JPH10219269A - 自動変速機油組成物 - Google Patents

自動変速機油組成物

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JPH10219269A
JPH10219269A JP2937697A JP2937697A JPH10219269A JP H10219269 A JPH10219269 A JP H10219269A JP 2937697 A JP2937697 A JP 2937697A JP 2937697 A JP2937697 A JP 2937697A JP H10219269 A JPH10219269 A JP H10219269A
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olefin
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Kenji Hayashi
健司 林
Toshio Kunugi
俊夫 功刀
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Cosmo Oil Co Ltd
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COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Cosmo Oil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 動摩擦係数比が小さく、耐ジャダー性が良
く、静摩擦係数とトルク伝達容量を大きく維持した上、
耐ピッチング性を向上させた自動変速機油組成物を提供
する。 【解決手段】 A〜Cを配合した基油にDとEを添加す
る。 A)シクロペンタジエン類とα−オレフィン類もしくモ
ノビニル芳香族炭化水素類との熱共重合物またはこの熱
共重合物の水素化物であって、軟化点40℃以上または
質量平均分子量250以上のひとつ以上を満たすシクロ
ペンタジエン系石油樹脂:2〜17質量%、B)質量平
均分子量100〜1,000で、分枝ポリα−オレフィ
ン:20〜45質量%、C)100℃での粘度2〜50
mm2/Sの鉱油:38〜78質量%D)特定の構造のリン
酸エステル、酸性リン酸エステル、亜リン酸エステルま
たは酸性亜リン酸エステルの1種以上のリン化合物0.
01〜5質量%、E)N系またはエステル系化合物の1
種以上の摩擦調整剤:0.01〜3質量%。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動変速機油に関
し、トルク容量が大きく、耐ジャダー性に優れるととも
に、耐ピッチング性が大幅に改善された自動変速機油組
成物を提供する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車用自動変速機油は、燃費を
向上させるという観点から低粘度化し、また、エンジン
の高出力化に伴って負荷が増大することから、耐ピッチ
ング性すなわち自動変速機を構成する金属部品の表面の
劣化に対する耐久性を、一層向上させることが望まれて
いる。
【0003】出願人はさきに、特定のシクロペンタジエ
ン系石油樹脂と、特定の合成油から成るトラクションド
ライブ用流体を開発し、すでに開示した(特開平5−1
40574号)。 しかし、トラクションドライブ用流
体に関しては、耐ピッチング性は問題にされない。 ト
ラクションドライブは動力伝達装置であり、自動変速機
に用いられるものの、その機構は無段変速機である。
一方、有段の自動変速機は、トラクションドライブ等の
無段変速機とは異なった機構の装置であり、従ってトラ
クションドライブ用流体と自動変速機油とでは、要求さ
れる性能が異なる。 自動変速機油に対して従来から要
求されている性能として、ロックアップ機構を作動させ
るときの変速ショック防止性能(これを「耐ジャダー性」
という)があり、耐ジャダー性を高くするには、自動変
