JP3745121B2 - ポリフェニレンエーテル樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、流動性、耐熱性、機械的特性に優れたポリフェニレンエーテル樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に熱可塑性樹脂は流動性、耐熱性、機械的特性のバランスに優れたものが産業用に求められている。
【0003】
例えば、ポリフェニレンエーテル系樹脂は機械的特性、電気的特性、耐酸、耐アルカリ性、耐熱性等に優れ、しかも吸水性が低く寸法安定性が良いなどの性質を備えており、電気製品、コンピュータやワープロなどのOA機器のハウジングシャーシ材料などとして幅広く利用されている。また、これらの材料には火災の問題から難燃性が要求されることが多い。しかしながら、最近のOA機器の目覚ましい進歩に伴って機器の高機能小型化、軽量化が進んだ結果、これらの材料は薄肉で成形されることが多くなり、より一層の流動性(成形加工性)向上が望まれている。
【0004】
ポリフェニレンエーテルは流動性が良くないため、一般には特公昭43−17812号や米国特許第3383435号に示されているとおり、ポリスチレンとのポリマーブレンド組成物として利用される。ポリフェニレンエーテルとポリスチレンは任意の比率で完全相溶し、ポリスチレン比率に比例して流動性は向上するものの、耐熱性は反比例的に低下する。また、特公昭48−40046号にはポリフェニレンエーテルとアクリロニトリル成分を3〜18重量%含有するスチレン−アクリロニトリル共重合体の混合物が開示されているが、耐熱性、流動性機械的特性のバランスが必ずしも満足できるものではなかった。
【0005】
さらに、特開平6−306254号には特定のAN含量のAS樹脂を用いる事によって、耐熱性と流動性のバランスを改良する技術が開示されているが樹脂の剥離現象の制御が十分ではなく実用強度が低いという問題があった。
【0006】
また、特開平9−31321号にはポリフェニレンエーテル、ポリスチレン及び/またはゴム変性ポリスチレン、アクリロニトリル成分を7〜11重量%含有するメルトフローレートが5〜100g/10分のスチレン−アクリロニトリル共重合体とを特定割合で混合して得られる樹脂組成物により流動性が向上する技術が開示されているが、流動性が向上する分、成形温度を下げたところ、衝撃強度、加熱変形温度の低下が見られた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、流動性、耐熱性、機械的特性等のバランスに優れた、成形加工温度による品質変化が少ないポリフェニレンエーテル樹脂組成物を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を達成するために流動性と耐熱性のバランス向上を達成する技術を鋭意検討した結果、ある特定のポリマーブレンド組成物を用いることによって可能となることを見いだし本発明を完成した。すなわち、本発明は、その一部又は全部が不飽和カルボン酸又はその官能的誘導体で変性された変性ポリフェニレンエーテル樹脂30〜95重量%、(B)ポリスチレン及び/又はゴム変性ポリスチレン2〜60重量%、(C)アクリロニトリル成分を7以上11重量%未満含有するスチレン−アクリロニトリル共重合体3〜40重量%からなる新規なポリフェニレンエーテル樹脂組成物を開発することにより達成された。
【0009】
本発明に用いられる(A)ポリフェニレンエーテル樹脂とは、一般式(I)及び/または(II)で表される繰り返し単位を有する単独重合体、あるいは共重合体である
【0010】
【化1】
【0011】
【化2】
【0012】
(ここで、R1、R2、R3、R4、R5、R6は独立に炭素1〜4のアルキル基、アリール基、ハロゲン、水素を表す。但し、R5、R6は同時に水素ではない。)
ポリフェニレンエーテル樹脂の単独重合体の代表例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−14−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテルポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル等のホモポリマーが挙げられる。
【0013】
この中で、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが特に好ましい。
【0014】
