JPH10194726A - 長期保存性に優れた高濃度ベントナイト水性スラリー、その用途及びその使用方法 - Google Patents

長期保存性に優れた高濃度ベントナイト水性スラリー、その用途及びその使用方法

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JPH10194726A
JPH10194726A JP1326897A JP1326897A JPH10194726A JP H10194726 A JPH10194726 A JP H10194726A JP 1326897 A JP1326897 A JP 1326897A JP 1326897 A JP1326897 A JP 1326897A JP H10194726 A JPH10194726 A JP H10194726A
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bentonite
slurry
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aqueous
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Masashi Hatano
正志 羽田野
Masayasu Sato
正康 佐藤
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Mizusawa Industrial Chemicals Ltd
Original Assignee
Mizusawa Industrial Chemicals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、Na型ベントナイトを主成分とす
る高濃度のベントナイト水性スラリーで、しかも低粘度
で分散性、ハンドリング性及び長期保存性に優れた高濃
度のベントナイトスラリーに関し、特に製紙用の歩留り
向上剤として有用なベントナイトスラリーであり、更に
は紙パルプの抄紙工程におけるその添加方法にも関す
る。 【解決手段】 モンモリロナイトを主成分とするNa型
ベントナイトの水性分散体に0.5乃至5重量%の塩化
ナトリウム等のナトリウム塩を含有し、該水性分散体中
のNa型ベントナイト固形分濃度が10乃至30重量%
であって、ゼータ電位がマイナスでその絶体値が20乃
至45の大きさで、且つB型粘度計による分散体の粘度
が2000c.p.以下である長期貯蔵安定性に優れた
高濃度ベントナイトスラリー及びその用途を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、Na型ベントナイトを
主成分とする高濃度のベントナイト系水性スラリーに関
し、より詳細には水膨潤性のベントナイト水性スラリー
にナトリウム塩を含有させて成る高濃度でありながら長
期保存性に優れ、且つ低粘度でハンドリング性及び分散
性に優れた高濃度のベントナイト系スラリーであつて、
特に酸性白土を原料とする特定の活性ベントナイト系の
高濃度水性スラリーから成る製紙用の歩留り向上剤組成
物に関する。
【0002】更にまた本発明は、紙パルプの抄紙工程に
おける上記該組成物の添加方法にも関するものである。
【0003】
【従来の技術】層状粘土鉱物のモンモリロナイトを主成
分とするベントナイトは、水中に分散させると膨潤して
コロイド状の水性粘性流体(分散体)となり、種々の物
質を包含乃至は吸着する性質を有するものである。また
その分散体は高い懸濁力または増粘性を有することか
ら、化粧品、医薬品、塗料などの増粘剤、賦形剤、吸着
剤、増量剤として利用されたり、また古くからベントナ
イト泥水として掘削工法の土木用工材として、或いは鋳
物用鋳型の賦形剤として広く利用されているものであ
る。
【0004】例えば上記したように水膨潤性のベントナ
イトはコロイド状の増粘性、吸着性、包含性等の特性を
有することから特開平07ー24443号公報には、水
膨潤性のベントナイトスラリー水処理剤として、また特
開昭59ー100192号公報、特開昭62ー8979
5号、特開昭62ー129384号、及び特開昭62ー
129385号公報には、貯蔵安定性に優れた石炭、コ
ークス等の粉体状個体燃料の高濃度水性スラリーを得る
ため添加剤としてベントナイト粉末にアルカリ金属塩等
の塩基物や、炭酸塩及び/又は有機界面活性剤等を組合
わせて用いることが記載されている。
【0005】また以前からベントナイトは、紙の抄紙時
にパルプ等の紙質や紙の白色度、不透明度、平滑度、印
刷適性を向上させるため種々用いられる填料のタルク、
製紙用クレイ(カオリン、酸性白土、ベントナイト)、
炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化チタン等の歩留
りを向上させることが知られている。
【0006】例えば特開昭62ー191598号公報に
は、ベントナイト型クレーと分子量50、000以上の
合成カチオン性ポリマーとを組合わせて用いること、或
いは特開平2ー26995号公報には、酸性白土を出発
原料とする特定の活性ベントナイトとカチオン性ポリマ
ーの組合わせから成る製紙用歩留り向上剤組成物が提案
されている。
【0007】以上のように上記公報には各種の用途に水
膨潤性ベントナイト又はその水性分散体を用いられるこ
とが提案されている。
【0008】しかしながらこれらの提案では、必ずしも
この水性スラリー系が有する諸特性の作用効果を用途に
充分生かし切れていない。即ち、これらの何れの用途に
おいてもベントナイト粉末が水系に容易に分散し、均一
に膨潤性コロイド系を生成、分散状態にあるか否かにつ
