JPH10204735A - 紡績機のピーシング装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】種糸Ｙ’を、スピンドル９の糸排出口９ｃ
方向に案内する種糸案内部材Ｂ，Ｇを配設した紡績機の
ピーシング装置に関するものである。 【効果】種糸を、スピンドルの糸排出口方向に案内する
種糸案内部材を配設したので、確実に、スピンドルへの
種糸の糸通しを行うことができ、従って、ピーシングの
成功率が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、紡績機において、
切断された糸を継ぐための紡績機のピーシング装置に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】本出願人は、先の種々の出願において、
旋回空気流を発生させるノズルを有するノズルブロック
と、スピンドルを有するスピンドル支持部材とからなる
加撚装置を、ピーシングの際に分離し、スピンドルの糸
排出口側には、種糸を把持するとともに種糸を送り出す
駆動ローラーを有するトランスファーアーム部材を配置
し、スピンドルの繊維導入側には、吸引空気流を発生さ
せるエアーサッカー部材を配置し、その後、エアーサッ
カー部材の作動により、スピンドルの挿通孔に、スピン
ドルの糸排出口側から繊維導入側方向に吸引空気流を生
成するとともに、種糸を把持している駆動ローラーを駆
動させて、スピンドルの挿通孔に種糸を通すようにした
紡績機のピーシング装置を提供した（例えば、特願平４
−３２５０２１号（特開平６−１７３１２９号公
報））。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上述した紡績機のピー
シング装置においては、トランスファーアーム部材の駆
動ローラーに把持されている種糸の先端部が、スピンド
ルの糸排出口側の挿通孔から外れた位置に垂れ下がって
いると、エアーサッカー部材により、スピンドルの挿通
孔に、スピンドルの糸排出口側から繊維導入側方向に吸
引空気流を生成しても、該吸引空気流に、トランスファ
ーアーム部材の駆動ローラーに把持されている種糸の先
端部が乗らず、スピンドルの挿通孔への種糸の糸通しが
失敗するという問題がある。

【０００４】本発明の目的は、上述した紡績機のピーシ
ング装置が有する課題を解決し、ピーシング成功率の向
上した紡績機のピーシング装置を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、上述した目的
を達成するために、第１には、種糸を、スピンドルの糸
排出口方向に案内する種糸案内部材を配設したものであ
り、第２には、種糸のスピンドルの糸排出口方向への案
内を、スピンドルの糸排出口方向へ向かう空気流により
行うようにしたものであり、第３には、種糸案内部材を
トランスファーアーム部材に配設したものである。

【０００６】

【実施例】以下に、図１〜図６を用いて、本発明の実施
例について説明するが、本発明の趣旨を越えない限り、
何ら、本実施例に限定されるものではない。

【０００７】先ず最初に、本発明のピーシング装置が適
用される紡績機及びピーシング工程について、図１〜図
３を用いて説明する。

【０００８】Ｄは、ドラフト装置であり、一例として４
線式のドラフト装置Ｄが示されている。ドラフト装置Ｄ
は、バックローラー１、サードローラー２、エプロンベ
ルトを有するミドルローラー３及びフロントローラー４
から構成されている。５は、スライバーガイドであり、
ドラフト装置Ｄに供給されたスライバー６は、ドラフト
装置Ｄに供給されて延伸された後に、後述する加撚装置
Ｔに供給されて糸Ｙが生成されることになる。

【０００９】加撚装置Ｔは、圧空噴射により旋回空気流
を発生するノズル７と、それを支持するノズルブロック
８と、ノズル７の内部７ａに、その先端部９ａを位置さ
せた、挿通孔９ｂを有するスピンドル（導糸管）９と、
それを支承するスピンドル支持部材１０とから主に構成
されている。ノズル７の内部７ａが、ノズル７の内部７
ａに供給されるスライバー６を構成する繊維と、スピン
ドル９の挿通孔９ｂに挿通されてノズル７の内部７ａに
導かれている種糸Ｙ’との継ぎ合わせが行われるピーシ
ング領域となる。

【００１０】ノズル７には、旋回空気流を発生させるた
めの複数の空気噴射孔７ｂが穿設されている。１１は、
ノズルブロック８とスピンドル支持部材１０との間に形
成される空気室であり、空気室１１は、吸引孔１２を介
して、図示されていない弱い吸引圧で空気を吸引する空
気吸引源に連結されており、紡績中は、ノズル７の空気
噴射孔７ｂから噴出される空気の逃し孔として機能する
とともに、紡績中に空気室１１内に発生する浮遊繊維等
を吸引除去する働きをするものである。

【００１１】１３は、ノズルブロック８側のスピンドル
支持部材１０の側壁に形成されたスリットであり、ま
た、１４は、スピンドル支持部材１０のスリット１３に
対向して、スピンドル支持部材１０側のノズルブロック
８の側壁に形成されたスリットである。後述するよう
に、ノズルブロック８とスピンドル支持部材１０とが結
合された際に、スピンドル９の挿通孔９ｂに挿通され、
その先端部９ａから引き出された種糸Ｙ’が、スリット
１３、１４に入り、ノズルブロック８の側壁とスピンド
ル支持部材１０の側壁とにより挟持されないように構成
されている。

【００１２】１５は、シリンダーであり、シリンダー１
５のピストンロッド１６の先端に、スピンドル支持部材
１０の下部フレーム１７が取着されている。従って、シ
リンダー１５を作動させて、スピンドル支持部材１０を
左右に移動させることにより、スピンドル支持部材１０
を、ノズルブロック８から離したり或はノズルブロック
８と結合することができるように構成されている。

【００１３】１８は、常時回転駆動されているデリベリ
ローラー１９に接離自在なニップローラーであり、デリ
ベリローラー１９にニップローラー１８を接触させて、
紡出された糸Ｙ或いはピーシング作業の際の種糸Ｙ’
を、図示されていない巻き取り装置方向に移送するよう
に構成されている。

【００１４】図１に示されているように、紡績機が糸Ｙ
を紡出している稼動状態においては、ドラフト装置Ｄに
供給されたスライバー６は、ドラフト装置Ｄにより延伸
された後に、加撚装置Ｔにより加撚されて、糸Ｙが生成
されることになる。即ち、加撚装置Ｔのノズル７に供給
されたスライバー６を構成する繊維は、空気噴射孔７ｂ
から噴出される旋回空気流により旋回されながら、先端
部９ａからスピンドル９の挿通孔９ｂに入り、糸Ｙに生
成される。生成された糸Ｙは、常時回転駆動されている
デリベリローラー１９と該デリベリローラー１９に接触
しているニップローラー１８とにより送られ、図示され
ていない巻き取りパッケージに巻き取られる。

【００１５】糸切れが発生した場合には、図示されてい
ない糸切れ検出センサーから検出信号が発せられ、それ
に伴い、バックローラー１に接続された、図示されてい
ないクラッチを介してバックローラー１及びサードロー
ラー２の回転が停止されてスライバー６の供給が停止さ
れる。加撚装置Ｔは、依然として稼働を続けている。停
止したサードローラー２と、回転を続けるミドルローラ
ー３との間において、スライバー６が、その先端が筆の
穂先状に引き千切られる。また、所定時間後、空気噴射
孔７ｂからの空気の噴出を停止させて、加撚装置Ｔの稼
動を停止させる。また、ニップローラー１８を、回転駆
動しているデリベリローラー１９より離す。

【００１６】次いで、シリンダー１５を作動させて、ピ
ストンロッド１６を進出させ、図２に示されているよう
に、スピンドル支持部材１０を、ノズルブロック８から
離反させるとともに、巻き取りパッケージに巻き込ま
れ、公知のサクションマウスにより巻き取りパッケージ
から引き出された種糸Ｙ’或いは別途用意したパッケー
ジから引き出された種糸Ｙ’の先端部を、一対の駆動ロ
ーラーａ１、ａ２により把持しているトランスファーア
ーム部材Ａを、スピンドル９の糸排出口９ｃに接近して
配置する。

【００１７】トランスファーアーム部材Ａには、駆動ロ
ーラーａ１、ａ２を挟んで板状の枠部材ａ３、ａ４が配
設されており、枠部材ａ３、ａ４には、駆動ローラーａ
１、ａ２に把持されている種糸Ｙ’が挿入されるスリッ
トａ３’、ａ４’が形成されている。スピンドル９側の
枠部材ａ３には、スピンドル９の糸排出口９ｃの方向に
向かって、空気を噴出する空気噴出孔ｂ１が複数穿設さ
れた略環状の空気噴出管ｂ２を有する空気噴出部材Ｂが
配設されている。空気噴出管ｂ２は、図４に示されてい
るように、環体の一部を切り欠いた形状をしており、そ
の端部ｂ２’は、閉鎖されている。また、空気噴出孔ｂ
１は、一定の間隔で形成されていることが好ましく、各
空気噴出孔ｂ１から噴出される空気は、スピンドル９の
糸排出口９ｃの中心に向かうように構成されている。ｂ
３は、空気噴出管ｂ２の略中央部に、空気噴出管ｂ２に
連通するように接続された空気供給管であり、空気供給
管ｂ３の他方は、図示されていない圧縮空気供給源に接
続されている。空気供給管ｂ３は、スポット溶接等の適
当な固着手段により、枠部材ａ３に取着されている。

【００１８】一方、スピンドル支持部材１０とノズルブ
ロック８との間には、エアーサッカー部材Ｓが配置さ
れ、エアーサッカー部材Ｓのヘッド部Ｓ’に配設された
吸引ノズルｓ１を、スピンドル９の先端部９ａに接近或
いは当接するように配置する。吸引ノズルｓ１により、
スピンドルの挿通孔９ｂには、スピンドル９の糸排出口
９ｃ側から繊維導入側である先端部９ａに向かう空気流
が生成される。なお、トランスファーアーム部材Ａやエ
アーサッカー部材Ｓについては、本出願人の先の出願に
係る特願平４−３２５０２１号（特開平６−１７３１２
９号公報）等に開示されているので、その詳細について
は省略する。

【００１９】図２に示されているように、スピンドル支
持部材１０とノズルブロック８との間に、エアーサッカ
ー部材Ｓのヘッド部Ｓ’に配設された吸引ノズルｓ１
を、スピンドル９の先端部９ａに接近或いは当接するよ
うに配置した後、吸引ノズルｓ１を作動させて、スピン
ドルの挿通孔９ｂに、スピンドル９の糸排出口９ｃ側か
ら繊維導入側である先端部９ａに向かう空気流を発生さ
せる。次いで、空気供給管ｂ３を介して、図示されてい
ない圧縮空気供給源から、空気噴出管ｂ２に圧縮空気を
供給すると、空気噴出管ｂ２の空気噴出孔ｂ１から空気
が噴出されて、スピンドル９の糸排出口９ｃの中心に向
かう空気流が形成されることになる。

【００２０】この状態で、種糸Ｙ’を把持しているトラ
ンスファーアーム部材Ａの駆動ローラーａ１、ａ２を駆
動させると、図２の破線で示されているように、駆動ロ
ーラーａ１、ａ２から出て垂れ下がっている種糸Ｙ’の
先端部は、上述した空気噴出部材Ｂの空気噴出管ｂ２の
空気噴出孔ｂ１から噴出されたスピンドル９の糸排出口
９ｃの中心に向かう噴出空気流に乗って、スピンドル９
の糸排出口９ｃ方向に略水平に張られるので、種糸Ｙ’
は、確実に、スピンドル９の糸排出口９ｃから挿通孔９
ｂに挿通されることになり、スピンドル９の挿通孔９ｂ
への種糸Ｙ’の糸通しが失敗することがない。図３に示
されているように、種糸Ｙ’がスピンドル９の挿通孔９
ｂに挿通された後に、トランスファーアーム部材Ａの駆
動ローラーａ１、ａ２の回転を停止させて、種糸Ｙ’の
送り出しを停止する。このように、空気噴出部材Ｂは、
一種の種糸Ｙ’を水平に案内する種糸案内部材として機
能し、該種糸案内部材としての空気噴出部材Ｂにより、
駆動ローラーａ１、ａ２から垂れ下がっている種糸Ｙ’
の先端部を、スピンドル９の糸排出口９ｃ方向に略水平
に案内することができる。

【００２１】その後、トランスファーアーム部材Ａ及び
エアーサッカー部材Ｓを待機位置に戻すとともに、シリ
ンダー１５を作動させて、ピストンロッド１６を後退さ
せ、スピンドル支持部材１０とノズルブロック８とを結
合する。次いで、停止されていたバックローラー１及び
サードローラー２の回転を再開してスライバー６を移送
するとともに、バックローラー１及びサードローラー２
の再駆動の直後に、ニップローラー１８をデリベリロー
ラー１９に接触させて、ニップローラー１８とデリベリ
ローラー１９により種糸Ｙ’を、糸条の巻き取り装置方
向に走行させる。また、ニップローラー１８とデリベリ
ローラー１９とによる種糸Ｙ’の走行開始と略同時に、
加撚装置Ｔを再稼動させることにより、フロントローラ
ー４から送り出されたスライバー６を構成する繊維を、
ノズル７の導入口７ｃに導入して、スピンドル９の先端
部９ａ付近において、走行を開始した種糸Ｙ’に絡みつ
かせてピーシングを行う。

【００２２】上述したように、空気噴出部材Ｂの空気噴
出管ｂ２の空気噴出孔ｂ１から空気を噴出させて、スピ
ンドル９の糸排出口９ｃの中心に向かう空気流を生成す
ることにより、トランスファーアーム部材Ａの駆動ロー
ラーａ１、ａ２から出て垂れ下がっている種糸Ｙ’の先
端部が、スピンドル９の糸排出口９ｃの中心に向かう空
気流に乗って、スピンドル９の糸排出口９ｃ方向に略水
平に張られるので、種糸Ｙ’が、確実に、スピンドル９
の糸排出口９ｃから挿通孔９ｂに挿通されることにな
り、ピーシングの成功率が向上する。

【００２３】図６に示されている実施例は、種糸Ｙ’を
水平に案内する種糸案内部材として空気噴出部材Ｂに代
えて、トランスファーアーム部材Ａのスピンドル９側の
枠部材ａ３に、駆動ローラーａ１、ａ２に把持され、そ
の先端が垂れ下がっている種糸Ｙ’を水平に案内する案
内板Ｇを配設したものである。案内板Ｇに載置された種
糸Ｙ’の先端部は、スピンドル９の糸排出口９ｃの略中
央に位置するように構成されている。案内板Ｇの種糸
Ｙ’に直交する断面は、Ｖ字状或いはＵ字状に形成され
ていることが好ましい。

【００２４】上述した実施例においては、種糸案内部材
として空気噴出部材Ｂや案内板Ｇを、トランスファーア
ーム部材Ａに配設したが、種糸案内部材を、トランスフ
ァーアーム部材Ａのスピンドル９側に配置可能な、トラ
ンスファーアーム部材Ａと別体の移動アーム部材に配設
することもできる。

【００２５】

【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、以下に記載されるような効果を奏する。

【００２６】種糸を、スピンドルの糸排出口方向に案内
する種糸案内部材を配設したので、確実に、スピンドル
への種糸の糸通しを行うことができ、従って、ピーシン
グの成功率が向上する。

【００２７】種糸のスピンドルの糸排出口方向への案内
を、スピンドルの糸排出口方向へ向かう空気流により行
うようにしたので、エアーサッカー部材により生成され
るスピンドルの糸排出口側から先端部に向かう空気流と
相まって、より確実で、迅速なスピンドルへの種糸の糸
通しを行うことができる。

【００２８】種糸案内部材を、従来のピーシング作業に
使用されるトランスファーアーム部材に配設したので、
ピーシング装置の構造の複雑化を防止することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明が適用される一例としての紡績機
の一部断面を含む側面図である。

【図２】図２は本発明のピーシング工程を説明するため
の図１と同様の紡績機等の側面図である。

【図３】図３は本発明のピーシング工程を説明するため
の図１と同様の紡績機等の側面図である。

【図４】図４は本発明のトランスファーアーム部材及び
種糸案内部材をスピンドル側から見たトランスファーア
ーム部材及び種糸案内部材の正面図である。

【図５】図５は本発明のトランスファーアーム部材及び
種糸案内部材の垂直断面図である。

【図６】図６は本発明のトランスファーアーム部材及び
別の実施例の種糸案内部材の側面図である。

【符号の説明】

Ａ・・・・・トランスファーアーム部材 Ｂ・・・・・空気噴射部材（種糸案内部材） Ｄ・・・・・ドラフト装置 Ｇ・・・・・案内板（種糸案内部材） Ｓ・・・・・エアーサッカー部材 Ｔ・・・・・加撚装置 ７・・・・・ノズル ９・・・・・スピンドル

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】種糸を、スピンドルの糸排出口方向に案内
   する種糸案内部材を配設したことを特徴とする紡績機の
   ピーシング装置。
2. 【請求項２】種糸のスピンドルの糸排出口方向への案内
   を、スピンドルの糸排出口方向へ向かう空気流により行
   うようにしたことを特徴とする請求項１に記載の紡績機
   のピーシング装置。
3. 【請求項３】種糸案内部材をトランスファーアーム部材
   に配設したことを特徴とする請求項１又は請求項２に記
   載の紡績機のピーシング装置。