JPH10195525A - クロム含有鋼の精錬方法および装置 - Google Patents

クロム含有鋼の精錬方法および装置

Info

Publication number
JPH10195525A
JPH10195525A JP8357824A JP35782496A JPH10195525A JP H10195525 A JPH10195525 A JP H10195525A JP 8357824 A JP8357824 A JP 8357824A JP 35782496 A JP35782496 A JP 35782496A JP H10195525 A JPH10195525 A JP H10195525A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oxygen
flow rate
gas
lance
molten steel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP8357824A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3987149B2 (ja
Inventor
Yasutami Fukami
泰民 深見
Toshiaki Miyamoto
敏明 宮本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Original Assignee
Nisshin Steel Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nisshin Steel Co Ltd filed Critical Nisshin Steel Co Ltd
Priority to JP35782496A priority Critical patent/JP3987149B2/ja
Publication of JPH10195525A publication Critical patent/JPH10195525A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3987149B2 publication Critical patent/JP3987149B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Landscapes

  • Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 クロム含有溶鋼の到達炭素含有率を極低炭素
領域まで低下させる。 【解決手段】 酸素流量計16は吹精酸素流量を測定
し、排出酸素流量検出装置37は真空容器13から排出
される排出酸素流量を検出し、ランス高さ検出器41は
ランス高さを測定する。演算手段23は、酸素流量計1
6、排出酸素流量検出装置37の検出値に基づいて溶鋼
とスラグとに蓄積されている残存酸素量を求め、残存酸
素量をCr23量に換算し、予め定める対応関係に基づ
いて換算Cr23量に対応する目標吹精酸素流量および
目標ランス高さをそれぞれ求める。制御手段24は吹精
酸素流量およびランス高さの測定値が目標値と一致する
ように酸素流量調整弁17およびランス昇降装置22を
制御する。換算Cr23量は、脱炭効率との相関関係の
明瞭な指標値であるので、それに基づく制御によってク
ロム含有溶鋼の到達炭素含有率を低下させることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クロム含有鋼の減
圧下での精錬方法および装置、特に極低炭素ステンレス
鋼の脱炭精錬方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、代表的なクロム含有鋼である
ステンレス鋼は、電気炉や転炉など一次精錬炉で粗精錬
された後、VOD法などによってステンレス鋼溶鋼(以
後、溶鋼と略称することがある)の脱炭処理、脱ガス処
理および成分調整など、いわゆる二次精錬を施されて溶
製されている。
【0003】VOD法は、真空取鍋脱ガス装置に酸素ラ
ンスを設け、大気圧よりも低い減圧状態で取鍋内の溶鋼
に酸素ランスのノズルから上吹き酸素を吹精し、上吹き
酸素と溶鋼中炭素との反応で生じたCOガスを真空排気
し、雰囲気中のCO分圧を低下させることによってクロ
ムの酸化を抑えながら脱炭を行う精錬方法である。
【0004】図8は、従来からのVOD法によるステン
レス鋼の精錬方法を示すタイミングチャートである。図
8中には、第1従来技術3の精錬方法が実線で示されて
おり、第2従来技術4の精錬方法が点線で示されてい
る。第1従来技術3の精錬方法は次のようにして行われ
る。時刻t1では、減圧処理が開始され真空度が急速に
低下する。真空度の低下に伴い脱炭速度が緩やかに増大
し溶鋼中炭素含有率(以後、「C」%と略称することが
ある)が緩やかに低下する。
【0005】時刻t2では、真空度が予め定めるしきい
値V1に達し、酸素吹精が開始される。酸素吹精は、吹
精酸素流量と酸素ランスのノズルと溶鋼の上面との距離
から成る酸素吹精条件を予め定める初期条件に設定し、
酸素を酸素ランスから溶鋼に吹付けることによって行わ
れる。なお前記溶鋼の上面は酸素の吹付けられていない
位置の溶鋼の湯面を意味しており、前記距離は前記ノズ
ルの酸素噴射方向の軸線に沿う距離であり、その軸線が
鉛直方向であるときには前記ノズルの溶鋼上面からの高
さ(以後、ランス高さと略称する)と一致する。酸素吹
精開始に伴い脱炭速度は急速に増大して酸素吹精条件と
平衡する脱炭速度に到達し、その後、ほぼ平衡値に保た
れる。また「C」%は急速に低下し、溶鋼上に浮遊して
いるスラグ中Cr23量は、ほとんど変化しない。これ
は、酸素吹精初期には溶鋼中「C」%が高いので、溶鋼
中炭素と酸素との反応効率が高く、吹精酸素はほとんど
全量脱炭反応に費やされることによるものである。しか
しながら脱炭反応が進行して「C」%が低くなると溶鋼
中炭素と酸素との反応効率が低下し、溶鋼中クロムと酸
素との反応が生ずるので、脱炭速度がしだいに低下し、
スラグ中Cr23量がしだいに増大する。
【0006】時刻t3では、真空度が予め定めるしきい
値V2に達し、吹精酸素流量およびランス高さが予め定
める値まで階段状に低減され、その値に保持される。こ
れはスラグ中Cr23量の増大および脱炭効率の低下を
抑制するためであり、前記酸素吹精条件の変更によって
脱炭反応を促進する効果が得られる。すなわち脱炭速度
の低下傾向は変わらないもののその時間変化率は小さく
なり、スラグ中Cr23 量の増加の時間変化率は小さ
くなり、「C」%の低下の時間変化率は大きくなる。し
かしながら時刻t3以降の時間経過とともに前記効果は
しだいに失われ、脱炭速度の低下およびスラグ中Cr2
3量の増加の時間変化率は大きくなり、「C」%の低
下の時間変化率は小さくなる。
【0007】時刻t4では、真空度が予め定めるしきい
値V3に達し、しきい値V2の場合と同様に酸素吹精条
件の変更が行われる。また「C」%、脱炭速度およびス
ラグ中Cr23量の時刻t4以降の時間変化率も時刻t
3以降のそれらと同様である。時刻t5では、真空度が
予め定めるしきい値V4に到達し、酸素吹精が停止され
る。なお減圧処理はそのまま継続され、減圧下における
アルゴン底吹き撹拌が行われる。酸素吹精の停止後、
「C」%、脱炭速度およびスラグ中Cr23量はほぼ一
定水準に保たれる。なお酸素吹精の停止判定は、真空度
のみでなく排出ガス中のCO、CO2およびO2濃度によ
って行われることもあり、それらと真空度とを組合わせ
て行われることもある。時刻t6では減圧処理が停止さ
れ、溶鋼の成分調整が行われ、VOD法によるステンレ
ス鋼の精錬が終了する。
【0008】前記第2従来技術4の精錬方法は次のよう
にして行われる。時刻t1から時刻t3までの第2従来
技術4の精錬方法は、第1従来技術3とまったく同一で
あり、「C」%、脱炭速度、スラグ中Cr23量の時間
変化も第1従来技術3の場合と同一である。第2従来技
術4においては、時刻t3および時刻t4における酸素
吹精条件の変更が行われず、「C」%の水準にかかわら
ず酸素吹精条件を初期設定条件のまま固定して精錬が行
われる。したがって時刻t5において酸素吹精が停止さ
れるまで脱炭速度の低下およびスラグ中Cr23量の増
加の時間変化率が第1従来技術3のそれらよりも大き
く、その結果「C」%の低下の時間変化率が第1従来技
術3よりも小さくなる。またこの傾向は時間経過ととも
に顕著になる。時刻t5から時刻t6における第2従来
技術4の精錬方法は第1従来技術3とまったく同一であ
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】前述のように第2従来
技術4では、酸素吹精中、溶鋼中炭素含有率の水準にか
かわらず酸素吹精条件を初期設定条件のままに固定して
操業が行われる。したがって溶鋼中炭素含有率の低下に
伴って酸素供給量が過剰になり、スラグ中Cr23
生成量がしだいに増大する。スラグ中Cr23の生成量
の増大はスラグの粘性を著しく増大させ、スラグ中のC
23と溶鋼中の炭素との反応を阻害するので、精錬末
期特に酸素吹精停止後の減圧下におけるアルゴン底吹き
撹拌による脱炭反応効率が著しく低下する。前記脱炭反
応は溶鋼中炭素含有率の低い領域、たとえば300pp
m以下の領域における脱炭反応を律速するので、スラグ
中Cr23生成量の多い第2従来技術4においては溶鋼
中炭素含有率の到達値を極低炭素領域まで低下させるこ
とが困難である。またクロムの酸化ロスが多くなるの
で、有価金属であるクロムの歩留まりが大幅に低下す
る。
【0010】これに対して第1従来技術3では酸素吹精
中、真空度に応じて酸素吹精条件の適正化が図られるの
で、第2従来技術4よりもスラグ中Cr23の生成量を
低減することができ、その結果、溶鋼中炭素含有率の到
達値を第2従来技術4よりも低下させることができる。
しかしながら真空度と脱炭効率あるいはスラグ中Cr2
3の生成量との相関関係が不明瞭であるので、酸素吹
精条件の変更タイミングを適正に設定することが困難で
ある。したがって酸素吹精条件の変更タイミングが遅す
ぎる場合には、過度にスラグ中Cr23の生成量が増大
して第2従来技術4と同様に溶鋼中炭素含有率の到達値
の上昇を招いたり、酸素吹精条件の変更タイミングが早
過ぎる場合には、過度に酸素流量が低下して溶鋼中炭素
含有率の到達値の上昇を招いたりする。
【0011】また前述のように第1および第2従来技術
3,4とも酸素吹精の停止判定は真空度ならびに排ガス
中のCO、CO2、O2濃度によって行われている。しか
しながらこれらの値とスラグ中Cr23の生成量との相
関関係が不明瞭であるので、酸素吹精の停止タイミング
を適正に設定することが困難である。したがって停止タ
