JPH10195287A - ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物 - Google Patents

ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物

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JPH10195287A
JPH10195287A JP39297A JP39297A JPH10195287A JP H10195287 A JPH10195287 A JP H10195287A JP 39297 A JP39297 A JP 39297A JP 39297 A JP39297 A JP 39297A JP H10195287 A JPH10195287 A JP H10195287A
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】(A)ポリフェニレンエーテル樹脂
70〜99重量部 (B)ポリオルガノシロキサンおよびポリアルキル(メ
タ)アクリレートを含む複合ゴムに、芳香族アルケニル
化合物およびシアン化ビニル化合物をグラフト重合して
なる複合ゴム系グラフト共重合体
30〜1重量部からなるポリフェニレンエーテル系樹
脂組成物。 【効果】 本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂組成
物は従来のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物に比
べ、熱安定性が良くメヤニ等の発生が少なく、耐熱性と
耐衝撃性のバランスに優れ、さらに難燃化の際には難燃
性にも優れ、揮発性成分の少ないポリフェニレンエーテ
ル系樹脂組成物を提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に高い耐熱性と
耐衝撃性に優れ、またはさらに難燃性に優れたポリフェ
ニレンエーテル系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンエーテル樹脂は機械的特
性、電気的特性、耐酸、耐アルカリ性、耐熱性等に優れ
しかも吸水性が低く寸法安定性が良いなどの性質を備え
ており、電気製品、コンピュータやワープロなどのOA
機器のハウジング、シャーシ材料などとして幅広く利用
されている。近年かかる分野で使用されるプラスチック
材料に対して、安全上の問題から、高い耐熱性と耐衝撃
性のバランスに優れる材料またさらに難燃性に優れる材
料の要求が高まっている。
【0003】特公平6−11867号公報、特開昭64
−22960公報、特開平1−282257公報、特開
平5−140445号公報等では、ポリフェニレンエー
テル樹脂とポリスチレン樹脂およびポリオルガノシロキ
サンとポリアルキル(メタ)アクリレートから成る複合
ゴムにビニル系単量体をグラフト重合して成る複合ゴム
系グラフト共重合体からなる組成物において、耐衝撃
性、耐熱性、機械強度に優れるという組成物が開示され
ている。
【0004】上記明細書中では、複合ゴムにグラフト重
合させるビニル系単量体として特にスチレンが好ましい
としている。しかしながら耐熱性の高いポリフェニレン
エーテル系樹脂組成物を製造しようとする場合、300
℃程度の高い加工温度が必要であり、上記スチレンをグ
ラフト重合した複合ゴム系グラフト共重合体を用いると
スチレンの熱安定性が低いためその分解を伴い、押出し
時ダイス部にメヤニ状の付着物が発生して、ストランド
切れ等の問題を起こし製造効率が悪くなるという問題が
あった。また同じく、複合ゴムにスチレンおよびアクリ
ロニトリルをグラフト重合したものも好ましい例として
挙げられている。しかしながらスチレンおよびアクリロ
ニトリルがグラフト重合された複合ゴム系グラフト共重
合体を用いてポリスチレン樹脂を含んだポリフェニレン
エーテル系樹脂組成物を得ようとすると、ポリスチレン
と該ゴムおよびポリフェニレンエーテルとポリスチレン
から成る樹脂マトリックスと該複合ゴム系グラフト共重
合体の相溶性が低いためか充分な耐衝撃性を持つポリフ
ェニレンエーテル系樹脂組成物を得ることはできなかっ
た。
【0005】特開平2−1760号公報では、上記ポリ
フェニレンエーテル系樹脂組成物にさらにリン酸エステ
ル系難燃剤を加え、難燃性を付与したポリフェニレンエ
ーテル系樹脂組成物が開示されている。しかしながら上
記ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物と同様な問題を
持っておりさらに、リン酸トリフェニルなどのリン酸エ
ステル系難燃剤を用いた場合、成形加工時に樹脂相から
該リン酸トリフェニルが揮発し発煙を生じたり、金型表
面やガス抜き部に該リン酸トリフェニルが付着するとい
う成形時のトラブルを起こしたり、成形品表面から該リ
ン酸トリフェニルがブリードして成形品の外観不良を引
き起こすといった問題もあった。
【0006】これら問題に関して、本出願人は特開平7
−53876号公報、特願平6−158315号公報で
記載の特定のリン酸エステル系難燃剤を用いる事によ
り、成型加工時の揮発、発煙、成形品からのブリードと
いう問題を解決できるとの提案を行っている。 しか
し、複合ゴムに、スチレンおよびアクリロニトリルをグ
ラフト重合してなる複合ゴム系グラフト共重合体とポリ
フェニレンエーテル樹脂、およびポリスチレン樹脂から
成る樹脂マトリックス相への相溶性の改良と加工時の熱
安定性の改良および高い耐熱性と耐衝撃性および機械的
強度に優れ、またはさらに難燃性に優れるポリフェニレ
ンエーテル系樹脂組成物の提供には至っていなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】すなわち本発明の課題
は、従来の技術で達成することのできなかった、ポリオ