ここでポリフェニレンエーテル共重合体とは、フェニレンエーテル構造を主単量単位とする共重合体である。その例としては、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールとo−クレゾールとの共重合体あるいは2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノール及びo−クレゾールとの共重合体等がある。
【0015】
本発明においてはポリフェニレンエーテル樹脂の一部又は全部を不飽和カルボン酸又はその官能的誘導体で変性された変性ポリフェニレンエーテル樹脂を用いる。この変性ポリフェニレンエーテル樹脂は、例えばラジカル開始剤の存在下に、ポリフェニレンエーテル樹脂に不飽和カルボン酸やその官能的誘導体を溶融混練し、反応させることによって製造される。不飽和カルボン酸又はその官能的誘導体としては、例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ハロゲン化マレイン酸、シス−4−シクロヘキセン1,2−ジカルボン酸、エンド−シス−ビシクロ(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸などや、これらジカルボン酸の酸無水物、エステル、アミド、イミドなど、さらにはアクリル酸、メタクリル酸などや、これらモノカルボン酸のエステル、アミドなどが挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いても良い。これらの中で不飽和ジカルボン酸及びその官能的誘導体、特に無水マレイン酸が好適である。カルボン酸やその官能的誘導体の含有量は、(A)成分100重量部あたり、0.01重量%以上、好ましくは0.03重量%以上が好ましい。0.01重量%未満では成形加工温度による品質変化の改良効果および樹脂相と無機充填剤との密着性向上効果が低い。特に、0.03重量%以上添加すると成形条件による物性変動の抑制効果が十分発揮される。但し、これらの効果は、10重量%以上で飽和するため、経済的観点からは、通常0.01〜10重量%、好ましくは0.03〜5重量%がよい。
【0016】
(B)成分のポリスチレンとはスチレンの単独重合体であり、ゴム変性ポリスチレンとはゴム状重合体とスチレンのグラフト共重合体である。また、ゴム変性ポリスチレンに用いるゴムとしては、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、ブタジエン−イソプレン共重合体、天然ゴム、エチレン−プロピレン共重合体などを挙げることができる。特に、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体が好ましい。
【0017】
本発明で用いる(C)成分のスチレン−アクリロニトリル共重合体は、アクリロニトリル成分を平均で7以上11重量%未満含有することが必要であり、好ましくは平均で8〜10重量%、より好ましくは平均で8.5〜9.5重量%である。また、メルトフローレートが5〜100g/10分のものが好ましい。また、該共重合体の組成分布は、狭いほうが好ましく、具体的には、AN含量7重量%以上11重量%未満の範囲にあるスチレン−アクリロニトリル共重合体が60重量%以上であることが好ましく、更に好ましくは70重量%以上である。該共重合体の組成分布は液体クロマトグラフィーにより測定できる。
【0018】
アクリロニトリル成分を7以上11重量%未満含有する該共重合体と変性ポリフェニレンエーテル樹脂およびポリスチレンとの三成分の溶融混合物は、動的粘弾性測定によれば2つのガラス転移点を示し、透過型電子顕微鏡によるモルホロジーの観察から相分離構造が確認できる。
【0019】
該共重合体において、組成分布が狭いほうが好ましい理由は、アクリロニトリル成分の含有量が7重量%未満のスチレン−アクリロニトリル共重合体の含有率が増加すると、変性ポリフェニレンエーテル樹脂およびポリスチレンと混合した場合、変性ポリフェニレンエーテル樹脂とポリスチレンとの混合物と同じ様な粘弾性挙動および流動性と耐熱性のバランスを示し、流動性と耐熱性の向上効果が低下する傾向にあるためである。また、アクリロニトリル成分の含有量が11重量%を越えるスチレン−アクリロニトリル共重合体の含有率が増加すると、相溶性が悪いためスチレン−アクリロニトリル共重合体単品に近いガラス転移温度と変性ポリフェニレンエーテル樹脂とポリスチレンとの混合物のガラス転移温度とを示し、その射出成形品は層剥離をおこし易すく実用価値が低下し、また機械的特性も低下する傾向にあるためである。
【0020】
該スチレン−アクリロニトリル共重合体は、メルトフローレートが5〜100g/10分であることが好ましく、より好ましい範囲は30〜80g/10分、さらに好ましい範囲は40〜60g/10分である。該スチレン−アクリロニトリル共重合体のメルトフローレートが高いほど組成物の流動性も優れるが、100g/10分以上では、本該組成物の機械的強度が劣り好ましくない。
