JPH10219059A - 食品包装用塩化ビニル系樹脂フィルム - Google Patents

食品包装用塩化ビニル系樹脂フィルム

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JPH10219059A
JPH10219059A JP2501697A JP2501697A JPH10219059A JP H10219059 A JPH10219059 A JP H10219059A JP 2501697 A JP2501697 A JP 2501697A JP 2501697 A JP2501697 A JP 2501697A JP H10219059 A JPH10219059 A JP H10219059A
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秀樹 鈴木
Michimasa Ote
道正 大手
Michiko Magai
美智子 真貝
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 抗菌性能に優れ、光による変色がなく、押出
成形性に優れた食品包装用塩化ビニル系樹脂フィルムを
提供すること。 【解決手段】 塩化ビニル系樹脂100重量部、可塑剤
20〜60重量部、カルシウム−亜鉛系安定剤0.1〜
2.5重量部とからなる混合物100重量部に対し、 一般式[M1 2+1-x [M2 2+ ]O……(1) (式中、M1 はMgおよび/またはCaを、M2 はZn
を示し、xは0.001≦x≦0.5の範囲の数を示
す。)で示される無機化合物を0.01〜1重量部添加
してなり、厚さが5〜100μmに成形されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗菌性能を有する
食品包装用塩化ビニル系樹脂フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】食品包装用塩化ビニル系樹脂フィルム
は、スーパーマーケット市場における精肉、鮮魚、青果
などの食品包装材料に用いられる、いわゆるラップフィ
ルムとして多量に使用されている。また、飲食店や一般
家庭においても調理材料や食品の保存などに使用されて
いる。昨今、消費者の衛生意識の高まりや食中毒の発生
防止対策において、このラップフィルムに抗菌性能を付
与したものが使用されるようになってきた。これはフィ
ルムを構成する塩化ビニル系樹脂組成物に抗菌剤を添加
したものが一般的である。さらにこの抗菌剤は抗菌成分
として無機系の抗菌剤が用いられ、その構成は無機物質
を担体とした抗菌成分が銀イオンである抗菌剤が広く使
用されている。このような例として、特許第25203
61号公報、実開平1−175814号公報が開示され
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
抗菌金属成分として銀を使用したものは、フィルムが光
により著しく変色して、品質低下をもたらすという欠点
があった。さらにこれら抗菌剤は抗菌力を発揮するた
め、フィルムの表面から露出し、抗菌成分である銀イオ
ンが酸化されてしまい、変色を抑えることができなかっ
た。また銀を使用しているため、この価格が高いという
問題があった。さらにこうした抗菌剤を添加して溶融押
出法によってフィルムを成形する場合、抗菌剤が押出機
内に付着し易いため、成形時の滑性を低下させ、その結
果、成形加工時に、特に塩化ビニル樹脂では加熱分解物
が発生し易くなり、この分解物が異物となってフィルム
に混入し、品質低下を引き起こすという不都合や安定し
た成形性が得られないという問題があった。そのため、
こうした銀系の抗菌剤を使用したフィルムの問題点を解
決することが要求されていた。
【0004】したがって、本発明はこのような従来技術
の問題点を解決し、抗菌性能に優れ、光による変色がな
く、押出成形性の優れた塩化ビニル系樹脂組成物からな
る食品包装用塩化ビニル系樹脂フィルムを提供すること
を課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、塩化ビニル系
樹脂100重量部、可塑剤20〜60重量部、カルシウ
ム−亜鉛系安定剤0.1〜2.5重量部からなる混合物
100重量部に対し、下記一般式(I)で示される無機
化合物を0.01〜1重量部添加してなる塩化ビニル系
樹脂組成物を、厚さ5〜100μmに成形してなる食品
包装用塩化ビニル系樹脂フィルムである。 [M1 2+]1-x[M2 2+]x O……(I) (式中、M1 はMgおよび/またはCaを、M2 はZn
を示し、xは0.001≦x≦0.5の範囲の数を示
