JPH1020064A - 沸騰水型原子炉の炉心 - Google Patents

沸騰水型原子炉の炉心

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JPH1020064A
JPH1020064A JP8188043A JP18804396A JPH1020064A JP H1020064 A JPH1020064 A JP H1020064A JP 8188043 A JP8188043 A JP 8188043A JP 18804396 A JP18804396 A JP 18804396A JP H1020064 A JPH1020064 A JP H1020064A
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JP
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fuel
fuel assembly
core
enrichment
assembly
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JP8188043A
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English (en)
Inventor
Kazunari Oguchi
一成 小口
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Nuclear Fuel Industries Ltd
Original Assignee
Nuclear Fuel Industries Ltd
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Publication date
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

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  • Monitoring And Testing Of Nuclear Reactors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 燃料棒の熱機械上及び運転上の安全裕度を向
上させつつ、経済性を向上させた炉心を提供する。 【解決手段】 炉心に装荷する燃料集合体の平均濃縮度
のタイプを三つに大別し、このうち、最高濃縮度の燃料
集合体が、その燃料有効長の上端から1/4よりも下方
で且つ下端から1/3よりも上方に境界を設け、燃料有
効長の上下端部領域を除く前記境界の下部領域の濃縮度
を上部領域の濃縮度よりも高くすると共に、下部領域に
おける可燃性毒物の本数を上部領域における可燃性毒物
の本数よりも多い構造を備えてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、沸騰水型原子炉の
炉心に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、沸騰水型原子炉では、燃料集合
体の高燃焼度化をめざしてウランの高濃縮度化を行う試
みがなされている。しかし、ただ単に高濃縮度のウラン
を含有する燃料集合体を炉心に装荷しただけでは、炉心
内の燃料集合体の軸方向及び径方向の出力ピーキングが
高まり、これによって生じる線出力密度の増大と限界出
力比の低下のために、沸騰水型原子炉炉心の運転余裕が
低減してしまうという問題が発生する。
【0003】そのため、従来では、高濃縮度のウランを
含有させる燃料集合体の構成を変え、高燃焼度対応燃料
集合体とすることで上記問題を解消して原子炉炉心の運
転余裕の向上を図る試みがなされている。
【0004】具体的には、燃料集合体に装荷する燃料棒
の本数を増加させて、平均線出力密度及び平均表面熱流
束を低減させ、これにより限界出力を向上させると同時
に、燃料棒の数本分の領域を占める大きさの太径のウォ
ータロッドに置き変えて、軸方向全域にわたって水密度
差を小さくして軸方向出力分布を平坦化している。
【0005】この高燃焼度化対応燃料集合体は燃料棒の
本数が多いので、燃料棒1本当たりの線出力の負荷が小
さく、線出力密度に対し裕度が大きいことが利点の一つ
である。
【0006】従って、このような高燃焼度対応燃料集合
体を炉心に装荷することにより、従来よりも燃料の経済
性を向上させると同時に、運転余裕の大きい沸騰水型原
子炉の炉心を実現している。
【0007】更に、燃料集合体のギャップ水の近傍は中
性子の減速が活発であるため、この近傍の燃料棒の相対
出力は他の燃料棒に比べて大きくなる。このことを考慮
して、集合体内の燃料棒配置をギャップ水の近傍におい
て濃縮度の高いものとし、経済性を向上させた高燃焼度
対応燃料集合体を装荷した沸騰水型原子炉の炉心もまた
提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな高燃焼度対応燃料集合体を炉心に装荷した場合でも
サイクルを通じて炉心の出力分布が完全に最適化される
わけではなく、依然として炉心の出力分布を如何に最適
化して経済性を向上させるかということは重要な解決事
項となっている。
【0009】特に、軸方向の出力分布においては、その
ピーキングの増大に対する配慮に加え、出力分布形状に
も以下に述べる1)〜4)の理由で注意が必要である。
【0010】1)軸方向の出力分布が下部領域において
極度にピーキングを起こした炉心は、燃料集合体下部で
の出力が高まって線出力密度が増大してしまうので、運