ルガノシロキサンおよびポリアルキル(メタ)アクリレ
ートを含む複合ゴムに、スチレンおよびアクリロニトリ
ルをグラフト重合してなる複合ゴム系グラフト共重合体
と、ポリフェニレンエーテル樹脂またはこれとポリスチ
レン系樹脂からなるマトリックスとの相溶性の問題を解
決し、加工時の熱安定性が高くメヤニ等の発生がなく、
耐衝撃性と耐熱性のバランスに優れ、またはさらに難燃
剤の揮発無く難燃性に優れる、ポリフェニレンエーテル
系樹脂組成物を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の目的
を達成するため、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリス
チレン系樹脂、難燃剤および耐衝撃性付与材のあり方に
付いて鋭意検討を重ねた結果、加工時の熱安定性が高く
メヤニ等の発生が無く、耐熱性と耐衝撃性のバランスに
優れ、またはさらに難燃剤の揮発が無く難燃性に優れる
ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を見いだすに至っ
た。
【0009】すなわち本発明は、(A)ポリフェニレン
エーテル樹脂(またはポリフェニレンエーテル樹脂にポ
リスチレン系樹脂を20重量%以下を含む)ポリフェニ
レンエーテル系樹脂70〜99重量部、(B)ポリオル
ガノシロキサンおよびポリアルキル(メタ)アクリレー
トを含む複合ゴムに、スチレンおよびアクリロニトリル
をグラフト重合してなる複合ゴム系グラフト共重合体3
0〜1重量部および(A)、(B)の合計100重量部
に対して(C)リン酸エステル系難燃剤0〜30重量部
を含むポリフェニレンエーテル系樹脂組成物である。
【0010】本発明の(A)成分として用いるポリフェ
ニレンエーテル樹脂とは、一般式(c)及び/又は
(d)で表される繰り返し単位を有するポリフェニレン
エーテル樹脂の単独重合体あるいは共重合体である。
【0011】
【化5】
【0012】(ここで、R5 、R6 、R7 、R8
9 、R1 0 は独立に炭素1〜4のアルキル基、アリー
ル基、ハロゲン、水素を表す。但し、R5 とR6 、R9
とR1 0は同時に水素ではない。) ポリフェニレンエーテル樹脂の単独重合体の代表例とし
ては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)
エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フ
ェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4
−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−
プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,
6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテ
ル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェ
ニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピ
ル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル
−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテ
ル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フ
ェニレン)エーテル等が挙げられる。
【0013】この中で、ポリ(2,6−ジメチル−1,
4−フェニレン)エーテルが特に好ましい。ポリフェニ
レンエーテル共重合体とは、フェニレンエーテル構造を
主単量単位とする共重合体である。その例としては、
2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチル
フェノールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノール
とo−クレゾールとの共重合体あるいは2,6−ジメチ
ルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノール及び
o−クレゾールとの共重合体等がある。
【0014】本発明に用いるポリフェニレンエーテル樹
脂の単独重合体あるいは共重合体の製造方法は特に限定
されるものではないが例えば米国特許4,788,27
7号明細書(特願昭62−77570号公報)に記載さ
れている方法に従って、ジブチルアミンの存在下に、
2,6−キシレノールを酸化カップリング重合して製造
することができる。また、分子量および分子量分布も本
発明の要件を満たす限り、特に限定されるものではない
が、30℃クロロホルム溶媒下での還元粘度が0.3〜
0.7d /gのものが好ましく用いられる。0.3d
/g未満の還元粘度のものでは熱安定性が悪くなる傾
向があり、また0.7d /gを越える還元粘度のもの
では成形加工性が損なわれる傾向がある。
【0015】また、本発明のポリフェニレンエーテル樹
脂中には、本発明の主旨に反しない限り、従来ポリフェ
ニレンエーテル樹脂中に存在させてもよいことが提案さ
れている他の種々のフェニレンエーテルユニットを部分
構造として含んでいても構わない。少量共存させること
が提案されているものの例としては、特願昭63−12
698号公報及び特開昭63−301222号公報に記
載されている、2−(ジアルキルアミノメチル)−6−
メチルフェニレンエーテルユニットや、2−(N−アル
キル−N−フェニルアミノメチル)−6−メチルフェニ
レンエーテルユニット等が挙げられる。
【0016】また、ポリフェニレンエーテル樹脂の主鎖
中にジフェノキノン等が少量結合したものも含まれる。
さらに、ポリフェニレンエーテル樹脂には、一般にガラ
ス繊維、炭素繊維等の繊維状補強剤との密着性を改良す
るためなどに用いられる下記のα, β不飽和カルボン酸
またはその無水物等により変性されたポリフェニレンエ
ーテル樹脂も含むことができる。
【0017】α, β不飽和カルボン酸またはその無水物
の例として、特公昭49−2343号公報、特公平3−
52486号公報等に記載される無水マレイン酸、フタ
ル酸、無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水シトラ
コン酸、無水アコニット酸、無水ハイミツク酸、5−ノ
ルボルネン−2−メチル−2−カルボン酸あるいはマレ
イン酸、フマル酸等が挙げられ、これらに限定されるも
のではないが、無水マレイン酸が特に好ましい。
【0018】無水マレイン酸等のα, β不飽和カルボン
酸またはその無水物とポリフェニレンエーテル樹脂との
反応は、有機過酸化物の存在下または非存在下で両者を
混合しポリフェニレンエーテル重合体のガラス転移温度
以上の温度まで加熱することによって製造できる。本発
明のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を製造する際
には、あらかじめ無水マレイン酸等のα, β不飽和カル
ボン酸またはその無水物を結合したポリフェニレンエー
テル樹脂を用いても良いし、ポリフェニレンエーテル系
樹脂組成物を製造する際に同時に、無水マレイン酸等の
α, β不飽和カルボン酸またはその無水物を添加するこ
とによりポリフェニレンエーテル重合体と反応させる方
法でも良い。
【0019】さらに、ポリフェニレンエーテル樹脂とし
ては、エチレン性不飽和化合物により変性されたポリフ
ェニレンエーテル樹脂を含むことが出来る。本発明で
は、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物中のポリフェ
ニレンエーテル樹脂の含量が多いため、成形加工性が悪
くなる傾向にあるが、該エチレン性不飽和化合物により
変性されたポリフェニレンエーテル樹脂またはポリフェ
ニレンエーテル系樹脂組成物は、成形流動性および成形
加工時の変色抑制による製品着色性に優れるため、それ
を用いることがより好適である。
【0020】エチレン性不飽和化合物の例として、アク
リル酸のメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチ
ル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、オクチル、イソ
デシル、ラウリル、ラウリルートデシル、トリデシル、
セチル−ステアリル、ステアリル、シクロヘキシル、ベ
ンジルエステル等のアクリル酸エステル類、メタクリル
酸のメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、
t−ブチル、2−エチルヘキシル、オクチル、イソデシ
ル、ラウリル、ラウリルートデシル、トリデシル、セチ
ル−ステアリル、ステアリル、シクロヘキシル、ベンジ
ルエステル等のメタクリル酸エステル類、アクリルアミ
ド、アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレ
ン、クロルスチレン、メチルスチレン、スチルベン、ケ
イ皮アルコール、ケイ皮酸ニトリル、4−ビニルピリジ
ン等が挙げられる。これらに限定されるものではない
が、なかでもアクリル酸ステアリルおよび/またはスチ
レンを用いた場合が最も好ましい。
【0021】エチレン性不飽和化合物はポリフェニレン
エーテル樹脂100重量%に対して、0.1〜15重量
%、より好ましくは0.5〜10重量%の割合で配合さ
れる。0.1重量%より少ないと成形流動性、着色性等
の効果が小さくなり、15重量%より多すぎると耐熱性
の低下が大きくなり好ましくない。アクリル酸ステアリ
ル等のエチレン性不飽和化合物とポリフェニレンエーテ
ル樹脂との反応は、有機過酸化物の存在下または非存在
下で両者を混合しポリフェニレンエーテル重合体のガラ
ス転移温度以上の温度まで加熱することによって製造で
きる。
【0022】本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂組
成物を製造する際には、あらかじめエチレン性不飽和化
合物を結合したポリフェニレンエーテル樹脂を用いても
良いし、ポリフェニレンエーテル性樹脂組成物を製造す
る際に同時にアクリル酸ステアリル等のエチレン性不飽
和化合物を添加することによりポリフェニレンエーテル
重合体と反応させる方法でも良い。
【0023】本発明に用いるポリスチレン系樹脂とは、
一般式(e)
【0024】
【化6】
【0025】(式中、Rは水素、低級アルキルまたはハ
ロゲンを示し、Zはビニル、水素、ハロゲン及び低級ア
ルキルよりなる群から選択され、pは0〜5の整数であ
る。)で表される芳香族ビニル系単量体単位50重量%
以上から構成される単独重合体または共重合可能な他の
ビニル系単量体またはゴム質重合体との共重合体であ
る。
【0026】これら単独重合体の具体例としては、スチ
レン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレ
ン、モノクロロスチレン、p−メチルスチレン、p−t
ert−ブチルスチレン、エチルスチレン等が挙げられ
る。また、芳香族ビニル系単量体と共重合可能な他のビ
ニル系単量体としてはメチルメタクリレート、エチルメ
タクリレート等のメタクリル酸エステル類、無水マレイ
ン酸等の酸無水物等が挙げられ、またゴム質重合体とし
ては共役ジエン系ゴムあるいは共役ジエンと芳香族ビニ
ル化合物のコポリマーあるいはエチレン−プロピレン共
重合体系ゴム等が挙げられる。
【0027】上記したポリスチレン系樹脂を(A)成分
中に含ませる場合には、(A)成分中のポリスチレン系
樹脂の割合が20重量%以下であることが好ましく、さ
らに10重量%以下であるものが好ましく、ポリスチレ
ン系樹脂を含まないものが特に好ましい。ポリスチレン
系樹脂の割合が20重量%を越える場合には、本発明で
用いる(B)成分の複合ゴム系グラフト共重合体と、マ
トリックスを形成する(A)成分との界面で、相溶性が
乏しくなるためか、耐衝撃性が低くなり好ましくない
他、目的とする高い耐熱性が得られなくなり好ましくな
い。
【0028】つぎに、本発明の(B)成分として用い
る、ポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル
(メタ)アクリレートゴム成分とから成るポリオルガノ
シロキサン系ゴムに芳香族アルケニル化合物およびシア
ン化ビニル化合物、特にスチレンおよびアクリロニトリ
ルのビニル系単量体をグラフト重合した複合ゴム系グラ
フト共重合体は、オルガノシロキサンと架橋剤(I)、
場合によっては、グラフト交叉剤(I)とを微小粒子状
に重合したポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキル
(メタ)アクリレートゴムとが相互に絡み合った複合ゴ
ムに該芳香族アルケニル化合物およびシアン化ビニル化
合物をグラフト重合させたものである。
【0029】オルガノシロキサンとしては、3員環以上
の各種の環状体があげられ、好ましく用いられるのは3
〜6員環である。例えばヘキサメチルシクロトリシロキ
サン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチ
ルシクロペンタンシロキサン、ドデカメチルシクロヘキ
サンシロキサン、トリメチルトリフェニルシクロトリシ
ロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシ
ロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン等が
挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用い
られる。これらの使用量は、ポリオルガノシロキサンゴ
ム成分中50重量%以上、好ましくは70重量%以上で
ある。
【0030】架橋剤(I)としては、3官能性又は4官
能性のシラン系架橋剤、例えばトリメトキシメチルシラ
ン、トリエトキシフェニルシラン、テトラメトキシシラ
ン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシ
ラン、テトラブトキシシラン等が用いられる。特に4官
能性の架橋剤が好ましく、この中でもテトラキシシラン
が特に好ましい。架橋剤の使用量はポリオルガノシロキ
サンゴム成分中0.1〜30重量%である。グラフト交
叉剤(I)としては、次式(f)
【0031】
【化7】
【0032】(各式中R1 はメチル基、エチル基、プロ
ピル基またはフェニル基、R2 は水素原子はまたはメチ
ル基、nは0、1または2、pは1〜6の整数を示
す。)で表される単位を形成し得る化合物等が用いられ
る。式(I−1)の単位を形成し得る(メタ)アクリロ
イルオキシシロキサンはグラフト効率が高いため有効な
グラフト鎖を形成することが可能であり耐衝撃性発現の
点で有利である。なお、式(I−1)の単位を形成し得
るものとしてメタクリロイルオキシシロキサンが特に好
ましい。メタクリロイルオキシシロキサンの具体例とし
てはβ−メタクリロイルオキシシエチルジメトキシメチ
ルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメトキシ
ジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジ
メトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプ
ロピルエトキシジエチルシラン、γ−メタクリロイルオ
キシプロピルジエトキシメチルシラン、δ−メタクリロ
イルオキシブチルジエトキシメチルシラン等が挙げられ
る。グラフト交叉剤の使用量は、ポリオルガノシロキサ
ンゴム成分中0〜10重量%である。
【0033】このポリオルガノシロキサンゴム成分のラ
テックスの製造は、例えば米国特許第2891920号
明細書、同第3294725号明細書等に記載された方
法を用いることが出来る。本発明の実施では、例えば、
オルガノシロキサンと架橋剤(I)および所望によりグ
ラフト交叉剤(I)の混合溶液とを、アルキルベンゼン
スルホン酸、アルキルスルホン酸等のスルホン酸系乳化
剤の存在下で、例えばホモジナイザー等を用いて水と剪
断混合する方法により製造することが好ましい。アルキ
ルベンゼンスルホン酸は、オルガノシロキサンの乳化剤
として作用すると同時に重合開始剤ともなるので好適で
ある。この際、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩、ア
ルキルスルホン酸金属塩等を併用するとグラフト重合を
行う際にポリマーを安定に維持するのに効果があるので
好ましい。
【0034】次に上記複合ゴムを構成するポリアルキル
(メタ)アクリレートゴム成分は以下に示すアルキル
(メタ)アクリレート、架橋剤(II)およびグラフト
交叉剤(II)を用いて合成することが出来る。アルキ
ル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチルアク
リレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレ
ート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルア
クリレート等のアルキルアクリレートおよびヘキシルメ
タクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n
−ラウリルメタクリレート等のアルキルメタクリレート
が挙げられ、特にn−ブチルアクリレートの使用が好ま
しい。
【0035】架橋剤(II)としては、例えばエチレン
グリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジ
メタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタク
リレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレー
ト等が挙げられる。グラフト交叉剤(II)としては、
例えばアリルメタクリレート、トリアリルシアヌレー
ト、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。アリ
ルメタクリレートは架橋剤として用いることもできる。
これら架橋剤並びにグラフト交叉剤は、単独または2種
以上併用して用いられる。これら架橋剤およびグラフト
交叉剤の合計の使用量は、ポリアルキル(メタ)アクリ
レートゴム成分中0.1〜20重量%である。
【0036】ポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成
分の重合は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナ
トリウム等のアルカリの水溶液の添加により中和された
ポリオルガノシロキサンゴムのラテックス中へ上記アル
キル(メタ)アクリレート、架橋剤およびグラフト交叉
剤を添加しポリオルガノシロキサンゴム粒子へ含浸させ
た後、通常のラジカル開始剤を作用させて行う。重合の
進行とともにポリオルガノシロキサンゴムの架橋網目に
相互に絡んだポリアルキル(メタ)アクリレートゴムの
架橋網目が形成され、実質上分離できないポリオルガノ
シロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレー
トゴム成分との複合ゴムのラテックスが得られる。な
お、本発明の実施に際してはこの複合ゴムとしてポリオ
ルガノシロキサンゴム成分の主骨格がジメチルシロキサ
ンの繰り返し単位を有し、ポリアルキル(メタ)アクリ
レートゴム成分の主骨格がn−ブチルアクリレートの繰
り返し単位を有する複合ゴムが好ましく用いられる。こ
のようにして乳化重合により調整された複合ゴムは、芳
香族アルケニル化合物およびシアン化ビニル化合物等の
ビニル系単量体とグラフト共重合可能である。この複合
ゴムをトルエンにより90℃で12時間抽出して測定し
たゲル含量は80重量%以上であると好ましい。
【0037】また、上記複合ゴムにおけるポリオルガノ
シロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレー
トゴム成分の割合は、前者が3〜90重量%に対して、
後者が97〜10重量%であるものが好ましく、また複
合ゴムの平均粒子径は0.08〜0.6μmであるのが
好ましい。上記複合ゴムにグラフト重合できるビニル系
単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、2,
4−ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、p−メチ
ルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、エチルス
チレン、ビニルトルエン等の芳香族アルケニル化合物;
メチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレ
ート等のメタクリル酸エステル;メチルアクリレート、
エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリル
酸エステル;アクリロニトリル、メタクリルニトリル等
のシアン化ビニル化合物;グリシジルメタクリレート等
のエポキシ基含有ビニル化合物;メタクリル酸等のカル
ボン酸基含有ビニル化合物等の各種ビニル系単量体が挙
げられ、これらは単独または2種以上組み合わせて用い
られる。 本発明においては、芳香族アルケニル化合物
およびシアン化ビニル化合物の組み合わせが好ましく、
スチレンおよびアクリロニトリルの組み合わせが特に好
ましい。スチレンおよびアクリロニトリルの組み合わせ
では、スチレン単独の場合と比較して耐熱性が良いた
め、本発明のポリフェニレンエーテル樹脂組成物を製造
する際の高い加工温度条件下でもメヤニ等の発生が無
く、ストランド切れ等の問題が発生しないため製造効率
を悪くすることがない。
【0038】また、ビニル系単量体は、上記した複合ゴ
ム3〜95重量%に対して5〜97重量%の割合で含ま
れると好ましい。複合ゴム系グラフト共重合体は、上記
ビニル系単量体を上記の複合ゴムのラテックスに加え、
ラジカル重合技術によって一段または多段で重合させて
得られる複合ゴム系グラフト共重合体ラテックスを、塩
化カルシウムまたは硫酸マグネシウム等の金属塩を溶解
した熱水中に投入し、塩析、凝固する事により分離、回
収することが出来る。
【0039】このような複合ゴム系グラフト共重合体
は、例えば三菱レイヨン株式会社より、メタブレンSR
K−200として商業的に入手可能である。上記した
(B)成分の複合ゴム系グラフト共重合体は、(A)成
分70〜99重量部に対して、1〜30重量部、好まし
くは1〜20重量部の割合で配合される。(B)成分の
量が多すぎると流動性および剛性の低下を起こし好まし
くなく、 また少なすぎると本発明の効果が発揮されず
好ましくない。
【0040】本発明の(C)成分として用いるリン酸エ
ステル系難燃剤とは、一般式(a)
【0041】、
【化8】
【0042】(式中、R1 、R2 、R3 、R4 は、それ
ぞれ独立にフェニル基または炭素数1から6のアルキル
基で1〜3個置換されたアリール基であり、さらにヒド
ロキシル基で置換されたアリール基でもよい。Xはアリ
ーレン基であり、nは自然数、j、k、l、mはそれぞ
れ独立して0または1である。)で表され、その中でも
一般式(b)で表されるリン酸エステル系難燃剤が特に
好ましく、
【0043】
【化9】
【0044】(式中、Q1、Q2、Q3、Q4は、独立
に炭素数1から6のアルキル基又は水素を表す。R1、
R2はメチル基を、R3、R4は独立にメチル基または
水素を表す。nは1以上の整数を表す。n1、n2は独
立に0から2の整数を表す。m1、m2、m3、m4
は、独立に0から3の整数を示す。)で表される。一般
式(b)においてn1、n2が0で、R3、R4がメチ
ル基であることが好ましい。
【0045】また、一般式(b)においてm1、m2、
m3、m4が0である、つまり末端のフェニル基へのア
ルキル基の置換がないか、またはQ1、Q2、Q3、Q
4が、メチル基であるつまり末端フェニル基へのメチル
基が置換されている場合が最も好ましい。一般式(b)
におけるnは1以上の整数であってその数により耐熱
性、加工性が異なってくる。好ましいnの範囲は1〜1
0である。また(C)成分はn量体の混合物であっても
かまわない。
【0046】本発明の(C)成分のリン酸エステル系難
燃剤は、特定の二官能フェノールによる結合構造と、特
定の単官能フェノールによる末端構造を有す。二官能フ
ェノールとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン〔通称ビスフェノールA〕、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒ
ドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどのビスフ
ェノール類が挙げられるが、これに限定されない。特に
ビスフェノールAが好ましい。
【0047】単官能フェノールとしては、無置換フェノ
ール、モノアルキルフェノール、ジアルキルフェノー
ル、トリアルキルフェノールを単独または2種以上の混
合物として使用できる。特にフェノール、クレゾール、
ジメチルフェノール(混合キシレノール)、2,6−ジ
メチルフェノール、トリメチルフェノールが好ましい。
上記特徴を有する(C)成分として用いるリン酸エステ
ル系難燃剤は揮発性が大幅に抑制されており、安定性、
耐加水分解性にも優れている。また、ポリフェニレンエ
ーテル系樹脂との間で反応を起こしてゲル化のような問
題を起こすこともなく、ポリフェニレンエーテル系樹脂
の分解を促進することもないし、成形加工機等の金属部
分を腐食させることもない。
【0048】(C)成分のリン酸エステル系難燃剤は、
上記の二官能フェノールと単官能フェノールをオキシ塩
化リンと反応させることにより得ることができるが、こ
の製法になんら制約されることはない。なお、上記で特
定した構造のリン酸エステル系難燃剤の他に、本発明で
用いる(C)成分のリン酸エステル系難燃剤は、発明の
効果を損なわない範囲で一般的に用いられるリン酸エス
テル系難燃剤、例えば、トリフェニルホスフェート、ト
リクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェー
ト、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェ
ニルホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホス
フェート等のリン酸エステル系難燃剤やこれらを各種置
換基で変性した化合物、各種の縮合タイプのリン酸エス
テル系難燃剤と併用する事も可能である。(C)成分の
割合は、(A)、(B)合計100重量部に対して、
0.5〜30重量部であり、所望の難燃性レベルを達成
させるために必要な量を用いる。
【0049】本発明において(C)成分の割合は、0.
5〜30重量%が好ましく、0.5〜20重量%がさら
に好ましい。30重量%より多すぎると、耐熱性の低下
を引き起こし好ましくない。本発明のポリフェニレンエ
ーテル系樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範
囲で他の添加剤、例えば可塑剤、他の難燃剤、酸化防止
剤及び紫外線吸収剤などの安定剤、離型剤、染顔料、あ
るいはガラス繊維、炭素繊維等の繊維状補強剤、更には
ガラスビーズ、炭酸カルシウム、タルク、導電性カーボ
ン等の充填剤を添加することができる。
【0050】本発明の耐衝撃性付与成分としては、
(B)成分の複合ゴム系グラフト共重合体を用いるが、
本発明の効果を損なわない範囲で他の耐衝撃性付与成分
として、水添ブロック共重合体を用いることもできる。
水添ブロック共重合体としては、芳香族ビニル化合物を
主体とする重合体ブロックXおよび共役ジエン化合物を
主体とする重合体ブロックYとからなるブロック共重合
体を水素添加反応して得られる水添ブロック共重合体で
あり、各部ブロックの結合形式は、例えばX−Y、X−
Y−X、X−Y−X−Y、(X−Y−)4 −Si、X
−Y−X−Y−Xなどである。
【0051】本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂組
成物製造するための方法に特に制限はなく、通常の方法
が満足に使用できる。しかしながら一般に溶融混練法が
望ましく、一例を挙げれば二軸押出し機を用い適当な条
件において、全原料をホッパーより投入し順次溶融混練
を行う方法がある。この際に他の方法として、サイドフ
ィダーを設けた押出し機を用いて(B)成分または
(C)成分または(B)、と(C)成分をサイドフィー
ダーより投入して溶融混練する方法。(C)成分を液体
として液状添加して溶融混練する方法。さらに、溶融混
練により発生する揮発性成分をベントポートを設けた押
出し機を用い揮発性成分を真空脱気して溶融混練する方
法。または、これらを組み合わせた方法等が挙げられ
る。
【0052】装置としては、上記一例に示した二軸押出
し機の他、単軸押出し機、バンバリーミキサー、ローラ
ー、ニーダー等を例としてさらに挙げることが出来るが
これらに限定されるものではない。
【0053】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。 成分(A):ポリフェニレンエーテル樹脂の調製 A−1 :2,6−キシレノールを酸化重合して得た還
元粘度0.54のポリフェニレンエーテル。 A−2 :2,6−キシレノールを酸化重合して得た還
元粘度0.42のポリフェニレンエーテル。 A−3 :2,6−キシレノールを酸化重合して得た還
元粘度0.54のポリフェニレンエーテル100重量部
に対して、アクリル酸ステアリル2重量部を320℃に
設定したベントポート付き二軸押出機(ZSK−25;
WERNER&PFLEIDERER社製、ドイツ国)
を用いて溶融混練しアクリル酸ステアリル変性ポリフェ
ニレンエーテル樹脂を得たもの。 A−4 :2,6−キシレノールを酸化重合して得た還
元粘度0.54のポリフェニレンエーテル80重量%
と、数平均分子量が77,000のポリスチレン20重
量%を二軸押出機により加熱溶融混練したもの。 A−5 :2,6−キシレノールを酸化重合して得た還
元粘度0.54のポリフェニレンエーテル80重量%
と、ハイインパクトポリスチレン(商標;スタイロン
H9405、旭化成工業株式会社製)20重量%を二軸
押出機により加熱溶融混練したもの。 A−6 :2,6−キシレノールを酸化重合して得た還
元粘度0.54のポリフェニレンエーテル70重量%
と、数平均分子量が77,000のポリスチレン30重
量%を二軸押出機により加熱溶融混練したもの。 A−7 :2,6−キシレノールを酸化重合して得た還
元粘度0.54のポリフェニレンエーテル70重量%
と、ハイインパクトポリスチレン(商標;スタイロン
H9405、旭化成工業株式会社製)30重量%を二軸
押出機により加熱溶融混練したもの。 成分(B):複合ゴム系グラフト共重合体 B−1 :メタブレン SRK−200:商品名、三菱
レイヨン株式会社製 ポリジメチルシロキサンゴム成分およびポリ(n−ブチ
ルアクリレート)ゴム成分にスチレンおよびアクリロニ
トリルをグラフト重合して成る複合ゴム系グラフト共重
合体。 B−2 :メタブレン SX−2:商品名、三菱レイヨ
ン株式会社製 ポリジメチルシロキサンゴム成分およびポリ(n−ブチ
ルアクリレート)ゴム成分にスチレンをグラフト重合し
て成る複合ゴム系グラフト共重合体。 成分(C)リン酸エステル系難燃剤 C−1:ビスフェノールA−ポリクレジルホスフェー
ト;化学式(g)(n=1〜3の混合物)
【0054】
【化10】
【0055】C−2:ビスフェノールA−ポリフェニル
ホスフェート;化学式(h)(n=1〜3の混合物)
【0056】
【化11】
【0057】C−3:トリフェニルホスフェート〔大八
化学(株)製;TPP〕 <実施例1〜18および比較例1〜13>(A)成分
(ポリフェニレンエーテル樹脂)、(B)成分(複合ゴ
ム系グラフト共重合体)、(C)成分(リン酸エステル
系難燃剤)を表1〜4に示した組成で、ベントポート付
き二軸押出機ZSK−25(WERNER&PFLEI
DERER社製、ドイツ国)を用いて押出温度280〜
320℃、スクリュー回転数250rpm、吐出量15
kg/時間の条件にて溶融混練しペレットとして得た。
【0058】このペレットを用いて290〜310℃に
設定したスクリューインライン型射出成形機に供給し、
金型温度80℃または120℃の条件で試験用テストピ
ースを射出成形した。本実施例中の物性値または特性値
は下記の方法により測定した。 荷重たわみ温度(DTULと略す。):ASTM D2
56に基づき、荷重18. 6Kg/cm2 にて測定
した。 耐衝撃性:4分の1インチ厚試験片を用いてASTM
D638に従ってノッチ付きIZOD衝撃強さを測定し
た。 燃焼性:UL−94に規定された垂直燃焼試験方法に基
づき、16分の1インチ厚試験片を用いて測定を行い、
ランク付けを行った。 揮発性の評価:射出成型時のノズル部における発煙量を
目視で観察しリン酸エステル系難燃剤の揮発性を評価し
た。 熱安定性の評価:押出し造粒時、押出し機ダイス部に発
生するメヤニ状の付着物の量を目視により評価した。な
お、メヤニは組成物中に熱分解する成分が存在すると発
生しやすい。 評価の結果は、表1〜4に示した。
【0059】表1〜4により本発明による成分、組成に
より得られたポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、
明らかに耐熱性を保持した状態で耐衝撃性が著しく改良
され、さらに熱分解しやすい成分(スチレンをグラフト
重合した複合ゴム系グラフト共重合体)を用いないため
押出し時メヤニ等の発生が少ないものであった。また難
燃性を付与したポリフェニレンエーテル系樹脂組成物に
おいても耐熱性と耐衝撃性のバランスに優れ、成型時の
発煙が少なく揮発のしにくいものに改良された。
【0060】一方、本発明以外の成分、組成により得ら
れた組成物は、耐熱性と耐衝撃性、さらに難燃性のバラ
ンスに優れないか、熱安定性に優れず押出し時にメヤニ
が多く、また成型時に発煙が多いものであり製造効率、
作業性の悪いものであった。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】
【0064】
【表4】
【0065】
【発明の効果】本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂
組成物は、従来のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物
に比べ、熱安定性が良くメヤニ等の発生が少なく、耐熱
性と耐衝撃性のバランスに優れ、さらに難燃化の際には
難燃性にも優れ、揮発性成分の少ないポリフェニレンエ
ーテル系樹脂組成物を提供することができる。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)ポリフェニレンエーテル樹脂 70〜99重量部 (B)ポリオルガノシロキサンおよびポリアルキル(メタ)アクリレートを含む 複合ゴムに、芳香族アルケニル化合物およびシアン化ビニル化合物をグラフト重 合してなる複合ゴム系グラフト共重合体 30〜1重量部 よりなるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】(A)ポリフェニレンエーテル樹脂にポリスチレン系樹脂を2 0重量%以下を含むポリフェニレンエーテル系樹脂 70〜99重量部 (B)ポリオルガノシロキサンおよびポリアルキル(メタ)アクリレートを含む 複合ゴムに、芳香族アルケニル化合物およびシアン化ビニル化合物をグラフト重 合してなる複合ゴム系グラフト共重合体 30〜1重量部 よりなるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 (A)および(B)成分の合計100重
    量部に対して、 (C)リン酸エステル系難燃剤 0.5〜30重量部 を含む請求項1または請求項2記載のポリフェニレンエ
    ーテル系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 (A)成分のポリフェニレンエーテル樹
    脂が、エチレン性不飽和化合物により変性されたポリフ
    ェニレンエーテル樹脂である請求項1または請求項2記
    載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の、エチレン性不飽和化合
    物がアクリル酸ステアリルまたはスチレンである請求項
    1または請求項3記載のポリフェニレンエーテル系樹脂
    組成物。
  6. 【請求項6】 (B)成分中にグラフト重合される芳香
    族アルケニル化合物およびシアン化ビニル化合物が、そ
    れぞれスチレンおよびアクリロニトリルである請求項1
    または請求項3記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組
    成物。
  7. 【請求項7】 (C)成分のリン酸エステル系難燃剤
    が、下式(a)で示されるリン酸エステル系難燃剤であ
    る請求項1または請求項3記載のポリフェニレンエーテ
    ル系樹脂組成物。 【化1】 (式中、R1 、R2 、R3 、R4 は、それぞれ独立にフ
    ェニル基または炭素数1から6のアルキル基で1〜3個
    置換されたアリール基であり、さらにヒドロキシル基で
    置換されたアリール基でもよい。Xはアリーレン基であ
    り、nは自然数、j、k、l、mはそれぞれ独立して0
    または1である。)
  8. 【請求項8】 (C)成分のリン酸エステル系難燃剤
    が、下式(b)で示されるリン酸エステル系難燃剤であ
    る請求項1または請求項3記載のポリフェニレンエーテ
    ル系樹脂組成物。 【化2】 (式中、Q1、Q2、Q3、Q4は、独立に炭素数1か
    ら6のアルキル基または水素を表す。R1、R2はメチ
    ル基を、R3、R4は独立にメチル基または水素を表
    す。nは1以上の整数を表す。n1、n2は独立に0か
    ら2の整数を表す。m1、m2、m3、m4は、独立に
    0から3の整数を示す。)
  9. 【請求項9】 (A)成分のポリフェニレンエーテル樹
    脂が、エチレン性不飽和化合物により変性されたポリフ
    ェニレンエーテル樹脂である請求項2または請求項3記
    載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の、エチレン性不飽和化
    合物がアクリル酸ステアリルまたはスチレンである請求
    項2記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  11. 【請求項11】 (B)成分中にグラフト重合される芳
    香族アルケニル化合物およびシアン化ビニル化合物がそ
    れぞれスチレンおよびアクリロニトリルである請求項2
    または請求項3記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組
    成物。
  12. 【請求項12】 (C)成分のリン酸エステル系難燃剤
    が、下式(a)で示されるリン酸エステル系難燃剤であ
    る請求項2または請求項3記載のポリフェニレンエーテ
    ル系樹脂組成物。 【化3】 (式中、R1 、R2 、R3 、R4 は、それぞれ独立にフ
    ェニル基または炭素数1から6のアルキル基で1〜3個
    置換されたアリール基であり、さらにヒドロキシル基で
    置換されたアリール基でもよい。Xはアリーレン基であ
    り、nは自然数、j、k、l、mはそれぞれ独立して0
    または1である。)
  13. 【請求項13】 (C)成分のリン酸エステル系難燃剤
    が、下式(b)で示されるリン酸エステル系難燃剤であ
    る請求項2または請求項3記載のポリフェニレンエーテ
    ル系樹脂組成物。 【化4】 (式中、Q1、Q2、Q3、Q4は、独立に炭素数1か
    ら6のアルキル基又は水素を表す。R1、R2はメチル
    基を、R3、R4は独立にメチル基または水素を表す。
    nは1以上の整数を表す。n1、n2は独立に0から2
    の整数を表す。m1、m2、m3、m4は、独立に0か
    ら3の整数を示す。)
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