す。)
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明に用いられる塩化ビニル系樹脂としては、
重合度700〜1700、特には重合度1000〜13
00の塩化ビニル単独重合体が好ましい。この塩化ビニ
ル単独重合体の他に、これと共重合可能なビニル系単量
体との共重合体、塩化ビニル系重合体以外の重合体に塩
化ビニルをグラフト重合させたグラフト共重合体などが
挙げられ、これらの共重合体は共重合体中の塩化ビニル
以外の構成単位の含有量が多くなると、機械的特性が低
下するので、塩化ビニルを60重量%以上含有するのが
好ましい。
【0007】上記の塩化ビニルと共重合可能なビニル系
単量体としては、分子中に反応性二重結合を有するもの
であればよく、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレ
ンなどのα−オレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸
ビニルなどのビニルエステル類、ブチルビニルエーテ
ル、セチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類、ア
クリル酸またはメタアクリル酸のエステル類、メタクリ
ル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタク
リル酸フェニルなどのアクリル酸またはメタクリル酸の
エステル類、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香
族ビニル類、塩化ビニリデン、フッ化ビニルなどのハロ
ゲン化ビニル類、N−フェニルマレイミド、N−シクロ
ヘキシルマレイミドなどのN−置換マレイミド類などが
挙げられ、これらは1種単独または2種以上の組み合わ
せで用いられる。
【0008】上記の塩化ビニル系重合体以外の重合体と
しては、塩化ビニルをグラフトできるものであればよ
く、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン
・酢酸ビニル・一酸化炭素共重合体、エチレン・エチル
アクリレート共重合体、エチレン・エチルアクリレート
・一酸化炭素共重合体、エチレン・メチルメタクリレー
ト共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、アクリロ
ニトリル・ブタジエン共重合体、ポリウレタン、塩素化
ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなどが挙げられ、
これらは1種単独または2種以上の組み合わせで用いら
れる。これらの塩化ビニル系樹脂は1種単独または2種
以上の組み合わせで使用される。また、上記の塩化ビニ
ル系樹脂は、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊
状重合法などのいずれの重合方法で得られたものでもよ
い。
【0009】本発明に用いられる第二成分としての可塑
剤は、イ)炭素数が8以上のアルキル基を有するアジピ
ン酸エステル系可塑剤、ロ)炭素数が10以下のアルキ
ル基を有する脂肪族アルコール2種以上とアジピン酸と
の反応で得られる混合アジピン酸エステル系可塑剤、お
よびハ)エポキシ化植物油系可塑剤の3種類の中から少
なくとも2種以上を適宜選択して使用されるが、中でも
その組み合わせはイ)とロ)とハ)、イ)とハ)、ロ)
とハ)のものが好ましい。イ)の可塑剤の具体例として
は、ジオクチルアジペート(DOA:炭素数8のアルキ
ル基を有するアルコール(n−オクチルおよび/または
2−エチルヘキシルアルコール)のエステル)、ジイソ
ノニルアジペート(DINA:同9のもの)、ジイソデ
シルアジペート(DIDA:同10のもの)などが挙げ
られ、これらの中ではジイソノニルアジペートが好まし
い。
【0010】ロ)の可塑剤は、n−ヘキシルアルコール
(C6 )、n−ヘプチルアルコール(C7 )、n−オク
チルアルコール(C8 )、n−ノニルアルコール(C
9 )、n−デシルアルコール(C10)の中から2種以上
の脂肪族アルコールとアジピン酸との反応で得られるも
ので、その具体例としては、C6,8 アジペート、C8,10
アジペート、C7,9 アジペート、C6,8,10アジペートな
どが挙げられ、これらの中ではC6,8,10アジペートが好
ましい。
【0011】ハ)の可塑剤の具体例としては、エポキシ
化大豆油、エポキシ化ヒマシ油、エポキシ化アマニ油、
エポキシ化サフラワー油などが挙げられ、これらの中で
はエポキシ化大豆油が好ましい。これらイ)、ロ)、
ハ)の可塑剤は、上記した組み合わせで使用することが
好ましく、その使用量は塩化ビニル系樹脂100重量部
に対し、総量で20〜60重量部の範囲内、好ましくは
25〜50重量部である。この可塑剤の割合が20重量
部未満では、加工性およびフィルム物性が劣り不適とな
り、60重量部を超えると抗菌性能が低下するので好ま
しくない。また、ハ)の可塑剤の使用量は、上記範囲内
において10〜30重量%の割合で使用するのが好まし
く、イ)およびロ)の可塑剤の使用量は、上記ハ)の可
塑剤の使用量に対して適宜選択して使用すればよい。
【0012】第三成分としてのカルシウム−亜鉛系安定
剤は、カルシウム脂肪酸塩および亜鉛脂肪酸塩を主成分
としており、この脂肪酸塩として具体的にはラウリン酸
塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸
塩、オレイン酸塩、リシノール酸塩、2−エチルヘキシ
ル酸塩、イソデカン酸塩、ネオデカン酸塩などが挙げら
れ、カルシウム塩ではこれらの塩の他にカルシウム安息
香酸塩が挙げられる。本発明においては、上記カルシウ
ム脂肪酸塩と亜鉛脂肪酸塩とから各々少なくとも2種以
上を選択、組み合わせて用いる。また、カルシウム脂肪
酸塩と亜鉛脂肪酸塩の比率は、カルシウム脂肪酸塩40
%〜70%、亜鉛脂肪酸塩60%〜30%の重量比率で
構成することが好ましく、本発明における無機化合物の
添加量に比例して亜鉛脂肪酸塩の構成比率を高めること
で、着色の防止とともに成形加工時の滑性付与の点で効
果的である。なお、亜鉛脂肪酸塩の構成比率が30重量
%を下回ると着色し易くなるとともに成形時の滑性が不
足する。一方、その構成比率が60重量%を超えると上
記無機化合物の亜鉛成分とのバランスが崩れ、安定した
抗菌性能が得られ難くなる可能性がある。
【0013】また、この安定剤の他の成分としては、ト
リスノニルフェニルホスファイトなどの有機ホスファイ
ト類、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−te
rt−ブチルフェノール)などのフェノール類、トリデ
シルアルコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピ
レングリコールなどのアルコール類、合成パラフィン、
合成イソパラフィン、石油炭化水素などの溶媒類、ステ
アロイル・ベンゾイルメタン、パルミトイル・ベンゾイ
ルメタン、デヒドロ酢酸などのβ−ジケトン化合物など
が挙げられる。
【0014】このような第三成分としての安定剤の添加
量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して0.1〜
2.5重量部の範囲内で添加され、好ましくは0.5〜
2.0重量部であり、更に好ましくは0.8〜1.5重
量部である。この添加量が0.1重量部未満ではフィル
ムの成形加工時において熱安定性が不十分となり成形で
きない。一方この添加量が2.5重量部を超えるとフィ
ルムの透明性が低下するとともに、抗菌性能が不安定に
なる虞れがあるので好ましくない。
【0015】次に、本発明に用いられる下記式(I)の
無機化合物は、本発明においてフィルムに抗菌性能を付
与するためのものであり、 [M1 2+]1-x[M2 2+]x O……(I) (式中、M1 はMgおよび/またはCaを、M2 はZn
を示し、xは0.001≦x≦0.5の範囲の数を示
す。)具体的には、Ca(1-x) Znx Oおよび/または
Mg(1-x) Znx O(xは0.001≦x≦0.5の範
囲の数を示す。)で示されるもので、酸化カルシウムま
たは酸化マグネシウムに亜鉛が固溶したものであるため
亜鉛が極めて活性であり、この無機化合物から亜鉛イオ
ンが放出され、抗菌性能を発揮する化合物である。上記
したように式中のxは0.001≦x≦0.5の範囲の
数であり、好ましくは0.01≦x≦0.3、さらに好
ましくは0.05≦x≦0.3の範囲である。このxの
値が0.001より小さいと抗菌作用の有効成分となる
亜鉛の濃度が低くなり過ぎるとともに、フィルムを成形
する際に、この亜鉛イオンが塩化ビニル樹脂の熱分解に
よって発生する塩化水素と反応することによる亜鉛濃度
の低下と相まって抗菌性能が発揮できなくなる。またx
の値が0.5を超えると上記無機化合物中に酸化亜鉛が
混在するようになり、フィルムの透明性を低下させてし
まう。また、この無機化合物の中では、抗菌力およびフ
ィルムの押出成形性、着色防止などの点からMg(1-x)
Znx Oで示されるものが好適に使用され、このxの値
は上記した範囲において0.03〜0.15のものが好
適である。さらに、この無機化合物は、その粒径が0.
5〜1.5μm程度のものが、フィルムの透明性および
分散性の点から好ましい。
【0016】本発明における無機化合物(I)は、1)
塩化ビニル系樹脂100重量部、2)可塑剤20〜60
重量部、3)カルシウム−亜鉛系安定剤0.01〜2.
5重量部を混合して得られた混合物100重量部に対し
て特定量混合することが好ましく、本発明における上記
1)〜3)からなる上記混合物は、ヘンシェルミキサ
ー、リボンブレンダー、ナウターミキサーなどの混合装
置を使用して、混合時の発熱などによって、通常90〜
140℃の温度で塩化ビニル系樹脂に可塑剤などを吸収
させる従来公知のドライブレンド法などによって得るこ
とができる。さらに、この無機化合物(I)は押出成形
において、このものによる物理的な滑性効果をもたらす
作用、すなわち押出成形において押出機のスクリュー表
面やバレル面への滑性を高める効果がある。したがっ
て、従来の問題点であった成形加工時、特に塩化ビニル
系樹脂の加熱分解物の発生を防止し、この分解物が異物
となってフィルムに混入し、品質低下を引き起こすとい
う不都合を発生させないばかりでなく、安定した成形性
が得られるという優れた効果がある。しかし、一方で上
記混合物100重量部に対する無機化合物(I)の添加
量が1.0重量部を超えると滑性効果が過度となり押出
成形時に樹脂の混練が不安定かつ不十分となるととも
に、溶融粘度が急激に低下し溶融張力も不十分となり、
押出成形不可能となるので好ましくない。したがって、
本発明における塩化ビニル系樹脂組成物に含有される無
機化合物(I)の含有量は、上記混合物100重量部に
対し、0.01〜1.0重量部の範囲であり、好ましく
は0.05〜0.7重量部、さらに好ましくは0.1〜
0.5重量部である。この含有量が0.01重量部未満
であると得られたフィルムの抗菌性能が発揮できない。
【0017】本発明における上記1)〜3)からなる混
合物は、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、ナウ
タミキサーなどの混合装置を使用して、混合時の発熱な
どによって通常90〜140℃の温度で塩化ビニル樹脂
に可塑剤などを吸収させる従来公知のドライブレンド法
などによって得ることができる。本発明において上記無
機化合物は、例えばドライブレンド法によって作られた
混合物に対して添加され、均一に混合・分散することが
好ましい。これは以下の不都合を防止するために効果的
である。まずドライブレンド時に前記無機化合物を混合
させると、上記した押出成形時の不都合が助長される。
これは無機化合物中にも可塑剤、安定剤などが吸収ある
いはその表面を覆うために滑性効果が大きくなりすぎ
て、安定した混練特性が得られなくなってしまうためで
ある。さらに成形されたフィルムが着色し易く、その着
色も強いものとなる。これは上記したように無機化合物
に吸収あるいは表面を覆った可塑剤などの影響により、
成分である酸化マグネシウムや酸化カルシウムからマグ
ネシウムイオンやカルシウムイオンが遊離し易くなり、
これらイオンが押出成形時に塩化ビニル樹脂の熱分解に
よって発生した塩化水素中の塩素を捕捉するため、その
化合物の色として現れるものである。なお、この混合方
法はドライブレンドされた混合物を冷却する際に、ミキ
サー内で均一に分散、混合することができる。
【0018】こうして得られた塩化ビニル系樹脂組成物
は、上記したように溶融押出法によってフィルムに製膜
されるが、これはTダイ法あるいはインフレーション法
など従来公知の方法で行なえばよい。本発明のフィルム
の厚さは、5〜100μmの範囲であることが重要であ
り、この厚さが5μm未満では使用時にフィルムが伸長
され、無機化合物が存在する部分で穴や破れが発生し易
くなり、また食品包装後に電子レンジなどで加熱する際
の耐熱性の低下をもたらし実用上の不都合が生じる。一
方、厚さが100μmを超えると、フィルム表面に露出
した無機化合物数が減少してしまい、十分な抗菌性能が
発揮できなくなるとともに、フィルムの機械的性質が包
装に適さないものとなってしまう。したがって、フィル
ム厚さは、抗菌性能および包装適性の点から、好ましく
は5〜50μm、更に好ましくは5〜30μmの範囲で
ある。
【0019】本発明に用いられる塩化ビニル系樹脂組成
物において、この他に使用される添加剤としては、分子
量1000〜3000のポリエステル系可塑剤、ステア
リン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリ
ン酸などの高級脂肪酸、ポリエチレン、合成パラフィ
ン、ペンタエリスリトールのアジピン酸・高級脂肪酸の
混合エステルなどの滑剤、グリセリン脂肪酸エステル、
ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エス
テル、ポリオキシエチレン樹脂アルコールエーテル、ポ
リオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどの非イ
オン系界面活性剤、ハイドロタルサイト化合物が使用で
きる。なお、これらの添加剤は本発明における混合物の
作成時に添加することが好ましい。
【0020】
【実施例】以下、実施例によって本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例によって制限される
ものではない。まず、ポリ塩化ビニル(重合度130
0)100重量部に対し、第二成分として、イ)ジイソ
ノニルアジペート(DINA),ロ)C6,8,10アジペー
ト(C6,8,10A),ハ)エポキシ化大豆油(ESO)、
第三成分として、Ca−Zn系安定剤、およびその他の
添加剤を添加した表1に示す配合を基本とし、その所定
量を20リットルのヘンシェルミキサー中に投入し、撹
拌・混合し、混合温度が115℃〜120℃まで上昇し
た時点で混合・撹拌を完了し、混合物を得た。
【0021】
【表1】
【0022】次に、この混合物を直ちに冷却装置を備え
た20リットルのクーリングミキサーに移し、下記の無
機化合物(抗菌剤)〜のいずれかを添加し、混合・
撹拌により冷却し、樹脂温度が70℃〜80℃に下がっ
た時点で撹拌を完了し、樹脂組成物を得た。
【0023】無機化合物……Mg0.9 Zn0.1 O 無機化合物……Mg0.95Zn0.05O 無機化合物……Mg0.6 Zn0.4 O このように得られた樹脂組成物を表2〜表9に示す配合
割合で、以下の試験を行ない、その結果を表2〜表9に
示した。
【0024】[試験内容] 1.ゲル化試験 装置:ラボプラストミル(東洋精機製作所社製、商品
名) 160℃で混練し最大トルク発生時間をゲル化時間とし
た。2.溶融粘度 装置:フローテスター CFT−500(島津製作所社
製、商品名) 200℃における溶融粘度を測定した。 3.プレートアウト試験 ロール温度150℃の6インチ二本ロールを用いて、樹
脂組成物を5分間混練し、ロール表面の汚れおよび剥離
状態を1〜5の範囲の数値で評価した。数値の小さいも
のほど効果的である。 4.着色試験 ロール温度150℃の6インチ二本ロールを用いて、樹
脂組成物を2分間混練後、190℃でプレスして厚さ5
0μmのシートを作製した。得られたシートの色調を色
差計により測定した。 装置:スガ試験機 5.抗菌性能試験(1) 着色試験と同様に作製した試験片を用いて、大腸菌に対
する抗菌性能試験を行った。試験は「フィルム密着法」
により行い、その結果を無機物を添加していないものと
比較した菌数の減少率(%)で示した。
【0025】
【表2】
【0026】
【表3】
【0027】
【表4】
【0028】
【表5】
【0029】
【表6】
【0030】
【表7】
【0031】
【表8】
【0032】
【表9】
【0033】6.抗菌性能試験(2) 代表的な実施例として、上記実施例2,3,6,19,
26と同様配合の樹脂組成物について、インフレーショ
ン法による厚さ8μmのフィルムとTダイ法による厚さ
13μmのフィルムを製膜し、大腸菌、黄色ブドウ状球
菌、サルモネラ菌および腸炎ビブリオ菌に対する抗菌性
能試験を行った。試験方法は、下記に示す「フィルム密
着法」により行ない、その結果を表10〜表13に示し
た。なお、この表中、「<10」は菌が検出されなかっ
たことを示す。
【0034】(試験方法) 1)試験菌 Escherichia coli IFO 3972 (大腸菌) Staphylococcus aureus IFO 12732 (黄色ブドウ状球
菌) Salmonella enteritidis IFO 3313 (サルモネラ) Vibrio parahaemolyticus RIMD 2210100(腸炎ビブリ
オ) 2)培地 NA培地:普通寒天培地[栄研化学社製] NB培地:肉エキスを0.2%添加した普通ブイヨン培
地[栄研化学社製] 1/500NB培地:NB培地を精製水で500倍に希
釈し、pHを7.0±0.2に調製したもの 1/200NB培地:NB培地を精製水で200倍に希
釈し、pHを7.0±0.2に調製したもの SCDLP培地:SCDLP培地[栄研化学社製] SA培地:標準寒天培地[栄研化学社製] なお、腸炎ビブリオに用いる培地は、すべて食塩を3%
添加した。 3)菌液の調製 NA培地で37±1℃、16〜24時間培養した試験菌
をNA培地に再度接種して、37±1℃、16〜20時
間培養した。培養後の菌体を大腸菌、黄色ブドウ状球菌
およびサルモネラは1/500NB培地、腸炎ビブリオ
は1/200NB培地にそれぞれ均一に分散させ、1m
l当たりの菌数が105 〜106 となるように調製し
た。 4)試料の調製 検体を約5cm×5cmの大きさに切り取り、試料とし
た。 5)試験操作 各検体3個の試料に菌液0.5mlをそれぞれ滴下し、
その上にポリエチレンフィルムをかぶせ、密着させた。
これらを35±1℃、相対湿度90%以上の条件下で保
存した。また、プラスチックシャーレを対照試料とし、
同様に試験した。 6)生菌数の測定
【0035】
【数1】
【0036】
【表10】
【0037】
【表11】
【0038】
【表12】
【0039】
【表13】
【0040】
【発明の効果】上記の結果から明らかなように、本発明
の食品包装用塩化ビニル系樹脂フィルムによれば、従来
使用されていた銀系の抗菌剤を用いずに、抗菌性を向上
させることができ、しかも光りによる変色がなく、押出
成形性の優れた極めて良好なフィルムを提供することが
できる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化ビニル系樹脂 100重量部、可塑
    剤 20〜60重量部、カルシウム−亜鉛系安定剤
    0.1〜2.5重量部、からなる混合物100重量部に
    対し、下記一般式(I)で示される無機化合物を0.0
    1〜1重量部添加してなる塩化ビニル系樹脂組成物を、
    厚さ5〜100μmに成形してなることを特徴とする食
    品包装用塩化ビニル系樹脂フィルム。 [M1 2+]1-x[M2 2+]x O……(I) (式中、M1 はMgおよび/またはCaを、M2 はZn
    を示し、xは0.001≦x≦0.5の範囲の数を示
    す。)
JP2501697A 1997-02-07 1997-02-07 食品包装用塩化ビニル系樹脂フィルム Expired - Lifetime JP3574723B2 (ja)

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WO2013084707A1 (ja) * 2011-12-09 2013-06-13 三菱樹脂株式会社 樹脂組成物、包装用フィルム及びその製造方法
CN103289242A (zh) * 2013-06-21 2013-09-11 苏州新区佳合塑胶有限公司 抗菌pvc食品保鲜膜
JP2016169348A (ja) * 2015-03-16 2016-09-23 三菱樹脂株式会社 塩化ビニル系食品包装用フィルム

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