いて、未だ充分に満足される方法でベントナイトが利用
されていないようである。
【0009】そのため例えば特開昭64ー45754号
公報の提案には、ベントナイト粉末の水への分散方法と
してベントナイト粉末に予め塩化ナトリウム粉末を混合
させたベントナイト粉末を使用することが記載せれてお
り、この方法によりベントナイト粉末を水系に添加する
際に起こるママコ状の分散不良を防止されることが記載
されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記公報
の提案からも明らかなように、Na型ベントナイトが持
つ主特性である水和膨潤性を生かす用途では、その水和
膨潤が特性であるが故に起こりがちな水分散系でのベン
トナイト粒子の分散不良が問題になる。これらは何れも
ベントナイト粉末を水分散系に添加する際に起こり、未
だ十分に解決されていない課題である。
【0011】また一般的にも、ベントナイト粉末に限ら
ず粉体を各種の用途に使用する際には、その粉立ちから
粉塵を周囲に飛散させて作業環境を悪化させる。
【0012】例えば、特にベントナイト系の製紙用歩留
り向上剤に関連して粉末に比べてスラリータイプの要望
が高いのも、技術的にも、粉塵飛散性やハンドリング性
からも、粉体よりもスラリー状である方がより有利と想
定されるからであろう。
【0013】しかるに、例えベントナイトスラリーに対
する要望が高いとはいえ、水膨潤性ベントナイトの特性
から、ベントナイト粉体を水に分散させる系は、 1)ベントナイト粒子は水和しつつコロイドゾルとな
る、 2)この水和ゾルはゲル化を伴い粘性上昇する、 3)この粘性体は流動性を失いつつプリン状のゲルとな
る、 等の状態特性を呈することから、従来からベントナイト
粉体を水系に高濃度に分散させることは困難であり、し
かも流動性を有した低粘度の水性スラリーは極めて得難
く、更には上記状態特性から分散体は暫時流動性を低下
させることから長期に流動性を維持する水性スラリーは
未だ得られていないのが実状である。
【0014】上記要望に鑑みて、本発明によってベント
ナイトスラリーを提供するに際しては、その経済性から
ベントナイトが高濃度に分散されたスラリーでなければ
ならない。よって本発明者等は、当該スラリーの高濃度
化と流動性を課題に製紙用の歩留り向上剤として種々の
金属塩類を当該スラリーに添加させて粘度低下を鋭意検
討した結果、特定のベントナイト種においてベントナイ
トスラリーの粘度低下と抄紙時の歩留りが塩の種類及び
その濃度に著しく影響されることを見いだし本発明に至
つたものである。
【0015】従って本発明の目的は、ベントナイトのコ
ロイド性を生かした種々なる有用性において、その分散
性、ハンドリング性等の優位性からベントナイトの形状
がスラリー状であって、その経済性から高濃度で長期保
存性に優れたベントナイトスラリーで、且つ低粘度でハ
ンドリング性に優れ、しかも分散性に優れたNa型ベン
トナイト系の水性スラリーを提供することである。
【0016】更に本発明の他の目的は、上記ベントナイ
ト系水性スラリーの用途である製紙用歩留り向上剤組成
物及びその抄紙工程における使用方法を提供することで
ある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記目
的を達成するために、X線回析法で層状構造を有するモ
ンモリロナイトを主成分とするNa型ベントナイトの水
性分散体に下記式、
【化1】 NanX 式中nはアニオンの価数で、XはCl、CO3、SO4等
のアニオン、で表されるナトリウム塩が0.5乃至5重
量%の範囲で含有し、該水性分散体中のベントナイト固
形分濃度が10乃至30重量%であつて、且つ該水性分
散体のB型粘度計で測定した粘度(回転数60rpm、
温度20℃)が2000c.p.以下であることを特徴
とする分散性及び長期保存性に優れたベントナイト系の
高濃度水性スラリーが提供される。
【0018】また本発明によれば、水性分散体中に10
乃至30重量%で含有するNa型ベントナイト(活性ベ
ントナイト)が酸性白土を出発原料とする少量のクリス
トバライトを含有し、下記モル比で表される化学組成を
有し、 Na2O/SiO2 =0.8×10−2乃至4.5×
10−2 Al2O3/SiO2 =0.095乃至0.16 MO/SiO2 =4.5×10−2乃至9.5×1
0−2 (式中MはCa、Mg等の金属イオン) 且つ活性ベントナイトが有する諸特性の内、特にカチオ
ン要求量が3乃至20meq/100gの範囲にある特
定のベントナイトであって、且つ水性分散体中に0.5
乃至5重量%の塩化ナトリウムを含有させて成る分散
性、ハンドリング性及び長期保存性に優れた水性スラリ
ー状の製紙用分留り向上剤組成物が提供される。
【0019】また上記製紙用歩留まり向上剤組成物は、
その水性分散体中の活性ベントナイト固形分濃度が10
乃至30重量%という高濃度スラリーでありながら、そ
の水性分散体の粘度が2000c.p.以下であり、従
来の粉末に比べて著しくハンドリング性に優れている。
【0020】しかもその水性分散体は、ゼータ電位がマ
イナスで、その絶対値の大きさが20乃至45と大きい
ことから、実際にマイナスの電荷を有するパルプ粒子と
カチオン性PAM又はカチオ化澱粉から成る抄紙工程に
歩留り向上剤として使用した場合には、その歩留りを向
上させることは勿論であるが、スラリー状であるが故に
粉塵を飛散させる心配のない作業環境性に優れたもので
ある。
【0021】よって更に本発明の別の態様では、上記歩
留り向上剤を紙を抄紙するパルプスラリーに対しパルプ
固形分の重量基準でベントナイト固形分が0.05乃至
1重量%となるように、且つ塩化ナトリウムとして0.
