JPH10200268A - 多層プリント基板の製造方法 - Google Patents

多層プリント基板の製造方法

Info

Publication number
JPH10200268A
JPH10200268A JP35751196A JP35751196A JPH10200268A JP H10200268 A JPH10200268 A JP H10200268A JP 35751196 A JP35751196 A JP 35751196A JP 35751196 A JP35751196 A JP 35751196A JP H10200268 A JPH10200268 A JP H10200268A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
build
coupling
resin layer
circuit pattern
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP35751196A
Other languages
English (en)
Inventor
Kuninao Takahashi
邦尚 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Elna Co Ltd
Original Assignee
Elna Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Elna Co Ltd filed Critical Elna Co Ltd
Priority to JP35751196A priority Critical patent/JPH10200268A/ja
Publication of JPH10200268A publication Critical patent/JPH10200268A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Production Of Multi-Layered Print Wiring Board (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 下地銅とビルドアップ樹脂との接着が強固で
あるとともに、フォトビア現像型の製造方法によってビ
ルドアップ樹脂への穴明けを完全に行なうことができる
ようにする。 【解決手段】 銅箔からなる第1回路パターン1aを有
するプリント基板1上に、所定のカップリング樹脂2を
塗布し、同カップリング樹脂2を下地銅とビルドアップ
樹脂との密着力が発現しない温度にて仮乾燥した後、カ
ップリング樹脂2上にビルドアップ樹脂層3を形成し、
同ビルドアップ樹脂層3にフォトビア現像型の製造方法
によって第1回路パターン1aに至る穴4を形成した
後、カップリング樹脂2およびビルドアップ樹脂層3を
カップリング樹脂2の密着力が発現し得る温度にて本加
熱して硬化させ、しかる後、ビルドアップ樹脂層3上に
穴4の部分を介して第1回路パターン1aに導通する第
2回路パターン5を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は多層プリント基板の
製造方法に関し、さらに詳しく言えば、フォトビア現像
型ビルドアップ樹脂層を介して回路パターンを多層に形
成する多層プリント基板の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】フォトビア現像型ビルドアップ樹脂層を
介して回路パターンを多層に形成するにあたっては、銅
箔からなる所定の第1回路パターンが形成されているプ
リント基板のパターン形成面を黒化処理にて粗面化し、
その上にビルドアップ樹脂層を塗布して形成し、ビルド
アップ樹脂層を仮乾燥する。
【0003】次に、ビルドアップ樹脂層に所定のマスク
をかけて露光し、マスクを除去した後、ビルドアップ樹
脂層に化学的に一括して複数の穴を明け、その後洗浄し
本加熱硬化して第1回路パターンに至るインタスティシ
ャルビアホール用の穴を形成する。しかる後、ビルドア
ップ樹脂層の表面に穴部分を介して第1回路パターンと
導通するめっき層を形成し、必要に応じてそのめっき層
をエッチングして第2回路パターンを形成するようにし
ている。
【0004】この場合、ビルドアップ樹脂にはエポキシ
樹脂やアクリレート樹脂などが用いられている。しかし
ながら、一般的にこの種の樹脂は基板の下地面(銅箔が
ない部分)とは比較的強固に接着するが、回路パターン
を形成している銅箔(下地銅)に対してはあまり接着性
が良くない。したがって、この多層基板が例えば170
℃以上の高温に晒されるような場合、その熱応力により
ビルドアップ樹脂と下地銅との間に剥離が生じ易い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、従来ではあら
かじめ下地銅を黒化処理により粗面化してビルドアップ
樹脂との接着性を高めるようにしているが、その黒化処
理だけでも例えば10近くの処理工程が必要であり、生
産性およびそのコスト面からできれば黒化処理の条件を
緩和することが望まれており、さらに好ましくはソフト
エッチングのみとしたいのが実情である。
【0006】ところで、特開平5−315741号公報
には、導体配線層とその層間絶縁層(ビルドアップ層)
との接着性を高めるため、シラン系密着強化剤をアルコ
ールで希釈した塗液を回路パターンを有する被処理基板
上に塗布した後、その基板を湿気に晒して密着強化剤を
加水分解し、続いて乾燥処理を行なった後、その上に層
間絶縁層を形成するようにしている。
【0007】これによれば、シラン系密着強化剤が被処
理基板上で凝縮しないため、均一な密着強化塗膜を形成
することができ、層間絶縁層との接着力も高められる。
しかしながら、層間絶縁層を形成する前にその密着強化
塗膜がすでに硬化状態となっているため、フォトビア現
像型のビルドアップ法による多層プリント基板で上記製
造方法を使用するとビルドアップ樹脂層に穴明けを行な
う場合、その穴底部から密着強化塗膜とその密着強化塗
膜に接着したビルドアップ樹脂層(特にはビルドアップ
樹脂層内のフィラー)が完全に除去されず、したがって
層間絶縁層上に回路パターンを形成するとき、下側回路
パターンとの間に導通不良が生ずるおそれがある。
【0008】本発明は、このような従来の問題点を解決
するためになされたもので、その目的は、フォトビア現
像型のビルドアップ法による多層プリント基板におい
て、下地銅とビルドアップ樹脂との接着が強固であると
ともに、ビルドアップ樹脂への穴明けを完全に行なうこ
とができるようにした多層プリント基板の製造方法を提
