JPH10212245A - アンジオテンシン変換酵素阻害剤 - Google Patents

アンジオテンシン変換酵素阻害剤

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JPH10212245A
JPH10212245A JP10026490A JP2649098A JPH10212245A JP H10212245 A JPH10212245 A JP H10212245A JP 10026490 A JP10026490 A JP 10026490A JP 2649098 A JP2649098 A JP 2649098A JP H10212245 A JPH10212245 A JP H10212245A
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leu
zein
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angiotensin converting
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  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れたアンジオテンシン変換酵素阻害作用を
有し、安全性が極めて高く、医薬品としてのみならず機
能性食品としても使用可能な特定のオリゴペプチド系ア
ンジオテンシン変換酵素阻害剤の提供。 【解決手段】 Leu−Pro−Proを有効成分とし
て含有するアンジオテンシン変換酵素阻害剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアンジオテンシン変
換酵素阻害剤に関し、特に近年増加の傾向にあり対策が
望まれている高血圧症の予防及び治療に有用な医薬品又
は食品に利用できることが期待されるアンジオテンシン
変換酵素阻害剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高血圧症の発症にはレニン−アンジオテ
ンシン系が深いかかわりを有していることがよく知られ
ているが、このレニン−アンジオテンシン系にはアンジ
オテンシン変換酵素(EC3.4.15.1、以下AC
Eとも言う)が重要な役割を果たしている。この場合A
CEは、肝で分泌されるアンジオテンシノーゲンが腎で
産生される酵素レニンにより分解されたアンジオテンシ
ンI(Asp−Arg−Val−Tyr−Ile−Hi
s−Pro−Phe−His−Leu)に対して作用
し、このものをアンジオテンシンII(Asp−Arg
−Val−Tyr−Ile−His−Pro−Phe)
に変換させる。そして、このアンジオテンシンIIは血
管壁平滑筋を収縮させて血圧を高め、さらに副腎皮質に
作用してアルドステロンの分泌を促進させるなどの作用
を有する。また、血漿に存在する酵素カリクレインはキ
ニノーゲンと呼ばれる蛋白質を分解し、血管を拡張させ
降圧させるブラジキニンを産生するが、このブラジキニ
ンはACEの作用により分解され、不活性化されてしま
う。このように、ACEは一方で昇圧性ペプチド(アン
ジオテンシンII)を生じさせるとともに、他方で降圧
性ペプチド(ブラジキニン)を分解し、結果として、血
圧を上昇の方向に進める。したがってこの酵素活性を抑
制することによって血圧上昇を防ぐこと(降圧)が可能
である。
【0003】ACE阻害物質としては蛇毒より得られた
数種のペプチド性阻害剤を初めとして、カプトプリル
(D−2−メチル−3−メルカプトプロパノイル−L−
プロリン)などの合成物質が多数知られており、このう
ちカプトプリルは経口降圧剤として既に実用に供されて
いる。また、近年、微生物あるいは種々の食品中にもA
CE阻害物質が見出され、降圧剤としての実用化が検討
されている。
【0004】また、牛乳カゼインのトリプシン加水分解
物由来のACE阻害物質を単離し、あるいはさらにペプ
チダーゼで処理し、これを血圧降下剤として用いること
が提案されている(特公昭60−23085号、同60
−23086号、同60−23087号、特開昭61−
36226号、同61−36227号)。また最近で
は、魚類タンパク質または大豆タンパク質のバチルス属
細菌由来のセリンプロテアーゼ、バチルス属細菌由来の
金属プロテアーゼまたは植物由来のチオールプロテアー
ゼによる加水分解物を血圧降下剤として用いることが提
案されている(特開昭62−169732号)。
【0005】一方、とうもろこしタンパク質はプロラミ
ンを50〜60%、グルテリンを35〜40%含み、主
成分であるプロラミンはゼイン(zein)と呼ばれ
る。ゼインはα、β、γの3種に分けられる(J.Ce
real Sci.,117(1987))。γ−ゼ
イン中にはVal−His−Leu−Pro−Pro−
Proを基本単位とする繰り返し構造が含まれている
(Nucleic Acids Res.13(5),
1493(1985))。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】新規有用な血圧降下剤
ひいてはアンジオテンシン変換酵素阻害剤は常に求めら
れている。また医薬品としてのみならず、日常の摂取を
通して高血圧等の種々の症状の予防等を図る機能性食品
も求められる昨今である。従って本発明は優れたアンジ
オテンシン変換酵素阻害作用ならびに血圧降下作用を有
し、安全性が極めて高く、医薬品としてのみならず機能
性食品としても使用可能な特定のオリゴペプチド系アン
ジオテンシン変換酵素阻害剤を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らはACE阻害
活性を有する物質を種々検索した結果、安価で最も一般
的な食品用タンパク質であるとうもろこしタンパク質中
のγ−ゼインを特定のプロテアーゼで加水分解して得ら
れる一定のペプチドがアンジオテンシン変換酵素阻害活
性を有すること、及び該ペプチドを用いることによって
上記課題を解決できることを見出した。すなわち本発明
はLeu−Pro−Proを有効成分として含有するア
ンジオテンシン変換酵素阻害剤を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明に使用するγ−ゼインとし
てはとうもろこし、またはコーンスターチの製造過程で
得られるとうもろこしタンパク質から分離したゼインタ
ンパク質から、常法に従って分離することができる(例
えばPlant Physiol.,80,623(1
986))。また参考例1にγ−ゼインの調製例を示
す。
【0009】本発明における加水分解は次の工程によっ
て行われる。 a) γ−ゼインはまずサーモライシン加水分解に付し
てVal−His−Leu−Pro−Pro−Proを
生成させる。すなわちまずγ−ゼインを水酸化ナトリウ
ム水溶液等のアルカリ溶液に溶解し、限外濾過により可
溶化した低分子夾雑物を除去する。ついで必要に応じp
H10〜12、温度80〜100℃で5分〜1時間処理
する等してγ−ゼインを変性させ、サーモライシンを働
きやすくする。この際低分子化した画分は限外濾過によ
り除く。
【0010】ついでpHを塩酸等で中性付近に調整し、
Ca含有緩衝液でpHを6〜9に調整し、温度を30〜
80℃に保ち、サーモライシンを加え1〜40時間酵素
反応を行わせる。緩衝液としては0.005〜0.01
M CaCl含有0.05Mトリス塩酸緩衝液(pH8
〜8.5)等が好適に用いられる。サーモライシンの使
用量は基質100重量部に対し0.1〜10重量部が適
当である。反応は例えば塩酸等の酸を添加してpH3以
下として酵素を失活させることにより終了させる。
【0011】反応後酵素液を限外濾過に付して通過する
低分子含有濾液を回収する。水酸化ナトリウム等のアル
カリ水溶液で濾液を中和後、濃縮し、カラムクロマトグ
ラフィー、例えばセファデックスLH−20カラムクロ
マトグラフィーに付し、各画分のHPLCによる溶出パ
ターンを合成Val−His−Leu−Pro−Pro
−Proのそれと比較することにより、Val−His
−Leu−Pro−Pro−Pro含有溶液を得る。こ
のものはカラムクロマトグラフィー、例えばSP−トヨ
パール650S陽イオン交換クロマトグラフィー、逆相
系HPLCなどによりさらに精製することができる。
【0012】b) 次にVal−His−Leu−Pr
o−Pro−Proをロイシンアミノペプチダーゼで加
水分解してHis−Leu−Pro−Pro−Proま
たはLeu−Pro−Pro−Proを生成させる。こ
の酵素反応は通常、pH6〜9の緩衝液中、30〜60
℃で1〜24時間行う。緩衝液としては0.05MMg
Cl含有0.1Mトリス塩酸(pH8.6)等を使用す
る。ロイシンアミノペプチダーゼの使用量は基質100
重量部に対し、0.1〜10重量部が適当である。
【0013】反応は例えば100℃で5分間加熱するな
どして終了させる。反応終了液から目的物の単離精製は
カラムクロマトグラフィー、例えば逆相系HPLCなど
によって行うことができる。目的物質の追跡はa)の場
合と同様合成ペプチドのHPLC溶出パターンの比較に
よって行うことができる。
【0014】c) 次にVal−His−Leu−Pr
o−Pro−Pro、His−Leu−Pro−Pro
−ProまたはLeu−Pro−Pro−Proをカル
ボキシペプチダーゼCで加水分解するか、温和な酸加水
分解に付すことにより各C末端Proを1つ外す。この
酵素反応は通常pH4〜7の緩衝液中30〜60℃で1