1重量%以下になるように添加させることを特徴とする
水性スラリー状の製紙用分留り向上剤組成物の添加方法
が提供される。
【0022】
【発明の実施形態】
(粘性抑制剤の作用)すでに述べたように、水膨潤性で
あるベントナイトはその膨潤性であるが故にベントナイ
ト粉末を種々の用途に用いる有用性において水系におけ
る分散不良が、常に付きまとい未だ充分に解決されてい
ないものである。
【0023】そこでベントナイト粉末を水系に添加した
際に起こる現象を逐次観察すると、その詳細は不明であ
るが天然のNa型ベントナイトや、活性ベントナイト等
の水膨潤性のベントナイト粒子(粉末)は、水に添加さ
れると同時に水との接触界面でコロイド性の水和皮膜が
形成され、その皮膜によってベントナイト粒子は内部へ
の透水が抑制されて、ベントナイト粉体は水に沈むほど
に濡れなくなり、水面上に浮遊拡散し、次いで分散させ
ようと撹拌すると同時にママコ状の塊になって分散し、
次第に透水しつつ膨潤して半透明のフロック状に凝集し
た粗大粒子となつて沈降するものと想定される。
【0024】従って、ベントナイト粉体を速やかに水系
に均一分散させることは極めて困難である。また均一に
分散させたとしても、ベントナイト分散体は水膨潤性の
特性から水和コロイド粒子の半透明状の粘性流体とな
り、次第に分散体全体が一塊のプリン状のコロイドゲル
体となって流動性を無する。
【0025】よってこれらのベントナイトのコロイド性
に関わる粘性、ゲル化はベントナイト粒子を流動性のあ
る水性スラリーとして長期保存を不可能にすることを意
味するものでもある。
【0026】従って従来から例え強力な撹拌下にベント
ナイト粉体をスラリー状にしたとしてもその分散濃度
は、経験的にたかが10重量%以下でありまたそのスラ
リーは長期に亘って安定ではなく、次第にゲル状の粘性
体となり、少なくとも本発明の目的であるその分散濃度
が10重量%以上であってベントナイト粒子が高濃度に
分散した水性スラリーは得られていなかったのである。
【0027】そこで本発明によれば、ベントナイト粉末
粒子を水系に添加する際に、予め水に塩化ナトリウムを
0.5乃至5重量%、好ましくは2.5乃至3.5重量
%の範囲で添加しておくことにより、後述する実施例か
ら明らかなように、ベントナイト粉体粒子をほぼ水和膨
潤させることなく、且つ粘度を高めることなくベントナ
イト固形分が10乃至30重量%の高濃度に分散した水
性スラリーが得られたことは本発明者にとっても極めて
大きな驚きであった。
【0028】その塩化ナトリウムがベントナイトスラリ
ーの高濃度化に係わる効果の詳細は不明であるが、その
スラリー分散体のpH範囲が6.5乃至9.5、好まし
くは7乃至9の範囲にあることに伴って、Naイオンと
Clイオンの介在がベントナイトの水和を抑制させてい
るものと想定される。上記する塩化ナトリウムの添加量
が0.5重量%以下と少なすぎてもベントナイトは水和
膨潤して本発明の高濃度化スラリーは得られず、逆に5
重量%以上と多すぎても分散体スラリーは高濃度で安定
でわあるが、過多な塩類によってベントナイト性が損な
われ本発明が目的とするスラリーではない。
【0029】またベントナイトスラリーの分散pHとス
ラリー安定性においては、酸性側では水和膨潤性は低め
でそれによる粘度上昇はないが、ベントナイトそのもの
の酸分解からpH6.5以上、好ましくは7以上であ
り、アルカリ側では水和膨潤及びゲル化の傾向が大きい
ことからpH11以下、好ましくは10以下、より好ま
しくは9以下であることが高濃度化、保存安定性からも
よいようである。
【0030】本発明においては、上記する塩化ナトリウ
ムの他に炭酸ナトリウムや硫酸ナトリウムも同様にして
高濃度化に寄与し、これらのナトリウム塩を以後本発明
では便宜的にベントナイトの水和防止剤(又は粘性抑制
剤)と称すことにする。
【0031】従来よりコロイド分散体に塩化ナトリウム
等の塩類を添加していくと、ちょうどコロイド粒子が凝
結を起こすのに必要な塩の最小量が決定され、一般的に
この値を電解質の凝結価(mmol/l)と呼んでい
る。
【0032】ちなみにNaCl、KCl等の1価塩の凝
結価はそれぞれ51.4、49.5であるのに対して、
CaCl2、MgCl2、BaCl2等の2価塩では、
その1/60〜1/100であり、またAlCl3、F
eCl3等の3価塩では、その1/550程度の値であ
る。従って陽イオンの価数の増加にともなって陰性コロ
イド(例えばベントナイトのゾル)に対する凝結効果は
急激に増大する。例えばNaCl、CaCl2、AlC
l3の凝結価の数値の逆数をとると、これらの陽イオン
の価数による凝結効果はNaClを1としてそれぞれ
1:70:550倍の比較値となり、この効果はHar
