JP2003128694A - アンジオテンシン変換酵素阻害ペプチド - Google Patents

アンジオテンシン変換酵素阻害ペプチド

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JP2003128694A
JP2003128694A JP2001317693A JP2001317693A JP2003128694A JP 2003128694 A JP2003128694 A JP 2003128694A JP 2001317693 A JP2001317693 A JP 2001317693A JP 2001317693 A JP2001317693 A JP 2001317693A JP 2003128694 A JP2003128694 A JP 2003128694A
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angiotensin
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Minoru Sato
実 佐藤
Takao Hosokawa
貴生 細川
Katsura Funayama
桂 舩山
Akio Kobayashi
暁生 小林
Minoru Hashimoto
実 橋本
Taku Kahara
卓 加原
Takahisa Nakano
隆久 仲野
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Abstract

(57)【要約】 【課 題】 強力で特異的なアンジオテンシン変換酵
素阻害活性を有するペプチドを含むアンジオテンシン変
換酵素阻害剤、食品および医薬品を提供すること。 【解決手段】 わかめまたはその処理物を蛋白質分解酵
素で分解し、分解液から分取される、下記式Ala−T
rp(I)、Val−Trp(II)、Leu−Trp
(III)、Ile−Trp(IV)、Phe−Tyr
(V)、Val−Tyr(VI)またはIle−Tyr
(VII)のアミノ酸配列で表される、アンジオテンシ
ン変換酵素阻害ペプチド。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アンジオテンシン
変換酵素に対する阻害活性を有し、血圧降下などの機能
を発揮するペプチド、並びに該ペプチドを有効成分とす
るアンジオテンシン変換酵素阻害剤、および該ペプチド
を含有する食品または医薬品に関する。
【0002】
【従来の技術】高血圧は高脂血症、糖尿病、肥満と共に
動脈硬化を起こしやすい原因の一つである。高血圧症と
診断される人口は、日本で2000万人以上と推定さ
れ、その予備軍も相当数に上ると言われている。近年、
高血圧症の診断基準は厳しくなっているが、高血圧症は
サイレントキラーといわれ、無症状であるが放置してお
くと死を招き、生活習慣が重要と言われる疾病の一つで
ある。この高血圧症を改善するために多くの研究機関で
降圧剤や血圧を調節する食品成分の開発が積極的に進め
られている。
【0003】生体において、レニン−アンジオテンシン
系は血圧や体内の水分量と電解質のバランスを調節して
いる重要な因子である。腎臓の傍系球体細胞から循環血
液中に分泌されたレニンは、肝臓で生合成され血液中に
存在するアンジオテンシノーゲンに働いて、アンジオテ
ンシンIを作る。アンジオテンシンIは血管の内皮細胞
にあるアンジオテンシン変換酵素によりアンジオテンシ
ンIIになる。アンジオテンシンIIは、次の3つの主
要な生理作用をもっている。 血管の平滑筋を非常に強く収縮させて血圧を上昇させ
る。副腎皮質からアルドステロンの血液中の分泌を促
進する。腎臓の近位尿細管に働いて、糸球体で濾過さ
れたナトリウムの再吸収を高める。これらの作用はいず
れも血圧を上昇させるように作用する。さらに、アンジ
オテンシン変換酵素は血管の平滑筋を拡張させる作用が
あるブラジキニンを分解して不活性化する。このように
アンジオテンシン変換酵素はレニン−アンジオテンシン
系(昇圧系)の活性化と、カリクレイン−キニン系(降
圧系)の不活性化作用を同時に持っており、結果として
血圧を上昇させる作用を示す。従って、アンジオテンシ
ン変換酵素の活性を阻害するような物質は血圧の上昇を
