JPH10219273A - 不飽和結合を3個有し、第1の不飽和結合が6の位置 にある高度不飽和脂肪酸の精製法 - Google Patents

不飽和結合を3個有し、第1の不飽和結合が6の位置 にある高度不飽和脂肪酸の精製法

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JPH10219273A
JPH10219273A JP9035533A JP3553397A JPH10219273A JP H10219273 A JPH10219273 A JP H10219273A JP 9035533 A JP9035533 A JP 9035533A JP 3553397 A JP3553397 A JP 3553397A JP H10219273 A JPH10219273 A JP H10219273A
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lipase
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fatty acids
unsaturated
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Yuji Shimada
裕司 島田
Yoshio Tominaga
嘉男 富永
Akio Sugihara
耿雄 杉原
Hiroyuki Fujita
裕之 藤田
Nobuhiro Fukushima
信浩 福嶋
Tomohide Yamagami
知秀 山上
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Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
Osaka City
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Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
Osaka City
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高含量、高収率で、異性体が生成せず、苦み
がなく、着色がない、不飽和結合を3個有し、第1の不
飽和結合が6の位置にある高度不飽和脂肪酸を得る製造
法を提供する。 【解決手段】 高度不飽和脂肪酸含有油脂を加水分解用
リパーゼで加水分解して脂肪酸とグリセリンとに分解し
た後、高度不飽和脂肪酸以外の脂肪酸を選択的にエステ
ル合成用リパーゼにより、炭素数6〜18のアルコール
とエステル化させて系外へ取り出す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高度不飽和脂肪酸
含有油脂から、不飽和結合を3個有し、第1の不飽和結
合が6の位置にある高度不飽和脂肪酸を精製する方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高度不飽和脂肪酸の有する生理活
性が、注目されている。特に、不飽和結合を3個有し、
第1の不飽和結合が6の位置にある高度不飽和脂肪酸
(以下、n−6系高度不飽和脂肪酸と略記する)、例え
ばγ−リノレン酸(cis,cis,cis−6,9,
12−octadecatrienoic aci
d)、ジホモγ−リノレン酸(cis,cis,cis
−8,11,14−eicosatrienoic a
cid)は、アトピー性皮膚炎、慢性関節炎リュウマ
チ、高血圧などの成人病に対する改善作用や制ガン作
用、免疫賦活作用などの多くの生理活性を有しているこ
とが知られている。
【0003】そして、かかるn−6系高度不飽和脂肪酸
を油脂から精製する方法としては、例えば、ゲオトリカ
ム(Geotrichum)属糸状菌あるいはリゾムコ
ール(Rhizomucor)属糸状菌のリパーゼを用
い、n−ヘキサン中でn−6系高度不飽和脂肪酸以外の
脂肪酸をブチルアルコールとエステル化させてから系外
へ取り出してn−6系高度不飽和脂肪酸を精製する方法
(J.Am.Oil.Chem.Soc.Vol71,
563−567,1994;Vol72,417−42
0,1995)、油脂を加水分解しγ−リノレン酸以外
の脂肪酸を低級アルカノールに溶解した尿素と混合し、
得られた複合体を分離することでγ−リノレン酸を豊富
化する方法(特開昭61−95095号公報)や逆相ク
ロマトグラフィーでγ−リノレン酸高濃度画分を分取し
て濃縮する方法(特開昭61−192798号公報)や
超臨界液体を移動相とするクロマトグラフィーにより分
画して濃縮精製する方法(特開昭63−112536号
公報)が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、J.A
m.Oil.Chem.Soc.開示技術では、多量の
n−ヘキサンを使用しなければならず、生産の際の反応
規模が巨大となり、また爆発の危険性が問題となり、工
業化は不可能であった。特開昭61−95095号公報
開示技術では、油脂を、アルカリ/エタノールでケン化
しているため、γ−リノレン酸は異性化しやすく、着色
