JP2002053938A - 耐初期発錆性、加工性および溶接性に優れたFe−Cr合金 - Google Patents

耐初期発錆性、加工性および溶接性に優れたFe−Cr合金

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JP2002053938A JP2001148701A JP2001148701A JP2002053938A JP 2002053938 A JP2002053938 A JP 2002053938A JP 2001148701 A JP2001148701 A JP 2001148701A JP 2001148701 A JP2001148701 A JP 2001148701A JP 2002053938 A JP2002053938 A JP 2002053938A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Ni,Cu,Cr,Moなどの元素を極端に増量する
ことや、Nb,Tiの添加、さらにはC,Nの過度の低減を
必要とすることなしに、溶接性や耐初期発錆性に優れた
Fe−Cr合金を提供する。 【解決手段】 Crを8mass%超、15mass%未満の範囲で
含有するFe−Cr合金について、特にCo,V,Wを Co:0.01mass%以上、0.5 mass%未満、 V:0.01mass%以上、0.5 mass%未満および W:0.001 mass%以上、0.05mass%未満 の範囲で含有させると共に、次式(1) で示されるX値
が、X値≦11.0を満足するように成分調整する。 X値=Cr+Mo+1.5 Si+0.5 Nb+0.2 V+0.3 W+8Al
−Ni−0.6 Co−0.5 Mn−30C−30N−0.5 Cu -
-- (1)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐初期発錆性、加
工性および溶接性に優れたFe−Cr合金に関し、特に耐初
期発錆性、曲げ加工性および溶接部靱性が要求される土
木・建築構造用材料としての用途に供して好適なもので
ある。
【0002】
【従来の技術】土木・建築構造用材料としては、従来、
主に SS400等の普通鋼、SM490 等の高張力鋼およびこれ
らの鋼材に塗装やめっきを施した材料が使用されてき
た。しかしながら、近年、設計の多様化に伴い、各種材
料の利用が検討されはじめている。
【0003】中でも、耐食性や意匠性に優れたFe−Cr合
金は、発銹に対する保守費用がほとんど必要ないため、
ライフサイクルコスト(LCC)の観点から見ると、極
めて魅力的な材料といえる。特に、海岸地帯に建設され
る建築物は、短寿命なことに加え、腐食抑制のための保
守費用が増大するという問題を抱えており、またウォー
ターフロント開発を推進する上でも、耐食性と溶接性、
特に耐初期発錆性に優れた土木・建築構造用耐食性機能
材としてのFe−Cr合金の役割が大いに期待されている。
【0004】Fe−Cr合金は、その金属組織から、SUS430
に代表されるフェライト系ステンレス鋼、SUS410鋼に代
表されるマルテンサイト系ステンレス鋼、 SUS 304に代
表されるオーステナイト系ステンレス鋼、 SUS 329に代
表される2相ステンレス鋼および SUS 630に代表される
析出硬化型鋼に大別される。このような各種Fe−Cr合金
の中で、従来から土木・建築構造用材料として検討され
てきたのは、材料強度、耐食性、溶接の容易さ、溶接部
靱性および汎用性を含めて使用実績が最も多い、オース
テナイト系ステンレス鋼である。
【0005】かようなオーステナイト系ステンレス鋼
は、強度、耐食性、耐火性および溶接部靱性等の土木・
建築用材料に要求される特性を十分に満足する特性を有
している。しかしながら、このオーステナイト系ステン
レス鋼は、 1) NiやCr等の合金元素を多量に含有しているために、
普通鋼に比べると格段に高価であること、 2) 応力腐食割れを生じること、 3) 熱膨張率が普通鋼に比べて大きく、また熱伝導度が
比較的小さいために、溶接時の熱影響に起因した歪みが
蓄積し易く、精度を要求される部材等には適用が難しい
こと、などのため、普通鋼や普通鋼に塗装やめっきを施
した材料が使用されていた汎用構造材への適用は難し
く、適用範囲が制限されるという問題があった。
【0006】このため、最近では、めっきや塗装を施し
た普通鋼の代替として、Cr含有量が15mass%以下の低Cr
含有合金鋼の土木・建築用材料への適用が検討されつつ
ある。例えば、マルテンサイト系ステンレス鋼の土木・
建材用途への適用がその例である。Cr量が15mass%以下
のFe−Cr合金は、前述したとおり、Niを含有するFe−Cr
−Ni合金に比べてCr量が少ないだけでなく、Ni含有量も
少ないために、格段に安価であり、また熱膨張率が小さ
くかつ熱伝導率が大きいことの他、普通鋼に比べて耐食
性に優れ、しかも高耐力を有するという特長がある。ま
た、マルテンサイト系ステンレス鋼は、15mass%以上の
Crを含有する高Cr合金で問題になるσ脆化や 475℃脆化
等の心配がなく、さらにオーステナイト系ステンレス鋼
で問題となる塩化物環境下での応力腐食割れの心配もな
いという利点がある。
【0007】しかしながら、 SUS 410に代表されるマル
テンサイト系ステンレス鋼は、C含有量が 0.1mass%程
度と高いため、溶接部靱性や溶接部の加工性に劣り、し
かも溶接に際しては予熱を必要とし、溶接作業性にも劣
ることから、溶接が必要な部材への適用には問題を残し
ていた。
【0008】上記の問題の対策として、例えば特公昭51
−13463 号公報には、Cr:10〜18mass%,Ni:0.1 〜3.
