr+Moは22重量%以上を、さら
に優れた耐候性を有する範囲としてCr+Moが27重
量%以上必要である。
【0022】表面粗さRz:2μm以上 フェライト系ステンレス鋼を曲げ加工すると曲げ部で表
面の肌荒れが発生する。あらかじめ素材表面に表面粗さ
Rzが2μm以上の凹凸を形成しておくと、肌荒れを目
立たなくすることができる。しかし、HL仕上を用いる
と、フェライト系ステンレス鋼においては2Bに比べ耐
候性を低下することがある。この傾向はCr+Moが小
さいほど大きい。ダル、エンボスおよびショットブラス
ト仕上は耐食性を低下することなく表面の肌荒れを目立
たなくできる。ダルやエンボス仕上は、冷間圧延(調質
圧延を含む)のワ−クロ−ル表面の凹凸形状を板に転写
することにより形成することができる。ただし、Rzが
大きくなりすぎると圧延ロ−ルの加工等の設備上の困難
が生じるため、ダル仕上ではRz≦10μm、エンボス
仕上ではRz≦30μm、ショットブラスト仕上ではR
z≦30μmとすることが好ましい。
【0023】引張り強さ:600N/mm2 以下 表2に示したように、引張り強さが600N/mm2
越えると、材料が硬くかつ剛性が高くなるため、スプリ
ングバックが大きくプレスブレーキのパワーでは所望の
曲げ形状が得られなくなる。現在一般に使用される製造
ラインで所望の形状を得られるよう、引張り強さを60
0N/mm2 以下とした。
【0024】使用されるフェライト系ステンレス鋼に含
まれる合金成分の作用および含有量を規定した理由を以
下に説明する。なお、本発明で規定したCr,Mo,N
b,Ti、Al以外の元素についても望ましい範囲を説
明する。
【0025】C、N:それぞれ0.05重量%以下 いずれもステンレス鋼に不可避的に含まれる元素であ
る。C、Nの含有量を低減すると軟質になり、加工性が
向上すると共に炭窒化物の生成が少なくなる。また、
C、N含有量の低減に伴って溶接性および溶接部の耐食
性も向上する。したがって、C、Nの含有量はそれぞれ
0.05重量%以下に制限することが望ましい。 Si:1.0重量%以下 溶接部の高温割れや溶接部の靱性に対して有害な元素で
ある。また、ステンレス鋼を硬質にするのでSi含有量
は低い方が好ましい。そこで、Si含有量は1.0重量
%以下に制限することが望ましい。 Mn:1.0重量%以下 ステンレス鋼中に微量に存在するSと結合して可溶性硫
化物MnSを形成することにより、耐候性を低下させる
有害な元素である。このため、Mn含有量を1.0重量
%以下に制限することが望ましい。
【0026】P:0.04重量%以下 母材および溶接部の靱性を損なうのでP含有量は低い方
が好ましい。しかし、ステンレス鋼などの含Cr鋼を工
業的に脱Pするには工程数が増し、また、特別のフラッ
クス系の資材を必要とするため、P含有量を極度に低下
させることは製造コストの上昇を招く。したがって、P
含有量は0.04重量%以下に制限することが望まし
い。 S:0.01重量%以下 耐候性および溶接部の高温割れに悪影響をおよぼす有害
な元素であるため、S含有量は低い方が好ましい。そこ
で、S含有量を0.01重量%以下に規制することが望
ましい。 Ni:0.6重量%以下 フェライト系ステンレス鋼の靱性改善に有効な元素であ
る。しかし、多量のNi含有は、コスト高の原因になる
ばかりでなく、硬さ上昇の原因になる。本発明において
は、通常のフェライト系ステンレス鋼で不可避的不純物
として混入される程度の0.6重量%をNi含有量の上
限とするのが望ましい。
【0027】Cr:16〜32重量%、好ましくは2
4.5〜32重量% ステンレス鋼の耐食性を高める主要元素であり、耐候
性、耐孔食性、耐隙間腐食性を著しく向上させる。耐食
性改善に及ぼすCrの作用は、16重量%未満では不十
分で、20重量%以上の添加が好ましい。しかし、Cr
含有量が35重量%を越えると著しい脆化が生じ、薄板