【0021】
(A)、(B)、(C)各成分の混合割合は、(A)変性ポリフェニレンエーテル樹脂30〜95重量%、(B)ポリスチレンおよび/またはゴム変性ポリスチレン2〜60重量%、(C)成分の該スチレン−アクリロニトリル共重合体3〜40重量%の範囲が好ましい。更に好ましくは(A)成分40〜80重量%、(B)成分3〜50重量%、(C)成分10〜35重量%の範囲である。
【0022】
この場合、変性ポリフェニレンエーテル樹脂が30重量%以下では、耐熱性が低く本発明組成物の特徴が発現しない。ポリスチレンまたはゴム変性ポリスチレンが60重量%以上においても、同様に耐熱性が低く本発明組成物の特徴が発現しない。該スチレン−アクリロニトリル共重合体は、所望の流動性を得る範囲で配合すれば良いが、40重量%以上では耐熱性の低下が起こるため好ましくなく、3重量%未満の場合は、流動性と耐熱性の向上効果が小さく好ましくない。
【0023】
本発明において用いる(D)成分のリン酸エステル化合物は、リン酸エステル系難燃剤全般を指す。例えばトリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トキヘキシルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、ジメチルエチルホスフェート、メチルジブチルホスフェート、エチルジプロピルホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート等のリン酸エステルやこれらを各種置換基で変性した化合物、各種の縮合タイプのリン酸エステル化合物が挙げられるが、縮合リン酸エステル化合物が好ましい。
【0024】
これらの中で、一般式(III)で表されるリン酸エステル化合物が特に好ましい。
【0025】
【化3】
【0026】
(式中、Q1、Q2、Q3、Q4は、炭素数1から6のアルキル基、または水素を表し、R1、R2、R3、R4はメチル基、または水素を表す。nは1以上の整数を、n1、n2は0から2の整数を示し、m1、m2、m3、m4は、1から3の整数を示す。)で、表される。
【0027】
一般式(III)におけるQ1、Q2、Q3、Q4のうち特に好ましいのは水素、またはメチル基である。
【0028】
一般式(III)におけるR1、R2で好ましいのは水素であり、R3、R4で好ましいのははメチル基である。
【0029】
一般式(III)におけるnは1以上の整数であってその数により耐熱性、加工性が異なってくる。好ましいnの範囲は1〜5である。また該リン酸エステルはn量体の混合物であってもかまわない。
【0030】
(D)成分としての好ましいリン酸エステル化合物は、“特定の二官能フェノール”による結合構造と“特定の単官能フェノール”による末端構造を有す。
【0031】
“特定の二官能フェノール”としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔通称ビスフェノールA〕、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどのビスフェノール類が挙げられるが、これに限定されない。特にビスフェノールAが好ましい。
【0032】
“特定の単官能フェノール”としては、無置換フェノール、モノアルキルフェノール、ジアルキルフェノール、トリアルキルフェノールを単独または2種以上の混合物として使用できる。特にフェノール、クレゾール、ジメチルフェノール(混合キシレノール)、2,6−ジメチルフェノール、トリメチルフェノールが好ましい。
【0033】
これらのリン系化合物は単独あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0034】
(D)成分の配合量は、(A)、(B)および(C)成分の合計量100重量部に対して1〜30重量部、好ましくは2〜20重量部、さらに好ましくは5〜15重量部である。1重量部未満では難燃効果が不十分であり、30重量部以上では耐熱性や機械的特性が損なわれ、経済的にも不利であり好ましくない。
【0035】
また、リン酸エステル化合物以外の他の難燃剤、さらには滴下防止剤としてのポリテトラフルオロエチレン、シリコン樹脂、フェノール樹脂、ガラス繊維、カーボン繊維等の併用も有効である。
【0036】
本願発明組成物は、更に(E)成分としてのガラス繊維、ガラスフレーク、カオリンクレー、タルク等の無機充填剤やその他の繊維状補強剤等を配合し、流動性と耐熱性に優れた高強度複合体を得ることができる。これら(E)成分の配合量は、(A)、(B)および(C)成分の合計量100重量部に対して1〜100重量部、好ましくは5〜80重量部である。
【0037】
本発明において、(A)成分として前記変性ポリフェニレンエーテル樹脂を用いずにすべて未変性のポリフェニレンエーテル樹脂を用いた場合、成形条件を極端に変えた場合に加熱変形温度(HDT)や衝撃強度等の物性が変動することがあるが、変性ポリフェニレンエーテル樹脂を用いることにより成形条件による物性の変動が抑えられるためにより有用である。
【0038】
本発明のポリフェニレンエーテル樹脂を得るにあたって、変性ポリフェニレンエーテル樹脂を用いて物性を安定化させるためには280℃以上の温度で組成物を調整するのが好ましい。高めの温度で調整することで少ない不飽和カルボン酸又はその官能的誘導体単位の量で物性を安定化させることができるからである。
【0039】
本発明の樹脂組成物には、耐衝撃付与剤としてスチレン系熱可塑性エラストマー、例えばスチレン−ブタジェンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体およびそれらの水素添加エラストマーが好適に用いられる。
【0040】
本発明の樹脂組成物には、更に他の特性を付与するため、または本発明の効果を損なわない範囲で他の添加剤、例えば可塑剤、酸化防止剤、及び紫外線吸収剤などの安定剤、帯電防止剤、離型剤、染顔料、あるいはその他の樹脂を添加することができる。
【0041】
本発明の組成物の製造方法は、特に規定するものではなく、押出機、加熱ロール、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機を用いて混練製造することができる。その中でも押出機による混練りが、生産性の面で好ましい。混練り温度は、250〜360℃の範囲、好ましくは280〜340℃の範囲である。混練りの順序は全成分を一括混練りしてもよいが、また(A)、(B)および(C)成分を予め混練りした後に(D)および(E)成分またはその他の成分を押出機の途中から供給して混練りすることもできる。
【0042】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
【0043】
得られた樹脂組成物の物性評価は、以下の方法及び条件で行った。
【0044】
(1)成形流動性
SSP:厚み1.6mm、巾12.7mm、流動方向の長さ127mmの成形片を射出成形した際、この成形片を完全充填するのに必要な最低成形圧力(以下、SSPと略す。圧力はゲージ圧力kg/cm2で示す。)を測定し、成形流動性の尺度とした。SSPの値が低いほど成形流動性に優れることを意味する。
【0045】
(2)熱変形温度
ASTM D648に基づき荷重18.6kg/cm2にて測定し、耐熱性の尺度とした。
【0046】
(3)曲げ強度
ASTM D790に基づき測定した。
【0047】
(4)アイゾット衝撃強さ
ASTM D256に基づき、温度23℃、ノッチ有りにて測定。
【0048】
(5)難燃性
UL−94 垂直燃焼試験に基ずき、1/8インチ厚みの射出成形試験片を用いて測定した。
【0049】
(6)落錘衝撃強度
50mm×90mm×厚み2.5mmの平板成形片を用い、東洋精機製作所(株)製、商品名、グラフィックインパクトテスターにより全吸収エネルギー値(J:ジュール)を測定した。
【0050】
実施例および比較例で用いた各成分は以下のものを用いた。
【0051】
(1)スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS−1〜3)の製造
アクリロニトリル 4.7重量部、スチレン 73.3重量部、エチルベンゼン 22重量部および重合開始剤としてのt−ブチルパーオキシ−イソプロピルカーボネート 0.02重量部よりなる混合液を毎時2.5リットルの流速で容量5リットルの完全混合型反応器に連続的に供給し、142℃で重合率を60%となるまで重合を行った。重合液は連続してベント付き押出機に導かれ、260℃、40Torrの条件下で未反応モノマーおよび溶媒を除去し、ポリマーを連続して冷却固化、細断して粒子状のスチレン−アクリロニトリル共重合体(AS−1と称する)を得た。この共重合体は、赤外吸収スペクトル法により組成分析した結果、アクリロニトリル単位9重量%とスチレン単位91重量%であり、メルトフローレートは90g/10分(ASTM D−1238準拠、220℃、10kg荷重で測定)であった。この共重合体をAS−1とする。
【0052】
同様にして、単量体の仕込組成および重合温度を変えることにより、共重合組成およびメルトフローレートの異なるスチレン−アクリロニトリル共重合体(AS−2および3)を製造した。AS−1〜3の性状を表1に示した。なおAS樹脂中のAN含量の分布状態は以下の条件で高速液体クロマトグラフィーにより測定した。
【0053】
機器:Simazu LC−64 series
カラム:Simpack CLC−CN(4.6×250mm)
カラム温度:40℃
フローレート:1ml/min
検出器:UV検出器(254nm)
移動相:THF/n−ヘプタン=20/80でスタートし、20分後に100/0とする。
【0054】
【表1】
【0055】
(2)ポリフェニレンエーテル
PPE−1:クロロホルム中30℃で測定した還元粘度ηsp/cが0.53dl/gであるポリ2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル。
【0056】
PPE−2:クロロホルム中30℃で測定した還元粘度ηsp/cが0.43dl/gであるポリ2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル。
【0057】
(3)変性ポリフェニレンエーテル
PPE−3:PPE−2を100重量部、無水マレイン酸2重量部及びジクミルパーオキサイド0.3重量部を押し出し機を用いて窒素雰囲気下、320℃の温度において溶融混練し変性ポリフェニレンエーテル樹脂を得た。該変性ポリフェニレンエーテル樹脂100重量部あたりの無水マレイン酸の付加量は1.1重量部であった。これをPPE−3とする。
【0058】
(3)ポリスチレン
PS−1:旭化成工業(株)製ホモポリスチレン、旭化成ポリスチレン685
PS−2:旭化成工業(株)製ホモポリスチレン、旭化成ポリスチレン680
PS−3:旭化成工業(株)製ゴム補強ポリスチレン、旭化成ポリスチレン403
(4)リン酸エステル
FR−1:化学式(IV)で表されるn=1〜3の混合物。
【0059】
【化4】
【0060】
FR−2:化学式(V)で表される化合物
【0061】
【化5】
【0062】
(5)ガラス繊維
GF:アミノシラン表面処理された、繊維長3mmのチョップドストランド
(6)マイカ:スゾライトマイカ200K1(クラレ社製)アミノシラン処理あり
【0063】
【実施例、比較例】
表2〜5に示す配合組成で、加熱シリンダーの最高温度を320℃に設定した二軸押出機に供給して溶融混練し、組成物ペレットを得た。このペレットを、表2〜5に示す加熱シリンダー温度および金型温度90℃に設定された型締め圧力80トンの射出成形機により射出成形を行い、成形流動性の評価と得られた成形片を用いて物性を評価した。結果を表2〜5に示した。
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【0067】
【表5】
【0068】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物は、従来のポリフェニレンエーテルとスチレン系樹脂との組成物に比べて流動性と耐熱性、機械的特性等のバランスに優れ、さらには難燃性にも優れており、成形加工性と実用時の耐熱性、機械的特性に優れた材料を提供する。
Claims (8)
- (A)その一部又は全部が不飽和カルボン酸又はその官能的誘導体で変性された変性ポリフェニレンエーテル樹脂30〜95重量%、(B)ポリスチレン及び/又はゴム変性ポリスチレン2〜60重量%、(C)アクリロニトリル成分を7以上11重量%未満含有するスチレン−アクリロニトリル共重合体3〜40重量%からなるポリフェニレンエーテル樹脂組成物。
- 該(C)成分のメルトフローレート(220℃、10kg荷重下)が5〜100g/10分であることを特徴とする請求項1記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物。
- 請求項1の樹脂組成物100重量部に対して、さらに(D)リン酸エステル化合物を1〜30重量部配合してなることを特徴とするポリフェニレンエーテル樹脂組成物。
- 請求項3の(D)リン酸エステル化合物が縮合リン酸エステルであることを特徴とするポリフェニレンエーテル樹脂組成物。
- 請求項1の樹脂組成物100重量部に対して、さらに(E)無機充填剤を1〜100重量部配合してなることを特徴とするポリフェニレンエーテル樹脂組成物。
- 請求項1の樹脂組成物100重量部に対して、さらに(D)リン酸エステル化合物を1〜30重量部および(E)無機充填剤を1〜100重量部配合してなることを特徴とするポリフェニレンエーテル樹脂組成物。
- 請求項5または6の組成物よりなる成形体。
- 請求項5または6の組成物よりなる大型シャーシ成形体。
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