〜24時間行う。緩衝液としては0.1Mクエン酸緩衝
液等を使用する。カルボキシペプチダーゼCの使用量は
基質100重量部に対し0.1〜10重量部が適当であ
る。反応は例えば100℃で5分間加熱する等して終了
させる。
【0015】酸加水分解は通常、濃度0.1〜6規定の
塩酸等の酸を用い、温度80〜120℃で5〜120分
行う。反応は水酸化ナトリウム水溶液等で中和すること
により終了させる。いずれの場合も反応終了液から目的
物の単離精製はカラムクロマトグラフィー、例えば逆相
系HPLCなどによって行うことができる。目的物質の
追跡はa)の場合と同様合成ペプチドのHPLC溶出パ
ターンの比較によって行うことができる。なお、上記
b)の工程は必要に応じ行う。またb)とc)の工程を
共に行う場合いずれを先に行っても良い。
【0016】上記によって得られるアミノ酸重合度3〜
5のペプチドはACE阻害活性を示す。これらのペプチ
ドをACE阻害剤として使用する場合、これらのペプチ
ドは単独で含有されていても良く、また任意の割合の混
合物として含有されていても良く、さらに加水分解物由
来の他のペプチド、アミノ酸をマイナー成分として含有
していても良い。
【0017】当該ペプチドはそのまま、または通常少な
くとも1つの製剤補助剤と製剤組成物にして使用する。
本発明のペプチドは非経口的(すなわち、静脈注射、直
腸投与等)または経口的にヒトをはじめとする哺乳類に
投与し、各投与方法に適した形態に製剤することができ
る。
【0018】注射剤としての製剤形態は、通常滅菌水水
溶液を包含する。上記形態の製剤はまた緩衝剤・pH調
節剤(リン酸水素ナトリウム、クエン酸等)、等張化剤
(塩化ナトリウム、グルコース等)、保存剤(パラオキ
シ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル
等)等の水以外の他の製薬補助剤を含有することができ
る。該製剤は細菌保持フィルターを通す濾過、組成物へ
の殺菌剤の混入、組成物の照射や加熱によって滅菌する
ことができる。該製薬はまた殺菌固体組成物として製造
し、用時滅菌水等に溶解して使用することもできる。
【0019】経口投与剤は胃腸器官による吸収に適した
形に製剤する。錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、粉
末剤は常用の製剤補助剤、例えば結合剤(シロップ、ア
ラビアゴム、ゼラチン、ソルビット、トラガカント、ポ
リビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース
等)、賦形剤(ラクトース、シュガー、コーンスター
チ、リン酸カルシウム、ソルビット、グリシン等)、滑
沢剤(ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレ
ングリコール、シリカ等)、崩壊剤(ポテトスターチ、
カルボキシメチルセルロース等)、湿潤剤(ラウリル硫
酸ナトリウム等)を包含することができる。錠剤は常法
によりコーティングすることができる。経口液剤は水溶
液等にしたり、ドライプロダクトにすることができる。
そのような経口液剤は常用の添加剤例えば保存剤(p−
ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはプロピル、ソルビン
酸等)を包含していても良い。
【0020】本発明のACE阻害剤中の本ペプチドの量
は種々変えることができるが、通常1〜100%(w/
w)が適当である。本ACE阻害剤の投与量は有効成分
として0.5〜500mg/kg/dayが適当であ
る。なお、本発明のペプチドの急性毒性はいずれもLD
(ラット、経口投与)>5g/kgである。
【0021】また、本発明のペプチドは多量に摂取して
も生体に悪影響を与えない利点を有することから、その
まま、または種々の栄養分等を加えて、もしくは飲食品
中に含有せしめて血圧降下作用、高血圧予防の機能を持
たせた機能性食品、健康食品として食しても良い。すな
わち、例えば各種ビタミン類、ミネラル類等の栄養分を
加えて、例えば栄養ドリンク、豆乳、スープ等の液状の
食品や各種形状の固形食品、さらには粉末状としてその
ままあるいは各種食品へ添加して用いることもできる。
かかる機能性食品、健康食品としての本発明のACE阻
害剤中の本ペプチドの含有量、及び摂取量は上記製薬に
おけると同様で良い。
【0022】
【実施例】次に本発明を実施例により説明する。実施例
中、%は重量%を示す。実施例1 各オリゴペプチドの調製とACE阻害活性 a) Val−His−Leu−Pro−Pro−Pr
oの調製 γ−ゼイン0.5gを蒸留水25mlに分散させ、1N
NaOHでpH12に調整しγ−ゼインを溶解させ
た。ついで限外濾過膜としてアミコン社PM−10(分
画分子量10,000)を用いる限外濾過に付し、可溶
化した低分子夾雑物を除去した。内液にpH12のNa
OHを加え全容25mlとし、100℃で30分加熱し
γ−ゼインを変性させた。この処理で低分子化した画分
を除去するため再度上記と同じ限外濾過に付し、内液に
蒸留水を加え全容25mlとし、さらに1N HClで
中性にした。
【0023】全容に対し0.25容の0.05M Ca
Cl含有0.25MトリスHCl緩衝液(pH8.5)
を加え、37℃に保った後、サーモライシン(シグマ
社)18mgを加えた。40時間後、1N HClでp
H1.7に調整して反応を停止させ、前記と同じ限外濾
過に付して通過する低分子を回収した。これを1N N
aOHで中和後、濃縮した濃縮液をセファデックスLH
−20のカラムに添加し蒸留水で溶出させた(溶出条
件:カラム高さ70cm、内径1.6cm、試料添加量
2ml、流速33ml/hr)。
【0024】各画分の少量を用いてHPLCによる溶出
パターンを調べ、合成Val−His−Leu−Pro
−Pro−Proが示す溶出位置と同位置のピークを持
つ画分を回収した(HPLCの溶出条件:カラム ウォ
ーターズ社Radial PAK C−8、10μm、
試料添加量5μl、流速1ml/min、溶出リン酸緩
衝液(10mM KHPO,50mM NaSO,pH
3.0):アセトニトリル=2:3、検出UV210n
m)。
【0025】この画分を5mM緩衝液(pH4.0)で
平衡化したSP−トヨパール650Sカラムに添加し、
0〜0.3M NaClの直線濃度勾配で溶出し、HP
LCにて合成Val−His−Leu−Pro−Pro
−Proと同位置に溶出されるピークを持つ画分を回収
した(SP−トヨパール溶出条件:カラム高さ20c
m、内径1.6cm、流速100ml/hr、溶出5m
M酢酸緩衝液(pH4.0)を含む0〜0.3M Na
Cl。HPLCの溶出条件は前記と同じ)。
【0026】回収した画分を濃縮後、HPLCに付して
合成Val−His−Leu−Pro−Pro−Pro
と同位置のピークのみを分取し、pH2のHClで洗浄
した逆相シリカゲルカラムSepPAK C−18(ウ
ォーターズ社)に吸着させ、pH2のHClで混在する
塩を除去した後、メタノールで溶出させ、アミノ酸分析
を行った(分取時のHPLC溶出条件:試料添加量のみ
25μlで他は最初の場合の条件と同じ)。上記でアミ
ノ酸分析は試料を6N HClに溶解し、真空下110
℃で24時間加熱後アミノ酸分析計により行った。
【0027】この結果Leuを1としたモル比がVal
1.3、His 1.2、Leu1、Pro 3.1
となり、Val−His−Leu−Pro−Pro−P
roが回収できた。また、質量分析の結果は659(M
+1)であり、上記ペプチドの予想分子量と一致した。
【0028】b)Leu−Pro−Pro−Proの調
製 ロイシンアミノペプチダーゼ(ベーリンガーマンハイム
山之内社)(5mg/ml液状)を0.05M MgC
l含有0.1Mトリス塩酸(pH8.6)800μlに
溶解し酵素液とした。300μM Val−His−L
eu−Pro−Pro−Pro 50μlと酵素液20
0μlを混合し、37℃で23時間反応させた。反応
後、反応液よりHPLCで合成Leu−Pro−Pro
−Proと同位置に溶出されるピークを回収しアミノ酸
分析を行った(HPLC溶出条件:使用するリン酸緩衝
液のpHを2.5としたこと、及び試料添加量を10μ
lとした以外は最初の場合の条件と同じ)。この結果L
euを1としたモル比がVal 0.16、Leu
1、His0.19、Pro 2.51となり、Leu
−Pro−Pro−Proが回収できた。
【0029】c)Leu−Pro−Proの調製 6.3mM Leu−Pro−Pro−Pro 200
μlと12N HCl200μlを混合し、100℃で
10分加水分解反応に服せしめた。ついでHPLCによ
る溶出で合成Leu−Pro−Proと同位置のピーク
(3.18mm)を持つ画分が回収できた。(溶出条
件:カラム メルク社 Lichrosorb RP−
SelectB 5μm、流速1ml/min、溶出
リン酸緩衝液(pH2.5):アセトニトリル=5:
1、検出UV210nm)。
【0030】d)Val−His−Leu−Pro−P
roの調製 Val−His−Leu−Pro−Pro−Proより
上記c)と同様にして得た。
【0031】e)ACE阻害活性の測定 以上のようにして得た各ペプチドのACE阻害活性を以
下のごとく測定した。すなわちまず、5gのラビットラ
ングアセトンパウダーを50mlの0.1Mホウ酸ナト
リウム緩衝液(pH8.3)に溶かし、40,000
G、40分の条件下で遠心処理し、その上澄液をさらに
上記緩衝液で5倍に希釈して、アンジオテンシン変換酵
素液を得た。
【0032】各ペプチド溶液を試験管に0.03ml入
れ、これに基質として、0.25mlのヒプリルヒスチ
ジルロイシン(最終濃度5mM、NaCl 300mM
含む)を添加し、ついで上記アンジオテンシン変換酵素
液0.1mlを加え、37℃で30分間反応させた。そ
の後、1N塩酸0.25mlを添加して反応を停止させ
た後、1.5mlの酢酸エチルを加え、酢酸エチル中に
抽出されたヒプリル酸の228nmでの吸収値を測定
し、これを酵素活性とした。なお、この条件で本発明阻
害剤を含まない場合の228nmの吸収値はほぼ0.3
5であった。このような実験を複数行い、阻害率を次の
式より算出した。
【0033】
【式1】
【0034】A:阻害剤を含まない場合の228nm吸
収値 B:阻害剤添加の場合の228nm吸収値 そして、阻害率50%のときの阻害剤濃度Iを求めた。
結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】実施例2 Leu−Pro−Proの血圧
降下作用 体重200gのWistar系雄性ラット(日本ラット
(株)、1群5匹)をウレタン1.5g/kg腹腔内投
与により麻酔し、常法に従って総頸動脈圧をトランスデ
ューサー(SCK−590、日本光電(株))を介して
連続的に記録した。下腿静脈より、生理食塩水に溶解し
たLeu−Pro−Proを投与し、その5、15、2
5および35分後にアンジオテンシンI(ヒト配列、シ
グマ社)100ng/kgを繰り返し投与して、前後の
平均血圧の変化を測定した。対照としては、生理食塩水
を投与したものを用いた。結果を表2に示す。本ペプチ
ドは投与5分後のアンジオテンシンIによる昇圧を効果
的に抑制し、その作用は35分後にもなお持続してい
た。
【0037】
【表2】
【0038】実施例3 静脈注射剤 Leu−Pro−Proを20〜100倍(容積/重
量)の滅菌生理食塩水に溶解し、無菌的にフィルター
(孔径0.45μm)で濾過した濾液を注射剤とする。
【0039】実施例4 錠剤 Leu−Pro−Pro 7部 ヒドロキシプロピルセルロース 1部 ラクトース 10.9部 ポテトスターチ 1部 ステアリン酸マグネシウム 0.1部 ヒドロキシプロピルセルロース1部を含む60%エタノ
ール水溶液20部を調製し、本ペプチド7部およびラク
トース10.9部を加えて充分に混練した後、減圧下で
乾燥し、得られた乾燥物にポテトスターチ1部およびス
テアリン酸マグネシウム0.1部を加えて混和し、打錠
機により製錠する。
【0040】参考例1 γ−ゼインの調製 Esenの方法(J.Cereal Sci.,11
7(1987))に準じて行った。粉砕とうもろこし
(普通種デントコーン)100gに1% 2−メルカプ
トエタノールを含む60%イソプロピルアルコール水5
倍量を加え、60℃で2時間攪拌することにより全ゼイ
ン画分を抽出した。混合物を3,000Gで10分遠心
分離し、上清に等容の蒸留水及び0.02容の3M酢酸
ナトリウム水溶液を加え、少量の酢酸でpH6に合わせ
4℃で一晩静置してαおよびβ−ゼインを沈殿させた。
ついで3,000Gで10分遠心分離し、上清を凍結乾
燥し、乾燥物を少量の蒸留水に分散させ、透析チューブ
を用いて蒸留水に対して透析し、ついで凍結乾燥して、
淡黄色粉末としてγ−ゼイン0.4gを得た。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば優れたACE阻害作用な
らびに血圧降下作用を有するACE阻害剤が提供され
る。本発明のACE阻害剤は食品タンパク質由来のため
大量に摂取しても極めて安全性が高く、従って副作用を
示すこともない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12P 21/06 A61K 37/18 (72)発明者 田中 秀興 茨城県つくば市東1丁目1番3号工業技術 院微生物工業技術研究所内 (72)発明者 冨塚 登 茨城県つくば市東1丁目1番3号工業技術 院微生物工業技術研究所内 (72)発明者 三吉 新介 千葉県船橋市日の出2丁目20番2号昭産日 の出寮 (72)発明者 福井 史生 千葉県成田市中台1丁目2番117号

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Leu−Pro−Proを有効成分とし
    て含有するアンジオテンシン変換酵素阻害剤。
JP10026490A 1998-01-23 1998-01-23 アンジオテンシン変換酵素阻害剤 Expired - Lifetime JP2873327B2 (ja)

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