JP3338538B2 - 耐食性,防眩性及び加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼板及びその製造方法 - Google Patents

耐食性,防眩性及び加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼板及びその製造方法

Info

Publication number
JP3338538B2
JP3338538B2 JP33236393A JP33236393A JP3338538B2 JP 3338538 B2 JP3338538 B2 JP 3338538B2 JP 33236393 A JP33236393 A JP 33236393A JP 33236393 A JP33236393 A JP 33236393A JP 3338538 B2 JP3338538 B2 JP 3338538B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
weight
stainless steel
dull
corrosion resistance
ferritic stainless
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP33236393A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07188862A (ja
Inventor
美博 植松
武志 宇都宮
誠 野上
育弘 杉本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Original Assignee
Nisshin Steel Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nisshin Steel Co Ltd filed Critical Nisshin Steel Co Ltd
Priority to JP33236393A priority Critical patent/JP3338538B2/ja
Publication of JPH07188862A publication Critical patent/JPH07188862A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3338538B2 publication Critical patent/JP3338538B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Heat Treatment Of Steel (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、防眩性と加工性及び耐
食性とを両立させたフェライト系ステンレス鋼板及びそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ステンレス鋼は、代表的な耐食材料とし
て各種用途に使用されている。特に最近では、屋根,外
層等の建築用資材として使用されている。建築用資材と
しての用途では、単に腐食に起因する穴開きが生じない
といった機能面が要求されるだけでなく、発銹による見
栄えの低下が問題になる。建築用資材としては、SUS
304,SUS316等に代表されるオーステナイト系
ステンレス鋼が使用されている。しかし、オーステナイ
ト系ステンレス鋼は、海塩粒子が飛散する海岸地区等の
環境に曝されると、鋼板表面に顕著な発銹がみられる。
また、オーステナイト系ステンレス鋼は、フェライト系
ステンレス鋼に比較して熱膨張係数が大きく、長尺の屋
根材等として使用するとき温度サイクルに起因して材質
が劣化することもある。
【0003】そこで、屋根,外層等の材料として、フェ
ライト系ステンレス鋼が使用されるようになっている。
しかし、フェライト系ステンレス鋼は、代表鋼種である
SUS430についてみると、腐食環境の緩やかな田園
地帯においても比較的短時間で赤錆が発生し、耐食性,
耐候性が十分でない。また、溶接時の加熱,冷却によっ
て粒界腐食が生じ易い欠点もある。フェライト系ステン
レス鋼の耐候性は、Cr含有量の増加やMo添加により
改善できる。Cr及びMoの増量に伴って低下する靭性
は、C及びNの低減により回復する。たとえば、低炭素
・低窒素30Cr−2Mo鋼のように、耐候性に優れた
材料が開発されている(特公昭58−2266号公
報)。しかし、C及びNの低減には工業的に自ずと限界
があり、C及びNを完全に無くすことはできない。そこ
で、Nb,チタン等の安定化元素を単独又は複合添加す
ることによって、C及びNを固定化し、耐粒界腐食性に
及ぼすC及びNの影響を解消している(特公昭55−2
9145号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】フェライト系ステンレ
ス鋼は、Cr含有量の増加やMo添加により耐候性が改
