JPH10209509A - 熱電変換装置およびその製造方法 - Google Patents

熱電変換装置およびその製造方法

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JPH10209509A
JPH10209509A JP9011640A JP1164097A JPH10209509A JP H10209509 A JPH10209509 A JP H10209509A JP 9011640 A JP9011640 A JP 9011640A JP 1164097 A JP1164097 A JP 1164097A JP H10209509 A JPH10209509 A JP H10209509A
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Japan
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thermoelectric semiconductor
thermoelectric
semiconductor
type thermoelectric
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JP9011640A
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English (en)
Inventor
Makoto Miyoshi
好 実 人 三
Yuichiro Imanishi
西 雄一郎 今
Keiko Kushibiki
引 圭 子 櫛
Masakazu Kobayashi
林 正 和 小
Kenji Furuya
谷 健 司 古
Kazuhiko Shinohara
原 和 彦 篠
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NGK Insulators Ltd
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
NGK Insulators Ltd
Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性に優れ、有害揮発成分を含まないシリ
コン−ゲルマニウム熱電半導体の特長を活かすと共に熱
膨張係数が小さいシリコン−ゲルマニウム熱電半導体の
短所を克服して、接合工程の熱処理時や高温での使用時
に接合不良を生じがたく、耐熱・耐久性に優れた熱電変
換装置を提供する。 【解決手段】 p型熱電半導体2pとn型熱電半導体2
nとが接合用ろう材3a,3bおよび電極層4a,4b
を介して電気的に接合された熱電変換装置1において、
p型熱電半導体2pおよびn型熱電半導体2nの少なく
とも接合端部の主成分がシリコン−ゲルマニウムであ
り、熱電半導体2p,2nの少なくとも接合端部の相対
密度が70%以上94%以下であるものとした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱源から熱起電力
を取り出すのに利用される熱電変換装置に関し、また、
その製造方法に関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】p型熱電半導体とn型
熱電半導体が電気的に接合した接合部を持つ熱電変換素
子対において、接合部を高温にしかつ熱電半導体の他方
を低温にすると、温度差に応じた熱起電力が発生する現
象があり、これをゼーベック効果と称している。
【0003】また、上記熱電変換素子対において、一方
の熱電半導体から他方の熱電半導体に電流を流すと、一
方の接合部では熱を吸収し、他方では熱を発生する現象
があり、これをペルチェ効果と称している。
【0004】さらに、p型熱電半導体またはn型熱電半
導体の一方を高温にしかつ他方を低温にして温度勾配に
沿って電流を流すと、電流の方向によって半導体の内部
で熱の吸収または発生を生じる現象があり、これをトム
ソン効果と称している。
【0005】このような効果を利用した熱電変換装置
は、振動,騒音,摩耗等を生じる可動部分が全くなく、
構造が簡単で信頼性が高く、高寿命で保守が容易である
という特長を持った簡略化されたエネルギー直接変換装
置となりうるものである。
【0006】このような熱電変換装置は、p型熱電半導
体とn型熱電半導体が電気的に接合した構成の熱電変換
素子対を1対以上そなえており、素子対接合部はp型熱
電半導体とn型熱電半導体が直接電気的に接合した構
成、あるいは、p型熱電半導体と電極とn型熱電半導体
とが電気的に(すなわち、間接的に)接合した構成をと
るのが普通である。
【0007】このような構成の熱電変換装置には、熱電
変換素子対の両端に設定した温度差に依存して起電力を
取り出す前記ゼーベック効果を利用した熱電発電装置
や、両端に印加した電圧に依存して温度差を生じさせる
ことにより一端を冷却する前記ペルチェ効果を利用した
熱電冷却装置などがある。
【0008】一般的に、熱電発電装置は、熱電冷却装置
に比べて、熱電変換素子対の高温端側の温度が高くな
る。特に、自動車排気熱や燃焼熱を熱源とする排熱利用
した熱電発電装置に使用するためには、高温端は800
℃程度にまで上昇する場合があることが予想される。そ
して、500℃以上においても発電効率が良好でしかも
耐熱性にすぐれている熱電半導体として、シリコン−ゲ
ルマニウムが適していることが知られている。
【0009】しかし、高温端側の接合部分においては、
高温に起因する破壊や剥離、発電出力の低下などの問題
がある。
【0010】そこで、これらの問題を解決するための素
子対の構造あるいは製造方法に関して開示されているい
くつかの従来例がある。
【0011】(1) 例えば、p型熱電半導体およびn
型熱電半導体の両原料粉末を1つの成形型内において左
右に分けて詰め、一体で成形・焼結することにより、直
接接合する方法がある(持丸敏昭,新素材 4月号 p
42(1995))。
【0012】この方法では、p型熱電半導体とn型熱電
半導体とが直接接合した構成であって、電極層および接
合層を介在しない構成であるため、接合部の耐熱性は満
足できるものであるという特長がある。
【0013】(2)一方、p型シリコン−ゲルマニウム
系半導体およびn型シリコン−ゲルマニウム系半導体を
それぞれ電極材である高ドープSi板と拡散接合する方
法がある(G.Fly,Proc. 16th IEC
EC,II,307−12(1981))。
【0014】この場合の拡散接合は、母材の融点以下の
温度で加圧し、接合面間の原子の拡散を利用して接合す
る方法で、拡散を促進するためにインサート金属を挟ん
で接合する手法がある。
【0015】具体的には、熱電半導体であるPあるいは
BをドープしたSiGe−5mol%GaPとイン
サート金属に相当するSiGe合金3μmをコーテ
ィングしたBドープSi電極材を拡散接合する方法が示
されている。この方法では、各材料を積層し、温度約1
250℃、圧力約140MPaの接合条件で接合できる
ことが報告されている。そして、相互拡散反応する結
果、接合後は光学顕微鏡視野で明確な接合層が形成され
ていない構成のものとなっていて、熱電半導体と電極の
接合部の耐熱性は高いという特長がある。
【0016】(3)また、シリコン−ゲルマニウム半導
体に電極材を溶射法あるいはイオンプレーティング法に
より形成する製造方法が開示されている(特開平7−3
07494号)。
【0017】この方法は、電極層を直接半導体上に形成
するものであって、特に溶射法では厚膜形成が容易であ
るという特長がある。
【0018】(4)他方、別の素子対接合部の構成およ
び製造方法として、低温域で使用するビスマス−テルル
系や鉛−テルル系熱電半導体に対して、熱電半導体と電
極をろう付け接合あるいは半田付け接合する方法が開示
されている。
【0019】このうち、ろう付け接合は、母材間に溶融
金属(ろう)を添加し、母材とのぬれおよび流れを利用
して接合する方法であり、半田付け接合は、ろう付け接
合の一種である。この場合、ろう付け工程時に、ろう材
と母材が過剰に反応しないことが重要で、ビスマス−テ
ルル系や鉛−テルル系熱電半導体に対しては、熱電半導
体とろう材との過剰反応を抑制するために拡散バリア層
を形成する具体的な接合端層構成やろう付け方法が提案
されている。
【0020】例えば、拡散バリア層としてNiやAu層
を熱電半導体層と電極層の間に介在させた層構成や、メ
ッキ法などのCVD法や蒸着法やスパッタリング法など
のPVD法による製造方法がある(特開平5−4154
3号,特開平5−55638号等)。このようなろう付
け接合あるいは半田付け接合による方法は、大量生産に
適するメリットがあるという特長がある。
【0021】(5)さらに、鉄シリサイド系熱電半導体
に対しては、Ti系活性金属のろう材でろう付け接合し
た構成の熱電変換素子対を提案しているものがある(特
開平6−97512号)。具体的には、鉄シリサイド系
熱電半導体をCu電極にNi−Cu/Ti/Ni−Cu
三層複合ろう材を使用して900℃でろう付けするもの
である。
【0022】しかしながら、上記(1)の従来技術で
は、p型熱電半導体およびn型熱電半導体の両原料粉末
を1つの成形型内において左右に分けて詰め、接合部の
みが混合するが他の部分は混合しないように詰めるの
で、この工程は極めて煩雑である。また、接合部近傍に
p,n両方の不純物が混在するため、モビリティーが低
下して、電気伝導度が低下する場合があるなど、接合部
の特性が成形型ごとに安定しない問題がある。
【0023】さらに、この製造方法では、熱電変換素子
対を一つずつ加圧成形あるいはホットプレス焼結する必
要があるため、数対の熱電変換素子対からなる例えばろ
うそくを熱源とした非常用発電器やガスコンロ用火炎発
電器などは生産できるが、車載用や排熱利用発電装置な
どのような数百以上の素子対からなる熱電発電装置を量
産することはできないという問題点があった。
【0024】さらにまた、素子対を一つずつ加工して形
状を整えたのち、複数連結して熱電変換装置に組み立て
るので、コンパクトに組み上げることが難しく、発電電
力の割りにサイズが大きな熱電変換装置になってしまう
という問題があった。
【0025】また、上記(2)の従来技術では、製造す
るに際してかなりの高圧を必要とするため、大掛かりな
加圧加熱装置が必要である。この従来技術(2)の熱電
変換装置は、木星探査宇宙船用電源を意図して開発され
たもので、少量生産を前提としているのであるが、同様
の製造方法で車載用や排熱利用発電装置などの熱電発電
装置を量産することは困難である。また、熱電半導体の
熱電変換効率は熱伝導度の逆数に比例するが、この製造
方法では接合形成時に加圧加熱するため、熱電半導体の
焼結密度や結晶性が向上して、熱伝導度が上昇してしま
い、熱電変換効率が低下する場合があるという問題点が
あった。
【0026】さらに、上記(3)の従来技術のうち溶射
法では、溶融した電極材の微粒子をある程度の運動エネ
ルギーで熱電半導体に吹き付けて膜形成し、また、イオ
ンプレーティング法では、イオン化した原子レベルの粒
子を加速して熱電半導体に照射して膜成形するため、微
粒子やイオンが到達した熱電半導体の表面部分は局所的
に急加熱する。そして、熱電変換効率の指標である性能
指数が大きい熱電半導体では、一般的に熱伝導度が低い
ので、溶融微粒子やイオンが到達した局所部分とその周
辺部とに大きな温度差が生じることから、熱伝導度が高
い金属母材に膜形成する場合と比べものにならないほ
ど、熱電半導体の接合端部は熱衝撃を受ける。
【0027】そのため、熱電半導体内部や熱電半導体と
電極との接合界面部分にクラックが入り易く、半導体−
電極間の接触抵抗が高くなるなどの不具合が発生する割
合が大きいという問題があった。また、形成した電極層
の残留内部応力が大きいため、特に急激に加熱冷却され
るような場合に、熱電半導体と電極層との界面部分でク
ラックが発生して、熱電変換装置が高抵抗化したり、発
電出力が低下したりするなど、耐久性が十分満足できる
ものではないという問題点があった。
【0028】さらにまた、上記(4)の従来技術では、
車載用やその他排熱利用発電装置などの熱電変換装置の
場合に利用できる温度は300〜900℃の高温である
ので、ビスマス−テルル系や鉛−テルル系の熱電半導体
では耐熱性が不十分であるという問題点があった。
【0029】さらにまた、上記(5)の従来技術におい
ては、熱電変換効率の指標となる鉄シリサイド系材料の
性能指数Z値(=ασ/κ,α=ゼーベック係数,σ
=電気伝導度,κ=熱コンダクタンス)は一般的にシリ
コン−ゲルマニウム系材料のZ値より小さいため、同等
の発電電力を得るためには、熱電変換装置内の素子対数
をシリコン−ゲルマニウム系材料を使用した場合より増
加させる必要があるため、熱電変換装置が大型化してし
まい、車載用などの熱電変換装置取付けスペースが限定
されている場合には、取付けが困難であるという問題点
があった。
【0030】
【発明の目的】本発明は、上記した従来の問題点に鑑み
てなされたものであって、上記問題をを解決し、車載用
やその他の排熱利用発電装置などの熱電発電装置に適用
した熱電変換装置を提供し、しかも、このような熱電変
換装置を大量生産に適した製造工程で製造できるように
することを目的としている。
【0031】具体的には、高温端接合部の耐熱性に優
れ、熱電変換効率が良い温度範囲で使用でき、接合部で
の発熱損失が少ない熱電変換装置を使用目的に適合した
形状に、高温・高圧反応装置のような大掛かりな装置を
必要とせずして製造できるようにすることを目的として
いる。また、接合部の製造歩留まりが高く、高発電出力
の熱電変換装置を安定して大量生産できるようにするこ
とを目的としている。
【0032】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる熱電変換
装置は、請求項1に記載しているように、p型熱電半導
体とn型熱電半導体が電気的に接合された接合部をもつ
熱電変換装置において、p型熱電半導体およびn型熱電
半導体の少なくとも接合端部ないしは全部の主成分がシ
リコン−ゲルマニウムであり、熱電半導体の少なくとも
接合端部ないしは全部の相対密度が70%以上94%以
下であるものとしたことを特徴としている。
【0033】同じく、本発明に係わる熱電変換装置は、
請求項2に記載しているように、p型熱電半導体とn型
熱電半導体が電気的に接合された接合部をもつ熱電変換
装置において、電極層,接合層および/または中間層と
接合しているp型熱電半導体およびn型熱電半導体の少
なくとも接合端部ないしは全部の主成分がシリコン−ゲ
ルマニウムであり、熱電半導体の少なくとも接合端部な
いしは全部の相対密度が70%以上94%以下であるも
のとしたことを特徴としている。
【0034】そして、請求項1または2に記載の熱電変
換装置の実施態様においては、請求項3に記載している
ように、p型熱電半導体とn型熱電半導体が電気的に接
合された接合部をもつ熱電変換装置において、p型熱電
半導体およびn型熱電半導体の接合端部がそれぞれ直接
電極層と接合しているものとすることができる。
【0035】また、本発明に係わる熱電変換装置の製造
方法は、請求項4に記載しているように、p型熱電半導
体およびn型熱電半導体の接合端部がそれぞれ直接電極
層と接合している請求項3に記載の熱電変換装置を製造
するに際し、電極層を成膜法で形成するようにしたこと
を特徴としている。
【0036】さらに、請求項2または3に記載の熱電変
換装置の実施態様においては、請求項5に記載している
ように、p型熱電半導体およびn型熱電半導体の接合端
部と電極層との間に中間層が少なくとも一層形成されて
いるものとすることができる。
【0037】また、本発明に係わる熱電変換装置の製造
方法は、請求項6に記載しているように、p型熱電半導
体およびn型熱電半導体の接合端部と電極層との間に中
間層が少なくとも一層形成されている請求項5に記載の
熱電変換装置を製造するに際し、熱電半導体に直接形成
される中間層を成膜法で形成するようにしたことを特徴
としている。
【0038】本発明に係わる熱電変換装置の実施態様に
おいては、請求項7に記載しているように、p型熱電半
導体とn型熱電半導体が電気的に接合された接合部をも
つ熱電変換装置において、p型熱電半導体およびn型熱
電半導体の接合端部がそれぞれ接合層を介して電極層と
接合しているものとすることができる。
【0039】そして、請求項7に記載の熱電変換装置の
実施態様においては、請求項8に記載しているように、
p型熱電半導体およびn型熱電半導体の接合端部と接合
層との間に中間層が少なくとも一層形成されているもの
とすることができる。
【0040】また、本発明に係わる熱電変換装置の製造
方法は、請求項9に記載しているように、p型熱電半導
体およびn型熱電半導体の接合端部と接合層との間に中
間層が少なくとも一層形成されている請求項8に記載の
熱電変換装置を製造するに際し、熱電半導体に直接形成
される中間層を成膜法で形成するようにしたことを特徴
としている。
【0041】
【発明の作用】熱電発電装置などの熱電変換装置は、p
型熱電半導体とn型熱電半導体が電気的に接合した熱電
半導体素子対を複数個電気的に接続して構成される。そ
して、熱電発電装置の高温端の温度は高いので、耐熱性
を向上させるため、一般的に、熱電発電装置内の熱電半
導体素子対の高温端の面積を小さくして、素子対の構成
数を多くする方が良い。
【0042】特に、自動車排気熱や、その他内燃機関の
排熱、ごみ焼却排熱などの燃焼排熱を利用した熱電発電
装置の場合は、一つの熱電発電装置の中に使用される素
子対の数は数百から、多い場合は数千対におよぶ。これ
らの素子対は電気的に直列あるいは並列に接続して、発
電出力を取り出す仕組みとなる。この場合、どれくらい
の素子対数を直列に接続するかは、素子対の熱電変換能
力、熱源温度、低温端側の冷却能力と取り出したい電流
電圧によって設計される。
【0043】しかし、発電電圧が使用しやすく、昇圧作
業などによる発電損失が少ない電圧を得るためには、最
低でも数対から数十対程度は直列に接続しなければなら
ない。この直列接続素子対群を1単位の熱電変換装置と
して考えると、設計上も容易であり、熱源の形状などに
合わせて熱電変換装置を組み付ける発電システムの製造
工程においても作業性がよい。
【0044】この熱電変換装置を製造することを考える
と、モジュール内で、半導体接合部の数は、p型および
n型熱電半導体の両端で、直列接合素子対の数の4倍に
達する。これらの接合部の内、一個所でも断線していれ
ば、そのモジュールの発電出力はゼロになってしまう。
つまり、数十素子対×4個所の接合部が、全て良好であ
る場合に、始めてモジュールの良品が一品できあがるこ
とになる。
【0045】接合不良の発生率が、熱電変換装置中の接
合部数の逆数を上回る場合は、熱電変換装置が全く製造
できないことになってしまう。また、同様に、熱電発電
装置の使用中においても、一個所断線すれば、電気的に
直列に接続されている素子対部分は全て機能しなくなっ
てしまうことになる。
【0046】このようにある程度の素子対を集積した熱
電発電装置を一単位として製造する場合は、接合不良の
発生率の低減は、極めて重要な課題であるところが、シ
リコン−ゲルマニウム熱電半導体は、鉛テルル系や鉄シ
リサイド系などの他の熱電半導体に比較して、接合不良
の発生率が高いという問題がある。つまり、シリコン−
ゲルマニウム熱電半導体は、耐熱性が高く、有害揮発成
分を含まないので、自動車排気熱や、その他の燃焼排熱
を利用した熱電発電装置に適する長所があるが、他の熱
電半導体に比較して、熱膨張係数が小さい。
【0047】それゆえ、電極層や中間層や接合層などに
使用することができ、シリコン−ゲルマニウムと反応し
過ぎない金属を主成分とする材料に対しては、これらの
材料の熱膨張係数とシリコン−ゲルマニウムの熱膨張係
数との差は大きい。したがって、長所であるはずの高温
に接合部がさらされた場合は、両者の熱膨張差はさらに
大きくなる。
【0048】そのため、接合工程の熱処理時や高温使用
時に、熱膨張差に起因して、シリコン−ゲルマニウム熱
電半導体の接合端部とこれに接触する電極層や中間層や
接合層などの層との界面でクラックが発生して、高抵抗
化したり、あるいは、断線する接合部不具合が度々生じ
やすいという問題があった。
【0049】我々は鋭意研究の結果、シリコン−ゲルマ
ニウム熱電半導体部全体の相対密度、あるいは半導体部
の相対密度が発生電流方向に段階的もしくは無段階的に
変化している場合は、少なくとも接合端部の相対密度が
70%以上94%以下の場合に、接合不具合の発生率が
著しく減少することを見い出した。
【0050】本発明でいう相対密度は、シリコンとゲル
マニウムとが同じ組成比である時の理論密度に対する実
測密度の比を示している。この場合、密度は、公知のア
ルキメデス法によって測定することができる。また、光
学顕微鏡写真から空孔率を測定し、公知の経験式に従っ
て、相対密度を算出することもできる。
【0051】本発明の熱電変換装置で用いる熱電半導体
は、その主成分がシリコン−ゲルマニウムであり、シリ
コン−ゲルマニウムの結晶粒と結晶粒の間に空孔が形成
されており、接合端部では凹部が観察される。この凹部
に、接合層(材)や中間層(材)や電極層(材)が入り
込んだ構造となっていることによって、熱膨張(係数)
差に起因する応力を緩和することができるのである。
【0052】本発明の熱電変換装置で用いる熱電半導体
の最適な相対密度は、シリコンとゲルマニウムとの比、
少量の添加成分の組成と添加割合、シリコン−ゲルマニ
ウムに接触する電極層や中間層や接合層などの層構成と
材料などに依存するが、70%より小さい場合は熱電半
導体の機械的強度が弱いため、熱電変換素子対の両端に
設置されかつ素子対より重い吸放熱部材によって発生す
る不調和振動により、熱電半導体の部分が破壊したり、
クラックが入ったりするので、熱電変換装置の内部抵抗
が増加したり、断線したりして、好ましくない。
【0053】また、70%より小さい場合は、熱電半導
体の発電効率の指標となる性能指数Z(=ασ/κ)
において、その構成因子である電気伝導度σの低下量
が、ゼーベック係数αと熱コンダクタンスκによるα
/κの増加量を大幅に上回るため、結果的に性能指数Z
が著しく低下してしまうので好ましくない。
【0054】一方、相対密度が94%より大きい場合
は、接合工程後の接合不良発生率が高くなり、熱電変換
装置の製造歩留まりが著しく低下するため、好ましくな
い。さらに、高温で使用した場合や熱衝撃が加わった場
合、熱電半導体と電極層や中間層や接合層との界面部分
で、クラックが入ったり、剥離したりするため、内部抵
抗が増加したり、断線したりする不具合が発生し、熱電
発電装置全体としての耐熱性、耐熱衝撃性が著しく低下
するため、好ましくない。
【0055】本発明の熱電変換装置で用いる熱電半導体
としてのシリコンとゲルマニウムの組成比の最適比は、
熱電変換装置全体の構成や設計、発電電圧電流、熱源の
形状や温度状況、冷却方法や冷却効率などによって依存
するが、自動車用やその他排熱発電に利用するために
は、SixGeとした場合、x=0.6〜5.7が好ま
しい。
【0056】そして、x=0.6より小さい場合は、熱
電半導体の融点が低くなり、熱電発電装置の使用最高温
度が低下したり、熱電発電装置を製造するための接合形
成などの熱処理工程の設定温度に制限されるため、製造
することが難しくなる。他方、x=5.7より大きい場
合は、半導体の融点が高くなり、焼結する場合は焼結温
度が高くなるなど、製造にコストがかかるので好ましく
ない。
【0057】また、本発明の熱電変換装置で用いる熱電
半導体は、シリコンとゲルマニウムを主成分とする焼結
体や厚膜であって、電気伝導度、熱伝導度、ゼーベック
係数を制御する目的や、焼結密度などを制御する目的
で、少量の添加成分を混在させることもできる。そし
て、この場合の添加成分としては、例えば、B,Al,
Ga,In,N,P,As,Sb,Znなどが挙げられ
る。また、焼結条件や成膜条件によっては、若干量の
C,O,Hなどが混入する場合もある。
【0058】本発明の熱電変換装置で用いる熱電半導体
は、発電電流の流れる方向に、相対密度やシリコンとゲ
ルマニウムの組成比、添加成分とその組成比などが、段
階的あるいは無段階的に変化しているものとすることも
できる。たとえば、熱電半導体部分は、発電電流の流れ
る方向に熱勾配を生じるが、その各微小領域の温度にお
いて、発電出力が最大となるように、添加成分およびそ
の組成を変化させて製造することができる。
【0059】また、電圧に対し、高電流を発電したい場
合など、電気伝導度が高く、相対密度が高いシリコン−
ゲルマニウム半導体の接合両端部に相対密度70%以上
94%以下のシリコン−ゲルマニウム半導体部分を形成
し、接合性を向上させたものとすることができる。この
相対密度70%以上94%以下の接合端部の厚さは、シ
リコン−ゲルマニウムの結晶粒間や焼結孔などの凹部に
接合層や中間層の材料、電極層の材料が侵入している層
の厚さを含めて、10μm以上が好ましい。さらに好ま
しくは、厚さ30μm以上が良い。そして、このとき、
30μmより薄い場合は、接合不良が発生しやすく、モ
ジュール内の素子対数にも依存するが、10μmより薄
い場合は、素子対群を安定して製造することができなく
なる傾向となる。
【0060】本発明の熱電変換装置で用いるシリコン−
ゲルマニウム熱電半導体は、公知のホットプレス焼結や
プラズマ焼結などの製造方法で製造したものとすること
ができる。また、熱電半導体の少なくとも接合端部に本
発明で用いることとしたシリコン−ゲルマニウム層を形
成する場合は、公知の厚膜を形成する方法や接合端部を
化学的、物理的エッチング処理によって形成する方法、
公知の熱電半導体両端に原料粉を配置して焼結する方法
などが挙げられる。そして、相対密度は、焼結方法、焼
結条件、原料粉の粒度、原料粉の組成、微量添加成分量
などによって制御することができ、本発明の熱電変換装
置で用いる熱電半導体は製造方法に制限されるものでは
ない。
【0061】本発明の熱電変換装置では、p型熱電半導
体とn型熱電半導体が電気的に接合された接合部の構成
のうち、熱電半導体の接合端部に特徴があり、熱電半導
体の接合端部と接触している層は、接合部の構成によ
り、電極層,接合層および/または中間層がある。
【0062】このうち、電極層は、p型熱電半導体とn
型熱電半導体を電気的に接合する部材であって、熱電発
電には寄与しないが、電気伝導度は高く、熱電半導体部
分で発電した電力を送電する層である。この電極層の最
適厚さは、電極層の電気抵抗、熱電半導体との接合面
積、熱電半導体の発電能力、高温端と低温端の温度など
に依存するが、自動車排熱やその他の燃焼排熱を利用し
た熱電発電装置においては、好ましくは50μm以上が
良い。そして、電極層を熱電半導体に直接接合した構成
においては、溶射法などの厚膜を形成する成膜法によっ
て形成することができる。この場合、少なくとも高温端
の電極層は、例えば、Mo,Ta,Wなどの高融点金属
の厚膜を形成したものとすることができる。
【0063】一方、接合層を介して熱電半導体と電極層
を接合した構成においては、電極層として、Ta,W,
Nb,Ti合金,Ni合金,Mo合金,SUS,高電気
伝導性のSi基合金などの金属板や金属箔を接合して使
用することができる。また、接合層は、ろう材や半田な
どの接合材による層であり、この接合材は接合工程の熱
処理によって溶融し、熱電半導体の接合端部の凹部に入
り込むことができるものとするのがよい。
【0064】さらに、中間層は、熱電半導体と接合層あ
るいは電極層の間に一層以上形成された層で、たとえ
ば、接合層(材)や電極層(材)とシリコン−ゲルマニ
ウムとの過剰な反応を抑制する目的で形成された拡散防
止層や、接合層(材)のぬれ性を改善する目的で形成さ
れた中間層などである。また、シリコン−ゲルマニウム
と電極層との熱膨張(係数)差を緩和する目的などで、
複数層形成される場合もある。そして、熱電半導体の接
合端面に直接形成された中間層は、成膜法で形成された
ものとすることができる。
【0065】この場合に適用される成膜法は、イオン、
加速されたクラスター、溶融した微粒子など、固体の基
底状態より何らかのエネルギー状態が高い原子、イオ
ン、クラスター、微粒子が熱電半導体の接合端面に到達
して膜形成する方法で、たとえば、メッキ法などの湿式
成膜法や、蒸着法、スパッタ法、CVD法、溶射法など
の乾式成膜法などの公知の成膜法である。
【0066】本発明の熱電変換装置は、その少なくとも
高温端は本発明による接合部構成からなるものである
が、本発明による熱電変換装置は、p型熱電半導体とn
型熱電半導体や電極層,接合層,中間層の形状、配置、
モジュール内素子対数などに制限されるものではない。
【0067】
【発明の効果】本発明による熱電変換装置は、請求項1
に記載しているように、p型熱電半導体とn型熱電半導
体が電気的に接合された熱電変換装置において、p型熱
電半導体およびn型熱電半導体の少なくとも接合端部の
主成分がシリコン−ゲルマニウムであり、熱電半導体の
少なくとも接合端部の相対密度が70%以上94%以下
であるものとしたから、耐熱性に優れそしてまた有害揮
発成分を含まないシリコン−ゲルマニウム熱電半導体の
特長を活かすことができると共に、熱膨張係数が小さい
シリコン−ゲルマニウム熱電半導体の短所を克服するこ
とができ、一つの熱電変換装置内に数十以上の熱電半導
体−電極の接合箇所をもつ熱電変換装置においても、接
合工程の熱処理時や高温使用時に接合不具合の発生率を
著しく減少させることが可能であり、また、製造時のほ
か発電時においても高温端接合部の耐熱性に優れ、熱電
変換効率の良好な温度範囲で使用することができ、接合
部での発電損失が少ない耐熱性・耐熱衝撃性・機械的強
度・発電特性に優れた熱電変換装置を提供することが可
能であるという著大なる効果がもたらされ、さらには、
接合部の形成工程に高温高圧装置を使用せず、大量生産
に適した製造方法で歩留り良く製造することができ、接
合部の数が多い熱電変換装置を歩留り良く安定して製造
できることにより、熱電変換装置の発電電圧,発電電
流,形状,素子対数などに制限されることなく、熱源や
冷却源の温度や形状,必要とされる発電電圧電流値など
の使用用途に合わせた発電システムを容易に設計するこ
とが可能になるという著しく優れた効果がもたらされ
る。
【0068】また、請求項2に記載しているように、p
型熱電半導体とn型熱電半導体が電気的に接合された熱
電変換装置において、電極層,接合層および/または中
間層と接合しているp型熱電半導体およびn型熱電半導
体の少なくとも接合端部の主成分がシリコン−ゲルマニ
ウムであり、熱電半導体の少なくとも接合端部の相対密
度が70%以上94%以下であるものとしたから、シリ
コン−ゲルマニウム熱電半導体を用いそしてまた接合端
部の相対密度を特定することによって得られる請求項1
の効果がもたらされると共に、電極層を介在させること
によって接合部における電気伝導性を良好なものとする
ことが可能であり、また、接合層を介在させることによ
って熱電半導体と電極層などとの接合を良好なものとす
ることが可能であり、あるいは中間層を介在させること
によって接合部での過剰な反応を抑制したり、接合部で
のぬれ性を良好なものとしたり、熱膨張差を緩和したり
することが可能であるという著しく優れた効果がもたら
される。
【0069】そして、請求項3に記載しているように、
p型熱電半導体とn型熱電半導体が電気的に接合された
熱電変換装置において、p型熱電半導体およびn型熱電
半導体の接合端部がそれぞれ直接電極層と接合している
ものとすることによって、熱電半導体部分で発電した電
力を効率よく送電することが可能であると共に、熱電半
導体の少なくとも高温端部において溶射法などの厚膜を
形成する成膜法によって電極層を簡便に形成することが
可能であるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0070】本発明による熱電変換装置の製造方法は、
請求項4に記載しているように、p型熱電半導体および
n型熱電半導体の接合端部がそれぞれ直接電極層と接合
している請求項3に記載の熱電変換装置を製造するに際
し、電極層を成膜法で形成するようになすことによっ
て、熱電半導体の接合端部において電極層の形成を効率
良くそしてまた熱電半導体の凹所への侵入による接合強
度を良好なものとすることが可能であるという著しく優
れた効果がもたらされる。
【0071】また、請求項5に記載しているように、p
型熱電半導体およびn型熱電半導体の接合端部と電極層
との間に中間層が少なくとも一層形成されているものと
することによって、シリコン−ゲルマニウムと電極との
間での過剰な反応を抑制したり、シリコン−ゲルマニウ
ムと電極層との熱膨張差を緩和したりすることが可能で
あり、この際、請求項6に記載しているように、p型熱
電半導体およびn型熱電半導体の接合端部と電極層との
間に中間層が少なくとも一層形成されている請求項5に
記載の熱電変換装置を製造するに際し、熱電半導体に直
接形成される中間層を成膜法で形成するようになすこと
によって、中間層の形成を効率良くそしてまた熱電半導
体の凹所への侵入による接合強度の向上を得ることが可
能であるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0072】さらにまた、請求項7に記載しているよう
に、p型熱電半導体とn型熱電半導体が電気的に接合さ
れた熱電変換装置において、p型熱電半導体およびn型
熱電半導体の接合端部がそれぞれ接合層を介して電極層
と接合しているものとすることによって、接合層(材)
は接合工程の熱処理によって溶融し、熱電半導体の接合
端部の凹所に入り込むことにより、接合部の接合強度を
より一層向上したものとすることが可能であるという著
しく優れた効果がもたらされる。
【0073】さらにまた、請求項8に記載しているよう
に、p型熱電半導体およびn型熱電半導体の接合端部と
接合層との間に中間層が少なくとも一層形成されている
ものとすることによって、熱電半導体と接合層との過剰
な反応を抑制することが可能であると共に、接合層のぬ
れ性を改善したものとすることが可能であるという著し
く優れた効果がもたらされ、この際、請求項9に記載し
ているように、p型熱電半導体およびn型熱電半導体の
接合端部と接合層との間に中間層が少なくとも一層形成
されている請求項8に記載の熱電変換装置を製造するに
際し、熱電半導体に直接形成される中間層を成膜法で形
成するようになすことによって、中間層の形成を効率良
くそしてまた熱電半導体の凹所への侵入による接合強度
の向上を得ることが可能であるという著しく優れた効果
がもたらされる。
【0074】
【実施例】以下、実施例を示し、詳細に説明する。
【0075】実施例1,比較例1 図1は本発明の実施例による熱電変換装置の概略構成を
示すものである。
【0076】この熱電変換装置1において、2pはp型
熱電半導体、2nはn型熱電半導体、3a,3bは接合
用のろう材、4a,4bはMo板よりなる電極層、5
a,5bはAlN板よりなる基板である。
【0077】このような構造を有する熱電変換装置1を
製造するに際して、p型熱電半導体2pとn型熱電半導
体2nとしては、BあるいはPをそれぞれドープしたS
Ge粉末をホットプレス焼結したものを用いた。こ
のとき、ホットプレス焼結条件を変えて、本発明実施例
と比較例の焼結体をそれぞれ形成した。このときの各焼
結条件および焼結体の相対密度を表1にまとめて示す。
なお、焼結体の相対密度は、容量と重量から算出するア
ルキメデス法を使用して算出したそして、各焼結体は、
厚さ3mmの板状となるように、端面は#1200研磨
仕上げとし、各板状焼結体から2×2×3mmのp型熱
電半導体素子とn型熱電半導体素子を切断した。次い
で、各熱電半導体素子2p,2nの両端面に、接合用の
ろう材3a,3bとして厚さ0.06mmの箔状Ti−
Zr−Ni−Cu合金を真空焼成で残渣が残らない接着
剤を用いて貼付した。
【0078】一方、AlN基板5a,5bにMo電極層
(電極板)4a,4bを所定のパターン形状に、同様の
接着剤を用いて貼付した。
【0079】次いで、焼成治具を用いてp型焼結体(p
型熱電半導体2p)およびn型焼結体(n型熱電半導体
2n)を18対並べ、上下に電極層4a,4b付きのA
lN基板5a,5bを貼付して乾燥したのち、50gの
荷重をろう付け用治具にのせ、真空焼成炉を用いて、真
空度10−5Torr、温度930℃、時間5分間でろ
う付け焼成した。そしてさらに、低温端側の電極に発電
電力取り出し用Pt線を超音波はんだ付けで接続した。
【0080】このように製造した実施例および比較例の
熱電変換装置1を水冷ブロック上にグリースで固定し、
上端にブロックヒーターを押しつけて発電時の内部抵抗
テストを行った。この際、高温端の温度:500℃、高
温端と低温端の温度差:400℃としたときの熱電変換
装置1の内部抵抗を測定した。また、同様の温度条件で
各熱電半導体単体の抵抗値を測定し、18対分に換算し
た抵抗値に対する熱電変換装置1の内部抵抗の比を算出
した。さらに、測定後、熱電変換装置両端のAlN基板
5a,5bを固定して引張試験による接合強度テストを
行った。表1にこれらの測定結果を合わせて示す。
【0081】
【表1】
【0082】表1に示すように、本発明実施例では、熱
電発電装置の内部抵抗は熱電半導体単体の抵抗と同等で
あり、接合部分での抵抗増加は認められず、発電損失の
ない熱電変換装置とすることができた。また、接合部で
の抵抗増加がないことから、接合部での局所的な発熱に
伴って、クラックが入るなどの接合不具合が発生するこ
とがないことが認められ、接合強度に優れた熱電変換装
置とすることができた。さらに、一つの熱電変換装置内
に72箇所の半導体−電極の接合箇所を持つ熱電変換装
置において、ろう付け接合という大量生産に適した製造
方法で、全接合箇所を一度の接合工程で、接合不良箇所
を発生することなく製造することができた。
【0083】一方、比較例1−1の熱電発電装置では、
内部抵抗の測定は可能であったが、その後の接合強度テ
ストにおいて、容易に破壊してしまった。そして、この
場合の破壊箇所は熱電半導体の焼結体内部であった。
【0084】また、比較例1−2の熱電発電装置では、
断線を生じており、内部抵抗を測定することができなか
った。また、接合強度テストをおこなった結果、容易に
破壊する接合箇所があり、熱電半導体と接合部分との界
面で剥離していた。
【0085】このように、本発明によれば、接合部分で
の抵抗増加は認められず、発電損失のない熱電変換装置
とすることができた。また、接合部分での抵抗増加がな
いことから、接合部での局所的な発熱に伴って、クラッ
クが入るなどの接合不具合が発生することがないことが
認められ、耐熱性および強度に優れた熱電変換装置とす
ることができた。さらに、一つの熱電変換装置内に72
箇所の半導体−電極の接合箇所を持つ熱電変換装置にお
いて、ろう付け接合という大量生産に適した製造方法
で、全接合箇所を一度の接合工程で、接合不良箇所を発
生することなく製造することができた。
【0086】実施例2,比較例2 図2は本発明の他の実施例による熱電変換装置の概略構
成を示すものである。
【0087】この熱電変換装置1において、2pはp型
熱電半導体、2nはn型熱電半導体、4a,4bはMo
溶射層よりなる電極層、5a,5bはAlN板よりなる
基板、6は絶縁断熱体、7はセラミックスボンドであ
る。
【0088】このような構造を有する熱電変換装置1を
製造するに際して、p型熱電半導体2pおよびn型熱電
半導体2nとしては、PあるいはBをそれぞれ添加した
SixGe−GaP粉末を焼結温度:1200℃,圧
力:200kg/cmでホットプレス焼結したものを
用いた。この実施例および比較例に使用した熱電半導体
の製造条件を表2に示す。
【0089】次いで、各焼結体から3×10×10mm
のp型熱電半導体素子2pおよびn型熱電半導体素子2
nをそれぞれ切断し、p,n交互に10対分をガラス接
合して、熱電半導体素子2p,2nが断熱絶縁体6を介
して所望のパターンに配列した集合体を形成した。続い
て、この集合体の接合両端面を#800研磨砥粒で研磨
したのち、Cu製のマスク材を端面にセットし、Moを
プラズマ溶射して電極層4a,4bを100μmの厚さ
で形成した。次に、アルミナ系のセラミックスボンドで
電極層4a,4b上にAlN基板5a,5bを貼付した
のち乾燥した。そして、低温端側の電極に発電電力取り
出し用Pt線をはんだ付けにより接続した。
【0090】このように製造した熱電発電モジュールを
水冷ブロック上にグリースで固定し、上端にブロックヒ
ーターを押しつけて発電出力テストを行った。そして、
高温端において温度200℃〜500℃の間を20℃/
minの速度で昇降温を繰り返し、高温端が500℃の
時の熱電変換装置の内部抵抗を測定した。また、各熱電
半導体単体の抵抗を測定し、同数の素子対に換算した抵
抗に対する熱電変換装置の内部抵抗の比を算出した。こ
れらの結果を表2に示す。
【0091】
【表2】
【0092】表2に示すように、本発明実施例の熱電変
換装置では、昇降温を10回繰り返した後も、内部抵抗
の低下は認められなかったのに対して、比較例2−1の
熱電変換装置では5回目の測定時に断線し、内部抵抗の
測定ができなくなった。また、比較例2−2の熱電変換
装置では10回目の測定時に内部抵抗の低下が認められ
た。そして、その後の接合強度テストにおいて、実施例
では、接合強度が優れていたのに対して、比較例2−1
では、溶射した電極と熱電半導体との界面で剥離してい
る箇所があった。また、比較例2−2では、熱電変換装
置の強度が弱く、熱電半導体の焼結体内部で破壊した。
【0093】このように、本発明によれば、使用時の熱
衝撃に対する耐久性および強度に優れた熱電変換装置と
することができた。また、電極を直接溶射形成するとい
う工程数が少なくかつ簡便に製造できる製造方法によっ
て、接合不良箇所の発生率を低下させて熱電変換装置を
製造することができた。
【0094】実施例3 実施例1と同様にして相対密度80%のp型熱電半導体
(SiGe焼結体)およびn型熱電半導体(Si
e焼結体)を形成した。そして、2×2×3mmの熱電
変換素子に切断し、接合両端面を#800で研磨し、中
間層としてMo溶射膜を10μmの厚さで形成した。次
いで、この熱電変換素子を実施例1と同様に並べ、Mo
電極板を所望のパターンに貼付したAlN基板に銀ろう
(BAg−8)で接合し、一つの熱電変換装置で72箇
所の接合箇所がある熱電変換装置を10個製造し、それ
ぞれ内部抵抗を測定した。
【0095】この結果、10個とも接合不良による断線
箇所を生ずることなく製造することができた。
【0096】このように、本発明によれば、接合不良の
発生率が低く、熱電変換装置を安定して製造できること
が確かめられた。また、本発明によれば、熱電半導体の
接合端面に密着力に優れた中間層を形成することができ
るため、銀ろうという汎用性ではあるがシリコン−ゲル
マニウムと過剰反応してしまう欠点があるろう材を使用
しても、大量生産に適する製造方法で安価に熱電変換装
置を製造できることが確かめられた。
【0097】実施例4 実施例3と同様の相対密度80%のp型熱電半導体(S
Ge焼結体)およびn型熱電半導体(SiGe焼
結体)を用い、3×10×10mmの熱電変換素子に切
断し、接合両端面を#800で研磨したのち、中間層と
してMo溶射膜を30μmの厚さで形成した。そして、
この熱電変換素子を実施例2と同様にp型およびn型を
交互にガラス接合し、中間層が形成された両端面に所望
のパターンのマスクをして、Ni−Crを電極として溶
射した。そして、この熱電変換装置を10個製造し、そ
れぞれ内部抵抗を測定したところ、10個とも接合不良
による断線箇所を生ずることなく製造することができ
た。
【0098】このように、本発明によれば、接合不良の
発生率が低く、熱電変換装置を安定して製造できること
が確かめられた。また、本発明によれば、電極層の形成
工程に高温高圧装置を使用することなく、大量生産に適
する製造方法で安定して熱電変換装置を製造できること
が確かめられた。
【0099】実施例5 相対密度98%のp型熱電半導体(SiGe焼結体)
およびn型熱電半導体(SiGe焼結体)を形成した
のち、厚さ4mmの板状に研磨成形した。そして、ホッ
トプレス型に、pまたはn型のSiGe原料粉、pま
たはn型のSiGe焼結体、pまたはn型のSi
e原料粉の順に詰めて、焼結温度:1180℃,圧力:
200kg/cmで焼結した。次いで、得られた焼結
体を3×3×5mmに切断し、接合両端面に相対密度8
0%の熱電半導体層がそれぞれ厚さ500μm形成され
た熱電変換素子を形成した。このとき、接合両端部分の
相対密度は光学顕微鏡観察から空孔率を測定し、公知の
経験式を用いて相対密度を算出した。
【0100】次いで、これらの熱電変換素子を8対並
べ、Ti−Zr−Ni−Cu合金のろう材を用いてMo
電極板を貼付したAlN基板をろう付け接合して熱電変
換装置を製造した。そして、実施例2と同様にして、高
温端の昇降温を繰り返し、熱電変換装置の発電出力と内
部抵抗の変化を測定したところ、10回以上の熱衝撃に
対しても、高抵抗化や断線は認められなかった。
【0101】このように、本発明の熱電変換装置によれ
ば、大きい発電電流を得るのに適した相対密度の高い熱
電半導体を使用して、接合部の不具合の発生率が低く、
耐熱衝撃性に優れた熱電変換装置を製造できることが確
かめられた。
【0102】。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1による熱電変換装置の概略構
成を示す斜面説明図である。
【図2】本発明の実施例2による熱電変換装置の概略構
成を示す断面説明図である。
【符号の説明】
1 熱電変換装置 2p p型熱電半導体 2n n型熱電半導体 3a,3b 接合用のろう材 4a,4b 電極層 5a,5b 基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 櫛 引 圭 子 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 小 林 正 和 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 古 谷 健 司 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 篠 原 和 彦 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 p型熱電半導体とn型熱電半導体が電気
    的に接合された熱電変換装置において、p型熱電半導体
    およびn型熱電半導体の少なくとも接合端部の主成分が
    シリコン−ゲルマニウムであり、熱電半導体の少なくと
    も接合端部の相対密度が70%以上94%以下であるこ
    とを特徴とする熱電変換装置。
  2. 【請求項2】 p型熱電半導体とn型熱電半導体が電気
    的に接合された熱電変換装置において、電極層,接合層
    および/または中間層と接合しているp型熱電半導体お
    よびn型熱電半導体の少なくとも接合端部の主成分がシ
    リコン−ゲルマニウムであり、熱電半導体の少なくとも
    接合端部の相対密度が70%以上94%以下であること
    を特徴とする熱電変換装置。
  3. 【請求項3】 p型熱電半導体とn型熱電半導体が電気
    的に接合された熱電変換装置において、p型熱電半導体
    およびn型熱電半導体の接合端部がそれぞれ直接電極層
    と接合していることを特徴とする請求項1または2に記
    載の熱電変換装置。
  4. 【請求項4】 p型熱電半導体およびn型熱電半導体の
    接合端部がそれぞれ直接電極層と接合している請求項3
    に記載の熱電変換装置を製造するに際し、電極層を成膜
    法で形成することを特徴とする熱電変換装置の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 p型熱電半導体およびn型熱電半導体の
    接合端部と電極層との間に中間層が少なくとも一層形成
    されていることを特徴とする請求項2または3に記載の
    熱電変換装置。
  6. 【請求項6】 p型熱電半導体およびn型熱電半導体の
    接合端部と電極層との間に中間層が少なくとも一層形成
    されている請求項5に記載の熱電変換装置を製造するに
    際し、熱電半導体に直接形成される中間層を成膜法で形
    成することを特徴とする熱電変換装置の製造方法。
  7. 【請求項7】 p型熱電半導体とn型熱電半導体が電気
    的に接合された熱電変換装置において、p型熱電半導体
    およびn型熱電半導体の接合端部がそれぞれ接合層を介
    して電極層と接合していることを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載の熱電変換装置。
  8. 【請求項8】 p型熱電半導体およびn型熱電半導体の
    接合端部と接合層との間に中間層が少なくとも一層形成
    されていることを特徴とする請求項7に記載の熱電変換
    装置。
  9. 【請求項9】 p型熱電半導体およびn型熱電半導体の
    接合端部と接合層との間に中間層が少なくとも一層形成
    されている請求項8に記載の熱電変換装置を製造するに
    際し、熱電半導体に直接形成される中間層を成膜法で形
    成することを特徴とする熱電変換装置の製造方法。
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Cited By (6)

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JP2001230457A (ja) * 2000-02-16 2001-08-24 Ube Ind Ltd 熱電変換モジュール及びその製造方法
JP2012019205A (ja) * 2010-06-10 2012-01-26 Fujitsu Ltd 熱電変換素子及びその製造方法
US8471139B2 (en) 2008-07-02 2013-06-25 Murata Manufacturing Co., Ltd. Thermoelectric conversion module and method for manufacturing thermoelectric conversion module
JP2014239160A (ja) * 2013-06-07 2014-12-18 パナソニック株式会社 熱電変換素子及び熱電変換モジュール
JP2018157136A (ja) * 2017-03-21 2018-10-04 三菱マテリアル株式会社 熱電変換モジュール
JP2020057633A (ja) * 2018-09-28 2020-04-09 日立金属株式会社 熱電変換モジュール

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