JPH1019671A - 熱型赤外線センサ及びその製造方法 - Google Patents
熱型赤外線センサ及びその製造方法Info
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Abstract
外線受光部と半導体基板との間の熱コンダクタンスを低
下させて、センサ感度を向上させる。 【解決手段】 半導体基板1上に作製された赤外線セン
サ20は赤外線受光部21と橋梁部24とを備える。赤
外線受光部21は入射赤外線を熱エネルギーに変換し、
変換した熱エネルギーに応じて変化する物性値を電気的
に読み出すために設けられる。橋梁部24には赤外線受
光部と半導体基板1を電気的に接続する配線層24Aが
設けられる。上記赤外線受光部21、橋梁部24の少な
くとも一方は、絶縁性の脚部25,26,27で支持さ
れて、赤外線受光部21及び/又は橋梁部24と、半導
体基板1との間の熱コンダクタンスの低減が図られてい
る。
Description
に関し、特にマイクロブリッジ構造の熱型赤外線センサ
及びその製造方法に関する。
射赤外線のフォトンエネルギーを吸収して温度が変化し
たときの上記赤外線受光部の物性値を示す電気信号を、
半導体基板側に送るための配線部とで構成された熱型赤
外線センサが公知である。かかる熱型赤外線センサにあ
っては、入射赤外線の強さに応じて赤外線受光部の物性
値(例えば、抵抗値)が応答よく変化する程、センサ感
度が高くなる。
外線受光部11と半導体基板1との間の熱コンダクタン
スを小さくするために、赤外線受光部11と半導体基板
1との間に空隙Mを設けるようにしたマイクロブリッジ
構造の熱型赤外線センサ10が提案されている。この熱
型赤外線センサ10では、赤外線受光部11に赤外線吸
収層と熱電変換層(共に図示省略)が形成されると共
に、当該赤外線受光部11に連なる2つの橋梁部14,
14によってその赤外線受光部11が半導体基板1上に
空隙Mを設けて配置されている。
示すように、その内部に配線層14Aが形成されてお
り、赤外線受光部11を支える機能のみならず当該配線
層14Aによって熱電変換層(図示省略)を半導体基板
1上の電極1A,1Aに電気的に接続させる機能を有す
る。
受光部11を支持するために(所定の強度を得るべ
く)、図10に示すように、配線層(例えば、チタン
膜)14Aを上下から保護層14B,14Cにて覆うよ
うにしていた。このような構造の熱型赤外線センサ10
は、赤外線受光部11と半導体基板1との間に空隙Mが
設けられているため、赤外線受光部を直付けするタイプ
の他の熱型赤外線センサ(図示省略)に比べて、赤外線
受光部11から半導体基板1への熱の伝導率が低くなり
センサ感度が向上する。
感度を高めるには、赤外線受光部11と半導体基板1と
を機械的に接続する橋梁部14,14の長さを長くし、
又は、橋梁部14の断面積を小さくして、当該赤外線受
光部11と半導体基板1との間の熱コンダクタンスを小
さくすればよいことが知られている。
サ10では、上記のように橋梁部14,14で赤外線受
光部11を支持する必要があるために、当該橋梁部1
4,14を単に長くしたり、又、その断面積を小さくす
ることができず、センサの感度の向上が図れなかった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、赤外線
受光部を半導体基板上に所定の空隙を設けつつ配置した
熱型赤外線センサの、赤外線受光部と半導体基板との間
の熱コンダクタンスを低下させて、センサ感度を向上さ
せた熱型赤外線センサを提供することを目的とする。
め、請求項1に記載の発明は、半導体基板上に、入射し
た赤外線を熱エネルギーに変換し、該変換された熱エネ
ルギーの大きさに応じて変化する物性値を電気的に読み
出すための赤外線受光部と、上記赤外線受光部と半導体
基板とを電気的に接続する配線が設けられた橋梁部と、
上記赤外線受光部又は上記橋梁部の少なくとも一方を支
持する絶縁性脚部とを備えたものである。
脚部を、有機物質にて形成したものである。又、請求項
3に記載の発明は、上記絶縁性脚部を、レジスト、ポリ