善されるものの、高合金化に伴う強度上昇によって加工
性が低下する。たとえば、屋根材として使用されるフェ
ライト系ステンレス鋼は、ロール成形機で加工される折
板工法,シーム溶接によって施工される防水工法等が施
されている。高Cr含Moフェライト系ステンレス鋼
は、高合金化によって硬質になっており、スプリングバ
ックが大きく、折板工法後に、所定の形状を維持するこ
とが難しい。また、防水加工に際し、溶接後のハゼ折り
加工も困難である。
【0005】フェライト系ステンレス鋼を屋根材等の建
築用資材として使用するとき、表面光沢を抑えて防眩性
を付与することが要求される。防眩性は、一般にダル圧
延,研磨等によって鋼板表面を粗面化することによって
付与している。しかし、ステンレス鋼にダル圧延,研磨
等の表面仕上げを施した場合、通常の酸洗仕上げ材に比
較して耐食性が劣る傾向がある。更に、ダル仕上げされ
たステンレス鋼は、硬質化しており、加工性にも劣る。
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたもの
であり、鋼板表面の粗さを制御することにより、防眩性
と加工性とを両立させ、且つ耐食性の低下を抑えたフェ
ライト系ステンレス鋼を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のフェライト系ス
テンレス鋼板は、その目的を達成するため、Cr:16
〜35重量%及びNb:0.1〜1.0重量%を含むフ
ェライト系ステンレス鋼の表面に、最大粗さRmax :1
0μm以下の表層部が形成されており、前記表層部にあ
る1μm以上の差をもつ凹凸の個数が単位長さ当り10
個/mm以上であることを特徴とする。基材としてのフ
ェライト系ステンレス鋼は、Nb含有量が0.1〜0.
3重量%の範囲に規制され、更に0.05〜0.3重量
%のTiを含むものを使用することもできる。
【0007】このフェライト系ステンレス鋼板は、酸洗
の前又は後で、単位長さ当り5個/mm以上の割合で1
μm以上の差をもつ凹凸が形成された平均粗さRa 2μ
m以下の周面を持つダルロールに0.4%/パス以下の
伸び率で2パス以上通板し、トータル伸び率0.2〜
0.8%のダル圧延を施すことにより製造される。すな
わち、平均粗さ及び凹凸の個数が特定されたダルロール
を使用して軽圧下の低伸び率で多パス圧延することによ
り、防眩性を呈するのに適した粗さに鋼板表面を調整
し、且つ加工性に優れた鋼板が得られる。本発明に従っ
て製造された鋼板は、表面粗さが平均的に緻密であるこ
とから、防眩性及び防眩性の双方に優れている。前掲し
た表面粗さは、研磨仕上げ,エンボス仕上げ等によって
も得ることができる。
【0008】
【作用】酸洗仕上げした材料をダル圧延するとき、鋼板
表面の光沢が低下し、防眩性が付与される。一般には、
表面粗さが大きなダルロールを使用し強圧下且つ高伸び
率でダル圧延したものほど、優れた防眩性が付与される
と考えられている。しかし、強圧下及び高伸び率でダル
圧延された材料は、ダル圧延前に比較して著しく硬質化
しており、加工性が低下する。そこで、本発明者等は、
防眩性及び加工性を兼ね備えた材料を得るべく種々調査
・研究した。その結果、ダル圧延による防眩性は、単に
表面粗さの絶対値に依存するものではなく、凹凸の密度
によっても大きく影響されることを見い出した。
【0009】ダル圧延によって異なる表面状態に仕上げ
た2種類のサンプルについて、三次元表面粗さの測定例
を図1に対比して示す。図1(a)は、Ra =0.9μ
m,Rz =5.2μm及びRmax =6.5μmと表面粗
さが小さいものの、凹凸の密度が高い例である。他方、
図1(b)は、Ra =1.6μm,Rz =8.9μm及
びRmax =11.2μmと表面粗さが大きいものの、凹
凸の密度が低い例である。何れの材料も、ダル圧延工程
における伸び率の調整によって最終的な光沢度をほぼ同
一水準に揃えている。本発明に従った例(a)は、従来
例(b)に比較して低い伸び率で優れた防眩性をもって
いる。このことから、同一光沢度に仕上げた材料であっ
ても、本発明に従ったものは、軟質で延性に富んでお
り、加工性にも優れているといえる。
【0010】ダル圧延を行ったままのダル仕上げ材は、
一般的に酸洗仕上げした材料に比較して耐食性に劣って
いる。耐食性の低下は、ステンレス鋼の表面に形成され
ている不動態皮膜がダル圧延によって部分的に破壊さ
れ、不動態皮膜の欠陥部が腐食発生の起点になることに
原因があるものと考えられている。しかし、この推論だ
けでは、ダル圧延と同等の伸び率で調質圧延された2B
仕上げ材及び光輝焼鈍仕上げ材の耐食性低下がダル仕上
げ材に比較し耐食性の低下度合いが小さいことを説明で
きない。そこで、本発明者等は、ダル仕上げ材の表面性
状と耐食性との関係を種々の観点から検討した。その結
果、図1(a)に示すように表面粗さを小さくしたもの
ほど、耐食性の低下度合いが小さくなることを見い出し
た。しかし、表面粗さを小さくするとき、通常の操業条
件では十分な防眩性を付与できない。この点、本発明で
