JPH10208854A - SiC−MoSi2 複合材ヒータ - Google Patents
SiC−MoSi2 複合材ヒータInfo
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Abstract
00℃の温度域において正の抵抗温度係数(正特性)を備
えたSiC-MoSi2 複合材ヒータを提供する。 【解決手段】 粒径10μm 未満のSiC 微粒30重量%以
上と、粒径10μm 以上43μm 未満のSiC 粗粒70重量%以
下との割合で粒度配合された原料粉体を焼成して得られ
た多孔質SiC 焼結体を母材とし、該母材の気孔にMoSi2
が溶浸された複合組織からなり、正の抵抗温度係数を有
するSiC-MoSi2 複合材ヒータ。原料粉体としては他に、
粒径10μm 未満のSiC 微粒50重量%以上と、粒径43μ
m 以上1180μm 未満のSiC 粗粒50重量%以下との割合で
粒度配合したもの、粒径10μm 未満のSiC 微粒60重量
%以上と、粒径1180μm 以上のSiC 粗粒40重量%以下と
の割合で粒度配合したもの、粒径10μm 未満のSiC 微
粒のみからなるもの、が用いられる。
Description
化せず、優れた耐酸化性を有し、長期間に亘って安定使
用することができ、正の抵抗温度係数を有するSiC−
MoSi2 複合材ヒータに関する。
質であり、優れた耐熱性および化学的安定性を備えてい
るので、従来から通電発熱型のヒータとして有用されて
いる。しかしながら、SiCヒータはSiCの半導体的
性質からも明らかなように抵抗の温度変化が、ある温度
を堺にして減少から上昇へと急変する。
の関係は、図1に示すように室温から約800℃までは
温度の上昇とともに抵抗は減少するが、約800℃を越
える温度域では温度の上昇とともに抵抗が増大する。こ
のように、SiCヒータは室温から約800℃までの温
度域では負の抵抗温度係数(負特性)を示し、約800
℃を越える温度域では逆に正の抵抗温度係数(正特性)
を示す。この負特性から正特性に変換する温度はSiC
焼結体の製造条件や添加物によって変わるが、負特性の
温度域では発熱時に電流が急増して熱(温度)暴走を招
く危険があり、また定電圧負荷による温度制御が極めて
困難となる欠点がある。そのためSiCヒータは通常、
正特性を示す800℃以上の高温域で使用されている。
る、すなわち抵抗温度係数の負の値を小さくする目的で
従来から種々の提案がなされている。例えば特公昭51
−45339号公報にはSiC焼結体を珪石、炭素、窒
化珪素を含む混合粉末で包み二次焼成する方法が、特公
昭61−56187号公報にはSiC粉末にホウ素と炭
素などを添加し真空中で一次焼成したのち1〜200気
圧の窒素雰囲気中で二次焼結する方法が開示されてい
る。また、特開昭58−209084号公報には炭化珪
素に炭化ジルコニウムや硼化ジルコニウムを添加して焼
結した抵抗温度係数が正の直線型ヒータ材が、特開昭5
9−111289号公報には炭化珪素ウイスカとモリブ
デン粉末および炭素粉末を混合し焼結した所望の固有抵
抗をもつ発熱体が提案されている。
れており、融点も高いので従来からヒータとして用いら
れている。しかしながら、MoSi2 は1400℃以上
の温度で軟化し、スポーリング強度や機械的強度も充分
でないという難点があるために、他の材料と複合化、特
に濡れ性の良好なSiCと複合化したMoSi2 −Si
C系発熱体が開発されている。MoSi2 とSiCを複
合化したヒータの抵抗温度係数は、MoSi2 とSiC
の合成された抵抗変化を示し、例えば抵抗の温度変化は
図2に例示(窯業工学ハンドブック、1789頁、窯業協会
編、技報堂出版株式会社)したように複雑に変化する。
MoSi2 系複合材ヒータの抵抗温度変化を温度の上昇
とともに増大する、すなわち正特性のヒータについて鋭
意研究を進めた結果、原料SiCの粒径と配合比を調整
して作製した多孔質SiC焼結体を母材として、この母
材の気孔中にMoSi2 の融液を溶浸してMoSi2 を
充填したヒータは複雑な抵抗温度変化を示さずに正の抵
抗温度係数を示すことを見出した。
ものであり、その目的は、正の抵抗温度係数を有する、
特に600℃〜1600℃の温度域において正の抵抗温
度係数を備えたSiC−MoSi2 系の複合材ヒータを
提供することにある。
めの本発明の請求項1に係るSiC−MoSi2 複合材
ヒータは、粒径10μm 未満のSiC微粒30重量%以
上と、粒径10μm 以上43μm 未満のSiC粗粒70
重量%以下との割合で粒度配合された原料粉体を焼成し
て得られた多孔質SiC焼結体を母材とし、該母材の気
孔にMoSi2が溶浸された複合組織からなり、正の抵
抗温度係数を有することを構成上の特徴とする。
求項1記載の発明において原料粉体を粒径10μm 未満
のSiC微粒50重量%以上と、粒径43μm 以上11
80μm 未満のSiC粗粒50重量%以下との割合で粒
度配合したものであり、請求項3に係る発明は、請求項
1記載の発明において原料粉体を粒径10μm 未満のS
iC微粒60重量%以上と、粒径1180μm 以上のS
iC粗粒40重量%以下との割合で粒度配合したもので
あることを、それぞれ構成上の特徴とする。また請求項
4に係る発明は、請求項1記載の発明において粒径10
μm 未満のSiC微粒のみを原料粉体としたものである
ことを構成上の特徴とする。
材ヒータの母材となる多孔質SiC焼結体は特定の粒径
範囲に調整したSiC粉体を特定の割合で粒度配合した
原料を用いて製造されたものが使用される。すなわち、
SiCの原料粉体のうち粒径10μm未満の粉体をSi
C微粒とし、粒径が10μm 以上の粉体をSiC粗粒と
して、SiC微粒と所定粒径範囲のSiC粗粒とを特定
の割合で粒度配合した原料粉体が用いられる。
は母材となる多孔質SiC焼結体を作製する原料粉体と
して、 粒径10μm 未満のSiC微粒を30重量%以上、
と、粒径10μm 以上で43μm 未満のSiC粗粒を7
0重量%以下、との割合で粒度配合したもの、又は、 粒径10μm 未満のSiC微粒を50重量%以上、
と、粒径43μm 以上で1180μm 未満のSiC粗粒
を50重量%以下、との割合で粒度配合したもの、又
は、 粒径10μm 未満のSiC微粒を60重量%以上、
と、粒径1180μm 以上のSiC粗粒を40重量%以
下、との割合で粒度配合したもの、又は、 粒径10μm 未満のSiC微粒のみ をそれぞれ用いることが必要である。
料粉体は均一に混合後、メチルセルロースやポリビニル
アルコールなどのバインダーおよび水を加えて混練し、
押出し成形法や鋳込み成形法などにより成形し、成形体
を非酸化性雰囲気中で1900℃〜2200℃の温度に
加熱して焼成することにより母材となる多孔質SiC焼
結体が得られる。多孔質SiC焼結体の気孔率は概ね2
0%〜60%であることが好ましい。すなわち、気孔率
が20%未満であるとMoSi2 が充分に溶浸されない
ので高温での耐酸化性が低下し、また60%を越えると
MoSi2 を溶浸してもそれほど強度向上が認められな
いためである。
溶浸させる操作は、黒鉛坩堝などの容器にMoSi2 を
入れ非酸化性雰囲気下で1950℃〜2200℃の温度
に加熱してMoSi2 を溶融し、この融液に多孔質Si
C焼結体を接触させる方法で行うことができる。MoS
i2 とSiCは濡れ性が良好なので、MoSi2 の融液
は毛細管現象によりSiCの気孔中に円滑に溶浸する。
合材ヒータは多孔質SiC焼結体の気孔内部にMoSi
2 が均等に溶浸しており、SiCの材質特性により優れ
た耐酸化性および耐熱性を有し、また、溶浸したMoS
i2 との相互作用によりSiCの電気的性質が抑えられ
るため600℃から1600℃の高温域において抵抗温
度係数が正の発熱特性を具備させることができる。60
0℃以下の低温域ではMoSi2 の特性が優先するので
正特性を示し、1600℃以下の温度領域における抵抗
の温度変化が温度の上昇とともに増大する正特性のSi
C−MoSi2複合材ヒータとすることが可能となる。
体的に説明する。
iC粉末〔太平洋ランダム(株)製、GMF-6S〕を用い、
SiC粗粒としては各種粒径のSiC粉末を使用してS
iC微粒に異なる量比で配合し、原料粉体を調製した。
この原料粉体100重量部に4重量部のメチルセルロー