物質の除去が困難であり、また尿素付加法では純度の高
いものが得られず、収率が悪く、苦みをもつ傾向があっ
た。特開昭61−192798号公報開示技術でも、ア
ルカリ/エタノールでケン化しているため、異性化しや
すく、着色物質の除去が困難であり、またクロマトグラ
フィーによる精製では、処理量が少ないという欠点があ
った。特開昭63−112536号公報開示技術では高
圧条件での運転を必要とし、設備投資に費用がかかると
いう欠点があった。
【0005】また、高度不飽和脂肪酸含有油脂を上記の
如くアルカリ/エタノールでケン化したり、あるいは酸
で加水分解を行うと、高度不飽和脂肪酸のシス構造がト
ランス構造(トランス構造とは、例えば、上記のγ−リ
ノレン酸では、3箇所が、シス構造となっているが、そ
のうち少なくとも1箇所がトランス構造となっているも
のである)の異性体になる傾向がある。かかるトランス
構造をもつ高度不飽和脂肪酸は自然界には存在しないた
め、長期に摂取した場合の十分な安全性が確認されてお
らず、トランス構造を含まない高度不飽和脂肪酸が望ま
れるところである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、かかる課題
を解決するためにn−6系高度不飽和脂肪酸の精製法に
ついて鋭意研究した結果、驚くべきことに高度不飽和脂
肪酸含有油脂を加水分解用リパーゼで加水分解して脂肪
酸とグリセリンとに分解した後、副生する高度不飽和脂
肪酸以外の脂肪酸をエステル合成用リパーゼにより、選
択的に炭素数6〜18のアルコールとエステル化させて
系外へ取り出すことにより、高収率高含量で、着色が少
なく、異性体が生成せず、尚且つ苦みのない、n−6系
高度不飽和脂肪酸が得られることを見いだし本発明を完
成した。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳述する。
本発明において、高度不飽和脂肪酸含有油脂とは、構成
脂肪酸に高度不飽和脂肪酸を含有するトリグリセリドを
意味する。高度不飽和脂肪酸含有油脂としては、例え
ば、菜種油、月見草油、黒すぐり油、ボラージ油等の植
物の他、クロレラ等の藻類、モルティエラ属等の菌類か
ら抽出した油脂を挙げることができ、好ましくは、ボラ
ージ油、モルティエラ属等の菌類から抽出した油脂が用
いられる。特にボラージ油は、精製で除去しにくいエル
カ酸(cis−13−docosenoic aci
d)が含まれている。
【0008】本発明で用いられる加水分解用リパーゼと
は、油脂を70%以上加水分解できる(加水分解率70
%以上の)リパーゼであり、シュードモナス(Pseu
domonas)属、キャンディダ(Candida)
属、クロモバクテリウム(Chromobacteri
umu)属、ゲオトリカム(Geotrichum)属
などの微生物が生産するものが挙げられる。かかるリパ
ーゼについては、市販のものを用いることができる。例
えば、シュードモナス(Pseudomonas)属の
リパーゼ(昭和電工(株)製、『リポサム』)、シュー
ドモナス フルオレセンス(Pseudomonas
fluorescens)のリパーゼ(天野製薬(株)
製、『リパーゼAK』)、キャンディダ シリンドラッ
セイ(Candida cilindracea)のリ
パーゼ(名糖産業(株)製、『リパーゼOF』)、シュ
ードモナス アエルギノーサ(Pseudomonas
aeruginosa)のリパーゼ(東洋紡(株)製、
『LPL』)等が挙げられる。なお本発明の加水分解率
(%)は(反応後の油層の酸価/反応前の油脂のケン化
価)×100で示す。
【0009】本発明で、加水分解用リパーゼで高度不飽
和脂肪酸含有油脂を分解して得られる脂肪酸としては、
γ−リノレン酸、ジホモγ−リノレン酸等のn−6系高
度不飽和脂肪酸が挙げられ、該高度不飽和脂肪酸以外の
脂肪酸としては、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイ
ン酸、リノール酸、エルカ酸等が挙げられる。
【0010】本発明に用いられるエステル合成用リパー
ゼとは、炭素数6〜18のアルコールと高度不飽和脂肪
酸酸以外の脂肪酸のエステル合成反応に選択的に働く酵
素であり、具体的には、リゾプス(Rhizopus)
属、ペニシリウム(Penicillium)属、リゾ
ムコール(Rhizomucor)属、フザリウム(F
usarium)属、フミコーラ(Humicola)
属などの微生物が生産するものやブタ膵臓リパーゼなど
が挙げられる。かかるリパーゼについても、市販のもの
を用いることができる。例えば、リゾプス・デレマー
(Rhizopus delemar)のリパーゼ(田
辺製薬(株)製、『タリパーゼ』)、リゾムコール・ミ
イヘイ(Rhizomucor miehei)のリパ
ーゼ(ノボ・ノルティスク(株)製、『リポザイム』、
『ノボザイム388』)、フミコーラ ランギノーサ
(Humicola langinosa)のリパーゼ
(ノボ・ノルティスク(株)製、『リポラーゼ』)等が
挙げられる。
【0011】エステル合成用に用いられる炭素数6〜1
8のアルコールとしては、ヘキサノール、オクタノー
ル、デカノール、ラウリルアルコール、オレイルアルコ