抑制できるので、そこに焦点を合わせての医薬品および
阻害物質を含む食品が開発されている。
【0004】アンジオテンシン変換酵素阻害活性物質
は、化学的合成によるものの他に天然物を起源とするも
のが知られており、これまでに、マグロ(特許登録第2
049147号公報)、イチジクの樹液(特許登録第2
794094号公報)、ナンキョクオキアミ(特許登録
第2088612号公報)、大豆蛋白(特許登録第19
76328号公報)、いわし(特許登録第208603
2号公報)、カゼイン(特許登録第1814531号公
報)、かつお節(特開平04−69397号公報)、グ
ルテン(特開平04−66594号公報)、米蛋白(特
開平04−279529号公報)、などから得られたペ
プチドが開示されている。しかしながら、これらの中で
実用化されているものは非常に少ない。その理由として
は、経口摂取時の効果が不足していること、味・臭いが
悪く食品として適していないことなどが挙げられる。そ
こで、本発明者らは、経口投与しても効果があり、且つ
味・臭いに特異な厭味が少ないアンジオテンシン変換酵
素阻害物質としてわかめの酵素分解物が有効であること
を見出し、特願2000−329566号として特許出
願を行った。しかしながら、上記特願2000−329
566号に開示した酵素分解物は多様なペプチドを含む
混合物であり、その効果は必ずしも満足できるレベルに
まで達していなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、わか
めまたはその処理物を蛋白質分解酵素で分解することに
より、わかめの酵素分解物中に存在する強力で特異的な
アンジオテンシン変換酵素阻害活性を有するペプチドを
分取することを目的とする。また、本発明は、該ペプチ
ドを有効成分とするアンジオテンシン変換酵素阻害剤、
および該ペプチドを含有する食品(食品添加物を含む)
または医薬品(医薬原料であるものを含む)であるもの
を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、わかめの
蛋白質分解物中に存在する、強力で特異的なアンジオテ
ンシン変換酵素阻害活性を有するペプチドをペプチドレ
ベルで探索した結果、7種類のジペプチドを見出し、さ
らに種々検討を行った結果、本発明を完成するに至っ
た。
【0007】本発明は、わかめまたはその処理物を蛋白
質分解酵素で分解し、分解液から分取される下記式 Ala−Trp(I)、Val−Trp(II)、Le
u−Trp(III)、Ile−Trp(IV)、Ph
e−Tyr(V)、Val−Tyr(VI)またはIl
e−Tyr(VII)のアミノ酸配列で表される、アン
ジオテンシン変換酵素阻害ペプチドの少なくとも1つを
有効成分とするアンジオテンシン変換酵素阻害剤、およ
び該ペプチドを少なくとも1つ含有することを特徴とす
る食品または医薬品を提供する。
【0008】なお、本明細書中で、Alaはアラニン、
Trpはトリプトファン、Valはバリン、Leuはロ
イシン、Ileはイソロイシン、Pheはフェニルアラ
ニン、Tyrはチロシンを意味し、これらアミノ酸はい
ずれもL体である。
【0009】すなわち、本発明は、(1) わかめまた
はその処理物を蛋白質分解酵素で分解し、分解液から分
取される、下記式 Ala−Trp(I)、Val−Trp(II)、Le
u−Trp(III)、Ile−Trp(IV)、Ph
e−Tyr(V)、Val−Tyr(VI)またはIl
e−Tyr(VII)のアミノ酸配列で表される、アン
ジオテンシン変換酵素阻害ペプチド、(2) 上記
(1)記載ペプチドの、少なくとも1つを有効成分とす
ることを特徴とするアンジオテンシン変換酵素阻害剤、
(3) 上記(1)記載のペプチドの、少なくとも1つ
を含有することを特徴とする食品または医薬品、(4)
上記(1)記載のアミノ酸配列を有するペプチドを含
有することを特徴とする、わかめまたはその処理物の蛋
白質分解酵素による分解物、(5) わかめまたはその
処理物をアルギン酸リア−ゼと反応させ、ついで蛋白質
分解酵素と反応させることを特徴とする上記(1)記載
のペプチドまたは上記(4)記載のわかめまたはその処
理物の分解物の製造法、(6) 上記(1)記載の式
(I)、(II)、(III)または(IV)のアミノ
酸配列で表されるアンジオテンシン変換酵素阻害活性を
有するペプチド、に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明に係るペプチドは、わかめ
またはその処理物を蛋白質分解酵素で分解し、その分解
液を精製・分画することにより得られる。本発明におい
て用いられるわかめとしては芽かぶ、茎および葉のいず
れの部分を用いてもよい。また本発明において用いられ
るわかめとしては、例えば乾燥わかめ(例えばカットわ
かめ、素干しわかめなど)、ボイル塩蔵わかめ、塩蔵わ
かめ、生わかめなどのわかめ処理物のいずれでもよく、
また葉の厚さや色あるいは原料産地、形態も問わない。
【0011】わかめまたはその処理物を蛋白質分解酵素
で処理する前に、わかめの蛋白分解率の効率をよくする
とともに、製造工程を簡略化するために、アルギン酸リ
アーゼで前処理するのが好ましい。アルギン酸リア−ゼ
処理によって、わかめに存在するアルギン酸を除去して
おくと、わかめのペプチド粗画分を得るのに好都合であ
る。通常わかめはpH4以上の水溶液では、わかめに含
まれるアルギン酸が溶出するため処理液の粘度の上昇が
起こり、攪拌やその後の固液分離および限外濾過などの
工程を難しくする。アルギン酸リア−ゼで前処理しアル
ギン酸を低分子化すると、処理液の粘度が低下し作業性
が向上する。本発明において用いられるわかめは、アル
ギン酸リアーゼで処理する前に例えば超遠心粉砕機など
を用いて粉砕していてもよい。また、アルギン酸リア−
ゼ処理を行っても、得られるペプチド群生成物のアンジ
オテンシン変換酵素阻害活性の強さに変わりはない。
【0012】本発明において用いられる蛋白質分解酵素
としては、例えばBacillus属(例えばBaci
llus subtilis、Bacillus st
earothermophilus、Bacillus
licheniformisなど)の産生する酵素、
Aspergillus属(例えばAspergill
us niger、Aspergillus mell
ens、Aspergillus oryzaeなど)
の産生する酵素、Rhizopus属(例えばRhiz
opus niveus、Rhizopus dele
marなど)の産生する酵素、ペプシン、パンクレアチ
ン、パパインなどが挙げられる。本発明において用いら
れる蛋白質分解酵素としては、エンド型の酵素が適して
おり、このようなエンド型酵素としては、Bacill
us属の産生する酵素が挙げられ、好ましくはBaci
llus subtilisおよびBacillus
stearothermophilusなどが産生する
エンド型の酵素が挙げられる。これらの酵素は、単独ま
たは2種以上を順次作用させてもよい。
【0013】わかめまたはその処理物を蛋白質分解酵素
で分解する方法は、常法に従って行う。例えば、本発明
に係るペプチドを含有しているわかめを所望により水に
分散させた後、使用する酵素の至適温度まで加温し、p
Hを使用する酵素の至適値に調整し、酵素を加えてイン
キュベートする。酵素分解の温度およびpHは、その酵
素の至適温度、至適pHで行うことが反応時間の短縮や
酵素の安定性上望ましいが、それに限定されるものでは
なく、常識的に許容される範囲内の条件であればよい。
所定時間経過後に室温にて放冷し、酵素を失活させて得
た酵素処理液を遠心分離し、未分解の蛋白質を除去し上
清を得る。得られた上清を限外濾過処理し分子量1万以
下の粗ペプチド画分を得る。得られた粗ペプチド画分を
高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCと略す)
によって分画し、分画した各画分のアンジオテンシン変
換酵素阻害活性を検討することにより、優れたアンジオ
テンシン変換酵素阻害活性を有するペプチドを得る。
【0014】本発明で得られるペプチドは必要に応じて
適宜賦形剤などの添加剤と混合して例えば注射剤、粉
末、顆粒、錠剤、カプセル剤などの形態で製剤化するこ
とができる。さらに本発明で得られるペプチドは、味・
臭いに特異な厭味が少ないことから経口により摂取する
ことが可能である。そのため、本発明で得られるペプチ
ドそれ自体あるいは該ペプチドを含有する各種製剤を、
例えば飴、ゼリー、錠菓、飲料、スープ、麺、煎餅、和
菓子、冷菓、焼き菓子などの食品に配合・添加し、提供
することができる。
【0015】上記の各種製剤において用いられる添加剤
としては、例えば賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤など
が挙げられ、これら添加剤の種類は、特に限定されず、
通常の例えば注射剤、散剤、顆粒剤、錠剤あるいはカプ
セル剤などに用いられるものを使用することができる。
そのような添加剤としては、下記のものを挙げることを
できる。賦形剤としては、例えば結晶セルロースなどの
糖類、マンニトールなどの糖アルコール類、デンプン
類、無水リン酸カルシウムなどが挙げられる。結合剤と
しては、例えば澱粉類、ヒドロキシプロピルメチルセル
ローズなどが挙げられる。滑沢剤としては、例えばステ
アリン酸およびその塩、タルク、ワックスなどが挙げら
れる。崩壊剤としては、例えばカルボキシメチルセルロ
ースおよびそのカリウム塩類などが挙げられる。
【0016】製剤の調整にあたっては必要に応じメント
ール、クエン酸およびその塩類、香料などの嬌臭剤を用
いることができる。注射用の無菌組成物は、常法によ
り、本発明で得られるペプチドを、注射用水、生理食塩
水およびキシリトールやマンニトールなどの糖アルコー
ル注射液、プロピレングリコールやポリエチレングリコ
ールなどのグリコールに溶解または懸濁させて注射剤と
することができる。この際、例えば緩衝液、防腐剤、酸
化防止剤などを必要に応じて添加することができる。さ
らに、本発明で得られるアンジオテンシン変換酵素阻害
剤は、他の公知の高血圧抑制剤、例えばニフェジピン、
レセルピン、カプトプリルなどと併用してもよい。
【0017】本発明で得られるアンジオテンシン変換酵
素阻害剤を投与する場合、投与量は動物種、対象とする
患者の性別、症状、体重、年齢、血圧の程度などにより
異なるため一概には言えないが、一般的にヒトの成人に
対しては、通常1回約10mg〜2000mg程度であ
り、通常1日1〜3回程度の投与回数で効果が得られ
る。
【0018】本発明のペプチドは、優れたアンジオテン
シン変換酵素阻害作用を有し、血圧降下作用、ブラジキ
ニン不活化抑制作用を示す。従って、例えば本態性高血
圧症、腎性高血圧症、副腎性高血圧症、肺性高血圧症な
どの高血圧症の予防、治療、またこれらのうっ血性心不
全に対する臓器循環の正常化と長期予後の改善(延命効
果)作用を有し、心不全の治療剤として有効である。
【0019】
【実施例】以下の実施例によって本発明を詳細に説明す
る。
【0020】〔実施例1〕フレーク状乾燥わかめ100
gを水3kgに分散させ、これにアルギン酸リア−ゼ
(ナガセ生化学工業(株)製)4mgを添加して45
℃、pH7.0、8時間処理した。処理物を1500r
pmで5分間遠心分離し、沈殿物を得た。この沈殿物を
水1.5kgに懸濁分散させ、これにプロテアーゼS
「アマノ」(Bacillus stearothermophilus由来、天野
エンザイム(株)製)を30mg添加して70℃、pH
8.0で、16時間の酵素処理を行った。この酵素処理
液を室温まで放冷後、1500rpmで5分間遠心分離
し、上澄み液を得た。この上澄み液を限外濾過(旭化成
(株)製、PS−24001、分画分子量1万)処理し
て、透過液をロータリーエバポレーターにて濃縮後、真
空乾燥して粗ペプチド粉末10gを得た。該粗ペプチド
粉末をHPLCに供することにより分画し、各画分のア
ンジオテンシン変換酵素阻害活性を測定した。このとき
のHPLCの条件をHPLC条件Aとして後述する。ア
ンジオテンシン変換酵素阻害活性の測定は下記の方法で
行った。
【0021】アンジオテンシン変換酵素阻害活性測定法 ヒプリル−L−ヒスチジル−L−ロイシン(シグマ社
製)25mgをpH8.3のホウ酸緩衝液4.6mlに
溶解し、12.5mMのヒプリル−L−ヒスチジル−L
−ロイシン基質溶液を得た。アンジオテンシン変換酵素
阻害溶液は、アンジオテンシン変換酵素(シグマ社製)
0.25UをpH8.3のホウ酸緩衝液1mlに溶解
し、250mU/mlのアンジオテンシン変換酵素溶液
を得た。得られた試料を蒸留水に溶かした溶液35μl
を試験管に採り、これに基質溶液100μlおよびアン
ジオテンシン変換酵素溶液35μlを添加し、37℃で
1時間反応した後、0.5N塩酸125μlを添加して
反応を停止させ、2mlの酢酸エチルを加えて激しく振
とうした。その液を2500rpmで10分間遠心し
て、酢酸エチル層1.5mlを採取する。この酢酸エチ
ル層を窒素置換しながら減圧下で酢酸エチルを除去した
後、1MNaCl溶液700μlを添加して228nm
における吸光度により、抽出されたヒプリル酸の量を測
定して酵素活性とした。アンジオテンシン変換酵素阻害
活性は次式により算出した。 アンジオテンシン変換酵素阻害活性(%)=(Ec−E
s)/(Ec−Eb)×100 Es:試料を添加して反応させた時の吸光度 Ec:試料の代わりに緩衝液を添加した時の吸光度 Eb:アンジオテンシン変換酵素を添加せずに反応させ
た時の吸光度 阻害率50%時の酵素反応液中の阻害剤濃度をIC50
とする。
【0022】さらに、アンジオテンシン変換酵素阻害活
性の高い画分を処理条件を変えて繰り返し2回HPLC
に供し(HPLC条件BおよびHPLC条件Cとす
る)、アンジオテンシン変換酵素阻害活性を指標にペプ
チドを単離精製した。図1には1回目のHPLCの結果
および活性ペプチドの構造とリテンションタイムを示し
た。また、この場合のHPLC条件は次の通りである。
【0023】HPLC条件A(1回目) カラム:XTerra RP18、4.6×150mm
(Waters社製) A液:50mM酢酸アンモニウム溶液(pH10):ア
セトニトリル=99:1 B液:50mM酢酸アンモニウム溶液(pH10):ア
セトニトリル=5:95 流速:1ml/分 A液からB液への10分〜80分のリニアグラジエント 検出:220nm
【0024】HPLC条件B(2回目) カラム:Asahipak ODP−50 4D、4.
6×150mm(昭和電工(株)製) A液:50mM酢酸アンモニウム溶液(pH10):ア
セトニトリル=99:1 B液:50mM酢酸アンモニウム溶液(pH10):ア
セトニトリル=5:95 流速:0.5ml/分 A液からB液(10%)への0分〜15分のリニアグラ
ジエント 検出:220nm
【0025】HPLC条件C(3回目) カラム:RSpak DE−413、4.6×150m
m(昭和電工(株)製) A液:50mM酢酸アンモニウム溶液(pH10):ア
セトニトリル=99:1 B液:50mM酢酸アンモニウム溶液(pH10):ア
セトニトリル=5:95 流速:0.5ml/分 A液からB液(10%)への0分〜15分のリニアグラ
ジエント 検出:220nm
【0026】得られたアンジオテンシン変換酵素阻害作
用を有するペプチドのアミノ酸配列は、アミノ酸シーク
エンサー((株)島津製作所製 PPSQ−10)、日
本分光社製HPLCアミノ酸分析システム、およびWa
ters社製液体クロマトグラフ質量分析計を用いて分
析し、下記の構造を確認した。 Ala−Trp(I) Val−Trp(II) Leu−Trp(III) Ile−Trp(IV) Phe−Tyr(V) Val−Tyr(VI) Ile−Tyr(VII)
【0027】表1に各単離ペプチドのアンジオテンシン
変換酵素阻害活性IC50を示した。
【表1】 精製・分画前の酵素分解物のIC50値(86.0μg
/ml)と比べると、明らかに阻害活性が強くなってい
るのが分かる。
【0028】〔試験例1〕実施例1で単離した各ペプチ
ドを18〜20週齢の自然発症高血圧ラット雄(試験区
1群5〜6匹)に各1mg/kgの投与量を単回投与
(胃ゾンデによる強制投与)し、投与後24時間まで経
時的に血圧を測定した。開始時の血圧、最大降下時の血
圧、および24時間後の血圧変化を表2に示した。
【表2】 ※最大降下時( )は開始時との血圧差 この結果から明らかなように、わかめ由来の各単離ペプ
チドは、自然発症高血圧ラットにおいて強い血圧降下作
用を示した。
【0029】
【発明の効果】本発明で得られたペプチドは、精製・分
画前のわかめの酵素分解物に比べて強力なアンジオテン
シン変換酵素阻害活性を有し、強い血圧降下作用を示し
た。従って、本態性高血圧症、腎性高血圧症、副腎性高
血圧症などの高血圧症の予防、治療に有用である。ま
た、本発明で得られたペプチドは経口による摂取が可能
であることから、上記のような有用な作用を有する健康
食品や特定保健用食品としての利用が可能である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年10月23日(2001.10.
23)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】追加
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、1回目のHPLCの結果および活性
ペプチドの構造とリテンションタイムを示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 9/10 A61P 9/12 9/12 43/00 111 43/00 111 C07K 5/065 C07K 5/065 C12N 9/99 C12N 9/99 C12P 21/06 C12P 21/06 A61K 37/64 (72)発明者 小林 暁生 東京都板橋区若木1−15−10 理研ビタミ ン株式会社東京工場内 (72)発明者 橋本 実 東京都板橋区若木1−15−10 理研ビタミ ン株式会社東京工場内 (72)発明者 加原 卓 東京都千代田区三崎町2−9−18 理研ビ タミン株式会社内 (72)発明者 仲野 隆久 東京都千代田区三崎町2−9−18 理研ビ タミン株式会社内 Fターム(参考) 4B018 MD20 MD67 ME04 MF12 4B064 AG21 CA21 CC03 CD22 DA01 4C084 AA02 AA03 AA06 AA07 AA13 BA01 BA14 BA23 CA13 MA17 MA35 MA36 MA37 MA41 MA43 MA52 MA66 NA14 ZA362 ZA422 ZC202 4C088 AA13 AC05 CA12 CA14 CA17 CA25 MA17 MA35 MA36 MA37 MA41 MA43 MA52 MA66 NA14 ZA36 ZA42 ZC20 4H045 AA10 AA30 BA11 CA30 DA57 EA23 FA70

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 わかめまたはその処理物を蛋白質分解酵
    素で分解し、分解液から分取される、下記式 Ala−Trp(I)、Val−Trp(II)、Le
    u−Trp(III)、Ile−Trp(IV)、Ph
    e−Tyr(V)、Val−Tyr(VI)またはIl
    e−Tyr(VII)のアミノ酸配列で表される、アン
    ジオテンシン変換酵素阻害ペプチド。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のペプチドの少なくとも1
    つを有効成分とすることを特徴とするアンジオテンシン
    変換酵素阻害剤。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のペプチドを、少なくとも
    1つ含有することを特徴とする食品または医薬品。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のアミノ酸配列を有するペ
    プチドを含有することを特徴とする、わかめまたはその
    処理物の蛋白質分解酵素による分解物。
  5. 【請求項5】 わかめまたはその処理物をアルギン酸リ
    アーゼと反応させ、ついで蛋白質分解酵素と反応させる
    ことを特徴とする請求項1記載のペプチドまたは請求項
    4記載のわかめまたはその処理物の分解物の製造法。
JP2001317693A 2001-10-16 2001-10-16 アンジオテンシン変換酵素阻害ペプチド Withdrawn JP2003128694A (ja)

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WO2010000801A3 (de) * 2008-07-02 2010-12-09 Technische Universität Dresden Molkenproteinhydrolysate enthaltend tryptophanhaltige peptide aus alpha-lactalbumin und deren verwendung
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