JP2000004894A - トリグリセリドの製造方法 - Google Patents

トリグリセリドの製造方法

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JP2000004894A JP10172942A JP17294298A JP2000004894A JP 2000004894 A JP2000004894 A JP 2000004894A JP 10172942 A JP10172942 A JP 10172942A JP 17294298 A JP17294298 A JP 17294298A JP 2000004894 A JP2000004894 A JP 2000004894A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヒト母乳型のトリグリセリド構造と考えられ
ている構造脂質、即ち、トリグリセリドの2位が炭素数
が16〜18の飽和脂肪酸であり、1及び3位に結合し
た不飽和脂肪酸の少なくともひとつがω3、ω6又はω
9系不飽和脂肪酸である新規なトリグリセリドの製造方
法の提供。 【解決手段】 2位に炭素数が16〜18の飽和脂肪酸
が結合しているグリセリドに、1, 3位のエステル結合
に特異的に作用するリパーゼを作用させ、エステル交換
反応によって1及び3位の脂肪酸がω3、ω6及び/又
はω9系の不飽和脂肪酸となったトリグリセリドを製造
するに際し、一旦トリグリセリドの2位の脂肪酸が炭素
数が16〜18の飽和脂肪酸であり、1及び3位の脂肪
酸が中鎖脂肪酸となった融点が45℃以下のトリグリセ
リドを原料として用いるかまたはそれを中間体として経
由させることよって、目的とするトリグリセリドを製造
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新しいトリグリセリ
ドの製造方法に関するもので、特にトリグリセリドの2
位に炭素数16〜18の飽和脂肪酸を有し、1及び3位
の少なくとも一方にω3、ω6及び/又はω9系の不飽
和脂肪酸を有するトリグリセリドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】我々の摂取している脂質の大部分は中性
脂肪であり、トリグリセリドの1, 2及び3位に種々の
脂肪酸がエステル結合したトリグリセリドの混合物であ
る。そして、脂肪酸の結合位置の違いにより、その生理
活性が異なることが指摘されており、トリグリセリドの
決まった位置に特定の脂肪酸を結合させた脂質(構造脂
質)が、最近、特に注目されている。
【0003】例えば、特公平4-12920 には、トリグリセ
リドの2位に炭素数8〜14の脂肪酸が結合し、1及び
3位に炭素数が18以上の脂肪酸が結合した消化吸収性
の良いトリグリセリドが開示されている。また、2- モ
ノグリセリドが人の生体に最も吸収され易い形態である
と考えられていることから、特公平5-87497 には、2位
に生理機能を有するω3又はω6系高度不飽和脂肪酸を
結合させ、1及び3位に消化管の酵素により容易に加水
分解される飽和脂肪酸を結合させたトリグリセリドが開
示されている。
【0004】一方、脂肪酸の生理機能に目を向けると、
近年、アラキドン酸及びドコサヘキサエン酸が注目され
ている。これら脂肪酸は、母乳中に含まれており、乳児
の発育に役立つとの報告(「Advances in Polyunsatura
ted Fatty Acid Research 」, Elsevier Science Publi
shers, 1993, pp.261-264 )や、胎児の身長や脳の発育
に重要であるとの報告(Proc. Natl. Acad. Sci. USA,
90, 1073-1077 (1993), Lancet, 344, 1319-1322 (199
4) )がある。
【0005】そして、いくつかの公的機関から推奨摂取
量が公表され(未熟児:アラキドン酸60、ドコサヘキサ
エン酸40;正常児:アラキドン酸20、ドコサヘキサエン
酸20mg/kg体重/ 日 (WHO-FAO (1994))、ヨーロッパの
数カ国では既にドコサヘキサエン酸と併せて醗酵生産し
たアラキドン酸をトリグリセリドとして配合した未熟児
用調製乳が市販されている。しかし、調製乳に加えたト
リグリセリドのアラキドン酸及び/又はドコサヘキサエ
ン酸の結合位置に関しては考慮されていない。
【0006】人の母乳中のトリグリセリド構造は、トリ
グリセリドの2位にパルミチン酸(16:0)が結合する割
合が高く、1及び3位に高度不飽和脂肪酸あるいは中鎖
脂肪酸が結合する割合が高いと考えられている(Christ
ie, W.W. (1986) The Positional Distribution of Fat
ty Acids in Triglycerids. Analysis of Oils and Fat
s in (Hamilton, R.J., and Russell, J.B., eds.) pp.
