JP2938436B1 - 耐摩耗コーティング部品及びその製造方法 - Google Patents

耐摩耗コーティング部品及びその製造方法

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JP2938436B1
JP2938436B1 JP10159165A JP15916598A JP2938436B1 JP 2938436 B1 JP2938436 B1 JP 2938436B1 JP 10159165 A JP10159165 A JP 10159165A JP 15916598 A JP15916598 A JP 15916598A JP 2938436 B1 JP2938436 B1 JP 2938436B1
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Abstract

【要約】 【課題】厚膜耐摩耗コーティング層を容易に形成し且つ
耐摩耗コーティング層の気孔率を3%以下と極めて少な
くして、優れた耐摩耗特性を有する耐摩耗コーティング
部品を得る。 【解決手段】金属基材である母材1の表面に、自溶性合
金層による被覆層2を1mm〜10mmの厚さで且つ気
孔率が15%以下に緻密にコーティングし、該被覆層2
がコーティングされた母材1を真空炉中で自溶性合金の
融点温度以下に加熱保持による拡散密着熱処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属基材の表面に
耐摩耗コーティング層を有する耐摩耗コーティング部品
及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】従来、原子力プラント用バルブの弁体及び
弁座シートリングの耐摩耗コーティングは、コバルト
(Co)基合金であるステライトNo.6を用いていた
が、近時はCoによる被爆低減の観点からコバルトフリ
ーのNi基自溶性合金の適用を検討している。この自溶
性合金の耐摩耗コーティングは、酸素やアセチレン等を
用いたガス溶射法で、1.5mm以下の厚さに皮膜を形
成した後に、ガスバーナーで加熱して再溶解する溶着処
理を行なうようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、金属基
材に自溶性合金をガス溶射法で形成する際には、金属基
材の温度管理が非常に重要であり、金属基材の温度が低
いと自溶性合金の密着力が小さく、1mm以上の厚膜を
形成しようとすると剥離し易くなる。また、逆に金属基
材の温度が高すぎると、金属基材や自溶性合金の酸化等
によって剥離し易いという不具合がある。さらに、ガス
バーナーでの加熱による溶着処理でも、自溶性合金皮膜
が1mm以上の厚膜になると、自溶性合金の気孔が抜け
難くなり、大きな気孔が欠陥として残り、十分な溶着処
理ができず、耐摩耗特性が劣化するとともに、例えばそ
の部品がバルブであればシールド性が悪くなり、水漏れ
の原因にもなるという不具合がある。
【0004】本発明は上記のような実情に鑑みてなされ
たもので、その目的とするところは、合金のコーティン
グ層を1mm〜10mmと厚膜に形成しながらも同層の
気孔率を3%以下と極めて少なくすることが可能な優れ
た摩耗特性を有する耐摩耗コーティング部品及びその製
造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
金属基材の表面に、粒子径が10μm乃至150μmの
自溶性合金の粉末を高速フレーム溶射法または超高速フ
レーム溶射法を用いて350m/秒〜1500m/秒で
溶射して1mm乃至10mmの厚さで且つ気孔率が15
%以下にコーティングするコーティング工程と、上記
溶性合金がコーティングされた金属基材に対し、真空炉
中で上記合金の融点温度以下である摂氏800度乃至1
050度で30分乃至10時間加熱保持する拡散密着熱
処理を行ない、上記合金の気孔率を3%以下に形成する
と共に、金属基材と上記合金との界面に2μm乃至20
0μmの厚さの拡散層を形成する拡散密着熱処理工程と
を有することを特徴とする。
【0006】このような方法とすれば、自溶性合金の層
の厚さが1mm以下では耐摩耗コーティングの効果が小
さく、厚さが10mm以上になるとコーティング中に剥
離し易くなると共に溶着処理での気孔の抜けが悪くなる
ことから、上記合金の層を1mm〜10mmの厚さで且
つ気孔率が15%以下に緻密にコーティングした後に、
真空炉中で上記合金の融点以下に加熱して拡散密着熱処
理を行なうことにより、耐摩耗コーティングの効果を十
分に得ることができると共に、コーティング中の剥離を
生じ難くすることができる。また、特に、上記自溶性合
金は、その粒子径が10μm乃至150μmのものを使
用することで、溶射フレームで加速し易くさらに高速
度、高衝撃での施行を実現しながら、溶融し易く溶射効
率を高いものとすることができる。 さらに、上記拡散密
着熱処理工程で上記合金の気孔率を3%以下に形成する
ことで、耐摩耗コーティング層に気孔等の欠陥の少ない
耐摩耗部品を得ることができる。 また、上記拡散密着熱
処理工程で、摂氏800度以下、または30分以下の加
熱保持では拡散密着熱処理が不十分で上記合金の層に気
孔等の欠陥が多く残り、また摂氏1050度以上または
10時間以上の加熱保持では金属基材と上記合金の層と
の界面に開口部等の欠陥ができることから、拡散密着熱
処理で耐摩耗特性を有する合金がコーティングされた金
属基材を真空炉中で摂氏800度〜1050度で30分
〜10時間加熱保持することにより、拡散密着熱処理を
十分に行なって上記合金の層に気孔等の欠陥が残るのを
少なくすることができると共に、金属基材と上記合金の
層との界面に開口部等の欠陥が生じないようにすること
ができる。 さらに、上記拡散密着熱処理工程で、拡散層
が2μm以下の厚さでは金属基材と上記合金の層との密
着力が小さく、また200μm以上の厚さでは拡散層に
開口部等の欠陥ができることから、拡散密着熱処理で金
属基材と上記合金の層との界面に拡散層を2μm〜20
0μmの厚さに形成することにより、金属基材と上記合
金の層との密着力を大きくすることができると共に、拡
散層に開口部等の欠陥が生じないようにすることができ
る。
【0007】請求項2記載の発明は、上記請求項1記載
の発明において、上記拡散密着熱処理工程は、上記合金
の硬さをロックウェル硬度40乃至65とすることを特
徴とする。このような方法とすれば、上記請求項1記載
の発明の作用に加えて、拡散密着熱処理で自溶性合金層
の硬さをロックウェル硬度40〜65とすることによ
り、上記合金の層にCrB等の硬い化合物を析出させて
耐摩耗特性に必要な硬さを得ることができる。
【0008】請求項3記載の発明は、上記請求項記載
の発明において、上記コーティング工程で金属基材の表
面に上記合金の粉末を溶射する前に、金属基材の表面の
Raが5μm乃至20μm、またはRmaxが30μm
乃至150μmの表面粗さにするブラスト処理工程を有
することを特徴とする。
【0009】このような方法とすれば、上記請求項
載の発明の作用に加えて、金属基材の表面粗さがRa5
μm以下またはRmax30μm以下では粗面化の効果
が小さく溶射施工中に剥離し、またRa20μm以上ま
たはRmax150μm以上にブラスト処理すると金属
基材へのダメージが大きくなることから、金属基材の表
面をブラスト処理によってRaが5μm〜20μm、ま
たはRmaxが30μm〜150μmの表面粗さにする
ことにより粗面化の効果を大きくして溶射施工中に剥離
しないようにすることができると共に、金属基材へのダ
メージを小さくすることができる。
【0010】請求項4記載の発明は、上記請求項1また
は2記載の発明において、空気または不活性ガスを吹付
けて金属基材の温度を摂氏200度以下に冷却しながら
上記コーティング工程で金属基材の表面に上記合金の粉
末を溶射することを特徴とする。
【0011】このような方法とすれば、上記請求項1
たは2記載の発明の作用に加えて、金属基材の温度が摂
氏200度以上になると金属基材が酸化してコーティン
グ層が剥離し易くなり、また金属基材や上記合金が酸化
して良好な耐摩耗コーティングが得られないことから、
高速フレーム溶射法または超高速フレーム溶射法を用い
て上記合金をコーティング施工する時に金属基材に空気
または不活性ガスを吹き付けて金属基材の温度を摂氏2
00度以下に冷却しながら上記合金を溶射コーティング
することにより、金属基材が酸化しないようにしてコー
ティング層を剥離し難くすると共に、金属基材や上記合
金が酸化しないようにして良好な耐摩耗コーティングを
得ることができる。請求項5記載の発明は、上記請求項
1乃至4いずれか記載の発明において、上記コーティン
グ工程は、金属基材の表面に溶射する耐摩耗特性を有す
る合金の粉末として、10乃至30重量%Cr、3乃至
6重量%Fe、2乃至8重量%Si、0.5乃至6重量
%B、及び残部Ni基自溶性合金、または10乃至30
重量%Cr、10乃至30重量%Ni、2乃至8重量%
Si、0.5乃至6重量%B、及び残部Fe基自溶性合
金、または10乃至30重量%Cr、10乃至30重量
%Ni、3乃至6重量%Fe、2乃至8重量%Si、
0.5乃至6重量%B、及び残部Co基自溶性合金を使
用することを特徴とする。
【0012】このような方法とすれば、上記請求項1乃
至4いずれか記載の発明の作用に加えて、拡散密着熱処
理を行なう際に拡散密着による緻密化と共にB化合物や
Si化合物を析出させて、耐摩耗特性に必要な高い硬さ
を得ることができる。
【0013】請求項6記載の発明は、上記請求項1乃至
いずれか記載の発明において、原子力プラント用耐摩
耗部品として上記耐摩耗特性を有する合金にNi基自溶
性合金を使用することを特徴とする。
【0014】このような方法とすれば、上記請求項1乃
いずれか記載の発明の作用に加えて、原子力プラン
ト用の耐摩耗部品にコバルトフリー材料であるNi基自
溶性合金を用いて耐摩耗コーティングを作製すること
で、Coによる被爆が無くなると共にNi基自溶性合金
が欠陥が無く緻密に形成でき、さらに耐摩耗特性を特に
良好なものとすることができる。
【0015】請求項7記載の発明は、上記請求項1乃至
いずれか記載の発明において、原子力プラント用バル
ブの弁体及び弁座シートリングとして上記耐摩耗特性を
有する合金にNi基自溶性合金を使用することを特徴と
する。
【0016】このような方法とすれば、上記請求項1乃
いずれか記載の発明の作用に加えて、原子力プラン
ト用バルブの弁体、弁座シートリングにコバルトフリー
材料であるNi基自溶性合金を用いて耐摩耗コーティン
グを作製することで、Coによる被爆が無くなると共に
Ni基自溶性合金が欠陥が無く緻密に形成でき、さらに
耐摩耗特性とシールド特性を特に良好なものとしなが
ら、バルブ部での水漏れ等を生じないようにすることが
できる。
【0017】請求項8記載の発明は、上記請求項1乃至
いずれか記載の耐摩耗コーティング部品の製造方法を
用いて製造したことを特徴とする。
【0018】このような構成とすれば、合金のコーティ
ング層を1mm〜10mmと厚膜に形成しながらも同層
の気孔率を3%以下と極めて少なくすることが可能な優
れた摩耗特性を有する耐摩耗コーティング部品を実現で
きる。
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の一形態につ
いて図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態で
は、次のようにして耐摩耗コーティング部品を製造する
ものとする。
【0029】図1はその製造工程を示すもので、まず金
属基材に対して打痕や変形の有無等を調べるべく目視の
外観検査を行なう(ステップS1)。この目視の外観検
査でなんら問題となる箇所が見当たらなかった場合に
は、次いでコーティングを行なう部位全面を有機溶剤、
例えばエタノール、アセトン等で脱脂、洗浄する(ステ
ップS2)。
【0030】その後、例えば約1mm径のチルド鋼グリ
ットを用いてブラスト処理を実施し、コーティングを行
なう上記金属基材の表面を均一粗面化する(ステップS
3)。
【0031】このとき、Raが5μm〜20μm、より
好ましくは7μm〜15μm、またはRmaxが30μ
m〜150μm、より好ましくは50μm〜100μm
の表面粗さにすることで、後のコーティングで形成した
層が溶射施工中に剥離しないようにすることができると
共に、金属基材へのダメージを小さくすることができ
る。
【0032】こうして前処理を終えた時点で、実際のコ
ーティング工程として、金属基材の表面に耐摩耗特性を
有する合金、例えば自溶性合金の粉末を溶射し、1mm
〜10mm、より好ましくは2mm〜5mmの厚さで且
つ気孔率が15%以下、より好ましくは5%以下となる
ように緻密にコーティングする(ステップS4)。
【0033】これは、上記合金の層の厚さが1mm以下
では耐摩耗コーティングの効果が小さく、厚さが10m
m以上になるとコーティング中に剥離し易くなると共に
溶着処理での気孔の抜けが悪くなることから、上記合金
の層を1mm〜10mmの厚さとしたものである。
【0034】このコーティング工程においては、自溶性
合金の溶射粉末を高速フレーム溶射法または超高速フレ
ーム溶射法を用いて350m/秒〜1500m/秒、よ
り好ましくは650m/秒〜1200m/秒の高速度で
溶射することで、自溶性合金のコーティング層の気孔率
を15%以下に形成するようにしたもので、自溶性合金
としては球形状の粉末でその粒子径が10μm乃至15
0μmのもの、より好ましくは25μm〜65μmのも
のを使用する。
【0035】これはすなわち、そのような粉末の形状か
ら溶射時の空気抵抗が小さいために高速度、高衝撃での
施行により緻密な層を得ることができる一方、粒子径を
10μm以上としたことで溶射フレームで加速し易くさ
らに高速度、高衝撃での施行を実現し、且つ同粒子径を
150μm以下としたことで溶融し易く溶射効率を高い
ものとすることができるためで、粒子径を揃えることで
より緻密なコーティングを実現できる。
【0036】さらに上記コーティング工程においては、
金属基材に空気、または窒素ガス、ヘリウムガス、アル
ゴンガス等の不活性ガスを吹付けて金属基材の温度を摂
氏200度以下に冷却しながら自溶性合金をコーティン
グ施工するものとする。
【0037】これは、金属基材の温度が摂氏200度以
上になると、金属基材が酸化してコーティング層が剥離
し易くなり、また金属基材や上記合金が酸化して良好な
耐摩耗コーティングが得られないことから実施するもの
であって、金属基材の温度を摂氏200度以下に冷却し
ながら上記合金を溶射コーティングすることにより、金
属基材が酸化しないようにしてコーティング層を剥離し
難くすると共に、金属基材や上記合金の酸化を防止して
良好な耐摩耗コーティングを得るものである。
【0038】また特に、上記コーティング工程において
使用する自溶性合金の粉末としては、10〜30重量%
Cr、3〜6重量%Fe、2〜8重量%Si、0.5〜
6重量%B、及び残部Ni等のNi基自溶性合金、また
は10〜30重量%Cr、10〜30重量%Ni、2〜
8重量%Si、0.5〜6重量%B、及び残部Fe等の
Fe基自溶性合金、または10〜30重量%Cr、10
〜30重量%Ni、3〜6重量%Fe、2〜8重量%S
i、0.5〜6重量%B、及び残部Co等のCo基自溶
性合金を用いるものとする。
【0039】これらの自溶性合金の粉末を使用すること
で、後の拡散密着熱処理を行なう際に拡散密着による緻
密化と共にB化合物やSi化合物を析出させて、耐摩耗
特性に必要な高い硬さを得ることができるものとなる。
【0040】しかして、上記のようにコーティング工程
を終えた後、マイクロメータでコーティングの被膜の厚
さを測定し(ステップS5)、上述した所望の厚さのコ
ーティングが形成されていることを確認した後に、拡散
密着熱処理工程として、自溶性合金の層がコーティング
された金属基材に対し、真空炉中で自溶性合金の融点温
度以下で加熱保持による拡散密着熱処理を行なう(ステ
ップS6)。
【0041】この場合、上記自溶性合金層がコーティン
グされた金属基材を真空炉中で摂氏800度〜1050
度、より好ましくは摂氏900度〜1000度で30分
〜10時間、より好ましくは2時間〜6時間加熱保持す
る。
【0042】これはすなわち、摂氏800度以下、また
は30分以下の加熱保持では拡散密着熱処理が不十分で
上記合金の層に気孔等の欠陥が多く残り、また摂氏10
50度以上または10時間以上の加熱保持では金属基材
と上記合金の層との界面に開口部等の欠陥ができること
から、拡散密着熱処理で耐摩耗特性を有する自溶性合金
がコーティングされた金属基材を真空炉中で摂氏800
度〜1050度で30分〜10時間加熱保持することに
より、拡散密着熱処理を十分に行なって上記合金の層に
気孔等の欠陥が残るのを少なくさせると共に、金属基材
と上記合金の層との界面に開口部等の欠陥が生じないよ
うにするための時間設定である。
【0043】この拡散密着熱処理工程において、上記合
金の層にCrB等の硬い化合物を析出させて自溶性合金
層の硬さをロックウェル硬度40〜65、より好ましく
は50〜60とし、耐摩耗特性に必要な硬さを得る。
【0044】また上記拡散密着熱処理工程においては、
金属基材と自溶性合金の層との界面に拡散層を2μm〜
200μm、より好ましくは20μm〜100μmの厚
さに形成する。
【0045】この場合、拡散層が2μm以下の厚さでは
金属基材と自溶性合金の層との密着力が小さく、また2
00μm以上の厚さでは拡散層に開口部等の欠陥ができ
ることから、拡散密着熱処理で金属基材と自溶性合金の
層との界面に拡散層を2μm〜200μmの厚さに形成
することにより、金属基材と自溶性合金の層との密着力
を大きくすることができると共に、拡散層に開口部等の
欠陥が生じないようにするものである。
【0046】こうして所望の耐摩耗コーティングを施し
た部品に対し、クラックや剥離の有無等を調べるべく目
視の外観検査を行ない(ステップS7)、問題がなけれ
ば以上でこの耐摩耗コーティング部品の製造を終了す
る。
【0047】上述したような製造方法により作製した耐
摩耗コーティング部品の例を図2乃至図4に例示する。
図2は軸シャフトに適用した場合を示すもので、金属基
材としての母材(シャフト材)1の一部に被覆層2を形
成したものである。
【0048】図3は軸受に適用した場合を示すもので、
金属基材としての台金3の円柱状の内壁面に被覆層4を
形成したものである。図4はバルブに適用した場合を示
すもので、バルブ本体5に取付けられた金属基材として
の弁座6と、この弁座6に挿通される金属基材としての
弁体7の相対向する摺動面にそれぞれ被覆層8,9を形
成したものである。
【0049】
【発明の実施例】以下、上記本実施の形態に基づく耐摩
耗コーティング部品及びその製造方法の具体的な実施例
について説明する。各実施例による硬さと摩耗量の結果
を図5に示す。
【0050】(実施例1)金属基材として縦50mm、
横80mm、厚さ15mmの炭素鋼(S25C)を用い
て、その表面を溶射前処理としてブラスト装置でアルミ
ナグリット(#30)でブラスト圧力を4kg/cm2
で表面粗さをRmax80μmにした後に高速フレーム
溶射(HVOF)法の一つであるダイヤモンドジェット
(DJガン)溶射で自溶性合金(16重量%Cr、4重
量%Fe、3重量%Si、3重量%B、及び残部Ni)
の球形溶射粉末(粒子径25〜50μm)を用いて85
0m/秒の高速度で溶射を行ない、3mmの厚さにコー
ティングした。また、溶射中に金属基材に空気を吹き付
けて金属基材の温度を摂氏160度にした。この時のコ
ーティング層の気孔率は5%であった。
【0051】次に、このコーティングした金属基材を真
空炉中で摂氏950度で4時間加熱保持して拡散密着熱
処理を行なった。この拡散密着熱処理後のコーティング
層の気孔率は1.0%であった。また、金属基材とコー
ティング層との界面の拡散層厚さは35μmであった。
【0052】そして、このようにして得られた耐摩耗コ
ーティング部材を硬さ測定と耐摩耗特性測定に用いた。
硬さ測定はロックウェル硬度で行なった。また、耐摩耗
特性測定はピン/ディスク法を用い、ピン側にWC−C
o合金、ディスク側に得られた耐摩耗コーティング部材
を用いて、面圧を10kg/cm2 、摩擦距離1000
