JPH10219006A - フィルム - Google Patents

フィルム

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JPH10219006A
JPH10219006A JP1916997A JP1916997A JPH10219006A JP H10219006 A JPH10219006 A JP H10219006A JP 1916997 A JP1916997 A JP 1916997A JP 1916997 A JP1916997 A JP 1916997A JP H10219006 A JPH10219006 A JP H10219006A
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resin
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俊彦 樋口
Hirotsugu Yamamoto
博嗣 山本
Hiroshi Shimoda
博司 下田
Takeshi Moriwaki
健 森脇
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Abstract

(57)【要約】 【課題】赤外線吸収性、自己修復性および耐擦傷性を有
するフィルムの提供。 【解決手段】(1)赤外線吸収剤を含有する、自己修復
性および耐擦傷性を有するポリウレタン樹脂のフィル
ム。(2)自己修復性および耐擦傷性を有するポリウレ
タン樹脂の層と合成樹脂の層とを含み、少なくとも片面
が該ポリウレタン樹脂の表面層であり、かつ該ポリウレ
タン樹脂および/または該合成樹脂が赤外線吸収剤を含
有する積層体からなるフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた赤外線吸収
能を有するフィルムであって、優れた赤外線吸収能を保
持しつつ耐磨耗性、耐擦傷性に優れた赤外線吸収能を有
するフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、熱線としての赤外線を遮断し保
温、断熱の性能を付与したり、電子機器のノイズ防止フ
ィルタとして使用するために、ガラス、ポリカーボネー
ト樹脂、アクリル樹脂等の透明基材に赤外線吸収能を付
与する要求が強い。
【0003】従来、透明基材に赤外線吸収能を付与する
方法としては、(1)透明基材自体に赤外線吸収剤を混
入配合する方法、(2)スパッタ等の気層製膜法で赤外
線吸収性薄膜を透明基材表面に直接形成する方法、が提
案されている。(1)の方法では、赤外線吸収剤混入時
に高い加工温度を必要とするため使用しうる赤外線吸収
剤が著しく限定される問題がある。(2)の方法では、
多額の設備投資が必要となり多品種生産には適合せず、
薄膜の種類によっては耐湿性、耐薬品性、耐久性等が充
分ではない問題がある。
【0004】このような問題を改良するために赤外線吸
収剤を溶解した樹脂層を透明基材にコーティングしたり
積層する方法が種々提案された(例えば特開平4−16
0037、特開平5−42622)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、大量の赤外線
吸収剤の添加に伴い樹脂層の可塑化が起こり、耐擦傷性
が不充分になるという問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、耐
擦傷性を向上させる方法を鋭意検討した結果、赤外線吸
収剤を含有する樹脂として自己修復性、耐擦傷性を有す
るポリウレタン樹脂を使用するか、または赤外線吸収剤
を含有した合成樹脂と自己修復性、耐擦傷性を有するポ
リウレタン樹脂を積層することにより上述の問題を解決