ール等が挙げられるが、好ましくはオクタノール、デカ
ノール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、更
に好ましくはラウリルアルコールが用いられる。
【0012】本発明では、まず加水分解用リパーゼで高
度不飽和脂肪酸含有油脂を加水分解する。反応系中の高
度不飽和脂肪酸含有油脂の量としては10〜95重量
%、好ましくは30〜70重量%であり、水の量は5〜
90重量%、好ましくは30〜70重量%である。高度
不飽和脂肪酸含有油脂/水(重量比)としては0.1〜
20で、好ましくは0.3〜3.0である。
【0013】加水分解用リパーゼの使用形態は特に限定
されず、セライトやイオン交換樹脂、セラミック担体な
どに固定されたリパーゼを用いてもよいが、そのまま用
いるのが好ましい。加水分解用リパーゼの添加量は反応
液1gに対して10〜100,000ユニットが好まし
く、更には100〜10,000ユニットである。ここ
での1ユニットとは、オリーブ油を基質とし、1分間に
1μmolの脂肪酸を生成するのに必要なリパーゼ量を
示す。
【0014】加水分解反応の反応温度としては10〜6
0℃が好ましく、更に30〜55℃が好ましい。反応時
間としては、10分〜5日間が好ましく、更に10時間
〜3日間が好ましい。上記反応条件下で油脂の加水分解
率が70%以上になるまで静置又は撹拌し、反応を続け
て目的物を得る。
【0015】得られた反応液から生成脂肪酸の回収は反
応液の0.5〜5.0倍量の水を加え撹拌後、脂肪酸画
分(上層)を分離して用いてもよいが、通常は更に、ヘ
キサン抽出、蒸留、膜分離などにより精製するのが好ま
しいが、その精製手段は特に限定されるものではない。
【0016】次に、上記で得られた肪酸画分中の高度不
飽和脂肪酸以外の脂肪酸と炭素数6〜18のアルコール
をエステル化用リパーゼでエステル化させる。反応系中
の炭素数6〜18のアルコール/脂肪酸のモル比は1〜
10が好ましく、更には1〜5で、水の量は5〜50重
量%が好ましく、更には10〜30重量%である。
【0017】エステル合成用リパーゼの使用形態も特に
限定されないが、セライトやイオン交換樹脂、セラミッ
ク担体などに固定されたリパーゼを用いてもよいが、そ
のまま用いるのが好ましい。エステル合成用リパーゼの
添加量は反応液1gに対して10〜30,000ユニッ
トが好ましく、更には50〜10,000ユニットであ
る。ここでの1ユニットとは、オリーブ油を基質とし、
加水分解反応によって、1分間に1μmolの脂肪酸を
遊離させるのに必要なリパーゼ量を示す。
【0018】エステル合成反応の反応温度としては10
〜60℃が好ましく、更に好ましくは15〜45℃で、
反応時間としては、10分〜5日間が好ましく、更に好
ましくは5〜48時間である。
【0019】上記反応により、遊離のn−6系高度不飽
和脂肪酸及びn−6系高度不飽和脂肪酸以外の脂肪酸と
炭素数6〜18のアルコールとのエステル体(ワック
ス)の混合物が得られ、かかる混合物からワックスを除
去することによりn−6系高度不飽和脂肪酸を得ること
ができる。ワックスは溶剤抽出、蒸留、クロマログラフ
ィー等によって除去できるが、n−6系高度不飽和脂肪
酸の収率を上げるために、通常はアルカリ条件下でワッ
クスをヘキサン等の溶剤で抽出し、脂肪酸を水層側に分
画する。該溶剤は、ワックスの2〜100倍重量を加
え、10〜30℃、1分〜1時間撹拌して、ワックス分
を抽出除去する。次いで残った水層を酸性にし、n−6
系高度不飽和脂肪酸精製画分(上層)を得る。
【0020】また、上記エステル合成反応により、n−
6系高度不飽和脂肪酸の含量を60〜85重量%とする
ことができるが、回収した脂肪酸を原料として再度エス
テル化を行うことにより、n−6系高度不飽和脂肪酸の
含量を、93〜97重量%にまで高めることができる。
再度エステル化を行う場合は、1回目の反応終了後、上
記の如く溶剤抽出し、得られた高度不飽和脂肪酸精製画
分に1回目と同様の炭素数6〜18のアルコール、水、
エステル合成用リパーゼを加えて同じ条件下で反応す
る。
【0021】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。但し、本発明は、これら実施例に限定されな
い。なお「%」とあるのは「重量%」のことである。 実施例1 (1)加水分解反応 500mlの邪魔板付き撹拌槽に、ボラージ油(γ−リ
ノレン酸22.2%含有)48.0gに対し水32.0
g、シュードモナス(Pseudomonas)属のリ
パーゼ(昭和電工(株)製、『リポサム』)を80,0
00ユニット(1000ユニット/反応液1g)添加
し、窒素気流下、500rpmで撹拌しながら、反応温
度40℃で、25時間反応した(加水分解率91.5
%)。加水分解反応後、0.5N−水酸化カリウムでア
ルカリ性にしてから、未分解のトリ(ジ、モノ)グリセ
リドをn−ヘキサンで抽出除去し、脂肪酸を水層画分に
回収する。得られた水層画分を4N−塩酸で酸性に戻し
てからn−ヘキサンで脂肪酸を抽出、回収し、39.5
gの脂肪酸を得た。該脂肪酸を常法に従って、メチルエ
ステル化し、キャピラリーガスクロマトグラフィーによ
り分析したところ、そのγ−リノレン酸の含量は22.