は、凹凸の密度を高くすることによって防眩性を確保し
ている。
【0011】すなわち、ダル圧延を行う際、粗さが小さ
く且つ粗さの密度が高いダルロールを使用し、軽圧下の
低伸び率で多パス圧延することにより、防眩性及び加工
性を兼ね備えさせ、しかも耐食性の低下度合いが小さい
フェライト系ステンレス鋼を製造することが可能にな
る。ダル圧延後のフェライト系ステンレス鋼に、不動態
皮膜を形成させる酸洗等の処理を施しても良い、再不動
態化によって、耐食性が更に向上する。基材となるフェ
ライト系ステンレス鋼としては、たとえばC:0.05
重量%以下,N:0.05重量%以下,Si:1.0重
量%以下,Mn:1.0重量%以下,P:0.04重量
%以下,S:0.03重量%以下,Ni:1.0重量%
以下,Cr:16〜35重量%,Mo:0〜8重量%及
びNb:0.1〜1.0重量%を含むステンレス鋼が使
用される。なかでも、比較的多量にCr及びMoを含む
系は、自己修復作用の強い不動態皮膜を形成する上で有
効である。このフェライト系ステンレス鋼は、更にT
i,Al,Cu,V及びZrの1種又は2種以上を任意
成分として含むこともできる。
【0012】以下、使用されるフェライト系ステンレス
鋼に含まれる合金成分及び含有量を説明する。 C及びN:共に0.05重量%以下 C及びNは、何れもステンレス鋼に不可避的に含まれる
元素である。C及びNの含有量を低減すると軟質化し、
加工性が向上すると共に炭化物の生成が少なくなる。ま
た、溶接性及び溶接部の耐食性も向上する。しかし、C
及びNを極端に低下することは、製鋼コストを上昇させ
る原因となる。加工性,耐食性等の関連でC及びN含有
量を調査した結果、C及びNの含有量の上限を何れも
0.05重量%以下とするとき、加工性,耐食性等に悪
影響を与えないことが判った。 Si:1.0重量%以下 溶接部の高温割れや溶接部靭性を劣化させる有害元素で
ある。また、Si含有量の増加に伴って、ステンレス鋼
が硬質化する。この点、Si含有量が低いほど好まし
く、本発明ではSi含有量の上限を1.0重量%に規定
した。
【0013】Mn:1.0重量%以下 ステンレス鋼中に存在する微量のSと結合し、可溶性硫
化物MnSを形成することによって、耐候性を低下させ
る有害元素である。そこで、Mn含有量は、上限を1.
0重量%に規定した。 P:0.04重量%以下 基材及び溶接部の靭性を損なう元素であり、P含有量は
低いほど望ましい。しかし、ステンレス鋼等の含Cr鋼
を脱燐することは困難であり、P含有量を極度に低下さ
せることは製造コストの上昇を招く。したがって、P含
有量は、上限を0.04重量%に規定した。 S:0.03重量%以下 耐候性及び溶接部の高温割れに悪影響を及ぼす有害な元
素であり、S含有量は低いほど好ましい。この点、S含
有量の上限を0.03重量%に規定した。
【0014】Ni:1.0重量%以下 フェライト系ステンレス鋼の靭性改善に有効な合金元素
である。しかし、多量のNi含有は、鋼材コストを上昇
させる原因となる。そこで、通常のフェライト系ステン
レス鋼で不可避的不純物として混入する1.0重量%を
Ni含有量の上限とした。 Cr:16〜35重量% ステンレス鋼の耐食性を改善する主要な合金元素であ
り、耐候性,耐孔食性,耐隙間腐食性及び一般耐食性を
著しく向上させる。耐食性改善に与えるCrの作用は、
Cr含有量16重量%以上で顕著となる。しかし、Cr
含有量が35重量%を超えると、材質に著しい脆化が生
じ、薄板製造,製品加工が困難になる。
【0015】Mo:0〜8重量% Crと共に耐候性を向上させる有効な合金元素であり、
その効果はCr含有量の上昇に従って大きくなる。Mo
は、腐食の起点となる不動態皮膜中の活性な欠陥部を補
完し、腐食の発生を抑制する。カソード反応を抑制する
作用もあり、仮に腐食が発生した場合でも腐食の進行が
抑制される。このようなMoの作用は、1重量%以上の
Mo含有量で顕著になる。しかし、前掲したCr含有量
レベルでは、8重量%を超えて多量のMoを添加する
と、延性の低下を招き、加工上の困難を伴う。なお、M
oを含まないステンレス鋼であっても、陽極処理によっ
て不動態皮膜が同様に強化され、耐食性が改善される。
【0016】Nb:0.1〜1.0重量%,好ましくは
0.1〜0.3重量% 本発明で規定したCr含有量レベルのフェライト系ステ
ンレス鋼において、粒界腐食を防止する作用を呈する。
また、陽極処理後の不動態皮膜を強化し、耐食性を向上
させる。このような作用を得るために、0.1重量%以
上のNb含有量が必要である。しかし、過剰にNbを添
加すると溶接部の靭性が阻害されるので、Nb含有量の
上限を1.0重量%に規定した。Nbの過剰添加は、材
質を硬質化させる原因にもなる。この点、ステンレス鋼
の軟質化を図るため、0.3重量%以下のNb含有量が
好ましい。
【0017】Ti:0.05〜0.3重量% 必要に応じて添加される合金元素であり、不動態皮膜を
強固にし、Cr含有量及びMo含有量が低い組成におい
ても優れた耐食性及び耐候性が得られる。また、Ti添
加によってC及びNが固定され、粒界腐食が抑制され
る。このような効果を得るためには、0.05重量%以
上のTiを含有させることが必要である。しかし、0.
3重量%を超える多量のTiを含有させると、素材の表
面品質を劣化させ、局部的な腐食を強める傾向がみられ
る。
【0018】Al:0.01〜0.5重量% 必要に応じ脱酸剤として添加される成分であるが、不動
態皮膜を緻密化する作用も呈する。このような作用は、
0.01重量%以上のAl含有量で顕著になる。しか
し、0.5重量%を超えて多量のAlを含有させると、
素材の表面品質を劣化させ、溶接性も阻害される。 Cu:0.1〜1.0重量%,V:0.05〜0.3重
量%,Zr:0.05〜0.3重量% 何れも任意成分として添加される合金元素であり、共に
耐食性の改善に有効である。耐食性改善効果は、Cu:
0.1重量%以上,V:0.05重量%以上,Zr:
0.05重量%以上で顕著になる。しかし、これら合金
元素を多量に添加すると、溶接部の靭性が阻害される。
したがって、Cu,V及び/又はZrを含有させる場
合、それぞれの上限を1.0重量%,0.3重量%及び
0.3重量%に定めた。
【0019】ダル圧延:ダル圧延は、意匠性及び防眩性
に有効な凹凸をステンレス鋼の表面に付けるために行わ
れる。ダル圧延時の伸び率が大きいほど防眩性が改善さ
れ、0.2%未満のトータル伸び率では十分な防眩性が
得られない。しかし、大きな伸び率でダル圧延すると、
圧延後の材質が硬質化し、加工性及び耐食性が低下す
る。したがって、本発明においては、トータル伸び率の
上限を0.8%とした。ダル圧延で十分な防眩性を付与
するためには、2パス以上の通板が必要である。1パス
通板では、必要な防眩性を得るために大きな伸び率で圧
延することが必要になり、加工性及び耐食性の低下を招
く。多パス圧延するとき、加工性及び耐食性の劣化を防
止する上で、1パス当りの伸び率を0.4%以下にする
ことが必要である。また、トータルの伸び率を0.2〜
0.8%の範囲にするとき、防眩性と加工性及び耐食性
との調和が図られる。
【0020】ダル圧延で使用するダルロール:ダルロー
ルは、鋼板表面に付ける凹凸に応じて表面状態が規制さ
れる。好ましくは0.1〜0.3%程度に1パス当りの
伸び率を低くし、2パス以上のダル圧延を行ったとき、
鋼板表面に単位長さ当り10個/mm以上の割合で凹凸
を形成するためには、単位長さ当り5個/mm以上の割
合で凹凸を形成したロールを使用する必要がある。この
とき、鋼板表面に1μm以上の差を持つ凹凸を形成する
ためには、ダルロール表面においても1μm以上の差を
持つ凹凸を形成することが必要である。また、鋼板表面
において表面粗さをRmax ≦10μmとするためには、
ダルロール表面の平均粗さをRa 2μm以下とすること
が必要である。
【0021】粗面化された表層部:ダル圧延した鋼板の
防眩性は、凹凸の高さ及び単位長さ当りの凹凸の個数に
影響を受ける。個々の凹凸の差が1μm未満、或いは1
μm以上の凹凸が10個/mm未満では、十分な防眩性
が確保されない。差が1μm以上の凹凸が10個/mm
以上形成されているとき、始めて安定した防眩性が得ら
れる。しかし、鋼板表面の粗さがRmax で10μmを超
えると、大きな凸部又は凹部が腐食の起点となり、耐食
性が低下する。したがって、ダル圧延後の鋼板表面は、
最大粗さがRmax ≦10μmで、1μm以上の差を持つ
凹凸の個数が10個/mm以上となっていることが必要
である。
【0022】
【実施例】本実施例では、C:0.012重量%,S
i:0.23重量%,Mn:0.21重量%,P:0.
025重量%,S:0.001重量%,Ni:0.23
重量%,Cr:22.23重量%,Mo:1.18重量
%,Nb:0.24重量%,Ti:0.18重量%,A
l:0.09重量%,Cu:0.03重量%,N:0.
014重量%を含み、残部がFe及び不可避的不純物か
らなる組成を持ち、板厚0.4mmのステンレス冷延鋼
帯を使用した。鋼帯を1000℃で焼鈍し酸洗した後、
ダル圧延を施した。ダル圧延には、平均粗さがRa
1.8μmで、単位長さ当り5個/mm以上の割合で1
μm以上の差をもつ凹凸が形成されたダルロールを使用
した。そして、圧下力80kg/mm2 で1パス当りの
伸び率を0.1〜0.3%に調整し、1〜3パス通板し
た。以下、これを1A仕上げという。
【0023】比較のため、周面の粗さがラフな通常のダ
ルロールを用いて、圧下力100kgf/mm2 で1パ
ス当りの伸び率をそれぞれ0.3〜0.4%に調整し、
同じステンレス冷延鋼板を1〜3パス通板させた。以
下、これを1B仕上げという。ダル圧延された各冷延鋼
板について、防眩性及び耐食性を調査した。防眩性の指
標としては、光沢度を使用した。光沢度が低い材料ほ
ど、防眩性に優れているものといえる。耐食性の評価に
は孔食電位を用い、Arで脱気した20%NaCl溶液
に試験片を浸漬し、80℃で試験片の孔食電位を測定し
た。1A仕上げ及び1B仕上げした各材料について、各
パスごとの表面粗さの測定結果を図2及び図3にそれぞ
れ示す。粗さの絶対値は、最大粗さRmax にみられるよ
うに、1B仕上げ材に比較して1A仕上げ材の方が小さ
くなっている。また、1μm以上の差をもつ凹凸の個数
を測定した結果、1A仕上げ材が1〜3パスでそれぞれ
約10,15,20個/mmであるのに対し、1B仕上
げ材は、伸び率が高いにも拘らず、1〜3パスでそれぞ
れ約5,10,20個/mmであった。この対比から、
1A仕上げ材は、1B仕上げ材に比較して凹凸の密度が
高くなっていることが判る。
【0024】1A仕上げ材及び1B仕上げ材について、
伸び率と光沢度との関係を図4に示す。図4には、参考
のため1パス後の1A仕上げ材及び1B仕上げ材の光沢
度も示している。また、ダル圧延を行っていない酸洗し
たままの材料を2D仕上げ材として示す。図4から明ら
かなように、1A仕上げ材及び1B仕上げ材共に、1パ
ス後の光沢度は50以上と高く、十分な防眩性が得られ
ていない。光沢度は、3パス通板したものでは低下して
いる。しかし、1B仕上げ材の光沢度は、1A仕上げ材
の光沢度に比較して高く、防眩性が十分に改善されてい
ない。これに対し、本発明に従った1A仕上げ材では、
より低い伸び率で光沢度の低下、すなわち良好な防眩性
が得られている。
【0025】1A仕上げ材及び1B仕上げ材の各サンプ
ルについて、色差ΔEを測定した結果を表1に示す。本
発明に従ったサンプルNo.1及びNo.2では、色差ΔE
が1.3となっており、一般にいわれている色ムラ有無
の判定基準である色差ΔE≦1.5の値が得られた。他
方、従来のダル仕上げが施されたサンプルNo.3及びN
o.4では、光沢度の差に明確な違いがみられないもの
の、色差ではΔE=2.0となっており、肉眼でも若干
の違いが観察された。このことから、本発明に従うと
き、単に防眩性が改善されるだけでなく、色調も安定す
ることが判る。
【0026】
【表1】
【0027】1A仕上げ材及び1B仕上げ材のそれぞれ
について、ダル圧延時の伸び率が機械的性質に与える影
響を図5〜図8に示す。機械的性質に関しては、1A仕
上げと1B仕上げとの間に大きな差はみられない。しか
し、伸び率が大きくなるに従って、硬さ,耐力及び引張
り強さが上昇し、伸びが低下していることが示されてい
る。このことから、加工性を改善するために、低伸び率
のダル圧延が有効であることが判る。
【0028】ダル圧延時の伸び率が孔食電位に与える影
響を、図9に示す。図9の試験片は、何れも図4に示し
た1A仕上げ材及び1B仕上げ材から切り出されたもの
である。また、参考のため、ダル圧延を施していない2
D仕上げ材の孔食電位も、図9に併せ示している。孔食
電位は、ダル圧延時の伸び率が高くなるほど低下する傾
向を示している。1A仕上げ材は、2D仕上げ材と比較
したとき孔食電位に若干の低下を示しているが、1B仕
上げ材に比較すると良好な耐食性をもっていることが図
9から読み取れる。以上の結果から、本発明に従った1
A仕上げ材は、比較的低い伸び率で防眩性が付与される
と共に、軟質で加工性に優れ、耐食性も良好な材料とし
て使用される。
【0029】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明のステン
レス鋼板は、粗さの絶対値が小さく凹凸密度の大きな表
層部を持っている。この表層部により、防眩性と加工性
及び耐食性との間に調和がとれたステンレス鋼板とな
る。表層部は、研磨仕上げ,エンボスし上げ等によって
も形成できるが、粗さが小さく且つ粗さの密度が高いダ
ルロールを使用したダル圧延によって容易に形成され
る。得られたステンレス鋼板は、優れた防眩性,加工性
及び耐食性を活用し、屋根材,外装材,貯水槽,屋外タ
ンク等の外装構造材料として広範な分野で使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ダル圧延の条件が三次元表面粗さに与える影
響を説明する図
【図2】 本発明に従ってダル圧延した材料の各パスご
との表面粗さ測定結果を表したグラ
【図3】 従来法に従ってダル圧延した材料の各パスご
との表面粗さ測定結果を表したグラ
【図4】 圧延条件によって表面状態を変えた試料にお
いて、ダル圧延時の伸び率と光沢度との関係を表したグ
ラフ
【図5】 ダル圧延時の伸び率が耐力に及ぼす影響を表
したグラフ
【図6】 ダル圧延時の伸び率が引張り強さに及ぼす影
響を表したグラフ
【図7】 ダル圧延時の伸び率が材料の伸びに及ぼす影
響を表したグラフ
【図8】 ダル圧延時の伸び率が硬さに及ぼす影響を表
したグラフ
【図9】 ダル圧延時の伸び率が孔食電位に及ぼす影響
を表したグラフ
フロントページの続き (72)発明者 杉本 育弘 山口県新南陽市野村南町4976番地 日新 製鋼株式会社鉄鋼研究所内 (56)参考文献 特開 平5−163557(JP,A) 特開 平6−182402(JP,A) 特開 昭60−13060(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60 B21B 1/22