dyの法則として一般的に知られているものである。
【0033】従って本発明の塩類種とベントナイトの高
濃度スラリーとに当てはめると、以下に説明するように
本発明の事実によく符合している。即ち粘性抑制剤とし
てのNaCl等により水和膨潤を停止(又は抑制)され
た高濃度ベントナイトスラリーを水系に滴下すると、拡
散分散されたベントナイト粒子周辺のナトリウム塩が希
釈されて解離し、裸にされたベントナイト粒子は水和さ
れてベントナイト特有のコロイド状の分散体となる。
【0034】一方、CaCl2、MgSO4、AlCl
3等の2価以上の塩類種で得られたスラリーでは粘性が
十分に抑制され、本発明の高濃度化の目的は果たせる
が、これらのスラリーを同様に水系に滴下してもほとん
どのベントナイト粒子は水和されず、その結果ベントナ
イト粒子はコロイド状にゾル化されずに凝集粒として分
散或いは沈降している。これは凝結価の高い金属イオン
はベントナイト粒子周辺から解離しにくいことから、ベ
ントナイト粒子は水和膨潤され難く、ベントナイト特有
のコロイド状を呈さないのであろう。これらの事実は後
述する有用性の一例である分留り向上剤において、2価
金属塩入りのベントナイトスラリーでは歩留りを向上さ
せる効果が見られない結果とも良く符合している。
【0035】又、同じく1価イオンのカリウム塩につい
ては、従来より水膨潤性のK型ベントナイトが提供され
ていない事実からも理解されるように、Kイオンの水和
エネルギがNaイオンに比べて大きいことから、水系で
Naに比べてKはイオンとして安定であって、Kイオン
で囲まれたベントナイト粒子は水和を著しく抑制されて
いるものと奏され、これらの因果関係は同様に歩留りを
向上させる効果が見られない事実からも理解されるもの
である。
【0036】更にまた後述する表3からも明らかなよう
に、ベントナイトの水分散系に塩化ナトリウム以外の水
溶性塩類であるCa、Mg、Ba、Zn、Fe及びAl
等の塩化物、硫酸塩をいわいる粘性抑制剤として種々検
討したものでは、詳細は不明であるが何れの塩類もベン
トナイト粒子が水分散系で示すマイナスの表面電荷値
(ゼータ電位値;−34)を大幅に低下させる。
【0037】即ち本発明の塩化ナトリウム入りのスラリ
ーではその絶対値の大きさが何れも25以上であるのに
対して、これらの金属塩では何れも20以下、特にCa
Cl2、MgCl2、BaCl2、ZnCl2、AlC
l3等では10以下にゼータ電位が低下している。
【0038】これらのようにベントナイト粒子の帯電性
を低下させることは、同じく後述する用途の一例である
製紙用の歩留り向上剤に見られるように、ベントナイト
粒子の表面電荷とこの歩留り向上効果とには一義的に関
連しているものと言える。即ち無添加のパルプ紙質の歩
留り(%)が80.1で、これにベントナイトを添加す
ると91.1になるのに対して、本発明の塩化ナトリウ
ム入りのベントナイトスラリーでは、その歩留りは91
であるのに反して、これらの多価金属塩類入りのベント
ナイトスラリーでは、何れも86以下となりベントナイ
トの歩留り向上性を著しく低下させてしまう。
【0039】より詳細には、現在の代表的抄紙システム
における歩留り向上剤としてのベントナイトは、比較的
に大粒子であるマイナスに荷電されたパルプ粒子の周辺
をカチオン性PAM(高分子電解質)が取巻いているパ
ルプスラリーに比較的に小粒子のマイナス電荷のベント
ナイト粒子が電気的につなぎ手役となってパルプ繊維を
網目状に大きくさせ、抄紙時の歩留りを向上させている
ものと言われているからである。
【0040】以上からベントナイト粒子を高濃度の水性
スラリーとして各種の用途に利用する為には、使用前に
はベントナイト粒子は水和膨潤してコロイド状を呈さず
にスラリー状であって、使用時にはベントナイト特性と
して素早く水和膨潤して微細なコロイド粒子(水和膨潤
粒子)として、しかも比較的に大きなマイナス電位を電
荷された粒子として分散されていることが重要であり、
本発明はこれらの二律背反の課題を満足させる高濃度ベ
ントナイト水性スラリーを提供することが出来たものと
言える。
【0041】(水膨潤性ベントナイト)モンモリロナイ
トを主成分とする天然の層状粘土鉱物には、酸性白土、
Caベントナイト、Naベントナイトが知られており、
この天然のベントナイトは火山灰、あるいは凝灰岩から
変質して生成した粘土であり、本邦のモンモリロナイト
鉱床には、Naベントナイト、Caベントナイト及び酸
性白土があり、そのうち酸性白土とはCaベントナイト
の陽イオンが風化作用の結果Hイオンで置換されたもの
である。またこれらの天然に産出するモンモリロナイト
を主成分とする粘土鉱物の多くは灰色、帯青色を帯びて
産出されるが、或いは共雑する鉄、マンガン等の有色イ
オン種とその風化作用の程度により褐色系を帯びて産出