製造、製品加工などの際に困難を伴う。品質・歩留りを
安定的に製造するためには32重量%以下とすることが
好ましい。先に述べたようにCr+Mo≧27重量%で
非常に高い耐候性が得られる。ただし後述するようにM
oを2.5重量%以下に抑えることが好ましいので、そ
の場合にはCr含有量を24.5重量%以上にすること
により満足することができる。すなわち、Cr含有量を
16〜32重量%、好ましくは24.5〜32重量%の
範囲に規制する。 Mo:0.5〜6重量%、好ましくは1.0〜2.5重
量% Crとともに鋼の耐候性を高めるために有効な元素であ
り、その効果はCrが増すにつれて大きくなる。また、
Moは溶液中に溶けてモリブデン酸イオンとなり、イン
ヒビターとして作用することにより、仮に腐食が発生し
た場合も、腐食の進行を抑制する作用もある。このよう
なMoの作用は0.5重量%以上添加することにより顕
著となり、1.0重量%以上とするのがより効果的であ
る。ただし、6重量%を越えて添加すると鋼を硬質に
し、靱性の低下を生じるため薄板製造、製品加工などの
際に困難を伴う。製造性の面からはMo含有量の上限を
2.5重量%にすることが好ましい。このため、Mo量
は0.5〜6重量%、好ましくは1.0〜2.5重量%に
規定する。
【0028】Nb:0〜1.0重量%、好ましくは0〜
0.5重量%(いずれも無添加の場合を含む)、 本発明鋼のC量レベルのフェライト系ステンレス鋼で問
題となる粒界腐食を防止するのに有効な元素であるが、
1重量%を越えて添加すると溶接部の靱性を阻害する。
また、NbはTiに比べて耐孔食性向上の効果は小さい
が、表面疵発生の原因となりにくい。そこでNb含有量
の範囲は1.0重量%以下に規制する。更に、鋼のCr含
有量が高くなると、溶接部の靱性が更に低下しやすくな
るため、粒界腐食の防止のために安定化を図る必要のあ
るC、N含有量を低くし、Nb含有量を0.5重量%以
下に抑えるのが好ましい。 Ti:0.05〜0.5重量%以下 TiはCおよびNを固定して粒界腐食を防止する効果と
ともに、Sを固定して耐孔食性の低下を防ぐ効果もあ
る。しかし、Ti含有量が多すぎると、クラスター状の
介在物TiNを生成し、素材の表面疵発生の原因となっ
たり、溶接部の靱性不良による溶接性を招いたりする。
したがって、Tiを添加する場合には、耐食性の面から
Tiの下限は0.05重量%とし、表面性状の面から
0.5重量%以下とするのが望ましい。
【0029】Cu:0.5重量%以下 亜硫酸ガス腐食環境下における耐候性を改善する元素で
あり、高濃度の亜硫酸ガス腐食環境下の建材へ適用する
には有効である。ただし、多量の添加は固溶強化により
材料を硬質にし、材料の加工性を低下させる。従って、
Cuを添加する場合には含有量の上限を0.5重量%以
下にすることが望ましい。 Al:0.03〜0.3重量% 酸洗後の皮膜を改質し、耐食性を向上させる上で有効な
元素である。またTiとの複合添加により、加熱時に優
先的にAlの酸化皮膜を形成し、Crの酸化損失を防止
し、再不動態化能の低下を抑制することができる。Al
量が0.03重量%未満ではAl酸化皮膜が形成されに
くく、また、0.3重量%を越えるとTiと同様、介在
物の生成により表面清浄を低下させる。したがって、A
lを添加する場合は0.03〜0.3重量%の含有量と
する。なお、表2および図4に示すように、Nb、T
i、Alを複合添加すると曲げ加工性および靱性が改善
され製造性が向上する。
【0030】
【実施例】表1に示す、発明該当鋼であるF4鋼および
F5鋼と、比較鋼であるA1鋼のSUS304およびA
4鋼を用いた。これらの鋼は、電気炉、転炉で溶製し、
3.5〜4.5mmの熱延鋼帯とした後、1050℃で
焼鈍して、酸洗し、1.6mmまで冷間圧延したもので
ある。さらに焼鈍、酸洗を行った後、F4鋼およびF5
鋼はスキンパス圧延機により表面をそれぞれRz が1.