5%(γ−リノレン酸8.89g含有)であった。 (2)エステル化反応 (1)で得られた脂肪酸39.5gに対し、ラウリルア
ルコール56.5g、水24g、リゾーパス属(Rhi
zopus)のリパーゼ(田辺製薬(株)製、『タリパ
ーゼ』)24,000ユニット(200ユニット/反応
液1g)を添加し、窒素気流下、500rpmで撹拌し
ながら、反応温度30℃、20時間でエステル化を行っ
た。反応終了後、0.5N−水酸化カリウムでアルカリ
性にしてから、未分解のトリ(ジ、モノ)グリセリドを
n−ヘキサンで抽出除去し、脂肪酸を水層画分に回収す
る。得られた水層画分を4N−塩酸で酸性に戻してから
n−ヘキサンで脂肪酸を抽出、回収し、11.0gの脂
肪酸を得た。(1)と同様に分析したところ、γ−リノ
レン酸の含量が70.2%(γ−リノレン酸7.72g
含有)であった。更に該脂肪酸を、上記と同じリゾプス
属のリパーゼ、ラウリルアルコール、水を同じ重量比率
で添加し、窒素気流下、500rpmで撹拌しながら、
反応温度30℃、20時間、エステル化を行った。反応
終了後、0.5N−水酸化カリウムでアルカリ性にして
から、未分解のトリ(ジ、モノ)グリセリドをn−ヘキ
サンで抽出除去し、脂肪酸を水層画分に回収する。得ら
れた水層画分を4N−塩酸で強酸性に戻してからn−ヘ
キサンで脂肪酸を抽出、回収し、6.80gの脂肪酸を
得た。(1)と同様に分析したところ、γ−リノレン酸
の含量は93.7%(γ−リノレン酸6.37g含有)
であった。該脂肪酸は着色がなく、トランス構造の異性
体はIRにより確認されなかった。また該脂肪酸は苦み
がなく、エルカ酸の含量は0.1%であった。
【0022】実施例2 (1)加水分解反応 ボラージ油の替わりに、月見草油48.0g(γ−リノ
レン酸8.0%含有)を用いて実施例1と同様に反応さ
せ(加水分解率88.5%)、実施例1と同様に処理し
38.2gの脂肪酸を得た。実施例1と同様に分析した
ところγ−リノレン酸の含量は8.10%(γ−リノレ
ン酸3.10g含有)であった。 (2)エステル化反応 (1)で得られた脂肪酸38.2gに対し、ラウリルア
ルコール、水、リゾプス属(Rhizopus)のリパ
ーゼ(田辺製薬(株)製、『タリパーゼ』)を実施例1
と同様の重量比率で反応させ、反応終了後、実施例1と
同様に操作し、γ−リノレン酸含量62.3%の脂肪酸
3.37g(γ−リノレン酸2.10g含有)を得た。
更に該脂肪酸に、上記と同じリゾプス属のリパーゼ、ラ
ウリルアルコール、水を同重量比率で添加し、実施例1
と同様に操作し、γ−リノレン酸含量91.2%の脂肪
酸1.74g(γ−リノレン酸1.59g含有)を得
た。該脂肪酸は着色がなく、トランス構造の異性体はI
Rにより確認されなかった。また該脂肪酸は苦みがな
く、エルカ酸は含まなかった。
【0023】実施例3 (1)加水分解反応 ボラージ油の替わりに、クロスグリ油48.0g(γ−
リノレン酸16.2%含有)を用いて実施例1と同様に
反応させ(加水分解率89.0%)、実施例1と同様に
処理し38.4gの脂肪酸を得た。実施例1と同様に分
析したところγ−リノレン酸の含量は16.4%(γ−
リノレン酸6.30g含有)であった。 (2)エステル化反応 (1)で得られた脂肪酸38.4gに対し、実施例1と
同様に反応させ、反応終了後、実施例1と同様に操作
し、(1)と同様に分析したところ、γ−リノレン酸含
量66.7%の脂肪酸6.51g(γ−リノレン酸4.
34g含有)が得られた。更に該脂肪酸に、上記と同じ
リゾーパス属のリパーゼ、ラウリルアルコール、水を同
重量比率で添加し、実施例1と同様に反応しγ−リノレ
ン酸含量92.5%の脂肪酸3.8g(γ−リノレン酸
3.52g含有)を得た。該脂肪酸は着色がなく、トラ
ンス構造の異性体はIRにより確認されなかった。また
該脂肪酸は苦みがなく、エルカ酸は含まなかった。
【0024】実施例4 (1)加水分解反応 ボラージ油の替わりに、モルティエラ属抽出油48.0
g(ジホモγ−リノレン酸16%含有)を用いて実施例
1と同様に反応させ(加水分解率92.3%)、実施例
1と同様に処理し39.9gの脂肪酸を得た。実施例1
と同様に分析したところジホモγ−リノレン酸の含量は
16.4%(ジホモγ−リノレン酸6.56g含有)で
あった。 (2)エステル化反応 (1)で得られた脂肪酸39.9gに対し、実施例1と
同様に反応させ、反応終了後、実施例1と同様に操作
し、実施例1と同様に分析したところ、ジホモγ−リノ
レン酸含量70.0%の脂肪酸8.0g(ジホモγ−リ
ノレン酸5.60g含有)が得られた。更に該脂肪酸
に、上記と同じリゾーパス属のリパーゼ、ラウリルアル
