JPH10218823A - 溶剤抽出によるシクロヘキシルビニルエーテルの分離方法 - Google Patents

溶剤抽出によるシクロヘキシルビニルエーテルの分離方法

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JPH10218823A
JPH10218823A JP3830597A JP3830597A JPH10218823A JP H10218823 A JPH10218823 A JP H10218823A JP 3830597 A JP3830597 A JP 3830597A JP 3830597 A JP3830597 A JP 3830597A JP H10218823 A JPH10218823 A JP H10218823A
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vinyl ether
extraction
cyclohexyl vinyl
cyclohexanol
solvent
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JP3830597A
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Hideki Omori
秀樹 大森
Toshiyuki Fukutome
利行 福留
Tomonori Hakozaki
智則 箱崎
Satoshi Tsunoda
聡 角田
Hidenobu Oda
英伸 織田
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Maruzen Petrochemical Co Ltd
Original Assignee
Maruzen Petrochemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シクロヘキシルビニルエーテルとシクロヘキ
サノールを含有する混合物から、シクロヘキシルビニル
エーテルを高収率で経済的に、かつ廃水等の処理も要さ
ずに分離、回収する方法を提供する。 【解決手段】 シクロヘキシルビニルエーテルとの混合
によって2層に層分離するジオール類を抽出溶剤として
シクロヘキシルビニルエーテルとシクロヘキサノールを
含有する混合物と接触させ、シクロヘキサノールを抽出
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塗料や合成樹脂等
の高分子用原料等として有用なシクロヘキシルビニルエ
ーテルを、水を用いない溶剤抽出操作により分離、回収
する方法に関する。
【0002】さらに詳しくは、シクロヘキサノールのア
セチレンによるビニル化により生成するシクロヘキシル
ビニルエーテルとシクロヘキサノールを主として含有す
る原料混合物から特定の溶剤を用いてシクロヘキサノー
ルを抽出除去し、シクロヘキシルビニルエーテルを分
離、回収する方法に関する。
【0003】
【従来の技術】ビニルエーテル類は、一般にカリウムア
ルコラートのようなアルカリ触媒の存在下、アルコール
のアセチレンによるビニル化反応により得られる。粗生
成物は、生成したビニルエーテルと未反応アルコールを
主成分として含む。しかるに、ビニルエーテル類と未反
応アルコールは共沸混合物を形成する場合があり、その
ような場合、一般に蒸留法によるビニルエーテル類の分
離、回収は困難である。
【0004】従って、このような共沸混合物を蒸留分離
する場合、一般に2成分の蒸留系に第3成分を添加し、
2成分の共沸を破壊させる方法が採られる。例えば、第
3成分として2成分の一方を優先的に溶解する溶剤を添
加し、抽出蒸留にかけ、分離する方法、あるいは蒸留系
に塩類や特定の金属等を加え、共沸を破壊させる方法等
が採られる。
【0005】シクロヘキシルビニルエーテルの精製に関
して、抽出蒸留による方法としては、例えば、水または
水と有機溶剤を抽出溶剤とする方法が米国特許第277
9720号や米国特許第3287235号に開示されて
いる。しかし、これらの方法は、シクロヘキシルビニル
エーテルが水の存在下で加水分解され、シクロヘキサノ
ールとアセトアルデヒドに分解するため、シクロヘキシ
ルビニルエーテルの収率が低下する等の欠点がある。
【0006】一方、蒸留によらず、単なる溶剤抽出法を
用いるシクロヘキシルビニルエーテルとシクロヘキサノ
ールの混合物からのシクロヘキシルビニルエーテルの分
離精製も考えられる。抽出による分離は蒸留に比べて一
般に所要熱量が少なくてすみ、また不安定な物質の分
離、回収に当たっては加熱による副反応を抑制できるの
で有利な方法ではあるが、処理されるべき物質に適した
抽出溶剤の選択が困難であるためにあまり利用されてい
ない。即ち、処理される物質に適した抽出溶剤としてど
のような物質を選択すればよいかを予測することは一般
に困難であるとされている。
【0007】シクロヘキシルビニルエーテルとシクロヘ
キサノールの混合物からのシクロヘキシルビニルエーテ
ルの分離精製に関して、水を抽出溶剤とする方法が、特
開昭54−148752号に開示されている。この方法
は、シクロヘキシルビニルエーテルとシクロヘキサノー
ルの混合物に対する水の接触を比較的低温、即ち0〜7
0℃で行うため、シクロヘキシルビニルエーテルの加水
分解による収率低下が改善される点で、上記の抽出蒸留
法に比べ優れている。
【0008】しかし、本発明者らの知見によれば、この
方法もなお無視し得ない水による分解が見られることが
判った。即ち、特に高純度のシクロヘキシルビニルエー
テルを得るためには、水洗を充分に行う必要があり、そ
の結果、分離後のシクロヘキシルビニルエーテルにかな
りの量の水分が含まれることになる。この水分の除去の
ため、一般に蒸留を行うが、その際、おおむね数%ある
いはそれ以上の加水分解が起こる。また、水に抽出され
たシクロヘキサノールを分離、回収する場合も、一般に
蒸留を行うが、シクロヘキサノールと水は共沸するた
め、留出したシクロヘキサノール留分はなお水分を多く
含み、そのまま直接原料として循環使用できないこと、
また有機物を含む多量の排水が生じること等の問題も有
する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、シク
ロヘキシルビニルエーテルとシクロヘキサノールを含有
する混合物から、シクロヘキシルビニルエーテルを分
離、回収する際、抽出溶剤として水を使用または併用す
ることなくシクロヘキサノールを除去し、シクロヘキシ
ルビニルエーテルを効率的に、高い収率で分離、回収す
る方法を提供するにある。また、抽出液から回収したシ
クロヘキサノール及び抽出溶剤を直接原料等として循環
使用できると共に、廃棄物生成の少ない方法を提供する
にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる状
況に鑑み鋭意検討した結果、抽出溶剤として特定の溶剤
を選択することにより、極めて効率良く、シクロヘキシ
ルビニルエーテルを高収率で分離、回収でき、また回収
したシクロヘキサノールおよび抽出溶剤がそのまま循環
使用でき、さらに廃棄物も少ないことを見出したもので
ある。
【0011】即ち、本発明の要旨は、シクロヘキシルビ
ニルエーテルとシクロヘキサノールを含有する原料混合
物からシクロヘキシルビニルエーテルを分離する方法に
おいて、シクロヘキシルビニルエーテルとの混合によっ
て2層に層分離するジオール類を抽出溶剤として該原料
混合物と接触させることを特徴とするシクロヘキシルビ
ニルエーテルの分離方法に存する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明についてさらに詳細
に説明する。本発明において処理されるシクロヘキシル
ビニルエーテルとシクロヘキサノールを含有する原料混
合物(以下、単に混合物と略称する場合がある。)とし
ては、どのようなものでも使用されるが、通常、予め苛
性カリや苛性ソーダとアルコールを反応させ得られるア
ルカリ金属アルコラート等からなる触媒の存在下、アセ
チレンとシクロヘキサノールを温度120〜180℃、
圧力0〜30Kg/cm2(絶対圧)、好ましくは1〜3Kg
/cm2(絶対圧)で反応させ得られる生成混合物がその
まま用いられる。あるいは、予めこの生成混合物から触
媒成分の除去や、反応時の副生物の除去等の処理を施し
たものが用いられる。そして、この生成混合物中のシク
ロヘキシルビニルエーテルとシクロヘキサノールの比率
(重量比)は、反応条件にもよるが、一般に5〜70:
30〜95である。
【0013】従って、溶剤抽出装置に導入される混合物
には、シクロヘキシルビニルエーテルとシクロヘキサノ
ールが主成分として含まれるが、混合物中のシクロヘキ
シルビニルエーテルとシクロヘキサノールの好ましい組
成(重量比)は、一般に50〜99:50〜1、好まし
くは70〜99:30〜1の範囲である。それは、この
範囲をはずれた場合、抽出溶剤の種類にもよるが抽出溶
剤を含めた3成分からなる系が均一層を形成する場合が
あるからである。また、混合物中のシクロヘキサノール
濃度は、できるだけ低い方が希望の純度のシクロヘキシ
ルビニルエーテルを得るのに必要な抽出理論段数が少な
くて済むので、より一般的な表現をかりれば抽出溶剤と
接触させる際の程度が緩和されるので、抽出装置の性能
も低いもので済み、有利である。従って、抽出処理のた
めの原料として前記反応混合物をそのまま用いるより
も、後記図1に示す前蒸留塔により、生成混合物中に含
まれているシクロヘキサノールの一部、できればかなり
の部分を予め分離し、前記した好ましい組成範囲に調節
することが望ましい。
【0014】本発明方法の抽出で用いられる抽出溶剤と
しては、(1)シクロヘキシルビニルエーテル及びシク
ロヘキサノールの沸点近辺で安定であると同時に、これ
らと化学反応を起こさないこと、(2)シクロヘキサノ
ールに対して、シクロヘキシルビニルエーテルに対する
より良好な溶解性を示すこと、(3)シクロヘキシルビ
ニルエーテルと混合した際、2層に層分離すること、
(4)シクロヘキシルビニルエーテルに比べて密度が高
く、かつ一定以上の比重差があること、(5)分離され
るべき成分に比べて高い沸点を有すること、等の性質を
持つものが、シクロヘキシルビニルエーテルとシクロヘ
キサノールの分離操作上、好都合である。
【0015】従って、多数の有機溶剤の中から本発明方
法で採用され得る抽出溶剤として、このような基準を満
足しうる候補を選ぶと、炭素数2〜5のジオール類が見
出される。そして、炭素数2〜5のジオール類の内本発
明で使用に適する化合物の具体例としては、例えばエチ
レングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロ
パンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタ
ンジオール及び1,5−ペンタンジオール等が挙げられ
る。密度が大きい点ではエチレングリコールが、選択性
が優れている点では1,4−ブタンジオールが好まし
く、中でも1,4−ブタンジオールは沸点が高いという
点でも好ましい。すなわち、分離されるべき成分との沸
点差が大きいので蒸留による抽出溶剤との分離が確実か
つ容易に行える。尚、炭素数2〜5のジオールの中でも
1,2−ブタンジオールのようにシクロヘキシルビニル
エーテルと接触混合した際、系が均一層となるものは、
当然使用に適さない。
【0016】抽出溶剤の使用量は、特に限定されない
が、通常混合物中のシクロヘキサノールに対して重量比
で1〜200、好ましくは5〜100相当を供給し、シ
クロヘキシルビニルエーテルとシクロヘキサノールの混
合物と向流接触させる。そうすることによって、混合物
中のシクロヘキサノールを選択的かつ効率的に抽出除去
することができる。抽出溶剤の使用量が多ければ、それ
だけ抽出は容易に進行するが、溶剤の回収にかかるユー
ティリティが増えコストが増加する。原料混合物に対す
る溶剤比は、抽出理論段数を増すことによって低くし得
るので、工業的には抽出理論段数をある程度高くしても
溶剤比を5〜30程度に低く保つ方が一般には有利であ
る。
【0017】原料混合物と抽出溶剤との接触温度は、比
較的低い温度で十分であり、一般に0〜100℃、好ま
しくは10〜70℃、特に好ましくは10〜50℃であ
る。温度が高い方が抽出は速やかに進むが、選択性は一
般に低くなる。また、本発明方法の目的物であるシクロ
ヘキシルビニルエーテルは不安定なビニル結合を有して
いるので、温度を高くするとそれだけ副反応を起こす危
険が増大する。
【0018】本発明において、原料混合物と抽出溶剤と
の接触方法は、種々の方法が採れ、液液抽出に従来公知
の各種手法が採用できる。例えば、2つの液を回分的に
抽出容器に仕込み撹拌または振とうする方法、あるいは
両液を十分に接触させる条件下で連続的に撹拌下または
非撹拌下に向流接触させる方法等である。
【0019】本発明においては、上記の接触操作を行う
と、シクロヘキサノールを含む抽出溶剤層と、大部分の
シクロヘキサノールが抽出除去され、シクロヘキサノー
ル濃度が低下したシクロヘキシルビニルエーテル層に層
分離する。
【0020】そして、本発明の抽出工程における混合及
びその後の2層の分液の方法については、当業界におい
て公知の種々の方法が採用可能である。例えば回分的に
撹拌あるいは振とうした後、比重差を利用して分液する
方法、連続的に向流接触した後分液する方法等が採用で
きる。
【0021】また、この操作を回分的に実施する場合、
液液接触と液液分離を複数回繰り返して実施することが
できる。
【0022】工業的連続法としては、ミキサセトラによ
る方法、ミキサセトラを多段に配置して原料及び抽出溶
剤を向流で連続的に供給する方法、あるいは塔型抽出装
置(以下単に、抽出塔と記す)を用いる方法等がある。
抽出塔としては、特に限定されず、多孔板塔、充填塔等
任意適当な装置を用いえて、さらに希望によっては抽出
効率を高めるために強制的に液に脈動を与えたり、回転
を与えたりすることもできる。充填物としては後記する
蒸留塔におけると同様のものが使用できる。抽出操作に
おいては、希望により還流を行うこともできる。
【0023】本発明の一つの特徴は、上記のように特定
の抽出溶剤を用いる抽出工程にあるが、他の特徴は、溶
剤抽出工程と蒸留工程を組み合わせて実施することにあ
る。その場合、例えば図1に示すフローダイヤグラムに
基づいて行うことができる。
【0024】図1において、1は前蒸留塔、2は抽出
塔、3は溶剤蒸留塔、4は精製蒸留塔をそれぞれ表す。
この図においては、本発明による処理工程の説明に欠く
ことのできない主要な装置部分のみが記載されており、
その他の付属装置、例えばポンプ、加熱器、凝縮器、圧
力計等については省略されている。
【0025】本発明の方法で用いられる抽出装置として
は、一般に連続運転の場合、1〜50段の理論段数を有
する抽出塔が用いられる。特に、本発明の方法によれ
ば、1〜30段の抽出塔でも効率良くシクロヘキシルビ
ニルエーテルとシクロヘキサノールの抽出分離が可能で
あり、従って、抽出装置もそれだけ小型のもので間に合
う。また、回分式の場合には、通常ミキサセトラが使用
できる。
【0026】また、本発明の方法で用いられる蒸留装置
としては特に制限はないが、通常、1〜100段、好ま
しくは5〜50段の理論段数を有する精留塔が用いられ
る。さらに具体的には前蒸留塔としては1〜100段、
好ましくは5〜50段のものが使用され、また溶剤蒸留
塔及び精製蒸留塔としても同程度のものが使用される。
精留塔の構造は任意のものが用いられ、例えば棚段塔と
しては、泡鐘トレー、ユニフラックストレー、フレキシ
トレー、ナッターフロートトレー、バラストトレー、多
孔板トレー等を用いたものが挙げられる。また、充填塔
としては、リング型充填塔、サドル型充填塔、スプレー
パック等を用いた充填塔が挙げられる。
【0027】また、加熱器、凝縮器等の形式としては、
特に制限はなく、種々の形式のものが利用できる。
【0028】蒸留時の各蒸留塔の圧力は、特に制限はな
い。しかしながら、蒸留時の温度をできるだけ低めに維
持し、生成したシクロヘキシルビニルエーテルの化学的
変質を抑制するという意味で、常圧以下、特に5〜76
0mmHgの範囲が普通である。即ち、前蒸留塔の圧力とし
ては5〜100mmHg、好ましくは10〜50mmHg、溶剤
蒸留塔の圧力としては300〜760mmHg、好ましくは
500〜760mmHg、そして精製蒸留塔の圧力としては
100〜760mmHg、好ましくは150〜760mmHgが
通常好ましい。また各蒸留塔の上部より留出する蒸気は
凝縮され、一部は還流として戻される。この時の還流比
は、特に制限はないが、精留塔の性能と分離、回収する
物質、例えばシクロヘキシルビニルエーテルやシクロヘ
キサノール、に要求される純度により、1〜50の範囲
で選ばれる。
【0029】以下、図1に従い本発明で実施される態様
の一例を示す。合成反応器から出た任意の濃度のシクロ
ヘキシルビニルエーテルとシクロヘキサノールを含む原
料混合物は、経路5を通ってまず前蒸留塔1の中間部に
供給され、蒸留される。そして、塔1の上部、通常は頂
部より経路6を経て通常共沸混合物として留出するシク
ロヘキシルビニルエーテルとシクロヘキサノールの混合
物は、抽出溶剤より比重の軽い成分であるので抽出塔2
の中間部より下で、塔2の下部、通常は底部に設けられ
た抽出溶剤層の抜き出し口より上の適当な部位に導入さ
れる。
【0030】一方、より比重の重い成分である抽出溶剤
は、経路7を通って抽出塔2の中間部より上で、塔2の
上部、通常は頂部に設けられたシクロヘキシルビニルエ
ーテル層抜き出し口より下の適当な部位より導入され
る。そして、抽出溶剤との接触によってシクロヘキサノ
ールの濃度が低下し、シクロヘキシルビニルエーテル濃
度が相対的に高くなった混合物がシクロヘキシルビニル
エーテル層として抽出塔2の上部、通常は頂部から抜き
出される。用いる抽出塔や抽出条件を適当に選択すれ
ば、抜き出されたシクロヘキシルビニルエーテル層を図
示してない分液槽中に滞留させることにより、同伴され
てくる抽出溶剤を十分に分離すればそれだけで高純度の
シクロヘキシルビニルエーテルを得ることができる。し
かしながら、さらに高純度のシクロヘキシルビニルエー
テルの製造が望まれる場合には、シクロヘキシルビニル
エーテル層は経路8を通って精製蒸留塔4の中間部に供
給される。この混合物には抽出溶剤の一部を伴うので、
精製蒸留塔4において蒸留され、少量の抽出溶剤が塔4
の下部、通常は底部より経路9を通って抜き出されると
同時に、精製されたシクロヘキシルビニルエーテルが塔
4の上部、通常は頂部より経路10を通って回収され
る。尚、経路9を通って抜き出された少量の抽出溶剤
は、再使用のため抽出塔2に循環される。
【0031】一方、抽出塔2の下部から経路11を通っ
て抜き出されたシクロヘキサノールを伴った抽出溶剤は
溶剤蒸留塔3の中間部に供給される。溶剤蒸留塔3の塔
上部、通常は塔頂部からは経路12を通ってシクロヘキ
サノールと抽出剤の流れに吸収された少量のシクロヘキ
シルビニルエーテルが回収され、塔3の下部、通常は底
部から経路13を通って精製された抽出溶剤が抜き出さ
れる。そして、この塔3の上部からの留分は、大部分シ
クロヘキサノールであるため前蒸留塔1へ循環される
か、あるいは図示してないがそのままアセチレンのビニ
ル化反応の原料として循環、再使用される。また、塔3
の下部から抜き出された抽出溶剤は抽出塔2へ循環、再
使用される。経路9と経路13とは途中で合流して戻さ
れてもよい。
【0032】尚、前蒸留塔1の下部、通常は底部から
は、経路14を通ってシクロヘキサノールが抜き出され
るが、この中には従来法のような水分を含まないため、
直接アセチレンのビニル化反応の原料として循環、使用
できる。即ち、本発明の方法によれば、回収された原料
は、いずれもそのまま再使用が可能である。
【0033】本発明は、連続式でも、回分式でも実施可
能であるが、連続式の方が生産性、運転安定性等の点で
好ましい。
【0034】
【実施例】以下、本発明の方法について実施例を示す
が、これは説明のための例示であって、本発明は下記実
施例によって限定されるものではない。尚、以下の実施
例における百分率はモル基準である。
【0035】実施例1 シクロヘキシルビニルエーテル(CHVE)、シクロヘ
キサノール(CHOH)及び抽出溶剤である1,4−ブ
タンジオール(1,4BD)の3成分の平衡組成を求め
るため、3成分を任意の割合で混合した混合液を調製
し、25℃の恒温水槽に入れ6時間撹拌した後、2時間
静置した。混合液が2層に分離するので、各層からサン
プルを採取、ガスクロマトグラフィーにより各層におけ
る成分濃度を求めた。
【0036】表1に3成分の割合を変えて得た平衡組成
データを示す。尚、シクロヘキシルビニルエーテル層は
抽残(ラフィネート)層である。
【0037】次に、こうして得られたデータより、所望
の程度の抽出精製を行うのに必要な抽出理論段数を求め
るため、一部外挿により図2の通り平衡曲線を描いた。
尚、図2において平衡曲線は直線となっているが、シク
ロヘキシルビニルエーテル層中のCHOH濃度に対する
抽出溶剤層中のCHOH濃度の割合、すなわち分配のさ
れ方は表1の結果からCHOH濃度が低下するにつれて
一定の値に収斂することが分かっているので、外挿して
作った図2は図示範囲において正確な図である。
【0038】その結果、今、前蒸留塔1の塔頂(塔内圧
力50mmHg)から留出したシクロヘキシルビニルエーテ
ル93%とシクロヘキサノール7%を含む共沸混合物を
抽出原料とし、これから、99.9%純度のシクロヘキ
シルビニルエーテルを分離、回収するのに必要な抽出理
論段数は3段であることが分かった。即ち、図2におい
て、上記抽出原料は抽出塔のポイントAに相当する箇所
で供給される。抽出溶剤は7%のシクロヘキサノールを
伴って、ポイントBで抽出塔を出るが、これは1.9%
のシクロヘキサノールを含むシクロヘキシルビニルエー
テルと平衡にある。従って、抽出塔の第1平衡段階、即
ちポイントAからポイントBを経て、ポイントCを出た
時点、即ち1抽出理論段相当位置を移動した時点では、
シクロヘキシルビニルエーテル層中のシクロヘキサノー
ル濃度は7%から1.9%に減じられている。同様の操
作を繰り返し、3段階目のポイントGにおいてシクロヘ
キシルビニルエーテル層中のシクロヘキサノール濃度は
0.1%に減じられることになる。即ち、1,4−ブタ
ンジオールを抽出溶剤に用いると、極めて効率的にシク
ロヘキサノールの除去ができる。
【0039】また、図1のフローダイヤグラムに従え
ば、製品シクロヘキシルビニルエーテル以外の流れは全
て製造工程に再循環されているので、系中で生成するご
く少量の重合体等の副生物を除き実質的に全てのシクロ
ヘキシルビニルエーテルが回収され得るので、その回収
率は99%程度に達し得るものと推定される。
【0040】 表1 CHVE、CHOH及び1,4BDからなる3成分系の 平衡組成データ(25℃、単位 モル%) (1)原 料 (2)ビニルエーテル層 (3)抽出溶剤層 CHVE CHOH 1,4BD CHVE CHOH 1,4BD CHVE CHOH 1,4BD 41 2 57 98.6 0.9 0.5 5.7 3.4 90.9 40 5 55 97.5 1.8 0.7 6.7 6.8 86.4 37 9 54 95.2 3.7 1.1 8.1 12.2 79.4 36 14 50 92.3 6.0 1.8 9.4 16.7 74.0 34 17 49 89.1 8.2 2.7 12.0 20.8 67.2 33 21 46 84.8 11.1 4.2 14.1 24.2 61.7 32 24 44 79.3 14.3 6.4 18.5 27.3 54.2
【0041】実施例2 抽出溶剤として、1,4−ブタンジオールの代わりにエ
チレングリコールを用いた以外は、実施例1と同様に実
験を行い、数点の3成分系の平衡組成データを求めた。
このデータに基づく平衡曲線を実施例1と同様に作製し
た。実施例1で用いたと同じ組成の原料から実施例1と
同様に純度99.9%のシクロヘキシルビニルエーテル
を得るのに必要な抽出理論段数を求めたところ、13段
であった。
【0042】比較例1 抽出溶剤として、1,2−ブタンジオールを用いた以外
は、実施例1と同様に実験を行った。シクロヘキシルビ
ニルエーテル、シクロヘキサノール及び1,2−ブタン
ジオールの3成分からなる系が均一層を形成し、したが
ってシクロヘキサノールの抽出は不可能であった。
【0043】
【発明の効果】本発明の方法によれば、抽出溶剤として
特定のジオール類を選択することにより、効率良くシク
ロヘキシルビニルエーテルの分離が達成できる。
【0044】また、本発明の方法では、従来法と異な
り、水を含まない抽出溶剤を用いるので、抽出後に必要
となる溶剤の分離のための蒸留において目的物であるシ
クロヘキシルビニルエーテルの加水分解が起こらず、目
的物を高収率で得ることができる。
【0045】さらに、回収したシクロヘキサノールは水
を含まないので、そのまま合成原料として循環使用でき
ることに加え、廃水等の廃棄物の生成もほとんどない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法の一例を示すフローダイヤグラム
である。
【図2】シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサ
ノール及び1,4−ブタンジオールからなる3成分系の
25℃における平衡組成曲線、及び抽出塔の段数を決定
するための操作を示す図である。
【符号の説明】
1 前蒸留塔 2 抽出塔 3 溶剤蒸留塔 4 精製蒸留塔

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シクロヘキシルビニルエーテルとシクロ
    ヘキサノールを含有する原料混合物からシクロヘキシル
    ビニルエーテルを分離する方法において、シクロヘキシ
    ルビニルエーテルとの混合によって2層に層分離するジ
    オール類を抽出溶剤として該原料混合物と接触させるこ
    とを特徴とするシクロヘキシルビニルエーテルの分離方
    法。
  2. 【請求項2】 該ジオール類がエチレングリコール、プ
    ロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,
    3−ブタンジオール及び1,4−ブタンジオールから選
    ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1の分離方
    法。
  3. 【請求項3】 該原料混合物と該抽出溶剤とが向流で接
    触させられる請求項2の分離方法。
  4. 【請求項4】 用いる抽出装置が抽出塔である請求項3
    の分離方法。
  5. 【請求項5】 該原料混合物を抽出塔の中間部より下方
    であって、抽出溶剤層抜き出し口より上方の任意の部位
    に導入し、抽出溶剤を抽出塔の中間部より上方であっ
    て、シクロヘキシルビニルエーテル層抜き出し口より下
    方の任意の部位に導入する請求項4の分離方法。
  6. 【請求項6】 抽出塔の塔上部より抜き出されたシクロ
    ヘキシルビニルエーテル層を精製蒸留塔の中間部に供給
    し、精製蒸留塔上部よりシクロヘキシルビニルエーテル
    を、また精製蒸留塔下部より主として抽出溶剤からなる
    留分を回収すると共に、抽出塔の塔下部より抜き出され
    た抽出溶剤層を溶剤蒸留塔の中間部に供給し、溶剤蒸留
    塔上部より主としてシクロヘキサノールからなる留分
    を、また溶剤蒸留塔下部より抽出溶剤を回収する請求項
    5の分離方法。
  7. 【請求項7】 該原料混合物を前備蒸留してシクロヘキ
    シルビニルエーテル濃度を高めた後に抽出塔に供給する
    請求項5または6の分離方法。
JP3830597A 1997-02-06 1997-02-06 溶剤抽出によるシクロヘキシルビニルエーテルの分離方法 Pending JPH10218823A (ja)

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