しうることを見いだし、本発明を完成するに到った。本
発明は下記発明である。
【0007】赤外線吸収剤を含有する、自己修復性およ
び耐擦傷性を有するポリウレタン樹脂(A)のフィル
ム。
【0008】自己修復性および耐擦傷性を有するポリウ
レタン樹脂(A)の層とポリウレタン樹脂(A)以外の
合成樹脂(B)の層とを含み、少なくとも片面がポリウ
レタン樹脂(A)の表面層であり、かつポリウレタン樹
脂(A)および合成樹脂(B)の少なくとも一方が赤外
線吸収剤を含有する積層体からなるフィルム。
【0009】
【発明の実施の形態】
[ポリウレタン樹脂(A)]本発明におけるポリウレタ
ン樹脂(A)は自己修復性および耐擦傷性を有する。ポ
リウレタン樹脂(A)は透明であることが好ましい。こ
のようなポリウレタン樹脂は公知である(例えば特開昭
60−222249、特開昭61−281118参
照)。
【0010】透明で自己修復性および耐擦傷性を有する
ポリウレタン樹脂(A)は、熱可塑性ポリウレタン樹
脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂いずれでも得られる。
【0011】熱硬化性ポリウレタン樹脂は多官能性活性
水素化合物(ポリオール類)とポリイソシアネートから
なる反応性主原料のうち、少なくとも一方の原料の少な
くともその一部として3官能性以上の化合物を使用する
ことによって得られるポリウレタン樹脂である。これに
対して熱可塑性ポリウレタン樹脂はすべて2官能性の原
料を用いて得られるポリウレタン樹脂である。
【0012】本発明におけるポリウレタン樹脂(A)
は、耐薬品性、耐汚染性、耐久性の観点から熱硬化性ポ
リウレタン樹脂であることが特に好ましい。以下に熱硬
化性ポリウレタン樹脂について説明する。
【0013】多官能性活性水素化合物としてはポリオー
ル類が好ましく、ポリエーテル系ポリオール、ポリエス
テル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール等が
使用できる。耐久性、価格、強度と耐擦傷性、自己修復
性のバランスからポリエステル系のポリオールが好まし
い。環状エステル、特にカプロラクトン、を開環して得
られるポリエステル系ポリオールが特に好ましい。
【0014】ポリオールの官能基数は、平均値として1
より大きいことを要するが、強度、伸度、自己修復性、
耐擦傷性のバランスの観点から、2〜3であることが好
ましい。
【0015】ポリオールはトリオールのみ(2種以上の
トリオール混合物であってもよい)またはトリオールと
ジオールの混合物が好ましい。各々のポリオールの水酸
基価は特に限定されないが、全ポリオールの平均水酸基
価は100〜600が好ましく、200〜500がより
好ましい。このポリオールは短鎖ポリオールである鎖延
長剤を含んでもよく、平均水酸基価はこれを含めて計算
した平均水酸基価である。
【0016】使用可能な鎖延長剤としては、短鎖ポリオ
ール、短鎖ポリアミン等が挙げられる。特に透明性、柔
軟性、反応性の観点から短鎖ポリオールが好ましく、短
鎖ジオールが特に好ましい。
【0017】使用できるポリイソシアネートは、得られ
るポリウレタン樹脂(A)の耐久黄変性の点で、無黄変
性ポリイソシアネートが好ましい。無黄変性ポリイソシ
アネートは芳香核に直接結合したイソシアネート基を有
しない非芳香族あるいは芳香族のポリイソシアネートで
ある。脂肪族もしくは脂環族のジイソシアネートまたは
3価以上のポリイソシアネートが特に好ましい。
【0018】具体的にはヘキサメチレンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート、水添ジフェニルメタ
ンジイソシアネートなどがある。特に3官能以上のポリ
イソシアネートあるいはそれとジイソシアネートの混合
物が好ましい。3官能以上のポリイソシアネートとして
はジイソシアネートのヌレート変性体、ビューレット変
性体、トリメチロールプロパンなどの3価アルコールで
変性したウレタン変性体が好ましい。
【0019】これら原料は単独でまたは混合して使用で
きる。また、必要に応じて紫外線吸収剤、酸化防止剤、
光安定剤等の安定剤、ウレタン化触媒、着色剤、難燃
剤、帯電防止剤、界面活性剤、シランカップリング剤等
の添加剤を添加できる。
【0020】ポリウレタン樹脂(A)のフィルムの成形
法としては、押し出し成形法、射出成形法、ブロー成形
法、注型法、カレンダー成形法等が可能である。フィル
ムの光学的品質の観点から、また熱硬化性樹脂も成形可
能であり成形時の加熱温度が低い等の観点から、特開平
1−56717記載のような反応性キャスティング法で
得られるものが最も好ましい。
【0021】反応性キャスティング法とは、反応して軟
質合成樹脂となる流動性の反応性原料混合物を剥離性ま
たは非剥離性の平滑な担体上を流延する間に反応させて
軟質合成樹脂のフィルムを形成し、剥離性担体の場合に
はその後、担体から剥離することによりフィルムを得る
方法である。通常、反応性キャステイング法を行う場
合、反応性原料に溶剤が含まれていてもよいが、ポリウ
レタン樹脂(A)のフィルムの製造の場合には実質的に
溶剤を含まない反応性原料を用いる方法、すなわち反応
性バルクキャスティング法がより好ましい。
【0022】また、本発明においてポリウレタン樹脂
(A)が自己修復性を有するとは、「23℃、50%相
対湿度雰囲気下で、先端径15μmのダイアモンドチッ
プを加傷体として、生じた傷が消失しうる最大荷重を、
HEIDONスクラッチテスターを用いて測定した値が
10g以上であること」をいう。
【0023】また、耐擦傷性を有するとは「23℃、5
0%相対湿度雰囲気下で、2つのCS−10F磨耗輪を
用いた、500g荷重でのテーバー磨耗試験法により1
00回転させる前後での、ヘーズメータにて測定した曇
価の上昇幅が10%未満であること」をいう。
【0024】ポリウレタン樹脂(A)の層の厚さは、耐
擦傷性や自己修復性の観点から0.05〜0.5mmが
好ましく0.1〜0.3mmが特に好ましい。
【0025】[赤外線吸収剤]本発明において、使用し
うる赤外線吸収剤はポリメチン系、フタロシアニン系、
金属錯体系、アミニウム系、イモニウム系、ジイモニウ
ム系、アントラキノン系、ジチオール金属錯体系、ナフ
トキノン系、インドールフェノール系、アゾ系、トリア
リルメタン系の化合物などが挙げられるが、これらに限
定されない。
【0026】熱線吸収や電子機器のノイズ防止の用途に
は最大吸収波長が750〜1100nmである近赤外線
吸収剤が好ましく、金属錯体系、アミニウム系、ジイモ
ニウム系が特に好ましい。
【0027】本発明において、赤外線吸収剤はポリウレ
タン樹脂(A)に含有させることができる。この場合、
赤外線吸収剤の添加量は添加するポリウレタン樹脂
(A)の層の厚さと要求される赤外線吸収能によって異
なるが、ポリウレタン樹脂(A)の樹脂分100重量部
に対して0.01〜5重量部が好ましい。
【0028】[合成樹脂(B)]本発明の一つは自己修
復性および耐擦傷性を有するポリウレタン樹脂(A)の
層とポリウレタン樹脂(A)以外の合成樹脂(B)の層
とを含み、少なくとも片面がポリウレタン樹脂(A)の
表面層であり、かつポリウレタン樹脂(A)および合成
樹脂(B)の少なくとも一方が赤外線吸収剤を含有する
積層体からなるフィルムである。
【0029】合成樹脂(B)の役割の1つは、赤外線吸
収剤を溶解保持することにより、それ自体は耐擦傷性は
持たないが、ポリウレタン樹脂(A)と積層したとき
に、積層体表面の耐擦傷性を発現し、かつ積層体に赤外
性吸収能を付与することであきる。合成樹脂(B)が赤
外線吸収剤を含有する場合には、ポリウレタン樹脂
(A)は赤外線吸収剤を含有していてもいなくてもよ
い。
【0030】このような合成樹脂(B)は、透明であっ
て、合成樹脂(B)の原料または原料溶液中に赤外線吸
収剤が溶解可能であれば特に限定はされない。溶解性、
加工性等を考慮した場合、熱可塑性アクリル樹脂または
ポリウレタン樹脂(A)以外の熱可塑性ポリウレタン樹
脂からなることが好ましい。
【0031】合成樹脂(B)のフィルムの成形方法とし
ては、押し出し成形、溶液キャスティング等の方法が可
能であるが、薄膜が形成できるという点から溶液キャス
ティング法が好ましい。溶液キャスティング法において
使用する赤外線吸収剤と合成樹脂を溶解する溶剤として
は、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、エーテル系溶
剤、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、エチルセロソルブ
等のエーテルアルコール系溶剤、ジアセトンアルコール
等のケトンアルコール系溶剤、トルエン等の芳香族系溶
剤等を使用しうる。これらは単独でも数種類の混合系で
も使用しうる。
【0032】この場合赤外線吸収剤の使用量は赤外線吸
収剤を含有させる合成樹脂(B)の樹脂分100重量部
に対して0.1〜10重量部の範囲であることが好まし
い。
【0033】また、赤外性吸収剤を含有する該合成樹脂
(B)の層の厚さは溶液キャスティング法の場合0.0
01〜0.05mmが好ましく、0.002〜0.02
mmが特に好ましい。
【0034】また、合成樹脂(B)の層は2層以上から
なっていてもよい。例えば、ポリウレタン樹脂(A)や
合成樹脂(B)のフィルムをキャストする際に担体とし
て使用するフィルムがそのまま合成樹脂層(B)として
含まれていてもよい。ただし、その場合、該フィルムは
透明樹脂フィルム(D)であることが必須である。該透
明樹脂フィルム(D)の膜厚は0.01〜0.1mmが
好ましい。
【0035】[フィルムの製造]ポリウレタン樹脂
(A)に赤外線吸収剤を含有させてポリウレタン樹脂
(A)の1層からなるフィルムを製造する場合には、ポ
リウレタン樹脂(A)の原料に、赤外線吸収剤を加えた
ものを平滑な担体上にキャストし、反応性キャスティン
グ法によりフィルム製造し、その後、担体を剥離するこ
とにより得ることができる。
【0036】担体としては、平滑性に優れ、加工に耐え
うる強度を有するものであれば特に限定されないが、汎
用性等を考慮すれば、ポリエステルフィルムまたは延伸
ポリプロピレンフィルム等が好ましい。
【0037】次に積層体を得る場合について説明する。
自己修復性および耐擦傷性を有するポリウレタン樹脂
(A)の層と合成樹脂(B)の層とを含み、少なくとも
片面がポリウレタン樹脂(A)の表面層であり、かつポ
リウレタン樹脂(A)および合成樹脂(B)の少なくと
も一方が赤外線吸収剤を含有する積層体からなるフィル
ムの製造方法としては例えば下記の方法が挙げられる。
【0038】(ア)担体上に赤外線吸収剤を溶解した合
成樹脂(B)の溶液をキャストし、溶剤を乾燥除去して
合成樹脂(B)のフィルムを得た後、その上にポリウレ
タン樹脂(A)の原料をキャストして加熱硬化する方
法。 (イ)担体上に赤外線吸収剤を溶解した合成樹脂(B)
の溶液をキャストし、溶剤を乾燥除去して合成樹脂
(B)のフィルムを得た後、あらかじめ他の担体上で反
応性キャスティング法によって得られたポリウレタン樹
脂(A)のフィルムを粘着剤等で積層する方法。 (ウ)押し出し成形法で合成樹脂(B)のフィルムを得
た後、その上にポリウレタン樹脂(A)の原料をキャス
トして加熱硬化する方法。 (エ)押し出し成形法で合成樹脂(B)のフィルムを得
た後、あらかじめ担体上で反応性キャスティング法によ
って得られたポリウレタン樹脂(A)のフィルムを粘着
剤等で積層する方法。 (オ)ポリウレタン樹脂(A)の原料に、赤外線吸収剤
を加えたものを平滑な担体上にキャストし加熱硬化する
方法。
【0039】(イ)、(エ)の場合にはポリウレタン樹
脂(A)のフィルムのキャストに用いる担体は剥離した
後で合成樹脂(B)のフィルムと積層してもよく、積層
後に剥離してもよい。また担体を保持したまま担体面と
合成樹脂層を粘着剤等で積層してもよい。
【0040】(ア)、(イ)の場合、ポリウレタン樹脂
(A)のフィルムと直接または粘着剤を介して接触する
面は担体の面でも合成樹脂(B)フィルムの面でもよ
い。合成樹脂(B)のフィルムが接触している場合に
は、ポリウレタン樹脂(A)のフィルムと積層後、反対
側にある担体を合成樹脂(B)のフィルムから剥離して
用いてもよいし、剥離せずにそのまま使用してもよい。
【0041】ポリウレタン樹脂(A)のフィルム、合成
樹脂(B)のフィルムを製造する際に用いる担体として
は、平滑性に優れ、加工に耐えうる強度を有するもので
あれば特に限定されないが、汎用性等を考慮すれば、ポ
リエステルフィルムまたは延伸ポリプロピレンフィルム
等が好ましい。
【0042】特に、合成樹脂層(B)をキャストする担
体は、担体として機能するとともに、例えば、合成樹脂
層(B)の膜厚が薄く単独では扱いにくい場合に、ポリ
ウレタン樹脂(A)のフィルムと積層する場合の補強材
としての役割も担う。
【0043】また、前述したように、担体として用いた
フィルムが積層体の一部に含まれる場合には、該フィル
ムは透明樹脂フィルム(D)であることが必須である。
該透明樹脂フィルム(D)の膜厚は0.01〜0.1m
mが好ましい。
【0044】また、本発明の積層体は少なくとも片面は
ポリウレタン樹脂(A)の表面層になっていることが必
須である。積層体からなるフィルムの総厚は、0.1〜
0.5mmが好ましい。
【0045】本発明においては、ポリウレタン樹脂
(A)の表面に、非結晶性の含フッ素重合体からなる反
射防止薄膜層(C)を有していてもよい。ポリウレタン
樹脂(A)に赤外線吸収剤を含有させてポリウレタン樹
脂(A)の1層からなるフィルムを製造する場合には、
少なくとも片面に該反射防止薄膜層(C)を設けること
ができる。
【0046】非結晶性の含フッ素重合体としては、テト
ラフルオロエチレン、ビニリデンフルオリドおよびヘキ
サフルオロプロピレンの3元共重合体や含フッ素脂肪族
環構造を有する重合体などがある。特に、含フッ素脂肪
族環構造を有する重合体が機械的特性に優れるため好ま
しい。
【0047】含フッ素脂肪族環構造を有する重合体とし
ては、含フッ素脂肪族環構造を有するモノマーを重合し
て得られるもの(特公昭63−18964など)や、2
以上の重合性二重結合を有する含フッ素モノマーを環化
重合して得られる主鎖に環構造を有する重合体(特開昭
63−238111など)が好適である。
【0048】反射防止薄膜層(C)はポリウレタン樹脂
(A)の自己修復性および耐擦傷性を著しく阻害しない
ことが必須である。このため、反射防止薄膜層(C)の
厚さは10〜1000nm、好ましくは20〜500n
mが好ましい。
【0049】本発明のフィルムはガラス、ポリカーボネ
ート樹脂、アクリル樹脂等の透明基材に積層することに
より、耐擦傷性、耐久性に優れた積層体を提供しうる。
これらの積層体は、建築用、車両用の窓材やブラウン
管、プラズマディスプレイ等の各種ディスプレイの保護
板等に使用しうる。本発明のフィルムの最大吸収波長は
750〜1100nmであることが好ましい。この場
合、熱線吸収や電子機器のノイズ防止の用途には特に適
する。
【0050】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されない。実施例、比較例
についての各種物性の測定および評価は後述の方法で行
った。部は重量部を示す。
【0051】(合成例1)パーフルオロ(1−ブテニル
ビニルエーテル)の35g、イオン交換水の150gお
よび重合開始剤として((CH32 CHOCOO)2
の90mgを、内容積200mlの耐圧ガラス製オート
クレーブに入れ、系内を窒素置換した後、40℃で22
時間懸濁重合を行い、屈折率1.34、光線透過率95
%以上の重合体を得た。この重合体をパーフルオロオク
タンに1.5重量%で溶解し重合体溶液を得た。
【0052】(実施例1)表1上段の成分を80℃で2
時間加熱溶融下で撹拌し、真空脱泡して均一なポリオー
ルシステム液を製造した。また、表1下段の成分を撹拌
混合して均一なイソシアネートシステム液を製造した。
【0053】
【表1】
【0054】次いで、上記の両システム液(ポリウレタ
ンシステム液)をNCOインデックスが95になるよう
に重量比を調整しつつ連続的に吐出・撹拌混合し、連続
的に配給される平滑なポリエステルフィルム上に、上記
の混合物をダイスを用いて0.2mm厚で均一に塗工、
流延した。この液膜を連続重合オーブン中で80℃にて
20分加熱して重合を実質的に完結した。得られたフィ
ルムは、自己修復性および耐擦傷性を有していた。
【0055】(実施例2) (アクリル樹脂溶液)表2の成分を還流下90℃で3時
間撹拌し、均一なアクリル樹脂溶液を得た。
【0056】
【表2】
【0057】連続的に配給されるポリエステルフィルム
上に上記アクリル樹脂溶液をダイスを用いて均一に塗
工、乾燥し溶媒を留去して膜厚0.008mmの合成樹
脂フィルム(b1)を得た。
【0058】引き続き合成樹脂フィルム(b1)上に、
赤外線吸収剤を省いた以外は実施例1と同じ組成のポリ
ウレタンシステム液を塗工流延後、連続重合オーブン中
で80℃にて20分加熱して重合を実質的に完結した。
得られたフィルムは、自己修復性および耐擦傷性を有し
ていた。
【0059】(実施例3)アクリル樹脂の代わりに固形
分12.5%の熱可塑性ポリウレタン樹脂溶液を、また
赤外線吸収剤としてIRG−022の代わりに三井東圧
染料社製SIR−159を、用いた以外は全て実施例2
と同じ方法でフィルムを得た。得られたフィルムは、自
己修復性および耐擦傷性を有していた。
【0060】(実施例4)実施例2と同様の方法にて合
成樹脂フィルム(b1)を得た。ポリエステルフィルム
上に赤外線吸収剤を省いた以外は実施例1と同じ組成の
ポリウレタンシステム液をダイスを用いて0.2mm厚
で均一に塗工、流延後、連続重合オーブン中で80℃に
て20分加熱して重合を実質的に完結し、ポリウレタン
樹脂(a1)のフィルムを得た。これをアクリル系粘着
剤にて、合成樹脂フィルム(b1)と積層し、フィルム
を得た。得られたフィルムは、自己修復性および耐擦傷
性を有していた。
【0061】(実施例5)実施例4と同様の方法にてポ
リウレタン樹脂フィルム(a1)を得た。ポリエステル
樹脂に赤外線吸収剤として三井東圧染料社製SIR−1
59を0.2重量%加熱混練し、押し出し成形法にて厚
さ0.05mmの合成樹脂フィルム(b2)を得た。こ
れをアクリル系粘着剤にて、ポリウレタン樹脂フィルム
(a1)と積層し、フィルムを得た。得られたフィルム
は、自己修復性および耐擦傷性を有していた。
【0062】(実施例6)実施例4と同様の方法にてポ
リウレタン樹脂フィルム(a1)を得た。また実施例2
と同様の方法にて合成樹脂フィルム(b1)を得た。引
き続き、ポリウレタン樹脂フィルム(a1)の表面に合
成例1で得られた重合体溶液を溶剤留去後の膜厚が10
0nmになるように塗工後乾燥し、非晶性の含フッ素重
合体からなる低屈折率の反射防止層をコートした後、合
成樹脂フィルム(b1)と粘着剤にて積層し、フィルム
を得た。得られたフィルムは、自己修復性および耐擦傷
性を有し、表面反射率は0.8%であった。
【0063】(比較例1)連続的に配給されるポリエス
テルフィルム上に実施例2と同一のアクリル樹脂溶液を
ダイスを用いて均一に塗工、乾燥し溶媒を留去して膜厚
0.008mmの赤外線吸収フィルムを得た。
【0064】(比較例2)ポリエステル樹脂に赤外線吸
収剤として三井東圧染料社製SIR−159を0.2重
量%加熱混練し、押し出し成形法にて厚さ0.05mm
の赤外線吸収フィルムを得た。
【0065】表3に実施例および比較例に用いた化合物
を説明する。上記実施例および比較例で得たフィルムに
ついて、以下の測定方法で性能を調べ、表4に示した。
【0066】[自己修復性]23℃、50%相対湿度雰
囲気下で先端径15μmのダイヤモンドチップを加傷体
としてHEIDONスクラッチテスターで測定した、自
己修復性が確保される最大荷重を示す。
【0067】[耐擦傷性]23℃、50%相対湿度雰囲
気下で、2つのCS−10F磨耗輪を用いた、500g
荷重でのテーバー磨耗試験法により100回転させる前
後で、曇価(ヘーズ)をヘーズメータにて測定した。
(磨耗試験後曇価)−(磨耗試験前曇価)の値(%)
で、耐擦傷性を示す。なお、曇価の測定は磨耗サイクル
軌道の4カ所で行い、平均値を算出した。
【0068】[赤外線吸収性]分光光度計で吸収スペク
トルを測定し、800nm以上の赤外線領域の最大吸収
波長とその透過率を測定した。
【0069】
【表3】
【0070】
【表4】
【0071】
【発明の効果】本発明は赤外線吸収性を有するフィルム
として表面に自己修復性と耐擦傷性に優れたポリウレタ
ン樹脂フィルムを必須成分として導入することにより、
耐擦傷性に優れた赤外線吸収フィルムを得るものであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森脇 健 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社中央研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】赤外線吸収剤を含有する、自己修復性およ
    び耐擦傷性を有するポリウレタン樹脂(A)のフィル
    ム。
  2. 【請求項2】フィルムの少なくとも片面に、非結晶性の
    含フッ素重合体からなる反射防止薄膜層(C)を有する
    請求項1のフィルム。
  3. 【請求項3】自己修復性および耐擦傷性を有するポリウ
    レタン樹脂(A)の層とポリウレタン樹脂(A)以外の
    合成樹脂(B)の層とを含み、少なくとも片面がポリウ
    レタン樹脂(A)の表面層であり、かつポリウレタン樹
    脂(A)および合成樹脂(B)の少なくとも一方が赤外
    線吸収剤を含有する積層体からなるフィルム。
  4. 【請求項4】合成樹脂(B)が、熱可塑性アクリル樹脂
    からなる、請求項3のフィルム。
  5. 【請求項5】合成樹脂(B)が、ポリウレタン樹脂
    (A)以外の熱可塑性ポリウレタン樹脂からなる、請求
    項3のフィルム。
  6. 【請求項6】合成樹脂(B)の層が、2層以上からなる
    請求項3のフィルム。
  7. 【請求項7】ポリウレタン樹脂(A)の表面に、非結晶
    性の含フッ素重合体からなる反射防止薄膜層(C)を有
    する請求項3、4、5または6のフィルム。
  8. 【請求項8】最大吸収波長が750〜1100nmであ
    る、請求項1〜7のいずれかのフィルム。
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