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Cr:16〜35重量%及びNb:0.
    1〜1.0重量%を含むフェライト系ステンレス鋼の表
    面に、最大粗さRmax :10μm以下の表層部が形成さ
    れており、前記表層部にある1μm以上の差をもつ凹凸
    の個数が単位長さ当り10個/mm以上である耐食性,
    防眩性及び加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼
    板。
  2. 【請求項2】 Nb含有量が0.1〜0.3重量%の範
    囲に規制され、更に0.05〜0.3重量%のTiを含
    むフェライト系ステンレス鋼を基材とする請求項1記載
    のフェライト系ステンレス鋼。
  3. 【請求項3】 Cr:16〜35重量%及びNb:0.
    1〜1.0重量%を含むフェライト系ステンレス鋼帯
    を、酸洗の前又は後で、単位長さ当り5個/mm以上の
    割合で1μm以上の差をもつ凹凸が形成された平均粗さ
    a 2μm以下の周面を持つダルロールに0.4%/パ
    ス以下の伸び率で2パス以上通板し、トータル伸び率
    0.2〜0.8%のダル圧延を施す耐食性,防眩性及び
    加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 Nb含有量が0.1〜0.3重量%の範
    囲に規制され、更に0.05〜0.3重量%のTiを含
    むフェライト系ステンレス鋼を使用する請求項3記載の
    製造方法。
JP33236393A 1993-12-27 1993-12-27 耐食性,防眩性及び加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼板及びその製造方法 Expired - Fee Related JP3338538B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33236393A JP3338538B2 (ja) 1993-12-27 1993-12-27 耐食性,防眩性及び加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼板及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33236393A JP3338538B2 (ja) 1993-12-27 1993-12-27 耐食性,防眩性及び加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼板及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07188862A JPH07188862A (ja) 1995-07-25
JP3338538B2 true JP3338538B2 (ja) 2002-10-28

Family

ID=18254124

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP33236393A Expired - Fee Related JP3338538B2 (ja) 1993-12-27 1993-12-27 耐食性,防眩性及び加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼板及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3338538B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
MY120831A (en) 1998-12-08 2005-11-30 Sumitomo Metal Ind Martensitic stainless steel products.
JP2009088503A (ja) * 2007-09-14 2009-04-23 Mitsubishi Chemicals Corp 太陽電池用積層カバー基板、太陽電池、並びに、太陽電池用積層カバー基板の製造方法
JP7322602B2 (ja) * 2019-09-03 2023-08-08 Jfeスチール株式会社 フェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法
KR20220107270A (ko) * 2020-05-28 2022-08-02 닛테츠 스테인레스 가부시키가이샤 페라이트·오스테나이트 2상계 스테인리스 강재 및 내식성 부재
CN114901848B (zh) * 2020-05-28 2023-09-19 日铁不锈钢株式会社 铁素体系不锈钢钢材及耐蚀性构件
JP7392673B2 (ja) * 2021-01-29 2023-12-06 Jfeスチール株式会社 フェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法
WO2024038764A1 (ja) * 2022-08-19 2024-02-22 日鉄ステンレス株式会社 フェライト系ステンレス鋼板

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07188862A (ja) 1995-07-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100500080B1 (ko) 가공성이 우수한 페라이트계 스테인레스 강판 및 그제조방법
EP1308532B1 (en) Ferritic stainless steel sheet having excellent deep-drawability and brittle resistance to secondary processing and method for making the same
EP2138599B1 (en) High-strength hot-dip galvanized steel sheet and method for producing the same
KR100733016B1 (ko) Тi첨가 페라이트계 스테인레스 강판 및 그 제조방법
US5286310A (en) Low nickel, copper containing chromium-nickel-manganese-copper-nitrogen austenitic stainless steel
JP5219689B2 (ja) 加工肌荒れの小さいフェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法
JP5924459B1 (ja) ステンレス冷延鋼板用素材
EP3816318B1 (en) Clad steel plate and method of producing the same
JP2003201547A (ja) 深絞り性、耐二次加工脆性および耐食性に優れるフェライト系ステンレス鋼板及びその製造方法
JP3357226B2 (ja) 耐リジング性と表面性状に優れたFe−Cr合金
EP2824206B1 (en) Use of stainless clad steel
RU2525013C1 (ru) Высокопрочный холоднокатаный стальной лист, пригодный для химической конверсионной обработки, и способ его изготовления
JP3338538B2 (ja) 耐食性,防眩性及び加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼板及びその製造方法
JP6411881B2 (ja) フェライト系ステンレス鋼およびその製造方法
EP4119691A1 (en) Ferritic stainless steel having improved corrosion resistance, and method for manufacturing same
JP4397772B2 (ja) 加工性に優れるフェライト系ステンレス鋼板の製造方法
US11142814B2 (en) Ferritic-austenitic duplex stainless steel sheet
JP3027011B2 (ja) 耐食性および加工性に優れたクロム含有鋼板
JP2022041426A (ja) オーステナイト系ステンレス鋼板およびその製造方法
JP5434040B2 (ja) 化成処理性に優れた高加工性高強度薄鋼板の製造方法
JP3336079B2 (ja) 深絞り性及び化成処理性に優れた高強度冷延鋼板およびその製造方法
JP3026540B2 (ja) ステンレス鋼板の製造方法
JP3614496B2 (ja) 耐食性に優れたエンボス仕上げステンレス鋼板及び製造方法
JP7458902B2 (ja) フェライト系ステンレス鋼
WO2021125283A1 (ja) 鋼板及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20020730

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080809

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090809

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100809

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100809

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110809

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees