JPH10195625A - 耐摩耗コーティング部品およびその製造方法 - Google Patents

耐摩耗コーティング部品およびその製造方法

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JPH10195625A
JPH10195625A JP9001427A JP142797A JPH10195625A JP H10195625 A JPH10195625 A JP H10195625A JP 9001427 A JP9001427 A JP 9001427A JP 142797 A JP142797 A JP 142797A JP H10195625 A JPH10195625 A JP H10195625A
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昌行 伊藤
Itaru Senda
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Keizo Honda
啓三 本多
Yasuo Morishima
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Abstract

(57)【要約】 【課題】自溶性合金の厚膜耐摩耗コーティング層を容易
に厚膜に形成し、しかも耐摩耗コーティング層の気孔率
を3%以下と極めて少なくして、優れた耐摩耗特性を有
する耐摩耗コーティング部品を得ること。 【解決手段】金属基材1の表面に自溶性合金からなる耐
摩耗コーティング層2を有する耐摩耗コーティング部品
の製造方法において、金属基材1の表面に、自溶性合金
層を1mm〜10mmの厚さでかつ気孔率が10%以下
に緻密にコーティングするコーティング工程と、自溶性
合金層がコーティングされた金属基材1に対し、真空炉
中で自溶性合金の融点温度以上で加熱による溶着処理を
行なう溶着処理工程とにより作製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属基材の表面に
自溶性合金からなる耐摩耗コーティング層を有する耐摩
耗コーティング部品およびその製造方法に係り、特に自
溶性合金の厚膜耐摩耗コーティング層を容易に形成で
き、このコーティング層の気孔率が3%以下と極めて少
なく、またCrB等の金属間化合物の析出によって硬さ
がHRC45〜65と極めて硬く、優れた耐摩耗特性を
有する耐摩耗コーティング部品およびその製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、金属基材の表面を、超硬合金
やセラミックスで被覆する耐摩耗コーティングは、各種
産業分野で用いる耐摩耗コーティング部品に採用されて
いる。この場合、耐摩耗コーティング部品の例として
は、例えば軸シャフト、軸受、バルブ等がある。
【0003】図1は、耐摩耗コーティング部品を軸シャ
フトに適用した場合の一例を示す概要図である。図1に
おいて、母材(シャフト)である金属基材1の外表面の
一部には、被覆層である耐摩耗コーティング層2が設け
られている。
【0004】図2は、耐摩耗コーティング部品を軸受に
適用した場合の一例を示す概要図である。図2におい
て、台金である2つ割りの金属基材3の内表面には、被
覆層である耐摩耗コーティング層4が設けられている。
【0005】図3は、耐摩耗コーティング部品をバルブ
に適用した場合の一例を示す概要図である。図3におい
て、バルブ本体5には、断面が円環状の弁座である金属
基材6が設けられており、この金属基材6の穴部には、
断面がテーパ状の弁体である金属基材7が、図示上下方
向に摺動自在に設けられて、バルブとして機能するよう
になっている。
【0006】また、金属基材6の内表面には、被覆層で
ある耐摩耗コーティング層8が設けられており、さらに
金属基材7の外表面には、被覆層である耐摩耗コーティ
ング層9が設けられている。
【0007】ところで、このような耐摩耗コーティング
部品を製造するに際して、金属基材の表面を、耐摩耗コ
ーティング材料でコーティングする方法としては、従来
から、溶射法、焼き付け法、物理蒸着法、化学蒸着法等
の方法が採用されており、特に工業的で生産性の観点か
ら、厚膜コーティングには溶射法が一般的な方法であ
る。
【0008】また、耐摩耗コーティング材料としては、
融点低下元素が含んでいる自溶性合金、WCやCr3
2 等の炭化物と金属とを混合したサーメット材、Cr2
3等の酸化物セラミックス等がある。
【0009】一方、最近では、耐摩耗特性、耐焼付き特
性、耐エロージョン特性、耐キャビティーション特性等
に優れている、自溶性合金を用いた耐摩耗コーティング
部品が多くなってきている。
【0010】この場合、自溶性合金の耐摩耗コーティン
グは、酸素やアセチレン等を用いたガス溶射法で、1.
5mm以下の厚さに皮膜を形成した後に、ガスバーナー
で加熱して再溶解する溶着処理を行なうようにしてい
る。
【0011】しかしながら、金属基材に自溶性合金をガ
ス溶射法で形成する際には、金属基材の温度管理が非常
に重要であり、金属基材の温度が低いと自溶性合金層の
密着力が小さく、1mm以上の厚膜を形成しようとする
と剥離し易くなる。
【0012】また、逆に金属基材の温度が高すぎると、
金属基材や自溶性合金の酸化等によって剥離し易いとい
う問題がある。さらに、ガスバーナーでの加熱による溶
着処理でも、自溶性合金皮膜が1mm以上の厚膜になる
と、自溶性合金層の気孔が抜け難くなり、大きな気孔が
欠陥として残り、十分な溶着処理ができず、耐摩耗特性
が劣化するという問題がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の
自溶性合金を用いた耐摩耗コーティング部品およびその
製造方法においては、金属基材に自溶性合金をガス溶射
法で形成する際に、金属基材の温度管理が重要であり、
金属基材の温度が低いと自溶性合金層の密着力が小さ
く、1mm以上の厚膜を形成しようとすると剥離し易
く、逆に金属基材の温度が高すぎると、金属基材や自溶
性合金の酸化等によって剥離し易いという問題があっ
た。
【0014】さらに、ガスバーナーでの加熱による溶着
処理でも、自溶性合金皮膜が1mm以上の厚膜になる
と、自溶性合金層の気孔が抜け難くなり、大きな気孔が
欠陥として残り、十分な溶着処理ができず、耐摩耗特性
が劣化するという問題があった。
【0015】本発明の目的は、自溶性合金の耐摩耗コー
ティング層を1mm〜10mmと厚膜に形成することが
でき、しかも耐摩耗コーティング層の気孔率を3%以下
と極めて少なくすることが可能な、優れた耐摩耗特性を
有する耐摩耗コーティング部品およびその製造方法を提
供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、まず、請求項1に係る発明では、金属基材の表面
に自溶性合金からなる耐摩耗コーティング層を有する耐
摩耗コーティング部品の製造方法において、金属基材の
表面に、自溶性合金層を1mm〜10mmの厚さでかつ
気孔率が10%以下に緻密にコーティングするコーティ
ング工程と、自溶性合金層がコーティングされた金属基
材に対し、真空炉中で自溶性合金の融点温度以上で加熱
による溶着処理を行なう溶着処理工程とにより作製する
ようにしている。
【0017】従って、請求項1に係る発明の耐摩耗コー
ティング部品の製造方法においては、自溶性合金層の厚
さが1mm以下では耐摩耗コーティングの効果が小さ
く、厚さが10mm以上になるとコーティング中に剥離
し易くなると共に、溶着処理での気孔の抜けが悪くなる
ことから、自溶性合金層を1mm〜10mmの厚さでか
つ気孔率が10%以下に緻密にコーティングした後に、
真空炉中で自溶性合金の融点温度以上で加熱して溶着処
理を行なうことにより、耐摩耗コーティングの効果を十
分に得ることができると共に、コーティング中の剥離を
生じ難くすることができる。
【0018】さらに、自溶性合金層の気孔率を10%以
下にすることにより、真空炉中での加熱による溶着処理
で気孔の極めて少ない耐摩耗特性に優れた部品を得るこ
とができる。
【0019】また、請求項2に係る発明では、上記請求
項1に係る発明の耐摩耗コーティング部品の製造方法に
おいて、コーティング工程としては、金属基材の表面に
自溶性合金溶射粉末を、高速フレーム溶射法または超高
速フレーム溶射法を用いて、350m/秒〜1500m
/秒の高速度で溶射して、自溶性合金のコーティング層
の気孔率を3%以下に形成するようにしている。
【0020】従って、請求項2に係る発明の耐摩耗コー
ティング部品の製造方法においては、高速フレーム溶射
法または超高速フレーム溶射法を用いて、金属基材の表
面に自溶性合金溶射粉末を350m/秒〜1500m/
秒の高速度で溶射して、コーティングした後に、真空炉
中で自溶性合金の融点温度以上で加熱して溶着処理を行
なうことにより、自溶性合金のコーティング層の気孔率
を3%以下に形成することができ、耐摩耗コーティング
層に気孔等の欠陥の少ない耐摩耗部品を得ることができ
る。
【0021】さらに、請求項3に係る発明では、上記請
求項1または請求項2に係る発明の耐摩耗コーティング
部品の製造方法において、溶着処理工程において、自溶
性合金層がコーティングされた金属基材を、真空炉中で
摂氏950度〜1200度で1分〜60分間加熱保持す
るようにしている。
【0022】従って、請求項3に係る発明の耐摩耗コー
ティング部品の製造方法においては、摂氏950度以
下、または1分以下の加熱保持では、溶着処理が不十分
で自溶性合金層に気孔等の欠陥が多く残り、また摂氏1
200度以上、または60分以上の加熱保持では、金属
基材と自溶性合金層との界面に開口部等の欠陥ができる
ことから、溶着処理工程で、自溶性合金層がコーティン
グされた金属基材を真空炉中で摂氏950度〜1200
度で1分〜60分間加熱保持することにより、溶着処理
を十分に行なって自溶性合金層に気孔等の欠陥が残るの
を少なくすることができると共に、金属基材と自溶性合
金層との界面に開口部等の欠陥が生じないようにするこ
とができる。
【0023】一方、請求項4に係る発明では、上記請求
項1乃至請求項3のいずれか1項に係る発明の耐摩耗コ
ーティング部品の製造方法において、溶着処理工程にお
いて、自溶性合金層の硬さをロックウエルC(HRC)
40〜65とするようにしている。
【0024】従って、請求項4に係る発明の耐摩耗コー
ティング部品の製造方法においては、溶着処理工程で、
自溶性合金層の硬さをロックウエルC(HRC)40〜
65とすることにより、溶着処理によって自溶性合金層
にCrB等の硬い化合物を析出させて、耐摩耗特性に必
要な硬さを得ることができる。
【0025】また、請求項5に係る発明では、上記請求
項1乃至請求項4のいずれか1項に係る発明の耐摩耗コ
ーティング部品の製造方法において、溶着処理工程にお
いて、金属基材と自溶性合金層との界面に、拡散層を2
μm〜200μmの厚さに形成するようにしている。
【0026】従って、請求項5に係る発明の耐摩耗コー
ティング部品の製造方法においては、拡散層が2μm以
下の厚さでは金属基材と自溶性合金層との密着力が小さ
く、また200μm以上の厚さでは拡散層に開口部等の
欠陥ができることから、溶着処理工程で、金属基材と自
溶性合金層との界面に、拡散層を2μm〜200μmの
厚さに形成することにより、金属基材と自溶性合金層と
の密着力を大きくすることができると共に、拡散層に開
口部等の欠陥が生じないようにすることができる。
【0027】さらに、請求項6に係る発明では、上記請
求項2乃至請求項5のいずれか1項に係る発明の耐摩耗
コーティング部品の製造方法において、溶着処理工程に
おいて、金属基材の表面に自溶性合金溶射粉末を高速フ
レーム溶射法または超高速フレーム溶射法を用いて溶射
施工する前に、金属基材の表面をブラスト処理によって
Raが5μm〜20μm、またはRmaxが30μm〜
150μmの表面粗さにするようにしている。
【0028】従って、請求項6に係る発明の耐摩耗コー
ティング部品の製造方法においては、金属基材の表面粗
さがRa5μm以下、またはRmax30μm以下で
は、粗面化の効果が小さく溶射施工中に剥離し、またR
a20μm以上、またはRmax150μm以上にブラ
スト処理すると、金属基材へのダメージが大きくなるこ
とから、金属基材の表面をブラスト処理によってRaが
5μm〜20μm、またはRmaxが30μm〜150
μmの表面粗さにすることにより、粗面化の効果を大き
くして溶射施工中に剥離しないようにすることができる
と共に、金属基材へのダメージを小さくすることができ
る。
【0029】一方、請求項7に係る発明では、上記請求
項2乃至請求項6のいずれか1項に係る発明の耐摩耗コ
ーティング部品の製造方法において、溶着処理工程にお
いて、高速フレーム溶射法または超高速フレーム溶射法
を用いて自溶性合金をコーティング施工する時に、金属
基材に、空気、または窒素ガス、へリウムガス、アルゴ
ンガス等の不活性ガスを吹付けて、金属基材の温度を摂
氏200度以下に冷却しながら自溶性合金を溶射コーテ
ィングするようにしている。
【0030】従って、請求項7に係る発明の耐摩耗コー
ティング部品の製造方法においては、金属基材の温度が
摂氏200度以上になると、金属基材が酸化してコーテ
ィング層が剥離し易くなり、また金属基材や自溶性合金
が酸化して良好な耐摩耗コーティングが得られないこと
から、溶着処理工程で、高速フレーム溶射法または超高
速フレーム溶射法を用いて自溶性合金をコーティング施
工する時に、金属基材に、空気、または不活性ガスを吹
付けて、金属基材の温度を摂氏200度以下に冷却しな
がら自溶性合金を溶射コーティングすることにより、金
属基材が酸化しないようにしてコーティング層を剥離し
難くすると共に、金属基材や自溶性合金が酸化しないよ
うにして良好な耐摩耗コーティングを得ることができ
る。
【0031】また、請求項8に係る発明では、上記請求
項2乃至請求項7のいずれか1項に係る発明の耐摩耗コ
ーティング部品の製造方法において、溶着処理工程にお
いて、高速フレーム溶射法または超高速フレーム溶射法
を用いて自溶性合金をコーティング施工する際に、自溶
性合金溶射粉末として、その粒子径が10μm〜100
μmの径のものを用いるようにしている。
【0032】従って、請求項8に係る発明の耐摩耗コー
ティング部品の製造方法においては、粒子径が10μm
以下では、高速フレームでも加速され難く、高速度、高
衝撃での溶射施工ができず緻密な層が得られず、また粒
子径が100μm以上では、高速フレーム溶射で溶融さ
れ難く、溶射効率が悪くなることから、溶着処理工程
で、高速フレーム溶射法または超高速フレーム溶射法を
用いて自溶性合金をコーティング施工する際に、粒子径
が10μm〜100μmの自溶性合金溶射粉末を用いる
ことにより、高速フレームで加速され易くして、高速
度、高衝撃での溶射施工をして緻密な層を得ることがで
きると共に、高速フレーム溶射で溶融され易くして、溶
射効率を良くすることができる。
【0033】さらに、請求項9に係る発明では、上記請
求項2乃至請求項8のいずれか1項に係る発明の耐摩耗
コーティング部品の製造方法において、溶着処理工程に
おいて、高速フレーム溶射法または超高速フレーム溶射
法を用いて自溶性合金をコーティング施工する際に、自
溶性合金として、10〜20wt%Cr,3〜6wt%
Fe,2〜8wt%Si,0.5〜6wt%B,残部N
i等のNi基自溶性合金、10〜20wt%Cr,10
〜20wt%Ni,2〜8wt%Si,0.5〜6wt
%B,残部Fe等のFe基自溶性合金、または10〜2
0wt%Cr,5〜20wt%Ni,3〜6wt%F
e,2〜8wt%Si,0.5〜6wt%B,残部Co
等のCo基自溶性合金を用いるようにしている。
【0034】従って、請求項9に係る発明の耐摩耗コー
ティング部品の製造方法においては、溶着処理工程で、
高速フレーム溶射法または超高速フレーム溶射法を用い
て自溶性合金をコーティング施工する際に、自溶性合金
として、10〜20wt%Cr,3〜6wt%Fe,2
〜8wt%Si,0.5〜6wt%B,残部Ni等のN
i基自溶性合金、10〜20wt%Cr,10〜20w
t%Ni,2〜8wt%Si,0.5〜6wt%B,残
部Fe等のFe基自溶性合金、または10〜20wt%
Cr,5〜20wt%Ni,3〜6wt%Fe,2〜8
wt%Si,0.5〜6wt%B,残部Co等のCo基
自溶性合金を用いることにより、真空炉中で自溶性合金
の融点温度以上で加熱による溶着処理を行なう際に、溶
融による緻密化と共に、B化合物やSi化合物を析出さ
せて、耐摩耗特性に必要な高い硬さを得ることができ
る。
【0035】一方、請求項10に係る発明では、上記請
求項1乃至請求項9のいずれか1項に係る発明の製造方
法により耐摩耗コーティング部品を作製する。従って、
請求項10に係る発明の耐摩耗コーティング部品におい
ては、前述の方法で耐摩耗コーティング部品を作製する
ことにより、自溶性合金の耐摩耗コーティング層を1m
m〜10mmと厚膜に形成することができ、しかも耐摩
耗コーティング層の気孔率を3%以下と極めて少なくす
ることができ、もって優れた耐摩耗特性を有する耐摩耗
コーティング部品を得ることができる。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態につ
いて図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態で
は、次のようにして耐摩耗コーティング部品を製造す
る。すなわち、まず、金属基材の表面に、自溶性合金層
を、1mm〜10mm(より好ましくは、2mm〜5m
m)の厚さでかつ気孔率が10%以下(より好ましく
は、3%以下)に緻密にコーティングする(コーティン
グ工程)。
【0037】その後、上記コーティング工程により、自
溶性合金層がコーティングされた金属基材に対し、真空
炉中で自溶性合金の融点温度以上で加熱による溶着処理
を行なう(溶着処理工程)。
【0038】ここで、特に本実施の形態では、上記コー
ティング工程において、金属基材の表面に自溶性合金溶
射粉末を、高速フレーム溶射法または超高速フレーム溶
射法を用いて、350m/秒〜1500m/秒(より好
ましくは、650m/秒〜1200m/秒)の高速度で
溶射して、自溶性合金のコーティング層の気孔率を3%
以下に形成する。
【0039】一方、特に本実施の形態では、上記溶着処
理工程において、上記コーティング工程により、自溶性
合金層がコーティングされた金属基材を、真空炉中で摂
氏950度〜1200度(より好ましくは、摂氏104
0度〜1100度)で1分〜60分間(より好ましく
は、5分〜20分間)加熱保持する。
【0040】また、上溶着処理工程において、自溶性合
金層の硬さをロックウエルC(HRC)40〜65(よ
り好ましくは、50〜60)とする。さらに、上記溶着
処理工程において、金属基材と自溶性合金層との界面
に、拡散層を2μm〜200μm(より好ましくは、2
0μm〜100μm)の厚さに形成する。
【0041】一方、上記溶着処理工程において、金属基
材の表面に自溶性合金溶射粉末を高速フレーム溶射法ま
たは超高速フレーム溶射法を用いて溶射施工する前に、
金属基材の表面をブラスト処理によってRaが5μm〜
20μm(より好ましくは、7μm〜15μm)、また
はRmaxが30μm〜150μm(より好ましくは、
50μm〜100μm)の表面粗さにする。
【0042】また、上記溶着処理工程において、高速フ
レーム溶射法または超高速フレーム溶射法を用いて自溶
性合金をコーティング施工する時に、金属基材に、空
気、または窒素ガス、へリウムガス、アルゴンガス等の
不活性ガスを吹付けて、金属基材の温度を摂氏200度
以下に冷却しながら自溶性合金を溶射コーティングす
る。
【0043】さらに、上記溶着処理工程において、高速
フレーム溶射法または超高速フレーム溶射法を用いて自
溶性合金をコーティング施工する際に、自溶性合金溶射
粉末として、その粒子径が10μm〜100μm(より
好ましくは、25μm〜65μm)の径のものを用い
る。
【0044】さらにまた、上記溶着処理工程において、
高速フレーム溶射法または超高速フレーム溶射法を用い
て自溶性合金をコーティング施工する際に、自溶性合金
として、10〜20wt%Cr,3〜6wt%Fe,2
〜8wt%Si,0.5〜6wt%B,残部Ni等のN
i基自溶性合金、10〜20wt%Cr,10〜20w
t%Ni,2〜8wt%Si,0.5〜6wt%B,残
部Fe等のFe基自溶性合金、または10〜20wt%
Cr,5〜20wt%Ni,3〜6wt%Fe,2〜8
wt%Si,0.5〜6wt%B,残部Co等のCo基
自溶性合金を用いる。
【0045】このような製造方法により、前述した図
1、図2、図3に示すような耐摩耗コーティング部品を
作製する。以上のような本実施の形態の耐摩耗コーティ
ング部品の製造方法においては、自溶性合金層を1mm
〜10mmの厚さでかつ気孔率が10%以下に緻密にコ
ーティングした後に、真空炉中で自溶性合金の融点温度
以上で加熱して溶着処理を行なっているため、耐摩耗コ
ーティングの効果を十分に得ることができると共に、コ
ーティング中の剥離を生じ難くすることができる。
【0046】また、自溶性合金層の気孔率を10%以下
にしているため、真空炉中での加熱による溶着処理で気
孔の極めて少ない耐摩耗特性に優れた部品を得ることが
できる。
【0047】一方、高速フレーム溶射法または超高速フ
レーム溶射法を用いて、金属基材1の表面に自溶性合金
溶射粉末を350m/秒〜1500m/秒の高速度で溶
射して、コーティングした後に、真空炉中で自溶性合金
の融点温度以上で加熱して溶着処理を行なっているた
め、自溶性合金のコーティング層の気孔率を3%以下に
形成することができ、耐摩耗コーティング層に気孔等の
欠陥の少ない耐摩耗部品を得ることができる。
【0048】一方、溶着処理工程で、自溶性合金層がコ
ーティングされた金属基材1を真空炉中で摂氏950度
〜1200度で1分〜60分間加熱保持しているため、
溶着処理を十分に行なって自溶性合金層に気孔等の欠陥
が残るのを少なくすることができると共に、金属基材1
と自溶性合金層との界面に開口部等の欠陥が生じないよ
うにすることができる。
【0049】また、溶着処理工程で、自溶性合金層の硬
さをロックウエルC(HRC)40〜65としているた
め、溶着処理によって自溶性合金層にCrB等の硬い化
合物を析出させて、耐摩耗特性に必要な硬さを得ること
ができる。
【0050】さらに、溶着処理工程で、金属基材1と自
溶性合金層との界面に、拡散層を2μm〜200μmの
厚さに形成しているため、金属基材1と自溶性合金層と
の密着力を大きくすることができると共に、拡散層に開
口部等の欠陥が生じないようにすることができる。
【0051】一方、金属基材1の表面をブラスト処理に
よってRaが5μm〜20μm、またはRmaxが30
μm〜150μmの表面粗さにしているため、粗面化の
効果を大きくして溶射施工中に剥離しないようにするこ
とができると共に、金属基材1へのダメージを小さくす
ることができる。
【0052】また、溶着処理工程で、高速フレーム溶射
法または超高速フレーム溶射法を用いて自溶性合金をコ
ーティング施工する時に、金属基材に、空気、または不
活性ガスを吹付けて、金属基材の温度を摂氏200度以
下に冷却しながら自溶性合金を溶射コーティングしてい
るため、金属基材1が酸化しないようにしてコーティン
グ層を剥離し難くすると共に、金属基材1や自溶性合金
が酸化しないようにして良好な耐摩耗コーティングを得
ることができる。
【0053】さらに、溶着処理工程で、高速フレーム溶
射法または超高速フレーム溶射法を用いて自溶性合金を
コーティング施工する際に、粒子径が10μm〜100
μmの自溶性合金溶射粉末を用いているため、高速フレ
ームで加速され易くして、高速度、高衝撃での溶射施工
をして緻密な層を得ることができると共に、高速フレー
ム溶射で溶融され易くして、溶射効率を良くすることが
できる。
【0054】さらにまた、溶着処理工程で、高速フレー
ム溶射法または超高速フレーム溶射法を用いて自溶性合
金をコーティング施工する際に、自溶性合金として、1
0〜20wt%Cr,3〜6wt%Fe,2〜8wt%
Si,0.5〜6wt%B,残部Ni等のNi基自溶性
合金、10〜20wt%Cr,10〜20wt%Ni,
2〜8wt%Si,0.5〜6wt%B,残部Fe等の
Fe基自溶性合金、または10〜20wt%Cr,5〜
20wt%Ni,3〜6wt%Fe,2〜8wt%S
i,0.5〜6wt%B,残部Co等のCo基自溶性合
金を用いているため、真空炉中で自溶性合金の融点温度
以上で加熱による溶着処理を行なう際に、溶融による緻
密化と共に、B化合物やSi化合物を析出させて、耐摩
耗特性に必要な高い硬さを得ることができる。
【0055】
【実施例】以下、上記本実施の形態に基づく耐摩耗コー
ティング部品の製造方法の具体的な実施例について説明
する。 (実施例1)金属基材1として、縦50mm、横80m
m、厚さ15mmの炭素鋼(S25C)を用いて、その
表面を溶射前処理として、ブラスト装置でアルミナグリ
ット(#30)で、ブラスト圧力を4kg/cm2 で表
面粗さをRmax80μmにした後に、高速フレーム溶
射(HVOF)法の一つであるダイヤモンドジェット
(DJガン)溶射で、自溶性合金(16wt%Cr,4
wt%Fe,3wt%Si,3wt%B,残部Ni)の
溶射粉末(粒子径25〜50μm)を用いて、850m
/秒の高速度で溶射を行ない、3mmの厚さにコーティ
ングした。
【0056】また、溶射中に、金属基材1に空気を吹き
付けて、金属基材1の温度を摂氏160度にした。この
時のコーティング層の気孔率は、7%であった。次に、
このコーティングした金属基材1を、真空炉中で摂氏1
050度で30分加熱して溶着処理を行なった。この溶
着処理後のコーティング層の気孔率は、2%であった。
また、金属基材1とコーティング層との界面の拡散層厚
さは、25μmであった。
【0057】そして、このようにして得られた耐摩耗コ
ーティング部材を、硬さ測定と耐摩耗特性測定に用い
た。硬さ測定は、ロックウエルC(HRC)で行なっ
た。また、耐摩耗特性測定は、ピン/ディスク法を用
い、ピン側にWC−Co合金、ディスク側に得られた耐
摩耗コーティング部材を用いて、面圧を10kg/cm
2 で、摩擦距離10000mで試験を行ない、摩耗量を
計った。
【0058】その試験結果を、下記表1に示す。 (実施例2)金属基材1として、縦50mm、横80m
m、厚さ15mmの炭素鋼(S25C)を用いて、その
表面を溶射前処理として、ブラスト装置でアルミナグリ
ット(#24)で、ブラスト圧力を4kg/cm2 で表
面粗さをRmax100μmにした後に、超高速フレー
ム溶射(HVOF)法の一つであるJP−5000溶射
で、自溶性合金(16wt%Cr,4wt%Fe,3w
t%Si,3wt%B,残部Ni)の溶射粉末(粒子径
25〜65μm)を用いて、1200m/秒の超高速度
で溶射を行ない、7mmの厚さにコーティングした。
【0059】また、溶射中に、金属基材1に空気を吹き
付けて、金属基材1の温度を摂氏160度にした。この
時のコーティング層の気孔率は、4%であった。次に、
このコーティングした金属基材1を、真空炉中で摂氏1
080度で10分加熱して溶着処理を行なった。この溶
着処理後のコーティング層の気孔率は、2%であった。
また、金属基材1とコーティング層との界面の拡散層厚
さは、35μmであった。
【0060】そして、このようにして得られた耐摩耗コ
ーティング部材を、硬さ測定と耐摩耗特性測定に用い
た。硬さ測定は、ロックウエルC(HRC)で行なっ
た。また、耐摩耗特性測定は、ピン/ディスク法を用
い、ピン側にWC−Co合金、ディスク側に得られた耐
摩耗コーティング部材を用いて、面圧を10kg/cm
2 で、摩擦距離10000mで試験を行ない、摩耗量を
計った。
【0061】その試験結果を、表1に示す。 (実施例3)金属基材1として、縦50mm、横80m
m、厚さ15mmの炭素鋼(S25C)を用いて、その
表面を溶射前処理として、ブラスト装置でアルミナグリ
ット(#24)で、ブラスト圧力を4kg/cm2 で表
面粗さをRmax100μmにした後に、超高速フレー
ム溶射(HVOF)法の一つであるJP−5000溶射
で、自溶性合金(18wt%Cr,12wt%Ni,3
wt%Si,4wt%B,残部Fe)の溶射粉末(粒子
径25〜80μm)を用いて、1000m/秒の超高速
度で溶射を行ない、5mmの厚さにコーティングした。
【0062】また、溶射中に、金属基材1に空気を吹き
付けて、金属基材1の温度を摂氏160度にした。この
時のコーティング層の気孔率は、6%であった。次に、
このコーティングした金属基材1を、真空炉中で摂氏1
020度で40分加熱して溶着処理を行なった。この溶
着処理後のコーティング層の気孔率は、1.5%であっ
た。また、金属基材1とコーティング層との界面の拡散
層厚さは、50μmであった。
【0063】そして、このようにして得られた耐摩耗コ
ーティング部材を、硬さ測定と耐摩耗特性測定に用い
た。硬さ測定は、ロックウエルC(HRC)で行なっ
た。また、耐摩耗特性測定は、ピン/ディスク法を用
い、ピン側にWC−Co合金、ディスク側に得られた耐
摩耗コーティング部材を用いて、面圧を10kg/cm
2 で、摩擦距離10000mで試験を行ない、摩耗量を
計った。
【0064】その試験結果を、表1に示す。 (実施例4)金属基材1として、縦50mm、横80m
m、厚さ15mmの炭素鋼(S25C)を用いて、その
表面を溶射前処理として、ブラスト装置でアルミナグリ
ット(#60)で、ブラスト圧力を4kg/cm2 で表
面粗さをRmax60μmにした後に、超高速フレーム
溶射(HVOF)法の一つであるJP−5000溶射
で、自溶性合金(16wt%Cr,9wt%Ni,4w
t%Fe,3wt%Si,4wt%B,残部Co)の溶
射粉末(粒子径25〜65μm)を用いて、1200m
/秒の超高速度で溶射を行ない、5mmの厚さにコーテ
ィングした。
【0065】また、溶射中に、金属基材1に空気を吹き
付けて、金属基材1の温度を摂氏160度にした。この
時のコーティング層の気孔率は、8%であった。次に、
このコーティングした金属基材1を、真空炉中で摂氏1
120度で5分加熱して溶着処理を行なった。この溶着
処理後のコーティング層の気孔率は、1.0%であっ
た。また、金属基材1とコーティング層との界面の拡散
層厚さは、15μmであった。
【0066】そして、このようにして得られた耐摩耗コ
ーティング部材を、硬さ測定と耐摩耗特性測定に用い
た。硬さ測定は、ロックウエルC(HRC)で行なっ
た。また、耐摩耗特性測定は、ピン/ディスク法を用
い、ピン側にWC−Co合金、ディスク側に得られた耐
摩耗コーティング部材を用いて、面圧を10kg/cm
2 で、摩擦距離10000mで試験を行ない、摩耗量を
計った。
【0067】その試験結果を、表1に示す。 (実施例5)金属基材1として、縦50mm、横80m
m、厚さ15mmの炭素鋼(S25C)を用いて、その
表面を溶射前処理として、ブラスト装置でアルミナグリ
ット(#24)で、ブラスト圧力を4kg/cm2 で表
面粗さをRmax100μmにした後に、高速フレーム
溶射(HVOF)法の一つであるダイヤモンドジェット
(DJガン)溶射で、自溶性合金(16wt%Cr,1
5wt%Ni,4wt%Si,4wt%B,残部Fe)
の溶射粉末(粒子径25〜50μm)を用いて、850
m/秒の高速度で溶射を行ない、5mmの厚さにコーテ
ィングした。
【0068】また、溶射中に、金属基材1に空気を吹き
付けて、金属基材1の温度を摂氏160度にした。この
時のコーティング層の気孔率は、7%であった。次に、
このコーティングした金属基材1を、真空炉中で摂氏1
100度で30分加熱して溶着処理を行なった。この溶
着処理後のコーティング層の気孔率は、1.0%であっ
た。また、金属基材1とコーティング層との界面の拡散
層厚さは、75μmであった。
【0069】そして、このようにして得られた耐摩耗コ
ーティング部材を、硬さ測定と耐摩耗特性測定に用い
た。硬さ測定は、ロックウエルC(HRC)で行なっ
た。また、耐摩耗特性測定は、ピン/ディスク法を用
い、ピン側にWC−Co合金、ディスク側に得られた耐
摩耗コーティング部材を用いて、面圧を10kg/cm
2 で、摩擦距離10000mで試験を行ない、摩耗量を
計った。
【0070】その試験結果を、表1に示す。 (比較例1)比較例として、金属基材1として、縦50
mm、横80mm、厚さ15mmの炭素鋼(S25C)
を用いて、その表面を溶射前処理として、ブラスト装置
でアルミナグリット(#30)で、ブラスト圧力を4k
g/cm2 で表面粗さをRmax80μmにした後に、
酸素−アセチレンを燃料とするガス溶射法で、自溶性合
金(16wt%Cr,4wt%Fe,3wt%Si,3
wt%B,残部Ni)の溶射粉末(粒子径25〜150
μm)を用いて、150m/秒の速度で溶射を行ない、
2.5mmの厚さにコーティングした(2.5mm厚さ
で一部で剥離した)。
【0071】また、溶射時に、金属基材1を予熱して金
属基材1の温度を摂氏120度にした。この時のコーテ
ィング層の気孔率は、16%であった。次に、このコー
ティングした金属基材1を、酸素−アセチレンを燃料と
するガスフレームで加熱して溶着処理を行なった。この
溶着処理後のコーティング層の気孔率は、8%であっ
た。また、金属基材1とコーティング層との界面の拡散
層厚さは、5μmであった。
【0072】そして、このようにして得られた耐摩耗コ
ーティング部材を、硬さ測定と耐摩耗特性測定に用い
た。硬さ測定は、ロックウエルC(HRC)で行なっ
た。また、耐摩耗特性測定は、ピン/ディスク法を用
い、ピン側にWC−Co合金、ディスク側に得られた耐
摩耗コーティング部材を用いて、面圧を10kg/cm
2 で、摩擦距離10000mで試験を行ない、摩耗量を
計った。
【0073】その試験結果を、表1に示す。 (比較例2)比較例として、金属基材1として、縦50
mm、横80mm、厚さ15mmの炭素鋼(S25C)
を用いて、その表面を溶射前処理として、ブラスト装置
でアルミナグリット(#24)で、ブラスト圧力を4k
g/cm2 で表面粗さをRmax150μmにした後
に、酸素−アセチレンを燃料とするガス溶射法で、自溶
性合金(16wt%Cr,4wt%Fe,3wt%S
i,3wt%B,残部Ni)の溶射粉末 (粒子径25
〜150μm)を用いて、150m/秒の速度で溶射を
行ない、3mmの厚さにコーティングした。
【0074】また、溶射時に、金属基材1を予熱して金
属基材1の温度を摂氏120度にした。この時のコーテ
ィング層の気孔率は、16%であった。次に、このコー
ティングした金属基材1を、真空炉中で摂氏1080度
で10分加熱して溶着処理を行なった。この溶着処理後
のコーティング層の気孔率は、5%であった。また、金
属基材1とコーティング層との界面の拡散層厚さは、4
0μmであった。
【0075】そして、このようにして得られた耐摩耗コ
ーティング部材を、硬さ測定と耐摩耗特性測定に用い
た。硬さ測定は、ロックウエルC(HRC)で行なっ
た。また、耐摩耗特性測定は、ピン/ディスク法を用
い、ピン側にWC−Co合金、ディスク側に得られた耐
摩耗コーティング部材を用いて、面圧を10kg/cm
2 で、摩擦距離10000mで試験を行ない、摩耗量を
計った。その試験結果を、表1に示す
【0076】
【表1】
【0077】表1に示す測定結果から明らかなように、
本実施の形態の耐摩耗コーティング部品およびその製造
方法は、実施例1乃至実施例5で示すように、比較例
1、比較例2の耐摩耗コーティング部品と比べて、硬さ
が高く、摩耗量が少なく、耐摩耗特性に優れていること
が理解できる。
【0078】以上により、自溶性合金の耐摩耗コーティ
ング層2を1mm〜10mmと厚膜に形成することがで
き、しかも耐摩耗コーティング層2の気孔率を3%以下
と極めて少なくすることができ、もって硬さが高く、摩
耗量が少なく、優れた耐摩耗特性を有する耐摩耗コーテ
ィング部品を得ることができる。
【0079】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る発
明によれば、耐摩耗コーティングの効果を十分に得るこ
とができると共に、コーティング中の剥離を生じ難くす
ることができ、しかも真空炉中での加熱による溶着処理
で気孔の極めて少ない耐摩耗特性に優れた部品を得るこ
とが可能な耐摩耗コーティング部品の製造方法が提供で
きる。
【0080】また、請求項2に係る発明によれば、自溶
性合金のコーティング層の気孔率を3%以下に形成する
ことができ、耐摩耗コーティング層に気孔等の欠陥の少
ない耐摩耗部品を得ることが可能な耐摩耗コーティング
部品の製造方法が提供できる。
【0081】さらに、請求項3に係る発明によれば、溶
着処理を十分に行なって自溶性合金層に気孔等の欠陥が
残るのを少なくすることができると共に、金属基材と自
溶性合金層との界面に開口部等の欠陥が生じないように
することが可能な耐摩耗コーティング部品の製造方法が
提供できる。
【0082】一方、請求項4に係る発明によれば、溶着
処理によって自溶性合金層にCrB等の硬い化合物を析
出させて、耐摩耗特性に必要な硬さを得ることが可能な
耐摩耗コーティング部品の製造方法が提供できる。
【0083】また、請求項5に係る発明によれば、金属
基材と自溶性合金層との密着力を大きくすることができ
ると共に、拡散層に開口部等の欠陥が生じないようにす
ることが可能な耐摩耗コーティング部品の製造方法が提
供できる。
【0084】さらに、請求項6に係る発明によれば、粗
面化の効果を大きくして溶射施工中に剥離しないように
することができると共に、金属基材へのダメージを小さ
くすることが可能な耐摩耗コーティング部品の製造方法
が提供できる。
【0085】一方、請求項7に係る発明によれば、金属
基材が酸化しないようにしてコーティング層を剥離し難
くすると共に、金属基材や自溶性合金が酸化しないよう
にして良好な耐摩耗コーティングを得ることが可能な耐
摩耗コーティング部品の製造方法が提供できる。
【0086】また、請求項8に係る発明によれば、高速
フレームで加速され易くして、高速度、高衝撃での溶射
施工をして緻密な層を得ることができると共に、高速フ
レーム溶射で溶融され易くして、溶射効率を良くするこ
とが可能な耐摩耗コーティング部品の製造方法が提供で
きる。
【0087】さらに、請求項9に係る発明によれば、真
空炉中で自溶性合金の融点温度以上で加熱による溶着処
理を行なう際に、溶融による緻密化と共に、B化合物や
Si化合物を析出させて、耐摩耗特性に必要な高い硬さ
を得ることが可能な耐摩耗コーティング部品の製造方法
が提供できる。
【0088】一方、請求項10に係る発明によれば、自
溶性合金の耐摩耗コーティング層を1mm〜10mmと
厚膜に形成することができ、しかも耐摩耗コーティング
層の気孔率を3%以下と極めて少なくすることが可能
な、優れた耐摩耗特性を有する耐摩耗コーティング部品
が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】耐摩耗コーティング部品を軸シャフトに適用し
た場合の一例を示す概要図。
【図2】耐摩耗コーティング部品を軸受に適用した場合
の一例を示す概要図。
【図3】耐摩耗コーティング部品をバルブに適用した場
合の一例を示す概要図。
【符号の説明】
1…金属基材、 2…耐摩耗コーティング層、 3…金属基材、 4…耐摩耗コーティング層、 5…バルブ本体、 6…金属基材、 7…金属基材、 8…耐摩耗コーティング層、 9…耐摩耗コーティング層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森島 康雄 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属基材の表面に自溶性合金からなる耐
    摩耗コーティング層を有する耐摩耗コーティング部品の
    製造方法において、 金属基材の表面に、自溶性合金層を1mm〜10mmの
    厚さでかつ気孔率が10%以下に緻密にコーティングす
    るコーティング工程と、 前記自溶性合金層がコーティングされた金属基材に対
    し、真空炉中で自溶性合金の融点温度以上で加熱による
    溶着処理を行なう溶着処理工程と、 により作製するようにしたことを特徴とする耐摩耗コー
    ティング部品の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記請求項1に記載の耐摩耗コーティン
    グ部品の製造方法において、 前記コーティング工程としては、金属基材の表面に自溶
    性合金溶射粉末を、高速フレーム溶射法または超高速フ
    レーム溶射法を用いて、350m/秒〜1500m/秒
    の高速度で溶射して、自溶性合金のコーティング層の気
    孔率を3%以下に形成するようにしたことを特徴とする
    耐摩耗コーティング部品の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記請求項1または請求項2に記載の耐
    摩耗コーティング部品の製造方法において、 前記溶着処理工程において、自溶性合金層がコーティン
    グされた金属基材を、真空炉中で摂氏950度〜120
    0度で1分〜60分間加熱保持するようにしたことを特
    徴とする耐摩耗コーティング部品の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記請求項1乃至請求項3のいずれか1
    項に記載の耐摩耗コーティング部品の製造方法におい
    て、 前記溶着処理工程において、自溶性合金層の硬さをロッ
    クウエルC(HRC)40〜65とするようにしたこと
    を特徴とする耐摩耗コーティング部品の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記請求項1乃至請求項4のいずれか1
    項に記載の耐摩耗コーティング部品の製造方法におい
    て、 前記溶着処理工程において、金属基材と自溶性合金層と
    の界面に、拡散層を2μm〜200μmの厚さに形成す
    るようにしたことを特徴とする耐摩耗コーティング部品
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記請求項2乃至請求項5のいずれか1
    項に記載の耐摩耗コーティング部品の製造方法におい
    て、 前記溶着処理工程において、金属基材の表面に自溶性合
    金溶射粉末を高速フレーム溶射法または超高速フレーム
    溶射法を用いて溶射施工する前に、金属基材の表面をブ
    ラスト処理によってRaが5μm〜20μm、またはR
    maxが30μm〜150μmの表面粗さにするように
    したことを特徴とする耐摩耗コーティング部品の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 前記請求項2乃至請求項6のいずれか1
    項に記載の耐摩耗コーティング部品の製造方法におい
    て、 前記溶着処理工程において、高速フレーム溶射法または
    超高速フレーム溶射法を用いて自溶性合金をコーティン
    グ施工する時に、金属基材に、空気、または窒素ガス、
    へリウムガス、アルゴンガス等の不活性ガスを吹付け
    て、金属基材の温度を摂氏200度以下に冷却しながら
    自溶性合金を溶射コーティングするようにしたことを特
    徴とする耐摩耗コーティング部品の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記請求項2乃至請求項7のいずれか1
    項に記載の耐摩耗コーティング部品の製造方法におい
    て、 前記溶着処理工程において、高速フレーム溶射法または
    超高速フレーム溶射法を用いて自溶性合金をコーティン
    グ施工する際に、自溶性合金溶射粉末として、その粒子
    径が10μm〜100μmの径のものを用いるようにし
    たことを特徴とする耐摩耗コーティング部品の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 前記請求項2乃至請求項8のいずれか1
    項に記載の耐摩耗コーティング部品の製造方法におい
    て、 前記溶着処理工程において、高速フレーム溶射法または
    超高速フレーム溶射法を用いて自溶性合金をコーティン
    グ施工する際に、自溶性合金として、10〜20wt%
    Cr,3〜6wt%Fe,2〜8wt%Si,0.5〜
    6wt%B,残部Ni等のNi基自溶性合金、10〜2
    0wt%Cr,10〜20wt%Ni,2〜8wt%S
    i,0.5〜6wt%B,残部Fe等のFe基自溶性合
    金、または10〜20wt%Cr,5〜20wt%N
    i,3〜6wt%Fe,2〜8wt%Si,0.5〜6
    wt%B,残部Co等のCo基自溶性合金を用いるよう
    にしたことを特徴とする耐摩耗コーティング部品の製造
    方法。
  10. 【請求項10】 前記請求項1乃至請求項9のいずれか
    1項に記載の製造方法により作製されて成ることを特徴
    とする耐摩耗コーティング部品。
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