する。
【0042】また上記するベントナイトは、世界の各地
で産出するモンモリオナイトを主成分とするアルカリ性
の粘土で、中でも米国ワイオミングに産するような水膨
潤の高いものをいわゆるベントナイトと称しており、そ
れ以外で比較的に低膨潤度のCaベントナイトをサブベ
ントナイトと称して区分されている。日本国内で産出さ
れるものは比較的膨潤度等の低い品質のこのサブベント
ナイトで、そのためこのCaベントナイト(サブベント
ナイト)を炭酸ナトリウム等のアルカリで処理し、膨潤
性や粘性等を向上させたいわゆる活性ベントナイトが広
く使用されている。
【0043】従って本発明で使用する水膨潤性のベント
ナイトとは、天然のNa型ベントナイト、及び天然のC
aベントナイトにアルカリ添加して得られる活性ベント
ナイト等であって、中でも本発明においては、活性ベン
トナイトであってしかも本発明の出願人が特公平5ー7
3689号公報で既に提案している酸性白土を出発原料
に用いて得られる下記に説明する特定の活性ベントナイ
トが好適に用いられる。
【0044】モンモリロナイトの層構造は、パイロフェ
ライトと同じく三層構造を示すが、層間に交換性陽イオ
ンや水の分子を含んでいる。その構造式は
【化2】 AL2Si4O10・(OH)2・nH2O で表され、その層構造においてAlO6のアルミの正八
面体層をなすAlの一部をMg、Caで、またSiO4
のシリカの四面体層のSiの一部をAlで交換されるこ
とで、正電荷の不足分を補うために層間にNa、K、C
aなどの陽イオンや水分子が加わる。モンモリロナイト
の陽イオン交換性とは水溶液中で液中の陽イオンとモン
モリロナイト粘土中の上記陽イオンとが互いに交換する
性質である。
【0045】また乾燥したモンモリロナイトは水を吸収
するとその結晶格子が膨れて膨潤し、水中で安定な透明
なコロイドに分散し、このコロイド分散体の吸着性、陽
イオン交換性、粘性、可塑性等の特性が従来より種々の
用途に関連して利用されているものである。
【0046】(活性ベントナイトの調製)特公平5ー7
3689号公報に開示されている本発明で用いる活性ベ
ントナイトは、高膨潤度、高チキソトロピー性を有する
ベントナイトを得るうえで原料としての酸性白土は、濃
度3g/100mlの食塩水に酸性白土を分散させた時
のpHが3乃至8、特に3.5乃至7の範囲にある酸性
白土を用いることが重要である。下記に本発明で使用し
た本邦で産出する酸性白土の化学組成の一例を示す。 表1 (A) (B) SiO2 72.96 70.66 重量% AlO3 14.95 15.14 〃 FeO3 2.70 2.26 〃 MgO 2.07 3.24 〃 CaO 0.85 0.36 〃 Na2O 0.9 0.07 〃 K2O 0.28 0.06 〃 灼熱減量 5.83 7.06 〃 白色度 78 70 (%)
【0047】その酸性白土中には、クリストバライトと
しては産地、鉱区によつてその含有量は相違するが、一
般に粘土の乾燥物基準で20乃至35重量%、特に25
乃至30重量%の範囲にあるものが使用される。また上
記化学組成に関連して、アルカリ土類金属をMとしたと
き、Na2O/SiO2のモル比が0.8×10−2乃
至4.5×10−2で、Al2O3/SiO2 のモル
比が0.095乃至0.16で、MO/SiO2のモル
比が4.5×10−2乃至9.5×10−2の範囲にあ
ることも特徴である。
【0048】本発明で使用される活性ベントナイトは、
このクリストバライトをケイ酸ナトリウムに転化しない
条件でアルカリ処理を行う。また酸性白土は一般に原料
粘土中に水分として10乃至40重量%、特に15乃至
35重量%の範囲にあるものが好適に使用される。原料
粘土中の水分が上記範囲より低い場合は、水分を添加す
ればよく、上記範囲より多い場合には乾燥すればよい。
【0049】用いる原料粘土は、個体の状態で添加され
る炭酸ナトリウムと均一に混合されるに際して、可及的
に均一に混合されることが好ましいことから、原料粘土
は予め微細な状態にしておくことが有利であることか
ら、一般に、原料粘土は、粒径3000μm以上のもの
が30重量%以下、特に20重量%以下となるように粉
砕しておくことが望ましい。
【0050】反応に用いる炭酸ナトリウムの量は、無水
物基準の粘土当たり1乃至5重量%、特に1.5乃至
3.5重量%の範囲で添加し、原料酸性白土を50℃以
上の温度及び保水条件下に混練する。混練には一軸また
は二軸の押出型混練機、ロール型混練機、バンバリーミ
キサー等を用いることができ、混練反応時の温度は50
乃至100℃、特に60乃至100℃の範囲で、約く1
乃至10時間の範囲でよい。
【0051】次いで粉砕処理は、ローラーミル、アトマ
イザー等を用いて平均粒径で10μm以下になるように
粉砕処理をする。以下に参考例として、酸性白土に比較
して代表的ベントナイトの諸特性を記す。 表2 ────────────────────────────────── ─────────────────────────────── 酸性白土 活性ヘ゛ントナイト Ca型ヘ゛ントナイト Na型ヘ゛ントナイト (本願用) (本邦産) (ワイオミンク゛産) ─────────────────────────────────── ─────────────────────────────── ・食塩水分 6.6 9 8.2 9.1 散pH ・カチオン 1 20 2 31 要求量 ・膨潤度 7 30 13 36 ml/2g ・白色度 78 79 54 49 (%) ────────────────────────────────── ───────────────────────────────
【0052】(Na型ベントナイトの高濃度水性スラリ
ー)本発明によるベントナイトの高濃度水性スラリーと
は、水に分散させると水和膨潤してコロイド粘性体にな
る水膨潤性の高いNa型ベントナイトを、ベントナイト
粒子の固形分として少なくとも10重量%以上に分散さ
せた水性スラリーのことである。このスラリーは本発明
による粘性抑制剤の塩化ナトリウム塩によって、ベント
ナイト粒子のコロイド化(水和膨潤)がほぼ停止されて
いることから水性分散体は、ベントナイト特有のレオロ
ジー特性としての高粘性化、ゲル化等が抑制されて、本
水性スラリーは長期に亘って粘度が低く保たれた流動性
のある水性分散体である。
【0053】本発明ではベントナイト粉末としてその代
表的なNa型ベントナイトである上記の酸性白土から得
られた活性ベントナイトの粉末を使用する。予め塩化ナ
トリウムとして0.5乃至5重量%の範囲に溶解させた
水溶液に、このベントナイト粉末を比較的に緩い撹拌下
に注下させる。
【0054】この注下時には従来のように撹拌下に粉塵
が飛散することもなく、またママコ状の分散不良も起こ
らず、緩い撹拌条件下にもベントナイト粒子は速やかに
水に濡れて容易にスラリー化される。
【0055】また本発明では粘性抑制剤として、NaC
lの他にNa2CO3及びNa2SO4が用いられる
が、ベントナイトの高濃度化、分散体の低粘度及びその
保存安定性からより好ましくはNaClが使用される。
【0056】得られる分散体の固形分濃度は10乃至3
0重量%の範囲にあって、その濃度はスラリーの経済性
から好ましくは20重量%以上で、且つそのスラリーの
粘性又は保存性から好ましくは25重量%以下であるこ
とが望ましい。
【0057】また塩化ナトリウムの添加順序は予めベン
トナイト粉末に塩化ナトリウムをプレーミックスさせた
ものを水に添加させてもベントナイトの高濃度スラリー
化を達成することができるが、より高濃度化、より低粘
性の良好な分散性のスラリーを調製させるこたからする
と、好ましくは塩化ナトリウム溶解水溶液にベントナイ
ト粉末を添加する方がより好適な方法である。
【0058】以上から得られる水性分散体は、固形分濃
度が10乃至30重量%で、そのB型粘度計で測定した
粘度(回転数60rpm、温度20℃)は2000cp
以下の流動性のある水性スラリーで、且つ室温下に粘度
2000c.p.以下のスラリーとして少なくとも90
日以上にわたって保存される。またその水性分散体のp
Hは7乃至11の範囲で、好ましくは7乃至9.5であ
り、且つその分散体はマイナスのゼータ電位の絶対値の
大きさが20乃至45の範囲にある水性スラリーであ
る。
【0059】更にまたNa型ベントナイトは、従来の天
然ベントナイト、或いは活性ベントナイトは一般に20
meq/100g以上の大きなカチオン要求量を有す
が、しかしながら大きなカチオン要求量のベントナイト
は、例えば抄紙時の紙料の分留りがかなり小さいという
事実から、必ずしも製紙用分留り向上剤として使用され
てはいない。
【0060】本発明に使用される酸性白土から得られる
特定の活性ベントナイトとは、前記するように従来のベ
ントナイトに比して比較的にカチオン要求量は小さく、
その値は20meq/100g以下にあって、既に特開
平2−26995号公報に記載されているように歩留り
向上効果に顕著に優れるものである。またこのカチオン
要求量は、活性ベントナイト製造条件に大きく依存し、
この製造条件を一定にすることで、従来の活性ベントナ
イトに比してカチオン要求量が比較的小さい範囲内にあ
る歩留り向上効果に顕著に優れた活性ベントナイトが得
られるものである。
【0061】本発明で言うカチオン要求量とは、粒子表
面のカチオン中和量であり、コロイド粒子間の反応を利
用したコロイド適定法で求められ、負に帯電する微アル
カリ性のベントナイトのコロイド濃度をカチオン要求量
と定義する。
【0062】また上記水性分散体中の活性ベントナイト
粒子は、マスタ・サイザー法で得られる平均粒子径が3
乃至20μmの範囲にあって、且つベントナイトの特性
から多少の水和膨潤した粒子径が2μm以下のコロイド
粒子を含んでいる水性スラリーである。
【0063】(用途)以上から本発明によるNa型ベン
トナイトの高濃度水性スラリーは、長期にわたり低粘性
と流動性が保証された水性スラリーであり、種々の用途
に使用するに際して、 1)スラリーであるが故に、従来の粉体に比べてハンド
リングが良い、 2)スラリーであるが故に、粉塵飛散による作業環境を
汚染させない、 3)粉体ベントナイトのようなママコ状の分散不良を起
こさない、 4)粘性抑制剤により水系に速やかに分散する、 5)塩化ナトリウム等の粘性抑制剤は水系に容易に解離
して、ベントナイトのコロイド特性を発現する、 等の特徴を有することから、従来から知られているベン
トナイトの用途に広く使用されるものである。
【0064】その用途とし一般に、膨潤性、包接性(包
含性)、吸着性、懸濁性、増粘性等を利用した、化粧
品、医薬品、塗料などの増粘剤、賦形剤、吸着剤、増量
剤として、また掘削工法の泥水として、或いは鋳物用鋳
型の賦形剤として、また水処理剤、石炭、コークス等の
粉体状個体燃料の高濃度水性スラリー化剤等を挙げるこ
とができる。
【0065】更にその有用性から、製紙用の歩留り向上
剤として有効に利用されるものである。その使用量は用
途にもよるが例えば通常の抄紙においては、紙質のパル
プ固形分の重量当たり、ベントナイトが0.02乃至1
重量%で使用されることから、本スラリーを仮にパルプ
固形分濃度が1%のパルプスラリーを抄紙するパルプス
ラリーに対しその重量基準でベントナイト固形分が2×
10ー4乃至1×10ー2重量%となるように、且つ塩
化ナトリウムが固形分として2.5×10ー3重量%以
下になるように添加させる方法で本発明による水性スラ
リーを製紙用歩留り向上剤として使用することが出来
る。
【0066】また紙には新聞紙用等の普通紙の他に加工
紙、特殊紙、機能紙等があり、本発明の水性スラリーは
歩留り向上剤として下記の抄紙にも使用される。
【0067】例えば、高填料含有紙として;不燃紙、防
炎紙、焼成セラミツク化紙;脱臭、消臭紙、吸着機能紙
(吸着機能化);制電紙(カーボン、導電紙)、静電気
除去紙(酸化錫など)、電磁遮蔽紙(金属繊維、金属
粉)、電磁記録紙(フェライトなど磁性粉体)(電気、
電磁機能);ブレーキ板などの耐摩耗紙、鋳物の隔壁
材、電気熔断用遮蔽紙、ガスケツトなどの耐熱、耐薬品
性シーリング材(その他の機能);施柚紙(フリツト
類)、農薬効果持続化(多孔性粉体物)、農業用土壌保
水化(ソフトセラミツク粉)(特殊施工機能)。
【0068】また木材のパルプの他に、主体繊維として
はレイヨン、ビニロン、アクリル、ポリエステル、ナイ
ロンなどの有機繊維、がらす、セラミツク、アスベス
ト、ウイスカー、金属繊維のどの無機繊維の各種の素材
が利用される。
【0069】更にまたパルプとの混抄として;炭素繊
維、有機耐熱繊維、ウイスカー、金属繊維、無機繊維、
アルミナ・シリカ繊維、石英ガラス繊維、ガラス繊維、
有機繊維などの混抄紙の抄紙にも利用されるものであ
る。
【0070】
【実施例】本実施例では、水膨潤性のNa型ベントナイ
トとして天然産ベントナイト、市販の活性ベントナイト
の中から、本出願人によって特許出願(特公平5−73
689号公報)され、既に市販されている酸性白土を原
料に用いて得られる活性ベントナイトを主に使用した
が、本発明はこれに限定されるものではない。
【0071】(参考例1)前記第1表に記載する原料酸
性白土(A)の粗砕物の100kgに、粉末炭酸ソーダ
を2.2kg添加してパンパリミキサーを用いて混合
し、ついで一軸型押出し混練機にて混練造粒した。造粒
時の温度は53℃、水分31%であつた。次いで回転型
乾燥機で水分が1.3%になるように乾燥下に熟成反応
を行つた後、アトマイザーで粉砕し、本発明に用いる活
性ベントナイト粉末を調製し試料NO1とした(白色
度;78.5%、粒度=平均粒径;4.8μm、膨潤
度;37ml/2g、カチオン要求量;4.8meq/
100g)。
【0072】(参考例2)参考例1で得られたベントナ
イト粉末は、水膨潤性の高い活性ベントナイトであり、
200mlのイオン交換水を入れた500mlビーカー
に試料NO.1の粉末を撹拌させながら添加したとこ
ろ、分散不良がちではあるがほぼ20gまでスラリー状
を維持させながら添加させることができた。この分散体
の粘度は2000cpで粘調な半透明なスラリーであ
り、放置3日後に全体がプリン状にゲル化した。
【0073】(参考例3)またカチオン交換容量が4.