イミングが早過ぎることによる溶鋼中炭素含有率の到達
値の上昇を招いたり、停止タイミングが遅すぎることに
よる酸素吹精時間の延長を招いたりする。このように従
来技術では溶鋼中炭素含有率の到達値を極低炭素領域ま
で確実に低下させることが困難である。
【0012】本発明の目的は、前記問題を解決し、酸素
吹精条件の変更タイミングならびに酸素吹精の停止タイ
ミングを適正に設定することができ、溶鋼中炭素含有率
の到達値を極低炭素領域まで確実に低下させることがで
きるクロム含有鋼の精錬方法および装置を提供すること
である。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、真空容器内に
クロム含有溶鋼を貯留した取鍋を配置し、真空容器内を
減圧して前記溶鋼に酸素ランスのノズルから酸素を吹精
するクロム含有鋼の精錬方法において、取鍋に貯留され
ているクロム含有溶鋼と溶鋼上に浮遊しているスラグと
に蓄積される残存酸素量を求め、前記求めた残存酸素量
が増加するにつれて酸素ランスから吹精される吹精酸素
流量を減少させることを特徴とするクロム含有鋼の精錬
方法である。本発明に従えば、残存酸素量の増加につれ
て吹精酸素流量が減少されるので、過剰な酸素の供給が
抑制され、クロムの過剰酸化が抑制される。したがって
クロムの添加歩留りが大幅に向上する。また残存酸素量
は脱炭効率との相関関係が明瞭な指標値であるので、前
記残存酸素量に基づいて設定される吹精酸素流量は脱炭
効率を高水準に維持することのできる適正流量に確実に
設定される。また残存酸素量の増加につれて吹精酸素流
量が階段状に減少される場合には、吹精酸素流量の変更
タイミングが同様に脱炭効率を高水準に維持することの
できる適正タイミングに確実に設定される。これに対し
て、従来技術の吹精酸素流量は脱炭効率との相関関係が
不明瞭な真空度などの指標値に基づいて設定されるの
で、吹精酸素流量およびその変更タイミングを適正流量
および適正タイミングに設定することが困難である。し
たがって本発明は従来技術に比べて脱炭効率を向上させ
ることができる。
【0014】また本発明は、酸素ランスのノズルと前記
溶鋼の上面との距離を前記残存酸素量が増加するにつれ
て小さくすることを特徴とする。本発明に従えば、前記
距離は残存酸素量の増加につれて小さくなるように設定
される。また吹精酸素流量は前述のように残存酸素量の
増加につれて減少する。したがって吹精酸素流量が減少
するにつれて前記距離が短くなる。溶鋼に吹精される酸
素はその圧力および流量によって溶鋼の上面にくぼみを
形成する。前記溶鋼くぼみはその深さが深くなるほど溶
鋼と酸素との反応面積を増大させて脱炭反応を促進させ
る。したがって前記距離の短縮によって溶鋼くぼみ深さ
が増加し、吹精酸素流量の低減による溶鋼くぼみ深さの
減少と相殺される。その結果、脱炭効率の低下をもたら
す溶鋼くぼみ深さの減少が防止され、脱炭効率が高水準
に維持される。また残存酸素量は脱炭効率に直接的に影
響を及ぼす指標値であるので、前記残存酸素量に基づい
て設定される前記距離は脱炭効率を高水準に維持するこ
とのできる適正距離に設定される。また残存酸素量の増
加につれて前記距離が階段状に短縮される場合には、前
記距離の変更タイミングが同様に脱炭効率を高水準に維
持することのできる適正タイミングに確実に設定され
る。これに対して従来技術の前記距離は脱炭効率に間接
的に影響を及ぼす真空度などの指標値に基づいて設定さ
れるので、前記距離およびその変更タイミングを前記適
正距離および適正タイミングに設定することが困難であ
る。したがって本発明は従来技術に比べて脱炭効率を向
上させることができる。
【0015】また本発明は、前記残存酸素量が予め定め
るしきい値に達するとき、前記酸素吹精を停止すること
を特徴とする。本発明に従えば、残存酸素量が予め定め
るしきい値に達するとき、酸素吹精が停止されるので、
酸素吹精終了時点における残存酸素量を所定値以下に抑
制することができる。残存酸素量はスラグ中のCr23
量との相関関係が明瞭な指標値であり、残存酸素量が増
加するほどスラグ中Cr23量が増加してスラグの粘性
が増加する。スラグの粘性の増加は、酸素吹精後におけ
る溶鋼中炭素とスラグ中のCr23との反応を阻害して
脱炭反応の進行を妨げ、溶鋼の到達炭素含有率を増大さ
せる。したがって前記残存酸素量の抑制は、スラグの粘
性を低粘性に止め、酸素吹精後の脱炭反応の進行を促進
させる。その結果、溶鋼の到達炭素含有率が大幅に低減
する。このように酸素吹精停止タイミングは脱炭効率に
直接的に影響を及ぼす残存酸素量に基づいて設定される
ので、脱炭効率を高水準に維持することのできる適正タ
イミングに確実に設定される。これに対して従来技術の
酸素吹精タイミングは脱炭効率に間接的に影響を及ぼす
真空度などの指標値に基づいて設定されるので、前記適
正タイミングに設定することが困難である。したがって
本発明は、従来技術に比べて溶鋼の到達炭素含有率を低
下することができる。また前記脱炭反応進行に伴ってス
ラグ中Cr23の還元反応が進行するので、クロムの添
加歩留まりを向上することができる。
【0016】また本発明は、前記真空容器から排出され
るCO、CO2 、O2 、N2 、Arガスを含む未知流量
の排出ガス中に既知流量の標準ガスを導入し、排出ガス
と標準ガスとから成る混合ガスを質量分析装置に導き、
前記質量分析装置によって質量数12,14,28,3
2,40および44における各ピークのイオン化電流な
らびに標準ガスの親ピークのイオン化電流を測定し、前
記測定値および標準ガスの流量から排出ガス中のCO、
CO2およびO2流量を算出し、前記算出値から排出ガス
中の排出酸素流量を求め、前記吹精酸素流量と前記求め
た排出酸素流量との差を積算して前記残存酸素量を連続
的に求めることを特徴とする。本発明に従えば、未知流
量の排出ガスと既知流量の標準ガスとから成る混合ガス
が質量分析装置に導かれ、質量分析装置によって質量数
12,14,28,32,40および44における各ピ
ークのイオン化電流ならびに標準ガスの親ピークのイオ
ン化電流が測定される。排出ガス中にCO、CO2
2、Arガスが含まれている場合、質量数12,1
4,28における各ピークのイオン化電流はCO、CO
2、N2ガスの親ピークおよび子ピークのイオン化電流を
重合わせたものである。また一般に子ピークのイオン化
電流の親ピークのイオン化電流に対する割合であるパタ
ーン係数はガスの種類に固有な値であり、各ガスのイオ
ン化電流は各ガスの分圧に正比例する。これによって質
量数12,14,28,32,40,44における各ピ
ークのイオン化電流は各ガスの分圧の関数としてそれぞ
れ表すことができるので、連立方程式を得ることができ
る。したがってこれらの連立方程式を解くことによっ
て、排出ガス中にCOガスと親ピークの質量数が同一の
2ガスが含まれていても、CO、CO2、N2ガスの分
圧をそれぞれ正確に求めることができる。また標準ガス
の分圧は標準ガスの親ピークのイオン化電流に基づいて
求めることができるので、既知数である標準ガス流量と
前記求めた分圧とから標準ガスの流量と分圧との比率を
求めることができる。一般にガスの流量と圧力との比率
は、ガスの種類にかかわらず一定であるので、排出ガス
の全流量および全圧が未知数であっても前記求めたC
O、CO2ガスの分圧からCO、CO2ガスの流量を求め
ることができる。また質量数32であるO2ガスの流量
も同様にして求めることができるので、前記求めたC
O、CO2、O2流量から排出ガス中の排出酸素流量を正
確に求めることができ、さらに前記吹精酸素流量と前記
求めた排出酸素流量との差を積算して前記残存酸素量を
連続的に迅速かつ正確に求めることができる。
【0017】また本発明は、未知流量の排出ガス中に既
知流量の標準ガスを導入し、排出ガスと標準ガスとから
成る混合ガスを質量分析装置に導き、前記質量分析装置
によって前記混合ガスの各質量数における各ピークのイ
オン化電流を測定し、前記測定値と標準ガスの流量とに
基づいて排出ガス中の排出酸素流量を求めることを特徴
とする排出ガス中の排出酸素流量の検出方法である。本
発明に従えば、既知流量の標準ガスが排出ガス中に導入
されるので、排出ガス流量が未知数であっても排出ガス
中の排出酸素流量を求めることができる。これによって
正確な流量測定が困難である排出ガス流量の測定を行わ
なくてもよいので、排出酸素流量を精度よく求めること
ができる。また質量分析装置によって前記混合ガスの各
質量数における各ピークのイオン化電流値が測定される
ので、イオン化電流値と各ガス分圧との関係式および各
ガス圧力と各ガス流量との関係式に基づいて排出ガス中
の排出酸素流量を正確に求めることができる。さらにま
た排出ガス中に親ピークの質量数が同一である異種ガ
ス、たとえばCOガス、N2ガスが含まれていても子ピ
ークの質量数の違いからCOガスとN2ガスとを分離す
ることができるので、排出ガス中の排出酸素流量を正確
に求めることができる。
【0018】また本発明は、クロム含有溶鋼の貯留され
ている取鍋を収容する真空容器と、真空容器の上蓋を貫
通して昇降自在に設けられ、前記溶鋼にノズルから酸素
を吹精する酸素ランスと、酸素ランスを昇降し、酸素ラ
ンスのノズルと前記溶鋼の上面との距離を調整するラン
ス昇降手段と、酸素ランスのノズルと前記溶鋼の上面と
の距離を検出するランス高さ検出手段と、酸素ランスか
ら吹精される酸素流量を検出する酸素流量検出手段と、
酸素ランスから吹精される酸素流量を調整する酸素流量
調整手段と、真空容器に接続され、真空容器の内部を減
圧する真空排気手段と、真空容器から排出される排出ガ
ス中の酸素流量を検出する排出酸素流量検出手段と、前
記酸素流量検出手段および排出酸素流量検出手段の出力
に基づいて、取鍋に貯留されているクロム含有溶鋼と溶
鋼上に浮遊しているスラグとに蓄積される残存酸素量を
求め、前記求めた残存酸素量に対応する前記吹精酸素流
量の目標値および酸素ランスのノズルと前記溶鋼の上面
との距離の目標値を予め定める対応関係に基づいてそれ
ぞれ求める演算手段と、酸素流量検出手段、ランス高さ
検出手段、演算手段の出力に応答し、吹精酸素流量の検
出値および酸素ランスのノズルと前記溶鋼の上面との距
離の検出値が前記求めた各目標値と一致するように酸素
流量調整手段およびランス昇降手段を制御する制御手段
とを含むことを特徴とするクロム含有鋼の精錬装置であ
る。また本発明に従えば、酸素流量検出手段によって検
出された吹精酸素流量と排出酸素流量検出手段によって
求められた排出酸素流量とに基づいて残存酸素量が演算
手段によって求められる。また前記求めた残存酸素量に
対応する吹精酸素流量の目標値および酸素ランスのノズ
ルと前記溶鋼の上面との距離の目標値が予め定める対応
関係に基づいて演算手段によって求められる。さらに前
記吹精酸素流量の測定値および前記距離の測定値が前記