0mで試験を行なって摩耗量を計った。
【0053】(実施例2)金属基材として縦50mm、
横80mm、厚さ15mmの炭素鋼(S25C)を用い
て、その表面を溶射前処理としてブラスト装置でアルミ
ナグリット(#24)でブラスト圧力4kg/cm2
表面粗さRmax100μmにした後に、超高速フレー
ム溶射(HVOF)法の一つであるJP−5000溶射
で自溶性合金(16重量%Cr、4重量%Fe、3重量
%Si、3重量%B、及び残部Ni)の球形溶射粉末
(粒子径25〜65μm、平均粒子径45μm)を用い
て1200m/秒の超高速度で溶射を行ない、7mmの
厚さにコーティングした。また、溶射中に金属基材に空
気を吹付け、金属基材の温度を摂氏160度にした。こ
の時のコーティング層の気孔率は3%であった。
【0054】次に、このコーティングした金属基材を真
空炉中で摂氏950度で6時間加熱保持して拡散密着熱
処理を行なった。この拡散密着熱処理後のコーティング
層の気孔率は0.3%であった。また、金属基材とコー
ティング層との界面の拡散層の厚さは45μmであっ
た。
【0055】そして、このようにして得られた耐摩耗コ
ーティング部材を、硬さ測定と耐摩耗特性測定に用い
た。硬さ測定は、ロックウェル硬度で行なった。また、
耐摩耗特性測定はピン/ディスク法を用い、ピン側にW
C−Co合金、ディスク側に得られた耐摩耗コーティン
グ部材を用いて、面圧10kg/cm2 、摩擦距離10
000mで試験を行ない、摩耗量を計った。
【0056】(実施例3)金属基材として縦50mm、
横80mm、厚さ15mmの炭素鋼(S25C)を用い
て、その表面を溶射前処理としてブラスト装置でアルミ
ナグリット(#24)でブラスト圧力4kg/cm2
表面粗さをRmax100μmにした後に、超高速フレ
ーム溶射(HVOF)法の一つであるJP−5000溶
射で自溶性合金(25重量%Cr、16重量%Ni、3
重量%Si、4重量%B、及び残部Fe)の球形溶射粉
末(粒子径25〜80μm、平均粒子径45μm)を用
いて1000m/秒の超高速度で溶射を行ない、5mm
の厚さにコーティングした。また、溶射中に金属基材に
空気を吹付けて金属基材の温度を摂氏160度にした。
この時のコーティング層の気孔率は5%であった。
【0057】次に、このコーティングした金属基材をア
ルゴン雰囲気炉中で摂氏950度で4時間加熱保持して
拡散密着熱処理を行なった。この拡散密着熱処理後のコ
ーティング層の気孔率は1.5%であった。また、金属
基材とコーティング層との界面の拡散層厚さは35μm
であった。
【0058】そして、このようにして得られた耐摩耗コ
ーティング部材を硬さ測定と耐摩耗特性測定に用いた。
硬さ測定はロックウェル硬度で行なった。また、耐摩耗
特性測定はピン/ディスク法を用い、ピン側にWC−C
o合金、ディスク側に得られた耐摩耗コーティング部材
を用いて、面圧を10kg/cm2 、摩擦距離1000
0mで試験を行なって摩耗量を計った。
【0059】(実施例4)金属基材として縦50mm、
横80mm、厚さ15mmの炭素鋼(S25C)を用い
て、その表面を溶射前処理としてブラスト装置でアルミ
ナグリット(#30)でブラスト圧力4kg/cm2
表面粗さをRmax80μmにした後に、超高速フレー
ム溶射(HVOF)法の一つであるJP−5000溶射
で自溶性合金(16重量%Cr、18重量%Ni、4重
量%Fe、3重量%Si、4重量%B、及び残部Co)
の球形溶射粉末(粒子径25〜65μm、平均粒子径4
5μm)を用いて1000m/秒の超高速度で溶射を行
ない、5mmの厚さにコーティングした。また、溶射中
に金属基材に空気を吹き付け、金属基材の温度を摂氏1
60度にした。この時のコーティング層の気孔率は8%
であった。
【0060】次に、このコーティングした金属基材を真
空炉中で摂氏1000度で2時間加熱保持して拡散密着
熱処理を行なった。この拡散密着熱処理後のコーティン
グ層の気孔率は2.0%であった。また、金属基材とコ
ーティング層との界面の拡散層厚さは30μmであっ
た。
【0061】そして、このようにして得られた耐摩耗コ
ーティング部材を硬さ測定と耐摩耗特性測定に用いた。
硬さ測定はロックウェル硬度で行なった。また、耐摩耗
特性測定はピン/ディスク法を用い、ピン側にWC−C
o合金、ディスク側に得られた耐摩耗コーティング部材
を用いて、面圧を10kg/cm2 、摩擦距離1000
0mで試験を行なって摩耗量を計った。
【0062】(実施例5)金属基材として縦50mm、
横80mm、厚さ15mmの炭素鋼(S25C)を用い
て、その表面を溶射前処理としてブラスト装置でアルミ
ナグリット(#30)でブラスト圧力4kg/cm2
表面粗さをRmax80μmにした後に、高速フレーム
溶射(HVOF)法の一つであるダイヤモンドジェット
(DJガン)溶射で自溶性合金(16重量%Cr、18
重量%Ni、4重量%Fe、3重量%Si、4重量%
B、及び残部Co)の球形溶射粉末(粒子径25〜50
μm)を用いて、650m/秒の高速度で溶射を行な
い、5mmの厚さにコーティングした。また、溶射中に
金属基材に空気を吹付け、金属基材の温度を摂氏160
度にした。この時のコーティング層の気孔率は10%で
あった。
【0063】次に、このコーティングした金属基材を真
空炉中で摂氏900度で8時間加熱保持して拡散密着熱
処理を行なった。この拡散密着熱処理後のコーティング
層の気孔率は2.0%であった。また、金属基材とコー
ティング層との界面の拡散層厚さは60μmであった。
【0064】そして、このようにして得られた耐摩耗コ
ーティング部材を硬さ測定と耐摩耗特性測定に用いた。
硬さ測定はロックウェル硬度で行なった。また、耐摩耗
特性測定はピン/ディスク法を用い、ピン側にWC−C
o合金、ディスク側に得られた耐摩耗コーティング部材
を用いて、面圧を10kg/cm2 、摩擦距離1000
0mで試験を行なって摩耗量を計った。
【0065】(比較例1)比較例として、金属基材とし
て縦50mm、横80mm、厚さ15mmの炭素鋼(S
25C)を用いて、その表面を溶射前処理としてブラス
ト装置でアルミナグリット(#30)で、ブラスト圧力
4kg/cm2 、表面粗さRmax80μmにした後
に、酸素−アセチレンを燃料とするガス溶射法で自溶性
合金(16重量%Cr、4重量%Fe、3重量%Si、
4重量%B、及び残部Ni)の溶射粉末(粒子径25〜
150μm)を用いて150m/秒の速度で溶射を行な
い、3mmの厚さにコーティングした。また、溶射中に
金属基材を予熱して金属基材の温度を摂氏450度にし
た。この時のコーティング層の気孔率は20%であっ
た。
【0066】次に、このコーティングした金属基材を酸
素−アセチレンを燃料とするガスフレームで加熱して溶
着処理を行なった。この溶着処理後のコーティング層の
気孔率は8.0%であった。また、金属基材とコーティ
ング層との界面の拡散層厚さは3μmであった。
【0067】そして、このようにして得られた耐摩耗コ
ーティング部材を硬さ測定と耐摩耗特性測定に用いた。
硬さ測定はロックウェル硬度で行なった。また、耐摩耗
特性測定はピン/ディスク法を用い、ピン側にWC−C
o合金、ディスク側に得られた耐摩耗コーティング部材
を用いて、面圧を10kg/cm2 、摩擦距離1000
0mで試験を行なって摩耗量を計った。
【0068】(比較例2)比較例として、金属基材とし
て縦50mm、横80mm、厚さ15mmの炭素鋼(S
25C)を用いて、その表面を溶射前処理としてブラス
ト装置でアルミナグリット(#30)でブラスト圧力4
kg/cm2 、表面粗さRmax80μmにした後に、
酸素−アセチレンを燃料とするガス溶射法で自溶性合金
(16重量%Cr、4重量%Fe、3重量%Si、4重
量%B、及び残部Ni)の溶射粉末(粒子径25〜15
0μm)を用いて150m/秒の速度で溶射を行ない、
3mmの厚さにコーティングした。また、溶射中に金属
基材を予熱して金属基材の温度を摂氏450度にした。
この時のコーティング層の気孔率は20%であった。
【0069】次に、このコーティングした金属基材を真
空炉中で摂氏950度で6時間加熱保持して拡散密着熱
処理を行なった。この拡散密着熱処理後のコーティング
層の気孔率は5.5%であった。また、金属基材とコー
ティング層との界面の拡散層厚さは45μmであった。
【0070】そして、このようにして得られた耐摩耗コ
ーティング部材を硬さ測定と耐摩耗特性測定に用いた。
硬さ測定はロックウェル硬度で行なった。また、耐摩耗
特性測定はピン/ディスク法を用い、ピン側にWC−C
o合金、ディスク側に得られた耐摩耗コーティング部材
を用いて、面圧を10kg/cm2 、摩擦距離1000
0mで試験を行なって摩耗量を計った。
【0071】図5に示す測定結果から明らかなように、
本実施の形態の耐摩耗コーティング部品及びその製造方
法は、実施例1乃至実施例5で示す如く、比較例1及び
比較例2の耐摩耗コーティング部品と比べて、硬さが充
分に高く、摩擦量が極めて少なく、総じて耐摩耗特性が
非常に優れていることが理解できる。
【0072】以上により、自溶性合金の耐摩耗コーティ
ング層を1mm〜10mmと厚膜に形成することがで
き、しかも耐摩耗コーティング層の気孔率を3%以下と
極めて少なくすることができ、よって硬さが高く、摩擦
量が少なく、優れた耐摩耗特性を有する耐摩耗コーティ
ング部品を得ることができる。
【0073】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、自溶性合
金の層の厚さが1mm以下では耐摩耗コーティングの効
果が小さく、厚さが10mm以上になるとコーティング
中に剥離し易くなると共に溶着処理での気孔の抜けが悪
くなることから、上記合金の層を1mm〜10mmの厚
さで且つ気孔率が15%以下に緻密にコーティングした
後に、真空炉中で上記合金の融点以下に加熱して拡散密
着熱処理を行なうことにより、耐摩耗コーティングの効
果を十分に得ることができると共に、コーティング中の
剥離を生じ難くすることができる。 また、特に、上記自
溶性合金は、その粒子径が10μm乃至150μmのも
のを使用することで、溶射フレームで加速し易くさらに
高速度、高衝撃での施行を実現しながら、溶融し易く溶
射効率を高いものとすることができる。 さらに、上記拡
散密着熱処理工程で上記合金の気孔率を3%以下に形成
することで、耐摩耗コーティング層に気孔等の欠陥の少
ない耐摩耗部品を得ることができる。 また、上記拡散密
着熱処理工程で、摂氏800度以下、または30分以下
の加熱保持では拡散密着熱処理が不十分で上記合金の層
に気孔等の欠陥が多く残り、また摂氏1050度以上ま
たは10時間以上の加熱保持では金属基材と上記合金の
層との界面に開口部等の欠陥ができることから、拡散密
着熱処理で耐摩耗特性を有する合金がコーティングされ
た金属基材を真空炉中で摂氏800度〜1050度で3
0分〜10時間加熱保持することにより、拡散密着熱処
理を十分に行なって上記合金の層に気孔等の欠陥が残る
のを少なくすることができると共に、金属基材と上記合
金の層との界面に開口部等の欠陥が生じないようにする
ことができる。 さらに、上記拡散密着熱処理工程で、拡
散層が2μm以下の厚さでは金属基材と上記合金の層と
の密着力が小さく、また200μm以上の厚さでは拡散
層に開口部等の欠陥ができることから、拡散密着熱処理
で金属基材と上記合金の層との界面に拡散層を2μm〜
200μmの厚さに形成することにより、金属基材と上
記合金の層との密着力を大きくすることができると共
に、拡散層に開口部等の欠 陥が生じないようにすること
ができる。請求項2記載の発明によれば、上記請求項1
記載の発明の効果に加えて、拡散密着熱処理で自溶性合
金層の硬さをロックウェル硬度40〜65とすることに
より、上記合金の層にCrB等の硬い化合物を析出させ
て耐摩耗特性に必要な硬さを得ることができる。
【0074】請求項3記載の発明によれば、上記請求項
記載の発明の効果に加えて、金属基材の表面粗さがR
a5μm以下またはRmax30μm以下では粗面化の
効果が小さく溶射施工中に剥離し、またRa20μm以
上またはRmax150μm以上にブラスト処理すると
金属基材へのダメージが大きくなることから、金属基材
の表面をブラスト処理によってRaが5μm〜20μ
m、またはRmaxが30μm〜150μmの表面粗さ
にすることにより粗面化の効果を大きくして溶射施工中
に剥離しないようにすることができると共に、金属基材
へのダメージを小さくすることができる。
【0075】請求項4記載の発明によれば、上記請求項
または2記載の発明の効果に加えて、金属基材の温度
が摂氏200度以上になると金属基材が酸化してコーテ
ィング層が剥離し易くなり、また金属基材や上記合金が
酸化して良好な耐摩耗コーティングが得られないことか
ら、高速フレーム溶射法または超高速フレーム溶射法を
用いて上記合金をコーティング施工する時に金属基材に
空気または不活性ガスを吹き付けて金属基材の温度を摂
氏200度以下に冷却しながら上記合金を溶射コーティ
ングすることにより、金属基材が酸化しないようにして
コーティング層を剥離し難くすると共に、金属基材や上
記合金が酸化しないようにして良好な耐摩耗コーティン
グを得ることができる。請求項5記載の発明によれば、
上記請求項1乃至4いずれか記載の発明の効果に加え
て、拡散密着熱処理を行なう際に拡散密着による緻密化
と共にB化合物やSi化合物を析出させて、耐摩耗特性
に必要な高い硬さを得ることができる。
【0076】請求項6記載の発明によれば、上記請求項
1乃至いずれか記載の発明の効果に加えて、原子力プ
ラント用の耐摩耗部品にコバルトフリー材料であるNi
基自溶性合金を用いて耐摩耗コーティングを作製するこ
とで、Coによる被爆が無くなると共にNi基自溶性合
金が欠陥が無く緻密に形成でき、さらに耐摩耗特性を特
に良好なものとすることができる。
【0077】請求項7記載の発明によれば、上記請求項
1乃至いずれか記載の発明の効果に加えて、原子力プ
ラント用バルブの弁体、弁座シートリングにコバルトフ
リー材料であるNi基自溶性合金を用いて耐摩耗コーテ
ィングを作製することで、Coによる被爆が無くなると
共にNi基自溶性合金が欠陥が無く緻密に形成でき、さ
らに耐摩耗特性とシールド特性を特に良好なものとしな
がら、バルブ部での水漏れ等を生じないようにすること
ができる。
【0078】請求項8記載の発明によれば、合金のコー
ティング層を1mm〜10mmと厚膜に形成しながらも
同層の気孔率を3%以下と極めて少なくすることが可能
な優れた摩耗特性を有する耐摩耗コーティング部品を実
現できる。
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係る製造工程を示すフ
ローチャート。
【図2】同実施の形態に係る耐摩耗コーティング部品を
軸シャフトに適用した場合の一例を示す概要図。
【図3】同実施の形態に係る耐摩耗コーティング部品を
軸受に適用した場合の一例を示す概要図。
【図4】同実施の形態に係る耐摩耗コーティング部品を
バルブに適用した場合の一例を示す概要図。
【図5】同実施の形態に係る実施例1乃至実施例5と比
較例1及び比較例2の測定結果を示す図。
【符号の説明】
1…母材(シャフト材) 2…被覆層 3…台金 4…被覆層 5…バルブ本体 6…弁座 7…弁体 8…被覆層 9…被覆層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森島 康雄 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8 株式 会社東芝横浜事業所内 (56)参考文献 特開 昭63−195254(JP,A) 特開 平2−182854(JP,A) 特開 昭51−72934(JP,A) 溶接技術,産報出版株式会社,平成8 年5月1日,第44巻,第5号,p.75− 81 蓮井淳著,溶射工学,産報出版株式会 社,平成8年4月1日,p.102−105 日本溶射協会編,溶射ハンドブック, 第5版,株式会社新技術開発センター, 平成6年10月25日,p.276−284,p. 315−317,388−391 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 4/08 C23C 4/18

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属基材の表面に、粒子径が10μm乃
    至150μmの自溶性合金の粉末を高速フレーム溶射法
    または超高速フレーム溶射法を用いて350m/秒〜1
    500m/秒で溶射して1mm乃至10mmの厚さで且
    つ気孔率が15%以下にコーティングするコーティング
    工程と、 上記自溶性合金がコーティングされた金属基材に対し、
    真空炉中で上記合金の融点温度以下である摂氏800度
    乃至1050度で30分乃至10時間加熱保持する拡散
    密着熱処理を行ない、上記合金の気孔率を3%以下に形
    成すると共に、金属基材と上記合金との界面に2μm乃
    至200μmの厚さの拡散層を形成する拡散密着熱処理
    工程とを有することを特徴とする耐摩耗コーティング部
    品の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記拡散密着熱処理工程は、上記合金の
    硬さをロックウェル硬度40乃至65とすることを特徴
    とする請求項記載の耐摩耗コーティング部品の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 上記コーティング工程で金属基材の表面
    に上記合金の粉末を溶射する前に、金属基材の表面のR
    aが5μm乃至20μm、またはRmaxが30μm乃
    至150μmの表面粗さにするブラスト処理工程を有す
    ることを特徴とする請求項記載の耐摩耗コーティング
    部品の製造方法。
  4. 【請求項4】 空気または不活性ガスを吹付けて金属基
    材の温度を摂氏200度以下に冷却しながら上記コーテ
    ィング工程で金属基材の表面に上記合金の粉末を溶射す
    ることを特徴とする請求項1または2記載の耐摩耗コー
    ティング部品の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記コーティング工程は、金属基材の表
    面に溶射する自溶性合金の粉末として、10乃至30重
    量%Cr、3乃至6重量%Fe、2乃至8重量%Si、
    0.5乃至6重量%B、及び残部Ni基自溶性合金、ま
    たは10乃至30重量%Cr、10乃至30重量%N
    i、2乃至8重量%Si、0.5乃至6重量%B、及び
    残部Fe基自溶性合金、または10乃至30重量%C
    r、10乃至30重量%Ni、3乃至6重量%Fe、2
    乃至8重量%Si、0.5乃至6重量%B、及び残部C
    o基自溶性合金を使用することを特徴とする請求項1乃
    いずれか記載の耐摩耗コーティング部品の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 原子力プラント用耐摩耗部品として上記
    自溶性合金にNi基自溶性合金を使用することを特徴と
    する請求項1乃至いずれか記載の耐摩耗コーティング
    部品の製造方法。
  7. 【請求項7】 原子力プラント用バルブの弁体及び弁座
    シートリングとして上記自溶性合金にNi基自溶性合金
    を使用することを特徴とする請求項1乃至いずれか記
    載の耐摩耗コーティング部品の製造方法
  8. 【請求項8】 上記請求項1乃至いずれか記載の耐摩
    耗コーティング部品の製造方法を用いて製造したことを
    特徴とする耐摩耗コーティング部品。
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JP5399954B2 (ja) 2009-09-07 2014-01-29 株式会社フジミインコーポレーテッド 溶射用粉末

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溶接技術,産報出版株式会社,平成8年5月1日,第44巻,第5号,p.75−81
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