JP3537187B2 - 難燃性樹脂ハウジング材料 - Google Patents

難燃性樹脂ハウジング材料

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JP3537187B2
JP3537187B2 JP15210794A JP15210794A JP3537187B2 JP 3537187 B2 JP3537187 B2 JP 3537187B2 JP 15210794 A JP15210794 A JP 15210794A JP 15210794 A JP15210794 A JP 15210794A JP 3537187 B2 JP3537187 B2 JP 3537187B2
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和郎 吉田
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Asahi Kasei Chemicals Corp
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、成形加工時のガスが極
めて少なく、流動性、剛性に優れたハロゲンを含まずに
難燃性を有するポリフェニレンエーテル系樹脂組成物で
あり、家庭用および大型のテレビジョン、VTR、配電
盤、冷・暖房機などの難燃性を必要とする外装材に利用
できる難燃性樹脂ハウジング材料に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンエーテルは、機械的特
性、電気特性、耐熱性、低温特性、吸水性が低く、かつ
寸法安定性等に優れ、難燃化し易い特長も有している
が、成形加工性や耐衝撃性に劣る欠点を有するため、ポ
リスチレン、ハイインパクトポリスチレンとブレンドす
ることによりこれらの問題点を改良し、例えば電気・電
子部品、事務機器ハウジング、自動車部品、精密部品、
各種工業部品などの樹脂組成物として広く利用されてい
る。また、ポリスチレン系樹脂は成形加工性と機械的特
性、電気特性に優れ安価であるため家電製品や玩具等に
大量に使われており、テレビジョン、VTRおよび配電
盤のハウジングなど、難燃性が必要な用途にはハロゲン
系難燃剤やアンチモン化合物を配合した難燃化ポリスチ
レン樹脂も多量に使われている。しかし、近年このよう
な難燃化ポリスチレン樹脂は安全環境面において問題が
あると指摘されている。一方、ポリフェニレンエーテル
およびポリスチレンなどとの混合によって得られるポリ
フェニレンエーテル系樹脂はハロゲン系難燃剤やアンチ
モン化合物を配合することなく、リン化合物により難燃
化することができ、従来より有機リン酸エステル化合
物、例えばトリフェニルフォスフェート、クレジルジフ
ェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート等は工
業的に広く用いられている。しかし、従来使用されてい
るこのような有機リン酸エステル化合物は、成形加工の
際や使用されている間に発煙、揮発を起こしたり、成形
品表面に難燃剤がブリードする等の欠点があった。上記
の欠点を解決する方法として分子量の大きい有機リン化
合物が樹脂の難燃剤として採用され、開発を試みられて
いる。例えば、欧州特許出願公開明細書第7460号に
はトリ(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート化合
物、欧州特許出願公開明細書第129824、1298
25、135726号の各々にはレゾルシノール・ビス
ジフェニルホスフェート化合物等、米国特許発明明細書
4683255号にはトリビフェニルホスフェート化合
物が開示されている。
【0003】しかしながらこれらのリン化合物は樹脂の
難燃化のために多量の添加量を必要としたり、あるいは
本願発明者らの研究解析によれば、特願平5−1899
24号に詳細に述べられているように以下の問題点を有
していることが判明した。即ち、これらリン酸エステル
化合物により難燃化された樹脂組成物は成形時に金型を
腐食させたり、成形加工の際や成形品が長期間使用され
ている間に難燃剤が変性したり、あるいは成形品が変色
やふくれを起こしたり、またテレビジョンを初めとする
各種電気部品や自動車部品など高温・高湿度の過酷な条
件に曝されて使用される場合、吸水等により電気的特
性、難燃特性が悪化する等、最近の厳しい要求特性を満
足するものではないことが判った。
【0004】この様に従来は十分な難燃性と製品として
の要求性能を同時に満足する樹脂組成物を提供すること
はできなかった。特にテレビジョンハウジング用途にお
いては、近年の大型化や薄肉化に伴い成形流動性の著し
い向上が望まれ、溶融粘度を下げるために成形温度の上
昇が余儀なくされている。その際従来の有機リン酸エス
テル化合物は、発煙・揮発を起こし安全衛生上好ましく
ないだけでなく、金型内にトラップされたガスが凝縮し
て成形品表面や金型キャビティに付着するため成形品の
外観不良や割れを引き起こしたり、金型の分解掃除が必
要となるなどの大きな問題があった。
【0005】又、ハウジング部品の薄肉化や大型化に対
応するため、材料の機械的特性とくに剛性の向上が強く
望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ハロゲンを
含まずに難燃性に優れ、成形加工時の発煙性、流動性、
耐熱性、機械的特性等のバランスにも優れた安全環境上
好ましい難燃性樹脂ハウジング材料を提供することを目
的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、ポリフェニ
レンエーテル樹脂、スチレン系樹脂、特定のリン酸エス
テル化合物および必要に応じて低分子量炭化水素樹脂を
特定割合で組み合わせることにより、成形加工時の発煙
が少なくかつ流動性に優れ、また剛性に優れる難燃性樹
脂ハウジング材料が得られることを見いだし、本発明に
到達した。
【0008】即ち、本発明は、(a)ポリフェニレンエ
ーテル樹脂10〜40重量%、(b)スチレン系樹脂3
5〜75重量%、及び(c)一般式(I)、
【0009】
【化2】
【0010】(ここで、Q1、Q2、Q3、Q4は、独
立に炭素数1から6のアルキル基を表す。R1、R2は
メチル基を、R3、R4は独立にメチル基または水素を
表す。nは1以上の整数を表す。n1、n2は独立に0
から2の整数を表す。m1、m2、m3、m4は、独立
に0から3の整数を示す。)で表されるリン酸エステル
化合物5〜40重量%、および必要に応じて用いられる
(d)低分子量炭化水素樹脂1〜15重量%よりなり、
250℃、5kg荷重で測定されたメルトフローレート
が30g/10分以上に設計されたポリフェニレンエー
テル系樹脂組成物に関する。
【0011】本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂組
成物は、家庭用および大型のテレビジョン、VTR、配
電盤などの難燃性を必要とする外装材に適した難燃性樹
脂ハウジング材料に提供される。以下、本発明を詳述す
る。本発明において、(a)成分として用いるポリフェ
ニレンエーテル(以下、単にPPEと略記する。)は、
下記一般式(II−1)および(II−2)、
【0012】
【化3】
【0013】
【化4】
【0014】(式中、R1 ,R2 ,R3 ,R4 ,R5
6 は炭素1〜4のアルキル基、アリール基、ハロゲ
ン、水素等の一価の残基であり、R5 ,R6 は同時に水
素ではない。)で表される繰り返し単位を有する単独重
合体および/または共重合体である。ポリフェニレンエ
ーテルの単独重合体の代表例としては、ポリ(2,6−
ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−
メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、
ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテ
ル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フ
ェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル
−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−
6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ
(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレ
ン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−
1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6
−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル、
ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニ
レン)エーテル等のホモポリマーが挙げられる。
【0015】ポリフェニレンエーテル共重合体は、2,
6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェ
ノールとの共重合体あるいはo−クレゾールとの共重合
体あるいは2,3,6−トリメチルフェノール及びo−
クレゾールとの共重合体等、ポリフェニレンエーテル構
造を主体としてなるポリフェニレンエーテル共重合体を
包含する。
【0016】特に好ましいのは、ポリ(2,6−ジメチ
ル−1,4−フェニレン)エーテルであり、固有粘度