求めた各目標値と一致するように前記酸素流量調整手段
およびランス昇降手段が制御手段によって制御される。
さらにまた前記予め定める対応関係は、たとえば操業実
績に基づいて脱炭効率が高水準に維持できるように、か
つ残存酸素量が予め定めるしきい値に達したときには酸
素吹精を停止して残存酸素量が過大にならないように設
定される。これによってクロム含有溶鋼の脱炭効率は高
水準に維持されるので、極低炭素クロム含有鋼を効率的
に精錬することができる。またスラグ中のCr23量が
抑制されるので、クロムの添加歩留りを向上させること
ができ、省資源を図ることができる。
【0019】また本発明の前記排出酸素流量検出手段
は、真空容器から排出される排出ガス中へ標準ガスを導
入する標準ガス供給装置と、標準ガスの供給流量を検出
する標準ガス流量検出手段と、前記排出ガスと標準ガス
とから成る混合ガスの各質量数における各ピークのイオ
ン化電流を測定する質量分析装置と、標準ガス流量検出
手段および質量分析装置の出力に基づいて、排出ガス中
の排出酸素流量を算出する計算手段とを含むことを特徴
とする。本発明に従えば、標準ガス流量検出手段によっ
て供給流量を測定された標準ガスが供給装置から排出ガ
ス中へ導入され、排出ガスと標準ガスとから成る混合ガ
スの各質量数における各ピークのイオン化電流が質量分
析装置によって測定される。また標準ガス流量検出手段
および質量分析装置の出力に基づいて排出ガス中の排出
酸素流量が計算手段によって算出される。これによって
排出酸素流量検出手段は排出ガスの流量が未知数であっ
ても、かつ質量数の同一のガスが排出ガス中に含まれて
いても排出ガス中の排出酸素流量を精度よく検出するこ
とができる。
【0020】また本発明の前記標準ガス供給装置には、
標準ガス供給管路が備えられており、前記標準ガス供給
管路は真空容器から真空排気手段に排出ガスを案内する
通路に接続されていることを特徴とする。本発明に従え
ば、標準ガスは真空容器から真空排気手段に排出ガスを
案内する通路に標準ガス供給管路を介して導入されるの
で、たとえば標準ガスが前記通路よりも容積の大きい真
空容器内に導入される場合に比べて排出ガスと標準ガス
とが均一に混合されるまでの所要時間が短くなる。した
がって特に標準ガスが間欠的に導入される場合には質量
分析計の応答性を大幅に向上することができる。
【0021】また本発明の前記標準ガス供給管路の一端
部には、標準ガス供給口が形成されており、前記標準ガ
ス供給口は真空容器から真空排気手段に排出ガスを案内
する通路内に突出して設けられ、前記標準ガス供給口の
開口部は排出ガスの流れ方向上流側に向けて設置されて
いることを特徴とする。本発明に従えば、標準ガスは標
準ガス供給口の開口部から排出ガスの流れ方向上流側に
向けて供給されるので、標準ガスと排出ガスとは対向流
となって混合される。したがって標準ガスと排出ガスと
の混合が迅速かつ均一に行われる。
【0022】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の一形態であ
るクロム含有鋼の精錬装置の構成を簡略化して示す系統
図であり、図2は図1に示すクロム含有鋼の精錬装置の
電気的構成を示すブロック図である。クロム含有鋼の精
錬装置11は真空容器13と、酸素ランス15と酸素流
量検出手段16と酸素流量調整手段17と、真空排気手
段18と、排出酸素流量検出手段37と、真空計21
と、ランス昇降手段22と、ランス高さ検出手段41
と、演算手段23と制御手段24とを含んで構成され
る。
【0023】転炉で粗精錬されたクロム含有鋼、たとえ
ばステンレス鋼の溶鋼は、取鍋26に注入され取鍋26
に貯留された状態で真空容器13に収容される。取鍋2
6の底部には、多孔質の耐火物から成るポーラスプラグ
27が設けられており、ポーラスプラグ27には供給管
28が接続されている。供給管28は不活性ガス、たと
えばアルゴンガスを供給する管路であり、アルゴンガス
はポーラスプラグ27を介して溶鋼中に吹込まれて溶鋼
を撹拌する。真空容器13は本体12と上蓋14とを備
えており、真空室を形成する。真空容器13の本体12
は、有底円筒形容器であり、その側壁には真空容器13
から真空排気手段18に排出ガスを案内する通路である
真空排気ダクト29が設けられている。真空容器13の
上蓋14は真空容器13に乗載され、真空容器13の本
体12を気密に塞ぐ。真空容器13の上蓋14には、酸
素ランス15と、測温サンプリング装置30と、合金添
加装置31とが設けられている。
【0024】酸素ランス15は鉛直軸線を有する長尺管
であり、真空容器13の上蓋14を貫通して昇降自在に
設置されている。酸素ランス15の先端部には、ノズル
15aが溶鋼を臨んで同軸に装着されており、吹精酸素
はノズル15aから鉛直方向に溶鋼に向かって噴射され
る。ランス昇降手段であるランス昇降装置22は真空容
器13の上蓋14に設けられ、酸素ランス15を昇降駆
動してノズル15aと溶鋼の上面との距離である前記ラ
ンス高さを調整する。ランス高さ検出手段であるランス
高さ検出器41はランス昇降装置22に設けられ、ラン
ス高さを検出する。測温サンプリング装置30は、溶鋼
の採取と温度測定とを同時に行う装置であり、前記上蓋
14を貫通して昇降自在に設置されている。溶鋼の測温
サンプリングは、後記真空処理前後に行われ、真空処理
前の測温サンプリング後には、取鍋26の上部に中蓋3
2がセットされる。合金添加装置31は、合金添加槽3
3と、シュート34とから成り、合金元素を溶鋼中に添
加して溶鋼の成分調整を行う。前記酸素ランス15に
は、酸素ガスタンク36から酸素供給管路35を介して
酸素が供給されている。酸素供給管路35には酸素流量
検出手段である酸素流量計16と、酸素流量調整手段で
ある酸素流量調整弁17とが設けられている。酸素流量
計16は、吹精酸素の流量を検出し、酸素流量調整弁1
7は、弁開度を調整して吹精酸素の流量を調整する。
【0025】前記真空排気ダクト29の終端部には、真
空排気手段であるスチームエジェクタ18が設けられて
おり、前記真空排気ダクト29の中間部には、真空度を
測定する真空計21と、排出酸素流量検出手段である排
出酸素流量検出装置37とが設けられている。スチーム
エジェクタ18は、真空容器13の内部空間内の排出ガ
スを真空排気する。前記内部空間の圧力は、大気圧以下
の予め定める値、たとえば2トールに減圧され、その圧
力は前記真空計21によって検出される。なお前記処理
を以後、真空処理と略称する。
【0026】前記排出酸素流量検出装置37は、真空容
器から排出される排出ガス中へ後述する標準ガスを導入
する標準ガス供給装置42と標準ガス流量検出手段であ
る標準ガス流量計19と、質量分析装置45と、図示し
ない計算手段とを含んで構成される。標準ガス供給装置
42は、標準ガスタンク44と標準ガス供給管路43と
を備えている。標準ガス供給管路43の一端部は真空排
気ダクト29の真空容器13側の一端部寄りに接続され
ており、かつ真空排気ダクト29内部に突出している。
また標準ガス供給管路43の一端部に形成されている標
準ガス供給口43aは、その開口部を排出ガスの流れ方
向上流側に向けて設置されている。したがって標準ガス
と排出ガスとは対向流となって混合され、その結果、標
準ガスと排出ガスとの混合が迅速かつ均一に行われる。
これに対して標準ガス供給管路43の他端部は標準ガス
タンク44に接続されている。標準ガス供給管路43に
は、標準ガス流量計19が設けられており、標準ガス流
量計19は標準ガスの供給流量を検出する。標準ガスは
標準ガスタンク44から標準ガス供給管路43および標
準ガス流量計19を介して標準ガス供給口43aから真
空排気ダクト29内に導入され、排出ガスと迅速かつ均
一に混合されて下流側に排出される。
【0027】前記質量分析装置45は、分析ガス採取管
路38と、フィルタ39と吸引ポンプ40と、質量分析
計20とを含んで構成される。前記分析ガス採取管路3
8は、排出ガスと標準ガスとから成る混合ガスを採取す
るための管路であり、管路の一端部は真空排気ダクト2
9に接続されている。フィルタ39は混合ガス中の粉塵
を除去し、吸引ポンプ40は混合ガスを吸引して質量分
析計20に導く。質量分析計20は、混合ガスの各質量
数における各ピークのイオン化電流を計測する。前記計
算手段は、標準ガス流量計19および質量分析計20の
出力に基づいて排出ガス中の排出酸素流量を算出する。
排出酸素流量の算出手順については後述する。
【0028】図2を参照して、クロム含有鋼の精練装置
の電気的構成を説明する。前記酸素流量計16は、酸素
ランス15から吹精される吹精酸素流量を測定してその
出力を演算手段23および制御手段24に送る。排出酸
素流量検出装置37は、後述する算出手順によって真空
容器13から排出される排出ガス中の排出酸素流量を検
出してその出力を演算手段23に送る。ランス高さ検出
器41はランス高さを検出してその出力を制御手段24
に送る。演算手段23は、たとえばプロセスコンピュー
タであり、酸素流量計16および排出酸素流量検出装置
37の出力に基づいて取鍋26内の溶鋼とスラグとに蓄
積される残存酸素量を求め、前記求めた残存酸素量をそ
れに対応する値であるCr23量に換算し、演算手段2
3のメモリ25に記憶されている予め定める対応関係に
基づいて前記求めた換算Cr23量に対応する吹精酸素
流量の目標値およびランス高さの目標値をそれぞれ求
め、その出力を制御手段24に送る。制御手段24は、
たとえばプロセスコンピュータであり、吹精酸素流量お
よびランス高さの測定値が前記求めた各目標値と一致す
るように酸素流量調整弁17およびランス昇降装置22
を駆動制御する。
【0029】図3は換算Cr23量と酸素吹精条件の目
標値との対応関係を示すグラフであり、図3(1)は換
算Cr23量と目標吹精酸素流量との対応関係を示すグ
ラフであり、図3(2)は換算Cr23量と目標ランス
高さとの対応関係を示すグラフである。前記各対応関係
は操業実績値に基づいて予め設定されたものである。換
算Cr23量と目標吹精酸素流量との対応関係は、図3
(1)に示すように換算Cr23量が大きくなるにつれ
て目標吹精酸素流量が階段状にまたは連続的に小さくな
るように予め設定される。前記対応関係が階段状に設定
される場合STには図3(1)中に実線で示すように換
算Cr23量が予め定めるしきい値C1,C2,C3に
到達するたびにそれに対応して目標吹精酸素流量を低下
させる設定変更が行われる。なお換算Cr23量がしき
い値C3に達すると、目標吹精酸素流量は零に設定さ
れ、酸素吹精が停止される。
【0030】これに対して対応関係が連続的に設定され
る場合CTには、図3(1)中に点線で示すように換算
Cr23量がしきい値C1に達するまでは目標吹精酸素
流量が階段状に設定される場合STと同一の初期設定値
に設定され、換算Cr23量がしきい値C1に達すると
換算Cr23量が大きくなるにつれて目標吹精酸素流量
が連続的に小さくなるように設定され、換算Cr23
がしきい値C3に達すると、目標吹精酸素流量は零に設
定され、酸素吹精が停止される。このように換算Cr2
3量が大きくなるにつれて目標吹精酸素流量が小さく
なるように設定されるのは、吹精酸素流量の過剰な供給
を防止し、クロムの過剰酸化を防止するためである。
【0031】換算Cr23量と目標ランス高さとの対応
関係は、図3(2)に示すように換算Cr23量が大き
くなるにつれて目標ランス高さが階段状にまたは連続的
に小さくなるように予め設定される。また目標ランス高
さは、図3(1)に示す目標吹精酸素流量の低下と同調
して低下している。すなわち前記対応関係が階段状に設
定される場合STには、図3(2)中に実線で示すよう
にしきい値C1、C2において目標ランス高さを低下さ
せる設定変更が行われており、前記対応関係が連続的に
設定される場合CTには、図3(2)中に点線で示すよ
うに換算Cr23量がしきい値C1を越えると換算Cr
23量が大きくなるにつれて目標ランス高さが前記吹精
酸素流量の低下に対応して連続的に低下している。また
換算Cr23量がしきい値C3に達したときには、いず
れの場合も酸素吹精の停止に対応して目標ランス高さが
初期設定値に復帰する。
【0032】酸素ランス15のノズル15aから溶鋼に
吹精される酸素は、その圧力および流量によって溶鋼の
上面にくぼみを形成する。前記溶鋼くぼみはその深さが
深くなるほど溶鋼と酸素との反応面積を増大させて脱炭
反応を促進させる。前述のように目標ランス高さが目標
吹精酸素流量の低下に同調して小さくなるように設定さ
れるのは、吹精酸素流量の低下による溶鋼くぼみ深さの
減少をランス高さの低下による溶鋼くぼみ深さの増加に
よって相殺し、反応界面積を維持して脱炭効率の低下を
防止するためである。
【0033】以上述べたように吹精酸素流量の目標値お
よびランス高さの目標値は、換算Cr23量との対応関
係に基づいて設定される。また前記各目標値の設定変更
は、換算Cr23量が前記各しきい値C1、C2、C3
に達するタイミングごとに行われる。換算Cr23量は
脱炭効率との相関関係が明瞭な指標値であるので、それ
に基づいて設定される前記各目標値およびその変更タイ
ミングは脱炭効率を高水準に維持することのできる適正
目標値および適正タイミングに設定することができる。
なお図3に示す対応関係は数式化されて前記演算手段2
3のメモリ25に予め記憶される。
【0034】前述のように本実施の形態では、取鍋26
内の溶鋼およびスラグ中に蓄積される残存酸素量を求
め、前記求めた残存酸素量に基づいて溶鋼の精錬が行わ
れる。また前記残存酸素量は、真空容器13に供給され
る吹精酸素流量と真空容器13から排出される排出ガス
中の排出酸素流量とを求め、吹精酸素流量と排出酸素流
量との差を積算することによって求められる。一般に前
記排出酸素流量は排出ガス流量と排出ガス成分濃度とを
精度よく求めることによって算出することができる。し
かしながら現在使用されている排出ガス流量計は差圧式
であり、本実施の形態のように大径の真空排気ダクト2
9を通過する温度変化を伴う多量の排出ガス流量を正確
に測定することは困難である。また現在使用されている
排出ガス分析計は赤外線式であり精度および応答速度に
問題がある。したがって現時点では前記排出酸素流量を
精度よく求めることは困難である。
【0035】本発明者らは前記問題を解決するために詳
細な研究を行った結果、排出ガス中に既知流量の標準ガ
スを供給し、排出ガスと標準ガスとから成る混合ガスを
質量分析計20に導き、質量分析計20において混合ガ
スの各質量数における各ピークのイオン化電流を測定す
ることによって測定の困難な排出ガス流量の測定を行う
ことなく、前記排出酸素流量を精度よく求め得ることを
見いだした。以下にその詳細を説明する。
【0036】前述のように本実施の形態では質量分析計
20によってガス分析が行われる。一般に質量分析計2
0には次のような長所たる特徴がある。(イ)全てのガ
ス組成が同一計測器で計測することができる。(ロ)分
析計の分析精度が極めて高い。(ハ)分析用排出ガス量
が極めて微量でよく、したがって分析計までのガス送達
時間が短く、かつ分析除塵系の構造を簡単にすることが
可能である。(ニ)分析計の分析時間はミリsecのオ
ーダであり事実上全ガス組成を同時分析することができ
る。しかしながらその半面、質量数m/eの等しいガス
は同一の位置に測定値(イオン化電流値)として計測さ
れるので、異なるガスでも親ピークが一致するガス、た
とえばCOガスとN2ガスとではいずれの親ピークもm
/e=28であるから分離できないという問題がある。
【0037】本実施の形態では、精錬反応によって生ず
るガスはCOおよびCO2ガスであるけれども、リーク
によって真空容器内に進入する空気も考慮しなければな
らず、空気中のN2ガスとCOガスとを分離して計測す
る必要がある。この問題に対しては、質量分析計20に
おいて、異種のガスは子ピークすなわち2価イオンピー
クおよび再配列ピークまで含めて一致することはないこ
と、たとえばCOガスの2価イオンピークはm/e=1
4に現れると同時に再配列ピークはm/e=12にも現
れるけれども、N2ガスの2価イオンピークはm/e=
14に現れるだけでN2の2価イオンピークまたは再配
列ピークはm/e=12には現れないこと、および親ピ
ークのイオン化電流に対する子ピークのイオン化電流の
割合を表すパターン係数πは一定のイオン化電圧などの
条件下ではガスの種類によって固有であることに着目す
ると、以下に示すように前記問題は解決できる。
【0038】図4は、図1に示す排出酸素流量検出装置
による真空容器から排出される排出酸素流量の検出方法
を示す説明図である。前述のように排出酸素流量検出装
置37の標準ガスタンク44から供給された標準ガス
は、標準ガス流量計19および標準ガス供給管路43を
経由して真空排気ダクト29内に導入され、排出ガスと
均一に混合される。標準ガスと排出ガスとから成る混合
ガスは吸引ポンプ40によって分析ガス採取管路38に
吸引され、フィルタ39を経て質量分析計20に導かれ
る。
【0039】第1ステップでは、質量分析計20におい
て、前記混合ガスの各質量数における各ピークのイオン
化電流値(Amp)が計測される。計測されたイオン化
電流値Χ12、Χ14、Χ28、Χ32、Χ40、X44は、質量数
m/e=12,14,28,32,40,44のイオン
化電流値をそれぞれ示す。また本実施の形態では、標準
ガスとしてアルゴンガス(質量数m/e=40)が真空
排気ダクト29内に間欠的に供給される。アルゴンガス
が間欠的に供給されるのは、取鍋26の底部のポーラス
プラグ27から溶鋼を撹拌するために供給され、排出ガ
ス中にすでに含まれているアルゴンガスと標準ガスとし
て供給されるアルゴンガスとを区分するためである。し
たがって質量数m/e=40のイオン化電流値は、間欠
的に供給されるアルゴンガスによるイオン化電流値の変
化ΔΧ40としても求められる。
【0040】第2ステップでは、間欠的に供給されるア
ルゴンガスの流量変化ΔqA(リットル/分)が計測さ
れる。前記流量変化は標準ガス流量計19によって求め
られる。第3ステップではCO、CO2、O2およびアル
ゴンガスの感度S(p)(Amp/Torr)が求めら
れる。前記感度S(p)は排出ガスの圧力が変化すると
それに伴って変化するので、真空計21の測定圧力pに
よって感度を補正する必要がある。このため感度は圧力
pの関数S(p)として表される。なお感度S
CO(p)、SCO2(p)、SO2(p)およびSA(p)は
CO、CO2、O2およびアルゴンガスの感度をそれぞれ
示す。
【0041】第4ステップでは、CO、CO2、N2、O
2、アルゴンガスの分圧PCO、PCO2、PN2、PO2、ΔP
Aが算出される。CO、N2のm/e=14への前記パタ
ーン係数をπCO.14、πN2.14、CO、CO2のm/e=
12への前記パターン係数をπCO.12、πCO2.12および
CO2のm/e=28への前記パターン係数をπCO228
とするとき、前記分圧PCO、PCO2、PN2、PO2、ΔPA
は、下記(1)〜(6)式で表すことができる。
【0042】 Χ12=SCO(p)・πCO.12・PCO+SCO2(p)・πCO2.12・PCO2 …(1) Χ14=SCO(p)・πCO.14・PCO+SN2(p)・πN2.14・PN2 …(2) Χ28=SN2(p)・PN2+SCO(p)・PCO+SCO2(p)・πCO2.28・PCO2 …(3) Χ44=SCO2(p)・PCO2 …(4) Χ32=SO2(p)・PO2 …(5) ΔΧ40=SA(p)・ΔPA …(6) 前記(1)〜(4)式においてΧ12、Χ14、Χ28、Χ44
は第1ステップで求められる既知の値であり、SCO、S
CO2、SN2 は第3ステップで求められる既知の値であ
り、πCO.12、πCO.14、πCO2.12、πCO2.28、πN2.14
は一定条件下では固有な値であるので、PCO、PCO2
N2 は(1)〜(4)式から求めることができる。ま
た前記(5)〜(6)式において、Χ32、ΔΧ40は第1
ステップで求められる既知の値であり、SO2、SA は第
3ステップで求められる既知の値であるので、PO2、Δ
Aは(5)式、(6)式からそれぞれ求めることがで
きる。
【0043】第5ステップでは、全排出ガス流量Qと排
出ガスの全圧Pとの比率が算出される。全排出ガス流量
Qと排出ガスの全圧Pおよび標準ガスとして供給された
アルゴンガスの流量変化ΔqAとその分圧ΔPAとの間に
は下記(7)式が成立する。
【0044】
【数1】
【0045】(7)式においてΔqAは第2ステップで
求められる既知の値であり、ΔPAは(6)式から求め
られるので、全排出ガス流量Qと排出ガスの全圧Pとの
比率(Q/P)は(7)式から求めることができる。
【0046】第6ステップでは、排出ガス中のCO、C
2、O2ガスの流量が算出される。排出ガス中のCO、
CO2、O2ガスの流量をqCO、qCO2、qO2とするとq
CO、qCO2、qO2、PCO、PCO2、PO2、PおよびQの間
には下記(8)〜(10)式が成立する。
【0047】
【数2】
【0048】(8)〜(10)式においてPCO
CO2、PO2 は第4ステップで求められる既知の値であ
り、Q/Pは第5ステップで求められる既知の値である
ので、排出ガス中のCO、CO2、O2ガスの流量qCO
CO2、qO2は(8)〜(10)式から求めることがで
きる。
【0049】第7ステップでは排出酸素流量が算出され
る。排出酸素流量は下記(11)式に示すようにCO、
CO2、O2として排出される各排出ガス中の酸素分をそ
れぞれ求め、それらを加算することによって算出され
る。