速機油の動摩擦係数比(μ0/μd)が小さいことが望
ましい。 また、有段の自動変速機に装着されている湿
式クラッチは、静摩擦係数が低いと滑りが発生しやすく
なり、伝達トルクのロスが大きくなる。 ロスを小さく
するためには、湿式クラッチにおける静摩擦係数(μ
s)の大きな自動変速機油が望ましい。 トラクション
ドライブ用流体に関するその後の研究の成果として、出
願人は、α−アルキルスチレン二量体の水素化物と特定
のシクロペンタジエン系石油樹脂とからなる基油に、特
定のリン化合物およびN系またはエステル系の摩擦調節
剤を添加してなるトラクションドライブ用流体を開発
し、これも開示した(特願平8−180954号)。
さきに開示したトラクションドライブ用流体に関連し
て、発明者等は最近、耐ピッチング性に優れた潤滑油基
油組成物を確立し、これについても提案した(特願平8
−353794号)。 この潤滑油基油組成物は、特定
のシクロペンタジエン系石油樹脂と、特定の鉱油または
合成油から成ることを特徴とする。 さらに研究を重
ね、この潤滑油基油が自動変速機油の基油としても有用
であって、自動変速機油に用いたときにもその耐ピッチ
ング性を発揮すること、また、後の開示にかかるトラク
ションドライブ用流体の添加剤が、自動変速機油の添加
剤としても好適であることを見出した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、発明
者らが得た上記の新しい知見を活用し、前記した要望に
こたえ得る自動変速機油、すなわち従来の自動変速機油
と同様に動摩擦係数比が小さく耐ジャダー性が良好であ
り、かつ静摩擦係数が大きくトルク伝達容量を大きく維
持した上で、耐ピッチング性を向上させた自動変速機油
組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の自動変速機油組
成物は、下記のA,BおよびCの成分(A)シクロペン
タジエン類とα−オレフィン類もしくはモノビニル芳香
族炭化水素類との熱共重合物またはこの熱共重合物の水
素化物であって、軟化点が40℃以上および重量平均分
子量が250以上の条件の少なくともひとつを満たすシ
クロペンタジエン系石油樹脂:2〜17質量%、(B)
重量平均分子量が100〜1,000である、分枝を有
するポリα−オレフィン:20〜45質量%、および
(C)100℃における粘度が2〜50mm2/Sである鉱
油:38〜78質量%からなる潤滑油組成物を基油とし
て使用し、これに、下記のDおよびEの成分(D)一般
式1〜3のリン酸エステル、酸性リン酸エステル、亜リ
ン酸エステルおよび酸性亜リン酸エステルから選ばれる
少なくとも1種のリン化合物0.01〜5質量%、
【0006】
【化1】
【0007】
【化2】
【0008】
【化3】
【0009】[上記三つの式において、R1〜R3は水素
原子、C1〜C30の炭化水素基またはイオウ原子含有炭
化水素基をあらわし、XおよびYは1または2であ
る。]および(E)N系およびエステル系の化合物から
選ばれる少なくとも1種の摩擦調整剤:0.01〜3質
量%を添加して成る自動変速機油組成物である。
【0010】本発明の組成物を構成するA成分のシクロ
ペンタジエン系石油樹脂は、シクロペンタジエン類とα
−オレフィン類またはモノビニル芳香族炭化水素類とを
熱共重合させ、さらに必要に応じて水素化することによ
って得られる。
【0011】原料とするシクロペンタジエン類には、シ
クロペンタジエン、その多量体、それらのアルキル置換
体およびそれらの混合物が包含される。 工業的には、
ナフサ等のスチームクラッキングにより得られる、シク
ロペンタジエン類を約30質量%以上、好ましくは約5
0質量%以上含有するシクロペンタジエン留分(CPD
留分)を用いることが有利である。 一般にCPD留分
中には、これら脂環式ジエンと共重合可能なオレフィン
性単量体が含まれている。 それらは、たとえば、イソ
プレン、ピペリレンあるいはブタジエン等の脂肪族ジオ
レフィンや、シクロペンテン等の脂環式オレフィンであ
る。 これらオレフィン類の濃度は低い方が好ましい