供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、銅箔からなる所定の第1回路パターンを
有するプリント基板のパターン形成面上に、所定のカッ
プリング樹脂を半硬化状態では下地銅とビルドアップ樹
脂層との間で密着力が発現しない濃度に調整して塗布
し、同カップリング樹脂をその密着力が発現しない温度
にて仮乾燥を行なってカップリング樹脂を半硬化した
後、従来と同様のフォトビア現像型のビルドアップ法に
よる多層プリント基板の製造方法を用いて作製するとと
もに、ビルドアップ樹脂層の仮乾燥温度をカップリング
樹脂が硬化しない温度とし、本加熱硬化温度をカップリ
ング樹脂の密着力が発現し得る温度とすることを特徴と
している。
【0010】このように、本発明においては、プリント
基板上にカップリング樹脂を塗布し、その上にビルドア
ップ樹脂層を形成するにしても、穴明け時にはカップリ
ング樹脂は仮乾燥状態(いわゆる半硬化状態)であるた
め、カップリング樹脂の密着力、特には下地銅(第1回
路パターン)とビルドアップ樹脂層との密着力が発現し
ていない状態であるので、ビルドアップ樹脂層を化学的
に一括して穴明けし、洗浄するとその穴底部からカップ
リング樹脂とビルドアップ樹脂層とがきれいに除去され
ることになる。
【0011】この場合、カップリング樹脂にはシラン系
カップリング剤もしくはチタン系カップリング剤が含ま
れる。シラン系カップリング剤を例示すれば、単体とし
て使用されるものには、メルカプトプロピルトリメトキ
シシラン、アミノエチルメトキシシラン、アミノエチル
−アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられ、
その含有量はいずれも0.1〜5wt%、好ましくは2
wt%である。2元系では、メタクリロキシプロピルト
リメトキシシラン(含有量0.1〜5wt%、好ましく
は2wt%)に助剤としてアクリル酸(含有量0.05
〜1wt%、好ましくは0.3wt%)を加えたものが
例示できる。チタン系カップリング剤としては、チタン
アセチルアセテートが例示され、その含有量はシラン系
と同じく0.1〜5wt%、好ましくは2wt%であ
る。
【0012】シラン系カップリング剤またはチタン系カ
ップリング剤の含有量が0.1wt%未満であると、下
地銅とビルドアップ樹脂層との密着力が不足し、これに
対して含有量が5wt%を超えると、カップリング樹脂
が半硬化の状態でも下地銅とビルドアップ樹脂層との間
の密着力が発現してしまうので好ましくない。
【0013】本発明において、シラン系カップリング剤
またはチタン系カップリング剤は、エチルアルコールも
しくはイソプロピルアルコールなどのアルコール、水、
トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチル
エーテルケトン、アセトンまたはこれらの混合溶媒にて
希釈することが好ましい。
【0014】カップリング樹脂の仮乾燥温度およびビル
ドアップ樹脂層の仮乾燥温度、すなわちカップリングの
樹脂密着力が発現しない温度はそれぞれ80〜100℃
であり、80℃未満であるとカップリング樹脂を半硬化
させることが困難である。仮乾燥温度が100℃を超え
るとカップリング樹脂が硬化してしまい、密着力が発現
する危険性が出てくる。仮乾燥の時間は10〜60分間
の範囲内で温度との関係からそれぞれ適宜選択できる。
【0015】その後の本加熱硬化温度は140〜160
℃、好ましくは150℃前後とされる。本加熱硬化温度
が140℃未満であると、カップリング樹脂の硬化が不
十分となって下地銅とビルドアップ樹脂層との密着力が
不十分となり易く、本加熱硬化温度が160℃を超える
と多層プリント基板の特性(歩留り)に悪影響を及ぼす
危険性が出てきてしまう。本加熱硬化時間は温度との関
係から30〜120分間の範囲内で適宜選択できる。
【0016】
【発明の実施の形態】次ぎに、本発明の技術的思想をよ
りよく理解するうえで、図面を参照しながらその実施の
形態について説明する。
【0017】本発明の実施例が示されている図1を参照
すると、プリント基板1として両面銅張積層板が用いら
れている。なお、同図(a)に示されているように、こ
の実施例ではプリント基板1の一方の面、すなわちその
上面側に公知の方法にしたがって銅箔よりなる所定の回
路パターン(第1回路パターン)1aがあらかじめ形成
されている。
【0018】この実施例においては、その回路パターン
1a上およびプリント基板1の下地面1bにわたって、
まず、カップリング樹脂2が塗布される。このカップリ
ング樹脂2は、例えばエチルアルコールにシラン系もし
くはチタン系のカップリング剤を0.1〜5wt%、好
ましくは2wt%含有させたものからなる。
【0019】そして、このカップリング樹脂2をその接
着力が発現しない温度、すなわち80〜100℃にて例
えば20分間加熱して仮乾燥した後、図1(b)に示さ
れているように、カップリング樹脂2上に例えば感光性
高分子エポキシ樹脂によりビルドアップ樹脂層3を所定
の厚さに形成する。
【0020】このビルドアップ樹脂層3を同じく80〜
100℃にて例えば20分間加熱して仮乾燥した後、所
定のマスクをかけて露光し、マスクを除去し、ビルドア
ップ樹脂層3に化学的に一括して穴明け、洗浄し、本加
熱硬化することにより、図1(c)に示されているよう
に、ビルドアップ樹脂層3の所定部位に回路パターン1
aに至るインスタティシャルビアホール用の穴4を形成
する。この場合、カップリング樹脂2は未だ半硬化状態
であるため、現像処理の洗浄時に穴4の底部から確実に
除去される。
【0021】しかる後、基板全体を例えば150℃にて
60分間加熱して、カップリング樹脂2およびビルドア
ップ樹脂層3を本硬化させる。そして、図1(d)に示
されているように、穴4の部分を含めてビルドアップ樹
脂層3上に第2回路パターン5を形成する。なお、実際
にはビルドアップ樹脂層3上の所定領域にわたってめっ
き処理をして銅箔層が形成され、その銅箔層をエッチン
グ処理することにより、第2回路パターン5が形成され
る。
【0022】本発明によれば、ビルドアップ樹脂層3が
カップリング樹脂2を介して下地銅としての回路パター
ン1aにも良好に密着するため、その後の工程において
例えば170℃程度の高温に晒されても剥離不良は生じ
ない。また、穴4の底部からカップリング樹脂2と、ビ
ルドアップ樹脂層3とがほぼ完全に除去されているた
め、導通不良の問題も生じない。
【0023】
【実施例】
《実施例1》マクダミット社製の黒化処理液を用いて銅
張積層板の表面を黒化処理してテストボードとした。こ
のテストボードを、シラン系カップリング剤としてメル