イミド樹脂、エナメル、セルロイドの何れかによって形
成したものである。又、請求項4に記載の発明は、上記
橋梁部を、少なくとも配線層と絶縁層を含む2層構造若
しくはそれ以上の多層構造としたものである。
を、窒化シリコン膜で構成したものである。又、請求項
6に記載の発明は、請求項1から請求項5の何れかの熱
型赤外線センサを作製するに当り、半導体基板上に絶縁
膜を形成し、該絶縁膜を上記絶縁性脚部の形状に合わせ
てエッチングし、これに上記絶縁性脚部と、エッチング
時の選択性が確保できる充填体を堆積させ、該充填体を
選択的にエッチングし、その上面に少なくとも上記赤外
線受光部若しくは橋梁部を構成する導電膜又は半導体膜
を形成し、これら導電膜又は半導体膜を当該赤外線受光
部若しくは橋梁部の形状に合わせてエッチングし、その
後、上記充填体を除去して、熱型赤外線センサを作製す
るものである。
梁部は赤外線受光部を支持する必要がなくなるため、当
該絶縁性脚部を新たに設けたことによる熱コンダクタン
スの上昇分より、橋梁部を長くし且つその断面積を小さ
くしたことによる熱コンダクタンスの低下分を大きくし
て、赤外線受光部と半導体基板との間の熱コンダクタン
スを全体として低下させることができる。この場合、絶
縁性脚部に関しては、その横断面積を、赤外線受光部を
支持するのに必要な最小の大きさに決定すれば、赤外線
受光部と半導体基板との間の熱コンダクタンスの上昇を
最小限に抑えられる。又、橋梁部は、赤外線受光部を支
持する必要がないため、配線としての機能さえあればよ
く、従って、その断面積を半導体製造技術において可能
な限り小さくし、レイアウトの許す限りにおいてその長
さを長くして、赤外線受光部と半導体基板との間の熱コ
ンダクタンスを低下させることができる。又、橋梁部を
絶縁性脚部によって支持する場合には、該橋梁部の全長
を更に長くでき、この橋梁部の熱コンダクタンスを更に
低下させることができる。
の熱コンダクタンスが十分に小さくなり、又、橋梁部と
半導体基板、及び赤外線受光部と半導体基板との間の絶
縁も同時に達成できる。又、請求項3の発明によれば、
半導体製造技術等で一般的に用いられる材料で、当該絶
縁性脚部が容易に作製できる。
部を支持する強固さが要求されない橋梁部は、配線層の
片面を保護するだけでよく、従来橋梁部の撓み防止に必
要とされていた両面の保護層を必要としないので、当該
橋梁部を簡単に作製できる。又、請求項5の発明によれ
ば、配線層の保護膜を容易に形成できる。又、請求項6
の発明によれば、一般的な半導体製造技術を、適宜組み
合わせることで、従来より用いられている半導体製造装
置で、容易に当該熱型赤外線センサを作製することがで
きる。
いて、添付図面を参照して説明する。尚、この第1の実
施形態は、請求項1から請求項6に対応する。
構造の熱型赤外線センサ20を概念的に示す斜視図、図
2は熱型赤外線センサ20の橋梁部24の構造を示す斜
視図、図3及び図4は熱型赤外線センサ20の製造工程
を示す断面図、図5は熱型赤外線センサ20の熱コンダ
クタンスを算出するための模式図である。先ず、熱型赤
外線センサ20の構造の概略について、図1,図2を用
いて説明する。
に、赤外線受光部21と、該赤外線受光部21に連なる
橋梁部24,24と、上記赤外線受光部21を支持する
第1の脚部25,25,26,26と、上記橋梁部2
4,24を支持する第2の脚部27,27とによって構
成されている。このうち赤外線受光部21は、入射赤外
線によるエネルギーを吸収する赤外線吸収層(図示省
略)と、当該赤外線エネルギーの吸収に起因する温度上
昇による物性値(例えば、抵抗値)の変化を検知するた
めの熱電変換層(図示省略)とによって構成される。
尚、この第1の実施形態では、赤外線受光部21は、チ
タン膜とその上面を覆う窒化シリコン膜(図示省略)と
からなり、これらチタン膜と窒化シリコン膜が、熱電変
換層、赤外線吸収層(共に図示省略)を構成する。
下の薄膜チタン膜を用いた場合は、当該膜が赤外線吸収
層としての働きも併せもつため、赤外線受光部は、当該
薄膜チタン膜による単一層で構成することもできる。一