が、シクロペンタジエン類に対し約10質量%以下であ
れば許容される。
【0012】このシクロペンタジエン類と共重合させる
いまひとつの原料であるα−オレフィン類の例として
は、C4〜C14、好ましくはC4〜C10のα−オレフィン
およびそれらの混合物が挙げられ、エチレン、プロピレ
ンまたは1−ブテン等からの誘導体、あるいはパラフィ
ンワックスの分解物等が好ましく用いられる。 このα
−オレフィン類は、シクロペンタジエン類1モルあたり
4モル未満を反応させることが好ましい。
【0013】α−オレフィンに代えてシクロペンタジエ
ンと共重合させる、もうひとつの原料であるモノビニル
芳香族炭化水素類としては、スチレン、o,m,p−ビ
ニルトルエン、α,β−メチルスチレン等が挙げられ
る。 これらの原料は、インデン、メチルインデンある
いはエチルインデン等のインデン類を含有していてもよ
く、工業的には、ナフサ等のスチームクラッキングより
得られる、いわゆる C9留分を用いることが有利であ
る。 このモノビニル芳香族炭化水素類は、シクロペン
タジエン類1モルあたり3モル未満を反応させるのが適
切である。
【0014】シクロペンタジエン類としてシクロペンタ
ジエン等の単量体を用いる場合には1モルを1当量とし
て、二量体を用いる場合には1モルを2当量として、そ
れぞれ計算する。
【0015】シクロペンタジエン系石油樹脂を得る熱共
重合方法のひとつの例を示せば、下記の方法がある。
すなわち、上記のシクロペンタジエン類とα−オレフィ
ン類またはモノビニル芳香族炭化水素類とを、溶媒中
で、または無溶媒で、好ましくは窒素ガス等の不活性ガ
ス雰囲気下に、約160〜300℃、好ましくは約18
0〜280℃の範囲の温度において、約0.1〜10時
間、好ましくは約0.5〜6時間、原料系を液相に保持
し得る圧力の下に反応させることにより、第一段の熱共
重合を行なう。 続いて、第一段の重合反応液から常圧
下または加圧下に原料中の不活性成分、未反応原料、さ
らに必要ならば溶剤を蒸留等の操作により留去した後、
減圧下で、約160〜280℃の温度において、約0.
5〜4時間、第二段の重合を行なって、所望のシクロペ
ンタジエン系石油樹脂を得る。
【0016】上述した熱共重合の条件を守れば、軟化点
が約40℃以上および重量平均分子量が約250以上の
条件の少なくともひとつを、おおむね満たすシクロペン
タジエン系石油樹脂が得られる。 最適の反応条件は、
上記範囲内で容易に決定できるであろう。このようにし
て得たシクロペンタジエン系石油樹脂は、水素化処理の
有無にかかわらず優れた配合効果を示す。 しかし、臭
気や安定性を改善するために、また色相を改善するため
に、水素化処理を施すことが好ましい。 水素化処理
は、通常の方法で行なうことができる。 たとえば、ニ
ッケル、パラジウム、白金等の水素化触媒を用い、溶媒
中で、または無溶媒で、約70〜300℃、好ましくは
約100〜250℃の範囲の温度において、圧力約10
〜200Kg/cm2(G)、好ましくは約20〜120Kg
/cm2(G)の水素圧力下に、約0.5〜20時間、好ま
しくは約1〜10時間置けば、水素化処理ができる。
水素化処理後は、触媒を、またさらに必要ならば溶剤を
除去することにより、目的とする水素化シクロペンタジ
エン系石油樹脂が得られる。
【0017】本発明の組成物を構成するシクロペンタジ
エン系石油樹脂は、前記のように、軟化点約40℃以上
および平均分子量約250以上の条件の、少なくともひ
とつを満たす必要がある。 軟化点の好ましい値は、約
80〜180℃であり、平均分子量の好ましい値は、約
400〜2,000である。
【0018】シクロペンタジエン系石油樹脂の配合量
は、A〜C成分からなる基油の全量を基準として2〜1
7質量%、好ましくは2〜12質量%、より好ましくは
3〜8質量%、とくに好ましくは4〜6質量%である。
少な過ぎると耐ピッチング性の向上がほとんど認めら
れず、一方、多過ぎると低温粘度が大きくなり過ぎる。
【0019】本発明の組成物のB成分を構成する、分枝
を有するポリα−オレフィンは、四級または三級炭素原