8μm(比較例)および4.3μm(発明例)のダル仕
上とし、A1は研磨によりRz 2.1μmのHL仕上
(比較例)、A4はスキンパス圧延機により0.6μm
の2B仕上(比較例)とした。F4鋼、F5鋼、A1
鋼、A4鋼の引張強さは、それぞれ510、560、6
40、810N/mm2 であった。この様にして造り込
んだ材料を用いてアムスラ−試験機によるスプリングバ
ック試験を行うと共に、プレスブレーキにより曲げ半径
3mmで90度の曲げ加工を行い材料評価をした。
【0031】図5はスプリングバック性を詳しく評価す
るため、曲げ半径Rを種々変えてアムスラ−試験機によ
る直角曲げを行い、直角からのずれ角(Δθ°)を調べ
Δθ°/90°×100をスプリングバック率とし、板
厚(tmm)と曲げ半径(Rmm)の比で表した結果で
ある。板厚に対する曲げ半径比が大きくなるほどスプリ
ングバック率が大きくなり、かつ、フェライト系のF4
鋼およびF5鋼はSUS304よりもスプリングバック
比が小さく、良好な形状が得られている。高Mo系のオ
ーステナイト系鋼であるA4鋼はSUS304よりもス
プリングバック比が大きいことがわかる。A4鋼はスプ
リングバック比が大きいだけではなく、材料が硬く、プ
レスブレーキによる曲げではフルパワ−をかけても十分
な形状が出なかった。
【0032】プレスブレーキによる曲げ試験では、F4
鋼およびF5鋼ともSUS304同等以上の良好な形状
が得られ、かつ、曲げ加工後の肌荒れの程度は、フェラ
イト系ステンレス鋼ではRz が1.8μmのF4鋼では
近寄ると目立った5m離れると目立たなかった。また、
Rz が2μm以上のF5鋼は肌荒れは目立たず良好であ
った。オーステナイト系ステンレス鋼のA1鋼肌荒れが
目立たなかった。この理由は、オーステナイト系ステン
レス鋼はフェライト系ステンレス鋼に比べて結晶粒が微
細なことおよび伸びが大きいためと考えられる。F5鋼
について、1mm深さのVカットをいれ、プレスブレー
キによる90度曲げを行った。曲げ部の断面組織を図6
に示す。曲げ加工部の外周側において肌荒れによる緩や
かな凹凸は観察されるが、割れは認められなかった。な
お、外観上、肌荒れは目立たなかった。
【0033】
【発明の効果】本発明により、ステンレス鋼製建具材と
して、フェライト系ステンレス鋼、特に高Crのフェラ
イト系ステンレス鋼を採用し、さらに表面にダル、エン
ボス又はショットブラスト仕上によりRz:2μm以上
の凹凸を形成することによって、鋼が本来有する優れた
耐候性を低下させることなく、表面加工や施工による肌
荒れも目立つことのない意匠性に優れた建具用鋼板の提
供が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】建具の一種であるドア・フレームの断面形状の
一例を示す図。
【図2】フェライト系ステンレス鋼とオーステナイト系
ステンレス鋼について、屋根面を想定した大気暴露試験
後のRN(レイティングナンバ)に及ぼすCr+Moの
影響を表した図。
【図3】フェライト系ステンレス鋼の大気暴露試験後の
RN(レイティングナンバ)に及ぼすCr+Moの影響
について、屋根面を想定した場合と軒下面を想定した場
合を比較して表した図。
【図4】30Cr−2Mo系鋼のシャルピー衝撃靱性に
及ぼす安定化元素の影響を示す図。
【図5】各鋼種のスプリングバック試験の結果を示す
図。
【図6】Vカットを入れた後、プレスブレーキにより9
0度の曲げ加工を行った後の断面金属組織を示す図。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】曲げ加工部を有する金属製建具用に加工さ
    れる鋼板であって、CrとMoの含有量の総和が18重
    量%以上であるフェライト系ステンレス鋼からなり、R
    z≧2μm以上の凹凸を表面に有し、かつ、引張り強さ
    が600N/mm2 以下である耐候性および成形後の表
    面外観に優れた建具用フェライト系ステンレス鋼板。
  2. 【請求項2】フェライト系ステンレス鋼は、Cr:16
    〜32重量%、Mo:0.5〜6重量%、Nb:0〜
    1.0重量%(無添加の場合を含む)を含み、Cr+M
    o≧22重量%以上である、請求項1記載の耐候性およ
    び成形後の表面外観に優れた建具用フェライト系ステン
    レス鋼板。
  3. 【請求項3】フェライト系ステンレス鋼は、Cr:2
    4.5〜32重量%、Mo:1.0〜2.5重量%、N
    b:0〜0.5重量%(無添加の場合を含む)を含み、
    Cr+Mo≧27重量%である、請求項1記載の耐候性
    および成形後の表面外観に優れた建具用フェライト系ス
    テンレス鋼板。
  4. 【請求項4】フェライト系ステンレス鋼は、更に、T
    i:0.05〜0.5重量%、Al:0.03〜0.3
    重量%の1種又は2種を含む、請求項2又は3記載の耐
    候性および成形後の表面外観に優れた建具用フェライト
    系ステンレス鋼板。
  5. 【請求項5】鋼板の表面に、ダル、エンボス又はショッ
    トブラスト仕上によって形成された、Rz≧2μm以上
    の凹凸を有する、請求項1から4までのいずれか1項記
    載の耐候性および成形後の表面外観に優れた建具用フェ
    ライト系ステンレス鋼板。
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