(0.5g/dl,クロロホルム溶液,30℃測定)
が、0.25〜0.50の範囲、好ましくは0.30〜
0.50の範囲、さらに好ましくは0.30〜0.45
の範囲のものを用いる。また、本発明で用いるPPE
は、上記したPPEのほかに、該PPEとα,β−不飽
和カルボン酸またはその誘導体、スチレンまたはその誘
導体、不飽和カルボン酸またはその誘導体とをラジカル
発生剤の存在下、非存在下で溶融状態、溶液状態、スラ
リー状態で80〜350℃の温度下で反応させることに
よって得られる公知の変性PPEであってもよく、さら
に上記したPPEと該変性PPEの任意の割合の混合物
であってもかまわない。
【0017】本発明で(b)成分に用いられるスチレン
系樹脂とは、スチレン系化合物、スチレン系化合物と共
重合可能な化合物をゴム質重合体存在または非存在下に
重合して得られる重合体である。スチレン系化合物と
は、一般式(III)、
【0018】
【化5】
【0019】(式中、Rは水素、低級アルキルまたはハ
ロゲンを示し、Zはビニル、水素、ハロゲン及び低級ア
ルキルよりなる群から選択され、pは0〜5の整数であ
る。)で表される化合物を意味する。これらの具体例と
しては、スチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメ
チルスチレン、モノクロロスチレン、p−メチルスチレ
ン、p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン等
が挙げられる。また、スチレン系化合物と共重合可能な
化合物としては、”メチルメタクリレート、エチルメタ
クリレート等のメタクリル酸エステル類”、”アクリロ
ニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル化合
物類”、無水マレイン酸等の酸無水物等が挙げられ、ス
チレン系化合物とともに使用される。共重合可能な化合
物の使用量は、スチレン系化合物との合計量に対して3
0重量%以下、好ましくは15重量%以下である。
【0020】また、ゴム質重合体としては共役ジエン系
ゴムあるいは共役ジエンと芳香族ビニル化合物との共重
合体あるいはエチレン−プロピレン共重合体系ゴム等が
挙げられる。具体的には特に、ポリブタジェンおよびス
チレン−ブタジェン共重合体が好ましい。また、不飽和
ゴム質重合体を用いる場合に、部分的に水添したゴムを
用いることが好ましい。
【0021】該スチレン系樹脂として特に好ましいの
は、ポリスチレンおよびゴム変性ポリスチレンである。
本発明に用いるスチレン系樹脂の製造方法は特に限定さ
れるものではなく、当業者に良く知られている塊状重
合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合のいずれを用いたも
のでも良い。
【0022】本発明で用いる(c)成分、リン酸エステ
ル化合物は一般式(I)、
【0023】
【化6】
【0024】(ここで、Q1、Q2、Q3、Q4は、独
立に炭素数1から6のアルキル基を表す。R1、R2
は、メチル基を、R3、R4は、独立にメチル基または
水素を表す。nは1以上の整数を表す。n1、n2は独
立に0から2の整数を表す。m1、m2、m3、m4
は、独立に0から3の整数を示す。)で表される。
【0025】一般式(I)においてn1、n2が0で、
R3、R4がメチル基であることが好ましい。また、一
般式(I)においてm1、m2、m3、m4が0であ
る、つまり、末端のフェニル基へのアルキル基の置換が
ないか、またはQ1、Q2、Q3、Q4が、メチル基で
ある、つまり末端のフェニル基へのメチル基が置換され
ている場合が最も好ましい。。
【0026】本発明の(c)成分のリン酸エステル化合
物は特定の二官能フェノールによる結合構造と、特定の
単官能フェノールによる末端構造を有す。二官能フェノ
ールとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン〔通称ビスフェノールA〕、2,2−ビス
(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒド
ロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどのビスフェ
ノール類が挙げられるが、これに限定されない。特にビ
スフェノールAが好ましい。
【0027】単官能フェノールとしては、無置換フェノ
ール、モノアルキルフェノール、ジアルキルフェノー
ル、トリアルキルフェノールを単独又は2種以上の混合
物として使用できる。特にフェノール、クレゾール、ジ
メチルフェノール(混合キシレノール)、2,6−ジメ
チルフェノール、トリメチルフェノールが好ましい。
(c)成分のリン酸エステル化合物は、揮発性が大幅に
抑制されており、熱安定性、耐加水分解性にも優れてい
る。また、ポリフェニレンエーテル樹脂との間で反応を
起こしてゲル化するような問題を起こすこともなく、ポ
リフェニレンエーテル樹脂の分解を促進することもない
し、成形加工機の内部金属部分や金型等を腐食させるこ
ともない。
【0028】また(c)成分のリン酸エステル化合物を
用いた本発明材料は、成形加工時の発煙・揮発が殆ど無
く安全衛生上好ましいだけでなく、金型内にトラップさ
れたガスが凝縮して成形品表面や金型キャビティに付着
して成形品の外観不良や割れを引き起こしたり、金型の
分解掃除を必要とする問題点を解決している。さらに驚
くべきことには、従来より多量に用いられているリン酸
エステル化合物を用いた材料に比較して、著しく剛性に
優れまた耐熱性にも優れる。一般に、リン酸エステル化
合物は樹脂の可塑剤として作用し、剛性の低下や著しい
耐熱性の低下を引き起こすことから考えて全く予想し得
なかったことである。
【0029】(c)成分のリン酸エステル化合物は、上
記の二官能フェノールと特定の単官能フェノールをオキ
シ塩化リンと反応させることにより得ることができる
が、この製法になんら制約されることはない。本発明で
用いる(c)成分のリン酸エステル化合物は、発明の効
果を損なわない範囲で一般に用いられるリン酸エステ
ル、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジル
ホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジル
ジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェ
ート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート等の
リン酸エステルやこれらを各種置換基で変性した化合
物、各種の縮合タイプのリン酸エステル化合物などを含
有していてもよい。
【0030】本発明の難燃性樹脂ハウジング材料は、メ
ルトフローレート(250℃、荷重5kg)が30g/
10分以上、好ましくは40g/10分以上、より好ま
しくは60g/10分以上の流動性が必要であり、さら
に好ましくはビカット軟化点が約90℃以上の耐熱性を
有するように設計されるべきである。メルトフローレー
トの値が大きいほど成形流動性に優れるため、より低温
で成形することができる。本発明材料は、成形時にリン
酸エステル化合物の揮発や発煙が殆ど無いため従来材料
に比べてより高温で成形可能であり、その結果成形条件
を幅広く設定でき実際の流動性はさらに優れることにな
る。
【0031】ビカット軟化点は、電気製品ハウジングが
内部発熱により変形する恐れがあるために約90℃以上
が好ましい。また、メルトフローレート30g/10分
以上である本発明の難燃性樹脂ハウジング材料は、
(a)ポリフェニレンエーテル樹脂、(b)スチレン系
樹脂、(c)リン酸エステル化合物および必要に応じて
用いる(d)低分子量炭化水素樹脂の組み合わせ割合
と、ポリフェニレンエーテル樹脂の固有粘度を適宜調節
することにより達成される。
【0032】本発明材料は、(a)ポリフェニレンエー
テル樹脂10〜40重量%、好ましくは15〜35重量
%、(b)スチレン系樹脂35〜75重量%、(c)リ
ン酸エステル化合物を5〜40重量%、好ましくは10
〜30重量%の範囲にあることが好ましい。(a)成分
のポリフェニレンエーテル樹脂の割合は効果が十分に発
揮できる限り、特に限定されるものではないが、(a)
成分の割合が少なすぎると難燃性と耐熱性が不十分であ
り、多すぎると難燃性と耐熱性は向上するが流動性が損
なわれ、また経済的にも不利である。
【0033】本発明の材料に用いる(c)成分のリン酸
エステル化合物の割合は発明の効果が十分に発揮できる
限り、特に限定されるものではないが、(c)成分の割
合が少なすぎると難燃性が不十分であり、多すぎると樹
脂の耐熱性が損なわれ、また経済的にも不利である。本
発明材料には、さらに流動性を向上させる目的で(d)
成分として低分子量炭化水素樹脂を1〜15重量%、好
ましくは2〜10重量%配合することが好ましい。配合
量が1重量%未満では流動性改良効果が小さく、15重
量%を超えると耐熱性の低下や耐衝撃性の低下が大きく
好ましくない。
【0034】(d)成分の低分子量炭化水素樹脂の具体
例としては、石油樹脂、クマロン樹脂、インデン樹脂、
クマロン−インデン樹脂、テルペン樹脂、水添テルペン
樹脂、低分子量ポリスチレンなどがあり、さらにこれら
の低分子量炭化水素樹脂を脂肪族不飽和カルボン酸およ
びその誘導体、脂肪族不飽和ジカルボン酸およびその誘
導体、フェノールで変性したものを用いることができ
る。
【0035】本発明の難燃性樹脂ハウジング材料には、
耐衝撃性向上のために熱可塑性エラストマーを適宜配合
することができる。熱可塑性エラストマーとしては、ス
チレン−ブタジエンブロック共重合体、ブタジエンの一
部または全てが水素添加されたスチレン−ブタジエンブ
ロック共重合体、水素添加スチレン−イソプレンブロッ
ク共重合体、エチレンープロピレン共重合体、スチレン
グラフトエチレンープロピレン共重合体、エチレン−ア
クリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸エ
ステル共重合体、コア・シェルポリマーなどがあり、こ
れらの2種以上を併用することもできる。この中で特に
好ましいのは、スチレン−ブタジエンブロック共重合
体、ブタジエンの一部または全てが水素添加されたスチ
レン−ブタジエンブロック共重合体である。
【0036】また、本発明の難燃性樹脂ハウジング材料
には、難燃剤助剤あるいは燃焼時の滴下防止剤として、
ポリエーテルイミド、ポリテトラフルオロエチレン、シ
リコン樹脂、フェノール樹脂、金属水酸化物、メラミン
やサクシノグアナミン等のトリアジン骨格含有化合物、
ガラス繊維、カーボン繊維等を添加することは難燃性向
上のために有効である。更に他の特性を付与するため、
または本発明の効果を損なわない範囲で他の添加剤、例
えば可塑剤、他の難燃剤、酸化防止剤、及び紫外線吸収
剤などの安定剤、帯電防止剤、離型剤、染顔料、あるい
は繊維状補強剤、更にはガラスビーズ、炭酸カルシウ
ム、タルク等の充填剤を添加することができる。
【0037】本発明の組成物の製造方法は、特に規定す
るものではなく、押出機、加熱ロール、ニーダー、バン
バリーミキサー等の混練機を用いて混練製造することが
できる。その中でも押出機による混練りが、生産性の面
で好ましい。混練り温度は、220〜360℃の範囲、
好ましくは250〜320℃の範囲である。混練りの順
序は全成分を一括混練りしてもよいが、ポリフェニレン
エーテル樹脂とスチレン系樹脂を予め混練りした後にリ
ン酸エステル化合物を押出機の途中から供給して混練り
することもできる。
【0038】
【実施例】本発明を実施例によって、さらに詳細に説明
するが、本発明はこれらの実施例により限定されるもの
ではない。物性評価は、押出機で製造した組成物ペレッ
トおよび射出成形された試験片を用いて以下の方法及び
条件で行った。 (1)メルトフローレート(MFRと略す。) ASTM D1238に基づき、250℃、荷重5kg
の条件下で測定した10分間あたりの押出量(g/10
分)。 (2)曲げ強度、曲げ弾性率 ASTM D790に基づき測定した。 (3)ビカット軟化点(VSPと略す。) ASTM D1525に基づき測定した。 (4)燃焼性 UL規格No.94垂直燃焼試験方法に基づき、厚み1
/8インチ試験片にて測定した。 (5)発煙性 組成物の発煙性の評価は、加熱シリンダーの最高温度2
40℃に設定した。型締力83トンのインラインスクリ
ュー型射出成形機を用い、ノズル部から射出された樹脂
の発煙量(ガス量)を目視で観察した。
【0039】実施例及び比較例における各成分は、下記
のものを用いた。 (a−1):クロロホルム中30℃で測定した固有粘度
が0.38であるポリ2,6−ジメチル−1,4−フェ
ニレンエーテル (a−2):クロロホルム中30℃で測定した固有粘度
が0.47であるポリ2,6−ジメチル−1,4−フェ
ニレンエーテル (b−1):製造例1および2の方法により調製した部
分水添共役ジエンゴム変性耐衝撃性ポリスチレン樹脂 (b−2):シス1,4結合が約98%のポリブタジエ
ンを9%含有し、ゴム粒子径が1.5μm、フリーのポ
リスチレンのトルエン中30℃にて測定した還元粘度が
0.53dl/gであるゴム変性耐衝撃性ポリスチレン
樹脂 (c−1):ビスフェノールA−ポリクレジルホスフェ
ート
【0040】
【化7】
【0041】(n=1〜3の混合物) (c−2):ビスフェノールA−ポリフェニルホスフェ
ート
【0042】
【化8】
【0043】(n=1〜3の混合物) (c−3):トリフェニルフォスフェート(大八化学
((株)製、TPP) (d−1):石油樹脂(日本石油化学(株)製、ネオポ
リマー140) (d−2):石炭留分炭化水素樹脂(日本石油化学
(株)製ユニレジン760) 実施例及び比較例において用いた耐衝撃性ポリスチレン
樹脂は、次に述べる製造方法によって調製したものであ
る。
【0044】
【製造例1】 部分水添共役ジエンゴムの製造{(b−1)用} :実
施例で用いる部分水添共役ジエン系ゴムは、次に述べる
方法で製造した。内容積10リットルの撹拌機、ジャケ
ット付きオートクレーブを反応機として用いて、ブタジ
エン/n−ヘキサン混合液(ブタジエン濃度20%)を
20l/hrで、n−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶
液(濃度5%)を70ml/hrで導入し、重合温度1
10℃でブタジエンの連続重合を実施した。得られた活
性重合体をメタノールで失活、別の内容積10リットル
の撹拌機、ジャケット付きの反応機に重合体溶液8リッ
トルを移し、温度60℃にて、水添触媒としてジ−p−
トリル−ビス(1−シクロペンタジエニル)チタニウム
/シクロヘキサン溶液(濃度1.2ミリモル/リット
ル)250mlと、n−ブチルリチウム溶液(濃度6ミ
リモル/リットル)50mlとを0℃、2.0kg/c
2 の水素圧下で混合したものを添加、水素分圧3.0
kg/cm2 にて60分間反応させた。
【0045】得られた部分水添重合体溶液は酸化防止剤
として、2,6−ジ−t−ブチルヒドロキシトルエンを
重合体当たり0.5部添加して溶剤を除去した。メタノ
ール失活後にサンプリングして得た部分水添ポリブタジ
エンの分析値は表1に示す通りであった。
【0046】
【表1】
【0047】
【製造例2】 耐衝撃性ポリスチレン樹脂の製造{(b−1)用} :
実施例で用いる耐衝撃性スチレン系樹脂は、塊状重合法
によって製造した。表1の部分水添ポリブタジエン10
部をスチレン90部とエチルベンゼン8部に溶解し、更
にスチレンに対して0.05部のベンゾイルパーオキサ
イドと0.10部のα−メチルスチレン2量体を添加
し、80℃で4時間、110℃で4時間、150℃で4
時間撹拌下に重合を行った。更に230℃前後30分間
加熱処理を行い、その後、未反応スチレン及びエチルベ
ンゼンの真空除去を行い、耐衝撃性ポリスチレン系樹脂
を得た。得られた耐衝撃性ポリスチレン系樹脂中の部分
水添ポリブタジエンの含有量は11%であり、ポリスチ
レンの分散粒子を含んだ状態での部分水添ポリブタジエ
ンの平均粒子径は1.3μmであった。また、トルエン
中30℃にて測定した還元粘度は0.65であった。
【0048】
【実施例1〜4、比較例1〜3】各成分を表2に示す配
合組成で、加熱シリンダーの最高温度を300℃に設定
したスクリュー径25mmの二軸押出機に供給して溶融
混練し、組成物ペレットを得た。このペレットを加熱シ
リンダーの最高温度240℃に設定した型締力83トン
のインラインスクリュー型射出成形機に供給し、金型温
度60℃の条件で物性試験片を射出成形した。これらの
ペレットおよび試験片を用いて物性試験を行い、表2に
示す結果を得た。
【0049】
【実施例5および6、比較例4】各成分を表3に示す配
合組成で、加熱シリンダーの最高温度を300℃に設定
したスクリュー径25mmの二軸押出機に供給して溶融
混練し、組成物ペレットを得た。このペレットを加熱シ
リンダーの最高温度240℃に設定した型締力83トン
のインラインスクリュー型射出成形機に供給し、金型温
度60℃の条件で物性試験片を射出成形した。これらの
ペレットおよび試験片を用いて物性試験を行い、表3に
示す結果を得た。
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
【発明の効果】本発明は、ハロゲンを含まずに難燃性を
有し、成形加工時の発煙性、流動性、耐熱性、機械的特
性等の物性バランスに優れた、テレビジョン、VTR、
配電盤、冷・暖房機などの外装材に適した安全環境上好
ましい難燃性樹脂ハウジング材料を提供する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−80885(JP,A) 特開 昭59−126460(JP,A) 特開 平2−160858(JP,A) 特開 平5−117464(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 1/00 - 101/16

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)固有粘度(0.5g/dl,クロロ
    ホルム溶液,30℃測定)が0.30〜0.45の範囲
    ポリフェニレンエーテル樹脂10〜40重量%、
    (b)スチレン系樹脂35〜75重量%、及び(c)一
    般式(I)、 【化1】 (ここで、Q1、Q2、Q3、Q4は、独立に炭素数1
    から6のアルキル基を表す。R1、R2はメチル基を、
    R3、R4は独立にメチル基または水素を表す。nは1
    以上の整数を表す。n1、n2は独立に0から2の整数
    を表す。m1、m2、m3、m4は、独立に0から3の
    整数を示す。)で表されるリン酸エステル化合物5〜4
    0重量%よりなり、250℃、5kg荷重で測定された
    メルトフローレート(250℃、荷重5kg)40g
    /10分以上の大型のテレビジョン用難燃性樹脂ハウジ
    ング材料。
  2. 【請求項2】(c)成分、リン酸エステル化合物を表す
    一般式(I)において、n1、n2が0であり、R3、
    R4がメチル基である請求項1記載の難燃性樹脂ハウジ
    ング材料。
  3. 【請求項3】(d)成分、低分子量炭化水素樹脂1〜1
    5重量%を配合してなる請求項1又は請求項2記載の難
    燃性樹脂ハウジング材料。
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