転余裕が小さくなる。
【0011】2)沸騰水型原子炉では、通常、炉心下部
から制御棒が挿入されるが、極度な上部ピーキングが生
じて炉心の上部領域での線出力密度が大きくなった場
合、炉心下部から制御棒を挿入しても、この出力ピーキ
ングは更に上部にシフトし、かえって線出力密度が大き
くなってしまう。さらに、最悪の場合、出力ピーキング
を制御する手だてがなくなる様な事態が生じる可能性も
ある。
【0012】3)軸方向の出力分布が上部領域において
ピーキングを起こした炉心は、スクラム反応度価値を低
下させるため、原子炉の安全上の信頼性を低下させてし
まう。
【0013】4)下部領域において、不適当に出力ピー
キングを起こして燃焼が進んだ炉心は、上部領域での燃
焼が遅れるため、上部領域に残存する高い反応度が次サ
イクルに繰り越され、次サイクルにおいて上部ピークの
炉心出力を与えてしまう。
【0014】こうした現象を回避し、安定した出力分布
を得るために、炉心に装荷するそれぞれの燃料集合体に
対し、軸方向の濃縮度やガドリニア分布に種々の工夫を
凝らしたものも提案されているが、この場合多くの種類
の燃料集合体の燃料棒に対し、各々の燃料棒内で濃縮度
やガドリニアの分布を持たせる必要があり、燃料集合体
の製造工程が複雑となって、経済上及び製造管理上好ま
しくない。
【0015】ところで、近年においては、初装荷炉心に
おいても経済性の向上を目的に燃料集合体の平均濃縮度
を全体的に増大させる方法が採用されており、特に、平
均濃縮度の異なる複数種類の燃料集合体を用い、炉心内
の配置におけるそれぞれの燃料集合体の出力分布を考慮
して炉心に装荷する方法が採用されている。
【0016】しかしながら、このような場合、炉内でス
ペクトルの硬い高濃縮度の燃料集合体とスペクトルが柔
らかい低濃縮度の燃料集合体とが隣接して配置されるた
め、熱中性子の一部が高濃縮度の燃料集合体に流れ込ん
でしまう。
【0017】そのため、高濃縮度の燃料集合体において
は低濃縮度の燃料集合体に隣接した側の燃料棒の出力が
隣接しない側と比べると相対的に大きくなる現象、即
ち、濃縮度ミスマッチ効果が生じる。その結果、低濃縮
度燃料集合体に隣接した側の燃料棒の線出力密度が上昇
して、炉心の熱的運転余裕は小さくなってしまう。
【0018】特に、初装荷炉心においては、そのような
濃縮度ミスマッチ効果が大きくなるので、線出力密度の
運転制限値に対する裕度が不十分となってしまう。従来
では、そのような場合の燃料棒の線出力密度の運転制限
値に対する裕度の検討、即ち、燃料棒の出力ピーキング
の低減に対しては十分な検討は行われてはいない。
【0019】ところで、前述したように近年では、初装
荷炉心においても平均濃縮度の異なる複数種類の燃料集
合体を、それぞれの出力分布を考慮して装荷する方法が
採用されており、この場合の初装荷燃料の取り出し燃焼
度を高めて経済性を向上させる手段として、高濃縮度燃
料集合体の数を増やし、炉心の最外周にも比較的高濃縮
度の燃料集合体を配置する方法が挙げられる。
【0020】この際、炉心の最外周に配置された燃料集
合体は、他の燃料集合体に比べ比較的低い出力で燃焼す
るため、燃焼第1サイクル終了時においても依然として
十分な反応度を有している。そのため、最外周に配置さ
れた燃料集合体を燃焼第2サイクル以降も装荷すること
が経済上好ましい。
【0021】しかし実際には、炉心の最外周に装荷され
た燃料集合体は、炉心の内側の燃料集合体と反射体との
間に挟まれているため、燃料集合体内で大きな高速中性
子束の勾配が生じて、チャンネルボックスの各面におけ
る照射成長の差によりチャンネルボックスの軸方向の伸
びに差が生じ、チャンネル曲がりが生じていることが多
い。
【0022】そのようなチャンネル曲がりが生じている
燃料集合体を次サイクル以降も装荷すると、チャンネル
曲がりによりチャンネルボックスを取り囲むギャップ水
の断面形状が変わり、燃料集合体断面で見たときの燃料
棒の相対出力が変化してしまう。
【0023】この時、燃料集合体内においてチャンネル
ボックスに近接配置された燃料棒のうち、チャンネル曲
がりによりギャップ水が広がった側に配置されたものは
出力ピーキングが増大し、特にチャンネル曲がりを起こ
した集合体を次サイクルで出力の高い方に配置してしま
うと、線出力密度と限界出力比に対する熱的余裕が悪化
し、場合によっては原子炉の運転制限値まで至ってしま
う。
【0024】更に、チャンネル曲がりは互いに近接する
チャンネルボックス相互の間隔を小さくして、それらに
隣接配置される制御棒の挿入時に、チャンネルボックス
と制御棒との干渉が生じ制御棒の挿入性を悪化させると
いう問題も引き起こす。
【0025】このように、高濃縮度燃料集合体の数を増
やし、炉心の最外周にも比較的高濃縮度の燃料集合体を
配置すると上述したような問題が生じるにもかかわら
ず、従来では、これらの問題について十分な検討がなさ
れていなかった。
【0026】ところで、出力運転中の原子炉の反応度制
御は、炉内に用意された多数の制御棒のうちごく一部を
用いて行われる。炉内に装荷された燃料集合体のうち、
長い期間挿入された制御棒の近傍にある燃料集合体は、
燃料集合体内で大きな高速中性子束の勾配が生じて、チ
ャンネルボックスの各面における照射成長の差によりチ
ャンネルボックスの軸方向の伸びに差が生じ、チャンネ
ル曲がりが生じやすいので、次サイクルで取り出すこと
が望ましい。
【0027】このため、経済性を考え、炉心設計の際に
は、出力運転中に挿入して用いる少数本の制御棒を挿入
制御棒として予めその配置を決めておき、この挿入制御
棒に隣接する4体の燃料集合体を反応度の低い(濃縮度
