JPH10219091A - ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物

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JPH10219091A
JPH10219091A JP2390397A JP2390397A JPH10219091A JP H10219091 A JPH10219091 A JP H10219091A JP 2390397 A JP2390397 A JP 2390397A JP 2390397 A JP2390397 A JP 2390397A JP H10219091 A JPH10219091 A JP H10219091A
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polycarbonate resin
compound
bis
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carbonate
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JP2390397A
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Mitsuo Miura
光雄 三浦
Osamu Kondo
近藤  治
Takayasu Fujimori
崇泰 藤森
Sadanori Isahaya
禎則 伊佐早
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Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶融安定性に優れ、成形時の滞留中の着色が
外観上問題にならない程小さいポリカーボネート樹脂組
成物を提供すること。 【解決手段】 特定の芳香族ジヒドロキシ化合物、特定
の脂肪族ジヒドロキシ化合物および炭酸ジエステルから
合成されるポリカーボネート樹脂100重量部に対し、
ヒンダードフェノール化合物、リン化合物またはチオエ
ーテル化合物を0.001〜0.5重量部配合してなる
ポリカーボネート樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明性、耐衝撃
性、耐熱性、低い光高弾性定数、高い逆分散値を有する
下記構造式(1)および(2)を有するポリカーボネー
ト樹脂(A)から誘導される溶融安定性に優れた樹脂組
成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネートは、耐衝撃性等の機械
的特性に優れ、しかも、耐熱性、透明性にも優れている
ことから、光学材料として各種レンズ、プリズム、光デ
ィスク基板等に利用されている。
【0003】中でも、本発明者らによって発明された前
記ポリカーボネート樹脂(A)は、優れた耐衝撃性、耐
熱性、色相を有し、その上光弾性定数が低く、屈折率と
分散特性のバランスが良いことから、広く光学材料とし
て用いることが可能である。
【0004】しかし、前記ポリカーボネート樹脂(A)
は、溶融安定性が悪く成形時の滞留中に黄色く着色する
する欠点を有するため、外観が重要視される光学レンズ
等の分野での利用が困難である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記ポリカ
ーボネート樹脂(A)から誘導される、溶融安定性に優
れ成形時の滞留中の着色が外観上問題にならないほど小
さい樹脂組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記した
ような欠点を克服する方法について鋭意研究を重ねた結
果、前記ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対
して酸化防止剤0.001〜0.5重量部を加えたポリ
カーボネート樹脂組成物が溶融安定性に優れ、成形時の
滞留中の着色が外観上問題にならないほど小さいことを
見いだし本発明に到達した。
【0007】すなわち、本発明は、構成単位として下記
式(1)及び式(2)を有するポリカーボネート樹脂
(A)100重量部に対して酸化防止剤0.001〜
0.5重量部を加えてなる溶融安定性に優れたポリカー
ボネート樹脂組成物に関するものである。
【化3】
【化4】
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかわるポリカー
ボネート樹脂ならびに添加剤について具体的に説明す
る。
【0009】本発明に使用されるポリカーボネート樹脂
(A)は、下記式(3)で表される芳香族ジヒドロキシ
化合物と下記式(4)で表される脂肪族ジヒドロキシ化
合物とをカーボネート結合で結んだ共重合体である。
【化5】
【化6】
【0010】ポリカーボネート樹脂(A)は、下記式
(3)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物と下記式
(4)で表される脂肪族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエ
ステルとを、芳香族ジヒドロキシ化合物と脂肪族ジヒド
ロキシ化合物との合計1モルに対して10-9〜10-3
ルの塩基性化合物からなる触媒の存在下、溶融重縮合さ
せることにより得られる。
【0011】芳香族ジヒドロキシ化合物としては、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−
3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2
−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペ
ンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シク
ロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテ
ル、4,4’−ジヒドロキシー3,3’−ジメチルフェ
ニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシフェニルスルフ
ィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジ
フェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニ
ルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−
ジメチルジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロ
キシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフ
ェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−
ジメチルジフェニルスルホン等が用いられる。
【0012】これらのうちで、特に2,2’−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン、すなわちビスフェノ
ールA、あるいは、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)シクロヘキサンが好ましい。
【0013】脂肪族ジヒドロキシ化合物としては、3,
9−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10
−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン、3,9−
ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−
2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウン
デカン、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジエ
チルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ
(5.5)ウンデカン、3,9−ビス(2−ヒドロキシ
−1,1−ジプロピルエチル)−2,4,8,10−テ
トラオキサスピロ(5.5)ウンデカン等が用いられ
る。好ましくは、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,
1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキ
サスピロ(5.5)ウンデカンが用いられる。
【0014】本発明にかかわるポリカーボネート樹脂
は、前記式(3)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物
から誘導される構成単位と、前記式(4)で表される脂
肪族ジヒドロキシ化合物から誘導される構成単位とから
なり、ランダム、ブロック、あるいは交互共重合体等を
含むものであるため、優れた耐熱性、および色相、さら
にバランスのとれた屈折率および分散特性を示し光弾性
定数が低いという特徴を示す。
【0015】本発明においては、このような芳香族ジヒ
ドロキシ化合物と脂肪族ジヒドロキシ化合物からそれぞ
れ誘導される構成単位のモル比(式(1)/式(2))
が、90/10〜10/90であることが好ましく、さ
らに好ましくは80/20〜20/80である。すなわ
ち、該ポリカーボネート中の芳香族ジヒドロキシ化合物
と脂肪族ジヒドロキシ化合物からそれぞれ誘導される構
成単位のモル比が、10/90より低いと耐熱性が劣る
ものとなり、90/10より高いと光弾性定数が高くな
り、更に屈折率と分散値とのバランスが悪くなり光学材
料としてとしては好ましくない。
【0016】炭酸ジエステルとしては、ジフェニルカー
ボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェ
ニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナ
フチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチル
カーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシ
ルカーボネート等が用いられる。これらの中でも特にジ
フェニルカーボネートが好ましい。ジフェニルカーボネ
ートは、芳香族ジヒドロキシ化合物と脂肪族ジヒドロキ
シ化合物の合計1モルに対して0.97〜1.10モル
の量で用いられることが好ましく、特に好ましくは0.
99〜1.01モルの量である。
【0017】本発明に用いられるポリカーボネート樹脂
の重量平均分子量は30,000〜200,000であ
ることが好ましく、更に好ましくは50,000〜12
0,000である。
【0018】本発明にかかわるポリカーボネ−トの製造
方法では、触媒として、塩基性化合物が用いられる。こ
のような塩基性化合物としては、特にアルカリ金属化合
物および/またはアルカリ土類化合物、含窒素化合物等
があげられる。
【0019】このような化合物としては、アルカリ金属
およびアルカリ土類化合物等の有機酸塩、無機塩類、酸
化物、水酸化物、水素化物あるいはアルコキシド、4級
アンモニウムヒドロキシドおよびそれらの塩、アミン類
等が好ましく用いられ、これらの化合物は単独もしくは
組み合わせて用いることができる。
【0020】このようなアルカリ金属化合物としては、
具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸
化セシウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭
酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチ
ウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、
酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸
カリウム、ステアリン酸セシウム、ステアリン酸リチウ
ム、水素化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素ナトリ
ウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香
酸セシウム、安息香酸リチウム、リン酸水素2ナトリウ
ム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、フ
ェニルリン酸2ナトリウム、ビスフェノールAの2ナト
リウム塩、2カリウム塩、2セシウム塩2、リチウム
塩、フェノールのナトリウム塩、カリウム塩、セシウム
塩、リチウム塩等が用いられる。
【0021】また、アルカリ土類金属化合物としては、
具体的には、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、
水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、炭酸水素マグ
ネシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ストロンチウ
ム、炭酸水素バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシ
ウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、酢酸マグネ
シウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バ
リウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カル
シウム、安息香酸カルシウム、フェニルリン酸マグネシ
ウム等が用いられる。
【0022】また、含窒素化合物としては、具体的に
は、テトラメチルアンモニウムヒドロキド、テトラエチ
ルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニ
ウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキ
シド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等
のアルキル、アリール、アルアリール基等を有するアン
モニウムヒドロキシド類、トリエチルアミン、ジメチル
ベンジルアミン、トリフェニルアミン等の3級アミン
類、ジエチルアミン、ジブチルアミン等の2級アミン
類、プロピルアミン、ブチルアミン等の1級アミン類、
2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等
のイミダゾール類、あるいは、アンモニア、テトラメチ
ルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモ
ニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムテ
トラフェニルボレート、テトラフェニルアンモニウムテ
トラフェニルボレート等の塩基性塩等が用いられる。
【0023】これらの触媒は、芳香族ジヒドロキシ化合
物と脂肪族ジヒドロキシ化合物との合計1モルに対し
て、10-9〜10-3モルの量で、好ましくは10-7〜1
-5モルの量で用いられる。
【0024】本発明にかかわるエステル交換反応は、公
知の溶融重縮合法により行うことができる。すなわち、
前記の原料、および触媒を用いて、加熱下に常圧または
減圧下にエステル交換反応により副生物を除去しながら
溶融重縮合を行うものである。反応は、一般には二段以
上の多段行程で実施される。
【0025】具体的には、第一段目の反応を120〜2
60゜C、好ましくは180〜240゜Cの温度で0〜
5時間、好ましくは0.5〜3時間反応させる。次いで
反応系の減圧度を上げながら反応温度を高めて芳香族ジ
ヒドロキシ化合物と脂肪族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジ
エステルとの反応を行い、最終的には1mmHg以下の
減圧下、200〜300゜Cの温度で重縮合反応を行
う。このような反応は、連続式で行っても良くまたバッ
チ式で行ってもよい。上記の反応を行うに際して用いら
れる反応装置は、槽型であっても押出機型であってもよ
い。
【0026】本発明にかかわるポリカーボネートは、重
合反応終了後、熱安定性および加水分解安定性を保持す
るために、触媒を除去もしくは失活させる。一般的に
は、公知の酸性物質の添加によるアルカリ金属あるいは
アルカリ土類金属等のエステル交換触媒の失活を行う方
法が好適に実施される。これらの物質してはとしては、
具体的には、p−トルエンスルホン酸のごとき芳香族ス
ルホン酸、p−トルエンスルホン酸ブチル、p−トルエ
ンスルホン酸ヘキシル等の芳香族スルホン酸エステル
類、ステアリン酸クロライド、塩化ベンゾイル、p−ト
ルエンスルホン酸クロライド等のごとき有機ハロゲン化
物、ジメチル硫酸のごときアルキル硫酸、塩化ベンジル
のごとき有機ハロゲン化物等が好適に用いられる。
【0027】触媒失活後、ポリマー中の低沸点化合物を
0.1〜1mmHgの圧力、200〜300℃の温度で
脱揮除去する工程を設けても良く、このためには、パド
ル翼、格子翼、メガネ翼等、表面更新能の優れた攪拌翼
を備えた横型装置、あるいは薄膜蒸発器が好適に用いら
れる。
【0028】本発明の溶融安定性に優れた樹脂組成物を
構成する酸化防止剤としては、一般的な酸化防止剤で良
く特に限定されないが、具体的には、ヒンダードフェノ
ール系化合物、リン系化合物、チオエーテル系化合物が
好適に用いられる。
【0029】本発明では、ヒンダードフェノール系化合
物として具体的には、1,1,3−トリス(2−メチル
−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、
4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチ
ルフェノール)、n−オクタデシル−3−(3’,5’
−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート、ペンタエリスチル−テトラキス(3−(3,
5−ジt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート)、トリエチレングリコール−ビス(3−(3−
t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート)、1,6−ヘキサンジオール−ビス(3
−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート)、2,2’−メチレンビス(4−
メチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、2,2’−メチ
レンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、
2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキ
シ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリ
レート、2−(1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t
−ペンチルフェニル)エチル)−4,6−ジ−t−ペン
チルフェニルアクリレート、4,4’−チオビス(3−
メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−ト
リメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2−チオ
−ジエチレンビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9−ビス
(2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−
メチルフェニル)−プロピオニルオキシ)−1,1−ジ
メチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ
(5.5)ウンデカン等が用いられる。
【0030】本発明では、リン系化合物として具体的に
は、フェニルジイソデシルホスファイト、ジフェニルイ
ソデシルホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスフ
ァイト、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェ
ニルホスファイト、トリシクロヘキシルホスファイト、
トリクレジルホスファイト、トリス−(2,4−ジ−t
−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェ
ニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフ
ェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス
(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペン
タエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビ
ス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスフ
ァイト、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−
t−ブチルフェニルジ−トリデシルホスファイト)、
4,4’−イソプロピリデンジフェノールアルキル(C
12〜15)ホスファイト等が用いられる。
【0031】本発明では、チオエーテル系化合物として
具体的には、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステ
アリルチオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’
−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラ
キス(β−ラウリルチオプロピオネート)等が用いられ
る。
【0032】本発明における酸化防止剤の添加量は、前
記ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して
0.001〜0.5重量部である。0.001重量部未
満では、成形時の滞留中の着色を抑制する効果が見られ
ず、0.5重量部より多い場合には、樹脂の着色や分子
量低下等の問題を引き起こす。
【0033】また、上記酸化防止剤は単独で用いても良
いし、2種類以上を併用しても構わない。特に、ヒンダ
ードフェノール系化合物とリン系化合物との併用は、溶
融安定性の向上に著しい効果を示す。ヒンダードフェノ
ール系化合物とリン系化合物を併用する場合のヒンダー
ドフェノール系化合物とリン系化合物の配合重量比は1
/10〜10/1であり、特に好ましくは1/5〜5/
1である。ヒンダードフェノール系化合物とリン系化合
物の合計の添加量は前記ポリカーボネート樹脂(A)1
00重量部に対して0.001〜0.5重量部である。
【0034】酸化防止剤の添加時期は、溶融重縮合で得
られるポリーカーボネート樹脂(A)が反応直後の溶融
状態にあるうちに添加しても良いし、ポリカーボネート
樹脂(A)をペレット化した後にあらためて添加しても
良い。また、触媒失活剤と同時に添加しても良いし、別
個に添加しても良い。反応直後の溶融状態の樹脂に添加
する場合には、反応釜から抜き出した樹脂に添加して横
型の混練機に送り込み、均一に混練した後そのままペレ
ット化する方法、あるいは、反応釜から抜き出した樹脂
を横型の混練機に送り込み、混練機途中からサイドフィ
ードにより添加し均一に混練した後そのままペレット化
する方法が好適に用いられる。
【0035】酸化防止剤の添加方法は、あらかじめ作成
したマスターバッチを添加する方法でも良いし、有機溶
媒もしくは水に溶解させて添加する方法でも良いし、マ
スターバッチや溶媒を用いずそのまま添加する方法でも
良い。
【0036】
【発明の効果】本発明によるポリカーボネート樹脂組成
物は、成型時の滞留中に発生する酸素起因あるいは熱分
解起因のラジカルが酸化防止剤により捕捉されるため
に、成型時の着色が外観上問題にならないほど小さく、
外観が重要視される光学レンズ等の分野でも幅広く利用
することが可能である。
【0037】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明は、以下の実施例に何らの制限を受けるも
のではない。尚、得られたポリカーボネート樹脂組成物
の評価は、以下の方法により行った。
【0038】(1)分子量:GPC(Shodex G
PC system11)を用い、スチレン換算分子量
(重量平均分子量:Mw)として測定した。展開溶媒に
はクロロホルムを用いた。 (2)色相:得られたペレット4gをメチレンクロライ
ド25mlに溶解し、色差計(東京電色 TC−180
0MK2)によりYI(黄色度)値を測定した。 (3)加熱溶融試験:得られたペレット7gを試験管に
取り、窒素を20ml/分で試験管内部にフロ−しなが
ら275゜Cで1時間加熱溶融した。
【0039】実施例1 2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン14
84g(6.5モル)、3、9−ビス(2−ヒドロキシ
−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テト
ラオキサスピロ(5.5)ウンデカン1978g(6.
5モル)、ジフェニルカーボネート2849g(13.
3モル)、および炭酸水素ナトリウム3.27*10-3
g(3.9*10-5モル)より合成した溶融状態のポリ
カーボネート樹脂に、p−トルエンスルホン酸n−ブチ
ル0.08g、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニ
ル)ホスファイト0.66gを2軸押し出し機(バレル
温度240゜C)で混練してペレットとした。得られた
ペレットは、Mw=74,300でペレット収量は、
3,320gであった。このペレットのYI値=0.4
5で、加熱溶融試験後の樹脂のYI値=1.55、Mw
=71,000であった。
【0040】実施例2 実施例1においてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェ
ニル)ホスファイト0.66gの替わりにn−オクタデ
シル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒド
ロキシフェニル)プロピオネートを0.66g配合する
以外は、実施例1と同様に行った。得られたペレット
は、Mw=74,000で、ペレット収量は3,350
gであった。このペレットのYI値=0.45で、加熱
溶融試験後の樹脂のYI値=0.64、Mw=72,4
00であった。
【0041】実施例3 実施例1においてp−トルエンスルホン酸n−ブチル
0.08g、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニ
ル)ホスファイト0.66gに、更にn−オクタデシル
−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキ
シフェニル)プロピオネートを0.66g配合する以外
は、実施例1と同様に行った。得られたペレットは、M
w=74,500で、ペレット収量は3,340gであ
った。このペレットのYI値=0.45で、加熱溶融試
験後の樹脂のYI値=0.52、Mw=71,100で
あった。
【0042】比較例1 実施例1においてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェ
ニル)ホスファイト0.66gの替わりにn−オクタデ
シル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート0.02g配合する以
外は実施例1と同様に行った。得られたペレットは、M
w=74,400で、ペレット収量は3,320gであ
った。このペレットのYI値=0.45で、加熱溶融試
験後の樹脂のYI値=1.52、Mw=70,600で
あった。
【0043】比較例2 実施例1においてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェ
ニル)ホスファイトを0.66gの替わりに20g配合
する以外は実施例1と同様に行った。得られたペレット
は、Mw=73,000で、ペレット収量は3,360
gであった。このペレットのYI値=0.51で、加熱
溶融試験後の樹脂のYI値=2.68、Mw=62,9
00であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊佐早 禎則 茨城県つくば市和台22番地 三菱瓦斯化学 株式会社総合研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構成単位として下記式(1)及び式
    (2)を有するポリカーボネート樹脂(A)100重量
    部に対してヒンダードフェノール化合物、リン化合物ま
    たはチオエーテル化合物を0.001〜0.5重量部配
    合してなるポリカーボネート樹脂組成物。 【化1】 【化2】
  2. 【請求項2】 上記ポリカーボネート樹脂(A)100
    重量部に対してヒンダードフェノール化合物とリン化合
    物の合計を0.001〜0.5重量部配合してなるポリ
    カーボネート樹脂組成物。
JP2390397A 1996-10-18 1997-02-06 ポリカーボネート樹脂組成物 Pending JPH10219091A (ja)

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