カプトプロピルトリメトキシシランを2wt%含むエチ
ルアルコール溶液に浸漬し引き上げた後、80℃のオー
ブンにて30分間加熱し仮乾燥させた。これに、ビルド
アップ樹脂としての感光性高分子エポキシ樹脂(日本ペ
イント社製プロビコート5000)を100μmの厚さ
に塗布し、100℃にて20分間加熱してビルドアップ
樹脂を仮乾燥させ、続いてマスクをして露光(熱量30
00mJ)し、マスクを除去し、ビルドアップ樹脂に化
学的に一括して穴を形成し、洗浄し、150℃にて60
分間加熱して本硬化させた。このビルドアップ樹脂層と
下地銅との間の剥離強度を測定したところ、1.15K
g/cmであった。なお、本加熱硬化後のテストボード
を170℃のオーブンにて30分間加熱したところ、下
地銅とビルドアップ樹脂層との間で剥離現象は見られな
かった。
【0024】《実施例2》実施例1と同じテストボード
に、感光性高分子エポキシ樹脂(日本ペイント社製プロ
ビコート5000)にシラン系カップリング剤としてメ
タクリロキシプロピルトリメトキシシランを2wt%、
その助剤としてアクリル酸を0.3wt%混合したビル
ドアップ樹脂を100μmの厚さに塗布し、100℃に
て20分間加熱してビルドアップ樹脂を仮乾燥させ、続
いてマスクをして露光(熱量3000mJ)し、マスク
を除去し、ビルドアップ樹脂に化学的に一括して穴を形
成し、洗浄し、150℃にて60分間加熱して本硬化さ
せた。このビルドアップ樹脂層と下地銅との間の剥離強
度を測定したところ、0.9Kg/cmであった。な
お、本加熱硬化後のテストボードを170℃のオーブン
にて30分間加熱したところ、下地銅とビルドアップ樹
脂層との間で剥離現象は見られなかった。
【0025】《実施例3》メック社製ソフトエッチング
液を用いて銅張積層板の表面をエッチング処理してテス
トボードとした。このテストボードに、感光性高分子エ
ポキシ樹脂(日本ペイント社製プロビコート5000)
にシラン系カップリング剤としてアミノエチル−アミノ
プロピルトリメトキシシランを2wt%混合したビルド
アップ樹脂を100μmの厚さに塗布し、100℃にて
20分間加熱してビルドアップ樹脂を仮乾燥させ、続い
てマスクをして露光(熱量3000mJ)し、マスクを
除去し、ビルドアップ樹脂に化学的に一括して穴を形成
し、洗浄し、150℃にて60分間加熱して本硬化させ
た。このビルドアップ樹脂層と下地銅との間の剥離強度
を測定したところ、1.2Kg/cmであった。なお、
本加熱硬化後のテストボードを170℃のオーブンにて
30分間加熱したところ、下地銅とビルドアップ樹脂層
との間で剥離現象は見られなかった。
【0026】〈比較例1〉実施例1と同じテストボード
に、感光性高分子エポキシ樹脂(日本ペイント社製プロ
ビコート5000)のみからなるビルドアップ樹脂層を
100μmの厚さに塗布し、100℃にて20分間加熱
してビルドアップ樹脂を仮乾燥させ、続いてマスクをし
て露光(熱量3000mJ)し、マスクを除去し、ビル
ドアップ樹脂に化学的に一括して穴を形成し、洗浄し、
150℃にて60分間加熱して本硬化させた。このビル
ドアップ樹脂層と下地銅との間の剥離強度を測定したと
ころ、0.8Kg/cmであった。また、本硬化後のテ
ストボードを170℃のオーブンにて30分間加熱した
ところ、下地銅とビルドアップ樹脂層との間で剥離現象
が見られた。
【0027】〈比較例2〉実施例3と同様の処理におい
て、チタン系カップリング剤としてチタンアセチルアセ
テートの混合量を5wt%を超えて6wt%としたとこ
ろ、カップリング樹脂が半硬化状態であっても下地銅と
ビルドアップ樹脂層との間の密着力が発現してしまい、
下地銅に対するビルドアップ樹脂層の密着力が強すぎ
て、ビルドアップ樹脂層に化学的に一括して穴明けして
洗浄した際に、穴底部のカップリング樹脂と、それに密
着したビルドアップ樹脂とを除去できなかった。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
プリント基板上にカップリング剤を塗布し、その上にビ
ルドアップ樹脂層を形成する際に、そのカップリング剤
が下地銅とビルドアップ樹脂層との間で密着力が発現し
ない温度にて仮乾燥して半硬化状態とし、その後、従来
と同様のビルドアップ法による多層プリント基板の製造
方法にて製造するとともに、ビルドアップ樹脂層の仮乾
燥温度をカップリング剤が硬化しない温度とし、本加熱
硬化温度をカップリング剤がする温度とすることによ
り、ビルドアップ樹脂層に良好な穴明けを行なうことが
できるとともに、下地銅とビルドアップ樹脂との密着力
が高められ、高温に晒されても剥離現象を生じない、と
いう効果が奏される。
【0029】さらに、下地銅とビルドアップ樹脂との密
着力がカップリング剤によって高められることから、黒
化処理条件を緩和してプリント基板の表面の粗面化をよ
り簡易なものとすることができるとともに、場合によっ
ては黒化処理を省略してソフトエッチングのみとするこ
とが可能となり、その分、生産性の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例をその工程順に示した模式図。
【符号の説明】
1 プリント基板 1a 第1回路パターン 2 カップリング樹脂 3,3a ビルドアップ樹脂 4 穴 5 第2回路パターン
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年2月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は多層プリント基板の
製造方法に関し、さらに詳しく言えば、フォトビア現像
型ビルドアップ樹脂層を介して回路パターンを多層に形
成する多層プリント基板の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】フォトビア現像型ビルドアップ樹脂層を
介して回路パターンを多層に形成するにあたっては、銅
箔からなる所定の第1回路パターンが形成されているプ
リント基板のパターン形成面を黒化処理にて粗面化し、
その上にビルドアップ樹脂層を塗布して形成し、ビルド
アップ樹脂層を仮乾燥する。
【0003】次に、ビルドアップ樹脂層に所定のマスク
をかけて露光し、マスクを除去した後、現像処理し、
ルドアップ樹脂層に化学的に一括して複数の穴を明け、
その後洗浄して第1回路パターンに至るインタスティシ
ャルビアホール用の穴を形成する。その後、本加熱硬化
を行ない、しかる後、ビルドアップ樹脂層の表面に穴部
分を介して第1回路パターンと導通するめっき層を形成
し、必要に応じてそのめっき層をエッチングして第2回
路パターンを形成するようにしている。
【0004】この場合、ビルドアップ樹脂にはエポキシ
樹脂やアクリレート樹脂などが用いられている。しかし
ながら、一般的にこの種の樹脂は基板の下地面(銅箔が
ない部分)とは比較的強固に接着するが、回路パターン
を形成している銅箔(下地銅)に対してはあまり接着性
が良くない。したがって、この多層基板が例えば170
℃以上の高温に晒されるような場合、その熱応力により
ビルドアップ樹脂と下地銅との間に剥離が生じ易い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、従来ではあら
かじめ下地銅を黒化処理により粗面化してビルドアップ
樹脂との接着性を高めるようにしているが、その黒化処
理だけでも例えば10近くの処理工程が必要であり、生
産性およびそのコスト面からできれば黒化処理の条件を
緩和することが望まれており、さらに好ましくはソフト
エッチングのみとしたいのが実情である。
【0006】ところで、特開平5−315741号公報
には、導体配線層とその層間絶縁層(ビルドアップ層)
との接着性を高めるため、シラン系密着強化剤をアルコ
ールで希釈した塗液を回路パターンを有する被処理基板
上に塗布した後、その基板を湿気に晒して密着強化剤を
加水分解し、続いて乾燥処理を行なった後、その上に層
間絶縁層を形成するようにしている。
【0007】これによれば、シラン系密着強化剤が被処
理基板上で凝縮しないため、均一な密着強化塗膜を形成
することができ、層間絶縁層との接着力も高められる。
しかしながら、層間絶縁層を形成する前にその密着強化
塗膜がすでに硬化状態となっているため、フォトビア現
像型のビルドアップ法による多層プリント基板で上記製
造方法を使用するとビルドアップ樹脂層に穴明けを行な
う場合、その穴底部から密着強化塗膜とその密着強化塗
膜に接着したビルドアップ樹脂層(特にはビルドアップ
樹脂層内のフィラー)が完全に除去されず、したがって
層間絶縁層上に回路パターンを形成するとき、下側回路
パターンとの間に導通不良が生ずるおそれがある。
【0008】本発明は、このような従来の問題点を解決
するためになされたもので、その目的は、フォトビア現
像型のビルドアップ法による多層プリント基板におい
て、下地銅とビルドアップ樹脂との接着が強固であると
ともに、ビルドアップ樹脂への穴明けを完全に行なうこ
とができるようにした多層プリント基板の製造方法を提
供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、銅箔からなる所定の第1回路パターンを
有するプリント基板のパターン形成面上に、所定のカッ
プリング樹脂を半硬化状態では下地銅とビルドアップ樹
脂層との間で密着力が発現しない濃度に調整して塗布
し、同カップリング樹脂をその密着力が発現しない温度
にて仮乾燥を行なってカップリング樹脂を半硬化した
後、従来と同様のフォトビア現像型のビルドアップ法に
よる多層プリント基板の製造方法を用いて作製するとと
もに、ビルドアップ樹脂層の仮乾燥温度をカップリング
樹脂が硬化しない温度とし、本加熱硬化温度をカップリ
ング樹脂の密着力が発現し得る温度とすることを特徴と
している。
【0010】このように、本発明においては、プリント
基板上にカップリング樹脂を塗布し、その上にビルドア
ップ樹脂層を形成するにしても、穴明け時にはカップリ
ング樹脂は仮乾燥状態(いわゆる半硬化状態)であるた
め、カップリング樹脂の密着力、特には下地銅(第1回
路パターン)とビルドアップ樹脂層との密着力が発現し
ていない状態であるので、ビルドアップ樹脂層を化学的
に一括して穴明けし、洗浄するとその穴底部からカップ
リング樹脂とビルドアップ樹脂層とがきれいに除去され
ることになる。
【0011】この場合、カップリング樹脂にはシラン系
カップリング剤もしくはチタン系カップリング剤が含ま
れる。シラン系カップリング剤を例示すれば、単体とし
て使用されるものには、メルカプトプロピルトリメトキ
シシラン、アミノエチルメトキシシラン、アミノエチル
−アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられ、
その含有量はいずれも0.1〜5wt%、好ましくは2
wt%である。2元系では、メタクリロキシプロピルト
リメトキシシラン(含有量0.1〜5wt%、好ましく
は2wt%)に助剤としてアクリル酸(含有量0.05
〜1wt%、好ましくは0.3wt%)を加えたものが
例示できる。チタン系カップリング剤としては、チタン
アセチルアセテートが例示され、その含有量はシラン系
と同じく0.1〜5wt%、好ましくは2wt%であ
る。
【0012】シラン系カップリング剤またはチタン系カ
ップリング剤の含有量が0.1wt%未満であると、下
地銅とビルドアップ樹脂層との密着力が不足し、これに
対して含有量が5wt%を超えると、カップリング樹脂
が半硬化の状態でも下地銅とビルドアップ樹脂層との間
の密着力が発現してしまうので好ましくない。
【0013】本発明において、シラン系カップリング剤
またはチタン系カップリング剤は、エチルアルコールも
しくはイソプロピルアルコールなどのアルコール、水、
トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチル
エーテルケトン、アセトンまたはこれらの混合溶媒にて
希釈することが好ましい。
【0014】カップリング樹脂の仮乾燥温度およびビル
ドアップ樹脂層の仮乾燥温度、すなわちカップリング樹
密着力が発現しない温度はそれぞれ80〜100℃
であり、80℃未満であるとカップリング樹脂を半硬化
させることが困難である。仮乾燥温度が100℃を超え
るとカップリング樹脂が硬化してしまい、密着力が発現
する危険性が出てくる。仮乾燥の時間は仮乾燥温度との
兼合いで10〜60分間の範囲内で適宜選択できる。
【0015】その後の本加熱硬化温度は140〜160
℃、好ましくは150℃前後とされる。本加熱硬化温度
が140℃未満であると、カップリング樹脂の硬化が不
十分となって下地銅とビルドアップ樹脂層との密着力が
不十分となり易く、本加熱硬化温度が160℃を超える
と多層プリント基板の特性および歩留りに悪影響を及ぼ
す危険性が出てきてしまう。本加熱硬化時間は仮加熱硬
化温度のと兼合いで30〜120分間の範囲内で適宜選
択できる。
【0016】
【発明の実施の形態】次に、本発明の技術的思想をより
よく理解するうえで、図面を参照しながらその実施の形
態について説明する。
【0017】本発明の実施例が示されている図1を参照
すると、プリント基板1として両面銅張積層板が用いら
れている。なお、同図(a)に示されているように、こ
の実施例ではプリント基板1の一方の面、すなわちその
上面側に公知の方法にしたがって銅箔よりなる所定の