の低い、若しくは燃焼度の高い)ものとする工夫がなさ
れている。(尚、ここでは一本の制御棒に隣接する4体
の燃料集合体をセルといい、挿入制御棒に隣接する4体
の燃料集合体により構成されるセルをコントロール・セ
ルという。)
【0028】しかし、経済性を重視するあまり、コント
ロール・セルを構成する燃料集合体の反応度を極度に小
さくすると、その制御棒の近傍の中性子束が小さくなり
制御棒価値が低下する。制御棒価値が低下すると、余剰
反応度が高い炉心の反応度の制御のために、非常に多く
の制御棒が必要となって運転が複雑となり、最終的には
原子炉の稼働率が低下して、経済性が悪化してしまう。
【0029】更に、別の可能性として、コントロール・
セル内の制御棒だけでは炉心の制御ができなくなってし
まい、反応度の高い燃料集合体に制御棒を隣接させて挿
入する必要が生じ、結果的に運転性や経済性の悪化を招
いてしまう。
【0030】また、従来の多種類の平均濃縮度の燃料集
合体を装荷してなる炉心において、高濃縮度の燃料集合
体を優先的に第2サイクル以降も引き続き装荷する方が
経済性が良く、これを実現するためには長い期間にわた
り高濃縮度燃料集合体の反応度を制御する必要がある。
従って、第1サイクルでは、特に高濃縮度の燃料集合体
に対して毒物効果を長い間持続させるために、できるだ
け高い濃度のガドリニアを添加する必要がある。
【0031】即ち、仮に、高濃縮度燃料に対してガドリ
ニア濃度を低くし、毒物効果の持続期間を短くすると、
第1サイクルの中期から末期と第2サイクル初期から中
期にかけて、この燃料の反応度が高くなるために炉心の
余剰反応度が非常に高くなる。
【0032】従って、従来のように反応度の低い集合体
で構成したコントロールセル炉心では、予め運転用に用
意する制御棒を多くするか、もしくは、これ以外の予定
していない制御棒をさらに用いるかしないと炉心を臨界
に維持できないという事態になってしまい、この結果、
運転が複雑となり、稼働率が悪化し、かえって経済性が
悪くなる。
【0033】しかし、濃度の高いガドリニアを添加する
とペレットの融点が低下するばかりでなくペレットの熱
伝導度が悪化するため、ペレットの温度が高まり、燃料
棒の熱機械設計上好ましくない事態となる。従来におい
ては、このような炉心の運転性と燃料棒の熱機械特性と
に対して、総合的に検討した炉心構成が提案されていな
い。
【0034】更に、コントロールセル炉心では、同じ制
御棒が長い間炉心に挿入され、余剰反応度が小さくなる
サイクル末期につれて反応度維持のため、制御棒が徐々
にあるいは一度に引き抜かれることになる。この際、以
下に述べる制御棒履歴効果が炉心の運転余裕を小さくす
る。
【0035】長期間炉内に挿入された制御棒に近接配置
された燃料棒、特に、コーナーロッドは、低い出力ピー
キングのまま長期間燃焼するため他の燃料棒に比べ燃焼
が遅れる(制御棒履歴効果)。
【0036】そのため、制御棒に近接配置された燃料棒
は他の燃料棒に比べ、燃焼が遅れた分だけ核分裂性物質
を多く含んでいるためサイクル末期において制御棒が引
き抜かれると、急激に高い出力を持つこととなる。即
ち、コーナーロッドの線出力が極端に増大し、熱的運転
余裕が小さくなる。
【0037】このような制御棒履歴効果による影響は、
第1サイクルのようにサイクル期間が長く、制御棒の挿
入期間が長い場合に著しいにも拘わらず、従来では、そ
の対策として原子炉運転時に監視を行うか、コーナーロ
ッドの濃縮度を低減させるか程度のことしか行われてい
なかった。
【0038】本願発明は、上述した問題を受けて、経済
性が良い炉心を提供することを主目的とし、特に、沸騰
水型原子炉の経済性を向上させるにあたって生じる難
点、例えば、燃料棒の熱機械上及び運転上の安全裕度の
低下等を抑えることのできる炉心構成を提供することを
目的とする。
【0039】
【課題を解決するための手段】上記目的を解決するため
に、請求項1の発明は、9行9列以上の正方格子配列に
従って配列された複数本の燃料棒と前記正方格子配列の
複数本分の燃料領域を燃料有効長のほぼ全長に亙って非
沸騰水に置換する1本以上の太径ウォーターロッドとを
有する同一構造の複数の燃料集合体によって構成された
沸騰水型原子炉の炉心において、前記燃料集合体は、平
均濃縮度が最大の第1タイプ燃料集合体と、平均濃縮度
が最小の第3タイプ燃料集合体と、第1タイプ燃料集合
体及び第3タイプ燃料集合体の間の平均濃縮度をもつ第
2タイプ燃料集合体とを含むと共に、第1タイプ燃料集
合体が最も多く装荷され、第1タイプ燃料集合体は、燃
料有効長の上端から1/4よりも下方で且つ下端から1
/3よりも上方を境界として燃料有効長の上下端部領域
を除く上部領域の濃縮度よりも下部領域の濃縮度が高
く、しかも前記上部領域における可燃性毒物の本数より
も前記下部領域における可燃性毒物の本数が多くなる構
成を備えたものとしている。
【0040】即ち、請求項1では、炉心の高燃焼度化の
ために、装荷する燃料集合体の平均濃縮度のタイプを三
つの段階、即ち、平均濃縮度が最大のもの、最小のもの
及びそれらの間の濃縮度を持つものに大別している。
【0041】このうち、最高濃縮度の第1タイプ燃料集
合体は、炉心の高燃焼度化の観点から最も多く炉心に装
荷される。このため、炉心の第1サイクルと第2サイク
ルの軸方向出力分布の形状は、主としてこの第1タイプ
燃料集合体の軸方向出力分布に左右される。言い換えれ
ば、第1タイプ燃料集合体の軸方向の核設計を最適化す
れば、第2タイプ燃料集合体と第3タイプ燃料集合体に
対して特別な配慮を行わずとも、炉心の軸方向出力分布
を最適化できる。
【0042】ここで、一般に、沸騰水型原子炉における