ス粉末を加えて充分に混合した後、水を加えて品川式万
能撹拌機で混練後、三本ロールミルで捏合し、捏合物を
押出し成形法により直径6mm、長さ230mmの棒状成形
体に成形した。この成形体を120℃で乾燥後、窒素ガ
ス雰囲気中で2100℃の温度に加熱焼成して多孔質S
iC焼結体を作製し、母材とした。
ス雰囲気下に2100℃の温度に加熱してMoSi2 を
融解した。このMoSi2 融液に上記の母材を接触させ
て、多孔質SiC焼結体の気孔中にMoSi2 融液を溶
浸し、SiCとMoSi2 との複合組織からなるSiC
−MoSi2 複合材ヒータを製造した。適用した各条件
を対比して表1に示した。なお、多孔質SiC焼結体お
よびMoSi2 を溶浸後の気孔率をアルキメデス法で測
定し、その結果も表1に併載した。
に通電発熱させて、抵抗の温度変化を測定した。測定は
SiC−MoSi2 複合材ヒータを電気炉にセットして
ヒータ周囲を断熱材で覆い、ヒータ両端部にアルミニウ
ムの網線を巻いて通電した。温度は放射温度計により、
抵抗は印加電圧と電流値を測定して算出した。このよう
にして得られた抵抗の温度変化を、温度に対する抵抗の
増加率(%)として、図3〜図6に示した。
0μm 未満のSiC粉体をSiC微粒とし、粒径が10
μm 以上のSiC粉体をSiC粗粒として、SiC微粒
と所定粒径範囲のSiC粗粒とを特定の割合で粒度配合
した原料粉体、あるいはSiC微粒のみの原料粉体を焼
成して得られた多孔質SiC焼結体を母材とし、該母材
の気孔にMoSi2 を溶浸した複合組織からなる実施例
のSiC−MoSi2複合材ヒータは600℃以上の温
度域において、いずれも温度の上昇とともに抵抗が増大
する、すなわち正の抵抗温度係数を示すことが判明す
る。これに対して比較例のSiC−MoSi2 複合材ヒ
ータでは、例えば比較例1は1100℃、比較例2は1
200℃、比較例3は1400℃近辺の温度で抵抗の温
度係数が正から負に変化していることが判る。
i2 複合材ヒータによれば、SiC微粒と所定粒径範囲
のSiC粗粒とを特定割合で粒度配合した原料粉体を焼
成した多孔質SiC焼結体を母材とし、該母材の気孔内
部にMoSi2 が均等に溶浸されており、SiCと溶浸
したMoSi2 との相互作用によりSiCの電気的性質
が抑えられるため、600℃から1600℃の高温域に
おいて抵抗温度係数が正の発熱特性を付与させることが
できる。したがって、温度制御が容易であり、耐酸化性
や耐熱性に優れたヒータとして極めて有用である。
フである。
の温度と抵抗の関係を示したグラフである。
いて、温度に対する抵抗の増加率(%)の関係を、実施
例と比較例とを対比して示したグラフである。
いて、温度に対する抵抗の増加率(%)の関係を、別の
実施例と比較例とを対比して示したグラフである。
いて、温度に対する抵抗の増加率(%)の関係を、更に
他の実施例と比較例とを対比して示したグラフである。
の実施例について、温度に対する抵抗の増加率(%)の
関係を示したグラフである。
Claims (4)
- 【請求項1】 粒径10μm 未満のSiC微粒30重量
%以上と、粒径10μm 以上43μm 未満のSiC粗粒
70重量%以下との割合で粒度配合された原料粉体を焼
成して得られた多孔質SiC焼結体を母材とし、該母材
の気孔にMoSi2 が溶浸された複合組織からなり、正
の抵抗温度係数を有することを特徴とするSiC−Mo
Si2 複合材ヒータ。 - 【請求項2】 原料粉体が、粒径10μm 未満のSiC
微粒50重量%以上と、粒径43μm 以上1180μm
未満のSiC粗粒50重量%以下との割合で粒度配合し
たものである請求項1記載のSiC−MoSi2 複合材
ヒータ。 - 【請求項3】 原料粉体が、粒径10μm 未満のSiC
微粒60重量%以上と、粒径1180μm 以上のSiC
粗粒40重量%以下との割合で粒度配合したものである
請求項1記載のSiC−MoSi2 複合材ヒータ。 - 【請求項4】 原料粉体が、粒径10μm 未満のSiC
微粒である請求項1記載のSiC−MoSi2 複合材ヒ
ータ。
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