コール、水を同重量比率添加し、実施例1と同様に反応
しジホモγ−リノレン酸含量93.0%の脂肪酸6.5
gを得た。該脂肪酸は着色がなく、トランス構造の異性
体はIRにより確認されなかった。また該脂肪酸は苦み
がなく、エルカ酸は含まなかった。
【0025】実施例5 (1)加水分解反応 実施例1で、シュードモナス(Pseudomona
s)属のリパーゼ(昭和電工(株)製、『リポサム』)
を80,000ユニット(1000ユニット/反応液1
g)用いる替わりに、キャンディダ(Candida)
属のリパーゼ(名糖産業(株)製、Candida c
ylindracea)80,000ユニットを用いて
同様に加水分解し(加水分解率83.0%)、実施例1
と同様に処理し35.9gの脂肪酸を得た。実施例1と
同様に分析したところγ−リノレン酸の含量は16.6
%(γ−リノレン酸5.96g含有)であった。 (2)エステル化反応 (1)で得られた脂肪酸35.9gに対し、実施例1と
同様に反応させ、反応終了後、実施例1と同様に操作
し、実施例1と同様に分析したところ、γ−リノレン酸
含量67.9%の脂肪酸6.27g(γ−リノレン酸
4.26g含有)が得られた。更に該脂肪酸に、上記と
同じリゾプス属のリパーゼ、ラウリルアルコール、水を
同重量比率で添加し、実施例1と同様に反応しγ−リノ
レン酸含量92.7%の脂肪酸3.6g(γ−リノレン
酸3.34g含有)を得た。該脂肪酸は着色がなく、ト
ランス構造の異性体はIRにより確認されなかった。ま
た該脂肪酸は苦みがなく、エルカ酸は含まなかった。
【0026】実施例6 実施例1の(1)で得られた脂肪酸39.5gに対し、
ラウリルアルコール56.0g、水504.5g、リゾ
ーパス属(Rhizopus)のリパーゼ(田辺製薬
(株)製、『タリパーゼ』)120,000ユニット
(200ユニット/反応液1g)を添加し、実施例1と
同様にして、4.40gの脂肪酸を得た。実施例1と同
様に分析したところ、γ−リノレン酸の含量は65.0
%(γ−リノレン酸2.86g含有)であった。更に該
脂肪酸を、上記と同じリゾプス属のリパーゼ、ラウリル
アルコール、水を同重量比率で添加し2.70gの脂肪
酸を得た。実施例1と同様に分析したところ、γ−リノ
レン酸の含量は90.0%(γ−リノレン酸2.43g
含有)であった。該脂肪酸は着色がなく、トランス構造
の異性体はIRにより確認されなかった。また該脂肪酸
は苦みがなく、エルカ酸の含量は0.1%であった。
【0027】実施例7 実施例1の(1)で得られた脂肪酸39.5gに対し、
ラウリルアルコール56.0g、水0.5g、リゾプス
属(Rhizopus)のリパーゼ(田辺製薬(株)
製、『タリパーゼ』)20,000ユニット(208ユ
ニット/反応液1g)を添加し、実施例1と同様にし
て、6.54gの脂肪酸を得た。実施例1と同様に分析
したところ、γ−リノレン酸の含量は65.0%(γ−
リノレン酸4.25g含有)であった。更に該脂肪酸
を、上記と同じリゾーパス属のリパーゼ、ラウリルアル
コール、水を同重量比率で添加し4.00gの脂肪酸を
得た。実施例1と同様に分析したところ、γ−リノレン
酸の含量は90.0%(γ−リノレン酸3.60g含
有)であった。該脂肪酸は着色がなく、トランス構造の
異性体はIRにより確認されなかった。また該脂肪酸は
苦みがなく、エルカ酸は0.1%であった。
【0028】実施例8 実施例1の(1)で得られた脂肪酸39.5gに対し、
デカノール56.5g、水24.0g、リゾプス属(R
hizopus)のリパーゼ(田辺製薬(株)製、『タ
リパーゼ』)24,000ユニット(200ユニット/
反応液1g)を添加し、実施例1と同様にして、11.
1gの脂肪酸を得た。実施例1と同様に分析したとこ
ろ、γ−リノレン酸の含量は70.0%(γ−リノレン
酸7.77g含有)であった。更に該脂肪酸を上記と同
じリゾプス属のリパーゼ、デカノール、水を同重量比率
で添加し6.82gの脂肪酸を得た。実施例1と同様に
分析したところ、γ−リノレン酸の含量は92.3%
(γ−リノレン酸6.29g含有)であった。該脂肪酸
は着色がなく、トランス構造の異性体はIRにより確認
されなかった。また該脂肪酸は苦みがなく、エルカ酸の
含量は0.1%であった。
【0029】比較例1 ボラージ油48.0gを1N−水酸化カリウムエタノー
ル500mlで1時間沸騰ケン化させ、温水1lで容器
を洗浄して分液漏斗に移し、冷水0.5lを加えて冷却
した。ヘキサン1lで1回、0.5lで2回洗浄した下
層水層を分液漏斗に入れ、この中にヘキサン1lを加
え、4N−塩酸で酸性に戻してからよく振り混ぜた後、
下層を除去してヘキサン層の塩酸が除去されるまで0.