4 mass%, Si:1.0 mass%以下およびMn:4.0 mass%以
下を含有し、さらにC:0.030 mass%以下, N:0.020
mass%以下に低減し、溶接熱影響部にマッシブマルテン
サイト組織を生成させることによって、溶接部の性能を
向上させた溶接構造用マルテンサイト系ステンレス鋼が
提案されている。
【0009】また、特公昭57−28738 号公報には、Cr:
l0〜13.5mass%,Si:0.5 mass%以下およびMn:1.0 〜
3.5 mass%を含有し、またC:0.020 mass%以下, N:
0.020 mass%以下に低減した上で、さらにNiを 0.1mass
%未満と厳しく制限することによって、溶接前後におけ
る予熱、後熱を必要としない、溶接部靱性および加工性
に優れた構造用マルテンサイト系ステンレス鋼が提案さ
れている。
【0010】しかしながら、特公昭51−13463 号公報や
特公昭57−28738 号公報に開示された技術では、以下に
述べるような、土木・建築構造材に特有の問題に対する
対策が講じられていないところに問題を残していた。す
なわち、土木・建築構造用途への適用を考えた場合、柱
や梁といった部材は、建造物の完成後に外壁材のような
厳しい環境に曝されることがない。ところが、工場にお
いてパイプや形鋼といった構造用部材に加工し出荷した
のち、構造物の施工が終了するまでの数カ月といった短
期間の間は屋外に放置される場合がある。このため、鋼
材の耐初期発錆性を向上させ、出荷後の施工期間中に生
じる初期錆の発生を抑えることは、外観上重要であるば
かりでなく、完成後の構造物の耐久性の観点からも重要
である。また、土木・建築構造材料として用いる場合、
表面性状に対する要求が低いので、熱延まま、あるいは
熱延焼鈍ままで、鋼板の表面にスケールが付着した状態
での使用が可能であることが経済的観点から望ましい。
さらに、種々の形状をもった形鋼などへの加工を考えた
場合、鋼板の靱性、特に母材鋼板や溶接部における伸び
および曲げ加工性の改善に対する要求が大きい。
【0011】このような問題に対し、特開平11−302796
号公報には、C:0.005 〜0.1 mass%,Si:0.05〜1.5
mass%, Mn:0.05〜1.5 mass%,P:0.04mass%以下,
S:0.05mass%以下,Cr:10〜15mass%,N:0.055 ma
ss%以下で、かつ(C+N):0.1 mass%以下に低減し
た上で、さらにNi, Cuの1種または2種を 0.1mass%以
上、1.0 mass%未満の範囲で含有し、残部はFeおよび不
可避的不純物の成分組成とすることからなる、耐食性に
優れた建築構造用ステンレス熱延鋼帯とその製造方法が
提案されている。
【0012】また、特開平11−302797号公報には、C:
0.005 〜0.1 mass%,Si:0.05〜1.5 mass%,Mn:0.05
〜1.5 mass%,P:0.04mass%以下,S:0.05mass%以
下,Cr:10〜15mass%,N:0.055 mass%以下で、かつ
(C+N):0.1 mass%以下に低減した上で、さらにN
i,Cuの1種または2種を 0.1mass%以上、1.0 mass%
未満の範囲で含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の
成分組成になり、しかも熱延後のスケールを機械的に剥
離した後の熱延鋼帯の表面金属層1μm 当たりの平均Cr
量を7mass%以上とすることからなる、耐食性に優れた
建築構造用ステンレス熱延鋼帯とその製造方法が提案さ
れている。
【0013】しかしながら、上記した特開平11−302796
号公報および特開平11−302797号公報に開示された技術
では、従来からその効果が知られているNi, Cu添加によ
る耐錆性の改善技術を利用しているだけで、鋼板の靱
性、特に母材鋼板や溶接部における伸びおよび曲げ加工
性を損なうことなく耐初期発錆性を改善する手法に関し
ては、十分な開示はなく、その改善が望まれていた。
【0014】その他、Fe−Cr合金の耐食性や溶接性、溶
接部靱性を改善する方法としては、高純度化、さらには
それに加えて炭素や窒素を炭化物や窒化物として固定す
るためのNb,Tiの添加が有効であることから、かような
手段によって製造した種々の鋼が開発されている。例え
ば、特開昭60−13060 号公報には、炭素・窒素安定化元
素であるNbを適量添加することによって耐食性の改善を
図ったステンレス鋼が開示されており、さらにこれに加
えてMo,Ni,Cu等を添加すると耐食性が一層向上するこ
とが示されている。
【0015】しかしながら、例えば溶接構造材用途を考
慮した鋼材に関し、特に出荷から施工時までの耐初期発
錆性を効果的に改善する技術については、十分な検討が
行われておらず、先に延べたような従来から知られてい
るCu,Ni,Mo,TiおよびNbといった合金元素の添加や
