JP2880906B2 - 耐候性、耐隙間腐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼 - Google Patents

耐候性、耐隙間腐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼

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JP2880906B2 JP5773194A JP5773194A JP2880906B2 JP 2880906 B2 JP2880906 B2 JP 2880906B2 JP 5773194 A JP5773194 A JP 5773194A JP 5773194 A JP5773194 A JP 5773194A JP 2880906 B2 JP2880906 B2 JP 2880906B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は加工部の耐候性および耐
隙間腐食性に優れたP添加フェライト系ステンレス鋼に
関する。本発明鋼は、建築外装用素材、電気製品の部
材、パネル、温水缶体等で特に長期間メインテナンスさ
れることない加工部材に使用する場合の用途に最適であ
り、加工部位の耐候性、耐隙間腐食性を必要とするフェ
ライト系ステンレス鋼に幅広く利用可能である。
【0002】
【従来の技術】従来のステンレス鋼板は耐候性が要求さ
れる建築外装用材として、パネル、サッシ、カーテン・
ウォールに代表されるような比較的小さい面積で用いら
れることが多かった。
【0003】しかし近年、ステンレス鋼が持つ意匠性、
美観、耐食性、耐候性の良さが認識され、さらにその施
工技術の開発と相まって屋根材、パネル材に代表される
大型建築物外装材としてもその需要が伸びてきた。この
場合、たとえば屋根材としては、ステンレス鋼板を素地
としてこれに塗装着色した塗装ステンレス鋼板またはフ
ッ素樹脂を塗装したステンレス鋼板が主に用いられてい
る。これは、従来のトタン屋根材では塗膜の劣化により
塗装に欠陥が生じて使用不能になるという欠点を克服し
ようとするものである。この塗装用ステンレス鋼板とし
ては、主に、オーステナイト系ステンレス鋼であるSU
S304(18Cr−8Ni)がその加工性の良さとい
う点から採用されてきた。
【0004】しかしながら、上述の塗装ステンレス鋼板
またはフッ素コーティング材では、不透明な塗装材の場
合、表面に塗膜があるためステンレス鋼が本来持つ銀白
色の金属光沢による意匠性が生かせないとともに、オー
ステナイト系ステンレス鋼は高価なNiを多く含むため
価格が高くなり不利である。一方、透明なフッ素塗装の
場合、塗膜劣化に伴い表面の美観を損ねることが問題に
なっている。さらに、オーステナイト系ステンレス鋼の
場合、熱膨張率がフェライト系ステンレス鋼の約2倍あ
るため長尺物には不向きといえる。
【0005】そこで建築物外装材としてフェライト系ス
テンレス鋼が注目を集めているわけであるが、フェライ
ト系ステレンス鋼を建築物外装材、特に屋根材として無
塗装などで用いる際には、長期間赤銹や海塩粒子の付着
による孔食等の腐食を生じない充分な野外耐候性・耐銹
性が必然的に要求される。また、建材用途として外装
材、例えばパネル、カーテンウォールとして用いる場
合、ロールフォーミングやプレス加工が施されるため、
加工部においても上記特性、すなわち耐候性、耐食性、
耐隙間腐食性が必要になるということはいうまでもな
い。
【0006】このようなことから従来、特開昭55−1
38058号に代表されるように、高耐候性・高耐銹性
のフェライト系ステンレス鋼としてはC,Nを極力低減
し、しかもCrの増量やMo添加量を増大することによ
り耐食性を高めることが試みられてきた。しかしなが
ら、ただ単にCrの増量、Mo添加量を増大するだけで
は高合金になり、価格が高価になり経済的な面から制約
を受ける。また、硬質化に伴う成形性低下、更には靱性
添加に伴う製造性が問題となる。そこで、Cr,Mo以
外の元素添加で耐候性、耐銹性、耐隙間腐食性の向上が
期待でき、しかも素材の成形性や加工部の耐食性を損な