子を主鎖にもつポリオレフィンである。 その合成原料
は炭素数3以上のオレフィンであればとくに制限はない
が、とくにイソブチレンの1〜4量体やプロピレンの1
〜5量体が好適に用いられる。 これらのα−オレフィ
ンは、1種類単独で重合させてもよいし、2種類以上混
合して重合させてもよい。
【0020】分枝を有するポリα−オレフィンは、前記
のように、分子量が100〜1,000の範囲にあるこ
とを要する。 好ましいのは、分子量150〜500の
範囲のものである。 分子量が100より小さいと、ポ
リα−オレフィンが蒸発性をもってくるとともに油膜保
持能力が低下して不適切であり、分子量が1,000よ
り大きいと、粘度上昇により低温流動性が低下して、や
はり不都合である。
【0021】分枝を有するポリα−オレフィンの粘度に
ついては、とくに制限はないが、100℃における粘度
が2〜50mm2/Sのものを使用することが望ましい。
好ましい粘度は2〜20mm2/Sであり、さらに好ましい
のは2〜12mm2/S、とくに好ましいのは2〜7mm2/Sで
ある。
【0022】B成分中のポリα−オレフィンの配合量
は、A〜C成分からなる基油を基準として20〜45質
量%とする。 配合量が20質量%に満たないと、耐ピ
ッチング性や低温流動性が悪くなる。 好ましい配合量
は25〜45質量%、さらに好ましいのは30〜40質
量%である。
【0023】本発明の組成物のC成分である鉱油として
は、高度に精製されたパラフィン系鉱油、たとえば水素
化精製基油、触媒異性化基油を用いることが好ましい。
C成分としての鉱油は、100℃における粘度が2〜
50mm2/Sの範囲になければならない。 好ましい粘度
は2〜20mm2/S、さらに好ましくは2〜12mm2/S、と
くに好ましくは2〜7mm2/Sである。
【0024】この鉱油は、イオウ分が少ないことが望ま
しい。 許容されるイオウ分の含有量は、1.0質量%
までである。 イオウ分が1.0質量%を超えて存在す
ると、高温の使用条件下でスラッジの生成が促進されや
すくなるからである。 好ましくはイオウ分0.6質量
%以下であり、より好ましくは0.4質量%以下であ
る。可能であれば0.3質量%以下、とくに0.25質
量%以下にしたい。
【0025】鉱油の流動点は−15℃以下であることが
好ましく、−35℃以下であることがとくに好ましい。
流動点が−15℃以上になると、低温粘度特性が悪く
なる傾向が見られる。
【0026】とりわけ好ましい鉱油は、粘度が100℃
において2〜50mm2/S、流動点が−15℃以下、イオ
ウ分が1.0質量%以下のものである。
【0027】C成分である鉱油の配合割合は、基油すな
わちA〜C成分の合計を基準として、38〜78質量%
である。 好ましい配合割合は40〜72質量%、さら
に好ましくは55〜70質量%である。
【0028】上述のA〜C成分からなる基油に添加する
D成分は、前記の一般式1〜3で表されるリン酸エステ
ル、酸性リン酸エステル、亜リン酸エステルおよび酸性
亜リン酸エステルなどのリン化合物である。
【0029】リン酸エステルの具体例には、トリアリー
ルホスフェート、トリアルキルホスフェート等があり、
たとえば、ベンジルジフェニルホスフェート、アリルジ
フェニルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ト
リクレジルホスフェート、エチルジフェニルホスフェー
ト、トリブチルホスフェート、エチルジブチルホスフェ
ート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフ
ェニルホスフェート、エチルフェニルジフェニルホスフ
ェート、ジエチルフェニルフェニルホスフェート、プロ
ピルフェニルジフェニルホスフェート、ジプロピルフェ
ニルフェニルホスフェート、トリエチルフェニルホスフ
ェート、トリプロピルフェニルホスフェート、ブチルフ
ェニルジフェニルホスフェート、ジブチルフェニルフェ
ニルホスフェートおよびトリブチルフェニルホスフェー
ト等の化合物を挙げることができる。
【0030】酸性リン酸エステルとしては、たとえば、