313-339, Elsevier Applied Science, London) 。
【0007】これに対し、前述の脂肪酸組成を母乳の組
成に近付けるために調製乳に加えられる、醗酵法で生産
されたアラキドン酸含有トリグリセリドの構造は、パル
ミチン酸を始めとする飽和脂肪酸が1及び3位に結合
し、不飽和脂肪酸は2位に結合する割合が高く(J.J. M
yher, A. Kuksis, K. Geher, P.W. Park, and D.A Dier
sen-Schade, Lipids 31, 207-215 (1996))、人の母乳
型と考えられているものとは明らかに異なっていた。し
たがって、人の母乳型のトリグリセリド構造と考えられ
ている構造脂質、つまり、トリグリセリドの2位に炭素
数が16〜18の飽和脂肪酸、1及び3位に高度不飽和
脂肪酸又は中鎖脂肪酸が結合した、構造が明確に確認さ
れている構造脂質の開発が強く望まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明は、ヒト
母乳型のトリグリセリド構造と考えられている構造脂
質、つまり、トリグリセリドの2位が炭素数が16〜1
8の飽和脂肪酸であり、1及び3位に結合した不飽和脂
肪酸の少なくともひとつがω3、ω6又はω9系不飽和
脂肪酸である新規なトリグリセリド、もしくはトリグリ
セリドの2位が炭素数が16〜18の飽和脂肪酸であ
り、1及び3位の一方が炭素数が4〜18の飽和脂肪酸
であり、もう一方がω3、ω6又はω9系不飽和脂肪酸
である新規なトリグリセリドの製造方法を提供しようと
するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】1, 3位特異的リパーゼ
を用いたエステル交換反応によってトリグリセリドの2
位に炭素数8〜14の脂肪酸が結合し、1及び3位に炭
素数が18以上の脂肪酸が結合したトリグリセリドを製
造する方法は、前述の特公平4-12920 に開示されてい
る。しかし2位の脂肪酸が炭素数がさらに増加した炭素
数16〜18の飽和脂肪酸からなるトリグリセリドを原
料とし、1, 3位特異的リパーゼを用い、ω3、ω6又
はω9系の不飽和脂肪酸とのエステル交換反応を行なう
には、反応温度を50℃以上にしなければならない。該
反応は、固定化酵素を用いた反応であり、2位に炭素数
が16〜18の飽和脂肪酸が結合し、1, 3位にω3、
ω6及び/又はω9系の不飽和脂肪酸が結合したトリグ
リセリドを製造するには、反応温度が高くなると酵素の
寿命が短くなることに加え、高度不飽和脂肪酸が変性す
る危険性を含んでいる。
【0010】そこで、本発明者等は上記の課題を解決す
るために鋭意研究した結果、2位に炭素数が16〜18
の飽和脂肪酸が結合しているグリセリドに、1, 3位の
エステル結合に特異的に作用するリパーゼを作用させ、
エステル交換反応によって1及び3位の少なくとも一方
の脂肪酸がω3、ω6及び/又はω9系の不飽和脂肪酸
となったトリグリセリドを製造するに際し、一旦、トリ
グリセリドの2位の脂肪酸が炭素数が16〜18の飽和
脂肪酸であり、1及び3位の脂肪酸が中鎖脂肪酸である
融点が45℃以下のトリグリセリドを原料として用いる
かまたはそれを中間体として経由させることよって、目
的とするトリグリセリドを製造することが出来ることを
見出し、本発明を完成した。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明によれば、トリグリセリド
の2位に炭素数が16〜18の飽和脂肪酸が結合し、1
及び3位の少なくとも一方にω3、ω6及び/又はω9
系不飽和脂肪酸が結合したトリグリセリドを、2位に炭
素数が16〜18の飽和脂肪酸が結合したトリグリセリ
ドを基質として用い、ω3、ω6及び/又はω9系不飽
和脂肪酸又はそのエステルの存在下で、1, 3位に特異
的に作用するリパーゼによるエステル交換反応によって
製造することができる。
【0012】2位に炭素数が16〜18の飽和脂肪酸が
結合したトリグリセリドとしては、例えば、トリパルミ
チン(1, 2及び3位の全てがパルミチン酸(16:
0))、トリステアリン(1, 2及び3位の全てがステ
アリン酸(18:0))を挙げることができるが、トリグリ
セリドの構成飽和脂肪酸の炭素数が16以上の場合は、
これに1, 3位特異的リパーゼとω3、ω6又はω9系
不飽和脂肪酸とを、有機溶媒を含まない反応系中で、5
0℃以下で反応させたとき、1, 3位でのエステル交換
反応はほとんど進まず、目的とする構造を持ったトリグ
リセリドは得られない。
【0013】これは、リパーゼが液体状の油脂には作用
するが、固体状の油脂にはほとんど作用しないという性
質に起因している。したがって、トリグリセリドの構成
飽和脂肪酸の炭素数が多くなると融点が高くなる分、こ
れに応じて反応温度を高くする必要がある。例えば、ト
リパルミチンを使用する場合には、反応液組成によって
異なるが反応は50〜70℃で行わなければならない。