C,Nの低減といった技術に加え、さらなる改善方法の
確立が要望されていた。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の現状
に鑑み開発されたもので、溶接性や耐食性、加工性に優
れるのはいうまでもなく、耐初期発錆性にも優れたFe−
Cr合金を提案することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】さて、発明者らは、上記
の目的を達成するために、各種元素について綿密な検討
を行った。特にCo,V,Wに注目して、Cr含有量が15ma
ss%未満のFe−Cr合金において、溶接性および溶接部靱
性および初期発錆性に及ぼすこれらの元素の影響につい
て調査した。従来、溶接部の割れ感受性を低下させ、か
つ鋼板の靱性、耐初期発錆性、延性および加工性を確保
するためには、Ni当量(例えば、=Ni+30C+0.5 Mn)
やCr当量(例えば、=Cr+Mo+1.5 Si+0.5 Nb)の適正
化に加え、特にCr,MoNiやC,N,Nb,Ti等の元素の調
整が主に検討されてきた。しかしながら、Co,V,Wに
関しては、耐初期発錆性やフェライト相(α相)および
オーステナイト相(γ相)の安定性に影響を与えるにも
係わらず、Cr当量やNi当量に及ぼす影響、溶接部および
スケールが付着した母材部の初期発錆性に及ぼす影響に
ついての詳細な検討はされていなかった。
【0018】本発明では、相安定性に及ぼすこれら元素
の影響を把握すると共に、特に溶接部近傍の耐初期発錆
性やスケールが付着した状態の鋼板の耐初期発錆性に及
ぼすCo,V,Wの影響を詳細に調査することによって、
靱性や耐初期発錆性に及ぼすこれらの元素の影響を定量
的に評価し、これらの元素の適正な範囲および適正な比
率を明らかにした。
【0019】すなわち、次式(1) X値=Cr+Mo+1.5 Si+0.5 Nb+0.2 V+0.3 W+8Al −Ni−0.6 Co−0.5 Mn−30C−30N−0.5 Cu --- (1) で示されるX値を用いて、オーステナイト相の安定化ひ
いては溶接部靱性に及ぼすCo, V, Wの影響を評価する
ことが可能であり、この値が所定の範囲を満足するよう
に合金の成分調整を行うことによって、溶接熱影響部が
実質的にマルテンサイト組織となり、溶接部靱性が改善
されることを見出した。ここで、(1) 式中のCr, Mo, S
i, Nb, V, W, Al, Ni, Co, Mn, C, NおよびCuはそ
れぞれ、各元素の含有量(mass%)を意味する。
【0020】図1は、この知見を得るに至った実験結果
の例で、X値と溶接部靱性(シャルピー衝撃値試験にお
ける吸収エネルギー)との関係について調べた結果であ
る。同図に示したとおり、X値を11.0以下とすることに
よって、溶接部靱性は格段に向上する。
【0021】さらに、次式(2) Z値=(Co+1.5 V+4.8 W) --- (2) で示されるZ値によって、溶接部とスケールの付着した
鋼板の耐初期発錆性に及ぼすCo,V,Wの影響について
調査したところ、上記(1) 式で示されるX値を所定の範
囲に調整した鋼に対し、上記(2) 式が所定の範囲を満足
するように合金の成分調整を行うことによって、溶接部
靱性を損なうことなしに、耐食性、特に耐初期発錆性と
加工性がバランスよく改善されることを究明した。ここ
で、(2) 式中のCo, VおよびWはそれぞれ、各元素の含
有量(mass%)を意味する。
【0022】図2および図3は、上記の知見を得るに至
った実験結果の例で、溶接部およびスケールの付着した
母材鋼板における発錆起点数とZ値との関係について調
べた結果を、それぞれ示した図である。図2,3に示し
たとおり、Z値が0.03以上になると発錆起点数は急激に
減少し、耐初期発錆性が改善されることが判る。
【0023】また、上記成分に調整した鋼に関して、溶
接部や母材鋼板の延性、加工性の向上を目的に、Cおよ
びNに着目して検討を行った。図1には、X値と溶接部
靱性との関係について、C/N比が 0.6以下の場合とC
/N比が 0.6超の場合とに分けて示したが、同図に示し
たとおり、C/N比が0.6以下の場合の方が溶接部靱性
は優れている。
【0024】さらに、図4には、C/N比と母材鋼板の
伸びおよび溶接部のシャルピー衝撃値試験から求めた遷
移温度(延性破面率が 100%となる温度における吸収エ
ネルギーの 1/2の値となる吸収エネルギーが得られる温
度)との関係について調べた結果を示す。同図から明ら
かなように、C/N比を 0.6以下に調整することによっ
て、溶接部靱性が向上するだけでなく、母材鋼板の延性
(伸び)が向上し、加工性も改善されることが判る。さ
らに、実施例において後述するように、C/N比を調整
することによって、母材鋼板の靱性も向上する。
【0025】上述したようにして、高価なNi,Cu,Cr,
