JPH10206531A - 車両のレーダ装置 - Google Patents

車両のレーダ装置

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JPH10206531A
JPH10206531A JP9006629A JP662997A JPH10206531A JP H10206531 A JPH10206531 A JP H10206531A JP 9006629 A JP9006629 A JP 9006629A JP 662997 A JP662997 A JP 662997A JP H10206531 A JPH10206531 A JP H10206531A
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JP
Japan
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signal
frequency
electric field
vehicle
wave
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JP9006629A
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Kanako Honda
加奈子 本田
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Denso Ten Ltd
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Denso Ten Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 マルチパス妨害に起因する反射波の受信電界
強度の低下を補正する。 【解決手段】 アンテナ13,14の車両内の設置位置
が周期的に偏移することで、送信波および反射波の無線
伝送路の経路長が位置変位周期W15で周期的に増減さ
れる。混合回路18aは、局部発振器15bからの局部
発振信号と受信アンテナ14からの反射波の受信信号と
を混合して、ビート周波数を有するビート信号を生成す
る。ビート信号は、フィルタ21で直流成分が除去さ
れ、強度検出回路22でビート周波数の信号レベル変化
が除去された後に、周期W15に対応する規定周波数未
満の遮断周波数の平滑回路25で平滑化されることによ
って、経路長変化およびマルチパス妨害に起因するレベ
ル変化が除去される。比較回路26は、平滑回路25か
らの出力をレベル弁別して被検出物体の有無を判定し、
物体があるときにはビート信号を用いて相対距離および
速度を算出させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、車両に搭載され
て、車両周辺の被検出物体を検出するための車両のレー
ダ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両には、たとえばオートクルーズ装置
を用いて自車と同一道路を先行して走行する先行車両を
追従するために、先行車両であるような被検出物体と自
車の車両との相対距離および相対速度を求めるレーダ装
置が備えられる。
【0003】たとえば、先行車両を検出するためのレー
ダ装置は、被検出物体を先行車両とする。図19は、上
述のレーダ装置が使用されるとき、レーダ装置を搭載す
る搭載車両1の周辺の状況を示す模式図である。レーダ
装置は、予め定める検出領域2内部に存在し、搭載車両
1に先行して走行する先行車両3を検出して、車両1,
3の相対距離および相対速度を求める。検出領域2は、
搭載車両1が走行する走行道路4の搭載車両1よりも走
行方向下流側の領域であり、たとえば搭載車両1が存在
する走行道路4に沿うような略扇形の領域である。
【0004】このレーダ装置では、送信波を送信する送
信アンテナ、および反射物体からの反射波を受信する受
信アンテナは、搭載車両1の前方のフロントグリル内に
設置される。レーダ装置は、まず送信アンテナから、検
出領域2内部に向かうような指向性のある予め定める波
長の電磁波を送信波として放射する。放射された送信波
は、たとえば、先行車両3の車体、走行道路4と隣接す
る隣接道路5を走行する隣接車両6の車体、および道路
4,5表面であるような複数の反射物体でそれぞれ反射
されて、反射波として戻り、一括して受信アンテナで受
信される。
【0005】上述の反射波の受信電界強度は、一般的に
レーダ装置と反射物体との相対距離の4乗に比例して減
少する。また上述の指向性のある送信波に対応する反射
波の受信電界強度は、反射物体が検出領域2内部にある
ときのほうが、反射物体が隣接道路5上であるような検
出領域2外の残余領域にあるときよりも大きい。これら
のことから、レーダ装置は、受信された反射波の受信電
界強度を、被検出物体3が検出領域2の境界線7上にあ
るときの受信電界強度であるような予め定める弁別レベ
ルでレベル弁別して、受信電界強度が閾値以上であると
きだけ、その反射波が検出領域2内の先行車両3からの
反射波であると判定する。このような受信電界強度の反
射波があるとき、レーダ装置はその反射波と送信波とを
混合して、ビート信号を生成し、このビート信号を用い
て搭載車両1と被検出物体3との相対距離および相対速
度を算出する。
【0006】上述の車両1,3の少なくとも一方が移動
するとき、車両1,3はそれぞれ振動する。このため
に、時間経過に伴ってレーダ装置と先行車両3との位置
の相対関係が微小量ずつ経時変化するので、反射波の受
信電界強度も頻繁に変化する。また、先行車両3の車体
の外部構造は複雑であって凹凸が多いので、同一の車体
の異なる位置での電磁波の反射率が大きく異なる。ゆえ
に、両車両の振動によって照射される場所が同一車両内
で微小変化する場合でも、レーダ装置で受信される反射
波の受信電界強度が大きく変化する。さらに、レーダ装
置からの電磁波は、道路4,5の表面にも反射されるこ
とがあり、このとき受信アンテナは、先行車両3からの
反射波と道路4,5の表面からの反射波を同時に受信す
ることが多い。この場合、たとえば異なる反射物体を介
する無線伝送路を伝送されて同時に受信された複数の反
射波は、位相が異なると、反射波同士が打消しあったり
強めあったりすることがある。このために受信された反
射波にはマルチパス妨害が発生し、反射波の受信電界強
度が急激に減少する。特に、上述の場合のように車両
1,3の位置の相対関係が常に微小変化するとき、この
マルチパス妨害が頻繁に発生する。
【0007】これによって、受信される反射波の受信電
界強度は、図20に示すように、車両1,3の相対距離
の変化の平均に対応する平均受信電界強度を中心とし
て、極めて短時間に大きく変動する。図20のグラフで
は、平均受信電界強度を2点鎖線8で示し、実際の受信
電界強度を実線9で示す。図20から、車両1,3の相
対距離の変化周期と比較して、実際の受信電界強度の変
化周期が極めて短いことが解る。また実際の受信電界強
度の値は、平均受信電界強度の値と比較して、極めて大
きく頻繁に変動していることが解る。
【0008】このために、反射波の受信電界強度を弁別
レベルVref1でレベル弁別して検出領域2内の先行
車両3の有無を判定するとき、先行車両3が検出領域2
内に存在する時間W1,W2内でも、受信電界強度が弁
別レベルVref1未満に頻繁に低下する。また逆に、
先行車両3が検出領域2外に存在する時間W3,W4内
でも、受信電界強度が弁別レベルVref1以上に頻繁
に増加する。これによって、先行車両3が検出領域2内
に存在するか否かを確実に判定することが困難である。
特に先行車両3が検出領域2の境界線7近傍に存在する
ときに、弁別レベルVref1に対する上述のレベル変
化が頻繁におこる。
【0009】レーダ装置は弁別レベルVref1以上の
受信電界強度の反射波が得られるときだけ相対距離およ
び相対速度を算出し、弁別レベルVref1未満の受信
電界強度の反射波が得られるときには相対距離および相
対速度の算出を行わない。ゆえに、上述のようなレベル
変化をする反射波を受信するときには、時間W1,W2
内でも相対距離および相対速度を算出しないことが頻繁
に起こる。これによって、時間W1,W2内でも、車両
1,3の相対距離および相対速度を継続して得ることが
困難になる。このような不都合を防止するために、従来
技術のレーダ装置は、微小時間だけ反射波の受信電界強
度が弁別レベル未満に低下するときは、受信電界強度の
低下前の相対距離および相対速度を表すデータ信号を保
持して、該微小時間での相対距離および相対速度を補正
していた。この補正手法では、データ信号の保持手段の
構造によっては、応答遅れが生じやすい。
【0010】また、上述の不都合を解決するために、他
の従来技術のレーダ装置では、弁別レベルにヒステリシ
スを持たせることがある。このレーダ装置では、図21
に示すように、前述の弁別レベルVref1の他に、実
際の受信電界強度の最小レベルよりも低いレベルの弁別
レベルVref2を設ける。このレーダ装置では、反射
波の受信電界強度が弁別レベルVref1以上であると
き、先行車両3が検出領域2内にあると判定し、弁別レ
ベルVref2未満のとき検出領域2外にあると判定す
る。また受信電界強度が弁別レベルVref1未満で弁
別レベルVref2以上であるときは、その前後の受信
電界強度が弁別レベルVref1以上であれば検出領域
2内にあると判定する。
【0011】このとき、図19で前述するように、検出
領域7は扇形であるので、搭載車両1から離れるほど車
両1の走行方向に直交する方向の幅が広がり、搭載車両
1から充分離れた位置では、検出領域2が隣接道路5の
一部を含む。このため、隣接道路上の隣接車両6は、検
出領域2の境界線7上を走行することがある。このとき
の隣接車両6からの反射波の受信電界強度の経時変化を
図21の実線10で表す。
【0012】図21の実線10から、隣接車両6からの
反射波の平均の受信電界強度は、常に弁別レベルVre
f2未満であることがわかる。このとき搭載車両1と隣
接車両6との位置関係の経時変化の挙動は車両1,3の
挙動と同一であるので、隣接車両6からの反射波の実際
の受信電界強度は極めて頻繁に変動する。特に隣接車両
6の位置が検出領域2の境界線7上にあって、車両1,
6の位置関係から隣接車両の反射波が極めて大きくなる
とき、たとえば図21の時刻t1では、隣接車両6から
の反射波の実際の受信電界強度が弁別レベルVref1
を越える。このときレーダ装置は、隣接車両6からの反
射波を先行車両3からの反射波と誤認することがある。
これによって、検出領域7をほぼ走行道路4上の領域と
して設定しても、隣接道路5上の隣接車両6からの反射
波を除去することが困難になる。
【0013】これらのことから、反射波の実際の受信電
界強度だけを用いて、受信アンテナで受信される複数の
反射波のうちから、搭載車両1と同一道路上の先行車両
3からの反射波だけを検出することは困難である。
【0014】
【発明が解決するべき課題】本発明の目的は、レーダ装
置と被検出物体との相対位置の微小変化、およびマルチ
パス妨害に起因する反射波の受信電界強度の変動を抑制
することができる車両のレーダ装置を提供することであ
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、予め定める送
信信号を生成する送信信号生成手段と、車両に搭載さ
れ、送信信号生成手段からの送信信号を電磁波である送
信波として、被検出物体に向けて送信する送信アンテナ
と、車両に搭載され、送信波が被検出物体によって反射
された反射波を受信する受信アンテナと、送信および受
信アンテナに関連して設けられ、送信波の送信アンテナ
から被検出物体に反射して反射波が受信アンテナに受信
されるまでの電磁波の経路長を変化させる経路長変化手
段と、受信アンテナからの出力に応答し、反射波の受信
電界強度を検出して、受信電界強度を表す強度信号を導
出する電界強度検出手段と、電界強度検出手段からの強
度信号が表す受信電界強度の経時変化を平滑化する平滑
手段と、平滑手段からの出力に応答し、平滑化された受
信電界強度を用いて、被検出物体と送信および受信アン
テナとの相対速度または相対距離に関する位置情報を演
算して求める情報演算手段とを含むことを特徴とする車
両のレーダ装置である。本発明に従えば、車両のレーダ
装置は、電磁波が送信アンテナから被検出物体で反射さ
れて受信アンテナに戻る無線伝送路であって、送信波お
よび反射波が通過する無線伝送路の経路長を経時変化さ
せつつ、送信波の送信動作と反射波の受信動作とを行
い、その反射波の受信電界強度の経時変化を平滑化す
る。車両のレーダ装置を道路上で使用するとき、送信波
を反射する反射物体は、レーダ装置を搭載する搭載車両
に先行して走行する先行車両であるような被検出物体の
他に、先行車両に併走する別車両、および搭載車両が走
行中の道路表面を含む。このために、受信アンテナは複
数の反射物体からの反射波を同時に受信するので、いわ
ゆるマルチパス妨害が頻繁に発生し、被検出物体からの
反射波の受信電界強度が本来のレベルよりも低下する。
特にレーダ装置を道路上で用いるとき、舗装された道路
表面が反射物体となるので、周囲に別車両がない場合で
もマルチパス妨害が発生しやすくなる。本発明のレーダ
装置では、無線伝送路の経路長を常に変更しているの
で、或るタイミングで複数の反射物体をそれぞれ介する
無線伝送路の間にマルチパス妨害を生じさせるような関
係が成立つ場合でも、その前後のタイミングでは該無線
伝送路の関係がマルチパス妨害を生じさせる関係が成立
たない。これによって、上述の或るタイミングでマルチ
パス妨害が発生しても、その前後のタイミングでマルチ
パス妨害が発生しないことが多い。したがって、これら
前後のタイミングを含む検出期間内の反射波の受信電界
強度を平滑化すると、上述の或るタイミングの反射波の
受信電界強度がその前後のタイミングの受信電界強度と
ほぼ同一の値に補正される。これによって、受信アンテ
ナからの反射波の受信電界強度の経時変化からマルチパ
ス妨害の影響を除去して、本来の受信電界強度の経時変
化を得ることができる。
【0016】また本発明は、前記経路長変化手段は、前
記経路長を予め定める変化周期で変化させ、前記平滑手
段の遮断周波数は、変化周期に対応する周波数未満に選
ばれることを特徴とする。本発明に従えば、前述の送信
アンテナから被検出物体を経て受信アンテナに至る電磁
波の無線伝送路の経路長は、時間経過に伴い、上述の変
化周期で周期的に増減される。この場合、たとえば経路
長の単一の変化周期間でマルチパス妨害が発生しないと
き、前述の反射波の受信電界強度は無線伝送路の経路長
の4乗に比例して減少するので、受信電界強度の増減に
対応する変動周波数は、経路長の変化周期に対応する規
定周波数と一致する。また経路長の単一の変化周期間で
マルチパス妨害が発生するとき、経路長の単一の変化周
期間でマルチパス発生のたびに急激に反射波の受信電界
強度が低下し、また急激に元の受信電界強度に戻る。ゆ
えに、この場合の受信電界強度の変動周波数は、マルチ
パス妨害が発生しないときの変動周波数よりも大きい。
これらのことから、上述の場合で平滑手段をたとえばロ
ーパスフィルタで実現するときに、そのフィルタの遮断
周波数を経路長の変化周期に対応する規定周波数未満に
選ぶと、強度信号が表す受信電界強度の変動から、経路
長の変動に起因する変動と、マルチパス妨害に起因する
変動とを確実に除去することができる。これによって、
平滑化された受信電界強度として、経路長の変化とマル
チパス妨害との影響を除去した値の受信電界強度が得ら
れる。したがって、情報演算手段での予め定める演算と
して、経路長が固定された従来技術のレーダ装置と同一
の演算手法を用いることができる。
【0017】また本発明は、前記電界強度検出手段は、
前記送信信号生成手段からの送信信号と前記受信アンテ
ナからの出力信号とを混合して、送信信号と受信信号と
のうなり周波数を有する混合信号を出力する混合手段
と、混合手段からの混合信号の交流成分の振幅に関する
値を検出して、該値に対応する信号レベルの前記強度信
号を出力する強度演算手段とを含み、前記平滑手段は、
予め定める検出時間毎に、強度信号の信号レベルの経時
変化を平滑化して、混合信号の交流成分の振幅に関する
平滑化された値を表す平滑信号を出力し、前記情報演算
手段は、平滑手段からの平滑信号を混合信号の交流成分
の振幅に関する予め定める基準値に対応する弁別レベル
でレベル弁別して、平滑信号が表す平滑化された値が基
準値以上であるとき被検出物体があると判定し、平滑化
された値が基準値未満であるとき被検出物体がないと判
定する物体判定手段と、前記混合手段からの混合信号の
うなり周波数を検出する周波数検出手段と、前記物体判
定手段で被検出物体があると判定されるとき、周波数検
出手段からの混合信号のうなり周波数から、被検出物体
と送信および受信アンテナとの相対距離および相対速度
を演算して求める距離速度演算手段とを含むことを特徴
とする。本発明に従えば、前記レーダ装置はいわゆるF
M−CW(FrequencyModulation−Continuous Wave)レ
ーダ装置であって、位置情報を得るための処理動作に、
反射波の実際の受信電界強度に換わって、上述の混合信
号の交流成分の振幅に関する値を用いる。混合信号の交
流成分の振幅に関する値は、たとえば、交流成分の実効
値または平均値である。情報演算手段では、混合信号の
振幅に関する値を平滑化して得た平滑化された値を、予
め定める基準値でレベル弁別する。この基準値はたとえ
ばレーダ装置から充分に離れた位置に被検出物体が存在
するときの平滑化された値であって、被検出物体がある
ときの該値と被検出物体がないときで各種雑音が混入す
るときの該値とを判別するためのレベルである。このと
き、平滑化された値は平滑化された受信電界強度に対応
するパラメータであるので、マルチパス妨害および経路
長変動の影響が除去されている。したがって、上述の手
法で平滑化された値をレベル弁別する場合、マルチパス
妨害が発生するときでも、平滑化された値はマルチパス
妨害に起因して低減することがないので、平滑化された
値は確実に基準値以上の値を保つ。これによって、マル
チパス妨害によって、被検出物体の有無を誤認すること
を防止することができる。
【0018】また本発明は、前記経路長変化手段は、前
記送信および受信アンテナの車両内の設置位置を、予め
定める基準位置から被検出物体に対して離反および接近
する方向の少なくとも一方方向に、予め定める周期で時
間経過に伴って、送信および受信アンテナを一体的に変
位させる位置変位手段を含むことを特徴とする。本発明
に従えば、上述の電磁波の無線伝送路の経路長は、送信
および受信アンテナの設置位置を経路長が増減するよう
に、被検出物体から離反する方向、および被検出物体に
接近する方向の少なくとも一方方向に変位させることで
変化される。この位置変位手段は、たとえば両アンテナ
を駆動するモータおよびガイドレールであるような、構
造が簡単な装置で実現することができる。
【0019】また本発明は、前記経路長変化手段は、前
記送信波の前記送信アンテナからの送信方向を、該送信
波が前記被検出物体に照射可能な予め定める送信範囲内
で、時間経過に伴って変化させる方向変位手段を含むこ
とを特徴とする。本発明に従えば、上述の電磁波の無線
伝送路の経路長は、送信波の送信方向を変位させて、被
検出物体への送信波の主ローブの照射位置を変更するこ
とによって、変化される。この方位変位手段は、たとえ
ば送信アンテナの向きを機械的に角変位させてもよく、
またいわゆるフェイズドアレイを用いて、電気的に主ロ
ーブの放射方向を角変位させてもよい。特にフェイズド
アレイを用いるとき、送信方向の角変位周期を、機械的
に送信方向を角変位させるときよりも、容易に短くする
ことができる。またフェイズドアレイを用いて経路長を
変化させるとき、請求項4の機械的手法を比較して、経
路長の変化周期を短縮することができる。上述の経路長
の変化周期は、レーダ装置と被検出物体との微小振動を
除いた残余の移動動作に起因するような相対位置の変動
周期よりも大きくすることが好ましい。ゆえに、本請求
項のように経路長の変化周期の最小周期が小さい経路長
変化手段を用いることによって、上述のレーダ装置を上
述の相対位置が頻繁に変化するような状況で用いること
ができる。
【0020】また本発明は、前記送信アンテナは車両の
進行方向下流側に送信波を送信し、前記受信アンテナ
は、進行方向下流側からの反射波を受信し、前記情報演
算手段は、前記平滑手段からの平滑化された受信電界強
度を予め定める弁別レベルでレベル弁別し、平滑された
受信電界強度が弁別レベル以上であるとき被検出物体が
車両の進行方向下流側の予め定める存在領域内に存在す
ると判定し、平滑された受信電界強度が弁別レベル未満
であるとき被検出物体が存在領域外の残余領域に存在す
ると判定する位置判定手段を含むことを特徴とする。本
発明に従えば、前述の送信および受信アンテナは、車両
の進行方向下流側に存在する被検出物体、たとえば先行
して走行する車両を検出することができるように、上述
のように設置される。このとき、情報演算手段では、平
滑化された受信電界強度の大きさに基づいて、進行方向
下流側の存在領域内の被検出物体の有無を判定する。上
述したように、反射波の受信電界強度は本来距離の4乗
に比例して減少するはずだが、道路上でレーダ装置を使
用するときには上述の理由からマルチパス妨害が頻繁に
発生するので、従来技術のレーダ装置では実用上では受
信電界強度の大きさから距離を判別することは困難だっ
た。本発明のレーダ装置は、受信電界強度からマルチパ
ス妨害の影響を除去するように平滑化しているので、こ
の平滑化された値はほぼ距離の4乗に比例して減少する
と考えられる。これによって、受信電界強度だけを用い
た上述の判定を行うとき、マルチパス妨害に起因する判
定結果の誤差を減少させることができる。
【0021】また本発明は、予め定める送信信号を生成
する送信信号生成手段と、車両に搭載され、送信信号生
成手段からの送信信号を電磁波である送信波として、被
検出物体に向けて送信する送信アンテナと、車両に搭載
され、送信波が被検出物体によって反射された反射波を
受信する受信アンテナと、送信および受信アンテナに関
連して設けられ、送信波の送信アンテナから被検出物体
に反射して反射波が受信アンテナに受信されるまでの電
磁波の経路長を変化させる経路長変化手段と、受信アン
テナからの出力に応答し、反射波の受信電界強度を検出
して、受信電界強度を表す強度信号を導出する電界強度
検出手段と、電界強度検出手段からの強度信号を予め定
める単位時間内で複数回サンプリングし、各サンプリン
グで得られる強度信号が表す受信電界強度のフーリエ変
換の演算をそれぞれ行い、各演算で得られる受信電界強
度の複数の周波数成分の強度を各周波数毎に単位時間内
にわたって積算する成分演算手段と、成分演算手段で得
られる各周波数毎の受信電界強度の周波数成分の積算値
を用いて、被検出物体と送信および受信アンテナとの相
対速度または相対距離に関する位置情報を演算して求め
る情報演算手段とを含むことを特徴とする車両のレーダ
装置である。本発明に従えば、車両のレーダ装置は、送
信アンテナから被検出物体を介して受信アンテナに戻る
経路であって、送信波および反射波が通過する無線伝送
路の経路長を経時変化させつつ、送信波の送信動作と反
射波の受信動作とを行う。かつ、その反射波の受信電界
強度を単位時間内に複数回サンプリングして複数の周波
数についての周波数成分を求め、各周波数成分を各周波
数毎に積算する。上述の請求項1で説明したように、道
路上でレーダ装置を用いる場合、マルチパス妨害が頻繁
に発生する。本発明のレーダ装置では、無線伝送路の経
路長を常に変更しているので、複数の反射物体をそれぞ
れ介する無線伝送路間に、単位時間内の複数のサンプリ
ングタイミングのうちの或るタイミングでマルチパス妨
害を生じさせるような関係が成立つ場合でも、複数のサ
ンプリングタイミングのうちの或るタイミング以外の残
余のタイミングでは、上述のマルチパス妨害を生じさせ
る関係が成立たない。これによって、これら複数のサン
プリングタイミングで受信電界強度をサンプリングする
とき、上述の或るタイミングではマルチパス妨害によっ
て反射波の受信電界強度が本来の強度よりも低下してい
ても、残余の多数のタイミングでは本来の受信電界強度
が得られる。したがって、これら全てのタイミングでの
受信電界強度の周波数成分を各周波数毎に積算する場
合、単位時間内でマルチパス妨害が発生するときの積算
値と発生しないときの積算値との差分は充分に小さいと
考えられる。これによって、上述の手法で、受信アンテ
ナからの反射波の受信電界強度の単位時間毎の経時変化
からマルチパス妨害の影響を除去することができる。
【0022】また本発明は、前記経路長変化手段は、前
記経路長を予め定める変化周期で変化させ、前記成分演
算手段における前記単位時間内の強度信号のサンプリン
グ周波数は、変化周期に対応する周波数未満に選ばれる
ことを特徴とする。本発明に従えば、前述の送信アンテ
ナから被検出物体を経て受信アンテナに至る電磁波の無
線伝送路の経路長は、時間経過に伴って変化周期で周期
的に増減される。上述の請求項2で説明したように、経
路長の単一の変化周期間の受信電界強度の増減を表す変
動周波数は、マルチパス妨害が発生しないときには経路
長の変化周期に対応する規定周波数と一致して最小にな
り、マルチパス妨害が発生するときにはマルチパス妨害
が発生しないときの変動周波数よりも大きい。これらの
ことから、上述の場合でのサンプリング周波数を経路長
の変化周期に対応する規定周波数未満に選ぶと、マルチ
パス妨害が発生する上述の或るタイミング以外に、或る
タイミング以外の複数の残余のタイミングで強度信号が
表す受信電界強度の値をサンプリングすることができ
る。これによって、これらタイミングの受信電界強度の
周波数成分の積算値の平均値、すなわち、強度信号が表
す受信電界強度を単位時間内で平滑化した値から、経路
長の変動に起因する変動とマルチパス妨害に起因する変
動とを確実に除去することができる。したがって、情報
演算手段での予め定める演算として、経路長が固定され
た従来技術のレーダ装置と同一の演算手法を用いること
ができる。
【0023】また本発明は、前記電界強度検出手段は、
前記送信信号生成手段からの送信信号と前記受信アンテ
ナからの出力信号とを混合して、送信信号と受信信号と
のうなり周波数を有する混合信号を出力する混合手段
と、混合手段からの混合信号の交流成分の振幅に関する
値を検出して、該値に対応する信号レベルの前記強度信
号を出力する強度信号演算手段とを含み、前記成分演算
手段の強度信号が表す受信電界強度のフーリエ変換の演
算は、強度信号の信号レベルのフーリエ変換の演算であ
って、前記成分演算手段は、強度信号の信号レベルの周
波数成分を各周波数毎に積算して得た積算値に対応する
信号レベルの積算信号を各周波数毎に導出し、前記情報
演算手段は、前記成分演算手段からの各周波数の積算信
号を予め定める基準積算値に対応する弁別レベルでそれ
ぞれレベル弁別して、少なくとも1つの周波数の積算信
号が表す積算値が基準積算値以上であるとき被検出物体
があると判定し、全ての周波数の積算信号が表す積算値
が基準積算値未満であるとき被検出物体がないと判定す
るレベル弁別手段と、前記レベル弁別手段で被検出物体
があると判定されるとき、基準積算値以上の積算値を表
す1または複数の積算信号の周波数から、被検出物体と
送信および受信アンテナとの相対距離および相対速度を
それぞれ演算して求める距離速度演算手段とを含むこと
を特徴とする。本発明に従えば、前記レーダ装置はいわ
ゆるFM−CWレーダ装置であって、反射波の実際の受
信電界強度に換わって、上述の混合信号の交流成分の振
幅に関する値を用いる。情報演算手段では、混合信号の
交流成分の振幅に関する値を表す強度信号の信号レベル
の各周波数毎の周波数成分の強度の積算値を、それぞれ
予め定める基準積算値でレベル弁別する。この基準積算
値はたとえばレーダ装置から充分に離れた位置に被検出
物体が存在するときの単位時間内の積算値であって、被
検出物体があるときの該積算値と被検出物体がないとき
で各種雑音が混入するときの値とを判別するためのレベ
ルである。このとき、前述したように、積算値はマルチ
パス妨害のあるときとないときとでほぼ同一の値を有す
るので、上述の手法で積算値をレベル弁別する場合で被
検出物体があるとき、マルチパス妨害の有無に拘わら
ず、積算値は確実に基準積算値以上の値を保つ。これに
よって、マルチパス妨害によって、被検出物体の有無を
誤認することを防止することができる。また、上述の成
分演算手段ではフーリエ変換手法を用いて、複数の周波
数に関する受信電界強度の周波数成分の積算値をそれぞ
れ演算して得ており、また物体判定手段は、各周波数毎
に個別的にレベル弁別を行う。反射波の受信電界強度の
周波数成分の強度に対応する各周波数は、それぞれ反射
物体との相対位置に関連するパラメータであって、複数
の周波数の積算値が基準積算値以上であるとき、複数の
被検出物体が存在することが考えられる。このとき距離
速度演算手段は、各周波数から各周波数に対応する各被
検出物体との相対距離および相対速度をそれぞれ検出す
る。これによって、複数の被検出物体が存在するときで
も、各被検出物体毎に個別的に相対距離および相対速度
を検出することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の第1実施形態で
あるレーダ装置11の電気的構成を示すブロック図であ
る。レーダ装置11は、いわゆるFM−CWレーダ装置
であり、レーダ装置11と被検出物体との相対距離およ
び相対速度であるような位置情報を得る。このレーダ装
置11は、たとえば車両に取付けられて、オートクルー
ズ装置の先行車両の追従動作のために用いられ、レーダ
装置11を搭載する搭載車両と同一道路を同一方向に走
行する先行車両を被検出物体とする。レーダ装置11
は、送信アンテナ13、受信アンテナ14、発振回路1
5a、局部発振器15b、方向性結合器15c、変位装
置17、混合回路18a、増幅回路18b、周波数検出
回路19、フィルタ21、強度検出回路22、平滑回路
25、比較回路26、演算回路28、判定回路29、お
よびアプリケーション回路30を含んで構成される。
【0025】送信アンテナ13は、たとえば車両の車体
の進行方向下流側に電磁波である送信波を放射するよう
に設置される。また受信アンテナ14は、車両の車体の
進行方向下流側からの電磁波、たとえば後述の反射波を
受信するように設置される。このために、送信および受
信アンテナ13,14は、たとえば車両の車体前方のフ
ロントグリル内に設置される。また送信および受信アン
テナ13,14は、いわゆる指向性の強いアンテナであ
って、たとえば送信アンテナ13からの送信波の主ロー
ブのビーム幅は約2度〜3度である。この送信および受
信アンテナ13,14は、単一のアンテナを共用するこ
とで実現されても良い。
【0026】また、送信および受信アンテナ13,1
4、発振回路15a、局部発振器15b、方向性結合器
15c、混合回路18a、ならびに増幅回路18bは、
センサ装置16として単一筺体に収納される。このセン
サ装置16の車両内部の設置位置を、変位装置17によ
って物理的に変位することによって、電磁波の無線伝送
路の経路長を変更する。たとえばセンサ装置16を地表
面に垂直な方向に、予め定める位置変位周期W15で周
期的に上下動させることによって、経路長を周期的に増
減させる。電磁波の無線伝送路は、送信アンテナ13か
ら反射物体までの送信波の無線伝送路と、反射物体から
受信アンテナ14までの反射波が通過する無線伝送路と
を含む。また、変位装置17は、送信および受信アンテ
ナ13,14の設置位置だけを変位させる構造であって
も良い。さらにまた、センサ装置16の変位は、周期的
ではなくある一方向にだけ動くような変位でも良い。
【0027】発振回路15aは、約750HzのFM周
波数を有し、該FM周波数に応じて電圧が増減するよう
な発振信号を生成して、局部発振器15bに与える。局
部発振器15bは、発振信号の電圧に対応した周波数の
局部発振信号を生成する。局部発振信号は、局部発振器
15bから方向性結合器15cを介して送信アンテナに
与えられる。送信アンテナ13は、局部発振信号と同一
周波数の電磁波である送信波を、車両の進行方向下流側
に向かって放射する。局部発振信号は、たとえば周波数
が経時的に偏移する交流電力信号であり、その強度は常
に一定である。
【0028】受信アンテナ14は、送信波の放射方向下
流側に存在する複数の反射物体でそれぞれ反射された電
磁波である複数の反射波を一括して受信する。反射物体
は、前述の先行車両である被検出物体の他に、たとえ
ば、搭載車両が走行中の走行道路に隣接する隣接道路を
走行する隣接車両、道路周辺の建造物、および走行道路
および隣接道路表面が挙げられる。
【0029】各反射物体からの反射波は、後述するよう
に、反射物体とレーダ装置11との相対距離に対応して
遅延し、また反射物体とレーダ装置11との相対速度に
対応して周波数が偏移する。各反射波の受信電界強度
は、反射物体の電磁波の反射率、およびアンテナ13,
14と反射物体との間の無線伝送路の経路長に関連して
変化し、反射率が同一の反射物体からの反射波であれ
ば、経路長の長さの4乗に比例して減少する。
【0030】受信アンテナ14は、これら反射波の受信
電界強度を表し、受信電界強度のレベルに比例して信号
レベルが増加するような受信信号を、混合回路18aに
導出する。このとき、送信波の反射物体が複数あって、
同時に複数の反射波が受信アンテナ14で受信されると
き、マルチパス妨害が発生する。マルチパス妨害が発生
するとき、受信信号の信号レベルは急激に減少する。前
述するように、無線伝送路の経路長は周期的に経時変化
されるので、仮に無線伝送路が或る長さのときにマルチ
パス妨害が発生しても、すぐに経路長が変更されて、マ
ルチパス妨害が解消される。ゆえに、マルチパス妨害に
起因して信号レベルが低下する継続時間は、センサ装置
16の位置変位周期W15と比べて極めて短い。
【0031】混合回路18aには、受信信号の他に、局
部発振器15bからの局部発振信号が、方向性結合器1
5cを介して与えられる。混合回路18aは、局部発振
信号と受信信号とを混合して、両信号の混合信号である
ビート信号を生成する。ビート信号のビート周波数は送
信波と反射波とのうなり周波数であって、被検出物体と
レーダ装置11との相対距離および相対速度が大きいほ
ど大きくなる。FM−CWレーダ装置では、被検出物体
の相対距離および相対速度はこのビート信号から求めら
れる。また、前述したように、局部発振信号の信号レベ
ルは常に予め定めるレベルを保ち、受信信号の信号レベ
ルは反射波の受信電界強度の経時変化に対応して変動す
る。このため、ビート信号は、反射波の受信電界強度の
経時変化に対応して信号レベルが変化するような脈動信
号であり、信号レベルの交流成分の振幅の変動は、受信
電界強度の経時変化に対応する。このビート信号は、増
幅回路18bで増幅された後に、周波数検出回路19に
与えられる。周波数検出回路19では、後述するよう
に、ビート信号のビート周波数を検出する。車両の進行
方向下流側に複数の反射物体があるとき、図2の周波数
スペクトラムに示すように、ビート信号は複数の周波数
成分fa〜ffを含む。各周波数成分fa〜ffは、そ
れぞれ別の反射物体からの反射波に起因して、信号レベ
ルが増加して生成される成分である。
【0032】またビート信号は、フィルタ21で直流成
分および高周波成分を除去した後に、強度検出回路22
に与えられる。フィルタ21からの出力信号は、電磁波
の無線伝送路の経路長の変化に起因する交流成分に、ビ
ート周波数に起因してレベル変化する信号が重畳された
信号である。この交流成分のレベル変化は、前述の搭載
車両と被検出物体との相対距離の変化に対応するレベル
変化に、センサ装置16の位置変位動作に起因する強制
的な経路長変化に対応するレベル変化が重畳されたもの
であり、反射波の受信電界強度のレベル変化に対応す
る。
【0033】強度検出回路22は、フィルタ21の上述
の出力信号からビート周波数に起因してレベル変化する
信号を除去して、ビート信号の交流成分の振幅に関する
値を表す振幅信号を生成する。振幅に関する値は、フィ
ルタ21からの信号の単位時間内の振幅の平均値、該振
幅の最大値、および該振幅の実効値のいずれかである。
本実施形態では、振幅に関する値を実効値であるとし、
強度検出回路22をコンパレータで実現する。これによ
って、ビート信号から、受信アンテナ14での反射波の
受信電界強度の経時変化に対応する振幅信号を得ること
ができる。強度検出回路の振幅信号は、平滑回路25に
与えられる。
【0034】平滑回路25は、振幅信号の信号レベルの
経時変化を、予め定める単位時間W16単位で平滑化し
て、平滑結果を表す平滑信号を生成する。単位時間W1
6は、前述のセンサ装置16の位置変位周期W15の半
分の時間である。平滑回路25は、たとえばローパスフ
ィルタで実現され、その遮断周波数は、前述のセンサ装
置16の位置変位周期W15に対応する規定周波数未満
に設定される。平滑信号の信号レベルは、後述するよう
に、搭載車両と被検出物体との相対距離だけに対応して
信号レベルが変化する信号であり、かつマルチパス妨害
の影響が除去されている。
【0035】平滑回路25からの平滑信号は、比較回路
26に与えられる。比較回路26は、平滑信号の信号レ
ベルの大きさから、被検出物体の有無を判定する。具体
的には、比較信号の信号レベルと予め定める基準レベル
とを比較し、信号レベルが基準レベル以上のときに被検
出物体があると判定し、信号レベルが基準レベル未満の
ときにないと判定する。基準レベルは、基準レベル設定
回路27において予め設定される。該回路27は、たと
えば予め定める電圧レベルの電力供給源と接地ラインと
の間に介在されて相互に直列接続された複数の抵抗から
構成され、これら抵抗によって電力供給源の電圧を分圧
して、基準レベルの信号を生成して、比較回路26に与
える。比較回路26の判定結果を表す判定信号は、演算
回路28および判定回路29にそれぞれ与えられる。
【0036】演算回路28には、上述の判定信号の他に
周波数検出回路19からのビート信号のビート周波数を
表す信号が与えられる。演算回路28はセンサ装置16
の設置位置の変位動作に対応して動作し、前述の単位時
間W16毎に、ビート周波数を用いて、後述の手法で搭
載車両と被検出物体との間の相対距離および相対速度の
少なくとも一方を算出する。判定回路39には、上述の
判定結果の他に平滑回路25からの平滑信号が与えられ
る。判定回路29は、平滑信号の信号レベルを用いて、
後述の手法で被検出物体が搭載車両と同一道路を走行し
ているか否かを判定する道路判定を行う。演算回路28
および判定回路29は、比較回路26からの判定信号が
被検出物体があることを表すときだけ各回路での処理を
行い、ないことを表すときには処理を行わない。
【0037】演算回路28で得られる相対距離および相
対速度、ならびに判定回路29からの道路判定の判定結
果は、被検出物体の位置情報として、単位時間W16毎
にアプリケーション回路30に与えられる。アプリケー
ション回路30は、上述の位置情報に基づいて、搭載車
両が被検出物体を予め定める距離だけ離れて追従してい
るか否かを判定する。具体的には、たとえば相対距離が
予め定める距離未満であるか否か、および相対速度が時
速0kmに近い予め定める時速未満であるかを判定す
る。この判定結果が、相対距離が予め定める距離以上で
あるとき、および相対速度が予め定める速度以上である
ときの少なくとも一方のときには、たとえばブザーから
警告音を発生しかつ車両のブレーキ装置を作動させて、
搭載車両を停止させる。
【0038】図3は、搭載車両内のセンサ装置16およ
び変位装置17を詳細に説明するための模式図である。
【0039】変位装置17は、一対の案内部材34と駆
動装置35とを含んで構成される。センサ装置16は、
搭載車両31のフロントグリル32内部に、案内部材3
3によって支持され、送信および受信アンテナ13,1
4が搭載車両31の進行方向下流側を向くように設置さ
れる。図3では進行方向を矢符33で表す。一対の案内
部材34は直線状の溝を有する部材であって、地表に垂
直な方向に溝が伸びるように、搭載車両31内部に固定
される。案内部材34は、具体的には、センサ装置16
の筺体の該進行方向と直交する方向の側面に形成される
突起が案内部材34の溝とが係合するように、側面から
筺体を挟持する。
【0040】このセンサ装置16の設置位置は、溝の伸
びる方向に溝の長さだけ、すなわち地表に垂直な方向に
予め定める変位高さH内で上下に変位することができ
る。駆動装置35は、たとえばモータ装置と伝達装置と
の組合わせで実現され、モータ装置の回転運動を伝達装
置で直線運動に変換して、センサ装置16に伝達するこ
とで、センサ装置16の設置位置を変位させる。
【0041】図4は、センサ装置16の位置変位動作を
説明するためのグラフである。センサ装置16の位置変
位動作は、前述した予め定める位置変位周期W15で時
間経過に比例して増加または減少するような周期運動で
ある。具体的には、まず、上昇期間内で、予め定める最
小位置h0から時間経過に比例して上昇されて、最小位
置h0から変位高さHだけ高い最大位置h1に至る。次
いで、さらに下降期間内で、最大位置h1から時間経過
に比例して下降されて最小位置h0に戻る。図3では、
最大位置h1にあるセンサ装置16を実線で表し、最小
位置h0にあるセンサ装置16aを仮想線で表す。セン
サ装置16の設置位置は、実線で表す位置と仮想線で表
す位置との間で変位する。
【0042】変位高さHは、たとえば5cm〜10cm
であって、送信波の波長に対応して決定される。上昇期
間と下降期間との長さは同一であって、それぞれ位置変
位周期W15の半分の時間であるような前述の単位時間
W16である。単位時間W16は、たとえば0.1秒〜
0.2秒であり、アプリケーション回路30において相
対距離および相対速度を更新すべき時間周期と同等の長
さに決定される。
【0043】また、上述の位置変位動作を含む無線伝送
路の変化動作は、送信および受信アンテナ13,14に
いわゆるフェイズドアレイを用い、送信および受信アン
テナ13,14の設置位置を固定する手法で実施されて
もよい。図5は、フェイズドアレイ41の具体的な電気
的構成を示すブロック図である。このフェイズドアレイ
41は、送信および受信アンテナ13,14を単一アン
テナで兼用する構造を有し、たとえば時分割によって、
送信波の放射動作と反射波の受信動作とを交互に実施す
る。
【0044】フェイズドアレイ41は、複数のアンテナ
素子42を含むアレイアンテナ43、アンテナ素子42
と同数の移相器44、ダイプレクサ45、および制御回
路46を含んで構成される。アレイアンテナ43は、微
小導線であるようなアンテナ素子42が、半導体素子の
電極形成手法に用いられるような形成手法によってプリ
ント基板上に規則的な配置で多数作付けられて実現され
る。各アンテナ素子42は、それぞれ個別の移相器44
を介して、ダイプレクサ45に接続される。ダイプレク
サ45は、前述の局部発振器15bの出力端子および混
合回路18aの入力端子にそれぞれ接続され、各移相器
44の端子を上述の端子のいずれかに接続して、送信動
作と受信動作とを切換える。
【0045】送信波の放射動作を行うとき、各移相器4
4には、局部発振器15bからの局部発振信号が与えら
れる。各移相器44は、制御回路46からの指示に基づ
いて、局部発振信号の電流および電圧の位相をそれぞれ
変更して、対応するアンテナ素子42に与える。制御回
路46は、各アンテナ素子42の基板内での位置と、送
信波の放射方向とに基づいて、各移相器44での局部発
振信号の位相の変化の度合を決定する。これによて、各
アンテナ素子42からは、個別的に定められる放射方向
に向かって相互に位相の異なる電磁波がそれぞれ放射さ
れる。
【0046】アレイアンテナ43全体から放射される送
信波は、各アンテナ素子42からの電磁波が相互干渉し
たものとみなされる。この送信波の方向は、各アンテナ
素子42からの電磁波の位相差に対応して、各アンテナ
素子42の固定の放射方向から変更される。ゆえに、各
アンテナ素子42からの電磁波の位相差、すなわち移相
器44での局部発振信号の位相変化の度合を制御回路4
6に変更させることによって、アレイアンテナ43を固
定した状態で、送信波の放射方向を変位することができ
る。
【0047】以下に、FM−CWレーダ装置の挙動を説
明するために、送信波および反射波ならびにビート信号
の挙動、および演算回路28に於ける演算処理を詳細に
説明する。
【0048】図6(1)は、送信波および反射波の周波
数の経時偏移を説明するためのグラフである。実線51
は送信波の周波数の経時偏移を表し、2点鎖線52は、
実線51の送信波に対応する反射波の周波数の経時偏移
を表す。以下に説明する周波数偏移の挙動は、被検出物
体が単一であってマルチパス妨害がなく、かつ送信およ
び受信アンテナ13,14と被検出物体との間の無線伝
送路の経路長が或る長さに保たれる場合を表す。
【0049】送信波の周波数は、予め定める中心周波数
f0を中心として、予め定める変調幅δfだけ、予め定
める振動周期W10で周期的に増減するように偏移され
る。この偏移形態としては、三角波スイープ、鋸波スイ
ープ、およびsin波スイープが挙げられる。本実施形
態では、三角波スイープさせている。具体的には、送信
波の周波数は、時刻t0から時刻t2までの増加期間W
11で予め定める最小周波数fminから予め定める最
大周波数fmaxまで時間経過に比例して増加し、時刻
t2から時刻t4までの減少期間W12で最大周波数f
maxから最小周波数fminまで時間経過に比例して
減少する。最大および最小周波数fmax,fmin
は、それぞれ中心周波数f0から変調幅δfの半分の周
波数だけ増加および減少した周波数である。中心周波数
f0はたとえば60GHzであり、変調幅Δfは、たと
えば75MHzである。このときの送信波の振動周波数
は750Hzであり、振動周期W10は、1.3m秒で
ある。増加および減少期間W11,W12の長さは同一
であって振動周期W10の半分の時間W10aである。
また周波数の増加および減少の各時間変化率の絶対値は
等しい。
【0050】上述の送信波の放射時刻から、該送信波に
対応する反射波の受信時刻までの遅延時間W13は、反
射物体とレーダ装置11との相対距離に比例して増加す
る。また、送信波の最大および最小周波数fmax,f
minと、反射波の最大および最小周波数fmaxa,
fminaとの周波数差δfcwは、反射物体とレーダ
装置11との相対速度に比例して増加する。ゆえに、反
射波の周波数偏移の挙動は、周波数の偏移タイミングが
遅延時間W13だけ送信波の周波数の偏移タイミングか
ら遅延する点と、最大および最小周波数ならびに中心周
波数が周波数差δfcwだけ変化する点が異なり、周波
数の時間変化率、変調幅δf、および振動周期W10は
等しい。ゆえに反射波は、周波数増加の開始時刻t1か
ら時刻t2を経て減少開始時刻t13まで時間経過に比
例して増加し、減少開始時刻t3から時刻t14を経て
減少終了時刻t5まで時間経過に比例して減少する。時
刻t1,t3,t5は、それぞれ送信波の周波数偏移の
時刻t0,t2,t4から遅延時間W13だけ遅れた時
刻である。
【0051】図6(2)は、図6(1)に示す送信波お
よび反射波が得られるときに生成されるビート信号のビ
ート周波数を表すグラフである。また図6(3)は、上
述のビート信号のビート周波数の経時偏移を表すグラフ
である。経路長が或る長さに保たれる場合で上述の送信
波を放射するとき、ビート周波数は、反射波の周波数増
加の開始時刻t1から送信波の周波数減少の開始時刻t
2まで、増加期間W11のビート周波数fupを保ち、
反射波の周波数減少の開始時刻t3から送信波の周波数
減少の終了時刻t14まで、減少期間W12のビート周
波数fdnを保つ。
【0052】周波数検出回路19は、単位時間W16単
位で、送信波の増加および減少期間W11,W12毎
に、増加および減少期間W11,W12のビート周波数
fup,fdnをそれぞれ求める。単位時間W16単位
の各ビート周波数fup,fdnは、たとえば単位時間
W16内で複数回繰返される増加および減少期間W1
1,W12内に、それぞれ各ビート周波数fup,fd
nを求め、各回の周波数の平均値を該単位時間W16に
おけるビート周波数fup,fdnとする。
【0053】演算回路28は、各単位時間W16内で被
検出物体があると判定されたことを表す判定信号が比較
回路26から与えられるとき、周波数検出回路19で検
出される該単位時間W16の増加および減少期間W1
1,W12のビート周波数fup,fdnを用い、以下
の演算式に基づいて、レーダ装置11と被検出物体との
相対距離Rおよび相対速度vを算出する。相対速度v
は、レーダ装置11に被検出物体が近付く方向への速度
を正の値で表し、遠ざかる方向への速度を負の値で表
す。
【0054】
【数1】
【0055】上式の係数Krは、送信波の中心周波数f
0と変調幅δfとをパラメータとする予め定める関数F
()から求められる。
【0056】 Kr = F(f0,δf) …(3) また、係数Kvは以下の式で規定される。cは光速度で
ある。
【0057】 Kv = 2・f0/c …(4) 以下に、混合回路18aからから平滑化回路25までの
回路における信号処理、および各回路から出力される信
号を詳細に説明する。
【0058】まず、混合回路18aからのビート信号
を、図7を用いて説明する。
【0059】図7(1)は、前述のセンサ装置16の変
位動作の単位時間W16よりも充分に大きい時間範囲で
