JPH10216828A - 連続伸線装置およびこの装置を用いた細径線材の伸線方法 - Google Patents

連続伸線装置およびこの装置を用いた細径線材の伸線方法

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JPH10216828A
JPH10216828A JP1666897A JP1666897A JPH10216828A JP H10216828 A JPH10216828 A JP H10216828A JP 1666897 A JP1666897 A JP 1666897A JP 1666897 A JP1666897 A JP 1666897A JP H10216828 A JPH10216828 A JP H10216828A
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die
hole
wire
diameter
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JP1666897A
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Yoichi Imamura
陽一 今村
Kazuyuki Nakasuji
和行 中筋
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】1mm前後の細径線材における高能率の伸線方
法を提供する。 【解決手段】孔ダイス2と円筒形の巻取釜3とが交互に
連設配置された連続伸線装置において、て、最下流の孔
ダイスの下流側に下記式を満たす孔型を有する4ロール
式のローラダイスユニット5を2基、その圧下方向を4
5°位相させて連設配置するようにする。 Ds−0.02≦Dd≦1.05×Dm ・・ 0.94×Ds≦Dm≦Ds ・・・・・・・ 1.01≦Df/Dm≦1.05 ・・・・・ ただし、 Dd:最下流の孔ダイス内径(mm) Ds:仕上げ目標線径(mm) Dm:円形孔型の溝底間寸法(mm) Df:円形孔型の縁部間寸法(mm)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、外径が2mm以
下、より詳しくは1mm前後の細径線材を高速伸線する
のに用いて好適な連続伸線装置と、この装置を用いた高
真円度の伸線方法に関する。
【0002】
【従来の技術】外径が1mm前後の細径線材は、通常、
次のようにして製造される。先ず、熱間圧延や熱間押出
などによって外径が5〜8mm程度の素線材を製造す
る。しかる後、この素線材を複数の孔ダイスを連設配置
した連続伸線装置に通して冷間にて縮径加工して製品線
材に仕上げる。
【0003】上記の連続伸線装置は、図5に示すよう
に、後段に向かうに従って内径が小さくされた円形断面
の孔を有する孔ダイス2、2、2、…と、円筒形の巻取
釜3、3、3、…とが交互に連設配置された装置であ
る。この連続伸線装置では、素線材SWを孔ダイス2、
2、2、…に通し、各孔ダイス2、2、2、…の出側に
配置された巻取釜3、3、3、…によって引抜きながら
その外径を順次縮径することで所定の外径を有する製品
線材Wに成形する。なお、図5中、1は巻戻し機、4は
巻取り機、2aはダイスホルダーである。
【0004】ところで、外径が1mm前後の細径線材製
品のうち、自動車用などのゴムタイヤの補強用に用いら
れる高炭素鋼製の高張力鋼からなるワイヤ(ビードワイ
ヤ、コードワイヤ)は、通常、上記の連続伸線装置を用
いて最下流の孔ダイス出側での伸線速度が毎分数百メー
トルというような高速度で製造されている。
【0005】にもかかわらず、最近は、より安価なワイ
ヤの供給が強く望まれており、生産能率の向上を図って
製品の製造コスト低減を図るべく、伸線速度をさらに増
加させて伸線加工を行うことがある。
【0006】しかし、伸線速度を上げると、ダイス磨耗
速度が著しく増加して孔ダイス2の内径が大きくなり、
これに伴って製品線材Wの外径が増大して許容寸法範囲
を外れるので、少なくとも最下流の孔ダイス2を頻繁に
交換する必要があった。例えば、製品線材の外径許容範
囲が±20μm以下で、かつ同一断面における最大外径
と最小外径との径差(真円度)が20μm以下である場
合、伸線速度を800m/minから1500m/mi
nに増加させると、15トン(ton)の伸線加工が可
能であったものが5トンの伸線加工を行った時点で最下
流の孔ダイス2を交換する必要があった。
【0007】孔ダイス2の交換は、その都度再度の通線
作業を必要とし、この通線作業に多大な手間と時間がか
かり、生産性が低下する。また、スクラップを発生さ
せ、材料歩留まりが低下する。この結果、かえって製品
線材Wの製造コスト上昇を招くという問題があった。さ
らに、断線を余儀なくされるので、長尺製品の製造がで
きなくなるという問題もあった。
【0008】すなわち、孔ダイス2の交換時における通
線作業は、通常、次のようにして行われる。まず、交換
対象の孔ダイス2から線材を引き抜くため、巻取り機4
に巻取られた製品線材Wと切り放すべく加工途中の線材
を切断する。次いで、切断された加工途中の線材を交換
対象の孔ダイス2から巻戻し機1の側に引き抜き、交換
対象の孔ダイス2をダイホルダー2aから取り外して新
たな孔ダイス2と交換する。そして、切断された加工途
中の線材先端部分を新たな孔ダイス2の孔径以下の外径
に縮径する口絞り加工と、この口絞り加工部分を新たな
孔ダイス2の孔に通してその先端を巻戻し機1に固定す
る、いわゆる通線作業を人手によって行う。
【0009】従って、加工途中での断線を余儀なくされ
る結果、長尺製品の製造が不可能になるのに加え、口絞
り加工された材料部分がゲージオフとなって製品となら
ず、スクラップになるので材料歩留まりが低下するので
ある。また、上記の口絞り加工と通線作業は人手によっ
て行われ、これらの作業に長時間を要するので、生産性
が低下するのである。さらに、口絞り加工を施す最小長
さは、通常、交換した新たな孔ダイス2から巻取り機4
までの長さである。しかし、最下流の孔ダイス2と巻取
り機4との間に材料の線癖を修正する矯正機が設けられ
ている場合は、その長さが長くなり、材料歩留まり低下
がより大きくなるのみならず、上記の口絞り加工と通線
作業にかかる時間がより長くなるので、生産性もより一
層低くなる。
【0010】これに対し、高速伸線を行っても工具磨耗
が少なく、長時間にわたって製品の外径を所望寸法に維
持でき、孔ダイスを用いた連続伸線法に比べて所望の寸
法を有する製品線材をより多く製造可能な伸線加工方法
としては、ローラダイス伸線法がある。
【0011】図6〜図8は、上記ローラダイス伸線法に
用いられる従来のローラダイス伸線装置を示す模式図で
ある。この従来のローラダイス伸線装置は、図6に示す
ように、図示しないベアリングを用いて自由回転自在に
軸支された一つの孔型ロール対31、31からなる複数
(図示例では3つ)の2ロール式のローラダイスユニッ
ト32を連設配置して構成されている。
【0012】上記各ローラダイスユニット32は、図7
に示すように、正面視で後述する楕円形状孔型34の溝
底部方向を90°位相させたA配置とB配置とで交互に
配置されている。
【0013】また、各ローラダイスユニット32の孔型
ロール31、31には、図8に示すように、それぞれぞ
れフランジ部近傍の曲率半径をその他の部分の曲率半径
よりも大きくした半楕円形状の溝33が形成されてお
り、全体として楕円形状の孔型34を形成するようにな
っている。
【0014】ここで、孔型34の形状が楕円形状とされ
ているのは、次の理由による。すなわち、孔型34を円
形にすると、孔型ロール31、31の溝33の幅方向中
央部(以下、単に溝底部という)間で圧下された材料
(素線材)がこの圧下方向と90°位相する方向に塑性
変形して拡がって孔型ロール31、31の相対向するフ
ランジ面間に形成されるロール隙間に噛み出すことにな
る。そして、このロール隙間から噛み出した材料部分が
後段のローラダイスユニットの溝底部で圧下されて外表
面疵(筋疵)になるのみならず、噛み出しが著しい場合
には、加工を継続することができなくなるからである。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のローラダイス伸線法は、製品線材の寸法精度、特に
真円度が悪いという致命的な欠点があった。これは、ロ
ーラダイスユニットの孔型形状が楕円形をしているため
であるが、真円度の向上を図るために、下流側のローラ
ダイスユニットでの加工量を小さくする一方、その孔型
形状をできるだけ円形に近づけて仕上げたとしても、孔
ダイスを用いた場合の製品線材の真円度には遠く及ばな
いのが実状である。
【0016】このため、寸法精度の厳しい製品線材を得
る場合には、上記のローラダイス伸線法で得られた線材
を再度孔ダイスを用いて最終仕上げ伸線する必要があっ
た。しかし、この場合における仕上げ孔ダイスの交換頻
度は、孔ダイスのみを用いて伸線加工する場合の仕上げ
孔ダイスの交換頻度と変わらず、生産性の向上は図り得
なかった。
【0017】なお、上記従来のローラダイス伸線法にお
いては、その孔型34が楕円形状であるので、ローラダ
イスユニット32にロールギャップ調整機構を付設し、
孔型ロール31、31の外周面に形成した溝33が磨耗
して加工後の線材外径が大きくなるようになった場合、
その溝底間寸法を調整することによって所望の外径を有
する製品線材を得ることが可能である。そして、この場
合は、孔型ロール31、31の交換が不要になるかもし
くはその交換回数が大幅に減り、通線作業とこれに伴う
上記の問題点が少なくなる。しかし、ローラダイスユニ
ット32にロールギャップ調整機構を付設することは、
設備費の上昇を招いて経済性が損なわれるほか、その管
理調整が極めて面倒で採用し難い。
【0018】このため、孔ダイスを用いた連続伸線法に
匹敵する真円度の確保は勿論、長時間にわたって所定の
外径を確保することのできる高速伸線可能な細径線材の
連続伸線装置とその伸線方法の開発が望まれていた。
【0019】本発明は、上記の実状に鑑みてなされたも
ので、その課題は、高速伸線を行っても高い真円度とほ
ぼ一定外径、具体的には外径が2mm以下であり、外径
の許容範囲が±20μm以下で、かつ同一断面における
最大外径と最小外径との径差(真円度)が20μm以下
というような製品線材を長時間にわたって製造すること
ができる、換言すれば孔ダイスの交換頻度が少なくてす
み、単位時間当たりに多量の製品線材を連続して製造す
ることができる細径線材の連続伸線装置と、その伸線方
法を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記
(1)の連続伸線装置と、(2)の細経線材の伸線方法
にある。
【0021】(1)円形断面の孔を有する孔ダイスと円
筒形の巻取釜とが交互に連設配置された連続伸線装置で
あって、最下流の孔ダイスの下流側に4ロール式のロー
ラダイスユニット2基をその圧下方向を45°位相させ
て連設配置してなることを特徴とする連続伸線装置。
【0022】(2)上記(1)に記載の連続伸線装置を
用いて細径線材を冷間にて連続的に伸線するに当たり、
最下流の孔ダイスとして下記式を満たす孔ダイスを用
いるとともに、4ロール式のローラダイスユニットとし
て下記および式を満たす円形孔型を形成する4個の
孔型ロールからなるローラダイスユニットを用いること
を特徴とする細径線材の伸線方法。
【0023】 Ds−0.02≦Dd≦1.05×Dm ・・ 0.94×Ds≦Dm≦Ds ・・・・・・・ 1.01≦Df/Dm≦1.05 ・・・・・ ただし、 Dd:最下流の孔ダイス内径(mm) Ds:仕上げ目標線径(mm) Dm:円形孔型の溝底間寸法(mm) Df:円形孔型の縁部間寸法(mm) 本発明者は、ローラダイスユニットとして従来の2ロー
ル式以外に4個の孔型ロールからなる4ロール式のもの
があることに注目し、本発明をなすに到った。
【0024】すなわち、4ロール式のローラダイスユニ
ットは、同一平面内に二つの孔型ロール対を90°位相
させて配置したもので、断面円形の被加工材料に対して
その円周方向の等配4個所、具体的には上下左右の4個
所から圧下力を集中的に作用させることができる。
【0025】このため、縮径に伴う材料のロール隙間方
向への塑性変形量が小さく、4個の孔型ロールの外周面
に成形された溝で形成される孔型形状を円形にしても、
ロール隙間への材料噛み出しが発生し難いという特性を
有している。従って、4ロール式のローラダイスユニッ
トを用いる場合には、その孔型形状を可及的に真円に近
い円形にすることが可能で、2ロール式のローラダイス
ユニットを用いた場合に比べて製品線材の真円度を向上
させることが可能である。
【0026】しかし、4ロール式のローラダイスユニッ
トは、2ロール式のものに比べて構造が複雑でその分だ
け高価であり、これを数多く用いたのでは設備費が高く
なって高速伸線による効果が相殺されてしまう。
【0027】そこで、従来の孔ダイスを連設配置した連
続伸線装置の最下流の孔ダイス(以下、この孔ダイスを
「仕上げ用ダイス」という)の下流側、具体的には最下
流の巻取釜の出側に、4ロール式のローラダイスユニッ
ト2基をその位相を45°ずらせて連設配置し、仕上げ
用ダイスの内径が摩耗して大きくなった時点以降におい
て上記2基の4ロール式ローラダイスユニットで仕上げ
伸線するようにした。
【0028】その結果、孔ダイスの交換に要する費用に
余る設備費の上昇に留まるこが判明した。また、この
時、仕上げ用ダイス、すなわち最下流の孔ダイスとして
上記式を満たすものを用いるとともに、4ロール式の
ローラダイスユニットとして上記および式を満たす
孔型を形成するものを用いると、高い真円度と所望の一
定外径を有する製品線材を単位時間当たりに可及的多く
製造し得ることを知見した。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の連続伸線装置と、この装置を用いた細径線材の伸線方
法について詳細に説明する。
【0030】まず、本発明の連続伸線装置について説明
する。
【0031】図1は、本発明にかかわる連続伸線装置の
全体構成を示す模式的側面図であるが、前述の図5に示
す従来装置と同一部材は同一符号を付して示し、その作
用などは同じであるので説明は省略する。
【0032】図1に示すように、本発明の連続伸線装置
は、従来装置における最下流の巻取釜3と巻取り機4と
の間に、2基の4ロール式のローラダイスユニット5、
5が配置されている。この4ロール式のローラダイスユ
ニット5、5は、その拡大図を図2に示すように、いず
れも4個の孔型ロール51、51、51、51からなっ
ている。
【0033】4個の孔型ロール51、51、51、51
は、図3(a)に示すように、2つのロール対とされ、
各ロール対を90°位相させて配置されており、その外
周面に成形された溝52、52、52、52により孔型
53を形成するようになっている。そして、その連設態
様は、上流側のローラダイスユニット5が図3(a)に
示すA配置であるのに対し、下流側のローラダイスユニ
ット5はその位相を45°傾けた図3(b)に示すB配
置とされている。
【0034】また、その孔型53は、図4に示すよう
に、ロール隙間への材料噛み出しを確実に防ぐために、
溝底間寸法Dmに対し、縁部間寸法Dfを若干大きくし
たほぼ真円に近い円形とされており、2基のローラダイ
スユニット5、5ともに同一の形状寸法とされている。
そして、その溝底間寸法Dmは、後に詳述する範囲内の
値に設定されている。
【0035】ここで、2基のローラダイスユニット5、
5を図3に示すA配置とB配置にして連設配置すること
にしたのは、上流側のローラダイスユニット5の孔型ロ
ール51の外周面に成形された溝52の縁部に対応して
外径が大きくなった部分を下流側のローラダイスユニッ
ト5の孔型ロール51の外周面に成形された溝52の溝
底部で圧下することによって真円度を向上させるためで
ある。また、ローラダイスユニット5を2基連設するこ
とにしたのは、3基以上連設配置しても設備費が高くな
るだけで、特別な効果が得られないからである。
【0036】上記のように構成された本発明の連続伸線
装置にあっては、2基のローラダイスユニット5、5に
よる縮径加工は伸線開始時から所定時間経過するまでの
間行われない。しかし、時間の経過とともに最下流の仕
上げ用ダイス2が磨耗し、その内径が大きくなるのに従
って2基のローラダイスユニット5、5による縮径加工
が行われる。
【0037】すなわち、最下流の仕上げ用ダイス2の出
側での伸線速度を、例えば1000m/min超の高速
にすると、仕上げ用ダイス2が早期に著しく摩耗し、そ
の内径が次第に大きくなって得るべき製品線材Wの目標
外径Ds(図2参照)よりも大きくなり、やがてその許
容範囲の上限値を超えるが、その外径はローラダイスユ
ニット5、5によって縮径されるので許容範囲内の外径
を有する製品線材Wが得られることになる。
【0038】この時、ローラダイスユニット5、5を構
成する孔型ロール51の溝52部(主として溝底部分)
は摩耗し始める。しかし、前述したように、ローラダイ
スユニット5、5では、孔型ロール51と被加工材料
(線材)との間の摩擦が小さいために、溝52部(主と
して溝底部分)の磨耗量が極めて少ない。
【0039】従って、孔型53の溝底間寸法Dmが目標
外径Dsを超え、その許容範囲の上限値を超えるまでに
は長時間かかる。この結果、この間は仕上げ用ダイス2
を交換することなく伸線を継続することが可能で、許容
寸法範囲内の外径を有する長尺の製品線材Wを連続して
製造でき、単位時間当たりの製造量が多くなって生産性
が飛躍的に向上する。
【0040】なお、図1に示す例では、従来装置におけ
る最下流の仕上げ用ダイス2(巻取釜3を含む)と巻取
り機4との間に2基のローラダイスユニット5、5を連
設配置したが、最下流の仕上げ用ダイス2(巻取釜3を
含む)に代えて2基のローラダイスユニット5、5を連
設配置するようにしてもよい。
【0041】しかし、この場合には、伸線開示時からロ
ーラダイスユニット5、5による仕上げ加工を行うこと
になる。この結果、孔型ロール51に伸線開始初期から
大きな付加(圧下力)がかかるために溝52の摩耗が比
較的早く進行し、孔型53の溝底間寸法Dmが目標外径
Dsを超え、その許容範囲の上限値を超えるまでに要す
る時間が若干短くなる。このため、時間が短くなった分
だけ製造量が少なくななり、生産性が低下する。従っ
て、ローラダイスユニット5、5は、図1に示す態様で
配置するのが最も望ましい。
【0042】次に、上記本発明の連続伸線装置を用い、
外径が2mm以下であり、外径の許容範囲が±20μm
以下で、かつ同一断面における最大外径と最小外径との
差(真円度)が20μm以下というような製品線材を得
るための条件について説明する。
【0043】先ず、ローラダイスユニット5の孔型53
の溝底間寸法Dmは、目標外径Dsの0.94〜1倍の
範囲内にする必要がある。
【0044】これは、孔型ロール51は、ベアリングを
用いて軸支されているので、加工時の反力により半径方
向に逃げる。このため、孔型53の溝底間寸法Dmを目
標外径Dsの1倍よりも大きくすると、適切な圧下を加
えることができず、仕上げ用ダイス2の摩耗による材料
径の変化を矯正できなくなり、加工後の製品線材Wの外
径を上記許容範囲の上限値以下にすることができなくな
るためである。一方、その値Dmを目標外径Dsの0.
94倍未満にすると、圧下力が大きくなりすぎてロール
隙間への材料噛み出しが発生するようになるためであ
る。
【0045】次に、孔型53の形状は、縁部間寸法Df
と溝底間寸法Dmとの比Df/Dmが1.01〜1.0
5の範囲内の形状にする必要がある。
【0046】これは、Df/Dmが1.01未満である
と、孔型形状があまりにも真円に近すぎるため、圧下が
加わった際にロール隙間への材料噛み出しが発生するた
めである。逆に、Df/Dmが1.05超であると、孔
型形状の真円度が悪くなり、目標とする20μm以下の
真円度を確保することができなくなるためである。
【0047】さらに、最下流の仕上げ用ダイスの内径D
dは、上記孔型53の溝底間寸法Dmの1.05倍以下
で、かつ目標外径Dsよりも所定値だけ小さい内径以
上、具体的には(Ds−0.02)以上にする必要があ
る。
【0048】これは、その内径Ddが孔型53の溝底間
寸法Dmの1.05倍超であると、上記範囲内の寸法と
形状を有する孔型53の場合、ロール隙間への材料噛み
出しが発生するためである。逆に、その内径Ddが(D
s−0.02)未満であると、製品線材Wの外径を目標
外径Dsの許容範囲にすることができなくなるためであ
る。
【0049】上記条件を満たす仕上げ用ダイス2と2基
の4ロール式ローラダイスユニット5、5とを備える本
発明の連続伸線装置を用いて伸線加工を行うと、伸線速
度を速くすることによって仕上げ用ダイス2が早期に摩
耗し、その内径が大きくなってもこれを直ちに新たな孔
ダイスに交換する必要がないので、許容範囲内の外径と
所定の真円度を有する製品線材Wを同一時間内に連続し
て多量に製造することができる。このことは、後述する
実施例の結果からも明らかである。
【0050】
【実施例】まず、孔ダイスを9枚連設配置する一方、最
下流の仕上げ用ダイスの出側に4ロール式のローラダイ
スユニット2基を連設配置してなる図1に示す構成の本
発明になる連続伸線装置を準備した。
【0051】孔ダイスとしては、超硬製(WC)で、最
下流の仕上げ用ダイスを除き、下記の内径を有するもの
を上流側から下流側に向けて順次配置した。4.76、
4.12、3.57、3.09、2.68、2.32、
2.01、1.74(単位:mm)。
【0052】ローラダイスユニットとしては、超硬製
(WC)で、外径80mmの孔型ロールからなり、その
孔型の溝底間寸法Dmと縁部間寸法Dfを種々変化させ
たものを準備し、下記の試験1〜3に応じてその都度取
り替えた。
【0053】そして、最下流の孔ダイス出側における伸
線速度を1500m/minとした条件のもとに、外径
5.50mmの高炭素鋼製の素線材を、目標外径Dsが
1.60mmで、外径の許容範囲が±20μm以下で、
かつ真円度(同一断面内の最大外径と最小外径との径
差)が20μm以下の製品線材に仕上げることにした。
【0054】この時、ローラダイスユニットの孔型ロー
ルには、噴射ノズルを用いて10リットル/min・基
の条件でソルブル油を吹き付けて潤滑処理した。また、
孔ダイスに対しては、線材が貫通通過するソルブル油槽
を各ダイスの入側に配置して潤滑処理した。
【0055】《試験1》上記条件のもとに、最下流の仕
上げ用ダイスとして、内径Ddが1.60mmのものを
セットする一方、ローラダイスユニットとして、溝底間
寸法径Dmが1.58mmの一定で、縁部間寸法Dfを
種々変えた5種類(1.59mm、1.60mm、1.
63mm、1.66mm、1.68mm)のものにセッ
ト替えして冷間にて伸線加工を行った。また、比較のた
めにローラダイスユニットをセットせず、前述の8枚の
孔ダイスと上記仕上げ用ダイス(Dd=1.60mm)
からなる9枚の孔ダイスのみによる伸線加工も行った。
【0056】そして、その伸線加工中にローラダイスユ
ニットのロール隙間から材料が噛み出して加工後の線材
表面に筋疵が発生するか、あるいは外径と真円度のいず
れか一方が上記の寸法仕様を満たさなくなるまでに連続
して加工できた製品線材の製造量(ton)を調べた。
その結果を、表1に示した。
【0057】
【表1】
【0058】表1に示す結果から明らかなように、ロー
ラダイスユニットの孔型形状と寸法が本発明で規定する
範囲内の本発明例(No. 2〜4)の場合には、表面に筋
疵がなく、しかも上記の寸法仕様を満たす製品線材を最
大25ton連続して製造することができた。
【0059】これに対し、Df/Dmの値が1.000
で、本発明で規定する下限値未満の比較例(No. 1)の
場合には、寸法は上記の仕様を満たすものの、ロール隙
間からの材料噛み出しが早期に起こって加工後の線材表
面に筋疵が発生するようになり、わずか4tonの製品
線材しか製造できなかった。また、Df/Dmの値が
1.063で、本発明で規定する上限値を超える比較例
(No. 5)の場合には、加工はじめから真円度が0.0
30mmとなって上記の寸法仕様を外れ、所定の製品線
材は全く得られなかった。
【0060】一方、孔ダイスのみによった従来例(No.
6)の場合には、最大外径が早期に上記の許容範囲を外
れるようになり、わずか5tonの製品線材しか製造で
きなかった。
【0061】《試験2》上記条件のもとに、ローラダイ
スユニットとして、溝底間寸法径Dmが1.58mm、
縁部間寸法Dfが1.63mmで、Df/Dm値が1.
032のものをセットする一方、最下流の仕上げ用ダイ
スとして、その内径Ddを種々変えた5種類(1.57
mm、1.58mm、1.64mm、1.67mm、
1.68mm)のものにセット替えして冷間にて伸線加
工を行った。
【0062】そして、上記の試験1と同様の調査を行っ
た。その結果を、表2に示した。
【0063】
【表2】
【0064】表2に示す結果から明らかなように、最下
流の仕上げ用ダイスの内径Ddが本発明で規定する範囲
内の本発明例(No. 8〜9)の場合には、表面に筋疵が
なく、しかも上記の寸法仕様を満たす製品線材を最大2
5ton連続して製造することができた。
【0065】これに対し、仕上げ用ダイスの内径Ddが
1.57mmで、本発明で規定する下限値未満の比較例
(No. 7)の場合には、材料噛み出しによる筋疵の発生
はないが、加工はじめから最大外径と真円度の両方が上
記の寸法仕様範囲を外れ、所定の製品線材は全く製造で
きなかった。また、Dd値が1.67mmで、本発明で
規定する上限値を超える比較例(No. 10)の場合に
は、ロール隙間からの材料噛み出による筋疵が加工はじ
めから発生し、所定の製品線材は全く製造できなかっ
た。さらに、上記同様に、Dd値が1.67mmで、本
発明で規定する上限値を超える比較例(No. 11)の場
合には、ロール隙間からの材料噛み出による筋疵が早期
に発生するようになり、わずか4tonの製品線材しか
製造できなかった。
【0066】《試験3》上記条件のもとに、最下流の仕
上げ用ダイスとして、内径Ddが1.60mmのものを
セットする一方、ローラダイスユニットとして、溝底間
寸法径Dmがそれぞれ1.50mm、1.52mm、
1.54mm、1.56mm、1.60mm、1.62
mmで、これらに応じて縁部間寸法Dfを種々変えてD
f/Dmの値を1.04一定とした5種類のものにセッ
ト替えして冷間にて伸線加工を行った。
【0067】ここで、上記の条件下において本発明で規
定する前述の条件とを同時に満たす溝底間寸法径D
m値は、1.524〜1.60mmである。すなわち、
その下限値は、条件より(Dd/1.05)で、Dd
=1.60mmであるから、1.60/1.05=1.
524mmとなる。また、その上限値は、条件より
(Dm≦Ds)で、Ds=1.60mmであるから、
1.60mmとなる。
【0068】そして、試験1および2と同様の調査を行
った。その結果を、表3に示した。
【0069】
【表3】
【0070】表3に示す結果から明らかなように、ロー
ラダイスユニットの孔型の溝底間寸法径Dmが本発明で
規定する範囲内の本発明例(No. 14〜16)の場合に
は、表面に筋疵がなく、しかも上記の寸法仕様を満たす
製品線材を最大25ton連続して製造することができ
た。
【0071】これに対し、ローラダイスユニットの孔型
の溝底間寸法径Dmが1.50mmおよび1.52mm
で、本発明で規定する下限値未満の比較例(No. 12、
13)の場合には、ロール隙間からの材料噛み出による
筋疵が早期に発生するようになり、わずか最大でも5t
onの製品線材しか製造できなかった。また、Dm値が
1.62で、本発明で規定する上限値を超える比較例
(No. 17)の場合には、最大外径が早期に上記の許容
範囲を外れるようになり、わずか5tonの製品線材し
か製造できなかった。
【0072】
【発明の効果】本発明の連続伸線装置によれば、最下流
の孔ダイスの下流側に、摩耗し難く、しかも高真円加工
が可能な4ロール式のローラダイスユニットを配置した
ので、摩耗に伴う孔ダイスの交換を頻度に行うことなく
高速伸線することができる。その結果、単位時間当たり
の製造量を飛躍的に増やすことができ、製品の製造コス
トを大幅に低減することができる。
【0073】また、本発明の製造方法によれば、許容寸
法範囲が±20μm以下で、しかもその真円度が20μ
m以下というような極めて厳しい寸法精度の要求される
外径2mm以下の細径線材製品を高能率に製造すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる連続伸線装置の全体構成例の一例
を示す模式的側面図である。
【図2】図1におけるC部の拡大図である。
【図3】4ロール式ローラダイススタンドのロール配置
を示す模式的正面図である。
【図4】4ロール式ロールダイスの孔型形状を示す模式
的正面図である。
【図5】従来の2ロール式ロールダイススタンドの配置
を示す模式的側面図である。
【図6】従来の2ロール式ローラダイススタンドのロー
ル配置を示す模式的正面図である。
【図7】従来の2ロール式ロールダイスの孔型形状を示
す模式的正面図である。
【図8】従来の孔ダイスを用いた連続伸線装置の全体構
成を示す模式的側面図である。
【符号の説明】
1:巻戻し機、 2:孔ダイス、 3:巻取釜、 4:巻取り機、 5:4ロール式のローラダイスユニット、 51:孔型ロール、 52:溝、 53:孔型、

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】円形断面の孔を有する孔ダイスと円筒形の
    巻取釜とが交互に連設配置された連続伸線装置であっ
    て、最下流の孔ダイスの下流側に4ロール式のローラダ
    イスユニット2基をその圧下方向を45°位相させて連
    設配置してなることを特徴とする連続伸線装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の連続伸線装置を用いて細
    径線材を冷間にて連続的に伸線するに当たり、最下流の
    孔ダイスとして下記式を満たす孔ダイスを用いるとと
    もに、4ロール式のローラダイスユニットとして下記
    および式を満たす円形孔型を形成する4個の孔型ロー
    ルからなるローラダイスユニットを用いることを特徴と
    する細径線材の伸線方法。 Ds−0.02≦Dd≦1.05×Dm ・・ 0.94×Ds≦Dm≦Ds ・・・・・・・ 1.01≦Df/Dm≦1.05 ・・・・・ ただし、 Dd:最下流の孔ダイス内径(mm) Ds:仕上げ目標線径(mm) Dm:円形孔型の溝底間寸法(mm) Df:円形孔型の縁部間寸法(mm)
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103203379A (zh) * 2013-03-28 2013-07-17 杭州桐庐华盛拉丝机械厂 拉丝收线联合机组
CN104826883A (zh) * 2015-05-06 2015-08-12 张家港市骏马钢帘线有限公司 一种钢帘线返工装置
CN110653273A (zh) * 2019-09-28 2020-01-07 浙江晋椿精密工业有限公司 一种高速高精度精线生产设备及其生产方法
CN114472566A (zh) * 2022-03-21 2022-05-13 江苏锡洲新材料科技有限公司 一种电磁线生产用拉丝机

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