5lの水で5回洗浄した。2lのヘキサン層にアセトン
100mlを加えて、エバポレータで脱水と脱溶媒を行
って、脂肪酸35.0gを得た。該脂肪酸中のγ−リノ
レン酸の含量は18.5%(γ−リノレン酸6.48g
含有)であった。該脂肪酸12.0gをヘキサンに溶解
し、スチレン−ジビニル共重合体により作られたハイポ
ーラスポリマーゲルHP−20(三菱化学(株)製)を
充填したカラム(内径×長さ1.91cm×50cm、
充填容積157cm3、充填量81.6g)に注入し
た。そして溶離液としてアセトニトリル/テトラヒドロ
フラン/ジクロロメタン/水(8/1/1/0.83容
積比)を流量1.0mlで流して、γ−リノレン酸画分
を屈折率検出器で検出し、脱溶媒し、1.20gの脂肪
酸を得た。実施例1と同様に分析したところ、γ−リノ
レン酸の含量が70.7%(γ−リノレン酸0.848
g含有)であった。該脂肪酸は淡黄色に着色し、トラン
ス構造の異性体はIRにより確認された。また該脂肪酸
は苦みがあり、エルカ酸の含量は0.3%であった。
【0030】比較例2 実施例1の(1)で得られ脂肪酸12.0gをヘキサン
に溶解し、スチレン−ジビニル共重合体により作られた
ハイポーラスポリマーゲルHP−20(三菱化学(株)
製)を充填したカラム(内径×長さ1.91cm×50
cm、充填容積157cm3、充填量81.6g)に注
入した。そして溶離液としてアセトニトリル/テトラヒ
ドロフラン/ジクロロメタン/水(8/1/1/0.8
3容積比)を流量1.0mlで流して、γ−リノレン酸
画分を屈折率検出器で検出し、脱溶媒し、1.20gの
脂肪酸を得た。実施例1と同様に分析したところ、γ−
リノレン酸の含量は70.9%(γ−リノレン酸0.8
51g)であった。該脂肪酸は淡黄色に着色し、トラン
ス構造の異性体はIRにより確認された。また該脂肪酸
は苦みがあり、エルカ酸の含量は0.3%であった。
【0031】
【発明の効果】本発明では、高度不飽和脂肪酸含有油脂
を加水分解用リパーゼで脂肪酸とグリセリンとに加水分
解した後、副生する高度不飽和脂肪酸以外の脂肪酸をエ
ステル合成用リパーゼにより、選択的に炭素数6〜18
のアルコールとエステル化させて系外に取り出している
ため、高収率高含量で、異性体を含まないn−6系高度
不飽和脂肪酸が得られる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年4月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳述する。
本発明において、高度不飽和脂肪酸含有油脂とは、構成
脂肪酸に高度不飽和脂肪酸を含有するトリグリセリドを
意味する。n−6系高度不飽和脂肪酸含有油脂として
は、例えば、菜種油、月見草油、黒すぐり油、ボラージ
油等の植物の他、クロレラ等の藻類、モルティエラ属等
の菌類から抽出した油脂を挙げることができ、好ましく
は、ボラージ油、モルティエラ属等の菌類から抽出した
油脂が用いられる。特にボラージ油は、精製で除去しに
くいエルカ酸(cis−13−docosenoic
acid)が含まれている。該油脂中の高度不飽和脂肪
酸含有率は特に規定されていないが、特に高純度(97
%以上)のn−6系高度不飽和脂肪酸を得ようとする場
合は、該含有率が40%以上が好ましく、更には45%
以上が好ましい。該含有率を40%以上にする方法とし
ては、該油脂中のn−6系高度不飽和脂肪酸以外の脂肪
酸をキャンディダ(Candida)属由来のリパーゼ
で分解して、溶剤抽出、蒸留等により精製して、n−6
系高度不飽和脂肪酸高含有油脂を得る方法等が挙げられ
る。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】本発明で用いられる加水分解用リパーゼと
は、油脂を70%以上加水分解できる(加水分解率70
%以上の)リパーゼであり、シュードモナス(Pseu
domonas)属、キャンディダ(Candida)
属、クロモバクテリウム(Chromobacteri
umu)属、ゲオトリカム(Geotrichum)属
などの微生物が生産するものが挙げられる。かかるリパ
ーゼについては、市販のものを用いることができる。例
えば、シュードモナス(Pseudomonas)属の
リパーゼ(昭和電工(株)製、『リポサム』;天野製薬
(株)製、『リパーゼPS』)、シュードモナス フル
オレセンス(Pseudomonasfluoresc
ens)のリパーゼ(天野製薬(株)製、『リパーゼA
K』)、キャンディダ シリンドラッセイ(Candi
da cilindracea)のリパーゼ(名糖産業
(株)製、『リパーゼOF』)、シュードモナス アエ
ルギノーサ(Pseudomonas aerugin
osa)のリパーゼ(東洋紡(株)製、『LPL』)等
が挙げられる。なお本発明の加水分解率(%)は(反応
後の油層の酸価/反応前の油脂のケン化価)×100で
示す。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】本発明に用いられるエステル合成用リパー
ゼとは、炭素数6〜18のアルコールと高度不飽和脂肪
酸酸以外の脂肪酸のエステル合成反応に選択的に働く酵
素であり、具体的には、リゾプス(Rhizopus)
属、ペニシリウム(Penicillium)属、リゾ
ムコール(Rhizomucor)属、フザリウム(F
usarium)属、フミコーラ(Humicola)
属などの微生物が生産するものやブタ膵臓リパーゼなど
が挙げられる。かかるリパーゼについても、市販のもの
を用いることができる。例えば、リゾプス・デレマー
(Rhizopus delemar)のリパーゼ(田
辺製薬(株)製、『タリパーゼ』;天野製薬(株)製、
『リパーゼD』)、リゾムコール・ミイヘイ(Rhiz
omucor miehei)のリパーゼ(ノボ・ノル
ティスク(株)製、『リポザイム』、『ノボザイム38
8』)、フミコーラ ランギノーサ(Humicola
langinosa)のリパーゼ(ノボ・ノルティス
ク(株)製、『リポラーゼ』)等が挙げられる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正内容】
【0015】得られた反応液から生成脂肪酸の回収は反
応液の0.5〜5.0倍量の水を加え撹拌後、脂肪酸画
分(上層)を分離して用いてもよいが、通常は更に、ヘ
キサン抽出、蒸留、膜分離などにより精製するのが好ま
しい。特に高純度のn−6系高度不飽和脂肪酸を得よう
とする場合は、得られた反応液を蒸留し、油脂分を完全
に除去し、n−6系高度不飽和脂肪酸画分のみを得るの
が好ましい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正内容】
【0020】また、上記エステル合成反応により、n−
6系高度不飽和脂肪酸の含量を60〜85重量%とする
ことができるが、回収した脂肪酸を原料として再度エス
テル化を行うことにより、n−6系高度不飽和脂肪酸の
含量を、93〜97重量%にまで高めることができる。
再度エステル化を行う場合は、1回目の反応終了後、上
記の如く溶剤抽出し、得られた高度不飽和脂肪酸精製画
分に1回目と同様の炭素数6〜18のアルコール、水、
エステル合成用リパーゼを加えて同じ条件下で反応す
る。更に高純度のn−6系高度不飽和脂肪酸を得たい場
合には、上記のn−6系高度不飽和脂肪酸精製画分を再
度該画分中に残存する高度不飽和脂肪酸以外の脂肪酸を
エステル合成用リパーゼにより、選択的に炭素数6〜1
8のアルコールとエステル化させた後、n−6系高度不
飽和脂肪酸を蒸留する方法等により精製しn−6系高度
不飽和脂肪酸の含量を、97重量%以上にまで高めるこ
とができる。蒸留により精製する場合は必要に応じて、
微量に残存するn−6系高度不飽和脂肪酸の上記アルコ
ールエステルを除去する為に、更に尿素付加法で精製し
てもよい。その場合、上記のn−6系高度不飽和脂肪酸
を尿素のアルコール/水溶液(100/0.01〜1)
に添加し析出してきた尿素を40〜80℃で加温溶解し
た後、0〜25℃まで冷却し、尿素を析出させ濾過し、
濾液を濃縮して、濃縮液中のアルコールの2〜10倍程
度の水を添加して、脂肪酸画分(上層)を得ればよい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正内容】
【0031】実施例9 実施例1で用いたボラージ油(γ−リノレン酸22.2
%含有)の代わりに以下の方法で得られたγ−リノレン
酸高度含有ボラージ油(γ−リノレン酸45.9%含
有)を用いた。 (1)γ−リノレン酸高度含有ボラージ油の製造 20lの邪魔板付き撹拌槽に上記のボラージ油(γ−リ
ノレン酸22.2%含有)6120g、水6120g、
キャンディダ(Candida)属のリパーゼ(名糖産
業(株)製、『リパーゼOF』)を20(ユニット/反
応液1g)添加し、窒素気流下で撹拌しながら、反応温
度35℃で、23時間反応した(加水分解率63.8
%)。加水分解反応後、油分を分離し、該油分を遠心式
薄膜蒸留機(日本車両(株)製、『MD−150』)
で、235℃、0.0019Torrで留出する画分を
得た後、240℃、0.015Torrで留出する画分
を得た。2つの画分を併せて2060gのγ−リノレン
酸高度含有ボラージ油(γ−リノレン酸45.9%)を
得た。 (2)加水分解反応 10lの邪魔板付き撹拌槽に(1)で得られたボラージ
油1000g、水5040g、シュードモナス(Pse
udomonas)属のリパーゼ(天野製薬(株)製、
『リパーゼPS』)を270(ユニット/反応液1g)
添加し、窒素気流下、200rpmで撹拌しながら、反
応温度35℃で、24時間反応した(加水分解率96.
4%)。加水分解反応後、油分を分離し、該油分を遠心
式薄膜蒸留機(日本車両(株)製、『MD−150』)
で、150℃、0.03Torrで留出する画分を得た
後、160℃、0.03Torrで留出する画分を得
た。2つの画分を併せて750gの脂肪酸を得た。 (3)エステル化反応 (2)で得られた脂肪酸740gに対し、ラウリルアル
コール970g、水420g、リゾーパス属(Rhiz
opus)のリパーゼ(天野製薬(株)製、『リパーゼ
D』)を50(ユニット/反応液1g)添加し、窒素気
流下、200rpmで撹拌しながら、反応温度30℃、
16時間でエステル化を行った。加水分解反応後、油分
を分離し、油分を遠心式薄膜蒸留機(日本車両(株)
製、『MD−150』)で、105℃、0.2Torr
で未反応のラウリルアルコールを除去した後、195
℃、0.2Torrで留出する画分360gを得た。該
画分を常法に従ってメチルエステル化し、キャピラリー
ガスクロマトグラフィーにより分析したところ、γ−リ
ノレン酸の含量が92.1%であった。該脂肪酸は着色
がなく、トランス構造の異性体はIRにより確認されな
かった。また該脂肪酸は苦みがなく、エルカ酸の含量は
0%であった。 (4)再エステル化反応 (3)で得られた脂肪酸360gに対し、ラウリルアル
コール350g、水180g、リゾーパス属(Rhiz
opus)のリパーゼ(天野製薬(株)製、『リパーゼ
D』)を70(ユニット/反応液1g)添加し、窒素気
流下、200rpmで撹拌しながら、反応温度30℃、
16時間でエステル化を行った。加水分解反応後、油分
を分離し、該油分を遠心式薄膜蒸留機(日本車両(株)
製、『MD−150』)で、105℃、0.2Torr
で未反応のラウリルアルコールを除去した後、195
℃、0.2Torrで留出する画分160gを得た。
(3)と同様に分析したところ、γ−リノレン酸の含量
が99.2%(γ−リノレン酸159g含有)であっ
た。該脂肪酸は着色がなく、トランス構造の異性体はI
Rにより確認されなかった。また該脂肪酸は苦みがな
く、エルカ酸の含量は0%であった。
【発明の効果】本発明では、高度不飽和脂肪酸含有油脂
を加水分解用リパーゼで脂肪酸とグリセリンとに加水分
解した後、副生する高度不飽和脂肪酸以外の脂肪酸をエ
ステル合成用リパーゼにより、選択的に炭素数6〜18
のアルコールとエステル化させて系外に取り出している
ため、高収率高含量で、異性体を含まないn−6系高度
不飽和脂肪酸が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI //(C12N 9/20 C12R 1:38) (C12N 9/20 C12R 1:72) (C12N 9/20 C12R 1:845) (C12N 9/20 C12R 1:01) (C12N 9/20 C12R 1:645) (72)発明者 藤田 裕之 大阪府茨木市室山2丁目13番1号 日本合 成化学工業株式会社中央研究所内 (72)発明者 福嶋 信浩 大阪府茨木市室山2丁目13番1号 日本合 成化学工業株式会社中央研究所内 (72)発明者 山上 知秀 大阪市北区野崎町9番6号 日本合成化学 工業株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高度不飽和脂肪酸含有油脂を加水分解用
    リパーゼで加水分解して脂肪酸とグリセリンとに分解し
    た後、副生する高度不飽和脂肪酸以外の脂肪酸をエステ
    ル合成用リパーゼにより、選択的に炭素数6〜18のア
    ルコールとエステル化させて系外へ取り出すことを特徴
    とする不飽和結合を3個有し、第1の不飽和結合が6の
    位置にある高度不飽和脂肪酸の精製法。
  2. 【請求項2】 高度不飽和脂肪酸が、γ−リノレン酸及
    び/またはジホモγ−リノレン酸であることを特徴とす
    る請求項1記載の不飽和結合を3個有し、第1の不飽和
    結合が6の位置にある高度不飽和脂肪酸の精製法。
  3. 【請求項3】 加水分解用リパーゼがシュードモナス
    (Pseudomonas)属のリパーゼであることを
    特徴とする請求項1あるいは2記載の不飽和結合を3個
    有し、第1の不飽和結合が6の位置にある高度不飽和脂
    肪酸の精製法。
  4. 【請求項4】 加水分解用リパーゼがキャンディダ(C
    andida)属のリパーゼであることを特徴とする請
    求項1あるいは2記載の不飽和結合を3個有し、第1の
    不飽和結合が6の位置にある高度不飽和脂肪酸の精製
    法。
  5. 【請求項5】 エステル合成用リパーゼがリゾーパス
    (Rhizopus)属、リゾムコール(Rhizom
    ucor)属、フザリウム(Fusarium)、フミ
    コーラ(Humicola)属のリパーゼであることを
    特徴とする請求項1〜4いずれか記載の不飽和結合を3
    個有し、第1の不飽和結合が6の位置にある高度不飽和
    脂肪酸の精製法。
  6. 【請求項6】 炭素数6〜18のアルコールとしてラウ
    リルアルコールを用いることを特徴とする請求項1〜5
    いずれか記載の不飽和結合を3個有し、第1の不飽和結
    合が6の位置にある高度不飽和脂肪酸の精製法。
  7. 【請求項7】 エステル化反応を、有機溶媒を含まず、
    水分含量0.1〜90重量%で行うことを特徴とする請
    求項1〜6いずれか記載の不飽和結合を3個有し、第1
    の不飽和結合が6の位置にある高度不飽和脂肪酸の精製
    法。
JP9035533A 1997-02-03 1997-02-03 不飽和結合を3個有し、第1の不飽和結合が6の位置 にある高度不飽和脂肪酸の精製法 Pending JPH10219273A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7125180B2 (en) * 2003-03-07 2006-10-24 Darfon Electronics Corp. Collapsible keyboard with supporting structure

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7125180B2 (en) * 2003-03-07 2006-10-24 Darfon Electronics Corp. Collapsible keyboard with supporting structure

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