Mo等を極端に多く添加したり、Nb,Tiの添加、さらには
C,Nを極端に低減することなしに、溶接部の靱性を確
保し、さらには溶接部およびスケールが付着した鋼板の
耐初期発錆性や加工性をバランス良く有利に改善できる
ことが究明されたのであり、これが本発明の重要な骨子
である。
【0026】すなわち、本発明の要旨構成は次のとおり
である。 1.C:0.0025mass%超、0.03mass%未満、 N:0.0025mass%超、0.03mass%未満、 Si:0.1 mass%超、2.0 mass%未満、 Mn:0.1 mass%超、3.0 mass%未満、 Cr:8.0 mass%超、15mass%未満、 Al:0.5 mass%未満、 P:0.04mass%未満、 S:0.03mass%未満、 Ni:0.01mass%以上、3.0 mass%未満、 Co:0.01mass%以上、0.5 mass%未満、 V:0.01mass%以上、0.5 mass%未満および W:0.001 mass%以上、0.05mass%未満 を、下記式(1) で示されるX値が、X値≦11.0を満足す
る範囲において含有し、残部はFeおよび不可避的不純物
の組成になることを特徴とする耐初期発錆性、加工性お
よび溶接性に優れたFe−Cr合金。 記 X値=Cr+Mo+1.5 Si+0.5 Nb+0.2 V+0.3 W+8Al −Ni−0.6 Co−0.5 Mn−30C−30N−0.5 Cu --- (1)
【0027】2.上記1において、さらに、下記式(2)
で示されるZ値が、0.03≦Z値≦1.5の範囲を満足する
ことを特徴とする耐初期発錆性、加工性および溶接性に
優れたFe−Cr合金。 記 Z値=(Co+1.5 V+4.8 W) --- (2)
【0028】3.上記1または2において、さらに、C
とNの比(C/N)が、(C/N)≦0.60の範囲を満足
することを特徴とする耐初期発錆性、加工性および溶接
性に優れたFe−Cr合金。
【0029】4.上記1,2または3において、さらに
Cu:3.0 mass%未満およびMo:3.0 mass%未満のうちか
ら選んだ1種または2種を含有する組成になることを特
徴とする耐初期発錆性、加工性および溶接性に優れたFe
−Cr合金。
【0030】5.上記1〜4のいずれかにおいて、さら
にTi:0.7 mass%未満、Nb:0.7 mass%未満、Ta:0.7
mass%未満およびZr:0.5 mass%未満のうちから選んだ
1種または2種以上を含有する組成になることを特徴と
する耐初期発錆性、加工性および溶接性に優れたFe−Cr
合金。
【0031】6.上記1〜5のいずれかにおいて、さら
に B:0.0002mass%以上、0.002 mass%以下 を含有する組成になることを特徴とする耐初期発錆性、
加工性および溶接性に優れたFe−Cr合金。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明について具体的に説
明する。まず、本発明において、合金の成分組成を上記
の範囲に限定した理由について説明する。 C:0.0025mass%超、0.03mass%未満、N:0.0025mass
%超、0.03mass%未満 溶接熱影響部の靱性および加工性の改善および溶接割れ
防止には、従来から知られているとおり、C,Nの低減
が有効である。またC,Nは、マルテンサイト相の硬さ
にも大きな影響を及ぼすだけでなく、炭窒化物の析出に
伴うCr欠乏相の生成により、耐食性劣化の原因にもなる
ため、C,Nの上限はそれぞれ、0.03mass%未満とし
た。ただし、本発明鋼の組成範囲において、C,Nの低
減は溶接部特性や加工性、耐食性等の改善には有効では
あるが、過度の低減は精錬負荷を増大させるだけでな
く、C,Nの低減に伴ってマルテンサイト相が軟質化
し、また粗大なフェライト粒の生成により溶接部靱性が
劣化するので、C,Nはそれぞれ0.0025mass%超を含有
させるものとした。特に好ましい組成範囲は、C,Nと
も 0.005〜0.02mass%である。
【0033】Si:0.1 mass%超、2.0 mass%未満 Siは、脱酸剤として有用な元素であるが、含有量が 0.1
mass%以下では十分な脱酸効果が得られず、一方 2.0ma
ss%以上の過剰添加は靱性や加工性の低下を招くので、
Si量は 0.1 mass %超、2.0 mass%未満の範囲に限定し
た。特に好ましくは0.03〜0.5 mass%の範囲である。
【0034】Mn:0.1 mass%超、3.0 mass%未満 Mnは、オーステナイト相(γ相)安定化元素であり、溶
接熱影響部組織をマルテンサイト組織として溶接部靱性
の改善に有効に寄与する。また、Mnは、Siと同様、脱酸
剤としても有用なので、 0.1mass%超の範囲で含有させ
るものとした。しかしながら、過剰に添加すると加工性
の低下やMnS形成による耐食性の低下を招くので、 3.0
mass%未満に限定した。特に好ましくは 0.1mass%超、
1.5 mass%以下の範囲である。
【0035】Cr:8mass%超、15mass%未満 Crは、耐食性の改善に有効な元素であるが8mass%以下
では十分な耐食性の確保が難しい。また、Crはフェライ
ト相(α相)安定化元素であり、15mass%以上の添加は
加工性の低下を招くだけでなく、オーステナイト相(γ
相)の安定性が低下し、溶接時に十分な量のマルテンサ
イト相を確保できなくなり、溶接部の強度および靱性の
低下を招く。従って、本発明では、Crは8mass%超、15
mass%未満の範囲で含有させるものとした。なお、耐錆
性や加工性、溶接性を兼備する上で特に好ましい範囲は
9.0〜13.5mass%である。
【0036】Al:0.5 mass%未満 Alは、脱酸剤として有用なだけでなく、溶接部の靱性向
上にも有効に寄与するが、含有量が 0.5mass%以上とな
ると介在物が多くなって機械的性質の劣化を招くので、
Alは 0.5mass%未満に限定した。なお、このAlは特に含
有されていなくてもよい。
【0037】P:0.04mass%未満 Pは、熱間加工性や成形性、靱性を低下させるだけでな
く、耐食性に対しても有害な元素であり、特に含有量が
0.04mass%以上になるとその影響が顕著になるので、P
の含有は0.04mass%未満に抑制するものとした。より好
ましくは 0.025mass%以下である。
【0038】S:0.03mass%未満 Sは、Mnと結合してMnSを形成し、初期発銹起点とな
る。またSは、結晶粒界に偏析して、粒界脆化を促進す
る有害元素でもあるので、極力低減することが好まし
い。特に含有量が0.03mass%以上になるとその悪影響が
顕著になるので、Sの含有は0.03mass%未満に抑制する
ものとした。より好ましくは 0.006mass%以下である。
【0039】Ni:0.01mass%以上、3.0 mass%未満 Niは、延性、靱性を向上させる元素であり、本発明では
特に溶接熱影響部の靱性を向上させるため、さらには耐
錆性を改善するために添加する。しかしながら、含有量
が0.01mass%に満たないとその添加効果に乏しく、一
方、3.0 mass%以上になると効果が飽和するだけでな
く、素材が硬質化する不利が生じるので、Ni量は0.01ma
ss%以上、3.0 mass%未満の範囲に限定した。
【0040】Co:0.01mass%以上、0.5 mass%未満、
V:0.01mass%以上、0.5 mass%未満、W:0.001 mass
%以上、0.05mass%未満 Co,VおよびWは、本発明において特に重要な元素であ
る。Co,V,Wの添加量は、それぞれ0.01mass%, 0.01
mass%, 0.001mass%を下限とする。これは、X値やZ
値がたとえ適正範囲を満足していても、各々の含有量が
上記の下限値を下回ると、複合添加による効果が得られ
ないためである。一方、上限については、V,Wについ
てはそれぞれ 0.5mass%, 0.05mass%以上になると炭化
物の析出により素材の硬質化が著しいので、それぞれ
0.5mass%未満、0.05mass%未満と定めた。また、Coに
ついても 0.5mass%以上添加すると、鋼の硬質化を招く
ため 0.5mass%未満に限定した。なお、X値およびZ値
との兼ね合いもあるが、これらの元素の好適範囲はそれ
ぞれCo:0.03〜0.2 mass%、V:0.05〜0.2 mass%、
W:0.005 〜0.02mass%である。
【0041】X値=Cr+Mo+1.5 Si+0.5 Nb+0.2 V+
0.3 W+8Al−Ni−0.6 Co−0.5 Mn−30C−30N−0.5
Cu:11.0以下 X値は、本発明で最も重要なパラメータの1つである。
X値は、オーステナイト相の安定性に及ぼす各元素の影
響を評価する指標であり、特に本発明で重要となるCo,
V, Wの影響を的確に評価している。この値を11.0以下
に調整することにより、溶接熱影響部が実質的にマルテ
ンサイト組織となり、溶接部靱性が改善される。なお、
8.0mm 以上の板厚の鋼板も考慮した場合には、溶接部に
おけるオーステナイト相の安定性を確保するために、上
記X値は10.7以下とすることがさらに好ましい。
【0042】 Z値=(Co+1.5 V+4.8 W):0.03以上、 1.5以下 さらに、本発明では、Z値を0.03〜1.5 の範囲に規制す
ることにより、Co, V, Wの複合添加による効果が適正
化される。このZ値は、溶接部やスケールの付着した鋼
板の耐初期発錆性の指標となるもので、この値が0.03に
満たなかったり、これら元素のうち1元素でも欠落した
場合には、溶接部や酸化スケールが付着した母材鋼板に
ついて十分な耐初期発錆性が得られず、また3元素を複
合添加したとしてもZ値が 1.5を超えた場合には、その
効果は飽和に達するだけでなく、素材が硬質化して加工
性が著しく劣化することから、これら3元素は必須添加
