JPH10204282A - 湿式ラジアル軸受用摺動部材 - Google Patents
湿式ラジアル軸受用摺動部材Info
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- JPH10204282A JPH10204282A JP9024266A JP2426697A JPH10204282A JP H10204282 A JPH10204282 A JP H10204282A JP 9024266 A JP9024266 A JP 9024266A JP 2426697 A JP2426697 A JP 2426697A JP H10204282 A JPH10204282 A JP H10204282A
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Abstract
ル軸受用摺動部材とする° 【解決手段】カーボンファイバ10〜45重量%と、ポ
リテトラフルオロエチレン0.1〜8.5重量%、及び
残部が実質的にポリエーテルエーテルケトン又はポリフ
ェニレンサルフアイドとから構成する。これにより、耐
摩耗性に優れた湿式ラジアル軸受用摺動部材とすること
ができる。
Description
テルケトン樹脂又はポリアリーレンサルフアイド樹脂を
基材とする潤滑液中で使用される湿式ラジアル軸受用摺
動部材に関する。
ンなどの装置に組み込まれる湿式のラジアル軸受は高加
重の条件下で使用される。このような軸受用摺動部材と
して、ホワイトメタルや、ポリテトラフルオロエレン
(PTFE)とグラスファイバの複合材料、ポリエーテ
ルスルホン(PES)などが知られている。
熱性、機械的性質、耐摩耗性を有するエンジニアリング
樹脂として知られており、英国特許第2079867号
には、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を摺動
部材とした軸受が開示されている。しかし、芳香族ポリ
エーテルケトン樹脂単独では摩擦係数が高いために、従
来から芳香族ポリエーテルケトン樹脂を基材としてフル
オロカーボン重合体などの樹脂を加えることによって摩
擦係数を低くした摺動部材が開発されている。しかし反
面、フルオロカーボン重合体を含有することによって耐
摩耗性や機械的強度の低下がもたらされる。
係する技術として、乾式に関するものであるが特開昭5
8ー160346号公報に開示された技術が知られてい
る。この従来技術では、芳香族ポリエーテルケトン樹脂
を基材とし、また、フルオロカーボン重合体としてポリ
テトラフルオロエチレン(PTFE)を2.5〜60重
量%及び炭素繊維を2.5〜60重量%を含有する摺動
部材とするものである。この摺動部材によって高い熱変
形温度(HDT)と、高い限界PV値が得られるとして
いる。
は、優れた耐熱性、機械的性質、耐摩耗性を有するエン
ジニアリング樹脂として知られている。しかし、芳香族
ポリエーテルケトン樹脂と同様に、ポリアリーレンサル
フアイド樹脂単独では摩擦係数が高く、摺動部材に適用
するのが困難とされている。
などの装置に組み込まれる軸受は、装置が小型化する傾
向に伴って、摺動面も小面積化し、摺動面にさらに高い
面圧が加わるようになってきている。このような過酷な
条件の下で適用されるラジアル軸受用摺動部材には、優
れた摺動特性に加えて、耐摩耗性が要求されている。ま
た、起動・停止が繰り返し行われる湿式ラジアル軸受に
ついては、起動時に軸受の摺動面が部分的に固体接触し
ているために、大きな起動動力が必要となるばかりか、
摺動面を損傷するおそれもある。このため、運転時にお
ける耐摩耗性に加えて、起動時の摩擦係数の小さいこと
も要求されている。
では、起動時に固体接触による損傷を起こしやすく、ま
た、PESを摺動部材とした摺動部材では、潤滑油との
反応により劣化しやすく耐久性に欠けるという課題を有
している。また、PTFEとグラスファイバの複合材料
からなる摺動部材では、機械的強度が小さく、変形しや
すいという課題を有している。
60346号)においては、湿式の条件下で、PTFE
の含有量が10重量%を越えると、耐摩耗性や機械的強
度の点で十分といえるものではなかった。また、この従
来技術において、実際に乾式の実施例として確認されて