チャンネルボックスの内側を流れる冷却材のボイド率
は、図9に示すように炉心の下部から上部にかけて徐々
に大きくなるように分布している。そのため、ボイド率
の小さい炉心下部は中性子の減速が大きく、ボイド率の
大きい炉心上部は中性子の減速が小さくなるので、第1
サイクルにおいては、炉心の相対出力分布が下部側で大
きく上部領域側で小さくなり、図10の実線aに示した
ような下部ピークぎみの曲線となる。
【0043】この場合、炉心下部の燃焼は上部に比べて
先行するため、炉心に装荷された燃料集合体をそのまま
第2サイクルにおいても続けて装荷した場合、炉心の相
対出力分布は、下部領域側では小さく上部領域側では大
きくなり、図10の破線bに示したような上部ピーク気
味の曲線となる。
【0044】そのため、請求項1では、第1タイプ燃料
集合体の燃料有効長の上端から1/4よりも下方で且つ
下端から1/3よりも上方に濃縮度の境界を設け、上部
領域の濃縮度よりも下部領域の濃縮度を高くしている。
(但し、燃料有効長の上下端部領域を除く。)
【0045】即ち、第1サイクルにおいて、燃料集合体
の下部領域の燃焼は上部領域に比べて先行するが、この
燃料集合体は濃縮度が上部領域よりも下部領域で高いた
め、第2サイクルにおいても依然として良好な出力分布
となる燃焼度分布を備えている。即ち、第2サイクルに
おける下部領域の出力低下を防ぐことができ、軸方向の
相対出力が上部ピーク気味となるのを防ぐことができ
る。
【0046】加えて、可燃性毒物の本数を燃料集合体の
上部領域よりも下部領域で多くすることで、燃焼初期
(第1サイクル)における無限増倍率を下部領域より上
部領域で大きくし、上部領域に適度な出力の配分を行っ
ている。この可燃性毒物として、例えば、ガドリニアが
挙げられるが、その濃度をサイクル長さに応じて適度に
調整すれば、サイクル寿命を通じた出力分布形状を安定
して維持させることもできる。
【0047】これにより、図4の実線aに示すように、
第1サイクルの軸方向の出力分布が、図10の実線aの
出力分布と比べて平坦になるだけでなく、第2サイクル
においても図4の破線bに示すように、第1サイクルの
時と同じような出力分布を維持することができる。
【0048】この結果、極度な下部ピーキングや上部ピ
ーキングの炉心が形成されることがなく、線出力密度の
増大を抑えて、熱的運転余裕を増大できると共に、スク
ラム反応度価値を低下させることもなく原子炉の安全上
の信頼性が維持できる。
【0049】尚、第1タイプ燃料集合体の上部領域と下
部領域での濃縮度差及び可燃性毒物の本数の差は、炉心
内に存左する水ギャップとウォータロッドによって決ま
る非沸騰水の量等のプラント形状や装荷する高燃焼度対
応燃料集合体に応じて、適切に決めれば良いものであ
り、本発明では特に限定しない。
【0050】また、請求項2の発明は、請求項1に記載
の沸騰水型原子炉の炉心において、第1タイプ燃料集合
体は、前記境界の上部領域よりも下部領域で燃焼前にお
ける可燃性毒物の最高濃度が高くされているものとして
いる。これにより、持続的に無限増倍率を下部領域より
上部領域で大きくでき、上部領域に適度な出力の持続的
な配分をサイクル寿命にわたって実現できる。
【0051】更に、請求項3の発明は、請求項1又は2
に記載の沸騰水型原子炉の炉心において、第2タイプ燃
料集合体は、燃料有効長の上下端部領域を除き軸方向に
ほぼ一様の濃縮度分布をもつ比較的平均濃縮度の低い燃
料集合体(L)と、燃料有効長の上下端部領域を除く部
分で軸方向に濃縮度差を持たせた比較的平均濃縮度の高
い燃料集合体(M)とからなり、前記燃料集合体(M)
は、燃料有効長の上端から1/2よりも下方を境界とし
て燃料有効長の上下端部を除く上部領域よりも下部領域
で濃縮度が低くされているものとしている。
【0052】即ち、請求項3の発明では、第1タイプ燃
料集合体と第3タイプ燃料集合体との間の濃縮度を持つ
第2タイプ燃料集合体を、燃料集合体(L)とL燃料集
合体よりも濃縮度の高い燃料集合体(M)とに分け、さ
らに、L燃料集合体よりも濃縮度の高い燃料集合体
(M)の下部領域の濃縮度を上部領域よりも低くするこ
とにより、燃料集合体(M)を炉心に装荷した時に、そ
の下部出力が高まる程度を小さくして、線出力密度の増
大を抑え、軸方向出力分布のさらなる平坦化を実現して
いる。
【0053】また、請求項4の発明は、請求項3に記載
の沸騰水型原子炉の炉心において、第2タイプ燃料集合
体のうちの前記燃料集合体(M)は燃料有効長の上端か
ら1/2よりも下方を境界として上部領域よりも下部領
域で燃焼前における可燃性毒物の最高濃度が高くされて
いるものとしている。
【0054】即ち、請求項4の発明では、前記燃料集合
体(M)の燃焼前の可燃性毒物の最高濃度を下部領域で
高いものとして、下部領域における無限増倍率の燃焼に
伴う増大を小さくすることにより、よりいっそう下部出
力が高まる程度を小さくして、線出力密度の増大を抑
え、サイクル寿命を通じた出力分布形状を安定して維持
している。
【0055】更に、請求項5の発明は、9行9列以上の
正方格子配列に従って配列された複数本の燃料棒と前記
正方格子配列の複数本分の燃料領域を燃料有効長のほぼ
全長に亙って非沸騰水に置換する1本以上の太径ウォー
ターロッドとを有する同一構造の複数の燃料集合体によ
って構成された沸騰水型原子炉の炉心において、前記燃
料集合体は、平均濃縮度が最大の第1タイプ燃料集合体
と、平均濃縮度が最小の第3タイプ燃料集合体と、第1
タイプ燃料集合体及び第3タイプ燃料集合体の間の平均
濃縮度をもつ第2タイプ燃料集合体とを含むと共に、炉
心最外周の装荷位置のうち、いずれの制御棒とも隣接し