とし、かつZ値を0.03〜1.5 の範囲に限定した。なお、
加工性も考慮したZ値の好適範囲は 0.2〜0.6 である。
【0043】なお、Co, V, Wの3元素を複合的に添加
したことにより、耐初期発錆性が改善される機構は明ら
かではないが、鋼板表面あるいはスケール中に濃化した
Co,V, Wが有効に働き、特に炭窒化物の形態やスケー
ル構造、さらにはCrの拡散に影響を与えることにより、
脱Cr層の生成抑制やスケール構造の緻密化を通じて、耐
初期発錆性を改善するものと考えられる。
【0044】(C/N):0.60以下 本発明では、上記の成分調整に加え、CとNの比を0.60
以下とすることにより、溶接部および母材鋼板の延性、
靱性がさらに改善される。(C/N)の調整による延
性、靱性改善機構の詳細は明らかではないが、特に伸び
や曲げ加工性に影響を与えると考えられる(Fe,Cr)系
の炭窒化物、具体的には(Fe,Cr)23C6, (Fe,Cr)7C3, (F
e,Cr)3C, (Fe,Cr)2N, (Fe,Cr)N の量比や析出形態が変
化したことに関連するものと考えられ、窒化物の量が炭
化物の量に比べて多くなるような場合に改善効果が顕著
になるものと推察できる。かくして、炭窒化物の析出形
態を制御し、かつ伸びを改善した鋼板では、良好な曲げ
加工性が得られる。
【0045】本発明では、その他にも以下に述べる各種
元素を適宜含有させることができる。 Cu:3.0 mass%未満 Cuは、耐食性を向上させるだけでなく、オーステナイト
相を形成して溶接熱影響部での粒成長を抑制し、溶接部
の靱性改善に有効に寄与する。しかしながら、含有量が
3.0mass%以上になると、熱間割れ感受性が強くなって
脆化のおそれが生じるので、3.0 mass%未満に限定し
た。より好適には、耐食性改善効果が顕在化する0.01ma
ss%を下限とし、熱間割れの観点から 1.0mass%を上限
とすることが好ましい。
【0046】Mo:3.0 mass%未満 Moも、耐食性の改善に有効な元素である。しかしなが
ら、3.0 mass%以上添加すると、X値が上昇してオース
テナイト相の安定性が低下し、靱性や加工性の著しい低
下が見られるので、3.0 mass%未満に限定した。なお、
耐食性と加工性のバランスという観点からは、0.01〜0.
5 mass%の範囲が好適である。
【0047】Nb:0.7 mass%未満、Ti:0.7 mass%未
満、Ta:0.7 mass%未満、Zr:0.5 mass%未満 Ti, Nb,TaおよびZrはいずれも、炭窒化物形成元素であ
り、溶接時や熱処理時にCr炭窒化物の粒界析出を抑制し
て、耐食性の向上に有効に作用する。またTiは、焼入れ
性の改善にも有効な元素である。しかしながら、Ti, N
b,Taは 0.7mass%以上、またZrは 0.5mass%以上にな
ると、素材が著しく硬質化するため、それぞれ0.7 mass
%未満、0.5 mass%未満とした。より好適な範囲はいず
れも 0.001〜0.3 mass%である。
【0048】B:0.0002mass%以上、0.002 mass%以下 Bも、鋼の焼入れ性改善に有効な元素である。しかしな
がら、含有量が0.0002mass%未満ではその添加効果に乏
しく、一方 0.002mass%を超える添加では逆に素材が硬
くなり、靱性や加工性を損なうため、0.0002〜0.002 ma
ss%の範囲とした。好ましくは0.0005〜0.001 mass%の
範囲である。
【0049】次に、本発明のFe−Cr合金の好適製造方法
について説明する。まず、上記の好適成分組成に調整し
た溶鋼を、転炉または電気炉等の通常公知の溶製炉にて
溶製したのち、真空脱ガス(RH法)、VOD法、AO
D法等の公知の精練方法で精練し、ついで連続鋳造法あ
るいは造塊−分塊法でスラブ等に鋳造して、鋼素材とす
る。鋼素材は、ついで加熱され、熱間圧延工程により熱
延鋼板とされる。熱間圧延工程における加熱温度は特に
限定されないが、加熱温度が高すぎると結晶粒の粗大化
を招き、靱性、加工性を劣化させるので、加熱温度は13
00℃以下とするのが好ましい。また、熱間圧延工程では
所望の板厚の熱延鋼板とすることができればよく、熱間
圧延条件は特に限定されないが、熱間圧延の仕上げ温度
は 700℃以上とすることが、強度、靱性を確保する点か
ら好ましい。しかしながら、加工性や延性、さらには良
好な表面性状が要求される場合には、熱間圧延における
仕上げ温度は 820℃以上、1000℃以下程度とするのが好
ましい。また、巻き取り温度は、焼戻し焼鈍をする場合
には 680℃以下、焼鈍を省略する場合には 690〜750 ℃
とするのが好ましい。
【0050】熱間圧延終了後、組織がマルテンサイト相
となり硬質なものについては、マルテンサイト相の焼戻
しによる軟質化のために熱延板焼鈍を施すのが好まし
い。この熱延板焼鈍は、焼鈍温度:650 〜750 ℃、保持