【0050】
【数3】
【0051】(11)式においてqCO、qCO2、qO2
第6ステップで求められる既知な値であるので、排出酸
素流量QO2は(11)式から求めることができる。なお
前記ステップ3以降の演算は前記計算手段によって行わ
れる。
【0052】このように本実施の形態では標準ガスとし
てアルゴンガスを用い、アルゴンガスを間欠的に真空排
気ダクト29中に供給することによって真空容器13か
ら排出される排出ガスの流量に関係なく、排出ガス中の
排出酸素流量を精度よく求めることができる。また排出
ガス中に親ピークの質量数が同一である異種ガス、たと
えばCOガス、N2ガスが含まれていても、子ピークの
質量数の違いからCOガスとN2ガスとを分離すること
ができる。したがって取鍋26内の溶鋼およびスラグ中
に蓄積される残存酸素量を精度よく求めることができ
る。前記残存酸素量は溶鋼の精錬状況を表す有効な指標
値であり、そのままの形で用いることもできるけれども
本実施の形態では、前述のように前記求めた残存酸素量
を対応する値であるCr23量に換算して用いている。
【0053】なお前記排出ガス中の排出酸素流量の算出
方法は酸素を含むガスとしてCO、CO2、O2ガスを対
象としているけれども、対象ガスはそれらに限定される
ものではなく、たとえばSO2、H2Oなどのガスに対し
ても同様に適用することができる。したがって本算出方
法は適用対象となる排出ガスの範囲の広い汎用性のある
算出方法である。さらに標準ガスとしてHeガス、N2
ガスを用いてもよい。
【0054】図5は本発明にかかわるステンレス鋼の精
錬方法を示すタイミングチャートであり、図6および図
7は本発明にかかわるステンレス鋼の精錬方法を説明す
るためのフローチャートである。図5、図6および図7
により本発明にかかわるステンレス鋼の精錬方法を説明
する。ステップs1では、精錬開始に先立って条件設定
が行われる。設定される条件は、取鍋26内の溶鋼およ
びスラグ中に蓄積される換算Cr23量のしきい値C
1、C2、C3ならびに吹精酸素流量とランス高さとか
ら成る酸素吹精条件の初期目標値などである。前記しき
い値および前記酸素吹精条件の初期目標値は、前記図3
に示す換算Cr23量と目標酸素吹精条件との対応関係
に基づいて設定される。なお本実施の形態では、換算C
23量と目標吹精酸素流量との対応関係および換算C
23量と目標ランス高さとの対応関係はいずれも階段
状に設定されている。
【0055】ステップs2では、真空処理が開始され
る。真空処理は時刻t11に開始され、真空度が急速に
低下する。真空度の低下に伴って脱炭速度が緩やかに増
大し、溶鋼中炭素含有率「C」%が緩やかに低下する。
ステップs3では、酸素吹精が時刻t12において開始
され、溶鋼に酸素が吹付けられる。酸素吹精開始時の酸
素吹精条件は前記初期目標値に基づいてプリセットされ
る。酸素吹精開始に伴い脱炭速度は急速に増大し、酸素
吹精条件と平衡する脱炭速度に到達し、その後、ほぼ平
衡値に保たれる。また前記「C」%は急速に低下し、換
算Cr23量はほとんど増大しない。これは、酸素吹精
初期には溶鋼中炭素含有量が高いので、溶鋼中炭素と酸
素との反応効率が高く、吹精酸素はほとんど全量脱炭反
応に費やされることによるものである。
【0056】ステップs4では吹精酸素流量およびラン
ス高さの測定が酸素流量計16およびランス高さ検出器
41によって連続的に行われる。ステップs5では、吹
精酸素流量およびランス高さの測定値がステップs1で
設定された各初期目標値と一致しているか否かが判断さ
れる。この判断が否定であれば、ステップs6に進み、
酸素吹精条件の変更が行われる。酸素吹精条件の変更
は、酸素流量調整弁17およびランス昇降装置22を駆
動することによって行われる。酸素吹精条件の変更後、
再度ステップs4に戻り、吹精酸素流量およびランス高
さの測定が行われる。このステップs4からステップs
6を巡る処理は、ステップs5の判断が肯定になるまで
繰返される。このように、前記吹精酸素流量およびラン
ス高さの制御がフィードバック制御によって行われるの
で、酸素吹精条件は迅速かつ確実に初期目標値と一致す
るように制御される。ステップs5の判断が肯定であれ
ば、あるいは肯定になれば、ステップs7に進む。
【0057】ステップs7では、排出ガス中の排出酸素
流量が検出される。前記排出酸素流量の検出は、前記図
4に示す方法によって行われる。ステップs8では、残
存酸素量および換算Cr23量の算出が行われる。取鍋
26内の溶鋼およびスラグ中に蓄積される残存酸素量
は、ステップs4で計測した吹精酸素流量とステップs
7で求めた排出酸素流量との差を積算することによって
連続的に求められる。また換算Cr23量は、前記求め
た残存酸素量に換算係数(=152/48)を乗算する
ことによって求められる。なお前記換算係数は、クロム
および酸素の原子量52、16に基づいて求められる。
【0058】ステップs9では、前記求めた換算Cr2
3量がステップs1で設定されたしきい値C1以上で
あるか否かが判断される。前記しきい値C1の値は、た
とえば250kgである。この判断が否定であれば再度
ステップs7に戻る。このステップs7からステップs
9を巡る処理はステップs9における判断が肯定になる
まで繰返される。前述のように酸素吹精初期においては
換算Cr23量はほとんど増大しないので、ステップs
9における判断は酸素吹精初期には否定となり、酸素吹
精がそのまま続けられる。しかしながら酸素吹精の進行
に伴い脱炭反応が進行して〔C〕%が低くなると、溶鋼
中炭素と酸素との反応効率が低下し、溶鋼中クロムと酸
素との反応が生ずる。その結果、脱炭速度が低下し、換
算Cr23量がしだいに増加する。換算Cr23量が増
加してステップs9の判断が肯定になると、ステップs
10に進む。
【0059】ステップs10では、酸素吹精条件の目標
値の設定変更が行われる。前記酸素吹精条件の目標値の
設定変更は、前記図3(1)、(2)に示す換算Cr2
3量と目標酸素吹精条件との対応関係に基づいて行わ
れる。すなわち前記求めた換算Cr23量に対応する目
標吹精酸素流量および目標ランス高さが目標値として設
定変更される。図3(1)、(2)に示すように目標吹
精酸素流量および目標ランス高さは、換算Cr23量が
大きくなるにつれて小さくなるように設定されているの
で、設定変更後の目標吹精酸素流量および目標ランス高
さは設定変更前よりも減少する。
【0060】ステップs11では、酸素吹精条件の変更
が時刻t13において行われる。酸素吹精条件の変更は
ステップs6の場合と同様に酸素流量調整弁17および
ランス昇降装置22を駆動することによって行われる。
ステップs12では、吹精酸素流量およびランス高さの
測定が行われる。ステップs13では、これら酸素吹精
条件の測定値が前記設定変更した目標値と一致している
か否かが判断される。この判断が否定であれば再度ステ
ップs11に戻り、さらに酸素吹精条件の変更が行われ
る。このステップs11からステップs13を巡る処理
は、ステップs13の判断が肯定になるまで繰返され
る。このように前記酸素吹精条件の制御は、フィードバ
ック制御によって行われるので、酸素吹精条件は迅速か
つ確実に設定変更された目標値と一致するように制御さ
れる。ステップs13の判断が肯定であれば、あるいは
肯定になれば、ステップs14に進む。
【0061】前記ステップs11における酸素吹精条件
の変更後、「C」%は引続き低下し、換算Cr23量は
引続き増大し、これに伴い脱炭速度も低下する。しかし
ながら酸素吹精条件の変更によって「C」%の時間変化
率は大きくなり、換算Cr23量の時間変化率は小さく
なる。すなわち酸素吹精条件の変更によって「C」%の
低下は促進され、換算Cr23量の増大は抑制される。
【0062】ステップs14では排出酸素流量の検出が
行われ、ステップs15では残存酸素量および換算Cr
23量の算出が行われる。ステップs14およびステッ
プs15の処理内容は、前記ステップs7およびステッ
プs8の処理内容とそれぞれまったく同一であるので、
説明を省略する。ステップs15において換算Cr23
量の算出が行われた後、ステップs16に進む。ステッ
プs16では換算Cr23量がステップs1で設定した
しきい値C2以上であるか否かが判断される。前記しき
い値C2の値はたとえば350kgである。この判断が
否定であれば、前記ステップs9の場合とまったく同様
の繰返し処理が行われる。ステップs16における判断
が肯定になるとステップs17に進む。ステップs17
では、酸素吹精条件の目標値の設定変更がステップs1
0の場合と同様に行われ、ステップs18では酸素吹精
条件の変更が時刻t14においてステップs11の場合
と同様に行われる。なお酸素吹精条件の変更後における
脱炭速度、「C」%、換算Cr23量の経時変化および
その時間変化率は時刻t13以降の場合とほぼ同一であ
る。
【0063】ステップs17以降ステップs22までの
各ステップの処理内容は、前記ステップs10からステ
ップs15の処理内容とそれぞれまったく同一であるの
で、説明を省略する。ステップs22において換算Cr
23量の算出が行われた後、ステップs23に進む。ス
テップs23では換算Cr23量がステップs1で設定
したしきい値C3以上であるか否かが判断される。前記
しきい値C3の値は、たとえば450kgである。この
判断が否定であれば前記ステップs9およびステップs
16の場合とまったく同一の繰返し処理が行われる。こ
の判断が肯定になるとステップs24に進む。
【0064】ステップs24では、酸素吹精の停止が時
刻t15において行われる。酸素吹精の停止は、酸素流
量調整弁17を閉じて吹精酸素流量を零とすることによ
って行われる。またランス高さは、初期設定高さまで戻
される。酸素吹精停止後、溶鋼は減圧下(約2Tor
r)で取鍋26の底部に設けられたポーラスプラグ27
から吹込まれるアルゴンガスによって引続き撹拌され
る。これによって溶鋼中の炭素とスラグ中のCr23
の反応が生じ、脱炭反応およびCr23の還元反応が進
行する。その結果、時刻t15以降も脱炭速度は小さい
けれども、「C」%が緩やかに低下を続ける。また還元
反応の進行によって換算Cr23量が減少する。
【0065】ステップs25では、真空処理が終了す
る。真空処理の終了は、時刻t16において真空排気手
段であるスチームエジェクタ18を停止し、真空容器1
3内の圧力を大気圧に復圧させることによって行われ
る。真空処理終了後、測温サンプリング装置30によっ
て測温サンプリングが行われ、鋼中化学成分の分析が行
われる。さらに前記測温および分析結果に基づいて溶鋼
の成分および温度調整が行われ、ステンレス鋼溶鋼の精
錬が終了する。
【0066】以上述べたように本実施の形態では、取鍋
26内の溶鋼およびスラグ中に蓄積される換算Cr23