うことがなく、より安価な材料開発が強く望まれてい
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このようなことから、
本発明では、Pの添加により耐食性の向上を狙っている
が、Pの添加は素材の加工性を低下させるため、加工部
の割れ、耐食性向上対策が必要となっていた。
【0008】本発明はこのような要求を満たすことを目
的とし、フェライト系ステンレス鋼にPを0.04%を
越え0.2%以下の範囲で添加し、さらに本発明の特徴
のひとつであるCaおよびAl添加量の適正化をはかる
ことにより非金属介在物の量、形状および分布を規制
し、従来鋼に比べ安価でしかも特に加工部の耐候性・耐
隙間腐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼を提供す
ることを目的とするものである。
【0009】すなわち、本発明は、従来、有害元素とし
て知られていたPを靱性低下による製造性可能な領域範
囲内で積極的に添加し、また、清浄度向上、介在物形態
と分布制御を目的としたCaおよびAl添加量の適正化
を計ることにより、特に曲げ、しぼり等の加工部におけ
る耐候性、耐隙間腐食性に優れたフェライト系ステンレ
ス鋼を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】Ca,Al複合添加の効
果を調べたところ下表のように非金属介在物の量、形状
および分布に大きな差が生じることを発見し、これをも
とに本発明の開発に至った。
【0011】すなわち、本発明は、重量%で、 C :0.05%以下、 Si:1.0%以下 Cr:11%以上20%未満、 Mn:1.0%以下 N :0.10%以下、 S :0.03%以下 Ca:5〜50ppm、 Al:0.5%以下 P :0.04%超〜0.20% を含有し、残部は鉄および不可避的不純物からなる耐候
性、耐隙間腐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼を
提供するものである。また、Al添加量についてはA
l:0.1%以下とするのが好ましく、Al:0.01
%以上0.1%以下とすればさらに好適である。
【0012】さらに、本発明のステンレス鋼は下記のグ
ループ(1)〜(3)の少なくとも1種を含有していて
もよい。 (1)Moを6%以下 (2)Cu:1.0%以下、Ni:3%以下およびC
o:3%以下から選択される少なくとも1種 (3)Ti:1.0%以下、Nb:1.0%以下、V:
1.0%以下、W:1.0%以下、Zr:1.0%以
下、Ta:1.0%以下およびB:0.05%以下から
選択される少なくとも1種
【0013】
【作用】以下に本発明をさらに詳細に説明する。本発明
のフェライト系ステンレス鋼は、従来、有害元素として
極力その含有量を減らすべく努力が払われてきたPを積
極的に、しかも成形加工性を損ねることが無く、製造可
能な程度の範囲で添加し、さらにCaおよびAlを適正
量添加することにより非金属介在物の形状と分布を制御
し、表面性状、清浄度を改善することにより、加工部の
耐候性、耐隙間腐食性を改善することを特徴とするもの
である。Pがステンレス鋼の耐食性に及ぼす影響につい
ては「ステンレス鋼便覧」でその含有量が0.1%以下
の完全固溶状態ではその影響はほとんどなく、Pの含有
量が増大すると孔食感受性が増し、その結果、耐食性を
低下させることが記載されている。従来ステンレス鋼中
のP添加量を極力低減することを試みた理由としては、
前述した通りPの靱性低下に伴う製造性の劣化に原因が
あると思われる。
【0014】すなわち製造性についてはPは偏析を起こ
しやすく熱間割れ性を高め、溶接部の亀裂感受性を助長
することが一般に知られている。このことから従来結晶
構造が体心立方構造であり、靱性がオーステナイトステ
ンレス鋼に比べ低いフェライト系ステンレス鋼にとって
Pは極めて有害であるとみなされ、その添加量を極力低
下する努力がなされてきた。事実JIS 430等で規
定されているようにSUS447J1といった高Crフ
ェライト系ステンレス鋼については、Pの添加量は0.
03%以下と規定されている。またその他の鋼種につい
てもPは靱性、加工性を低下させるため0.04%以下
との規定がある。
【0015】一方、フェライト系ステンレス鋼にPを積
極的に添加した例としては、特開昭60−248868
号、特開昭61−12825号、特公昭57−3090
3号があるが、いずれもPの積極的添加は2次加工性、
脱スケール性、高温特性を向上させるのみで、耐食性に
は影響を与えないとしている。
【0016】また、例えば、建材用途としてフェライト
系ステンレス鋼をロールフォーミング加工やパネル加工
した場合など、加工部位は素材の清浄度により表面のあ
れや微小なクラックを生じ、これらが発銹起点となり、
赤銹等の発銹が生じ、耐候性が劣化する事が懸念され
る。一方、ボルト等で接合する場合、隙間が生じるため
耐隙間腐食性が必要となる。
【0017】そこで本発明ではいままで着目されていな
かったフェライト系ステンレス鋼へのPの積極的な添加
が耐候性、耐銹性、耐隙間腐食性に及ぼす影響を系統的
に調査するとともに、CaおよびAl添加により非金属
介在物の形と分布を制御し、清浄度と表面性状の向上を
はかり、Pの添加による製造性、加工性の低下を補うこ
とで、従来のJISに規格されている範囲以上にPを積
極的に添加し、耐候性、耐隙間腐食性を向上させ、特に
曲げ加工部等のある建築物外装用素材として赤銹の発生
が少なく美観上優れた素材が提供できるという新しい知
見を得て本発明としたわけである。
【0018】すなわち、本発明は、重量%で、 C :0.05%以下、 Si:1.0%以下 Cr:11%以上20%未満、 Mn:1.0%以下 N :0.10%以下、 S :0.03%以下 Ca:5〜50ppm、 Al:0.5%以下 P :0.04超〜0.20% を含有し、残部は鉄および不可避的不純物からなる耐候
性、耐隙間腐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼を
提供するものである。また上記成分範囲でAlを0.1
%以下に限定する。なお、Alの含有量は、0.1%以
下が好ましく、0.01%〜0.1%とするのがさらに
好ましい。
【0019】さらに、本発明のステンレス鋼は下記のグ
ループ(1)〜(3)の少なくとも1種を含有していて
もよい。 (1)Moを6%以下 (2)Cu:1.0%以下、Ni:3%以下およびC
o:3%以下から選択される少なくとも1種 (3)Ti:1.0%以下、Nb:1.0%以下、V:
1.0%以下、W:1.0%以下、Zr:1.0%以
下、Ta:1.0%以下およびB:0.05%以下から
選択される少なくとも1種
【0020】P添加によるメリットとしては、この他に
同一の耐候性、耐隙間腐食性を有する素材を製造する
時、これら特性向上に有効であるCr,Moといった元
素の添加量を安価なPによって代替させるためコスト的
に安価ですむ、また従来の低P化の工程が不要もしくは
省工程化が可能なため原料費、脱Pにかかったコストの
削減が期待できるといったメリットも含まれる。
【0021】このようなことから本発明鋼は、産業上非
常に大きな効果を発揮することが期待される。
【0022】以下に鋼組成を上述したように限定した理
由について説明する。なお、単位は重量%である。ただ
し、Caのみはppmである。
【0023】C,N C,Nは熱間加工性や靱性、耐銹性に大きく影響を与え
る成分元素である。本発明鋼はP添加により製造性が低
下するため、主に製造性、加工性の確保という観点か
ら、上限をCについては0.05%、Nについては0.
10%とした。またこれら元素の低減効果は飽和するこ
とがなく、C,Nの含有量は少ない程好ましいため下限
は定めない。しかし、実際の製造という観点からみると
C≧10ppm、N≧20ppmが好ましいと言える。
【0024】Cr Crは本発明鋼の基本的な耐食性を決定する重量な元素
である。この含有量の増加に伴い耐食性は向上するが、
20%越えて添加すると本発明鋼のようなP添加鋼にお
いて素材の加工性、特に延性が低下し、ロールフォーミ
ング加工やパネル加工が難しくなるとともに、加工部で
割れが生じやすくなるためその上限を20%未満とし
た。一方、11%未満だと充分な耐食性、耐候性が得ら
れないため、その下限を11%とした。Cr量の好まし
い範囲は15%〜18%である。
【0025】Si Siは脱酸材として添加され、特に耐酸化性向上、清浄
度の向上に有効な元素である。また耐候性、耐銹性向上
にも有効な効果が認められるが、添加量が多すぎると固
溶強化により伸びと靱性が低下するためその上限を1.
0%とした。
【0026】Mn Mnは高温度でオーステナイトを生成させる元素であ
り、高温熱処理後の冷却によりマルテンサイトを生成さ
せる元素である。製鋼工程において脱酸材として用いら
れるが1.0%を越えて添加すると熱間加工性に有害で
あるため、その上限を1.0%とした。Mn量の好まし
い範囲は0.3%以下である。
【0027】S Sは機械的性質、溶接性に有害な元素であるばかりでは
なく、MnS等の介在物が発銹の起点になるため、耐候
性、耐銹性を低下させる。そのため含有量は少ない程好
ましい。特に、0.03%を越えると耐候性、耐銹性、
耐隙間腐食性の低下が著しいので、その上限を0.03
%とした。S量の好ましい範囲は0.007%以下であ
る。
【0028】Al Alは脱酸効果があり脱酸材として添加される。またA
lは耐火物の侵食を促出するMnO,FeOをはじめ、
ケイ酸塩の形成を抑制するため耐火材の侵食による酸化
物系介在物が少なくなり、鋼の製造性、加工性を向上さ
せる。ただし、0.5%をこえる過剰添加はマクロ的介
在物の発生を促進するとともに介在物の散在によって加
工性が低下するため、その添加量の上限を0.5%とし
た。また、Al量の好ましい量は0.1%以下である。
さらにAlの効果は0.01%未満ではあまり期待でき
ないのでその下限値としては0.01%以上であること
が好ましい。
【0029】Ca Caは本発明鋼の清浄度、表面性状を向上させ、鋼の特
性改善に寄与し、しかも非金属介在物の形と分布を調整
するうえで重要な元素である。すなわちCaは脱酸され
た鋼の非金属介在物の型状と分布を調製する効果があ
り、介在物を連続した脆弱層を作らず延性に富んだ、い
わゆる偏晶型介在物を形成し、加工性向上に有効な元素
である。この効果は、5ppm以上の添加で加工部の介
在物に起因した割れが減少し、しかもPとの複合添加に
より耐候性、耐隙間腐食性向上た認められる。しかしな
がら添加量が多すぎると表面性状を劣化するとともに主
にCaOに起因した耐食性の低下をひきおこすため、そ
の上限を50ppmとした。Caの好ましい添加範囲は
3ppm〜15ppmである。
【0030】P Pは耐食性、耐候性、耐隙間腐食性向上に有効な元素で
ある。その効果は0.04%を越えないと明確に現れな
いのでその下限を0.04%超とした。一方、0.2%
を超えて添加すると加工性、製造性が低下するばかりで
はなく耐銹性がむしろ低下するのでその上限を0.2%
とした。P量の好ましい範囲は0.04%超〜0.1%
である。
【0031】Mo Moは本発明鋼の耐食性、耐候性を著しく高める作用を
有する添加元素であり、耐銹性、耐孔食性、耐隙間腐食
性改善に対して極めて有効な元素である。またCr量の
増加でその効果はさらに助長されるため是非添加すべき
元素である。しかしながらその添加量が6.0%を越え
ると靱性が低下し製造性が著しく低下することで、経済
性が悪くなるのでその添加範囲を6.0%以下と限定し
た。Mo量の好ましい範囲は2.0%以下である。
【0032】Ni,Co,Cu Ni,CoおよびCuこれらの元素はいずれも耐候性、
耐食性、耐酸性、耐隙間腐食性向上に有効な元素であ
る。またNi,Coについては靱性向上効果もある。但
しCuについては1.0%越えて添加すると熱間加工性
が劣化するとともに硬質化する。またNi,Coについ
ては3.0%を越えて添加すると加工性が低下し、しか
も経済性も悪くなるため、これら元素の含有量をそれぞ
れNi,Co:3%以下、Cu:1.0%以下と定め
た。Ni,Co,Cu量の好ましい範囲はそれぞれN
i;1.0%以下、Co;1.0%以下、Cu;0.6
%以下である。
【0033】Nb,Ti,V,Zr,Ta,W,B Nb,Ti,V,Zr,Ta,WおよびBはいずれも炭
化物および窒化物形成元素であり、耐候性、成形性向
上、溶接部の耐食性向上効果を発揮する。しかしなが
ら、Nb,Ti,V,Zr,TaおよびWについては
1.0%を越え、Bについては、0.05%を越えて添
加含有させるとその効果が飽和し、また加工性を損なう
ようになることから、Nb,Ti,V,Zr,Taおよ
びWについては1.0%以下、一方、Bはさらに2次加
工性向上に有効な元素であるが、0.05%以上ではそ
の効果が飽和するとともに逆に加工性が低下するためそ
の範囲を0.05%以下とした。Nb,Ti,V,Z
r,Ta,W,B量の好ましい範囲はそれぞれNb;
0.5%以下、Ti;0.3%以下、V;0.2%以
下、Zr;0.3%以下、Ta;0.3%以下、W;
0.2%以下、B;0.02%以下である。
【0034】本発明の耐候性、耐隙間腐食性に優れたP
添加フェライト系ステンレス鋼は、加工をほどこす建築
物外装用素材(屋根材、外装用パネル等)や温水器缶体
また塗装原板などの用途に幅広く利用可能である。また
本発明鋼は上述した成分系で溶製した鋼を通常の製造工
程、すなわち溶製−熱間圧延−焼鈍−酸洗−冷間圧延−
焼鈍−(酸洗)−仕上げ圧延(調質圧延)により製造す
ることができる。
【0035】さらに本発明鋼は使用される状態が熱延焼
鈍板であろうと冷延焼鈍板(2D,2B,BA,HL,
研磨仕上げ,ダル仕上げ)であろうと特にその素材をロ
ールフォーミグ等で加工した場合、その加工部の耐食
性、耐候性、耐隙間腐食性にその効果が得られる。
【0036】
【実施例】以下に本発明を実施例に基づいて具体的に説
明する。 (実施例)表1に示す組成の30kg小型鋼塊を真空高
周波炉で溶製し、1250℃、1時間加熱後4mm厚の
熱延板とした後、放冷し熱延焼鈍板とした。この板をシ
ョットブラストにかけ、さらに酸洗して表面のスケール
を除去後、0.6mm厚まで冷間圧延し、この板を95
0℃から1150℃の温度範囲で30秒間の再加熱後た
だちに放冷した。
【0037】この素材に対し、図1に示すように素材を
加工し、その後、海岸線から50mの大気暴露試験(J
IS Z 2381)を実施し、耐候性(発銹面積率)
調査を行った。なお試験方法の詳細はJISに準拠した
が、南向き36度の角度の架台に試験片を各鋼種2枚ず
つ3年間暴露し、その平板部の発銹量を発銹面積率とし
て相対的に評価し、また、加工部やクロスカット部の発
銹の有無を調査した。表2に大気暴露試験3年後の試験
結果、すなわち180度曲げ部、クロスカット部の発銹
の有無、平板部の発銹面積率を、また10%塩化第二鉄
溶液−3%食塩水中における隙間腐食発生試験結果を合
わせて示す。また図2にCaおよびAl含有の13Cr
−0.5Mo−0.2Nb−0.02(C+N)鋼の腐
食面積率の経時変化に及ぼすPの影響を示す。この図か
らJISに規格されている0.04%以下のP添加鋼に
比べPを0.04%を越え添加した鋼種の耐候性が未添
加鋼に比べ優れている。
【0038】図3に18Cr−0.2Mo−0.005
C−0.01N−鋼の180°曲げ(R=1mm)部の
孔食電位(処理法は下記の図4につき説明するのと同
じ)に及ぼすAl,Caの影響を示す。Pを0.06〜
0.07含有し、Caを15ppm含んだ鋼はCa未添
加鋼に比べAlの効果が顕著であり、Al,Ca複合添
加の効果があらわれている。
【0039】一方、図4に鋼6および7につき0〜18
0度まで20度間隔で曲げ試験を行ない、その後孔食電
位を測定した結果を示す。ここで孔食電位の測定はJI
SG 0577に準拠し、30℃の3.5%NaCl溶