時間:3〜20hとするのが軟質化のみならず、加工性の
改善、延性の確保の観点から好ましい。なお、熱延板焼
鈍後、 600〜730 ℃の温度範囲を冷却速度が50℃/h以下
の徐冷とするのが、軟質化の面でより好ましい。また、
熱延後、あるいは熱延焼鈍後の鋼板は、必要に応じショ
ットブラスト、酸洗等によりスケールを除去した状態
で、あるいはさらに研磨等により所望の表面性状に調整
したのち、製品板としてもよい。必要に応じ、防錆剤等
を塗布することも可能である。本発明による鋼板は、溶
接および曲げ加工等により、種々の形状の形鋼への加工
が可能である。また、本発明による成分鋼は、厚鋼板や
熱間圧延により製造する形鋼、さらには棒鋼といった、
土木・建築分野において利用できる種々の鋼材への適用
が可能である。
【0051】
【実施例】表1,2,3,4に示す成分組成になる溶鋼
を、転炉−2次精練工程で溶製し、連続鋳造法でスラブ
とした。これらのスラブを、1200℃に再加熱後、粗圧延
の最終パスの圧下率を30〜45%とする6パスの粗圧延を
施した後、最終仕上温度が840〜990 ℃となる7パスの
仕上げ圧延により、4.0 mm厚の熱延鋼板とした。なお溶
接部のシャルピー衝撃値試験および曲げ試験用として、
さらに板厚が 2.0,5.0, 8.0, 12.0mmの各種板厚の熱延
鋼板も作製した。これらの熱延鋼板に、熱延板焼鈍を施
したのち、ショットブラストおよび酸洗による脱スケー
ル処理を行ってから、引張試験、衝撃値試験、曲げ試験
および耐食性試験を行った。なお、一部については、脱
スケール処理を施さずに耐食性試験を行い、スケールが
付着した状態での耐初期発錆性を評価した。なお、熱延
板焼鈍は 670℃で10h 保持後、 200℃まで徐冷(平均冷
却速度:10℃/h)する処理とした。引張試験片は、板
厚:4.0 mmの鋼板から引張方向が圧延方向となるように
JIS13号B試験片(JIS Z 2201)を採取して試験に供し
た。
【0052】また、これらの各板厚の鋼板について、
1.2mmφのY309およびY309L タイプ溶接ワイヤを用い、
半自動MIG溶接機により溶接継ぎ手を作製し、溶接部
の硬さ試験、衝撃試験、曲げ試験を実施し、溶接部の靱
性、加工性および耐食性を評価した。なお、溶接条件
は、雰囲気ガス:100 %Ar(流量:20 l/min)または
(20%CO 2 +80%Ar)(流量:20 l/min)または 100%
CO2 (流量:11 l/min)、電圧:20〜30V、電流:200
〜280 A、溶接速度:1〜20 mm/s の1パス溶接とし
た。溶接方向は、熱間圧延での圧延方向に垂直な方向と
した。
【0053】得られた溶接継ぎ手のうち、5.0 mm厚材か
ら、硬さ試験片、JIS Z 2202に準拠したサブサイズシャ
ルピー衝撃値試験片(厚さ:10mm、幅:5.0 mm、長さ:
55mm)を採取した。なお、衝撃値試験片の切欠きは、試
験片幅方向(5.0 mm:鋼板の板厚方向)に貫通する2mm
Vノッチとし、図5に示すように、クロスボンド部(フ
ュージョンラインを挟んで、溶接金属部分と溶接熱影響
部の割合a:bが1:1となる位置)から採取した。ま
た、曲げ試験片は、各板厚材溶接部から余盛およびルー
トビードを除去したのち、JIS Z 3122に準拠した表曲げ
試験片および裏曲げ試験片(厚さ:鋼板板厚、幅:40m
m、長さ:200 mm)を採用した。なお、JIS では、板厚
が10mmを超える場合、試験片厚さを10mmとするように規
定されているが、12.0mm厚材については減厚は行わず、
試験片厚さを12.0mmとした。曲げ試験では、曲げ半径R
を、JISより厳しい条件であるR=1.0 t(t:鋼板板
厚)とし、 180°曲げ試験を行ったのち、表面を拡大鏡
を用いて観察し、割れ有り(×)または割れなし(○)
により、溶接部の曲げ加工性を評価した。
【0054】さらに、初期発錆性試験として、4.0 mm厚
の鋼板(焼鈍酸洗材、スケール付着材および溶接継ぎ
手)に対し、3.5mass%NaCl(30℃)の6h噴霧試験を行
った。試験後の試料について、クエン酸2アンモニウム
溶液(60℃)中への浸漬およびブラシ洗浄により錆を除
去した後の、錆の起点数と穴の深さを測定し評価した。
なお、溶接部については、溶接熱影響部に発生した錆の
起点について、ビード単位長さ当たりの起点数(個/ビ
ード10cm)とその深さ(最大10点平均)により評価し
た。得られた結果を表5,6,7,8に整理して示す。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【0059】
【表5】
【0060】
【表6】
【0061】
【表7】
【0062】
【表8】
【0063】表5,6および7に示したとおり、本発明
の成分組成範囲を満足する発明例はいずれも、熱延焼鈍
板の状態で優れた引張特性および衝撃靱性を有するだけ
でなく、溶接部についても優れた溶接部靱性、加工性お