のビート信号の信号レベルの挙動を説明するためのグラ
フである。このように信号レベルの変化を巨視的にみた
とき、ビート信号の信号レベルは、主としてレーダ装置
11の搭載車両31と先行車両である被検出物体との相
対距離の変化に比例して増減し、さらに、前述のマルチ
パス妨害に起因して、位置変位周期W15よりも短い周
期で増減する。これによって、全体としてビート信号の
信号レベルは、極めて短い時間に頻繁に変化する。
【0060】図7(2)は、図7(1)に表すビート信
号のグラフのうちの単位時間W16内の部分の部分拡大
図であり、搭載車両31と被検出物体との相対距離がほ
ぼ保たれる期間、すなわち前述のセンサ装置16の変位
動作に起因する強制的な経路長変化以上に経路長が変化
しない期間でのビート信号の信号レベル変化を表す。こ
のとき、ビート信号の信号レベルは、単位時間W16内
で微小レベルだけ振動しつつほぼ同一レベルを保ち、ま
た、マルチパス妨害によって1または複数回急激にレベ
ルが低下し、また急激に元のレベルに戻る。
【0061】図7(3)は、図7(2)に表すビート信
号のグラフのうち、送信波の周波数が変化する振動周期
W10内の部分の部分拡大図である。前述したように、
ビート信号は脈動信号でありビート周波数を有するの
で、振動周期W10内では、信号レベルは、増加および
減少期間W11,W12のビート周波数fup,fdn
にそれぞれ対応して振動する。この振動の振幅A1は、
搭載車両と被検出物体との相対距離の変化に起因するレ
ベル変化量、およびマルチパス妨害に起因するレベル変
化量と比較して、充分に小さい。
【0062】以下に、フィルタ21の挙動を詳細に説明
する。フィルタ21は、たとえばバンドパスフィルタで
実現され、上述のビート信号から、直流成分および高周
波成分を除去する。図8は、フィルタ21の通過特性を
表すグラフである。実線61はフィルタ21の通過特性
を表し、実線62は、図2と同一のビート信号の周波数
スペクトラムを表す。フィルタ21で除去される高周波
成分は、レーダ装置11で検出可能な最長距離に対応す
るビート周波数fup、fdnの最大値以上の成分であ
る。検出可能な最長距離はたとえば120mであって、
そのときのビート周波数fupの最大値は100kHz
である。このために、フィルタ21の通過帯域は、具体
的には、たとえば0kHz以上100kHz未満に設定
される。
【0063】図9は、フィルタ21から出力される出力
信号の信号レベル変化を表すグラフである。フィルタ2
1からの出力信号の信号レベルを実線64で表す。前述
したように、ビート信号はビート周波数の信号であるの
で、フィルタ21からの出力信号は、前述したように、
電磁波の無線伝送路の経路長の変化に起因する前述の交
流成分に、ビート周波数に起因してレベルが変化する前
述の信号が重畳された信号である。電磁波の無線伝送路
の経路長の変化は、前述の搭載車両と被検出物体との相
対距離の変化に、センサ装置16の変位運動に起因する
強制的な経路長変化を重畳したものである。上述の交流
成分を図9では2点鎖線65で表す。
【0064】上述の強度検出回路22は、このようなフ
ィルタ21の出力信号の実効値を求めることで、出力信
号からビート周波数に起因する信号レベルの変動を除去
して、上述の交流成分を得る。これによって、ビート信
号から、受信アンテナ14での反射波の受信電界強度の
経時変化に対応する振幅信号を得ることができる。
【0065】図10は、振幅信号の信号レベルの経時変
化を表すグラフである。振幅信号の信号レベルを実線6
7で表す。振幅信号の信号レベルは、単位時間W16の
間、搭載車両31と被検出物体との相対距離に対応する
信号レベルV1を中心として、強制的な経路長変化の変
化量に対応する微少レベルだけレベル変化する。また単
位時間W16内でマルチパスの妨害が発生するときは、
その発生タイミングt11で急激にレベルが低下し、ま
た急激に元のレベルV1に戻る。マルチパス妨害の発生
時での振幅信号の信号レベルVminと上述の信号レベ
ルV1との差分は、上述の微小レベルと比較して充分に
大きい。またマルチパス妨害のために信号レベルが低下
する継続時間W21は、単位時間W16と比較して充分
に短い。
【0066】平滑回路25の遮断周波数は、センサ装置
16の変位運動の位置変位周期W15に対応する規定周
波数未満に設定されるので、上述の微小レベルの信号レ
ベル変化の変化周波数よりも小さい。ゆえに、振幅信号
の信号レベルの経時変化のうち、上述の変位運動によっ
て生じる強制的な経路長変化に対応する微小レベルの信
号レベル変化を平滑化することができる。また、マルチ
パス妨害に起因するレベル変化では信号レベルが低下す
る時間が極めて短いので、上述の遮断周波数の平滑回路
25では、、マルチパス妨害の継続時間W21の間、平
滑信号の信号レベルは、発生タイミングt11前後の信
号レベルとほぼ同等のレベルを保つ。これによって、平
滑信号は、図10の2点鎖線68で表すように、単位時
間W16内で上述の相対距離に対応する信号レベルV1
を保つ。
【0067】このようなフィルタ21から平滑回路25
に至る一連の回路の信号処理動作によって、受信信号の
信号レベルの経時変化から、マルチパス妨害、強制的な
経路長変化、および局部発振信号と受信信号との混合処
理とに起因するレベル変化を除去して、搭載車両と被検
出物体との実際の相対距離に対応する信号レベルV1を
得ることができる。また、単位時間W16よりも短い周
期の経路長変化を生じるような振動が搭載車両および被
検出物体の少なくとも一方に生じているとき、平滑回路
25の遮断周波数を前記周期に対応する周波数未満に設
定すれば、この振動に規因する受信信号のレベル変化も
平滑化して除去することができる。
【0068】続いて、比較回路28と判定回路29とに
おける被検出物体のレベル判定を以下に説明する。
【0069】図11は被検出物体からの反射波の受信電
界強度を表す受信信号の信号レベルと相対距離Rとの関
係を表すグラフである。この被検出物体は、レーダ装置
11の送信および受信アンテナ13,14の設置位置か
ら同一距離であって、送信波の放射方向とほぼ平行な方
向に存在するものとする。実線71は、上述のレーダ装
置11を実際の道路上で作動させ、実際の車両を被検出
物体としたときの受信信号の信号レベルを表す。2点鎖
線72は、上述のレーダ装置11を電波暗室内で作動さ
せ、コーナレフと称される標準ターゲットを被検出物体
としたときの受信信号の信号レベルを表す。コーナレフ
は内部が中空で一面が開口した三角錘であり、開口部側
の反射が大きく、その反対側の面の反射が小さい。また
電波暗室内には、被検出物体以外の反射物体がないの
で、マルチパス妨害は発生しない。
【0070】電波暗室内でレーダ装置11を作動させた
とき、受信信号の信号レベルは、距離の4乗に比例して
減少し、距離xmaxでレベル0になる。実際の道路上
でレーダ装置11を作動させたとき、受信信号の信号レ
ベルは、2点鎖線72が包絡線となるように脈動し、距
離xmax未満の距離x1〜x3で一時的にレベル0に
なる。距離x1〜x3のレベル低下は、マルチパス妨害
に起因するものである。距離x1は、たとえば50〜6
0mである。
【0071】前述したように、舗装がなされた道路の表
面は、送信波の反射物体として作用する。また車両の車
体の外観は複雑であるので、同一車両内で異なる位置の
反射率が大きく異なる。これらのことから、道路上の実
際の車両を被検出物体とするとき、マルチパス妨害は非
常に発生しやすく、受信信号の信号レベルと相対距離と
の比例関係が成立たないので、信号レベルから被検出物
体の距離に関する情報を得ることは困難である。本実施
形態のレーダ装置11では、前述したように、平滑回路
25からマルチパス妨害に起因する信号レベル変化が平
滑された平滑信号が得られる。この平滑信号は、マルチ
パス妨害の発生時の信号レベルが補正されるので、相対
距離が距離x1〜x3であるときも信号レベルが低下せ
ず、2点鎖線72と同様に、相対距離の4乗に比例し
て、信号レベルが減少する。ゆえに、この平滑信号に
は、信号レベルと相対距離との比例関係が成立つので、
平滑信号から被検出物体の距離に関する情報を得ること
ができる。
【0072】図12は、平滑信号の信号レベルと、被検
出物体が存在する位置との関係を説明するための模式図
である。境界線76〜78は、信号レベルが−30d
B,−20dBおよび−10dB未満であるような平滑
信号が得られるときに、被検出物体が存在する領域81
〜83の外縁をそれぞれ表す。前述の図11の2点鎖線
72は、領域81〜83の長軸上に被検出物体があると
きの信号レベルと相対距離との関係を表す。仮想平面上
で放射方向と異なる方向に被検出物体があるとき、平滑
信号の信号レベルと相対距離との関係は、距離の4乗に
比例して減少することは等しく、信号レベルの減少率が
異なる。信号レベルの減少率は、送信波の放射方向と反
射物体が存在する方向との角度が大きいほど大きくな
る。これらのことから、領域81〜83の長軸は、全て
送信波の放射方向とほぼ平行な方向に沿うことが解る。
領域81〜83は、ファン型の領域であって、長軸と境
界線76〜78が交差する一方端部がレーダ装置11の
同一位置に接する。また境界線に対応する信号レベルが
大きいほど、長軸、およびその長軸に直交する短軸の長
さが短い。
【0073】比較回路26の前述の基準レベルは、これ
ら領域81〜83の境界線76〜78のいずれか1つに
対応する信号レベルであって、被検出物体が存在しない
ときに平滑信号に重畳される雑音よりも大きいような信
号レベルが選ばれる。たとえば基準レベルには、境界線
76に対応する信号レベルである−30dBが選ばれる
ものとする。このとき、比較回路26は、領域81を検
出領域とみなし、検出領域内部に被検出物体が存在する
ときだけ、被検出物体があると判定し、検出領域外部に
被検出物体があるときおよび被検出物体がないときの両
方のときに、被検出物体がないと判定する。具体的に
は、比較回路26は、平滑信号の信号レベルが−30d
B以上であるときだけ被検出物体があると判定し、信号
レベルが−30dB未満のとき、被検出物体が存在しな
いと判定する。
【0074】図11で説明したように、受信信号は、マ
ルチパス妨害によって、被検出体との相対距離と信号レ
ベルとに比例関係が成立たない。このときに上述のよう
にに信号レベルから検出領域内部に被検出物体があるか
否かを判定すると、マルチパス妨害が発生する場所で、
信号レベルが前記選ばれる信号レベル未満に低下して、
被検出物体がないと判定するような検出抜けが発生する
ことがある。前述したようにマルチパス妨害は頻繁に発
生するので、検出領域内の被検出物体の有無の誤認が頻
繁に発生する。本実施形態のレーダ装置11では、信号
レベルを用いる被検出物体の有無の判定に、受信信号か
らマルチパス妨害の影響を除去して生成される平滑信号
を用いるので、マルチパス妨害に起因する被検出物体の
有無の誤認が発生しない。ゆえに、検出領域内部に被検
出物体が存在するときに、被検出物体がないと判定する
ような検出抜けを防止することができる。
【0075】また受信信号を用いるときには、マルチパ
ス妨害の影響によって被検出物体の有無を誤認するの
で、検出領域内の位置によっては被検出物体を検出でき
ずに、検出領域が確定されない。本実施形態では領域8
1内部に被検出物体があるときは確実にあると判定する
ので、マルチパス妨害に拘わらず、検出領域を確定する
ことができる。
【0076】上述のレーダ装置11が搭載される搭載車
両31が、幅が一定で直線状の道路86を走行すると
き、これら領域81〜83の長軸は、道路の延びる方向
と平行になる。このとき、領域81〜83は、その長軸
の長さが長いほど、道路86と各領域とが重なる重複部
分の長さが長い。ゆえに、道路86上で搭載車両31に
先行して走行する被検出物体を検出可能な最大離反距離
が大きくなる。このとき、道路86に隣接する道路8
7,88にも、領域81〜83の一部分がはみ出して重
畳する。この隣接する道路87,88と領域81〜83
との重畳部分の大きさは、長軸が長いほど、すなわち前
記最大離反距離が長いほど大きい。また、領域81に
は、隣接する道路87,88との重畳部分がない。
【0077】上述のように領域81を検出領域に設定す
るとき、比較回路26は、隣接する道路87,88を走
行する対向車両が該道路87,88と領域81との重畳
部分を通過するとき、対向車両を先行車両と誤認するこ
とがある。このとき、判定回路29は、平滑信号の信号
レベルから、演算回路28で求められる相対距離および
相対速度が、道路86上の車両のものであるか否かを判
定する。具体的には、判定回路29は、たとえば平滑信
号の信号レベルを、基準レベル以上の弁別レベルでレベ
ル弁別する。この弁別レベルは、たとえば道路86だけ
に重畳されて隣接する道路87,88にはみ出さないよ
うな領域、図12では領域83の境界線78に対応する
信号レベルである−10dBが選ばれる。判定回路29
は、平滑信号の信号レベルが弁別レベル以上のときに、
相対距離および相対速度を検出する被対象物体が道路8
6上の物体であると判定し、信号レベルが弁別レベル未
満のときには該被対象物体が隣接する道路87,88上
の物体であると判定する。
【0078】このように、本実施形態のレーダ装置で
は、被検出物体との相対距離と信号レベルとが比例関係
を有するような平滑信号が得られるので、この平滑信号
の信号レベルから、被検出物体が走行車両と同一道路上
にあるか否かを確実に判定することができる。また従来
技術と本実施形態とのレーダ装置を比較すると、従来技
術ではマルチパス妨害に起因する判定誤差が生じていた
が、本実施形態ではマルチパス妨害に起因する判定誤差
は生じない。これによって、同一道路上にあるか否かの
判定結果の誤認を防止して、被検出物体の存在する道路
を確実に確定することができる。
【0079】図13は、上述の車両のレーダ装置11に
おける被検出物体の位置検出動作を説明するためのフロ
ーチャートである。この位置検出動作は、上述した送信
アンテナ13の送信波の発振動作と平行して実施され
る。
【0080】レーダ装置11に電力が供給されて、送信
アンテナ13の送信波の発振動作が開始されると、受信
アンテナ14もまた反射波の受信動作を開始する。これ
によって、混合回路18aがビート信号の生成を開始し
て、ステップa1からステップa2に進む。ステップa
2では、フィルタ21で、ビート信号の周波数帯域制限
が行われる。次いでステップa3では、強度検出回路2
2で、ビート信号の信号レベルの実効値が検出されて振
幅信号が生成される。続いて、ステップa4では平滑回
路25で、振幅信号が平滑化されて平滑信号が生成され
る。続いて、ステップa5では、比較回路26で、セン
サ装置16の位置変位周期W15の単位時間W16が経
過したか否かが判定され、経過したときだけステップa
6に進む。ステップa6では、比較回路26で、平滑信
号の信号レベルVが予め定める基準レベルVref以上
であるか否かが判定される。ステップa5で単位時間W
16が経過していないと判定されるとき、またはステッ
プa6で信号レベルVが基準レベルVref未満である
と判定されるときには、ステップa2に戻り、ステップ
a2〜a6の動作を繰返す。単位時間W16が経過し
て、かつ信号レベルVが基準レベルVref以上である
と判定されるときだけ、ステップa7に進む。
【0081】ステップa7では、周波数検出回路19か
ら、単一の単位時間W16内の送信波の振動周期W10
毎のビート信号の増加および減少期間W11,W12の
ビート周波数fup,fdnが演算回路28に与えられ
る。次いで、ステップa8で演算回路28は、これらビ
ート周波数fup,fdnを用い上述の式(1)〜
(4)に基づいて、被検出物体と搭載車両との相対距離
および相対速度を算出する。この相対距離および相対速
度は、演算回路28からアプリケーション回路30に与
えられる。続いて、ステップa9では、判定回路29
が、平滑信号を用いて、被検出物体が搭載車両と同一道
路上に存在するかを判定する。この判定結果もまた、ア
プリケーション回路30に与えられる。被検出物体の位
置判定が終了すると、再びステップa2に戻る。
【0082】このような一連の動作によって、図1の車
両のレーダ装置11を用いて、マルチパス妨害の影響を
除去して、被検出物体と搭載車両との相対位置および相
対速度を算出することができる。
【0083】本発明の第2実施形態のレーダ装置81を
以下に説明する。
【0084】図14は、本発明の第2実施形態である車
両のレーダ装置81の電気的構造を示すブロック図であ
る。レーダ装置81は、第1実施形態のレーダ装置11
と類似の構造を有するFM−CW型のレーダ装置であっ
て、ビート信号からマルチパス妨害およびセンサ装置1
6の変位に起因するレベル変動を除去するための構造が
異なり、他の構造はレーダ装置11と等しい。以下の説
明では、レーダ装置11と同一の構造の構成部品には同
一の符号を付し、詳細な説明は省略する。レーダ装置8
1は、センサ装置16の位置変位周期W15の単位時間
W16内での信号レベルを積算して、その積算値を用い
て位置情報の演算を行うか否かを判定する。
【0085】レーダ装置11は、センサ装置16,変位
装置17、サンプリング回路83、FFT回路84、積
算回路85、カウンタ86、ピーク検出回路87、演算
回路28、判定回路29、およびアプリケーション回路
30を含んで構成される。
【0086】センサ装置16は、第1実施形態のレーダ
装置11と同様に、周波数が偏移する送信波を発振して
その反射波を受信し、かつその設置位置が搭載車両内で
位置変位周期W15で変動する。センサ装置16内の混
合回路18aは、局部発振器15bからの局部発振信号
と受信アンテナ14からの受信信号とを混合してビート
信号を生成し、増幅回路18bで増幅させた後に、サン
プリング回路83に与える。
【0087】サンプリング回路83は、位置変位周期W
15の単位時間W16内に、予め定める観測周期W22
毎の観測開始時刻から、ビート信号の信号レベルを予め
定めるN回のサンプリング回数だけそれぞれサンプリン
グする。N回のサンプリングで得られるビート信号のN
個の信号レベル値は、各観測開始時刻からのN回のサン
プリングの組合わせ毎に、FFT回路84に与えられ
る。
【0088】図15(1)〜(3)は、センサ装置16
の位置変位動作と、ビート信号の観測開始時刻との関係
を表すグラフである。図15(1)の実線91aで表す
センサ装置16の設置位置の高さの経時変化のグラフ
は、前述の図4のグラフと等しい。図15(2)の実線
91bで表す送信波の周波数の経時偏移のグラフは、前
述の図6(1)の実線51のグラフと等しい。さらに、
図15(3)の実線91cで表すビート信号の振幅の経
時変化のグラフは、前述の図6(2)および図7(3)
のグラフと等しい。ゆえに、これらグラフの詳細な説明
は省略する。
【0089】観測周期W22に対応する観測サンプリン
グ周波数は、センサ装置16の位置変位周期W15に対
応する周波数よりも充分に小さく設定される。また観測
周期W22は、送信波の振動周期W10の半分の時間W
10a、すなわち増加および減少期間W11,W12の
経過時間W10aよりも大きく設定される。上述のサン
プリング回数のN回は、たとえば128回であり、N回
のサンプリングは、各観測開始時刻から上述の経過時間
W10aが経過する間に実施される。これによって、各
観測開始時刻から時間W10aが経過する間に、N回の
各サンプリングでの信号レベル値L1〜LNが得られ、
さらに単位時間W16内では、N回のサンプリング動作
がM回繰返し実施される。
【0090】再び図14を参照する。FFT回路84で
は、各観測開始時刻でのビート信号の周波数成分を、周
波数軸上のN点の観測点の周波数f1〜fN毎に得る。
FFT回路84は、たとえばいわゆる高速フーリエ変換
法を用いた周波数変換の演算を行う演算回路で実現さ
れ、上述のビート信号の周波数成分は、ビート信号の信
号レベル値L1〜LNを用いたフーリエ変換によって得
られる。この演算には、具体的には、N点の高速フーリ
エ変換法が用いられる。フーリエ変換の点数Nは、たと
えば128点である。単位時間W16内の任意の観測開
始時刻tamにおける周波数f1〜fNのうちの任意の
周波数fnの周波数成分cn(tam)をえるための高
速フーリエ変換法の変換式を以下に表す。
【0091】
【数2】
【0092】これら任意の観測開始時刻tamでの周波
数成分c1(tam)〜cN(tam)は、積算回路8
5に与えられる。
【0093】積算回路85は、単位時間W16内の全観
測開始時刻ta1〜taMでの周波数f1〜fNの周波
数成分c1(tam)〜cN(tam)を、各周波数f
1〜fn毎に積算することによって、単位時間W16内
での各周波数の周波数成分の積算値Cf1〜CfNを得
る。周波数f1〜fNのうちの任意の周波数fnの積算
値Cfnは、次式に表すように、単位時間W16内での
各観測開始時刻ta1〜taMにおける周波数fnの周
波数成分cn(ta1)〜cn(taM)の積算値であ
る。
【0094】
【数3】
【0095】積算回路85にはカウンタ86が付随し、
積算回路85での周波数成分の積算回数を計数してい
る。積算回路85は、積算値の積算回数がサンプリング
の繰返し回数であるM回に達するとき、すなわち位置変
位周期W15の単位時間W16毎に、積算値Cf1〜C
fNを積算回路85からピーク検出回路87に与え、次
の単位時間W16内には再び0回から積算を開始する。
【0096】ピーク検出回路87では、上述の周波数f
1〜fNnのうちで、その積算値Cf1〜CfNが予め
定める基準積算値以上である周波数を抽出する。この基
準積算値は、具体的には、たとえば前述の図1のレーダ
装置11の比較回路26の基準レベルの値とサンプリン
グの繰り返し回数とを乗算した値、すなわち基準レベル
のM倍の値である。またピーク検出回路87では、上述
の積算値Cf1〜CfNの平均値をそれぞれ求め、この
平均値と前述の基準レベルとを比較して、平均値が基準
レベル以上である周波数を抽出してもよい。これによっ
て、ビート信号の信号レベルが予め定める基準レベル以
上であるか否かの判定と、ビート信号のうちで周波数成
分が基準レベル以上である周波数の検出とを、同一の回
路で行うことができる。すなわち、ピーク検出回路86
は、第1実施形態のレーダ装置11の周波数検出回路1
9と比較回路26を兼ねる。ピーク検出回路87は、抽
出される基準積算値以上の積算値を有する周波数を表す
信号を演算回路28に与える。また基準積算値以上の積
算値を表す信号を判定回路29に与える。
【0097】演算回路28は、与えられた周波数を用い
て、上述の式(1)〜(4)を用いた演算処理を行っ
て、被検出物体と搭載車両との相対速度および相対距離
を求める。また、判定回路29は、たとえば与えられた
積算値をサンプリングの繰返し回数であるM回で除算し
て該単位時間W16内の周波数成分cfnの積算値Cf
nの平均値を求め、上述の走行道路の判定動作で上述の
平滑信号の信号レベルに代わってこの平均値を用いて、
被検出物体が搭載車両と同一道路上に存在するか否かを
判定する道路判定を行う。演算回路28と判定回路29
との処理結果は、アプリケーション回路30に与えられ
て、該回路30での上述の処理動作に用いられる。
【0098】レーダ装置81で得られるビート信号の信
号レベルの挙動は、前述の第1実施形態のレーダ装置1
1のビート信号の信号レベルの挙動と等しく、マルチパ
ス妨害が発生する場合には、単位時間W16と比較して
その継続時間W21が極めて短い。このようなビート信
号であって単位時間W16内の任意の観測開始時刻ta
mにマルチパス妨害が発生する場合でマルチパス妨害の
継続時間W21が観測周期W22と同程度であるとき、
ビート信号の周波数成分fnの積算値Cfnの値は、マ
ルチパス妨害が発生したときの観測開始時での周波数成
分cfn(tam)だけが本来の信号レベル未満に低下
し、残余の観測開始時の周波数成分cfm(ta1)〜
cfm(tam−1),cfn(tam+1)〜cfn
(taM)は本来の信号レベルを保つ。このように、単
位時間W16内で、マルチパス妨害によってレベルが低
下する周波数成分は、本来のレベルを保つ残余の周波数
成分の数と比較して極めて少ない。
【0099】したがって、積算回路85で単一の単位時
間W16内に積算される周波数成分の数、すなわち単位
時間内でのビート信号のサンプリングの繰返し回数の数
を充分に大きくする場合、マルチパス妨害が発生すると
きの積算値と発生しないときの積算値とはほぼ同じ値に
なると予想される。このことから、ピーク検出回路87
における判定にこの積算値を用いることによって、マル
チパス妨害の有無に拘わらず、被検出物体の有無を確実
に判定することができる。また、これら2つの場合の積
算値がほぼ同じ値になるので、各場合の積算値から得ら
れる周波数成分cfmの平均値、すなわち、周波数成分
を平滑化した値もまたほぼ同じ値になると考えられる。
したがって、判定回路29における道路の判定動作にお
いても、マルチパス妨害の影響をほとんど受けないで判
定を行うことができる。
【0100】図16は、上述の車両のレーダ装置81に
おける被検出物体の位置検出動作を説明するためのフロ
ーチャートである。この位置検出動作は、上述した送信
アンテナ13の送信波の放射動作と平行して実施され
る。
【0101】レーダ装置11に電力が供給されて、送信
アンテナ13からの送信波の放射動作が開始されると、
受信アンテナ14もまた反射波の受信動作を開始する。
この結果、混合回路18aがビート信号を生成して導出
し、ステップb1からステップb2に進む。ステップb
2では、サンプリング回路83が、観測周期W22毎に
ビート信号のN回のサンプリングを行い、得られた信号
レベルL1〜LNをFFT回路84に与える。次いで、
ステップb3では、FFT回路84が、N回のサンプリ
ングで得られたN点の信号レベルL1〜LNを用いて、
式(5)の高速フーリエ変換法の演算を行い、周波数成
分cf1〜cfNを得る。続いて、ステップb4で、積
算回路85が周波数成分cf1〜cfNを各周波数f1
〜fN毎に積算する。続いて、ステップb5では、積算
回路85はカウンタ86の計数値がサンプリングの繰返
し回数であるM回と一致するか否かを判定し、一致しな
いときには、ステップb6でカウンタ86の計数値に1
加算して更新した後、ステップb2に戻る。以後、ステ
ップb2〜b4の演算は、観測周期W22が経過するた
びに実施される。ステップb5でカウンタ86の計数値
がM回と一致すると判定されるとき、ステップb7でピ
ーク検出回路87に積算値が基準積算値以上であるよう
な周波数を抽出させる。続いて、ステップb8で、演算
回路28での相対距離および相対速度の演算、および判
定回路29での被検出物体の道路判定を行わせ、ステッ
プb9で当該フローチャートの処理動作を終了する。
【0102】このような一連の動作によって、図14の
車両のレーダ装置81を用いて、マルチパス妨害の影響
を除去して、被検出物体と搭載車両との相対位置および
相対速度を算出することができる。このレーダ装置81
は、第1実施形態のレーダ装置11と比較して、混合回
路18aの信号レベルからマルチパス妨害の影響を除去
するための各回路83〜87ではそれぞれ演算処理が行
われている。ゆえに、各回路83〜87をマイクロコン
ピュータの演算処理で実現されるような仮想的な回路で
実現させることもできる。したがって、レーダ装置81
の実質の部品点数を減少させることができる。
【0103】本発明の第3実施形態のレーダ装置101
を以下に説明する。
【0104】図17は、本発明の第3実施形態である車
両のレーダ装置101の電気的構造を示すブロック図で
ある。レーダ装置101は、第1実施形態のレーダ装置
11と類似の構造を有するパルスレーダであって、受信
アンテナからの受信信号から相対距離を算出するための
手法が異なり、他の構造はレーダ装置11と等しい。以
下の説明では、レーダ装置11と同一の構造の構成部品
には同一の符号を付し、説明は省略する。
【0105】レーダ装置101は、送信アンテナ13,
受信アンテナ14,パルス発生回路105、局部発振回
路15b、検波回路106、パルス信号生成回路10
7、変位装置17、パルス幅計測回路108、距離計算
回路109、レベル検出回路111、平滑回路25,比
較回路26、およびターゲット判定回路112を含んで
構成される。
【0106】パルス発生回路105は、予め定めるパル
ス幅W32の発振パルス信号を、予め定めるパルス周期
毎に生成して、局部発振器15bに与える。発振パルス
信号を図18(1)に示す。局部発振器15bは、発振
パルス信号の信号レベルがハイレベルであるときだけ、
予め定める発振周波数の局部発振信号を送信アンテナ1
3に与えて、周波数が発振周波数に保たれる送信波を放
射させる。
【0107】受信アンテナ14は、この送信波の反射波
を受信して、受信信号を検波回路106に導出する。検
波回路106は、受信信号が表す反射波の受信電界強度
を予め定める弁別レベルでレベル弁別することによっ
て、パルス状に発振される送信波の反射波のパルスを検
出して、反射波のパルスを表す受信パルス信号を生成す
る。具体的には、受信信号が表す反射波の受信電界強度
が予め定める弁別レベル以上であるときには、受信パル
ス信号の信号レベルをハイレベルとし、受信電界強度が
予め定める弁別レベル未満のときは受信パルス信号の信
号レベルをローレベルとすることによって、受信パルス
信号を生成する。受信パルス信号は、パルスの立上がり
および立下がり時刻が、レーダ装置101と反射物体と
の相対距離に対応する遅延時間W33だけ、発振パルス
信号のパルスの立上がりおよび立下がり時刻よりも遅
れ、それ以外の挙動は発振パルス信号と等しい。受信パ
ルス信号を図18(2)に示す。上述の弁別レベルは、
受信信号から雑音成分を除去することができる程度の低
いレベルに設定される。
【0108】パルス信号生成回路107には、パルス発
生回路105からの発振パルス信号、および検波回路1
06からの受信パルス信号が与えられる。パルス信号生
成回路107では、発振および受信パルス信号を比較し
て、遅延パルス信号を生成し、パルス幅計測回路108
に与える。遅延パルス信号のパルス幅は上述の遅延時間
W33と等しく、パルスの立上がり時刻は発振パルス信
号のパルスの立上がり時刻t31と等しく、パルスの立
下がり時刻は受信パルス信号のパルスの立上がり時刻t
33と等しい。遅延パルス信号W33を図18(3)に
示す。パルス幅計測回路108は、該遅延パルス信号の
パルス幅、すなわち遅延時間W33を計測して、距離計
算回路109に与える。距離計算回路109では、遅延
時間W33から、レーダ装置101と反射物体との間の
相対距離を算出する。
【0109】上述の送信および受信アンテナ13,1
4、局部発振器15b、パルス発生回路105、検波回
路106、およびパルス信号生成回路107は、レーダ
センサ装置110として単一筺体に収納される。レーダ
センサ装置110の設置位置は、変位装置17によっ
て、時間経過に伴い位置偏移周期15で周期的に変位さ
れる。レーダセンサ装置110の位置変位周期W15
は、発振パルス信号のパルス周期よりも長く、距離計算
回路109は、レーダ装置101と反射物体との間の相
対距離を、位置変位周期W15の間に複数回算出する。
【0110】また検波回路106からは、受信アンテナ
14からの受信信号がそのままレベル検出回路111に
与えられる。レベル検出回路111は、受信信号の受信
電界強度を検出して、受信電界強度を表す強度信号を生
成する。この強度信号は、第1実施形態の強度検出回路
22で生成される強度信号と同様に、平滑回路25に与
えられて平滑される。これによって、強度信号からマル
チパス妨害の影響が除去される。平滑回路25からの平
滑信号は、比較回路26で基準レベルと比較される。比
較回路26は、平滑信号の信号レベルと基準レベルとの
比較結果を表す比較信号をターゲット判定回路112に
与える。
【0111】ターゲット判定回路112には、比較信号
の他に、距離計算回路109で算出される相対距離が与
えられている。ターゲット判定回路112は、比較回路
26からの比較信号に基づいて、平滑信号の信号レベル
が基準レベル以上であるときには、被検出物体が存在す
ると判定し、相対距離を用いてアプリケーション装置の
ための処理動作を実施する。また、信号レベルが基準レ
ベル未満であるときには、被検出物体がないと判定し
て、アプリケーション装置のための処理動作を実施しな
い。
【0112】このように、被検出物体の有無を判定する
ときに受信信号の受信電界強度を用いる場合、ビート信
号を生成しない方式のレーダ装置であっても、本実施形
態の装置のように受信信号の受信電界強度の経時変化を
表す強度信号を平滑化することで、強度信号からマルチ
パス妨害の影響を除去することができる。したがって、
被検出物体が存在するにも拘わらず、マルチパス妨害に
よって受信電界強度が低下して、被検出物体がないと誤
認することを防止することができる。したがって、アプ
リケーション装置のための処理動作において、マルチパ
ス妨害によって受信信号の信号レベルが低下するため
に、該アプリケーション装置の処理動作が誤って停止さ
れ、時間経過に伴う位置情報の検出動作に、検出抜けが
生じることを防止することができる。
【0113】本実施形態のレーダ装置における上述のマ
ルチパス妨害の影響の除去手法は、FM−CWレーダ装
置、およびパルスレーダ装置に限らず、受信信号の受信
電界強度を何らかの処理動作に用いるような、その他の
レーダ装置にも適用することができる。
【0114】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、車両のレ
ーダ装置は、送信アンテナから被検出物体で反射して受
信アンテナに戻る電磁波の無線伝送路の経路長を経時変
化させつつ、送信波の送信動作と反射波の受信動作とを
行い、その反射波の受信電界強度の経時変化を平滑手段
において平滑する。これによって、或る時点でマルチパ
ス妨害が発生して反射波の受信電界強度が低下すると
き、その前後の時点での受信電界強度によって或る時点
での受信電界強度を補正することができる。これによっ
て、受信アンテナからの反射波の受信電界強度の経時変
化からマルチパス妨害の影響を除去することができる。
したがって、このような受信電界強度を用いた演算によ
って得られる位置情報の誤差が減少する。
【0115】また本発明によれば、上述の平滑手段をた
とえばローパスフィルタで実現するとき、その遮断周波
数を経路長の変化周期に対応する規定周波数未満に選
ぶ。これによって、反射波の受信電界強度の変動から、
経路長の変動に起因する変動とマルチパス妨害に起因す
る変動とを確実に除去することができる。したがって、
情報演算手段では、経路長が固定された従来技術のレー
ダ装置と同一の演算手法で、位置情報を求めることがで
きる。
【0116】さらにまた本発明によれば、前記レーダ装
置はいわゆるFM−CWレーダ装置であって、反射波の
実際の受信電界強度に換わって、上述の混合信号の交流
成分の振幅に関する値を用いる。さらに情報演算手段で
は、混合信号の振幅に関する平滑化された値をレベル弁
別することによって、被検出物体の有無を判定する。こ
の平滑化された値からはマルチパス妨害および経路長変
動の影響が除去されているので、上述の判定の場合にマ
ルチパス妨害が発生するときでも、マルチパス妨害によ
って平滑化された値が低減することがない。これによっ
て、平滑化された値は確実に基準値以上の値を保つ。こ
れによって、マルチパス妨害によって、混合信号の振幅
に関する値が低減して、被検出物体の有無を誤認するこ
とを防止することができる。したがって、被検出物体の
検出抜けの回数を減少させることができる。
【0117】また本発明によれば、上述の電磁波の無線
伝送路の経路長は、送信および受信アンテナの設置位置
を変動させることで変化される。この位置変位手段は簡
単な構造の回路で実現することができるので、実現が容
易である。また、位置変位手段の製造コストを低減させ
ることができる。
【0118】さらにまた本発明によれば、上述の電磁波
の無線伝送路の経路長は、たとえば送信アンテナをフェ
イズドアレイで実現して、送信波の放射方向を変位させ
ることによって、変化される。この手法での経路長変化
の時間周期は、請求項4の機械的手法での変化周期と比
較して短縮することができる。ゆえに、上述のレーダ装
置を被検出物体とレーダ装置との相対位置が頻繁に変化
するような状況で用いることができる。
【0119】また本発明によれば、情報演算手段では、
平滑化された受信電界強度の大きさに基づいて、進行方
向下流側の存在領域内の被検出物体の有無を判定する。
本発明のレーダ装置は、受信電界強度からマルチパス妨
害の影響を除去するように平滑化しているので、この平
滑化された値を上述の判定に用いることによって、マル
チパス妨害に起因する判定結果の誤差を減少させること
ができる。
【0120】さらにまた本発明によれば、車両のレーダ
装置は、電磁波の無線伝送路の経路長を経時変化させつ
つ、送信波の送信動作と反射波の受信動作とを行う。か
つ、その反射波の受信電界強度を単位時間内に複数回サ
ンプリングして複数の周波数についての周波数成分を求
め、各周波数成分を各周波数毎に積算する。これによっ
て、反射波の受信電界強度の経時変化の単位時間毎の積