液中で測定した。またその値は電流密度が10μA/c
2 に達した電位で表した。鋼6(Caレス、Al:
0.05%:比較鋼)と鋼7(Ca;23ppm、A
l;0.06%複合添加鋼:本発明鋼)の比較から曲げ
角度が大きくなるほど鋼の耐孔食性に差が生じ、Ca添
加鋼の方が耐食性が良好となっている。
【0040】以上の結果からJISで規格されているP
添加範囲である0.04%を越えるPを添加し、さらに
CaおよびAlを添加することにより平板のみならず特
に加工部の耐食性を向上させることがわかった。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】
【表5】
【0046】
【表6】
【0047】
【発明の効果】このように本発明に準拠して溶製した成
分系のCaおよびAl,P複合添加フェライト系ステン
レス鋼は従来の鋼種に比べ低合金で加工部の耐候性、耐
銹性に優れしかも耐隙間腐食性に優れ、安価に製造可能
といったメリットがあり産業上有用な効果が期待され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 試験片の形状を示す線図である。
【図2】 大気暴露試験6ヶ月および5年後の発銹面積
率に及ぼすP添加の影響を示すグラフである。
【図3】 180°曲げ部(R=1mm)の孔食電位に
及ぼすCaおよびAlの複合添加の影響を示すグラフで
ある。
【図4】 孔食電位と試験片曲げ角度に及ぼすCaおよ
びAl複合添加の影響を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉 岡 啓 一 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 大和田 哲 東京都千代田区内幸町2丁目2番3号 川崎製鉄株式会社東京本社内 (56)参考文献 特開 昭59−123745(JP,A) 特開 平3−158436(JP,A) 特開 平1−306237(JP,A) 特開 平6−172935(JP,A) 特公 昭54−24364(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 38/00 - 38/60

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、C :0.05%以下、
    Si:1.0%以下 Cr:11%以上20%未満、 Mn:1.0%以下 N :0.10%以下、 S :0.03%以下 Ca:5〜50ppm、 Al:0.5%以下 P :0.04%超〜0.20% を含有し、残部は鉄および不可避的不純物からなる耐候
    性、耐隙間腐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の成分に加えてさらに、M
    oを6%以下含有し、残部は鉄および不可避的不純物か
    らなる耐候性、耐隙間腐食性に優れたフェライト系ステ
    ンレス鋼。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載の成分に加えてさ
    らに、Cu:1.0%以下、Ni:3%以下およびC
    o:3%以下から選択される1種または2種以上を含有
    し、残部は鉄および不可避的不純物からなる耐候性、耐
    隙間腐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
  4. 【請求項4】請求項1、2および3のいずれかに記載の
    成分に加えてさらに、Ti:1.0%以下、Nb:1.
    0%以下、V:1.0%以下、W:1.0%以下、Zr
    1.0%以下、Ta:1.0%以下およびB:0.05
    %以下から選択される1種または2種以上を含有し、残
    部は鉄および不可避的不純物からなる耐候性、耐隙間腐
    食性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
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