このため、酵素の失活とエステル交換のために添加した
不飽和脂肪酸の変性が問題となる。
【0014】そこで、これら融点の高いトリグリセリド
を基質原料として用いるときには、エステル交換で1及
び3位の脂肪酸を目的とする不飽和脂肪酸に交換する前
に、例えば、原料トリグリセリドの1及び/又は3位に
結合している脂肪酸をカプリル酸のような炭素数8〜1
2程度の中鎖脂肪酸又はオレイン酸、リノール酸などの
融点の低い脂肪酸にエステル交換し、融点を45℃以下
に低下させたトリグリセリドを原料として使用すると良
いことを明らかにした。
【0015】また、この方法では、一旦1位または3位
に結合した高度不飽和脂肪酸は、その後にさらに1, 3
位特異的リパーゼを作用させてもエステル交換を起こし
にくく、中鎖脂肪酸が優先的にエステル交換されるた
め、反応を繰り返すことによって、目的の2位に炭素数
が16〜18の飽和脂肪酸が結合し、1及び/又は3位
にω3、ω6及び/又はω9系不飽和脂肪酸が結合した
トリグリセリドの収量を増加させることができることも
明らかにした。
【0016】本発明の特徴を明確にするために、トリグ
リセリドに結合した脂肪酸がすべて同じで炭素数16〜
18の飽和脂肪酸である場合を例に説明したが、トリグ
リセリドにエステル結合する脂肪酸はすべて同じである
必要はなく、トリグリセリドの2位に炭素数16〜18
の飽和脂肪酸が結合していれば、1及び3位には炭素数
4〜18のいかなる脂肪酸が結合していてもまたいかな
る組み合わせでも良く、45℃以下で反応を行うことの
できるトリグリセリドを基質として用いることは本発明
の技術的範囲に含まれる。
【0017】また、2位に飽和脂肪酸が結合したトリグ
リセリドとは、本発明の目的からして2位に炭素数16
〜18の飽和脂肪酸が結合していれば、1及び3位のい
ずれかに、ω3, ω6又はω9系不飽和脂肪酸が結合し
ていても構わず、これらの基質を用いた場合は不飽和脂
肪酸の結合していない位置にω3, ω6又はω9系不飽
和脂肪酸をエステル交換にて導入することができ、1及
び3位に結合しているω3、ω6及び/又はω9系の不
飽和脂肪酸の含量を高めることができる。
【0018】たとえば、2位が飽和脂肪酸で1及び3位
のいずれかに不飽和脂肪酸が結合したトリグリセリドと
して、クリプテコデニウム(Crypthecodenium )属、ス
ラウストキトリウム(Thraustochytrium)属、シゾキト
リウム(Schizochytrium)属、ウルケニア(Ulkenia
属、ジャポノキトリウム(Japonochytorium )属又はハ
リフォトリス(Haliphthoros)属の微生物を培養して得
られた油脂が利用できる。
【0019】これらからは、例えば1, 2−ジパルミト
イル−3−ドコサヘキサノイルトリグリセリドを単離す
ることができ、このトリグリセリドを基質に1, 3位特
異的リパーゼを作用させ、ω3、ω6又はω9系不飽和
脂肪酸もしくはその脂肪酸エステルとエステル交換させ
ると、前述のようにドコサヘキサエン酸はほとんどエス
テル交換されないため、1位のパルミチン酸のみがエス
テル交換される。不飽和脂肪酸としてアラキドン酸を用
いた場合には、1及び3位の一方にドコサヘキサエン酸
が結合し、他方にアラキドン酸が結合し、2位にパルミ
チン酸が結合したトリグリセリドが製造できる。
【0020】本発明には、トリグリセリドの1, 3位特
異的リパーゼを触媒として用いることができ、特に限定
されるものではないが、例えば、リゾプス(Rhizopus
属、リゾムコール(Rhizomucor)属、ムコール(Mucor
)属、ペニシリウム(Penicillium )属、アスペルギ
ルス(Aspergillus )属、フミコーラ(Humicola)属、
フザリウム(Fusarium)属などの微生物が生産するリパ
ーゼ、ブタ膵臓リパーゼなどが挙げられる。かかるリパ
ーゼについては、市販のものを用いることができる。
【0021】例えば、リゾプス・デレマー(Rhizopus d
elemar)のリパーゼ(田辺製薬(株)製;タリパー
ゼ)、リゾムコール・ミイハイ(Rhizomucor miehei
のリパーゼ(ノボ・ノルディスク(株)製;リボザイム
IM)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger
のリパーゼ(天野製薬(株)製;リパーゼA )、フミコ
ーラ・ランギノーサ(Humicola lanuginosa )のリパー
ゼ(ノボ・ノルディスク(株)製;リポラーゼ)、ムコ
ール・ジャバニカス(Mucor javanicus )のリパーゼ
(天野製薬(株)製;リパーゼM )、フザリウム・ヘテ
ロスポラム(Fusarium heterosporum )のリパーゼ等が
挙げられる。これらのリパーゼの使用形態はそのままで
用いても良く、また、セライトやイオン交換樹脂、セラ
ミックス担体などに固定化したリパーゼを用いてもよ
い。
【0022】本反応系に加える水分量は極めて重要で、