量を連続的に求め、前記求めた換算Cr23量が増加し
て予め定めるしきい値C1、C2に達すると予め定める
対応関係に基づいて酸素吹精条件の目標値が変更され、
目標吹精酸素流量および目標ランス高さが同調して低減
される。このように換算Cr23量の増大に対応して吹
精酸素流量が低減されるので、過剰な酸素の供給が抑制
され、クロムの過剰酸化が抑制される。その結果、クロ
ムの添加歩留りが大幅に向上する。また換算Cr23
は脱炭効率との相関関係が明瞭な指標値であるので、前
記換算Cr23量に基づいて設定される目標吹精酸素流
量およびその変更タイミング(しきい値C1、C2)
は、脱炭効率を高水準に維持することのできる適正流量
および適正タイミングに確実に設定される。これに対し
て従来技術の目標吹精酸素流量およびその変更タイミン
グは脱炭効率との相関関係が不明瞭な真空度などの指標
値に基づいて設定されるので、それらを適正流量および
適正タイミングに設定することが困難である。したがっ
て本実施の形態では従来技術に比べて脱炭効率を向上さ
せることができる。
【0067】さらに吹精酸素流量の低減に同調してラン
ス高さが低減されるので、吹精酸素流量の低減による溶
鋼くぼみ深さの減少をランス高さの低減による溶鋼くぼ
み深さの増加によって相殺し、反応界面積を維持して脱
炭効率の低下を防止することができる。その結果、溶鋼
の脱炭効率が高水準に維持される。さらにまた換算Cr
23量は脱炭効率に直接的に影響を及ぼす指標値である
ので、前記換算Cr23量に基づいて設定される目標ラ
ンス高さおよびその変更タイミング(しきい値C1、C
2)は脱炭効率を高水準に維持することのできる適正高
さおよび適正タイミングに設定される。これに対して従
来技術の目標ランス高さおよびその変更タイミングは脱
炭効率に間接的に影響を及ぼす真空度などの指標値に基
づいて設定されるので、それらを適正高さおよび適正タ
イミングに設定することが困難である。したがって本実
施の形態では従来技術に比べて脱炭効率を向上させるこ
とができる。
【0068】さらにまた本実施の形態の酸素吹精停止タ
イミングは、脱炭効率に直接的に影響を及ぼす換算Cr
23量に基づいて設定されるので、脱炭効率を高水準に
維持することのできる適正タイミングに確実に設定され
る。すなわち換算Cr23量が予め定めるしきい値C3
に達すると、酸素吹精が停止されるので、スラグ中のC
23量の過剰な増加を確実に防止することができ、C
23量の適正化を図ることができる。前記スラグ中の
Cr23量の過剰な増加はスラグの粘性の著しい増加を
招き、酸素吹精後における溶鋼とスラグとの反応を阻害
する。したがって前記Cr23量の適正化は前記反応阻
害要因を排除することになり、酸素吹精終了後における
溶鋼中炭素とスラグ中のCr23との反応を効率的に進
行させ、脱炭反応およびCr23の還元反応を促進させ
る。その結果、溶鋼の到達炭素含有率が大幅に低下し、
極低炭素ステンレス鋼溶鋼を安定して製造することがで
きる。これに対して従来技術の酸素吹精停止タイミング
は脱炭効率に間接的に影響を及ぼす真空度などの指標値
に基づいて設定されるので、前記適正タイミングに設定
することが困難である。したがって本実施の形態では、
従来技術に比べて溶鋼の到達炭素含有率を低下すること
ができる。またCr23が還元されるのでクロムの添加
歩留りが向上する。さらにまた前記酸素吹精条件の制御
は、フィードバック制御によって行われるので、酸素吹
精条件は迅速かつ確実に測定値と目標値とが一致するよ
うに制御される。
【0069】なお換算Cr23量と目標吹精酸素流量と
の対応関係ならびに換算Cr23量と目標酸素吹精ラン
ス高さとの対応関係は、本実施の形態では前述のように
階段状に設定された対応関係を用いているけれども、図
3(1)、図3(2)中に点線で示すように連続的に設
定された対応関係を用いてもよい。
【0070】実施例 図1に示すクロム含有鋼の精錬装置11を用いて極低炭
素ステンレス鋼の精錬を行った。対象鋼種はSUS44
4であり、1チャージ当たりの溶鋼重量は78トン/チ
ャージである。操業チャージ数は、本発明の精錬方法で
精錬を実施した実施例1においては5チャージであり、
従来技術の精錬方法で精錬を実施した比較例1および比
較例2においてはそれぞれ5チャージである。実施例1
の精錬方法は、酸素吹精条件の変更タイミングおよび酸
素吹精の停止タイミングを前記換算Cr23量に基づい
て行う方法であり、比較例1の精錬方法は酸素吹精条件
の変更タイミングおよび酸素吹精の停止タイミングを真
空度および排出ガス中酸素濃度に基づいて行う方法であ
り、比較例2の精錬方法は酸素吹精条件を初期設定のま
ま固定し、酸素吹精の停止タイミングを真空度および排
出ガス中酸素濃度に基づいて行う方法である。実施例
1、比較例1および比較例2の操業条件および精錬後の
最終到達炭素含有率(以後、到達「C」と略称する)を
表1にそれぞれ示す。
【0071】
【表1】
【0072】表1から実施例1の到達「C」は20〜4
0ppmであり、比較例1および比較例2に比べて低水
準で良好であること、比較例1の到達「C」は50〜7
0ppmであり、比較例2よりは低水準で良好であるけ
れども、実施例1に比べると高水準で劣ること、比較例
2の到達「C」は50〜90ppmであり、実施例1お
よび比較例1に比べて高水準で劣ることなどが判る。
【0073】このように実施例1の到達「C」が良好で
あるのは、酸素吹精条件の変更タイミングおよび酸素吹
精の停止タイミングが脱炭効率との相関関係が明瞭な換
算Cr23量に基づいて適正に設定されているからであ
ると考えられる。これに対して比較例1の到達「C」が
実施例1に比べて劣るのは、酸素吹精条件の変更タイミ
ングおよび酸素吹精の停止タイミングが脱炭効率との相
関関係が不明瞭な真空度や排出ガス中酸素濃度に基づい
て設定されているので、適正タイミングから外れている
からであると考えられる。また比較例1の到達「C」が
比較例2に比べて良好であるのは、酸素吹精条件の変更
タイミングが精錬の進行に応じて設定されているためで
あると考えられる。以上述べたように本発明は極低炭素
ステンレス鋼の精錬方法として極めて優れた精錬方法で
あり、産業上極めて有益である。
【0074】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、残存酸素
量の増加につれて吹精酸素流量が減少されるので、クロ
ムの過剰酸化が抑制され、クロムの添加歩留りが大幅に
向上する。また吹精酸素流量およびその変更タイミング
は、残存酸素量に基づいて脱炭反応を効率的に進行させ
ることのできる適正流量および適正タイミングに設定さ
れるので、従来技術に比べて脱炭効率を向上させること
ができる。
【0075】また本発明によれば、酸素ランスのノズル
と溶鋼の上面との距離は残存酸素量の増加につれて小さ
くなるので、脱炭効率の低下が防止され、脱炭効率が高
水準に維持される。また前記距離およびその変更タイミ
ングは残存酸素量に基づいて脱炭効率を高水準に維持す
ることのできる適正距離および適正タイミングに設定さ
れるので、従来技術に比べて脱炭効率を向上させること
ができる。
【0076】また本発明によれば、残存酸素量が予め定
めるしきい値に達するとき、酸素吹精が停止されるの
で、スラグ中のCr23量を抑制することができる。ス
ラグ中のCr23量の抑制はスラグの粘性を低粘性に止
め、酸素吹精後の脱炭反応の進行を促進させる。このよ
うに本発明の酸素吹精停止タイミングは脱炭効率に直接
的に影響を及ぼす残存酸素量に基づいて設定されるの
で、脱炭効率を高水準に維持することのできる適正タイ
ミングに設定される。その結果、極低炭素クロム含有鋼
を効率的に製造することができる。また前記脱炭反応の
進行に伴ってスラグ中Cr23の還元反応が進行するの
でクロムの添加歩留りを向上することができる。
【0077】また本発明によれば、CO、CO2 、O
2 、N2 、Arガスを含む未知流量の排出ガス中の排出
酸素流量が標準ガスおよび質量分析装置を用いることに
よって正確に求められるので、それに基づいて残存酸素
量を連続的に迅速かつ正確に求めることができる。
【0078】また本発明によれば、排出ガス流量が未知
数であっても、親ピークの質量数が同一であるガスが排
出ガス中に含まれていても排出ガス中の排出酸素流量を
正確に求めることができるので、適用対象となる排出ガ
スの種類を大幅に拡大することができる。また質量分析
装置によって測定が行われるので、ガスの種類にかかわ
らず迅速に測定することができる。
【0079】また本発明によれば、クロム含有鋼の精錬
装置はクロム含有鋼の脱炭効率を高水準に維持すること
ができるので、極低炭素クロム含有鋼を効率的に精錬す
ることができる。またスラグ中のCr23量が抑制され
るので、クロムの添加歩留りを向上させることができ、
省資源を図ることができる。
【0080】また本発明によれば、排出酸素流量検出手
段は排出ガス中の排出酸素流量を精度よく検出すること
ができるので、残存酸素量の算出精度を大幅に向上する
ことができる。
【0081】また本発明によれば、標準ガスは通路に標
準ガス供給管路を介して導入されるので、排出ガスと標
準ガスとが均一に混合されるまでの所要時間が短くな
る。したがって質量分析装置の応答性を大幅に向上する
ことができる。
【0082】また本発明によれば、標準ガスは標準ガス
供給口の開口部から排出ガスの流れ方向上流側に向けて
供給されるので、標準ガスと排出ガスとの混合が迅速か
つ均一に行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態であるクロム含有鋼の精
錬装置の構成を簡略化して示す系統図である。
【図2】図1に示すクロム含有鋼の精錬装置の電気的構
成を示すブロック図である。
【図3】換算Cr23量と酸素吹精条件の目標値との対
応関係を示すグラフである。
【図4】図1に示す排出酸素流量検出装置による真空容
器から排出される排出酸素流量の検出方法を示す説明図
である。
【図5】本発明にかかわるステンレス鋼の精錬方法を示
すタイミングチャートである。
【図6】本発明にかかわるステンレス鋼の精錬方法を説
明するためのフローチャートである。
【図7】本発明にかかわるステンレス鋼の精錬方法を説
明するためのフローチャートである。
【図8】従来からのVOD法によるステンレス鋼の精錬
方法を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
11 クロム含有鋼の精錬装置 13 真空容器 15 酸素ランス 16 酸素流量検出手段 17 酸素流量調整手段 18 真空排気手段 19 標準ガス流量検出手段 20 質量分析計 21 真空計 22 ランス昇降手段 23 演算手段 24 制御手段 29 真空排気ダクト 37 排出酸素流量検出手段 41 ランス高さ検出手段

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空容器内にクロム含有溶鋼を貯留した
    取鍋を配置し、真空容器内を減圧して前記溶鋼に酸素ラ
    ンスのノズルから酸素を吹精するクロム含有鋼の精錬方
    法において、 取鍋に貯留されているクロム含有溶鋼と溶鋼上に浮遊し
    ているスラグとに蓄積される残存酸素量を求め、前記求
    めた残存酸素量が増加するにつれて酸素ランスから吹精
    される吹精酸素流量を減少させることを特徴とするクロ
    ム含有鋼の精錬方法。
  2. 【請求項2】 酸素ランスのノズルと前記溶鋼の上面と
    の距離を前記残存酸素量が増加するにつれて小さくする
    ことを特徴とする請求項1記載のクロム含有鋼の精錬方
    法。
  3. 【請求項3】 前記残存酸素量が予め定めるしきい値に
    達するとき、前記酸素吹精を停止することを特徴とする
    請求項1または2記載のクロム含有鋼の精錬方法。
  4. 【請求項4】 前記真空容器から排出されるCO、CO
    2 、O2 、N2 、Arガスを含む未知流量の排出ガス中
    に既知流量の標準ガスを導入し、排出ガスと標準ガスと
    から成る混合ガスを質量分析装置に導き、前記質量分析
    装置によって質量数12,14,28,32,40およ
    び44における各ピークのイオン化電流ならびに標準ガ
    スの親ピークのイオン化電流を測定し、前記測定値およ
    び標準ガスの流量から排出ガス中のCO、CO2および
    2流量を算出し、前記算出値から排出ガス中の排出酸
    素流量を求め、前記吹精酸素流量と前記求めた排出酸素
    流量との差を積算して前記残存酸素量を連続的に求める
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のクロ
    ム含有鋼の精錬方法。
  5. 【請求項5】 未知流量の排出ガス中に既知流量の標準
    ガスを導入し、排出ガスと標準ガスとから成る混合ガス
    を質量分析装置に導き、前記質量分析装置によって前記
    混合ガスの各質量数における各ピークのイオン化電流を
    測定し、前記測定値と標準ガスの流量とに基づいて排出
    ガス中の排出酸素流量を求めることを特徴とする排出ガ
    ス中の排出酸素流量の検出方法。
  6. 【請求項6】 クロム含有溶鋼の貯留されている取鍋を
    収容する真空容器と、真空容器の上蓋を貫通して昇降自
    在に設けられ、前記溶鋼にノズルから酸素を吹精する酸
    素ランスと、 酸素ランスを昇降し、酸素ランスのノズルと前記溶鋼の
    上面との距離を調整するランス昇降手段と、 酸素ランスのノズルと前記溶鋼の上面との距離を検出す
    るランス高さ検出手段と、 酸素ランスから吹精される酸素流量を検出する酸素流量
    検出手段と、 酸素ランスから吹精される酸素流量を調整する酸素流量
    調整手段と、 真空容器に接続され、真空容器の内部を減圧する真空排
    気手段と、 真空容器から排出される排出ガス中の酸素流量を検出す
    る排出酸素流量検出手段と、 前記酸素流量検出手段および排出酸素流量検出手段の出
    力に基づいて、取鍋に貯留されているクロム含有溶鋼と
    溶鋼上に浮遊しているスラグとに蓄積される残存酸素量
    を求め、前記求めた残存酸素量に対応する前記吹精酸素
    流量の目標値および酸素ランスのノズルと前記溶鋼の上
    面との距離の目標値を予め定める対応関係に基づいてそ
    れぞれ求める演算手段と、 酸素流量検出手段、ランス高さ検出手段、演算手段の出
    力に応答し、吹精酸素流量の検出値および酸素ランスの
    ノズルと前記溶鋼の上面との距離の検出値が前記求めた
    各目標値と一致するように酸素流量調整手段およびラン
    ス昇降手段を制御する制御手段とを含むことを特徴とす
    るクロム含有鋼の精錬装置。
  7. 【請求項7】 前記排出酸素流量検出手段は、 真空容器から排出される排出ガス中へ標準ガスを導入す
    る標準ガス供給装置と、 標準ガスの供給流量を検出する標準ガス流量検出手段
    と、 前記排出ガスと標準ガスとから成る混合ガスの各質量数
    における各ピークのイオン化電流を測定する質量分析装
    置と、 標準ガス流量検出手段および質量分析装置の出力に基づ
    いて、排出ガス中の排出酸素流量を算出する計算手段と
    を含むことを特徴とする請求項6記載のクロム含有鋼の
    精錬装置。
  8. 【請求項8】 前記標準ガス供給装置には標準ガス供給
    管路が備えられており、前記標準ガス供給管路は真空容
    器から真空排気手段に排出ガスを案内する通路に接続さ
    れていることを特徴とする請求項7記載のクロム含有鋼
    の精錬装置。
  9. 【請求項9】 前記標準ガス供給管路の一端部には標準
    ガス供給口が形成されており、前記標準ガス供給口は真
    空容器から真空排気手段に排出ガスを案内する通路内に
    突出して設けられ、前記標準ガス供給口の開口部は排出
    ガスの流れ方向上流側に向けて設置されていることを特
    徴とする請求項8記載のクロム含有鋼の精錬装置。
JP35782496A 1996-12-28 1996-12-28 クロム含有鋼の精錬方法および装置 Expired - Fee Related JP3987149B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35782496A JP3987149B2 (ja) 1996-12-28 1996-12-28 クロム含有鋼の精錬方法および装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35782496A JP3987149B2 (ja) 1996-12-28 1996-12-28 クロム含有鋼の精錬方法および装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10195525A true JPH10195525A (ja) 1998-07-28
JP3987149B2 JP3987149B2 (ja) 2007-10-03

Family

ID=18456116

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP35782496A Expired - Fee Related JP3987149B2 (ja) 1996-12-28 1996-12-28 クロム含有鋼の精錬方法および装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3987149B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103063806A (zh) * 2012-12-18 2013-04-24 秦皇岛首秦金属材料有限公司 一种热处理炉内残氧量异常的检测方法
JP2013112835A (ja) * 2011-11-25 2013-06-10 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corp 溶鋼の精錬方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013112835A (ja) * 2011-11-25 2013-06-10 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corp 溶鋼の精錬方法
CN103063806A (zh) * 2012-12-18 2013-04-24 秦皇岛首秦金属材料有限公司 一种热处理炉内残氧量异常的检测方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3987149B2 (ja) 2007-10-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3287204B2 (ja) Rh真空脱ガス装置における終点炭素濃度制御方法及び炭素濃度制御装置
JP5087840B2 (ja) 真空脱ガス設備における脱炭終点判定方法
JP6007887B2 (ja) 真空脱ガス装置およびこれを用いた溶鋼の脱炭処理方法
JP3987149B2 (ja) クロム含有鋼の精錬方法および装置
JP4353054B2 (ja) Rh真空脱ガス装置における溶鋼脱炭方法
EP4095269A1 (en) Method for conducting decarburization refining of molten steel under reduced pressure
JPH09296213A (ja) クロム含有鋼の溶製方法および装置
RU2802218C1 (ru) Способ рафинирования расплавленной стали вакуумным обезуглероживанием
JP4289214B2 (ja) 溶鋼の脱炭処理方法および溶鋼製造方法
KR970005385B1 (ko) 극저탄소강의 탄소 농도 제어방법
JP6943300B2 (ja) 真空脱ガス設備の制御装置及び制御方法
RU2348699C2 (ru) Способ вакуумного рафинирования жидкой стали в ковше
KR20120110581A (ko) 진공탈가스 공정에서의 용존 산소량 예측방법
JP4075834B2 (ja) 溶鋼の成分濃度の推定方法及び極低炭素鋼の製造方法
KR101012834B1 (ko) 진공 탈가스 공정에서의 용존 탄소량 예측방법
JP3126374B2 (ja) 溶鋼の真空脱炭処理制御方法
JPH07242928A (ja) Rh型真空槽による溶鋼中炭素濃度の推定方法
JPH06306443A (ja) 真空精錬による極低炭素鋼の溶製方法
JP3293674B2 (ja) Rh脱ガス処理における終点炭素濃度制御方法
JP2005206877A (ja) 転炉吹錬時の炭素濃度の推定方法
JPH07166228A (ja) Rh脱ガスによる溶鋼の到達炭素濃度制御方法
JP5353320B2 (ja) 溶鋼の真空脱ガス方法、真空脱ガス装置および製造方法
JPH0841528A (ja) 真空脱ガス精錬方法
JPS59185720A (ja) 減圧下での溶鋼の脱炭精錬方法
JP2005350718A (ja) 含窒素鋼の溶製方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050330

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060425

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060626

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070417

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070615

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070710

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070712

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100720

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100720

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110720

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110720

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120720

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130720

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees