JPH10196016A - 壁パネル用補強部材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 壁パネルの連結や器具類の取付けに係る施工
の確実性を高めるとともに、器具類の使用などによって
受ける壁パネルへの負荷を軽減し、壁面の面一性の維持
が強固となる壁パネル用補強部材を提供する。 【解決手段】 連結された複数枚の壁パネルを壁裏側か
ら配列方向に一連に補強する長尺の補強部材を設け、該
補強部材は略中央部分に所定間隔を設けて長手方向に平
行する一対の支持脚によって成形される凹状部と、壁パ
ネルの枠体に対応した間隔に固着用孔を設けてなる周縁
部とを有して前記枠体に接合可能であるとともに、前記
支持脚間に架設状態に取付けられるプレート部と、該プ
レート部に固定され先端部が壁パネル表面側に突出する
長さ寸法のボルト部材とからなる複数個の器具用固定具
を備えており、接合された補強部材の凹状部と壁パネル
とを貫通させて設けられる取付孔に対して、壁裏側から
前記器具用固定具を挿着して支持脚に固定し、壁パネル
表面側に突出した前記ボルト部材の先端部において器具
類の取付基台を配設可能とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、複数枚の壁パネル
を連結させて室内壁面を構成するに際して用いられる補
強部材に関するもので、壁の補強とともに壁面に取付け
られる器具類の補強にも係る壁パネル用補強部材に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】システムバス等の周囲壁は図５に示すよ
うに、複数枚の壁パネルを連結して構成されており、各
壁パネルＰは、外周枠体Ｆに表面化粧板を取付けたもの
や、外周枠体Ｆを表面化粧板と背面板とで挾んで空間部
に適宜間隔に補強材を配設したり発泡性樹脂などを充填
するなどして設けたものなどがある。図示では省略して
あるが、外周枠体Ｆにあっては隣り合う壁パネルとの連
結を図るために、様々な連結構造が施されている。そし
て、その室内側の壁面には必要に応じて手摺用バー・収
納棚・照明器具などといった種々の器具類が所定箇所に
取付けられる。

【０００３】図６は壁面の適宜個所に配設される手摺用
バーの一例を示すものであって、取付台座ａと握りバー
ｂと取付用カバーｃとからなっており、施工時には、前
記取付台座ａを壁パネル表面にボルトなどを介して直接
に固定し、握りバーｂの端部に遊嵌してある取付用カバ
ーｃを前記取付台座ａに締着させることにより配設され
る。また、収納棚や照明器具などの支持部材等の取付台
座も同様に設けられている。

【０００４】前記取付台座ａを所定壁面に固定するに際
しては、図７に示すように、前記ボルトを壁パネルＰの
板面に対して固定するだけでは取付後の強度が不十分で
あることから、予めに裏面側の対応個所に合板等からな
る適当な板厚を有する補強板ｄを設け、前記ボルトをこ
の補強板ｄまで達するようにして取付けが図られてい
る。このため前記補強板ｄは、予め器具類の取付けが見
込まれる壁パネルの裏面側に接着するなどして設けてお
く必要があった。

【０００５】また、このような器具類が壁面に配設され
ることから、連結された壁パネルの裏側の連結個所にお
いて補強がなされているのが現状であり、例えば、隣り
合う枠体に跨がるように設けた金属板などによる補強プ
レートを部分的に適宜間隔を設けて取付けたり、枠体間
に連結ボルトを取付けるなどして壁面が受ける負荷に対
して面一性を保持するような適宜な補強手段が施されて
いる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】このため、複数枚の壁
パネルが連結された壁面にあっては、所定個所に器具類
が配設されることから、それに係る施工上の問題点と、
前記器具類の取付けによって生ずる壁面の強度的な問題
点とを有していた。

【０００７】先ず施工時においては、手摺用バーなど器
具類の取付台座を壁面に固定する際に用いられる補強板
を壁パネル裏側の対応位置に配置しておかなければなら
ないといった手間がかっており、さらに、この補強板の
位置が部分的であってしかも表面側から視認できないこ
とから表面側からボルトによって行われる取付台座の固
定に確実性を欠いているといった問題点があった。そし
て、このようにして取付けられた器具類が、壁面の状
態、すなわち壁パネルの連結状態等にも悪影響を及ぼ
し、壁パネル全体の強度的な問題にもなっている。

【０００８】例えば前記した手摺用バーの場合には、使
用に際して負荷のかかる場所が特定されるものではな
く、ある一枚の壁パネルにだけ大きな負荷がかかるよう
なことがあり、このために、連結構造が甘く、隣合う枠
体間において不十分な補強しかなされていない壁パネル
であると、連結個所にズレが生じ易く、壁面の面一性が
損なわれてしまうといった不具合があり、また、取付台
座の固定が壁裏側に部分的に配設されている補強板に対
して行われていることから、負荷がパネル面に直接に及
び、表面の化粧面部に撓みを生ずることなどもあった。
このような不都合は、手摺用バーの場合だけではなく収
納棚や照明装置等が配設された場合にも生じているもの
である。

【０００９】本発明は上記した事情のもとになされたも
のであり、その目的とするところは、壁パネルの連結を
一体的に補強するとともに当該補強個所が器具類の固定
部をも兼ねる補強部材を構成することにより、壁パネル
の連結や器具類の取付けに係る施工の確実性を高めると
ともに、器具類の使用などによって受ける壁パネルへの
負荷を軽減し、壁面の面一性の維持が強固となる壁パネ
ル用補強部材を提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記した課題を解決する
ために、本発明は、連結された複数枚の壁パネルを壁裏
側から配列方向に一連に補強する長尺の補強部材であ
り、該補強部材は略中央部分に所定間隔を設けて長手方
向に平行する一対の支持脚によって成形される凹状部
と、壁パネルの枠体に対応した間隔に固着用孔を設けて
なる周縁部とを有して前記枠体に接合可能であるととも
に、前記支持脚間に架設状態に取付けられるプレート部
と、該プレート部に固定され先端部が壁パネル表面側に
突出する長さ寸法のボルト部材とからなる複数個の器具
用固定具を備えており、接合された補強部材の凹状部と
壁パネルとを貫通させて設けられる取付孔に対して、壁
裏側から前記器具用固定具を挿着して支持脚に固定し、
壁パネル表面側に突出した前記ボルト部材の先端部にお
いて器具類の取付基台を配設可能に設ける壁パネル用補
強部材を構成するものである。

【００１１】

【作用】上記構成としたことにより、連結された壁パネ
ルは補強部材によって配列方向に一連に補強されること
から壁パネル間の連結がより強固に補強され、かつ、壁
面における該補強部材の相当範囲に手摺り器具や照明装
置などの所定の器具類を取付けることが可能となる。各
種の器具類の取付けにあたっては、その取付基台を壁面
に固定するための器具用固定具（ボルト部材の先端部）
が器具類側に形成されている取付部と同間隔をもって壁
面（表面）側に突出して設けられることから、取付作業
を確実に行うことができる。そして、前記器具用固定具
はそのプレート部を補強部材の支持脚に固定してあるこ
とから、壁面に配設した手摺や照明装置などの器具類に
よる荷重に対してもその負荷が補強部材側に分散される
ものとなり、器具類の取付けにかかる補強もなされる。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図１
から図４を参照しながら詳細に説明する。本発明の壁パ
ネル用補強部材は、図１に示す補強部材１と器具用固定
具２とから構成され、前記補強部材１は壁パネルの配列
方向に一連となる長尺に設けてあり、また、前記器具用
固定具２は、壁面に配設する器具類に形成されている取
付部の数に対応可能なように複数個が用意される。

【００１３】前記補強部材１は、その長さ寸法Ｌを壁パ
ネルの配列方向に対応させて設けるものであり、略中央
部分に所定間隔を設けて長手方向に平行する一対の支持
脚１０，１０によって成形される凹状部１１と、壁パネ
ルの枠体に対応した間隔に固着用孔１２ａを設けてなる
周縁部１２とを有している。

【００１４】この支持脚１０，１０並びに凹状部１１を
成形するにあたっては、鉄板やステンレス鋼板などの適
宜な材質からなる金属板等をプレス加工等により一体成
形して設けたり、平板状の金属板等に二本の角柱状部材
を平行に固定することによりなされ、その断面形状にお
いて略中央部分が凹状部となるように成形される。

【００１５】また、前記周縁部１２において壁パネルへ
の取付けを図るために形成する固着用孔１２ａは、壁パ
ネルの枠体に対応する間隔Ｗ（パネル幅の間隔）で穿設
するものであり、固着用ボルトなどにより前記壁パネル
の各枠体に対して取付けが図られる。

【００１６】このように成形された補強部材１は、図２
に示すように、連結された壁パネルＰの裏面側に前記支
持脚１０，１０が表出するように横桟状に配設される。
その配設位置は表面側に取付けられる器具類の高さに対
応しており、壁パネルの配列方向に一連となっている。
そして、前記周縁部１２に形成した固着用孔１２ａは各
壁パネルＰの枠体Ｆ上にそれぞれ位置するものとなり、
固着用ボルトなどによって固着される。これにより、連
結された壁パネルの補強がなされ、さらに壁面（表面）
側の該補強部材の高さ位置において各種器具類の取付け
が可能となる。

【００１７】前記器具用固定具２は器具類を配設するに
際して設けられたものであって、前記補強部材１の支持
脚１０間に架設状態に取付けられるプレート部２１と、
該プレート部に固定され先端部が壁パネル表面側に突出
する長さ寸法のボルト部材２２とから構成される。２３
は前記支持脚にネジ止めするために形成されたネジ孔で
ある。（図１参照。）

【００１８】そして図３のように、前記器具用固定具２
は、予め壁パネルにおいて前記補強部材の凹状部と壁パ
ネルを共に貫通するように穿設した取付孔Ｈに対してボ
ルト部材２２を挿着し、その先端部分２２ａを壁面側か
ら突出させるとともに、該ボルト部材後端に連設してな
るプレート部２１が前記支持脚１０に架設され、ネジ止
めなどにより固定される。したがって、壁面（表面）側
においてはボルト部材の先端部分が突出した状態とな
り、各種器具類の取付作業の際にはその取付個所が視認
可能となり、また、その配置間隔は器具類の取付部と同
間隔に設けられることから、器具類の取付けが確実かつ
迅速に行えるものとなる。

【００１９】なお、前記器具用固定具２にあっては、前
記ボルト部材とプレート部とを溶接等により予めに一体
化して設けたり、あるいは、プレート部を支持脚に架設
固定した後にボルト部材を挿通して溶接するように別個
に設けることも可能である。

【００２０】このようにして器具用固定具２が装着され
た壁パネルＰにおいては、所定の器具類の取付けが可能
となる。壁面に配設する器具類を手摺用バーとした例で
説明すると、手摺用バーの取付基台ａは、壁面に突出し
たボルト部材２２の先端部２２ａに対して装着し締付け
ナット２４等の適宜な締付手段によって取付けが図られ
る。この取付基台ａは器具側に設けられている取付部と
同間隔に配置されることから、後の作業は握りバーｂの
各取付部に遊嵌してある取付用カバーｃをそれぞれの取
付台座ａに締着させるだけでよく、器具類の取付作業に
確実性と迅速性とが得られる。

【００２１】このように壁面に配設された手摺用バーで
あると、前記器具用固定具が補強部材に直接に固着され
ていることから、握りバーにかかる負荷が補強部材に全
体的にかかるものとなり、従来のように部分的に用いて
いた補強板に比べて荷重の集中を避けることができ、表
面部の撓みなどが生じ難く、強度的にも十分なものとな
っている。

【００２２】また、図４のように、異なった壁パネル間
に渡って器具類の取付部が位置していても、前記器具用
固定具が一連の補強部材に固定されていることから、手
摺用バーに局所的な負荷がかかっても、隣合う壁パネル
間のズレが生じ難く、壁面の面一性が維持される。

【００２３】なお、壁面に配設する器具類を手摺用バー
で説明したが、前記補強部材を壁パネルの上方に接合す
ることによって収納棚や照明装置などを設置することも
当然に可能であり、その配置は使用者および施工者によ
って選択的になされるものである。

【００２４】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
連結された複数枚の壁パネルを壁裏側から配列方向に一
連に補強する長尺の補強部材であり、該補強部材は略中
央部分に所定間隔を設けて長手方向に平行する一対の支
持脚によって成形される凹状部と、壁パネルの枠体に対
応した間隔に固着用孔を設けてなる周縁部とを有して前
記枠体に接合可能であるとともに、前記支持脚間に架設
状態に取付けられるプレート部と、該プレート部に固定
され先端部が壁パネル表面側に突出する長さ寸法のボル
ト部材とからなる複数個の器具用固定具を備えており、
接合された補強部材の凹状部と壁パネルとを貫通させて
設けられる取付孔に対して、壁裏側から前記器具用固定
具を挿着して支持脚に固定し、壁パネル表面側に突出し
た前記ボルト部材の先端部において器具類の取付基台を
配設可能に設ける壁パネル用補強部材としたことによ
り、前記補強部材によって連結された壁パネルが配列方
向に一連に設けて各枠体に対して固着されることから、
連結個所を部分的に補強することに比べて隣合う壁パネ
ル間に生ずるズレが少なくなり、壁面の面一性が維持さ
れるといった効果が得られる。それとともに、前記補強
部材が壁面に配設される器具類の取付けに係る補強板を
も兼ねるものとなっており、しかも、器具類の取付基台
を固定するための器具用固定具が壁面の所定個所に視認
可能に装備されることから施工を確実かつ迅速に行うこ
とができるといった優れた効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の壁パネル用補強部材の一実施形態を
示す説明図である。

【図２】 本発明に係る補強部材を壁パネルに配設した
状態で示す背面図である。

【図３】 本発明の壁パネルへの取付状態を示す断面図
である。

【図４】 本発明により壁面に所定器具類を配設した状
態を示す説明図である。

【図５】 壁面に所定器具類を配設してなる壁パネルの
一例を示す説明図である。

【図６】 手摺用バーの構造を示す説明図である。

【図７】 従来の器具類の取付構造の一例を示す説明図
である。

【符号の説明】

１……補強部材、１０……支持脚、１１……凹状部、１
２……周縁部、１２ａ……固着用孔、２……器具用固定
具、２１……プレート部、２２……ボルト部材、２３…
…ネジ孔、２４……締付けナット、Ｐ……壁パネル、Ｆ
……枠体。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】連結された複数枚の壁パネルを壁裏側から
   配列方向に一連に補強する長尺の補強部材であり、該補
   強部材は略中央部分に所定間隔を設けて長手方向に平行
   する一対の支持脚によって成形される凹状部と、壁パネ
   ルの枠体に対応した間隔に固着用孔を設けてなる周縁部
   とを有して前記枠体に接合可能であるとともに、前記支
   持脚間に架設状態に取付けられるプレート部と、該プレ
   ート部に固定され先端部が壁パネル表面側に突出する長
   さ寸法のボルト部材とからなる複数個の器具用固定具を
   備えており、接合された補強部材の凹状部と壁パネルと
   を貫通させて設けられる取付孔に対して、壁裏側から前
   記器具用固定具を挿着して支持脚に固定し、壁パネル表
   面側に突出した前記ボルト部材の先端部において器具類
   の取付基台を配設可能に設けることを特徴とする壁パネ
   ル用補強部材。