水をまったく含まない場合はエステル交換が進行せず、
また、水分量が多い場合は加水分解が起こり、トリグリ
セリドの回収率が低下したり、生成した部分グリセリド
では自発的なアシル基転移が起こり、2位の飽和脂肪酸
が1位あるいは3位に転移する。従って、結合水を持た
ない固定化酵素を用いたとき、主反応を行う前に、ま
ず、水を添加した基質を用いて酵素を活性化し、主反応
では水を添加していない基質を用いると効果的である。
バッチ反応で活性化するには、加えた酵素量の0〜1,
000% (重量%)の水を含む基質を用いて酵素を前処
理し、またカラム法で活性化するには、水飽和の基質を
連続的に流すとよい。
【0023】例えば、セライト又はセラミックス担体に
固定化したリゾプス・デレマー(Rhizopus delemar)の
リパーゼ(田辺製薬(株)製;タリパーゼ)を用いてバ
ッチ反応で活性化する時の水分量は、加えた酵素量の1
0〜200% (重量% )である。しかし、エステル交換
反応の活性化に必要な水分量は用いる酵素の種類により
大きく左右され、例えば、リゾムコール・ミイハイ(Rh
izomucor miehei )のリパーゼ(ノボ・ノルディスク
(株)製;リボザイムIM)であれば、ほとんど水分を必
要とせず、むしろ過剰の水を除去しなければならない。
過剰水の除去は主反応を妨害しないトリグリセリドを基
質として選択し、これを固定化酵素で加水分解するとよ
い。
【0024】バッチ反応におけるリパーゼの使用量は反
応条件によって適宜決定すれば良く、特に制限されるも
のではないが、例えばセライトやセラミックス担体に固
定化したリゾプス・デレマー(Rhizopus delemar)のリ
パーゼ、あるいはリゾムコール・ミイハイ(Rhizomucor
miehei )のリパーゼを用いたときには、反応混液の1
〜30% (重量% )が適量である。
【0025】バッチ反応におけるエステル交換反応は、
以下の方法により行う。すなわち、2位に炭素数が16
〜18の飽和脂肪酸が結合したトリグリセリドに、ω
3、ω6又はω9系不飽和脂肪酸あるいはその脂肪酸エ
ステルを加える。脂肪酸エステルとしては、例えばメチ
ルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチ
ルエステルなどを用いることができる。原料として用い
るトリグリセリド/脂肪酸またはトリグリセリド/脂肪
酸エステル比は1:0. 5〜20が適量である。この基
質に適当な量(通常5, 000〜50, 000U/g ;こ
こでリパーゼ1Uとは、オリーブ油を基質として用い、
1分間に1μmol の脂肪酸を遊離させる酵素量である)
の活性化または脱水した1, 3位特異的リパーゼを加
え、攪拌または振盪しながら45℃以下、好ましくは3
0℃付近で2〜100時間エステル交換反応を行えばよ
い。
【0026】上記固定化酵素は繰り返し使用することが
できる。すなわち、反応後固定化酵素だけを反応器内に
残し、反応液を新たに調製した基質と交換することによ
り反応を継続することができる。また、カラム法による
エステル交換反応は、酵素1g 当り、0. 05〜20ml
/hr で基質を連続的に流すとよい。また、エステル交換
反応を繰り返して行うことにより、目的のトリグリセリ
ド含量を高めることができる。すなわち、ω3、ω6又
はω9系不飽和脂肪酸もしくはその脂肪酸エステルの存
在下に、トリグリセリドの1, 3位特異的リパーゼを作
用させて、1及び3位の脂肪酸がω3、ω6及び/又は
ω9系不飽和脂肪酸にエステル交換された反応液を得
る。
【0027】次に、該反応溶液から後述する方法により
トリグリセリドを精製し、該精製トリグリセリドを原料
として再度ω3、ω6又はω9系不飽和脂肪酸またはそ
の脂肪酸エステルでエステル交換反応を行う。この繰り
返しエステル化反応により目的のトリグリセリド含有量
を飛躍的に高めることができ、繰り返し回数は2〜5回
が好ましい。
【0028】従来の固定化リパーゼを用いたエステル交
換反応では、副反応として起こる加水分解反応により生
成した部分グリセリドの2位に結合していた脂肪酸のア
シル基転移が誘発された。しかし、本発明では、加水分
解反応をほぼ完全に抑えることができ、部分グリセリド
の生成量は1% 程度であり、従来の問題点を解決するこ
とができた。また、基質に含まれている水分含量が数千
ppm 以下であれば、副反応として起こる加水分解を無視
することができ、基質中に含まれる水分量を精密制御す
る必要がないという特徴を有している。
【0029】さらに、従来の固定化酵素を用いた有機溶
媒中での反応あるいは50℃以上の反応では数回の使用
で酵素活性が低下したのに対して、本発明では有機溶媒
を用いない反応系で45℃以下で反応を行うため酵素の
失活が起こらず、バッチ反応で数十回以上、カラム反応
で100日以上連続して酵素を使用することも可能であ
る。
【0030】本発明では、基質が単純であるために、反
応により得られたトリグリセリドは数種の分子種から構
成される。そこで、液体クロマトグラフィー、分子蒸