2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、イソデシル
アシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェー
ト、トリデシルアシッドホスフェート、ステアリルアシ
ッドホスフェート、イソステアリルアシッドホスフェー
ト、オレイルアシッドホスフェート、ジ(2−エチルヘ
キシル)アシッドホスフェート等が挙げられる。
【0031】亜リン酸エステルとしては、たとえば、ト
リフェニルホスファイト、トリ(p−クレジル)ホスフ
ァイト、トリ(ノニルフェニル)ホスファイト、トリイ
ソオクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスフ
ァイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリイソ
デシルホスファイト、トリステアリルホスファイト、ト
リオレイルホスファイト等が挙げられる。
【0032】酸性亜リン酸エステルとしては、たとえ
ば、ジ(2−エチルヘキシル)ハイドロジエンホスファ
イト、ジラウリルハイドロジエンホスファイト、ジオレ
イルハイドロジエンホスファイト等が挙げられる。
【0033】D成分であるリン化合物は、A〜C成分か
らなる基油を基準として、0.01〜5質量%を添加す
る。 添加量が0.01質量%より少ないと耐摩耗性お
よび摩擦特性が悪く、5質量%より多くなると、再び摩
擦特性が悪化する。 好ましい添加量は0.03〜3質
量%であり、さらに好ましくは0.05〜1質量%、と
くに好ましくは、0.1〜0.6質量%である。
【0034】本発明の組成物は、上述のD成分に加え
て、E成分としてN系摩擦調整剤またはエステル系摩擦
調整剤から選ばれる少なくとも1種を添加する。
【0035】N系摩擦調整剤の代表的なものには、−
(CO)NH−(アミド結合)、−NH−、および−N
<を有する化合物がある。 −(CO)NH−を有する
ものとしては、エチルヘキシルアミド、ブチルヘキシル
アミド、ブチルデシルアミド、ブチルエイコシルアミ
ド、エチルヘキサデシルアミド、ブチルエイコシルアミ
ド、ジヘキサデシルアミドのような、一般式 R9−CO
NH−R10であらわされる化合物を挙げることができ、
これらの中でも、ブチルデシルアミド、エチルヘキサデ
シルアミド、ブチルエイコシルアミドなどが好ましい。
上記一般式中、R9 およびR10は、各々炭素数3〜2
0および2〜20の炭化水素基であり、好ましい炭化水
素基は、アルキル基およびアルケニル基である。 −N
H−を有するものとしては、エチルヘキシルアミン、エ
チルデシルアミン、ブチルデシルアミン、エチルヘキサ
デシルアミン、ブチルエイコシルアミンなどを挙げるこ
とができ、これらの中でも、エチルデシルアミン、ブチ
ルデシルアミン、ブチルエイコシルアミンなどが好まし
い。
【0036】−N<を有するものとしては、C1437
N(C816−COOH)2のように、一般式 R13−N
(R14−COOH)2であらわされる化合物を挙げるこ
とができる。 C1837−N(C816−COOH)2
どは、カルボキシル基と−N<結合の両方を含む化合物
である。
【0037】エステル系摩擦調整剤の代表的なものは、
−COO−を有する化合物であって、ヘキサン酸メチ
ル、ウンデカン酸メチル、テトラデカン酸メチル、オク
タデカン酸メチル、エイコサン酸ブチル、酢酸オクタデ
シル、こはく酸ジテトラデシルなどを挙げることがで
き、これらの中でも、テトラデカン酸メチル、オクタデ
カン酸メチルなどが好ましい。
【0038】本発明の組成物において、E成分である摩
擦調整剤は、A〜C成分からなる基油を基準として、
0.01〜3質量%の範囲の量を添加する。 0.01
質量%より少ないと耐ジャダー性能(μ−V特性)の改
善効果が小さく、多すぎると静摩擦係数が低くなって、
伝達トルク容量の低下による湿式クラッチの滑りが生じ
る。 好ましい添加量の範囲は0.03〜1質量%、さ
らに好ましくは0.05〜0.5質量%、とくに好まし