回路パターン(第1回路パターン)1aがあらかじめ形
成されている。
【0018】この実施例においては、その回路パターン
1a上およびプリント基板1の下地面1bにわたって、
まず、カップリング樹脂2が塗布される。このカップリ
ング樹脂2は、例えばエチルアルコールにシラン系もし
くはチタン系のカップリング剤を0.1〜5wt%、好
ましくは2wt%を含有させたものからなる。
【0019】そして、このカップリング樹脂2をその接
着力が発現しない温度、すなわち80〜100℃にて例
えば20分間加熱して仮乾燥した後、図1(b)に示さ
れているように、カップリング樹脂2上に例えば感光性
高分子エポキシ樹脂によりビルドアップ樹脂層3を所定
の厚さに形成する。
【0020】このビルドアップ樹脂層3を同じく80〜
100℃にて例えば20分間加熱して仮乾燥した後、所
定のマスク(図示省略)をかけて露光し、マスクを除去
し、現像処理した後、ビルドアップ樹脂層3に化学的に
一括して穴明け、洗浄することにより、図1(c)に示
されているように、ビルドアップ樹脂層3の所定部位に
回路パターン1aに至るインスタティシャルビアホール
用の穴4を形成する。この場合、カップリング樹脂2は
未だ半硬化状態であるため、上記洗浄時に穴4の底部か
ら確実に除去される。
【0021】しかる後、基板全体を例えば150℃にて
60分間加熱して、カップリング樹脂2およびビルドア
ップ樹脂層3を本硬化させる。そして、図1(d)に示
されているように、穴4の部分を含めてビルドアップ樹
脂層3上に第2回路パターン5を形成する。なお、実際
にはビルドアップ樹脂層3上の所定領域にわたってめっ
き処理をして銅箔層が形成され、その銅箔層をエッチン
グ処理することにより、第2回路パターン5が形成され
る。
【0022】本発明によれば、ビルドアップ樹脂層3が
カップリング樹脂2を介して下地銅としての回路パター
ン1aにも良好に密着するため、その後の工程において
例えば170℃程度の高温に晒されても剥離不良は生じ
ない。また、穴4の底部からカップリング樹脂2と、ビ
ルドアップ樹脂層3とがほぼ完全に除去されているた
め、導通不良の問題も生じない。
【0023】
【実施例】 《実施例1》マクダミット社製の黒化処理液を用いて銅
張積層板の表面を黒化処理してテストボードとした。こ
のテストボードを、シラン系カップリング剤としてメル
カプトプロピルトリメトキシシランを2wt%含むエチ
ルアルコール溶液に浸漬し引き上げた後、80℃のオー
ブンにて30分間加熱し仮乾燥させた。これに、ビルド
アップ樹脂としての感光性高分子エポキシ樹脂(日本ペ
イント社製プロビコート5000)を100μmの厚さ
に塗布した。次に100℃にて20分間加熱してビルド
アップ樹脂を仮乾燥させて半硬化状態とし、続いてマス
クをして露光(熱量3000mJ)した。次にマスクを
除去し、その後現像処理を行なった。次にビルドアップ
樹脂に化学的に一括して穴を形成し、続いて洗浄し、
の後150℃にて60分間加熱して本硬化させた。この
ビルドアップ樹脂層と下地銅との間の剥離強度を測定し
たところ、1.15Kg/cmであった。なお、本加熱
硬化後のテストボードを170℃のオーブンにて30分
間加熱したところ、下地銅とビルドアップ樹脂層との間
で剥離現象は見られなかった。
【0024】〈比較例1〉実施例1と同じテストボード
に、感光性高分子エポキシ樹脂(日本ペイント社製プロ
ビコート5000)のみからなるビルドアップ樹脂層を
100μmの厚さに塗布した。次に100℃にて20分
間加熱してビルドアップ樹脂を仮乾燥させて半硬化状態
とし、続いてマスクをして露光(熱量3000mJ)し
た。次にマスクを除去し、その後現像処理を行なった。
次にビルドアップ樹脂に化学的に一括して穴を形成し、
続いて洗浄し、その後150℃にて60分間加熱して本
硬化させた。このビルドアップ樹脂層と下地銅との間の
剥離強度を測定したところ、0.8Kg/cmであっ
た。また、本硬化後のテストボードを170℃のオーブ
ンにて30分間加熱したところ、下地銅とビルドアップ
樹脂層との間で剥離現象が見られた。
【0025】〈比較例2〉実施例と同様の処理におい
て、シラン系カップリング剤としてメルカプトプロピル
トリメトキシシランの混合量を5wt%を超えて6wt
%としたところ、カップリング樹脂が半硬化状態であっ
ても下地銅とビルドアップ樹脂層との間の密着力が発現
してしまい、下地銅に対するビルドアップ樹脂層の密着
力が強すぎて、ビルドアップ樹脂層に化学的に一括して
穴明けした後に洗浄したがその際に、穴底部のカップリ
ング樹脂と、それに密着したビルドアップ樹脂とを除去
できなかった。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
プリント基板上にカップリング樹脂を塗布し、その上に
ビルドアップ樹脂層を形成する際に、そのカップリング
樹脂が下地銅とビルドアップ樹脂層との間で密着力が発
現しない温度にて仮乾燥して半硬化状態とし、その後、
従来と同様のビルドアップ法による多層プリント基板の
製造方法にて製造するとともに、ビルドアップ樹脂層の
仮乾燥温度をカップリング樹脂が硬化しない温度とし、
本加熱硬化温度をカップリング樹脂が硬化する温度とす
ることにより、ビルドアップ樹脂層に良好な穴明けを行
なうことができるとともに、下地銅とビルドアップ樹脂
との密着力が高められ、高温に晒されても剥離現象を生
じない、という効果が奏される。
【0027】さらに、下地銅とビルドアップ樹脂との密
着力がカップリング樹脂によって高められることから、
黒化処理条件を緩和してプリント基板の表面の粗面化を
より簡易なものとすることができるとともに、場合によ
っては黒化処理を省略してソフトエッチングのみとする
ことが可能となり、その分、生産性の向上が図れる。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年3月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 多層プリント基板の製造方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は多層プリント基板の
製造方法に関し、さらに詳しく言えば、フォトビア現像
型ビルドアップ樹脂層を介して回路パターンを多層に形
成する多層プリント基板の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】フォトビア現像型ビルドアップ樹脂層を
介して回路パターンを多層に形成するにあたっては、銅
箔からなる所定の第1回路パターンが形成されているプ
リント基板のパターン形成面を黒化処理にて粗面化し、
その上にビルドアップ樹脂層を塗布して形成し、ビルド
アップ樹脂層を仮乾燥する。
【0003】次に、ビルドアップ樹脂層に所定のマスク
をかけて露光し、マスクを除去した後、現像処理し、ビ
ルドアップ樹脂層に化学的に一括して複数の穴を明け、
その後洗浄して第1回路パターンに至るインタスティシ
ャルビアホール用の穴を形成する。その後、本加熱硬化
を行ない、しかる後、ビルドアップ樹脂層の表面に穴部
分を介して第1回路パターンと導通するめっき層を形成
し、必要に応じてそのめっき層をエッチングして第2回
路パターンを形成するようにしている。
【0004】この場合、ビルドアップ樹脂にはエポキシ
樹脂やアクリレート樹脂などが用いられている。しかし
ながら、一般的にこの種の樹脂は基板の下地面(銅箔が
ない部分)とは比較的強固に接着するが、回路パターン
を形成している銅箔(下地銅)に対してはあまり接着性
が良くない。したがって、この多層基板が例えば170
℃以上の高温に晒されるような場合、その熱応力により
ビルドアップ樹脂と下地銅との間に剥離が生じ易い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、従来ではあら
かじめ下地銅を黒化処理により粗面化してビルドアップ
樹脂との接着性を高めるようにしているが、その黒化処
理だけでも例えば10近くの処理工程が必要であり、生
産性およびそのコスト面からできれば黒化処理の条件を
緩和することが望まれており、さらに好ましくはソフト
エッチングのみとしたいのが実情である。
【0006】ところで、特開平5−315741号公報
には、導体配線層とその層間絶縁層(ビルドアップ層)
との接着性を高めるため、シラン系密着強化剤をアルコ
ールで希釈した塗液を回路パターンを有する被処理基板
上に塗布した後、その基板を湿気に晒して密着強化剤を
加水分解し、続いて乾燥処理を行なった後、その上に層
間絶縁層を形成するようにしている。
【0007】これによれば、シラン系密着強化剤が被処
理基板上で凝縮しないため、均一な密着強化塗膜を形成
することができ、層間絶縁層との接着力も高められる。
しかしながら、層間絶縁層を形成する前にその密着強化
塗膜がすでに硬化状態となっているため、フォトビア現
像型のビルドアップ法による多層プリント基板で上記製
造方法を使用するとビルドアップ樹脂層に穴明けを行な
う場合、その穴底部から密着強化塗膜とその密着強化塗
膜に接着したビルドアップ樹脂層(特にはビルドアップ
樹脂層内のフィラー)が完全に除去されず、したがって
層間絶縁層上に回路パターンを形成するとき、下側回路
パターンとの間に導通不良が生ずるおそれがある。
【0008】本発明は、このような従来の問題点を解決
するためになされたもので、その目的は、フォトビア現
像型のビルドアップ法による多層プリント基板におい
て、下地銅とビルドアップ樹脂との接着が強固であると
ともに、ビルドアップ樹脂への穴明けを完全に行なうこ
とができるようにした多層プリント基板の製造方法を提
供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、銅箔からなる所定の第1回路パターンを
有するプリント基板のパターン形成面上に、所定のカッ
プリング樹脂を半硬化状態では下地銅とビルドアップ樹
脂層との間で密着力が発現しない濃度に調整して塗布
し、同カップリング樹脂をその密着力が発現しない温度
にて仮乾燥を行なってカップリング樹脂を半硬化した
後、従来と同様のフォトビア現像型のビルドアップ法に
よる多層プリント基板の製造方法を用いて作製するとと
もに、ビルドアップ樹脂層の仮乾燥温度をカップリング
樹脂が硬化しない温度とし、本加熱硬化温度をカップリ
ング樹脂の密着力が発現し得る温度とすることを特徴と
している。
【0010】このように、本発明においては、プリント
基板上にカップリング樹脂を塗布し、その上にビルドア
ップ樹脂層を形成するにしても、穴明け時にはカップリ
ング樹脂は仮乾燥状態(いわゆる半硬化状態)であるた
め、カップリング樹脂の密着力、特には下地銅(第1回
路パターン)とビルドアップ樹脂層との密着力が発現し
ていない状態であるので、ビルドアップ樹脂層を化学的
に一括して穴明けし、洗浄するとその穴底部からカップ
リング樹脂とビルドアップ樹脂層とがきれいに除去され
ることになる。
【0011】この場合、カップリング樹脂にはシラン系
カップリング剤もしくはチタン系カップリング剤が含ま
れる。シラン系カップリング剤を例示すれば、単体とし
て使用されるものには、メルカプトプロピルトリメトキ
シシラン、アミノエチルメトキシシラン、アミノエチル
−アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられ、
その含有量はいずれも0.1〜5wt%、好ましくは2
wt%である。2元系では、メタクリロキシプロピルト
リメトキシシラン(含有量0.1〜5wt%、好ましく
は2wt%)に助剤としてアクリル酸(含有量0.05
〜1wt%、好ましくは0.3wt%)を加えたものが
例示できる。チタン系カップリング剤としては、チタン
アセチルアセテートが例示され、その含有量はシラン系
と同じく0.1〜5wt%、好ましくは2wt%であ
る。
【0012】シラン系カップリング剤またはチタン系カ
ップリング剤の含有量が0.1wt%未満であると、下
地銅とビルドアップ樹脂層との密着力が不足し、これに
対して含有量が5wt%を超えると、カップリング樹脂
が半硬化の状態でも下地銅とビルドアップ樹脂層との間
の密着力が発現してしまうので好ましくない。
【0013】本発明において、シラン系カップリング剤
またはチタン系カップリング剤は、エチルアルコールも
しくはイソプロピルアルコールなどのアルコール、水、
トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチル
エーテルケトン、アセトンまたはこれらの混合溶媒にて
希釈することが好ましい。
【0014】カップリング樹脂の仮乾燥温度およびビル
ドアップ樹脂層の仮乾燥温度、すなわちカップリング樹
密着力が発現しない温度はそれぞれ80〜100℃
であり、80℃未満であるとカップリング樹脂を半硬化
させることが困難である。仮乾燥温度が100℃を超え
るとカップリング樹脂が硬化してしまい、密着力が発現
する危険性が出てくる。仮乾燥の時間は仮乾燥温度との
兼合いで10〜60分間の範囲内で適宜選択できる。
【0015】その後の本加熱硬化温度は140〜160
℃、好ましくは150℃前後とされる。本加熱硬化温度
が140℃未満であると、カップリング樹脂の硬化が不
十分となって下地銅とビルドアップ樹脂層との密着力が
不十分となり易く、本加熱硬化温度が160℃を超える
と多層プリント基板の特性および歩留りに悪影響を及ぼ
す危険性が出てきてしまう。本加熱硬化時間は仮加熱硬
化温度のと兼合いで30〜120分間の範囲内で適宜選
択できる。
【0016】
【発明の実施の形態】次に、本発明の技術的思想をより
よく理解するうえで、図面を参照しながらその実施の形
態について説明する。
【0017】本発明の実施例が示されている図1を参照
すると、プリント基板1として両面銅張積層板が用いら
れている。なお、同図(a)に示されているように、こ
の実施例ではプリント基板1の一方の面、すなわちその
上面側に公知の方法にしたがって銅箔よりなる所定の
回路パターン(第1回路パターン)1aがあらかじめ形
成されている。
【0018】この実施例においては、その回路パターン
1a上およびプリント基板1の下地面1bにわたって、
まず、カップリング樹脂2が塗布される。このカップリ
ング樹脂2は、例えばエチルアルコールにシラン系もし
くはチタン系のカップリング剤を0.1〜5wt%、好
ましくは2wt%を含有させたものからなる。
【0019】そして、このカップリング樹脂2をその接
着力が発現しない温度、すなわち80〜100℃にて例
えば20分間加熱して仮乾燥した後、図1(b)に示さ
れているように、カップリング樹脂2上に例えば感光性
高分子エポキシ樹脂によりビルドアップ樹脂層3を所定
の厚さに形成する。
【0020】このビルドアップ樹脂層3を同じく80〜
100℃にて例えば20分間加熱して仮乾燥した後、所
定のマスク(図示省略)をかけて露光し、マスクを除去
し、現像処理した後、ビルドアップ樹脂層3に化学的に
一括して穴明け、洗浄することにより、図1(c)に示
されているように、ビルドアップ樹脂層3の所定部位に
回路パターン1aに至るインスタティシャルビアホール
用の穴4を形成する。この場合、カップリング樹脂2は
未だ半硬化状態であるため、上記洗浄時に穴4の底部か
ら確実に除去される。
【0021】しかる後、基板全体を例えば150℃にて
60分間加熱して、カップリング樹脂2およびビルドア
ップ樹脂層3を本硬化させる。そして、図1(d)に示
されているように、穴4の部分を含めてビルドアップ樹
脂層3上に第2回路パターン5を形成する。なお、実際
にはビルドアップ樹脂層3上の所定領域にわたってめっ
き処理をして銅箔層が形成され、その銅箔層をエッチン
グ処理することにより、第2回路パターン5が形成され
る。
【0022】本発明によれば、ビルドアップ樹脂層3が
カップリング樹脂2を介して下地銅としての回路パター
ン1aにも良好に密着するため、その後の工程において
例えば170℃程度の高温に晒されても剥離不良は生じ
ない。また、穴4の底部からカップリング樹脂2と、ビ
ルドアップ樹脂層3とがほぼ完全に除去されているた
め、導通不良の問題も生じない。
【0023】
【実施例】 《実施例1》マクダミット社製の黒化処理液を用いて銅
張積層板の表面を黒化処理してテストボードとした。こ
のテストボードを、シラン系カップリング剤としてメル
カプトプロピルトリメトキシシランを2wt%含むエチ
ルアルコール溶液に浸漬し引き上げた後、80℃のオー
ブンにて30分間加熱し仮乾燥させた。これに、ビルド
アップ樹脂としての感光性高分子エポキシ樹脂(日本ペ
イント社製プロビコート5000)を100μmの厚さ
に塗布した。次に100℃にて20分間加熱してビルド
アップ樹脂を仮乾燥させて半硬化状態とし、続いてマス
クをして露光(露光量3000mJ/平方cm)した。
にマスクを除去し、その後現像処理を行なって、ビル
ドアップ樹脂に化学的に一括して穴を形成し、続いて
浄し、その後150℃にて60分間加熱して本硬化させ
た。このビルドアップ樹脂層と下地銅との間の剥離強度
を測定したところ、1.15Kg/cmであった。な
お、本加熱硬化後のテストボードを170℃のオーブン
にて30分間加熱したところ、下地銅とビルドアップ樹
脂層との間で剥離現象は見られなかった。
【0024】〈比較例1〉実施例1と同じテストボード
に、感光性高分子エポキシ樹脂(日本ペイント社製プロ
ビコート5000)のみからなるビルドアップ樹脂層を
100μmの厚さに塗布した。次に100℃にて20分
間加熱してビルドアップ樹脂を仮乾燥させて半硬化状態
とし、続いてマスクをして露光(露光量3000mJ
平方cm)した。次にマスクを除去し、その後現像処理
を行なって、ビルドアップ樹脂に化学的に一括して穴を
形成し、続いて洗浄し、その後150℃にて60分間加
熱して本硬化させた。このビルドアップ樹脂層と下地銅
との間の剥離強度を測定したところ、0.8Kg/cm
であった。また、本硬化後のテストボードを170℃の
オーブンにて30分間加熱したところ、下地銅とビルド
アップ樹脂層との間で剥離現象が見られた。
【0025】〈比較例2〉実施例1と同様の処理におい
て、シラン系カップリング剤としてメルカプトプロピル
トリメトキシシランの混合量を5wt%を超えて6wt
%としたところ、カップリング樹脂が半硬化状態であっ
ても下地銅とビルドアップ樹脂層との間の密着力が発現
してしまい、下地銅に対するビルドアップ樹脂層の密着
力が強すぎて、ビルドアップ樹脂層に化学的に一括して
穴明けした後に洗浄したがその際に、穴底部のカップリ
ング樹脂と、それに密着したビルドアップ樹脂とを除去
できなかった。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
プリント基板上にカップリング樹脂を塗布し、その上に
ビルドアップ樹脂層を形成する際に、そのカップリング
樹脂が下地銅とビルドアップ樹脂層との間で密着力が発
現しない温度にて仮乾燥して半硬化状態とし、その後、
従来と同様のビルドアップ法による多層プリント基板の
製造方法にて製造するとともに、ビルドアップ樹脂層の
仮乾燥温度をカップリング樹脂が硬化しない温度とし、
本加熱硬化温度をカップリング樹脂が硬化する温度とす
ることにより、ビルドアップ樹脂層に良好な穴明けを行
なうことができるとともに、下地銅とビルドアップ樹脂
との密着力が高められ、高温に晒されても剥離現象を生
じない、という効果が奏される。
【0027】さらに、下地銅とビルドアップ樹脂との密
着力がカップリング樹脂によって高められることから、
黒化処理条件を緩和してプリント基板の表面の粗面化を
より簡易なものとすることができるとともに、場合によ
っては黒化処理を省略してソフトエッチングのみとする
ことが可能となり、その分、生産性の向上が図れる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銅箔からなる所定の第1回路パターンを
    有するプリント基板のパターン形成面上に、所定のカッ
    プリング樹脂を塗布し、同カップリング樹脂をその密着
    力が発現しない温度にて仮乾燥した後、同カップリング
    樹脂上にビルドアップ樹脂層を形成し、フォトビア現像
    型の製造方法によって同ビルドアップ樹脂層に上記第1
    回路パターンに至る穴を形成した後、上記カップリング
    樹脂および上記ビルドアップ樹脂層を同カップリング樹
    脂の密着力が発現し得る温度にて本加熱して硬化させ、
    しかる後、上記ビルドアップ樹脂層上に上記穴部分を介
    して上記第1回路パターンに導通する第2回路パターン
    を形成することを特徴とする多層プリント基板の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 上記カップリング樹脂にはシラン系カッ
    プリング剤が含まれていることを特徴とする請求項1に
    記載の多層プリント基板の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記カップリング樹脂にはチタン系カッ
    プリング剤が含まれていることを特徴とする請求項1に
    記載の多層プリント基板の製造方法。
  4. 【請求項4】 上記カップリング樹脂に対する上記カッ
    プリング剤の含有量は0.1〜5wt%であることを特
    徴とする請求項2または3に記載の多層プリント基板の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 上記カップリング樹脂の仮乾燥温度は8
    0〜100℃であり、その後の本加熱硬化温度は140
    〜160℃であることを特徴する請求項1ないし4のい
    ずれか1項に記載の多層プリント基板の製造方法。
JP35751196A 1996-12-28 1996-12-28 多層プリント基板の製造方法 Withdrawn JPH10200268A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35751196A JPH10200268A (ja) 1996-12-28 1996-12-28 多層プリント基板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35751196A JPH10200268A (ja) 1996-12-28 1996-12-28 多層プリント基板の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10200268A true JPH10200268A (ja) 1998-07-31

Family

ID=18454504

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP35751196A Withdrawn JPH10200268A (ja) 1996-12-28 1996-12-28 多層プリント基板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10200268A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000277877A (ja) * 1999-03-24 2000-10-06 Ngk Spark Plug Co Ltd スルーホール充填用ペースト並びにそれを用いたプリント配線板及びその製造方法
JPWO2011002022A1 (ja) * 2009-06-30 2012-12-13 イビデン株式会社 プリント配線板、及び、プリント配線板の製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000277877A (ja) * 1999-03-24 2000-10-06 Ngk Spark Plug Co Ltd スルーホール充填用ペースト並びにそれを用いたプリント配線板及びその製造方法
JPWO2011002022A1 (ja) * 2009-06-30 2012-12-13 イビデン株式会社 プリント配線板、及び、プリント配線板の製造方法
US8436252B2 (en) 2009-06-30 2013-05-07 Ibiden Co., Ltd. Printed wiring board and method for manufacturing the same

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6653055B1 (en) Method for producing etched circuits
JPH10200268A (ja) 多層プリント基板の製造方法
JP3080366B2 (ja) 無電解金属めっき法及び回路化構造体
JP3879782B2 (ja) 多層プリント基板の製造方法
JP3879783B2 (ja) 多層プリント基板の製造方法
JPH0215644A (ja) Tab用テープ
JP2586745B2 (ja) 印刷配線板の製造方法
JPH0964538A (ja) プリント配線板の製造方法
JP2877110B2 (ja) 印刷配線板の製造方法
JPH022316B2 (ja)
JP3174474B2 (ja) プリント配線板の製造方法
EP1198161B1 (en) Method for securing and processing thin film materials
JPH0499088A (ja) 多層プリント配線板の製造方法
JPS5921095A (ja) 多層印刷配線板の製造方法
JP2517277B2 (ja) プリント配線板の製造方法
JP2003152316A (ja) プリントボードのはんだ付け防止処理方法
JPH07123178B2 (ja) フレキシブル配線基板およびその製造方法
JP2002110749A (ja) チップオンフィルム基板の製造方法
JPH06334314A (ja) パターン形成方法
JP2000323807A (ja) プリント配線基板およびその製造方法
JP3244990B2 (ja) プリント配線板の製造方法
WO2003069967A1 (fr) Procede de production de substrat de circuit
JP2004031729A (ja) 可撓性回路基板及びその製造法
JPH06318778A (ja) プリント配線板の保護コーティング方法
JPH0836258A (ja) 感光性エレメント、その積層方法及びレジスト形成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20040302