留、流下膜蒸留、精密蒸留などの常法あるいはその組み
合わせにより、目的のトリグリセリドを容易に単離する
ことができる。本発明で製造する反応後のトリグリセリ
ドは、1位及び/又は3位に不飽和脂肪酸が結合したト
リグリセリドであり、該トリグリセリド、未反応原料、
未反応の不飽和脂肪酸または脂肪酸エステル及びエステ
ル交換されて生じた原料のトリグリセリドの1及び/又
は3位に結合していた脂肪酸または該脂肪酸エステルと
の混合物として存在している。
【0031】そこで、目的の1位及び/又は3位に不飽
和脂肪酸が結合し、2位に炭素数が16〜18の飽和脂
肪酸が結合したトリグリセリドの精製は、アルカリ脱
酸、水蒸気蒸留、分子蒸留、流下膜蒸留、真空精密蒸
留、カラムクロマトグラフィー、溶剤抽出、膜分離のい
ずれか又はこれらを組み合わせることにより、上記のエ
ステル交換された脂肪酸及び未反応の不飽和脂肪酸を除
去することによって行うことができる。
【0032】本発明で得られるトリグリセリドの1及び
3位を構成する脂肪酸はω3、ω6及び/又はω9系不
飽和脂肪酸からなる。具体的には、ω3系不飽和脂肪酸
としては、9, 12, 15-オクタデカトリエン酸 (α- リノ
レン酸) [18:3,ω3 ]、6,9, 12, 15- オクタデカテ
トラエン酸 (ステアリドン酸) [18:4,ω3 ]、11,14,
17- エイコサトリエン酸 (ジホモ- α- リノレン酸)
[20:3,ω3 ]、8, 11, 14, 17-エイコサテトラエン酸
[20:4,ω3 ]、5, 8, 11, 14, 17- エイコサペンタエ
ン酸[20:5,ω3 ]、7, 10, 13, 16, 19-ドコサペンタ
エン酸[22:5,ω3 ]、4, 7, 10, 13, 16, 19- ドコサ
ヘキサエン酸[22:6,ω3 ]を挙げることができる。
【0033】また、ω6系不飽和脂肪酸としては、9, 1
2-オクタデカジエン酸 (リノール酸) [18:2,ω6 ]、
6, 9, 12- オクタデカトリエン酸 (γ- リノレン酸)
[18:3,ω6 ]、8, 11, 14-エイコサトリエン酸 (ジホ
モ- γ- リノレン酸) [20:3,ω6 ]、5, 8, 11, 14-
エイコサテトラエン酸 (アラキドン酸) [20:4,ω6
]、7, 10, 13, 16-ドコサテトラエン酸[22:4,ω6
]、4, 7, 10, 13, 16, - ドコサペンタエン酸[22:
3,ω6 ]を挙げることができる。さらに、ω9系不飽和
脂肪酸としては、6, 9- オクタデカジエン酸[18:2,ω
9 ]、8, 11-エイコサジエン酸[20:2,ω9 ]、5, 8,
11- エイコサトリエン酸 (ミード酸) [20:3,ω9 ]挙
げることができる。さらに、アシル基はヒドロキシル
化、エポキシ化、又はヒドロキシエポキシ化されたアシ
ル基であっても構わない。本発明の新規なトリグリセリ
ドの2位を構成する脂肪酸は、炭素数16〜18の脂肪
酸からなる。例えば、パルミチン酸 (16:0 )、ステア
リン酸 (18:0 )を挙げることができる。
【0034】
【実施例】次に、実施例により、本発明をさらに具体的
に説明する。なお、本実施例では、便宜的に脂肪酸およ
びトリグリセリドを次のような略号で示す。まず、脂肪
酸を表わす一文字略号には次のものを用いる。8:カプ
リル酸、P:パルミチン酸、A:アラキドン酸、M:ミ
ード酸、D:ドコサヘキサエン酸。次に、トリグリセリ
ドを、1位に結合している脂肪酸を表わす一文字略号、
2位に結合している脂肪酸を表わす一文字略号、3位に
結合している脂肪酸を表わす一文字略号により三文字で
表記する。従って、トリグリセリドの構造は例えば次の
例のように表記される。例:8P8(1位にカプリル
酸、2位にパルミチン酸、3位にカプリル酸が結合した
トリグリセリド)
【0035】実施例1.トリパルミチン(PPP)とカ
プリル酸の1:2(wt/wt )混液を基質原料として使用
し、基質混液10.5g と固定化リゾムコール・ミイハ
イ(Rhizomucor miehei )リパーゼ(ノボ・ノルディス
ク(株)製;リボザイムIM60)1.2gからなる反応液
をねじ蓋付きバイアル瓶に入れ、50℃で48時間振盪
(140回/分)しながらインキュベートした。反応
後、固定化酵素だけを残して反応液を新しい基質混液と
交換し、同じ条件下で反応を行った。固定化酵素を繰り
返し使用しながら4回反応を行い、それぞれの反応液を
回収した。
【0036】各反応液(10.5g )に70mlの0.5
N KOH 溶液(20% エタノール溶液)を加え、100ml
のヘキサンでグリセリド画分を抽出後、エバポレーター
により溶剤を除去してグリセリドを回収した。イヤトロ
スキャン(ヤトロン(株)社製)でグリセリド組成を調
べた結果、1回目のグリセリド中には8% のジグリセリ
ドが含まれていたが、2回目以降のグリセリド中の部分
グリセリド含量は1%以下であった。2〜4回目のグリ
セリド画分の脂肪酸組成(モル% )はカプリル酸45.