くは0.1〜0.3質量%である。
【0039】以上説明したA〜E成分からなる本発明の
自動変速機油組成物は、各成分の共同作用により、大き
な伝達トルク容量、優れた耐ジャダー性および耐ピッチ
ング性を発揮する。
【0040】本発明の自動変速機油組成物には、必要に
応じて、摩耗防止剤、無灰型分散剤、金属型清浄剤、酸
化防止剤、防錆剤、金属不活性剤、粘度指数向上剤およ
び消泡剤などを添加してもよい。
【0041】金属型清浄剤の例としてはアルカリ土類金
属スルフォネート、アルカリ土類金属フェネート等が、
無灰型分散剤としてはアルケニルコハク酸イミド、アル
ケニルコハク酸エステル、長鎖脂肪酸とポリアミンのア
ミド(アミノアミド型)等が、摩耗防止剤としてはジアル
キルジチオリン酸亜鉛等が、酸化防止剤としてはアミン
系、フェノール系の酸化防止剤等が、金属不活性剤とし
てはベンゾトリアゾール、チアジアゾール、防錆剤とし
てはアルケニルコハク酸エステルまたはその部分エステ
ル等が、流動点降下剤としてはポリメタクリレート等
が、消泡剤としてはシリコン化合物、エステル系消泡剤
等が、それぞれ挙げられる。
【0042】本発明自動変速機油組成物は、耐ピッチン
グ性が要求される自動変速機油のすべてに好適に使用で
きるが、有段自動変速機に使用したときに、その意義が
十分に発揮される。 とくに自動車用の有段自動変速機
に好適である。
【0043】以下、実施例により本発明を具体的に説明
する。 ただし、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
【0044】
【実施例】
[製造例1] シクロペンタジエン系石油樹脂の製造
(その1) ナフサのスチームクラッキングより得られたCPD留分
であって、ジシクロペンタジエン75.0質量%および
オレフィン5.4質量%を含有し、残余の大部分が飽和
炭化水素からなるもの500g(シクロペンタジエン
5.7モル)と、ナフサのスチームクラッキングより得
られ、スチレン、ビニルトルエン、α,β−メチルスチ
レンおよびインデンの含有量の合計が26.5質量%
(平均分子量118)であって残りの大部分が不活性な
芳香族炭化水素からなるC9 系芳香族留分500g(反
応性成分1.1モル)とを、窒素雰囲気下に圧力18Kg/
cm2(G)、温度260℃において3時間、熱共重合させ
た。 この第一段の熱共重合反応液から、原料中の不活
性留分および未反応原料を、最初は加圧下に、ついで減
圧下に252℃で留去し、第二段の重合を行ないながら
50Torr.の減圧下に同じ温度に1時間保持し、シクロ
ペンタジエン系樹脂409gを得た。 この樹脂の軟化
点は120℃。
【0045】ついでニッケル系触媒を2質量%添加し、
水素圧60Kg/cm2(G)、反応温度250℃において1
2時間水素化処理し、目的とするシクロペンタジエン−
モノビニル芳香族共重合樹脂水素化物を得た。 この樹
脂の軟化点は125℃、重量平均分子量は640。
【0046】[製造例2] シクロペンタジエン系石油
樹脂の製造(その2) 製造例1で用いたCPD留分750g(シクロペンタジ
エン8.5モル)と、デセン−1を96.5質量%含み
残部がα−オレフィン以外の留分から成るC10留分25
0g(α−オレフィンとして1.7モル)とを、製造例1
と同じ条件で2時間熱共重合させた。 熱共重合反応液
から、原料中の不活性留分および未反応原料を、最初は
加圧下に、ついで減圧下に、200℃において留去し、
シクロペンタジエン系樹脂380gを得た。 引き続
き、製造例1と同じ触媒および水素圧力の条件下に22
0℃において4時間水素化し、目的とするシクロペンタ
ジエン−α−オレフィン共重合樹脂水素化物を得た。
この樹脂の軟化点は32℃、重量平均分子量は486。
【0047】[実施例1〜6,比較例1〜5]上記製造
例1および2で得たシクロペンタジエン系石油樹脂を用
いて、表1に示す組成の自動変速機油組成物を製造し
た。 実施例は本発明に従った組成を有するものであ
り、比較例は本発明の範囲外の組成のものである。 表
1において、原料の符号はそれぞれ下記の意味をあらわ
す: A−1:シクロペンタジエン−モノビニル芳香族共重合
樹脂水素化物(製造例1) A−2:シクロペンタジエン−α−オレフィン共重合樹
脂水素化物(製造例2) B−1:ポリジイソブチレン水素化物(重量平均分子
量:350、100℃における粘度:2.71mm2/S) B−2:ポリジイソブチレン水素化物(重量平均分子
量:200、100℃における粘度:2.35mm2/S) C :パラフィン系鉱油(100℃における粘度:
4.02mm2/S、流動点:−17.5℃、イオウ分:
0.15質量%) D−1:トリイソオクチルホスファイト D−2:2−エチルヘキシルアシッドホスフェイト D−3:ジ−2−エチルヘキシルハイドロゼンホスファ
イト E−1:(N系)ブチルデシルアミド E−2:(N系)ブチルデシルアミン E−3:(エステル系)ミリスチン酸メチル E−4:(エステル系)ステアリン酸メチル 表1に示したA〜C成分の配合量ならびにDおよびE成
分の添加量は、基油を100質量%としたものである。
実施例および比較例を通じて、自動変速機油に、酸化
防止剤、無灰型分散剤、金属型清浄剤、摩耗防止剤およ
び金属不活性剤を、合計10質量%添加した。
【0048】 表 1 基 油 添 加 剤 原料 A-1 A-2 B-1 B-2 C D-1 D-2 D-3 E-1 E-2 E-3 E-4 実施例1 5 35 60 0.3 0.05 0.1 実施例2 5 40 55 0.3 0.05 0.1 実施例3 3 40 57 0.3 0.1 0.1 実施例4 5 25 70 0.3 0.1 0.1 実施例5 7 35 58 0.3 0.05 0.1実施例6 3 40 57 0.3 0.2 0.1 比較例1 5 40 55 比較例2 10 30 60 0.1 0.1 比較例3 7 30 0.3 0.05 0.1 2,4-ジシクロヘキシル 63 -2-メチルペンタン 比較例4 5 10 85 0.3 0.05 0.1 比較例5 30 70 0.3 0.05 0.1 上記各組成の自動変速機油を、下記の試験法で評価し
た。
【0049】(耐ピッチング性試験)耐ピッチング性の
評価法として、ユニスチールころがり疲労試験を採用し
た。ユニスチールころがり疲労試験の試験条件および疲
労寿命判定法は、次のとおりとした: <試験条件> 回 転 数 :1500rpm 押しつけ荷重:3340N 油 温 :60℃ 加速度計 :4G 試験球数 :6個 繰り返し数 :6回 テストベアリング:51110 P5(NSK製) テストピース:SUJ−2 <疲労寿命判定法>疲労寿命をワイブル統計処理し、L
10(hr)により評価した。 この試験においては、L10
(hr)が7.0hr以上のものを合格とした。
【0050】(摩擦特性試験)湿式クラッチにおける摩
擦特性は、SAE No.2 試験機および低速滑り試験機
により評価した。
【0051】 <SAE No.2試験> ディスク :国産自動変速機用ペーパー系ディスク(2枚) プレート :国産自動変速機用鋼製プレート(4枚) モーター回転数:ダイナミックサイクル:3000rpm スタティックサイクル:0.7rpm 押しつけ圧 :2.81kg/cm2 油 温 :120℃ サイクル数 :500サイクル 以上の評価条件により、ダイナミックサイクルを500
サイクル運転した後のスタティックサイクルにおける静
摩擦係数を測定した。 静摩擦係数が0.120以上あ
れば、伝達トルク容量が十分であるとした。
【0052】<低速滑り試験> ディスク:国産自動変速機用ペーパー系ディスク(1
枚) プレート:国産自動変速機用鋼製プレート(1枚) 回転数 :1〜150rpm 油 温 :40℃ 面 圧 :10kg/cm2 以上の評価条件における回転数1rpmのときの摩擦係数
をμ1、回転数50rpmのときの摩擦係数をμ50として測
定し、μ1/μ50を算出した。 μ1/μ50が1より小さ
ければ、実際に自動車用自動変速機に使用したときにジ
ャダーを発生しない。
【0053】<BF(ブルックフィールド)粘度試験>
ASTM D 2983に従って、−40℃のBF粘度を
測定した。 −40℃におけるBF粘度が20000を
超えないこと、を合格基準とした。
【0054】A成分およびB成分の重量平均分子量は、
標準物質としてポリスチレンを用い、通常のゲルパーミ
ュエーションクロマトグラフィーを行ない、その結果を
ポリスチレン換算値で表示した値である。 装置として
は東ソー(株)製HLC−802型を用い、以下の分析
条件で測定した: カラム :テトラヒドロフラン(THF) カラム恒温槽温度:40℃ 流 速 :1.2ml/min 資料濃度 :0.005g/1ml THF 検出器 :示差屈折計 結果を、表2に示す。 この表において、* 印を付した
データは、上記の基準を満たしていないものである。
【0055】 表 2 耐ピッチング性 摩擦特性 摩擦特性 BF粘度 L10 SAE No.2 低速滑り試験 −40℃ (hr) 500サイクル μs μ1/μ50 MPa・s 実施例1 9.9 0.129 0.74 19,000 実施例2 9.2 0.128 0.80 18,000 実施例3 8.6 0.122 0.79 13,500 実施例4 9.6 0.128 0.78 16,000 実施例5 9.3 0.124 0.82 19,000 実施例6 8.5 0.121 0.77 13,000 比較例1 8.9 0.164 1.29* 18,000 比較例2 9.3 0.096* 0.69 20,000 比較例3 9.2 0.128 0.85 180,000* 比較例4 6.5* 0.127 0.79 18,000 比較例5 5.4* 0.130 0.74 11,000
【0056】
【発明の効果】本発明の自動変速機油組成物は、トルク
伝達容量が大きく、耐ジャダー性に優れるとともに耐ピ
ッチング性にも優れ、かつ長い疲労寿命を有する。 し
たがって本発明の組成物は、燃費向上に伴う自動変速機
油の低粘度化傾向、エンジンの高出力化に伴う負荷の増
大に応えることができ、耐ピッチング性の要求される自
動変速機油として好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C10M 101:02 137:04 133:16 133:06 129:70) C10N 20:02 20:04 30:00 30:06 40:04

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記のA,BおよびCの成分(A)シク
    ロペンタジエン類とα−オレフィン類もしくはモノビニ
    ル芳香族炭化水素類との熱共重合物、またはこの熱共重
    合物の水素化物であって、軟化点が40℃以上および重
    量平均分子量が250以上の条件の少なくともひとつを
    満たすシクロペンタジエン系石油樹脂:2〜17質量
    %、(B)重量平均分子量が100〜1,000であ
    る、分枝を有するポリα−オレフィン:20〜45質量
    %、および(C)100℃における粘度が2〜50mm2/
    Sである鉱油:38〜78質量%からなる潤滑油組成物
    を基油として使用し、これに、下記のDおよびEの成分
    (D)一般式1〜3のリン酸エステル、酸性リン酸エス
    テル、亜リン酸エステルおよび酸性亜リン酸エステルか
    ら選ばれる少なくとも1種のリン化合物0.01〜5質
    量%、 【化1】 【化2】 【化3】 [上記三つの式において、R1〜R3は水素原子、C1〜
    C30の炭化水素基またはイオウ原子含有炭化水素基をあ
    らわし、XおよびYは1または2である。]および
    (E)N系およびエステル系の化合物から選ばれる少な
    くとも1種の摩擦調整剤:0.01〜3質量%を添加し
    て成る自動変速機油組成物。
  2. 【請求項2】 C成分として、100℃における粘度が
    2〜50mm/S、流動点が−15℃以下、イオウ分
    が0.5質量%以下である鉱油を使用した請求項1の自
    動変速機油組成物。
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