JPH10212303A - ヒアルロン酸ナトリウム水溶液用安定化組成物 - Google Patents

ヒアルロン酸ナトリウム水溶液用安定化組成物

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JPH10212303A
JPH10212303A JP1833897A JP1833897A JPH10212303A JP H10212303 A JPH10212303 A JP H10212303A JP 1833897 A JP1833897 A JP 1833897A JP 1833897 A JP1833897 A JP 1833897A JP H10212303 A JPH10212303 A JP H10212303A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ヒアルロン酸ナトリウム水溶液にヨウ素含有
の還元剤及び/又は硫黄含有の還元剤を添加されてなる
ことを特徴とするヒアルロン酸ナトリウム水溶液用安定
化組成物。 【効果】 本発明を用いることにより、ヒアルロン酸ナ
トリウム水溶液の安定化に著しい効果を奏する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はヒアルロン酸ナトリ
ウム水溶液にヨウ素含有の還元剤及び/又は硫黄含有の
還元剤を添加されてなるヒアルロン酸ナトリウム水溶液
用安定化組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ヒアルロン酸は、N−アセチルグルコサ
ミン及びグルクロン酸単位の重合体であり、自然界に広
く存在し、多くの哺乳類中に見出され、高保湿性、高粘
弾性等の特性を有する。その特性を生かし、例えば、鶏
冠から抽出させたヒアルロン酸が、変形性膝関節症の治
療剤と使用され、また、ある種の微生物、例えば、スト
レプトコッカス属等の微生物により発酵法で産出された
より高分子量のヒアルロン酸も、その医薬品として開発
されつつある。また、ヒアルロン酸は、眼科手術時の補
助剤など他の医薬用剤や化粧品としても広く使用されて
いる。
【0003】ところで、ヒアルロン酸は、それ自体では
不安定な物質であるため、そのナトリウム塩の形で製剤
化して適用されているが、ヒアルロン酸ナトリウムさえ
も水溶液の状態においては安定性に欠けている。ヒアル
ロン酸ナトリウムの水溶液は、pHによってヒアルロン
酸ナトリウムの安定性が左右されると同時に、フリーラ
ジカルや金属など存在によってもヒアルロン酸ナトリウ
ムの分子量低下が起こり、安定性に欠ける。その安定性
欠如により高粘弾性などの特性が損なわれるため、ヒア
ルロン酸ナトリウム水溶液の状態での保存方法が問題と
なっている。そこで、安定性に優れたつまりヒアルロン
酸ナトリウムの分子量低下を抑制する、ヒアルロン酸ナ
トリウム溶液の安定化組成物が強く要望されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、このよ
うな状況のもとでヒアルロン酸ナトリウム水溶液中のヒ
アルロン酸ナトリウムの分子量低下を抑制し、この水溶
液の安定化につき鋭意研究を進めた結果、ヒアルロン酸
ナトリウム水溶液にヨウ素含有の還元剤及び/又は硫黄
含有の還元剤を添加することによってヒアルロン酸ナト
リウムの分子量低下が抑制され、より安定性が増すこと
を見出して本発明を完成させたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、ヒ
アルロン酸ナトリウム水溶液にヨウ素含有の還元剤及び
/又は硫黄含有の還元剤を添加されてなることを特徴と
するヒアルロン酸ナトリウム水溶液用安定化組成物であ
る。
【0006】本発明の好ましい実施態様としては、 (1)該ヨウ素含有の還元剤が金属ヨウ化化合物類であ
り、該硫黄含有化合物がチオ硫酸金属塩類、チオシアン
酸金属塩類、チオケトン類及びスルフィド類からなる群
より選ばれた化合物であるヒアルロン酸ナトリウム水溶
液用安定化組成物。 (2)該ヨウ素含有の還元剤及び/又は硫黄含有の還元
剤の添加量がヒアルロン酸ナトリウム1重量部に対し、
0.001重量部以上であるヒアルロン酸ナトリウム水
溶液用安定化組成物。が挙げられる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、ヒアルロン酸ナトリウム水溶液に対し、ヨウ
素含有の還元剤及び/又は硫黄含有の還元剤をヒアルロ
ン酸ナトリウム1重量部に対して0.001重量部以
上、好ましくはヒアルロン酸ナトリウム1重量部に対し
て0.001〜1重量部の量で配合して添加することに
より、ヒアルロン酸ナトリウム水溶液の安定性を高める
ものである。
【0008】本発明に用いられるヒアルロン酸ナトリウ
ムは、その由来は限定されるものではなく、鶏冠由来及
び微生物由来のいずれも用いることができる。本発明に
おいて、ヒアルロン酸ナトリウムとしては、その分子量
は特定されない。
【0009】本発明で使用するヨウ素含有の還元剤と
は、具体的にはヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨ
ウ化カルシウム、ヨウ化セシウム、ヨウ化バリウム、ヨ
ウ化マグネシウム、及びヨウ化リチウム等の金属ヨウ化
化合物類等であり、硫黄含有の還元剤とは、具体的には
チオ硫酸カリウム、及びチオ硫酸ナトリウム等のチオ硫
酸金属塩類、チオシアン酸カリウム、及びチオシアン酸
ナトリウム等のチオシアン酸金属塩類、チオ尿素、チオ
セミカルバジド、チオペンタール等のチオケトン類、L
−メチオニン等のスルフィド類等が挙げられる。
【0010】
【実施例】以下実施例により本発明を更に詳しく説明す
る。なお、本発明はこれにより限定されるものではな
い。
【0011】実施例1 ヒアルロン酸ナトリウム水溶液の調整(A液とする。) ヒアルロン酸ナトリウム(分子量約180万)を2mM
リン酸バッファーかつ0.9%塩化ナトリウム水溶液に
1重量%溶解した。
【0012】添加物溶液の調整(B液とする。) 添加物としてヨウ化カリウムを2mMリン酸バッファー
かつ0.9%塩化ナトリウム水溶液に0.9重量%溶解
させた。
【0013】試験方法 A液2.7mlに対し、B液を0.3ml添加した。最
終的にヒアルロン酸ナトリウムの濃度0.9重量%、ヨ
ウ化カリウムの濃度が0.09重量%になるように調整
した。つまり、ヒアルロン酸ナトリウム1重量部に対
し、ヨウ化カリウム0.1重量部になるように調整し
た。この溶液を60℃で保存し、2週間後の極限粘度を
測定し、その結果からLaurentの式により平均分
子量を求め、平均分子量の変化率を求めた。
【0014】実施例2 実施例1のB液における添加物としてヨウ化ナトリウム
を用いた以外は実施例1と同様の試験を行った。
【0015】実施例3 実施例1のB液における添加物としてチオ硫酸ナトリウ
ムを用いた以外は実施例1と同様の試験を行った。
【0016】実施例4 実施例1のB液における添加物としてL−メチオニンを
用いた以外は実施例1と同様の試験を行った。
【0017】実施例5 実施例1のB液における添加物としてチオシアン酸カリ
ウムを用いた以外は、実施例1と同様の試験を行った。
【0018】実施例6 実施例1のB液における添加物としてチオ尿素を用いた
以外は、実施例1と同様の試験を行った。
【0019】実施例7 添加物としてヨウ化カリウムを2mMリン酸バッファー
かつ0.9%塩化ナトリウム水溶液に0.09重量%溶
解させた(C液とする。)。実施例1におけるB液の替
わりにC液を0.3mlをA液2.7mlに添加した。
最終的にヒアルロン酸ナトリウムの濃度0.9重量%、
ヨウ化カリウムの濃度が0.009重量%になるように
調整した。つまり、ヒアルロン酸ナトリウム1重量部に
対し、ヨウ化カリウム0.01重量部になるように調整
した。この溶液を実施例1と同様に60℃で保存し、2
週間後の平均分子量の変化率を求めた。
【0020】実施例8 実施例7のC液における添加物としてL−メチオニンを
用いた以外は実施例7と同様の試験を行った。
【0021】実施例9 添加物としてヨウ化ナトリウム、チオ硫酸ナトリウムの
2種を2mMリン酸バッファーかつ0.9%塩化ナトリ
ウム水溶液にそれぞれ0.45重量%溶解させた(D液
とする。)。実施例1におけるB液の替わりにD液を添
加し、実施例1と同様に60℃で保存し、2週間後の平
均分子量の変化率を求めた。
【0022】実施例10 添加物としてヨウ化カリウム、L−メチオニンの2種を
2mMリン酸バッファーかつ0.9%塩化ナトリウム水
溶液にそれぞれ0.0045重量%溶解させた(E液と
する。)。実施例1におけるB液の替わりにE液0.3
mlをA液2.7mlに添加した。最終的にヒアルロン
酸ナトリウムの濃度0.9重量%、ヨウ化カリウム、L
−メチオニンそれぞれの濃度が0.00045重量%、
すなわち全添加物濃度が0.0009重量%になるよう
に調整した。つまり、ヒアルロン酸ナトリウム1重量部
に対し、全添加物0.001重量部になるように調整し
た。この溶液を実施例1と同様に60℃で保存し、2週
間後の平均分子量の変化率を求めた。
【0023】比較例1 実施例の比較として添加物を添加していない実施例1の
A液のみを60℃で保存し、実施例1と同時に試験を開
始し、同様に2週間後の平均分子量の変化率を求めた。
【0024】比較例2〜10 比較例1と同様に実施例2〜10のそれぞれ比較として
試験を行った。
【0025】実施例1〜10及び比較例1〜10の結果
を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
【発明の効果】以上のように、本発明におけるヒアルロ
ン酸水溶液用安定化組成物は、ヒアルロン酸水溶液にヨ
ウ素含有の還元剤及び/又は硫黄含有の還元剤が添加さ
れることによって、著しく安定性の向上が認められた。
従って、本発明により、ヒアルロン酸ナトリウム水溶液
を取り扱う際に、著しい利点をもたらし、変形性膝関節
症の治療薬などの医薬品や化粧品などの長期保存安定性
を増すことができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒアルロン酸ナトリウム水溶液にヨウ素
    含有の還元剤及び/又は硫黄含有の還元剤を添加されて
    なることを特徴とするヒアルロン酸ナトリウム水溶液用
    安定化組成物。
  2. 【請求項2】 該ヨウ素含有の還元剤が金属ヨウ化化合
    物類であり、該硫黄含有化合物がチオ硫酸金属塩類、チ
    オシアン酸金属塩類、チオケトン類及びスルフィド類か
    らなる群より選ばれた化合物である請求項1記載のヒア
    ルロン酸ナトリウム水溶液用安定化組成物。
  3. 【請求項3】 該ヨウ素含有の還元剤及び/又は硫黄含
    有の還元剤の添加量がヒアルロン酸ナトリウム1重量部
    に対し、0.001重量部以上である請求項1又は2記
    載のヒアルロン酸ナトリウム水溶液用安定化組成物。
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