1% 、パルミチン酸54.9% であった。
【0037】カプリル酸の交換率を高めるため、2〜4
回目のグリセリド画分を原料として再度エステル交換し
た。上記の反応に使用したリボザイム IM60 (1.2g
)に、調製したグリセリド3.5g とカプリル酸7g
を加え、30℃で48時間振盪しながら反応を行った
(5回目)。反応後、反応液を新しい基質と交換して同
じ条件下で反応を行った(6回目)。5、6回目の反応
液からグリセリド画分をヘキサン抽出により回収した
(合計4. 8g )。得られたグリセリドの脂肪酸組成
(モル% )はカプリル酸64.2% 、パルミチン酸3
5.8% であった。このグリセリド中に含まれる部分グ
リセリドは1% 以下であり、アセトン/アセトニトリル
(1:1, vol/vol )を溶出溶媒としてODSカラム
(Wakosil-II 3C18, 4.6 x 150mm, 2本)で分析した結
果、8P8の純度は93% であった。
【0038】得られた8P8(3.5g )とアラキドン
酸(純度90% )7g を原料とし、上記の反応に用いた
リボザイム IM60 で30℃で48時間エステル交換反応
を行い(7回目)、反応後の反応液をアルカリ条件下で
ヘキサン抽出し、グリセリド画分(4.8g )を得た。
グリセリドの脂肪酸組成を分析したところ、カプリル
酸、パルミチン酸、γ- リノレン酸、アラキドン酸はそ
れぞれ38.5、23.1、2.4及び34.0モル%
であった。このグリセリドをアセトン/アセトニトリル
(1:1, vol/vol )を溶出溶媒としてODSカラム
(SH-345-5, 20 x 500mm YMC(社)製)を用いた高速液
体クロマトグラフィーにより分画した結果、8PAとA
PAがそれぞれ0.72、0.44g 得られた。
【0039】実施例2.実施例1に記載した方法の10
0倍の規模で反応を行って8P8を調製し、原料として
使用した。リゾプス・デレマー(Rhizopus delemar)の
リパーゼ(田辺製薬(株)製;タリパーゼ)をJ. Ferme
nt. Bioeng., 81, 299-303 (1996) に従ってセラミック
ス担体 SM-10(日本ガイシ(株)製)に固定化した。固
定化酵素10g (31, 000U/g )をカラムに充填し
た後、水飽和の大豆油:カプリル酸1:2(wt/wt)混
合液を30℃、流速3ml/hr で100ml流し固定化酵素
を活性化した。
【0040】次いで水を加えていない大豆油50mlを流
して過剰水を除去した後、8P8とアラキドン酸エチル
エステル(純度90% )の1:4(wt/wt )混液を同じ
条件で流しながらエステル交換反応を行った。反応液1
00g を高真空下で蒸留してグリセリド画分を残査とし
て回収した後、実施例1に従ってアルカリ条件下でヘキ
サン抽出した。エバポレーターにより溶媒を除去し、ヘ
キサン抽出物35. 7g を得た。このヘキサン抽出物に
含まれているトリグリセリドと脂肪酸エステルの組成比
をイヤトロスキャンで分析したところ91:9であっ
た。また、脂肪酸組成を分析した結果、カプリル酸、パ
ルミチン酸、γ- リノレン酸、ジホモ- γ- リノレン酸
及びアラキドン酸は、それぞれ24.4、34.5、
1.5、2.6及び37.0モル% であった。
【0041】実施例3.実施例1で用いた固定化リゾム
コール・ミイハイ(Rhizomucor miehei )リパーゼ(ノ
ボ・ノルディスク(株)製;リボザイムIM60)に含まれ
ている過剰の水を除去するために、該固定化酵素12g
、SUNTGA- 25(サントリー(株)製)60g
からなる反応混液を100mlのねじ蓋付きバイアル瓶に
入れ、30℃で48時間振盪しながら反応させた(1回
目)。固定化酵素だけを反応器に残し、実施例2で作成
した8P8(12g )とミード酸エチルエステル(純度
90% )48g を加えて十分窒素置換した後、30℃で
72時間振盪しながらエステル交換反応を行った(2、
3回目)。
【0042】反応後、2回目と3回目の反応混液を合わ
せ、そのうち100g を実施例2と同様に、高真空下で
蒸留してグリセリド画分を残査として回収した。次い
で、実施例1に従ってアルカリ条件下でヘキサン抽出し
た後、エバポレーターによりヘキサンを除去し、24.
1g のグリセリド画分を得た。この中に含まれているト
リグリセリドと脂肪酸エステルの組成比をイヤトロスキ
ャンで分析したところ92:8であった。実施例1に従
って高速液体クロマトグラフィーを行い示差屈折計のピ
ーク面積から脂肪酸エステルと各トリグリセリド成分を
定量したところ、MPMは12.0%であった。またこ
の画分の脂肪酸組成は、カプリル酸、パルミチン酸及び
ミード酸がそれぞれ31.2、35.7及び33.1モ
ル%であった。
【0043】エステル交換率を高めるために、得られた
エステル交換トリグリセリドを再度ミード酸エチルエス
テルでエステル交換した。上記の固定化酵素にエステル
交換トリグリセリド12g とミード酸エチルエステル4
8g を加えて30℃で72時間振盪しながら反応を行っ
た(4回目)。反応後、反応液55g を上述した方法で
蒸留し、12. 3g のグリセリド画分を得た。この画分
の脂肪酸組成は、カプリル酸、パルミチン酸及びミード
酸がそれぞれ5.2、38.6及び56.1モル%であ
った。
【0044】実施例4.実施例1で用いた固定化リゾム
コール・ミイハイ(Rhizomucor miehei )リパーゼ(ノ
ボ・ノルディスク(株)製;リボザイムIM60)に含まれ
ている過剰の水を除去するために、該固定化酵素2g 、
SUNTGA- 25(サントリー(株)製)10g から
なる反応混液を20mlのねじ蓋付きバイアル瓶に入れ、
30℃で48時間振盪しながら反応させた(1回目)。
固定化酵素だけを反応器に残し、実施例2で作成した8
P8(12g )とSUNTGA- 25を加水分解して得
られた脂肪酸混液8g を加えて十分窒素置換した後、3
0℃で48時間振盪しながらエステル交換反応を行った
(2〜5回目)。反応後、2〜5回目の反応混液からヘ
キサン抽出したグリセリドを合わせ、再度のエステル交
換反応の基質とした。
【0045】上記の固定化酵素の入った反応器にエステ
ル交換トリグリセリド2g とSUNTGA- 25由来の
脂肪酸混液10g を加え、30℃で48時間振盪しなが
ら反応させた(6、7回目)。6、7回目の反応混液か
らグリセリド画分を抽出し、再々度のエステル交換反応
の基質とし、同様に反応を行った(8回目)。エステル
交換反応を3回繰り返すことにより得られたトリグリセ
リドを構成する脂肪酸組成、トリグリセリドの1,3位
および2位の各脂肪酸組成をガスクロマトグラフィーに
より分析した。この結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】比較例1.実施例2で作成した8P8と固
定化酵素をそれぞれ原料および触媒として使用した。固
定化酵素2g、大豆油4g、カプリル酸8gおよび水
0.5gを20mlのバイアル瓶に入れ、30℃で24
時間振盪しながらインキュベートすることにより固定化
酵素を活性化した。活性化した酵素を反応器内に残し、
これに水を含まない基質、アラキドン酸/8P8(4:
1,wt/wt )あるいは、アラキドン酸/PPP(4:
1,wt/wt )を加え、前者の反応は30℃で後者の反応
は50℃で振盪しながら行った。また反応は24時間毎
に反応液を新らしい基質と交換しながら繰り返し固定化
酵素の安定性を比較した。
【0048】基質にPPPを用いて50℃で反応を繰り
返したとき固定化酵素を7回使用した後ではアラキドン
酸の取り込み量は最初の取り込み量の10%以下に低下
した(1回目と7回目のアラキドン酸の取り込み量はそ
れぞれ47%と3%)。一方、基質に8P8を用いて3
0℃で反応を繰り返したとき固定化酵素を50回使用し
てもアラキドン酸の取り込み量はほとんど変わらなかっ
た(1回目と50回目のアラキドン酸の取り込み量はそ
れぞれ41%と38%)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤川 茂昭 大阪府三島郡島本町山崎5−2−5 サン トリー株式会社技術開発センター内 (72)発明者 島田 裕司 大阪府堺市櫛屋町東4−2−31 (72)発明者 杉原 耿雄 兵庫県伊丹市千僧6−87 (72)発明者 富永 嘉男 大阪府大阪市西淀川区歌島2−7−2 Fターム(参考) 4B064 AD85 CA21 CB30 CD07 CD22 4H006 AA02 BT12 KA02 4H059 BA33 BB05 CA35 EA17 EA40

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トリグリセリドの2位の脂肪酸が炭素数
    16〜18の飽和脂肪酸であり、1及び3位の脂肪酸の
    少なくともひとつがω3、ω6又はω9系の不飽和脂肪
    酸であるトリグリセリドを製造する方法であって、トリ
    グリセリドの2位の脂肪酸が炭素数16〜18の飽和脂
    肪酸であり、1及び3位の脂肪酸が中鎖脂肪酸である融