方、橋梁部24,24は、図2に示すように、チタン膜
からなる配線層24A及び窒化シリコン膜からなる保護
層(絶縁層)24Bの2層構造であり、この第1の実施
形態では、詳細は後述するように、上記赤外線受光部2
1を構成するチタン膜及び窒化シリコン膜と、同一の半
導体製造工程において一体的に形成される。而して、配
線層24Aは、赤外線受光部21の熱電変換層(図示省
略)と半導体基板1上の電極1Aとを電気的に接続さ
せ、入射赤外線のフォトンエネルギーによって上記赤外
線受光部21に温度変化が生じたときに、当該赤外線受
光部21の物性値の変化を、半導体基板1側で検出でき
るようになっている。
に示すように、4つの第1の脚部25,25,26,2
6によって半導体基板1上方に空隙Mを空けて配置さ
れ、2つの橋梁部24,24は、その角部24C,24
Cにおいて各々第2の脚部27,27で支持されてい
る。そして、第1の脚部25,25,26,26及び第
2の脚部27,27は、共に、熱伝導率が低いレジスト
(例えば、1.0×10-3[W/cm・K])によって形
成されており、入射赤外線により温度上昇が生じる赤外
線受光部21から半導体基板1側に熱が伝わり難くなっ
ている。因みに、第1の実施形態では、赤外線受光部2
1は一辺が40μm程度に作製され、上記第1,第2の
脚部25,25,26,26,27,27は、この赤外
線受光部21を支持するのに充分な太さで、且つ、当該
赤外線受光部21と半導体基板1との熱の伝導が生じな
い空隙Mを確保するために必要な高さとなっている(例
えば、横断面が直径1.0μmで高さ2.0μm程度の
円柱形状)。
外線受光部21を支持する必要がないため、熱コンダク
タンスが小さくなるように、半導体製造技術において可
能な細さ(例えば、1.0μm程度)に設計され、しか
も、その長さも長くなっている(図1に示す例では、一
辺40μmの赤外線受光部21の二辺に沿った長さで、
約80μm)。
製造方法について、図3、図4を参照して説明する。
尚、図3、図4は図1のIII−III線に沿った断面に対応
する。熱型赤外線センサ20は概ね以下の手順に従って
作製される。 (1)半導体基板1上に、例えば、ネガ形のレジスト3
1を塗布し、これをマスク38を使って上記第1,第2
の脚部25,25,26,26,27,27の形状に露
光する(図3(a))。
して第1及び第2の脚部25,25,26,26,2
7,27を形成し、その上面に充填体として酸化シリコ
ン膜32をCVD法又は回転塗布法にて形成する(図3
(b))。 (3)上記酸化シリコン膜32をプラズマエッチング法
によりエッチングして、更に、橋梁部24,24に対応
する傾斜部32C(一点鎖線で示す)をウェットエッチ
ングによるテーパーエッチング技術を利用して形成する
(図3(c))。
膜32の上面に赤外線受光部21の熱電変換層(図示省
略)及び橋梁部24,24の配線層24Aを構成するチ
タン膜(金属膜)33をスパッタ法や蒸着法等によって
形成する。次いで、その上面に赤外線受光部21の赤外
線吸収層(図示省略)及び橋梁部24,24の保護膜2
4Bを構成する窒化シリコン膜34をCVD法又はスパ
ッタ法にて形成する(図3(d))。
シリコン膜34をホトリソグラフィ技術により作製され
たマスクを用いて所望の形状にエッチングして、赤外線
受光部21及び橋梁部24,24を形成する(図4
(e))。 (6)上記赤外線受光部21と半導体基板1との間にあ
る酸化シリコン膜32を、例えば、フッ酸系のエッチン
グ液で除去して(ウェットエッチング)、空隙Mを設け
た熱型赤外線センサ20を得る(図4(f)及び図
1)。
第1及び第2の脚部25,25,26,26,27,2
7を設けたことによる赤外線受光部21と半導体基板1
との間の熱コンダクタンスの低減効果について、従来構
造の熱型赤外線センサ10の場合と比較して説明する。
尚、図5は熱型赤外線センサ20の熱コンダクタンスを
算出するための模式図、図11は従来の熱型赤外線セン
サ10の熱コンダクタンスを算出するための模式図であ
る。又、以下の説明では、2つの熱型赤外線センサ2
0,10は、その赤外線受光部21,11が共に、一辺
がおよそ40μmの正方形とする。
般に、次式(1)で与えられる。 K=k×S/L …(1) ここで“k”は物質によって定まる熱電導率、“S”は
熱伝導経路の断面積、“L”は熱伝導経路の長さであ
る。この算出式に基づいて、熱型赤外線センサ10及び
熱型赤外線センサ20の各々の、赤外線受光部11,2
1と半導体基板1との間の熱コンダクタンスK1及びK
2を求める。
基板1と間の熱コンダクタンスK1,K2は、その値が
小さい程、熱型赤外線センサ10,20の感度が高くな
る。先ず、比較対象とする、従来の熱型赤外線センサ1
0の赤外線受光部11と半導体基板1との間の熱コンダ
クタンスK1を算出する。ここでは熱型赤外線センサ1
0の橋梁部14,14をチタン膜(Ti)と窒化シリコ
ン膜(SiN)とで構成した場合を考える。
10は、その橋梁部14,14が、赤外線受光部11を
支持しなければならない。而して、一辺が40μm程度
の赤外線受光部11を支持するのであれば、チタン膜
(Ti)からなる配線層14Aは幅が1.5μm、厚さ
が750Åに形成され、窒化シリコン膜からなる上側の
保護層(絶縁層)14Bは幅が3.0μm、厚さが15
00Åに形成され、同じく窒化シリコン膜からなる下側
の保護層14Cは幅が3.0μm、高さが2000Å程
度に形成される。又、橋梁部14,14の長さは、赤外
線受光部11の一辺と略同じ40μmである。
2[W/cm・K]、窒化シリコン(SiN)の熱伝導率
を0.557[W/cm・K]とすると、橋梁部14,1
4の1つ当りの熱コンダクタンスK11(図11のP1
−P2間の熱コンダクタンス)は、次式(2)によって
得られる。 K11=0.2(1.5×10-4×750×10-8/40×10-4) +0.557(3×10-4×3500×10-8/40×10-4) =1.5×10-6[W/K] …(2) 而して、図9,図11に示す従来の熱型赤外線センサ1
0は、2つの橋梁部14,14でその赤外線受光部11
が半導体基板1上に支持されているので、赤外線受光部
11と半導体基板1との間の熱コンダクタンスK1は、
次式(3)によって得られる。
体基板1との間の熱コンダクタンスK2を算出する。上
記したように熱型赤外線センサ20の赤外線受光部21
はレジストからなる第1,第2の脚部25,25,2
6,26,27,27によって支えられている。
支持するのであれば、各々の脚部25,25,26,2
6,27,27は、直径が1.0μm程度、高さが2.
0μm程度の円柱とすることができる。この場合、第
1,第2の脚部25,25,26,26,27,27の
1本当りの熱コンダクタンスK21は、レジストの熱伝導
率を1.0×10-3[W/cm・K]とすると、次式
(4)によって得られる。
3間)当りの熱コンダクタンスK22は以下のように求め
られる。即ち、橋梁部24は、配線層24Aと保護層2
4Bの2層構造になっており、配線層24Aは、幅が1
μm、膜厚が800Åで、材質はチタン、又、保護層2
4Bは、幅が1.0μm膜厚1000Åで、材質は窒化
シリコン(SiN)とすることができる。又、橋梁部2
4の一辺当りの長さは、上記従来の橋梁部14と同じ4
0μm程度である。チタンの熱伝導率を0.2[W/cm
・K]、窒化シリコンの熱伝導率を0.557[W/cm
・K]とすると、上記熱コンダクタンスK22は、次式
(5)によって得られる。
1つ当たりの熱コンダクタンスK21、及び当該橋梁部2
4の一辺当りの熱コンダクタンスK22を用いてP1−P
3間の熱コンダクタンスK23を求めると、該熱コンダク
タンスK23は、図5のP1−P2間の熱コンダクタンス
と、P2点(角部24Cに対応)を支える第2の脚部2
7の熱コンダクタンスと、P2−P3間の熱コンダクタ
ンスを合成したものであるから、次式(6)によって得
られる。
タンスであり、従来の熱型赤外線センサ10における橋
梁部14の1つの熱コンダクタンスK11に相当する値で
ある。この値K23と値K11とを比較すると、前者は後者
の1/15程度になる。
橋梁部24と第2の脚部27とを合わせても、熱型赤外
線センサ10の橋梁部14に比べて格段に熱コンダクタ
ンスを小さくすることができる。而して、第1,第2の
脚部25,25,26,26,27,27を用いて赤外
線受光部21と橋梁部24とを、各々支持した場合の
(図1に示す熱型赤外線センサ20)当該赤外線受光部
21と半導体基板1との間の熱コンダクタンスK2は、
次式(7)によって得られる。
27,27を用いた場合の熱コンダクタンスK2は、赤
外線受光部11,21が略同じ大きさ(一辺が40μ
m)の従来の熱型赤外線センサ10の熱コンダクタンス
K1の、およそ1/9となる。
は、赤外線受光部21が、当該脚部25,25,26,
26で支えられているために、橋梁部24,24は、従
来のようにその強度を強くする必要がなくなり、その断
面積を小さくし、しかも半導体基板1上のレイアウトパ
ターンが許す限りにおいて長くできるので、橋梁部2
4,24に係る上記熱コンダクタンスK23を著しく低減
することができる。
との間に脚部25,25,26,26,27,27を配
置することにより増加する熱コンダクタンスと、橋梁部
24,24の断面積を小さくし、且つ、長くすることに
よって低減される熱コンダクタンスとを比較した場合、
前者に対して後者を著しく大きくできるために、熱型赤
外線センサ20全体の熱コンダクタンスK2を大幅に低
減できる。
1若しくはこれに連なる橋梁部24,24を支持する変
形例を示す説明図である。このうち(a)は2つの脚部
28,28で赤外線受光部21を支持した例、(b)は
脚部28,28で赤外線受光部21及び橋梁部24,2
4の直線部を同時に支持した例、(c)は2つの脚部2
8,28で赤外線受光部21を支持し他の2つの脚部2
8,28で橋梁部24,24を支持した例、(d)は橋
梁部24,24を長く延ばし脚部28,28で当該橋梁
部24,24と赤外線受光部21を同時に支持した例、
(e)は脚部28,28で赤外線受光部21及び橋梁部
24,24の角部を同時に支持した例、(f)は2つの
脚部28,28で赤外線受光部21を支持し他の4つの
脚部28,28,28,28で長く延ばされた橋梁部
(赤外線受光部21の四辺の長さに相当)24,24を
支持した例、(g)は4つの脚部28,28,28,2
8で橋梁部24,24の8つの角部を支持した例、
(h)は葛籠状に形成された橋梁部24,24を4つの
脚部28,28,28,28で支持した例を示す説明図
である。
らして当該熱コンダクタンスを低下するもの、及び/又
は橋梁部24,24を細長く形成して当該熱コンダクタ
ンスを低下させたものであり、これらの例によれば、熱
コンダクタンスは更に低下し、熱型赤外線センサ20の
感度が更に向上する。尚、この第1の実施形態では、第
1及び第2の脚部25,25,26,26,27,27
を熱伝導率の小さいレジストで形成した例を示したが、
他の熱伝導率の小さい材質、例えば、ポリイミド樹脂、
エナメル、セルロイド等の有機物質にて、これを形成し
てもよい。
の配線層24Aをチタンで構成する例を示したが、他の
導体若しくは半導体(例えば、バナジウムオキサイド膜
(VOx))でこれを形成してもよい。又、上記実施形
態では、橋梁部24,24を、配線層24Aと保護層2
4Bの2層構造としたが、3層構造以上にしてもよい。
この場合、上記した実施形態では、橋梁部24,24を
形成する際に、配線層24Aの上面に保護層24Bを形
成しているが、配線層24Aの上下に保護層を形成して
もよい。反対に、配線層24Aを第2の脚部27,27
で支持しているので、保護膜24Bを省いても強度的に
は問題はない。
21の構造に関しては、例示した構造に限るものでな
く、他のマイクロブリッジ構造の熱型赤外線センサに、
本発明を適用できるのは、勿論である。 (第2の実施形態)次に、本発明の第2の実施形態につ
いて説明する。尚、この第2の実施形態は、請求項1か
ら請求項6に対応する。
うに、赤外線受光部41が脚部45によって支持されて
いる。尚、赤外線受光部41、橋梁部44の構造は、上
記した第1の実施形態の赤外線受光部21、橋梁部24
と同一の構成であり、その詳細な説明は省略する。赤外
線受光部41は、図7に示すように、1つの円柱状の脚
部45によって半導体基板1上方に空隙Mを空けて配置
されている。
施形態の脚部25,26,27と同じように、熱伝導率
が低いレジスト(例えば、1.0×10-3[W/cm・
K])によって形成されている。このレジストで脚部4
5を形成することによって、入射赤外線により温度上昇
が生じる赤外線受光部41から半導体基板1側に熱が伝
わり難くなる。因みに、赤外線受光部41の一辺が40
μm程度に作製されている場合には、脚部45は、この
赤外線受光部41を支持するのに充分な太さで、且つ、
当該赤外線受光部41と半導体基板1との熱の伝導が生
じない空隙Mを確保するために必要な高さとなっている
(例えば、横断面が直径4.0μmで高さ2.0μm程
度の円柱形状)。
赤外線受光部41を支持する必要がないため、熱コンダ
クタンスが小さくなるように、半導体製造技術において
可能な細さ(例えば、1.0μm程度)に設計され、し
かも、その長さも長くなっている(図7に示す例では、
一辺40μmの赤外線受光部41の二辺に沿った長さ
で、約80μm)。
造方法は、上記した第1の実施形態の熱型赤外線センサ
20の製造方法と、脚部45の形状のみが異なるもので
あって(図3(a)におけるマスク38のパターンのみ
が異なる)、他の工程は略同一であり、その詳細な説明
は省略する。又、熱型赤外線センサ40における熱コン
ダクタンスK30は以下のような値になる。尚、ここで
は、熱型赤外線センサ40の赤外線受光部41が、上記
第1の実施形態の熱型赤外線センサ20と同様に一辺が
およそ40μmの正方形とする。
外線受光部41はレジストからなる唯1つの脚部45に
よって支えられている。一辺が40μm程度の赤外線受
光部41を支持するのであれば、脚部45は、直径が
4.0μm程度、高さが2.0μm程度の円柱とするこ
とができる。この場合、1つの脚部45の熱コンダクタ
ンスK31は、レジストの熱伝導率を1.0×10-3[W
/cm・K]とすると、次式(8)によって得られる。
第1の実施形態の熱コンダクタンスK22と同じ値(1.
8×10-7[W/K])となる。従って、橋梁部44の
1本当りの熱コンダクタンスK33は、K32の半分の値
(0.9×10-7[W/K])となる。
1を支持した場合の(図7に示す熱型赤外線センサ4
0)当該赤外線受光部41と半導体基板1との間の熱コ
ンダクタンスK3は、次式(9)によって得られる。 K3=K31+2K33 =8.1×10-7[W/K] …(9) このように1つの脚部45を用いた場合の熱コンダクタ
ンスK3は、赤外線受光部11,41が略同じ大きさ
(一辺が40μm)の従来の熱型赤外線センサ10の熱
コンダクタンスK1の、およそ1/4となる。
は、赤外線受光部41が、当該脚部45で支えられてい
るために、橋梁部44,44は、従来のようにその強度
を強くする必要がなくなり、その断面積を小さくし、し
かも半導体基板1上のレイアウトパターンが許す限りに
おいて長くできるので、橋梁部44,44に係る上記熱
コンダクタンスK33を著しく低減することができる。
との間に脚部45を配置することにより増加する熱コン
ダクタンスと、橋梁部44,44の断面積を小さくし、
且つ、長くすることによって低減される熱コンダクタン
スとを比較した場合、前者に対して後者を著しく大きく
できるために、熱型赤外線センサ40全体の熱コンダク
タンスK3を大幅に低減できる。
て、断面が十字状の脚部46(図8(a))、中空の脚
部47(図8(b))、断面がC型の脚部48(図8
(c))、断面が長方形の脚部49(図8(d))を用
いて赤外線受光部41を支持する変形例を示す説明図で
ある。このような脚部46,47,48,49によれ
ば、その断面積S1,S2,S3,S4をより小さくし
て当該脚部46,47,48,49の熱コンダクタンス
を更に小さくして、赤外線受光部41と半導体基板1と
の間の断熱効果を更に向上させることができ、熱型赤外
線センサ40の感度が更に向上する。
は、第1の実施形態の第1,第2の脚部25,…,27
と置換して使用できるのは、勿論である。尚、この第2
の実施形態では脚部45,46,47,48,49を、
熱伝導率の小さいレジストで形成した例を示したが、他
の熱伝導率の小さい材質、例えば、ポリイミド樹脂、エ
ナメル、セルロイド等の有機物質にて、これを形成して
もよい。
41の構造に関しては、例示した構造に限るものでな
く、他のマイクロブリッジ構造の熱型赤外線センサに、
本発明を適用できるのは、勿論である。
よれば、橋梁部は赤外線受光部を支持する必要がなくな
るため、絶縁性脚部による熱コンダクタンスの上昇分と
橋梁部の熱コンダクタンスの低下分とを調整して、全体
として、熱型赤外線センサの熱コンダクタンスを低下さ
せて、センサ感度の向上が図れる。この場合、絶縁性脚
部はその横断面が、赤外線受光部を支持するに必要な最
小の大きさに決定すれば、熱コンダクタンスの上昇が最
小限に抑えられ、センサ感度の向上が図れる。又、橋梁
部は、赤外線受光部を支持する必要がないため、配線と
しての機能があればよく、従って、その断面積を小さく
且つ長さを長くして、熱コンダクタンスを低下させれ
ば、センサ感度の更なる向上が図れる。又、橋梁部をも
絶縁性脚部によって支持するのであれば、橋梁部の全長
を更に長くでき、この橋梁部の熱コンダクタンスを更に
低下させて、更なるセンサ感度の向上が図れる。
の熱コンダクタンスが下がり、センサ感度の向上が図れ
る。又、請求項3の発明によれば、半導体製造技術で一
般的に用いられる材料で、絶縁性脚部が容易に形成でき
る。又、請求項4の発明によれば、赤外線受光部を支持
する強固さが要求されないため、橋梁部はその表面を絶
縁するだけで、簡単に作製できる。
部の保護膜を形成できる。又、請求項6の発明によれ
ば、一般的に用いられている半導体製造装置で、センサ
感度の高い熱型赤外線センサを容易に作製することがで
きる。
斜視図である。
す斜視図である。
である。
である。
線センサ20の模式図である。
状及び脚部25,25,26,26,27,27の配置
を異ならせた変形例を示す説明図である。
斜視図である。
た変形例を示す説明図である。
る。
構造を示す斜視図である。
熱型赤外線センサ10の模式図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 半導体基板上に、入射した赤外線を熱エ
ネルギーに変換し、該変換された熱エネルギーの大きさ
に応じて変化する物性値を電気的に読み出すための赤外
線受光部と、 上記赤外線受光部と半導体基板とを電気的に接続する配
線が設けられた橋梁部と、 上記赤外線受光部又は上記橋梁部の少なくとも一方を支
持する絶縁性脚部とを備えていることを特徴とする熱型
赤外線センサ。 - 【請求項2】 上記絶縁性脚部は、有機物質にて形成さ
れていることを特徴とする請求項1に記載の熱型赤外線
センサ。 - 【請求項3】 上記絶縁性脚部は、レジスト、ポリイミ
ド樹脂、エナメル、セルロイドの何れかによって形成さ
れていることを特徴とする請求項2に記載の熱型赤外線
センサ。 - 【請求項4】 上記橋梁部は、少なくとも配線層と絶縁
層を含む2層構造若しくはそれ以上の多層構造をなして
いることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに
記載の熱型赤外線センサ。 - 【請求項5】 上記絶縁層は、窒化シリコン膜で構成さ
れていることを特徴とする請求項4に記載の熱型赤外線
センサ。 - 【請求項6】 半導体基板上に絶縁膜を形成し、 該絶縁膜を上記絶縁性脚部の形状に合わせてエッチング
し、 これに上記絶縁性脚部と、エッチング時の選択性が確保
できる充填体を堆積させ、 該充填体を選択的にエッチングし、 その上面に少なくとも上記赤外線受光部若しくは橋梁部
を構成する導電膜又は半導体膜を形成し、 これら導電膜又は半導体膜を当該赤外線受光部若しくは
橋梁部の形状に合わせてエッチングし、 その後、上記充填体を除去して、 請求項1から請求項5の何れかに記載の熱型赤外線セン
サを形成することを特徴とする熱型赤外線センサの製造
方法。
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