いる範囲はPTFEl0〜40重量%及びカーボンファ
イバ10〜40重量%であり、またさらに従来技術の比
較例3には、PTFEを2重量%、18重量%、PEE
K80重量%の摺動部材を示しており、潤滑性に乏しく
摩擦係数が高くなるため非常に低い限界PV値しか得ら
れなかったとしている。
た結果、湿式スラスト軸受の摺動部材、特に高い面圧を
受ける摺動部材として、芳香族ポリエーテルケトン樹脂
又はポリアリーレンサルフアイド樹脂にカーボンファイ
バを添加し、さらにこれにフルオロカーボン重合体を添
加すると耐摩耗性が向上することを見出した。そして、
フルオロカーボン重合体の含有量が約2重量%のときに
耐摩耗性が最高となり、さらに、それ以上添加するに従
ってかえって低下して、10重量%を越えるとほとんど
変わらないことを見出した。
ポリアリーレンサルフアイド樹脂にカーボンファイバと
フルオロカーボン重合体を添加するとともに吸油量70
〜500ml/100gの黒鉛を混合したラジアル軸受
用摺動部材では、耐摩耗性が向上するとともに起動時の
摩擦係数を下げることも見出し、本発明を完成させたも
のである。
ルケトン樹脂又はポリアリーレンサルフアイド樹脂を基
材として、高い荷重の下でも適用できる湿式ラジアル軸
受用摺動部材を提供することを目的としている。
ーボンファイバ10〜45重量%と、フルオロカーボン
重合体0.1〜8.5重量%、及び残部が実質的に芳香
族ポリエーテルケトン樹脂としていることを特徴とする
湿式ラジアル軸受用摺動部材としている。また、請求項
4の発明では、請求項1の発明に用いる芳香族ポリエー
テルケトン樹脂に代えてポリアリーレンサルフアイド樹
脂としている。ポリアリーレンサルフアイド樹脂を基材
とするものは、一般に芳香族ポリエーテルケトン樹脂を
基材とするものより安価な摺動部材を提供できる点に利
点を有する。
成単位を単独で、または式1で表される構成単位と式
2、式3、式4で表される構成単位を含む結晶性の熱可
塑性芳香族樹脂である。
しては、ポリエーテルエーテルケトン(以下、PEEK
という。)が、特に機械的強度、耐熱性の点から望まし
い。PEEKは、例えば特開昭54−90296号公報
に記載される方法によって製造でき、又、ASTM D
1238に準じて360°C、2.16Kgの荷重の下
で測定したメルトフローインデックスが1〜5g/10
minの範囲であることが望ましい。
は、ポリフェニレンサルフアイド(以下、PPSとい
う。)を使用することができる。PPSとしては、主要
構造単位が一般式、式5で示される繰り返し単位からな
るポリマーを使用し得る。このPPSには、架橋型、直
鎖型又は半架橋型のポリマーが含まれる。
トラフルオロエチレン(PTFE)、ポリテトラフルオ
ロエチレンーヘキサフルオロプロピレン共重合体(FE
P)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTF
E)、テトラフルオロエチレンーパーフルオロアルキル
ビニルエーテル共重合体(PFA)などを使用すること
ができ、特にPTFEが低摩擦の点から望ましい。
重量%未満では、含有した効果が十分に発揮されず、耐
摩耗性が低くなる。一方、8.5重量%を越えると再び
耐摩耗性が低くなるため、0.1〜8.5重量%とす
る。好ましくは、0.1〜5重量%の含有量の場合に、
耐摩耗性が特に優れており望ましい。さらに好ましく
は、0.5〜2.3重量%である。
ルロース系、ポリアクリロニトリル系などのカーボンフ
ァイバのいずれも使用することができ、特にポリアクリ
ロニトリル系が摩擦摩耗の点から望ましい。繊維長とし
ては、0.1〜10mmのものが好ましく、通常は平均
長6mm程度のものが使用される。
満では所望の機械的強度が得られない。一方45重量%
を越えると、組成物の成形加工が困難になる。このため
カーボンファイバの含有量は10〜45重量%とする
が、特に25〜35重量%の含有量のものが成形加工性
が良好であり機械的強度も高いために望ましい。
カーボン重合体及びカーボンファイバの各構成成分は、
均一に分散していることが望ましく、予め混合機により
所定の含有比率になるように混合して溶融押出機に供給
するなど適宜の方法により混合する。
0〜45重量%、フルオロカーボン重合体0.1〜30
重量%、吸油量70〜500ml/100gの黒鉛0.
1〜20重量%及び残部が実質的に芳香族ポリエーテル
ケトン樹脂とし、かつ残部の芳香族ポリエーテルケトン
樹脂が35重量%以上としていることを特徴とするラジ
アル軸受用摺動部材としている。
明の芳香族ポリエーテルケトン樹脂に代えてポリアリー
レンサルフアイド樹脂としている。
油量を有している。以下、本願においては100g当た
り70ml未満の吸油量の黒鉛を通常黒鉛という。一
方、膨張化処理により黒鉛層間が拡大されることにより
空間を多く持った黒鉛は、優れた吸油性及び保油性を有
している。このように100g当たり70ml以上の吸
油量を有する黒鉛を以下、上述の通常黒鉛に対して膨張
黒鉛という。
の摩擦係数を下げることがあまり期待できない。また、
含油量が100g当たり500mlを越える膨張黒鉛で
は、粒径が大きくなって、芳香族ポリエーテルケトン樹
脂又はポリアリーレンサルフアイド樹脂に混合する際の
分散性と機械的強度が低下する。このため、膨張黒鉛の
吸油量は70ml〜500mlとする。特に、強度の点
から吸油量が100g当たり80mlから300mlの
膨張黒鉛が望ましく、更に100g当たり80mlから
150mlの膨張黒鉛が望ましい。
添加した効果が得られない。一方、20重量%を越える
と成形が困難になる。このため、膨張黒鉛の含有量は
0.1〜20重量%とする。特に耐摩耗性の点から1〜
10重量%が望ましい。更に、二硫化モリブデン(Mo
S2)や通常黒鉛などの固体潤滑剤を0.1〜20重量
%添加すると起動時の摩擦係数を下げることもできる
(請求項3、請求項6)。また、金属酸化物やセラミッ
クを添加して耐摩耗性をさらに高めることもできる。
ン樹脂又はポリアリーレンサルフアイド樹脂が35重量
%未満となると成形が困難となる。このため、芳香族ポ
リエーテルケトン樹脂又はポリアリーレンサルフアイド
樹脂の含有量は35重量%以上とする。
受に成形した単体軸受として適用する他、裏金に接合し
て複層軸受とすることもできる(請求項7)。なお、ラ
ジアル軸受は、摺動面が軸の円周面に沿う形状となるよ
うに、円筒形に成形したり、円筒を二分割した半円筒形
や、多分割したティルティングパッドに形成される。
ル軸受にあっては、5mm以上の厚肉の半割軸受やティ
ルティングパッド軸受が適用される。かかる大型の半割
軸受やティルティングパッド軸受のティルティングパッ
ドを製造するには、表面に多孔質金属層を焼結した平板
状の裏金面に、請求項1〜6記載のいずれかの摺動部材
を接合した上で湾曲形成し、その後に、前記摺動部材を
加熱溶融して製造することができる(請求項8)。
6の発明によれば、耐摩耗性に優れるとともに起動時摩
擦係数の低い湿式ラジアル軸受用摺動部材とすることが
できる。
明する。まず、表1〜表6に示す各組成からなる均一配
合のペレツト状の樹脂を、射出成形機によって厚さ5m
mの樹脂板に形成した。
PEEK、ポリアリーレンサルフアイド樹脂はPPSに
ついて実施した。PEEKは、英国ICI社製PEEK
450G(商品名)、メルトフローインデックス3.1
g/10min.を使用した。また、PPSは、フイリ
ップ社製ライトンP−4(商品名)を使用した。フルオ
ロカーボン重合体として、三井デュボンフロロケミカル
株式会社製のTLP−10(商品名)のPTFEを用い
た。カーボンフアイバ(表1〜表6においてCFと表
す。)としては、東レ社製トレカMDL(商品名)を使
用した。
を使用した。吸油量は80ml/100gとしたが、実
施例45及び95では150ml/100g、実施例4
8及び98では300ml/100g、実施例49及び
99では500ml/100gのものを使用した。一
方、比較例として添加する通常黒鉛は、日本黒鉛工業株
式会社製の吸油量50ml/100gのものを使用し
た。
較例1〜4の樹脂板、及びPPSを基材とする実施例5
1〜61、比較例51〜54の樹脂板について、引張り
試験を行なった。この結果を表1、表4それぞれに示
す。また、これらの実施例及び比較例の内、カーボンフ
ァイバ(CF)30重量%を含有するものについて、引
張り強度に対するPTFEの含有量の影響を示したもの
が図1であって、これにより、PTFEの含有量が増加
するに従って引張り強度が低下することが判明した。
上に銅合金粉末を0.3mmの厚さに散布して焼結し、
多孔質金属層を形成した。この多孔質金属層を330〜
400°Cに加熱した状態で、上述した樹脂板を重ね合
わせてプレスで圧接し、含浸被覆した。続いて切削およ
びホーミング加工によって外径23mm、内径20m
m、幅20mmの円筒形状に加工して各実施例及び比較
例の試験試料を得た。
いて、円筒型式摩擦摩耗試験機を使用して、表7に示す
試験条件の下で、摩擦摩耗試験を行った。試験は軸を3
0秒回転して300秒休止するサイクルを15回繰り返
し、最後の5回について、起動時の摩擦係数を測定し、
この平均値を起動時の摩擦係数とした。また、摩耗量に
ついては、試験前と試験後の試験試料の厚さの変化によ
って求めた。これらの試験結果を表1〜表6に併せて示
す。
る試験結果の内、カーボンファイバ(CF)の含有量が
30重量%の実施例及び比較例について、起動時の摩擦
係数、摩耗量に及ぼすPTFEの含有量の影響をまとめ
たのが図2および図3である。
に及ぼす影響を示し、膨張黒鉛を含有しない実施例1〜
4及び比較例1〜3では、起動時の摩擦係数は、PTF
Eの含有量が0重量%(比較例1)では0.24と高
く、含有量が多くなるに従って徐々に0.13まで低く
なり、8重量%以上で、ほば一定の値となった。これに
より、起動時の摩擦係数に関しては、摺動部材として十
分に良好である結果が得られた。また、カーボンファイ
バの含有量による起動時の摩擦係数への影響はほとんど
認められなかった。
鉛を2.5重量%含有した実施例21〜24では、PT
FEの含有量が5重量%までは起動時の摩擦係数が低く
なり、5重量%を越えるとほぼ一定の値0.11を示す
結果となった。また、膨張黒鉛の含有量を2.5、5.
0、7.5、10とした実施例21〜34から、膨張黒
鉛の含有量が多くなるに従って起動時摩擦係数が低下し
ている。また、膨張黒鉛の含有量が多くなるに従って、
起動時摩擦係数が低い一定の値となるためのPTFEの
含有量が少なくなり、実施例32により示されるよう
に、膨張黒鉛の含有量が10重量%になると、PTFE
の含有量が2重量%で、0.08の起動時摩擦係数を示
している。以上から、膨張黒鉛は起動時の摩擦係数を下
げる効果を有しており、また、PTFEと併含するとそ
の効果がさらに増すことがわかった。
又は実施例21に固体潤滑剤を添加した例であって、起
動時摩擦係数の向上が得られた。
影響を示している。膨張黒鉛を含有しない実施例1〜4
及び比較例1〜3について、摩耗量はPTFEを含まな
い比較例1の11.2μmからPTFEを含有するに従
って急速に減少し、実施例2の2重量%で最低値を示し
ている。そして8.5重量%(実施例4)まで緩やかに
増加し、8.5重量%から10重量%(比較例2)の間
で急速に増加している。そして10重量%以上では、ほ
ば一定の摩耗量を示すようになる。また、実施例4、8
および10の対比から、カーボンファイバ(CF)の含
有量が増加するのに従って摩耗量が減少する傾向が見ら
れた。
2.5重量%含有する実施例21〜24では、同量のP
TFEを含有するが膨張黒鉛を含有しない実施例2、
3、比較例2、3に対していずれも摩耗量が減少してお
り、膨張黒鉛を含有する効果が得られた。また、吸油量
が100g当たり50gの通常黒鉛とした実施例14
と、吸油量が100g当たり80、150、300、5
00mlの膨張黒鉛とした実施例25、45、48、4
9とを比較すると、起動時摩擦係数及び摩耗量において
共に膨張黒鉛の含有する効果が認められた。
37、41及び比較例6を対比すると、カーボンファイ
バを10重量%以上添加することによる摩擦摩耗特性が
向上することが認められた。
イバ、PTFE、膨張黒鉛及び固体潤滑剤の合計が65
重量%を越えている例であるが、成形が困難で、試験試
料を得ることができなかった。
試験結果から、PEEKを基材とする実施例及び比較例
とほぼ同様の結果が得られた。図2、図3と同様に、カ
ーボンファイバ(CF)の含有量が30重量%の実施例
及び比較例について、起動時の摩擦係数、摩耗量に及ぼ
すPTFEの含有量の影響をまとめたのが図4および図
5である。
例51〜54及び比較例51〜53について、起動時の
摩擦係数は、PTFEが含まれない比較例51において
は0.27と高く、含有量が多くなるに従って徐々に
0.16まで低くなり、8重量%以上で、ほば一定の値
となった。これにより、摺動部材として十分に良好な起
動時の摩擦係数を有する結果が得られた。
鉛を2.5重量%含有した実施例71〜74では、PT
FEの含有量が5重量%までは起動時の摩擦係数が低く
なり、10重量%を越えるとほぼ一定の値0.13を示
す結果となった。また、膨張黒鉛の含有量を2.5、
5.0、7.5、10とした実施例71〜84から、膨
張黒鉛の含有量が多くなるに従って起動時摩擦係数が低
下し、実施例83により示されるように、0.08の起
動時摩擦係数を示している。以上から、膨張黒鉛は起動
時の摩擦係数を下げる効果を有しており、また、PTF
Eと併含するとその効果がさらに増すことがわかった。
又は実施例71に固体潤滑剤を添加した例であって、起
動時摩擦係数の向上が得られた。
例51〜54及び比較例51〜53について、摩耗量は
PTFEを含まない比較例51の18.5μmからPT
FEを含有するに従って急速に減少し、実施例52の2
重量%で最低値を示している。そして8.5重量%(実
施例54)まで緩やかに増加し、8.5重量%から10
重量%(比較例52)の間で急速に増加している。10
重量%以上では、ほば一定の摩耗量を示すようになる。
鉛を2.5重量%含有する実施例71〜74では、同量
のPTFEを含有する実施例52,53、比較例52,
53に対していずれも摩耗量が減少しており、膨張黒鉛
を含有する効果が得られた。また、比較例71〜73
は、カーボンファイバ、PTFE、膨張黒鉛及び固体潤
滑剤の合計が65重量%を越えている例であるが、成形
が困難で、試験試料を得ることができなかった。
用いて、発電機などに組み込まれる肉厚の半割軸受を製
造する方法の一例を図6〜図8に基づいて説明する。上
述した実施例や比較例の試験試料に示しているように、
裏金となる鋼板および樹脂板の厚さが薄い場合には、こ
の複層板を円筒形や半円筒形に湾曲してラジアル軸受を
製造することができる。しかし、肉厚の厚い大型のラジ
アル軸受では、湾曲する際に多孔質金属層から部分的に
樹脂が抜き出ることがある。このような厚肉のラジアル
軸受の製造方法を厚さ10mmの鋼板を裏金とする半割
軸受を例に説明する。
ッキを施した厚さ10mmの鋼板からなり、その上面に
散布された銅合金粉末が焼結された厚さ1mmの多孔質
金属層2が形成されている。また、樹脂板3は、上述し
た実施例の組成からなる厚さ5mmの板に形成されてい
る。多孔質金属層2を溶融温度の330〜400°Cに
加熱した状態で、上述した樹脂板3を重ね合わせてプレ
スで圧接し、樹脂を多孔質金属層2中に十分含浸して、
裏金層1上に樹脂層3aが溶融接合した複層板4を得る
(図6(B)参照)。
るには、ダイス10とポンチ11を使用する。ダイス1
0には、半割軸受の外径に相当する直径230mmの半
円形の凹面10aが設けられており、また、ポンチ11
には、その先端に半割軸受の内径に相当する直径200
mmの凸面11aが設けられている。このダイス10と
ポンチ11との間に複層板4を置き、ポンチ11を降下
して複層板4を湾曲して、半円筒形状に成形する。この
際、多孔質金属層2の各銅合金粉末間は、含浸された樹
脂によって充填されているため、各銅合金粉末が押し潰
されないで湾曲加工される。なお、湾曲加工に伴って、
樹脂層3aには強い圧縮に伴う残留応力が発生し、また
多孔質金属層から部分的に樹脂が抜き出ている。
4を加熱治具20により再加熱する。加熱治具20に
は、湾曲した複層板4の外周を収容する直径230mm
の半円筒形の加熱凹面20aが設けられており、また、
その内部にヒータ20bが配設されている。また、押圧
具21の頭部は、湾曲した複層板4の内周を押圧保持す
る直径200mmの凸面とされている。そして、押圧具
21の先端に湾曲した複層板4を載置した状態で、湾曲
した複層板を加熱凹面20a内に挿入して密着保持し
て、樹脂層3aを330〜400°Cに加熱し、再び溶
融する。この方法によって、樹脂層3aに生じていた多
孔質金属層からの樹脂の抜けが消失し、また残留応力も
除去される。このように、複層板4を湾曲するに伴っ
て、樹脂層3aに多孔質金属層から部分的に樹脂が抜き
出るような厚肉のラジアル軸受であっても、容易に製造
することができる。なお、この製造方法は、半割軸受に
限らず、円筒形状の軸受や、ティルティングパッドジャ
ーナル軸受のように円筒形を複数に分割したティルティ
ングパッドを製造する場合にも適用することができる。
は、裏金層1上に樹脂層3aを溶融接合した複層板4を
湾曲加工した後に再加熱しているが、かならずしもこれ
らの工程を順次経る必要はなく、再加熱する温度で湾曲
加工したり、さらには溶融接合する際に湾曲加工を行な
うことによって、再加熱する工程を省略することができ
る。また、加熱方法としては、棒状ヒータなどの加熱手
段による他、高周波加熱によるなど適宜手段を採用して
もよい。
1に多孔質金属層2を形成する方法として、銅合金粉末
を散布した後に焼結する例について説明しているが、こ
れを溶射法や溶融含浸法などによって形成してもよい。
また、複層板4を形成するには、裏金1に樹脂板3をプ
レス圧接する例を説明したが、プレス圧接をロール圧接
によることもできる。
イス10とポンチ11を用いる方法について説明した
が、湾曲方法はこれに限ることなく、たとえばロールに
より湾曲するなど適宜方法を採用できる。さらに、冷間
の湾曲加工方法のみならず、樹脂のガラス転移点の温度
以上に加熱した温間で湾曲加工してもよい。さらに、図
7、図8に示される実施例において、複層板4とポンチ
11または押圧具21との間に銅箔、アルミ箔またはゴ
ムシートなどのクッション材を介在したり、ポンチ11
または押圧具21の押圧面にスリットを入れたり、各治
具の曲率を代えたりすることのできる。
すグラフ。
量が起動時の摩擦係数に及ばす影響を示すグラフ。
量が摩耗量に及ばす影響を示すグラフ。
が起動時の摩擦係数に及ばす影響を示すグラフ。
が摩耗量に及ばす影響を示すグラフ。
し、図6は、表面に多孔質金属層を焼結した裏金と、摺
動部材の樹脂板を接合する前後の状態示す一部の断面
図。
図。
す説明断面図。
Claims (8)
- 【請求項1】 カーボンファイバ10〜45重量%と、
フルオロカーボン重合体0.1〜8.5重量%、及び残
部が実質的に芳香族ポリエーテルケトン樹脂としている
ことを特徴とする湿式ラジアル軸受用摺動部材。 - 【請求項2】 カーボンファイバ10〜45重量%、フ
ルオロカーボン重合体0.1〜30重量%、吸油量70
〜500ml/100gの黒鉛0.1〜20重量%及び
残部が実質的に芳香族ポリエーテルケトン樹脂とし、か
つ残部の芳香族ポリエーテルケトン樹脂が35重量%以
上としていることを特徴とする湿式ラジアル軸受用摺動
部材。 - 【請求項3】 固体潤滑剤0.1〜20重量%を加え
て、残部の芳香族ポリエーテルケトン樹脂が35重量%
以上としていることを特徴とする請求項1,2記載の湿
式ラジアル軸受用摺動部材。 - 【請求項4】 カーボンファイバ10〜45重量%と、
フルオロカーボン重合体0.1〜8.5重量%、及び残
部が実質的にポリアリーレンサルフアイド樹脂としてい
ることを特徴とする湿式ラジアル軸受用摺動部材。 - 【請求項5】 カーボンファイバ10〜45重量%、フ
ルオロカーボン重合体0.1〜30重量%、吸油量70
〜500ml/100gの黒鉛0.1〜20重量%及び
残部が実質的にポリアリーレンサルフアイド樹脂とし、
かつ残部のポリアリーレンサルフアイド樹脂が35重量
%以上としていることを特徴とする湿式ラジアル軸受用
摺動部材。 - 【請求項6】 固体潤滑剤0.1〜20重量%を加え
て、残部のポリアリーレンサルフアイド樹脂が35重量
%以上としていることを特徴とする請求項4,5記載の
湿式ラジアル軸受用摺動部材。 - 【請求項7】 請求項1〜6記載のいずれかの摺動部材
を裏金に被覆していることを特徴とする複層ラジアル軸
受。 - 【請求項8】 表面に多孔質金属層を焼結した平板状の
裏金面に、請求項1〜6記載のいずれかの摺動部材を溶
融接合した上で湾曲成形し、その後に、前記摺動部材を
加熱溶融して成形することを特徴とする厚肉ラジアル軸
受の製造方法。
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