ない位置に装荷される燃料集合体を前記第3タイプ燃料
集合体とし、かつ、この第3タイプ燃料集合体を燃焼第
2サイクルにおいても引き続き同じ位置に装荷するもの
としている。
【0056】炉心最外周に装荷された燃料集合体は、す
べてチャンネル曲がりを起こすが、その中でいずれの制
御棒とも隣接しない装荷位置に配置された燃料集合体
は、チャンネル曲がりを生じていても制御棒の挿入性に
は無関係で、また出力の低い位置でもあることからチャ
ンネル曲がりによって熱的運転余裕が低下しても原子炉
全体としては何の問題もない。さらに、炉心最外周に装
荷された燃料集合体は、良好な燃焼を期待できない。
【0057】即ち、請求項5の発明では、上記のことに
着目して、炉心最外周でいずれの制御棒とも隣接しない
装荷位置に配置された燃料集合体を濃縮度の低い第3タ
イプ燃料集合体とすることにより、経済性を良くしてい
る。そして、この装荷位置に、引き続く燃焼第2サイク
ルにおいても同じ燃料集合体を継続して装荷してさらに
経済性を良くしている。
【0058】勿論、一旦チャンネル曲がりが生じた燃料
集合体は炉心中央の出力の高い位置には装荷できないこ
とからも、チャンネル曲がりが生じやすい装荷位置に、
最も濃縮度の低い第3タイプ燃料集合体を配置するのは
経済的に都合が良い。
【0059】また、請求項6の発明は、請求項1又は請
求項5に記載の沸騰水型原子炉の炉心において、出力運
転中に挿入を予定されている制御棒に隣接する位置に第
3タイプ燃料集合体を配置し、かつ、燃焼第1サイクル
において、前記制御棒を引き抜くことなく運転を行うこ
とを特徴としている。
【0060】即ち、サイクル末期において制御棒を引き
抜くと制御棒に隣接する燃料集合体において、制御棒に
近接した燃料棒は急激に高い出力を持つこととなるた
め、請求項6の発明では、出力運転中に挿入を予定され
ている制御棒に隣接する位置に第3タイプ燃料集合体を
配置して余剰反応度をサイクル末期でも余らせて、燃焼
第1サイクルにおいて制御棒を引き抜く必要をなくして
いる。
【0061】これにより、制御棒に近接する燃料棒が急
激に高い出力を持つという現象を防ぐことができるの
で、制御棒履歴効果による出力ピーキングの増大が起こ
らないという効果を達成する。そして、好ましくは、燃
焼第1サイクルにおいて制御棒に隣接していた燃料集合
体を、燃焼第2サイクルにおいて取り出すか出力の低い
最外周に配置すると良い。
【0062】更に、請求項7の発明は、請求項1又は請
求項5に記載の沸騰水型原子炉の炉心において、燃焼第
1サイクルで炉心最外周以外の装荷位置に装荷されてい
た比較的燃焼度の高い第2タイプ燃料集合体を、引き続
く燃焼第2サイクルで出力運転中に挿入を予定されてい
る制御棒に隣接する位置に配置したものとしている。
【0063】燃焼第1サイクルでの余剰反応度は図5の
実線aに示すとおりとなり、この場合、燃焼第1サイク
ルで余った反応度は、燃焼第2サイクルに繰り越され
る。そのため、燃焼第2サイクルでの余剰反応度は図5
の破線bに示すとおりとなり、サイクル初期から末期に
かけての余剰反応度は燃焼第1サイクルに比べ高くなる
傾向にある。
【0064】そのため、燃焼第2サイクル以降も燃焼の
進んだ第3タイプ燃料集合体をコントロール・セルに配
置すると、このコントロール・セルの制御棒価値は低い
ため、出力運転中に挿入する制御棒の数が多くなる。挿
入する制御棒の数が増えると、運転が複雑となるばかり
でなく、コントロールセルの数が増えることにより、炉
内燃料配置の自由度が減ってしまうので好ましくない。
【0065】従って、請求項7の発明では、前述した構
成に加えて燃焼第2サイクル以降、比較的燃焼度の高い
第2タイプ燃料集合体をコントロール・セルに配置する
ことにより、コントロール・セルの制御棒価値を下げる
ことなく、少ない数のコントロール・セルを設置するの
みで運転することができる。従って、第2サイクルにお
いても運転中の複雑な制御棒計画が不要となり、原子炉
の稼働率を高めることができる。
【0066】更に、請求項8の発明は、請求項1又は請
求項5に記載の沸騰水型原子炉の炉心において、前記3
つのタイプの燃料集合体のうち少なくとも1つのタイプ
の燃料集合体が前記正方格子配列のチャンネルボックス
に隣接する最外周層以外の位置にのみ最高濃縮度の燃料
棒を有しているものとしている。
【0067】ここで、炉心に装荷する全ての燃料集合体
が、最外周に高濃縮度の燃料棒を配置し、線出力密度の
運転制限値に対し5%の裕度で設計した構成のものであ
る場合を考える。
【0068】先程述べたように、炉心内で最高濃縮度の
第1タイプ燃料集合体に第3タイプ燃料集合体が隣接す
ると、濃縮度ミスマッチ効果が生じ、第1タイプ燃料集
合体の最外周の燃料棒の出力ピーキングは約5%上昇す
る。
【0069】これは、濃縮度が高く反応度の大きい第1
タイプ燃料集合体の線出力密度が約5%上昇することを
意味するため、運転制限値に対する裕度は設計当初の5
%から0%まで低下してしまい、運転制限値を満足でき
ないという問題が生じる。
【0070】そのため、請求項8の発明では、燃料集合
体の最外周層に装荷する燃料棒は、最高濃縮度以外の燃
料棒とすることにより、濃縮度ミスマッチ効果により燃
料集合体の線出力密度が上昇しても、運転制限値を超え
ずに運転することを可能としている。
【0071】また、濃縮度ミスマッチ効果は、燃焼第2
サイクル以降においても発生するため、燃焼第2サイク
ル以降に炉心に装荷される取替燃料集合体に対しても、
最高濃縮度の燃料棒をチャンネルボックスに隣接する正
方格子配列の最外周層以外の位置にのみ有する構成とす
れば、運転制限値に対する裕度を確保でき好ましい。
【0072】勿論、燃焼期間を通じて反応度が低い第3
タイプ燃料集合体は濃縮度が低いため、濃縮度ミスマッ
チ効果により熱中性子が流れ込んでくることは殆ど考慮
する必要がないことから、必ずしもこのような構成にす
る必要はない。
【0073】更に、請求項9の発明は、請求項1又は請
求項5に記載の沸騰水型原子炉の炉心において、前記燃
料集合体の一部が可燃性毒物を含む燃料棒を備えた可燃
性毒物入り燃料集合体からなり、この可燃性毒物入り燃
料集合体は、可燃性毒物を含む燃料棒が前記正方格子配
列の最外周層及びウォータロッドの辺部に隣接する位置
を除く位置に配置されていると共に、この可燃性毒物を
含む燃料棒には燃料集合体内での最高濃縮度を含む燃料
棒が少なくとも2本は隣接配置されていることを特徴と
するものとしている。
【0074】可燃性毒物入り燃料集合体内に装荷される
燃料棒のうち、可燃性毒物を含む燃料棒に隣接する燃料
棒を濃縮度の高いものとすると、この近傍のスペクトル
が硬くなり、可燃性毒物の中性子吸収量が減少し、可燃
性毒物の毒物効果がより長い燃焼期間に亙って持続する
ことになる。
【0075】即ち、可燃性毒物を含む燃料棒に隣接する
燃料棒を濃縮度の高いものとすれば、可燃性毒物の濃度
が従来よりも薄い濃度であっても、図8に示したように
可燃性毒物の毒物効果を長い間持続させることができ、
経済的である。
【0076】また、可燃性毒物の濃度を従来よりも薄く
することができるので、可燃性毒物入りウランペレット
の熱伝導度の低下及びペレットの融点の低下を抑えるこ
とができる。これにより、燃料棒の熱機械的裕度が高ま
るという利点がある。
【0077】この効果は、少なくとも2本の最高濃縮度
の燃料棒を可燃性毒物を含む燃料棒に近接して配置すれ
ば現れるので、その様に配置すれば、より経済的な原子
炉の運転が可能である。
【0078】このような少なくとも2本の最高濃縮度の
燃料棒と隣接される可燃性毒物を含む燃料棒を、前記正
方格子配列の最外周及びウォータロッドの辺部に隣接す
る位置を除く位置に主に配置する、言い換えると、燃料
集合体間にあるギャップ水やウォータロッドから離れた
位置に配置することで、可燃性毒物入り燃料棒の近傍の
スペクトルが更に硬くなり、前述の効果を更に高めると
いう利点がある。
【0079】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態の例を示
して更に詳しく説明する。この実施形態例では、炉心に
装荷される燃料集合体はその構成が、すべて中央に3行
3列分の燃料棒領域を占める太径ウォータチャンネルを
備えた9行9列の燃料棒配列を有するものである。炉心
には、濃縮度の違いにより分けられる4種類の燃料集合
体が装荷されている。
【0080】この4種類の燃料集合体とは、第1タイプ
燃料集合体である濃縮度約3.7wt% の燃料集合体(以
後、H燃料集合体と記す)と、第3タイプ燃料集合体で
ある濃縮度約1.2wt% の燃料集合体(以後、LL燃料集
合体と記す)と、二種類の第2タイプ燃料集合体、即
ち、濃縮度約3.0wt% の燃料集合体(以後、M燃料集
合体と記す)と濃縮度約2.5wt% の燃料集合体(以
後、L燃料集合体と記す)である。そして、これらの燃
料集合体が、制御棒を中心とする4体を1セルとして総
計872本、炉心に装荷されている。
【0081】図1に、本発明の初装荷炉心、即ち、燃焼
第1サイクルでの燃料集合体配置の模式図を示す。ここ
では説明のため、炉心の第4象限のみ示しているが、勿
論、他の象限においても同様の配置構成となっている。
尚、以後説明するすべての炉心の燃料集合体配置につい
ても同様とする。
【0082】図1において、炉心に装荷される872本
の燃料集合体のうち、364本がH燃料集合体であり、
96本がM燃料集合体、224本がL燃料集合体、18
8本がLL燃料集合体である。なお、炉心に装荷されるLL
燃料集合体のうち52本は、4体が1組となってコント
ロールセルを形成している。また、最外周に配置される
燃料集合体は合計92本であり、そのうち、52本は制
御棒に隣接せず、この位置には、すべてLL燃料集合体が
装荷されている。
【0083】ここで図3に、この実施形態例で用いる4
種の燃料集合体の濃縮度及びガドリニアの軸方向分布を
示す。図3において(a)はH燃料集合体、(b)はM
燃料集合体、(c)はL燃料集合体、(d)はLL燃料集
合体の軸方向濃縮度分布及びガドリニア分布をそれぞれ
示している。
【0084】図3よりもわかるように、H燃料集合体と
M燃料集合体は、軸方向に濃縮度分布及びガドリニア分
布の境界をもち、この境界により二種類の濃縮度又はガ
ドリニア濃度が隔てられている。
【0085】即ち、図3(a)において、H燃料集合体
の濃縮度分布の境界は燃料有効長の上端から1/4より
少々下側にあり、この境界より下側は上側よりも高濃縮
度としている。
【0086】さらに、ガドリニア濃度の境界も同様の位
置にあり、この境界より下側は上側よりもガドリニアが
高濃度としている。尚、ガドリニアの本数も前記境界よ
り下側で多くなっている。
【0087】また、図3(b)において、M燃料集合体
の濃縮度分布の境界は燃料有効長の上端から2/3の位
置にあり、この境界より下側は上側よりも低濃縮度とし
ている。
【0088】さらに、ガドリニア濃度の境界も同様の位
置にあり、この境界より下側は上側よりも高濃度として
いる。尚、M燃料集合体の場合ガドリニアの本数は前記
境界に関係なく、軸方向に一様となっている。
【0089】また、図3(c)に示したように、L燃料
集合体は軸方向に一様な濃縮度分布及びガドリニア分布
を有しており、図3(d)に示したように、LL燃料集合
体も軸方向に一様な濃縮度分布を有しているが、ガドリ
ニアは含まれていないものとなっている。
【0090】この様な燃料集合体を燃焼第1サイクルに
おいて図1に示した配置とすることにより炉心は図4の
実線(a)に示したような軸方向出力分布をもつことと
なる。
【0091】また、図2に、本発明の燃焼第2サイクル
での燃料集合体配置の模式図を示す。この燃焼第2サイ
クルにおいて炉心に装荷される872本の燃料集合体の
うち、364本がH燃料集合体であり、96本がM燃料
集合体、224本のL燃料集合体、92本がLL燃料集合
体、96本が取替燃料集合体(以後、R燃料集合体と記
す)である。また、コントロールセルは84本のL燃料
集合体で構成している。
【0092】丸印で囲んだ燃料集合体は、第1サイクル
で最外周に配置されていた燃料集合体であり、燃焼第2
サイクルにおいても、制御棒に隣接しない位置にはLL燃
料集合体が装荷されている。なお、燃焼第1サイクルで
最外周に配置されたM燃料集合体は最外周近傍のセル内
に一つずつ装荷されている。
【0093】また、燃焼第1サイクルでの余剰反応度
は、図5の実線(a)に示すとおりとなる。この場合の
制御棒パターンを図6に示すが、制御棒挿入量は、サイ
クル初期から中期となるにつれて増えている。数値は引
き抜き量を示しており、全引き抜きで48となる。また
ブランクは全引き抜きを示す。
【0094】燃焼第2サイクルでは、余剰反応度は燃焼
第1サイクルで余った反応度が繰り越される結果、図5
の破線(b)に示すとおりとなり、燃焼第1サイクルに
比べサイクル初期で約2倍、中期で約1.5倍と高くな
っている。
【0095】このため、燃焼第2サイクルでは燃焼第1
サイクルよりも多くの制御棒の挿入が必要となり、本
来、燃焼第2サイクルの約2倍程度の数の制御棒が必要
となるが、コントロールセルをL燃料集合体で構成する
ことにより、燃焼第1サイクルの約1.5倍程度の数の
制御棒で出力運転時の反応度制御が可能となっている。
【0096】燃焼第2サイクルでは、この様な配置とす
ることにより、炉心に図4の破線(b)に示したような
燃焼第1サイクルの出力分布とほぼ同じ軸方向出力分布
をもたせて、比較的長い期間安定した出力分布を有する
炉心を得ている。
【0097】ここで、図7を参照して前記4種の燃料集
合体の燃料棒配置について述べる。図7(a)〜(d)
は、前記4種の燃料集合体の横断面図であり、図7
(a)はH燃料集合体、(b)はM燃料集合体、(c)
はL燃料集合体、(d)はLL燃料集合体である。図中の
番号は燃料棒の濃縮度レベルを示しており、1が最も高
く、数字が大きくなるにつれて低くなっている。また、
ガドリニア入り燃料棒は、Gで表している。
【0098】これらの燃料集合体のうち、LL燃料集合体
は出力が小さく、濃縮度ミスマッチ効果により線出力密
度が運転制限値を越える可能性がないため、最高濃縮度
の燃料棒を最外周にも配置しているが、他の3種類の燃
料集合体は、濃縮度ミスマッチ効果を考慮して最外周に
は最高濃縮度の燃料棒を配置していない。
【0099】さらに、ガドリニア入り燃料棒について
も、図3において述べたようにLL燃料集合体には配置さ
れていないが、他の3種類の燃料集合体には配置されて
いる。この例では、ガドリニア入り燃料棒は、コーナロ
ッドの濃縮度の次に高い濃縮度を持つものとしており、
燃料集合体内の最外周層に属さず、且つウォータロッド
の辺部に隣接しない第2層目に配置されている。そし
て、それぞれのガドリニア入り燃料棒には少なくとも二
つの最高濃縮度の燃料棒が隣接配置され、ガドリニアの
毒物効果を長い間持続させている。
【0100】
【発明の効果】以上説明したように本発明の沸騰水型原
子炉の炉心は、燃料棒の熱機械上及び運転上の安全裕度
を向上させつつ、経済性を向上させることが可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態例の炉心の燃焼第1サイク
ルにおける燃料集合体配置の模式図である。
【図2】本発明の一実施形態例の炉心の燃焼第2サイク
ルにおける燃料集合体配置の模式図である。
【図3】本発明の一実施形態例の炉心で用いる4種類の
燃料集合体の濃縮度及びガドリニアの軸方向分布を示す
線図である。
【図4】本発明の一実施形態例の炉心の燃焼第1サイク
ルと燃焼第2サイクルの軸方向の相対出力分布を示す線
図である。
【図5】本発明の一実施形態例の炉心の燃焼第1サイク
ルと燃焼第2サイクルでの余剰反応度を示す線図であ
る。
【図6】本発明の一実施形態例の炉心の出力運転中に挿
入される制御棒の挿入量及び配置を示す説明図である。
【図7】本発明の一実施形態例の炉心で用いる4種の燃
料集合体の横断面図である。
【図8】ガドリニア入り燃料棒に最高濃縮度の燃料棒を
隣接配置した時としない時の無限増倍率と燃焼度との関
係を示す線図である。
【図9】沸騰水型原子炉のチャンネルボックス内側を流
れる冷却材のボイド率を示す線図である。
【図10】従来の一般的な炉心における燃焼第1サイク
ルと燃焼第2サイクルの軸方向の相対出力分布を示す線
図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G21C 3/30 GDBW GDBX

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 9行9列以上の正方格子配列に従って配
    列された複数本の燃料棒と前記正方格子配列の複数本分
    の燃料領域を燃料有効長のほぼ全長に亙って非沸騰水に
    置換する1本以上の太径ウォーターロッドとを有する同
    一構造の複数の燃料集合体によって構成された沸騰水型
    原子炉の炉心において、 前記燃料集合体は、平均濃縮度が最大の第1タイプ燃料
    集合体と、平均濃縮度が最小の第3タイプ燃料集合体
    と、第1タイプ燃料集合体及び第3タイプ燃料集合体の
    間の平均濃縮度をもつ第2タイプ燃料集合体とを含むと
    共に、第1タイプ燃料集合体が最も多く装荷され、 第1タイプ燃料集合体は、燃料有効長の上端から1/4
    よりも下方で且つ下端から1/3よりも上方を境界とし
    て燃料有効長の上下端部領域を除く上部領域の濃縮度よ
    りも下部領域の濃縮度が高く、しかも前記上部領域にお
    ける可燃性毒物の本数よりも前記下部領域における可燃
    性毒物の本数が多くなる構成を備えていることを特徴と
    する沸騰水型原子炉の炉心。
  2. 【請求項2】 第1タイプ燃料集合体は、前記境界の上
    部領域よりも下部領域で燃焼前における可燃性毒物の最
    高濃度が高くされていることを特徴とする請求項1に記
    載の沸騰水型原子炉の炉心。
  3. 【請求項3】 第2タイプ燃料集合体は、燃料有効長の
    上下端部領域を除き軸方向にほぼ一様の濃縮度分布をも
    つ比較的平均濃縮度の低い燃料集合体(L)と、燃料有
    効長の上下端部領域を除く部分で軸方向に濃縮度差を持
    たせた比較的平均濃縮度の高い燃料集合体(M)とから
    なり、前記燃料集合体(M)は、燃料有効長の上端から
    1/2よりも下方を境界として燃料有効長の上下端部を
    除く上部領域よりも下部領域で濃縮度が低くされている
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の沸騰水型原
    子炉の炉心。
  4. 【請求項4】 第2タイプ燃料集合体のうちの前記燃料
    集合体(M)は燃料有効長の上端から1/2よりも下方
    を境界として上部領域よりも下部領域で燃焼前における
    可燃性毒物の最高濃度が高くされていることを特徴とす
    る請求項3に記載の沸騰水型原子炉の炉心。
  5. 【請求項5】 9行9列以上の正方格子配列に従って配
    列された複数本の燃料棒と前記正方格子配列の複数本分
    の燃料領域を燃料有効長のほぼ全長に亙って非沸騰水に
    置換する1本以上の太径ウォーターロッドとを有する同
    一構造の複数の燃料集合体によって構成された沸騰水型
    原子炉の炉心において、 前記燃料集合体は、平均濃縮度が最大の第1タイプ燃料
    集合体と、平均濃縮度が最小の第3タイプ燃料集合体
    と、第1タイプ燃料集合体及び第3タイプ燃料集合体の
    間の平均濃縮度をもつ第2タイプ燃料集合体とを含むと
    共に、炉心最外周の装荷位置のうち、いずれの制御棒と
    も隣接しない位置に装荷される燃料集合体を前記第3タ
    イプ燃料集合体とし、かつ、この第3タイプ燃料集合体
    を燃焼第2サイクルにおいても引き続き同じ位置に装荷
    することを特徴とする沸騰水型原子炉の炉心。
  6. 【請求項6】 出力運転中に挿入を予定されている制御
    棒に隣接する位置に第3タイプ燃料集合体を配置し、か
    つ、燃焼第1サイクルにおいて、前記制御棒を引き抜く
    ことなく運転を行うことを特徴とする請求項1又は請求
    項5に記載の沸騰水型原子炉の炉心。
  7. 【請求項7】 燃焼第1サイクルで炉心最外周以外の装
    荷位置に装荷されていた比較的燃焼度の高い第2タイプ
    燃料集合体を、引き続く燃焼第2サイクルで出力運転中
    に挿入を予定されている制御棒に隣接する位置に配置し
    たことを特徴とする請求項1又は請求項5に記載の沸騰
    水型原子炉の炉心。
  8. 【請求項8】 前記3つのタイプの燃料集合体のうち少
    なくとも1つのタイプの燃料集合体が前記正方格子配列
    のチャンネルボックスに隣接する最外周層以外の位置に
    のみ最高濃縮度の燃料棒を有していることを特徴とする
    請求項1又は請求項5に記載の沸騰水型原子炉の炉心。
  9. 【請求項9】 前記燃料集合体の一部が可燃性毒物を含
    む燃料棒を備えた可燃性毒物入り燃料集合体からなり、 この可燃性毒物入り燃料集合体は、可燃性毒物を含む燃
    料棒が前記正方格子配列の最外周層及びウォータロッド
    の辺部に隣接する位置を除く位置に配置されていると共
    に、この可燃性毒物を含む燃料棒には燃料集合体内での
    最高濃縮度を含む燃料棒が少なくとも二本は隣接配置さ
    れていることを特徴とする請求項1又は請求項5に記載
    の沸騰水型原子炉の炉心。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011064568A (ja) * 2009-09-17 2011-03-31 Global Nuclear Fuel-Japan Co Ltd 沸騰水型原子炉の炉心
JP2011169858A (ja) * 2010-02-22 2011-09-01 Global Nuclear Fuel-Japan Co Ltd 沸騰水型原子炉の初装荷炉心

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011064568A (ja) * 2009-09-17 2011-03-31 Global Nuclear Fuel-Japan Co Ltd 沸騰水型原子炉の炉心
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