算値変化から、マルチパス妨害の影響を除去することが
できる。この積算値を位置情報の演算に用いることによ
って、得られる位置情報の誤差が減少する。
【0121】また本発明によれば、前述した受信電界強
度のサンプリングのサンプリング周波数を、経路長変化
の時間周期に対応する規定周波数未満に選ぶ。これによ
って、単位時間毎の受信電界強度の周波数成分の積算値
から、経路長の変動に起因する変動と、マルチパス妨害
に起因する変動とを確実に除去することができる。した
がって、経路長が固定された従来技術のレーダ装置と同
一の演算手法を用いて、位置情報を得ることができる。
【0122】さらにまた本発明によれば、前記レーダ装
置はいわゆるFM−CWレーダ装置であって、反射波の
実際の受信電界強度に代わって上述の混合信号の交流成
分の振幅に関する値を用いる。また情報演算手段では、
混合信号の振幅に関する値の積算値をレベル弁別するこ
とによって、被検出物体の有無を判定する。単位時間内
のサンプリング周波数が充分に大きいとき、この積算値
の平均値はマルチパス妨害の有無に拘わらずほぼ同一の
値となるので、積算値の平均値は確実に基準平均値以上
の値を保つ。このような積算値を上述の判定に用いるこ
とによって、被検出物体の有無を誤認することを防止す
ることができる。したがって、被検出物体の検出抜けの
回数を減少させることができる。さらに、積算値のレベ
ル弁別処理は各周波数毎に実施される。これによって、
被検出物体が複数あるときには、積算値算出の動作を単
一回だけ実施するだけで、複数の被検出物体に対応する
積算値を得る事ができる。したがって、単一回の積算値
算出動作の積算値から、複数の被検出物体の位置情報を
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態であるレーダ装置11の
電気的構成を示すブロック図である。
【図2】ビート信号の周波数スペクトラムを示すグラフ
である。
【図3】搭載車両内のセンサ装置16および変位装置1
7を詳細に説明するための模式図である。
【図4】センサ装置16の位置変位運動を説明するため
のグラフである。
【図5】フェイズドアレイ41の具体的な電気的構成を
示すブロック図である。
【図6】送信波および反射波の周波数の経時偏移を説明
するためのグラフ、およびこれら送信波および反射波が
得られるときに生成されるビート信号、および該ビート
信号ののビート周波数の経時偏移を表すグラフである。
【図7】混合回路18aからのビート信号の信号レベル
の挙動を説明するためのグラフである。
【図8】フィルタ21の通過特性を表すグラフである。
【図9】フィルタ21から出力される出力信号の信号レ
ベルの経時変化を表す図である。
【図10】振幅信号の信号レベルの経時変化を表すグラ
フである。
【図11】被検出物体からの反射波の受信電界強度を表
す受信信号の信号レベルと相対距離との関係を表すグラ
フである。
【図12】平滑信号の信号レベルと、被検出物体が存在
する位置との関係を説明するための模式図である。
【図13】車両のレーダ装置11における被検出物体の
位置検出動作を説明するためのフローチャートである。
【図14】本発明の第2実施形態である車両のレーダ装
置81の電気的構造を示すブロック図である。
【図15】レーダ装置81におけるセンサ装置16の変
位動作と、ビート信号の観測点との関係を表すグラフで
ある。
【図16】車両のレーダ装置81における被検出物体の
位置検出動作を説明するためのフローチャートである。
【図17】本発明の第3実施形態である車両のレーダ装
置101の電気的構造を示すブロック図である。
【図18】第3実施形態の車両のレーダ装置101の発
振パルス信号、受信パルス信号、および遅延パルス信号
を表す波形図である。
【図19】従来技術の先行車両を検出するためのレーダ
装置が使用されるときのレーダ装置を搭載する搭載車両
1の周辺の状況を示す模式図である。
【図20】従来技術のレーダ装置で受信される反射波の
受信電界強度の経時変化を表すグラフである。
【図21】従来技術のレーダ装置で受信される反射波の
受信電界強度の経時変化を表すグラフである。
【符号の説明】
11,81,101 レーダ装置 13 送信アンテナ 14 受信アンテナ 15b 局部発振器 17 変位装置 18a 混合回路 19 周波数検出回路 21 フィルタ 22 強度検出回路 25 平滑回路 26 比較回路 28 演算回路 29 判定回路 30 アプリケーション回路 41 フェイズドアレイ 83 サンプリング回路 84 FFT回路 85 積算回路 86 ピーク検出回路

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 予め定める送信信号を生成する送信信号
    生成手段と、 車両に搭載され、送信信号生成手段からの送信信号を電
    磁波である送信波として、被検出物体に向けて送信する
    送信アンテナと、 車両に搭載され、送信波が被検出物体によって反射され
    た反射波を受信する受信アンテナと、 送信および受信アンテナに関連して設けられ、送信波の
    送信アンテナから被検出物体に反射して反射波が受信ア
    ンテナに受信されるまでの電磁波の経路長を変化させる
    経路長変化手段と、 受信アンテナからの出力に応答し、反射波の受信電界強
    度を検出して、受信電界強度を表す強度信号を導出する
    電界強度検出手段と、 電界強度検出手段からの強度信号が表す受信電界強度の
    経時変化を平滑化する平滑手段と、 平滑手段からの出力に応答し、平滑化された受信電界強
    度を用いて、被検出物体と送信および受信アンテナとの
    相対速度または相対距離に関する位置情報を演算して求
    める情報演算手段とを含むことを特徴とする車両のレー
    ダ装置。
  2. 【請求項2】 前記経路長変化手段は、前記経路長を予
    め定める変化周期で変化させ、 前記平滑手段の遮断周波数は、変化周期に対応する周波
    数未満に選ばれることを特徴とする請求項1記載の車両
    のレーダ装置。
  3. 【請求項3】 前記電界強度検出手段は、 前記送信信号生成手段からの送信信号と前記受信アンテ
    ナからの出力信号とを混合して、送信信号と受信信号と
    のうなり周波数を有する混合信号を出力する混合手段
    と、 混合手段からの混合信号の交流成分の振幅に関する値を
    検出して、該値に対応する信号レベルの前記強度信号を
    出力する強度演算手段とを含み、 前記平滑手段は、予め定める検出時間毎に、強度信号の
    信号レベルの経時変化を平滑化して、混合信号の交流成
    分の振幅に関する平滑化された値を表す平滑信号を出力
    し、 前記情報演算手段は、 平滑手段からの平滑信号を混合信号の交流成分の振幅に
    関する予め定める基準値に対応する弁別レベルでレベル
    弁別して、平滑信号が表す平滑化された値が基準値以上
    であるとき被検出物体があると判定し、平滑化された値
    が基準値未満であるとき被検出物体がないと判定する物
    体判定手段と、 前記混合手段からの混合信号のうなり周波数を検出する
    周波数検出手段と、 前記物体判定手段で被検出物体があると判定されると
    き、周波数検出手段からの混合信号のうなり周波数か
    ら、被検出物体と送信および受信アンテナとの相対距離
    および相対速度を演算して求める距離速度演算手段とを
    含むことを特徴とする請求項1記載の車両のレーダ装
    置。
  4. 【請求項4】 前記経路長変化手段は、前記送信および
    受信アンテナの車両内の設置位置を、予め定める基準位
    置から被検出物体に対して離反および接近する方向の少
    なくとも一方方向に、予め定める周期で時間経過に伴っ
    て、送信および受信アンテナを一体的に変位させる位置
    変位手段を含むことを特徴とする請求項1記載の車両の
    レーダ装置。
  5. 【請求項5】 前記経路長変化手段は、前記送信波の前
    記送信アンテナからの送信方向を、該送信波が前記被検
    出物体に照射可能な予め定める送信範囲内で、時間経過
    に伴って変位させる方向変位手段を含むことを特徴とす
    る請求項1記載の車両のレーダ装置。
  6. 【請求項6】 前記送信アンテナは車両の進行方向下流
    側に送信波を送信し、 前記受信アンテナは、進行方向下流側からの反射波を受
    信し、 前記情報演算手段は、前記平滑手段からの平滑化された
    受信電界強度を予め定める弁別レベルでレベル弁別し、
    平滑された受信電界強度が弁別レベル以上であるとき被
    検出物体が車両の進行方向下流側の予め定める存在領域
    内に存在すると判定し、平滑された受信電界強度が弁別
    レベル未満であるとき被検出物体が存在領域外の残余領
    域に存在すると判定する位置判定手段を含むことを特徴
    とする請求項1記載の車両のレーダ装置。
  7. 【請求項7】 予め定める送信信号を生成する送信信号
    生成手段と、 車両に搭載され、送信信号生成手段からの送信信号を電
    磁波である送信波として、被検出物体に向けて送信する
    送信アンテナと、 車両に搭載され、送信波が被検出物体によって反射され
    た反射波を受信する受信アンテナと、 送信および受信アンテナに関連して設けられ、送信波の
    送信アンテナから被検出物体に反射して反射波が受信ア
    ンテナに受信されるまでの電磁波の経路長を変化させる
    経路長変化手段と、 受信アンテナからの出力に応答し、反射波の受信電界強
    度を検出して、受信電界強度を表す強度信号を導出する
    電界強度検出手段と、 電界強度検出手段からの強度信号を予め定める単位時間
    内で複数回サンプリングし、各サンプリングで得られる
    強度信号が表す受信電界強度のフーリエ変換の演算をそ
    れぞれ行い、各演算で得られる受信電界強度の複数の周
    波数成分の強度を各周波数毎に単位時間内にわたって積
    算する成分演算手段と、 成分演算手段で得られる各周波数毎の受信電界強度の周
    波数成分の積算値を用いて、被検出物体と送信および受
    信アンテナとの相対速度または相対距離に関する位置情
    報を演算して求める情報演算手段とを含むことを特徴と
    する車両のレーダ装置。
  8. 【請求項8】 前記経路長変化手段は、前記経路長を予
    め定める変化周期で変化させ、 前記成分演算手段における前記単位時間内の強度信号の
    サンプリング周波数は、変化周期に対応する周波数未満
    に選ばれることを特徴とする請求項7記載の車両のレー
    ダ装置。
  9. 【請求項9】 前記電界強度検出手段は、 前記送信信号生成手段からの送信信号と前記受信アンテ
    ナからの出力信号とを混合して、送信信号と受信信号と
    のうなり周波数を有する混合信号を出力する混合手段
    と、 混合手段からの混合信号の交流成分の振幅に関する値を
    検出して、該値に対応する信号レベルの前記強度信号を
    出力する強度信号演算手段とを含み、 前記成分演算手段の強度信号が表す受信電界強度のフー
    リエ変換の演算は、強度信号の信号レベルのフーリエ変
    換の演算であって、前記成分演算手段は、強度信号の信
    号レベルの周波数成分を各周波数毎に積算して得た前記
    積算値に対応する信号レベルの積算信号を各周波数毎に
    導出し、 前記情報演算手段は、前記成分演算手段からの各周波数
    の積算信号を予め定める基準積算値に対応する弁別レベ
    ルでそれぞれレベル弁別して、少なくとも1つの周波数
    の積算信号が表す積算値が基準積算値以上であるとき被
    検出物体があると判定し、全ての周波数の積算信号が表
    す積算値が基準積算値未満であるとき被検出物体がない
    と判定するレベル弁別手段と、 前記レベル弁別手段で被検出物体があると判定されると
    き、基準積算値以上の積算値を表す1または複数の積算
    信号の周波数から、被検出物体と送信および受信アンテ
    ナとの相対距離および相対速度をそれぞれ演算して求め
    る距離速度演算手段とを含むことを特徴とする請求項7
    記載の車両のレーダ装置。
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