よび耐食性を有している。特に、(C/N)比を 0.6以
下に調整した鋼では、母材の伸びや靱性に加え、溶接部
の靱性や曲げ加工性が、(C/N)を 0.6超とした場合
に比べて、さらに改善されている。また、表8に示した
とおり、発明例では、溶接部は勿論のこと、スケールの
付着した母材表面においても、錆の起点数は少なくかつ
食孔深さは小さいことから、優れた耐初期発錆性を有し
ていることが判る。
【0064】
【発明の効果】かくして、本発明に従い、合金成分の適
正化を図ることによって、溶接性や溶接部靱性、加工性
に優れるのはいうまでもなく、耐初期発錆性に優れたFe
−Cr合金を得ることができる。また、この発明により、
土木・建築構造用材料としての用途をはじめとして、安
価なFe−Cr合金の使用範囲が大幅に広がり、ライフサイ
クルコストを考慮した場合に、その工業的利用価値は極
めて大きいといえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 X値と溶接部靱性(シャルピー衝撃値試験に
おける吸収エネルギー)との関係を、(C/N)比をパ
ラメータとして示したグラフである。
【図2】 Z値と溶接部の発錆起点数との関係を示した
グラフである。
【図3】 Z値と母材鋼板の発錆起点数との関係を示し
たグラフである。
【図4】 (C/N)比と母材鋼板の伸びおよび溶接部
のシャルピー衝撃値試験における遷移温度との関係を示
したグラフである。
【図5】 衝撃値試験片の採取要領を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 進 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 太田 裕樹 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:0.0025mass%超、0.03mass%未満、 N:0.0025mass%超、0.03mass%未満、 Si:0.1 mass%超、2.0 mass%未満、 Mn:0.1 mass%超、3.0 mass%未満、 Cr:8.0 mass%超、15mass%未満、 Al:0.5 mass%未満、 P:0.04mass%未満、 S:0.03mass%未満、 Ni:0.01mass%以上、3.0 mass%未満、 Co:0.01mass%以上、0.5 mass%未満、 V:0.01mass%以上、0.5 mass%未満および W:0.001 mass%以上、0.05mass%未満 を、下記式(1) で示されるX値が、X値≦11.0を満足す
    る範囲において含有し、残部はFeおよび不可避的不純物
    の組成になることを特徴とする耐初期発錆性、加工性お
    よび溶接性に優れたFe−Cr合金。 記 X値=Cr+Mo+1.5 Si+0.5 Nb+0.2 V+0.3 W+8Al −Ni−0.6 Co−0.5 Mn−30C−30N−0.5 Cu --- (1)
  2. 【請求項2】 請求項1において、さらに、下記式(2)
    で示されるZ値が、0.03≦Z値≦1.5 の範囲を満足する
    ことを特徴とする耐初期発錆性、加工性および溶接性に
    優れたFe−Cr合金。 記 Z値=(Co+1.5 V+4.8 W) --- (2)
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、さらに、C
    とNの比(C/N)が、(C/N)≦0.60の範囲を満足
    することを特徴とする耐初期発錆性、加工性および溶接
    性に優れたFe−Cr合金。
  4. 【請求項4】 請求項1,2または3において、さらに
    Cu:3.0 mass%未満およびMo:3.0 mass%未満のうちか
    ら選んだ1種または2種を含有する組成になることを特
    徴とする耐初期発錆性、加工性および溶接性に優れたFe
    −Cr合金。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかにおいて、さら
    に Ti:0.7 mass%未満、 Nb:0.7 mass%未満、 Ta:0.7 mass%未満および Zr:0.5 mass%未満 のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成に
    なることを特徴とする耐初期発錆性、加工性および溶接
    性に優れたFe−Cr合金。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかにおいて、さら
    に B:0.0002mass%以上、0.002 mass%以下 を含有する組成になることを特徴とする耐初期発錆性、
    加工性および溶接性に優れたFe−Cr合金。
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