    点が45℃以下のトリグリセリドに、ω3、ω6又はω
    9系不飽和脂肪酸又はそのエステルの存在下で、1,3
    位特異的リパーゼを作用させてエステル交換反応によっ
    て目的のトリグリセリドを得ることを特徴とする当該ト
    リグリセリドの製造方法。
  2. 【請求項2】 製造するトリグリセリドが、トリグリセ
    リドの2位の脂肪酸が炭素数16〜18の飽和脂肪酸で
    あり、1及び3位の脂肪酸の一方がω3、ω6又はω9
    系の不飽和脂肪酸であり、他方も当該不飽和脂肪酸と同
    じω3、ω6又はω9系の不飽和脂肪酸である請求項1
    記載のトリグリセリドの製造方法。
  3. 【請求項3】 製造するトリグリセリドが、トリグリセ
    リドの2位の脂肪酸が炭素数16〜18の飽和脂肪酸で
    あり、1及び3位の脂肪酸の一方がω3、ω6又はω9
    系の不飽和脂肪酸であり、他方が当該不飽和脂肪酸と異
    なるω3、ω6又はω9系の不飽和脂肪酸である請求項
    1記載のトリグリセリドの製造方法。
  4. 【請求項4】 製造するトリグリセリドが、トリグリセ
    リドの2位の脂肪酸が炭素数16〜18の飽和脂肪酸で
    あり、1及び3位の脂肪酸の一方がω3、ω6又はω9
    系の不飽和脂肪酸であり、他方が炭素数4〜18の飽和
    脂肪酸である請求項1記載のトリグリセリドの製造方
    法。
  5. 【請求項5】 ω3、ω6及び/又はω9系の不飽和脂
    肪酸が、 9, 12, 15-オクタデカトリエン酸 (α- リノレン酸) 18:3,ω3 6, 9, 12, 15- オクタデカテトラエン酸 (ステアリドン酸) 18:4,ω3 11, 14, 17- エイコサトリエン酸 (ジホモ- α- リノレン酸) 20:3,ω3 8, 11, 14, 17-エイコサテトラエン酸 20:4,ω3 5, 8, 11, 14, 17- エイコサペンタエン酸 20:5,ω3 7, 10, 13, 16, 19-ドコサペンタエン酸 22:5,ω3 4, 7, 10, 13, 16, 19- ドコサヘキサエン酸22:6,ω3 9, 12-オクタデカジエン酸(リノール酸) 18:2,ω6 6, 9, 12- オクタデカトリエン酸 (γ- リノレン酸) 18:3,ω6 8, 11, 14-エイコサトリエン酸 (ジホモ- γ- リノレン酸) 20:3,ω6 5, 8, 11, 14- エイコサテトラエン酸 (アラキドン酸) 20:4,ω6 7, 10, 13, 16-ドコサテトラエン酸 22:4,ω6 4, 7, 10, 13, 16- ドコサペンタエン酸 22:5,ω6 6, 9- オクタデカジエン酸 18:2,ω9 8, 11-エイコサジエン酸 20:2,ω9 5, 8, 11- エイコサトリエン酸 (ミード酸) 20:3,ω9 からなる群から選ばれる不飽和脂肪酸である、請求項1
    乃至4のいずれか1項に記載のトリグリセリドの製造方
    法。
  6. 【請求項6】 エステル交換反応のために用いる2位に
    炭素数16〜18の飽和脂肪酸が結合したトリグリセリ
    ドが、ω3、ω6及び/又はω9系不飽和脂肪酸をトリ
    グリセリドの構成脂肪酸として生産する能力を有する微
    生物由来であり、当該トリグリセリドの2位に炭素数1
    6〜18の飽和脂肪酸が結合し、1及び3位にω3、ω
    6又はω9系の不飽和脂肪酸が結合しているトリグリセ
    リドであることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれ
    か1項に記載のトリグリセリドの製造方法。
  7. 【請求項7】 エステル交換反応のために添加するω
    3、ω6又はω9系の不飽和脂肪酸が、ω3、ω6又は
    ω9系の不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするトリグリセリ
    ドの加水分解混合物であることを特徴とする、請求項1
    乃至5のいずれか1項に記載のトリグリセリドの製造方
    法。
  8. 【請求項8】 トリグリセリドの2位の脂肪酸がパルミ
    チン酸またはステアリン酸である請求項1乃至5のいず
    れか1項に記載のトリグリセリドの製造方法。
  9. 【請求項9】 有機溶媒を使用しない反応系でエステル
    交換反応を行うことを特徴とする、請求項1乃至8のい
    ずれか1項に記載のトリグリセリドの製造方法。
  10. 【請求項10】 反応温度を45℃以下でエステル交換
    反応を行うことを特徴とする、請求項1乃至9のいずれ
    か1項に記載のトリグリセリドの製造方法。
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