8meq/100gである試料NO.1のベントナイト
粉末をパルプ固形分に対して0.1部の条件で添加して
抄紙歩留り試験に供したところ、本抄紙歩留り試験法に
おける空試験の紙料(パルプ繊維+填料)の歩留りが8
0.1%であるのに対して91.1%であったところか
ら、試料NO.1は歩留り向上性に優れた活性ベントナ
イトであることを確認できた。
【0074】(1)ハンター白色度 JIS K−8123に準じて測定した。 (2)粒度 マスタ・サイザー法による。 (3)pH JIS K−5101に準じて測定した。 (4)粘度 B型粘度計による60rpm、20℃で測定する。 (5)スラリーの保存性 本発明においては固形分濃度が20重量%のベントナイ
トスラリーの初期粘度が少なくとも2000cp以下で
あって、室温に放置と共に増粘傾向を示すことから本発
明においては黙視観察により下記する基準で保存性を評
価した。なお、本発明では◎印を長期保存性ありとし
た。 ◎ 粘度2000cp以下で90日以上 ○ 粘度2000cp以下で30〜60日 △ 粘土2000cp以下で3週間 × 粘土2000cp以下で3〜7日 (6)ゼータ電位 試料0.2gを200mlのイオン交換水中に懸濁させ
十分に分散させた後、ベンケム社製LAZER ZEE
METER MODEL 501でゼーター電位を測
定した。 (7)膨潤度 日本ベントナイト工業会標準標準試験方法JBAS−1
04−77に準じて測定した。 (8)カチオン要求量 試料0.2gをイオン交換水100mlにとり、超音波
分散器にて処理をし、充分に膨潤させた後、イオン交換
水を加えて350mlに希釈したものをトルイジンブル
ー溶液を指示薬にN/200のメチルグリコールキトサ
ン溶液で滴定するコロイド滴定法によりカチオン要求量
(meq/100g)を測定する。 (9)抄紙歩留り試験 LBKPパルプの0.5重量%のパルプスラリー500
gを800rpmの撹拌下のジャーテスターに入れ、次
いでパルプ固形分100重量部当たり、 それぞれ所
定時間の撹拌下に予め水に分散した填料の炭カル10部
と、カチ オン性PAM100ppmとをそれぞれ添
加した後、ベントナイト固形分と して0.1部にな
るベントナイトスラリーを注下し、所定時間の撹拌後に
排 出コックを開き目開き80メツシュのナイロン製
網を通して排出し、その1 0秒後からその液量が1
00gになるまで採取し、次いで110℃で乾燥し
て固形分重量を測定する。 紙料歩留り=(A−a)×100/A A;抄紙パルプ懸濁液100g中に含有する紙料固形分
(パルプ繊維+填料)の重量 a;採取濁液100g中の110℃乾燥の固形分重量 1)パルプ固形分 2.5g (0.5%LBKPパルプ スラリー500g) 2)炭カル(填料) 0.25g (対パルプ固形分;10重量部) 3)カチオン性PAM 0.00025g 4)ベントナイト 0.0025g(対パルプ固形分;0.1重量部) 尚、本試験における空試験(ベントナイト無添加)時の
紙料の歩留りは、80.1%である。
【0075】(実施例1)試料NO.1の粉末と粘性抑
制剤の各種のナトリウム塩を用いて、本発明によるNa
型ベントナイトの高濃度水性スラリーを調製し、その結
果を下記表3に示した。尚、本実施例で用いたスラリー
は、予め粘性抑制剤のナトリウム塩等を溶解させた水溶
液にベントナイト粉末を添加させる方法で調製した。ま
たベントナイトスラリーのベントナイト性の再生は、紙
質歩留り性の有無で評価されたものとし、本実施例では
紙質歩留り89%以上をもって歩留り性(ベントナイト
性の再生)有りとした。 表3 ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 粘度抑制剤 添加量 ヘ゛ントナイト 粘度 pH セ゛ータ 保存性 紙質歩 (%) 濃度(%) 電位 留り(%) ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── NaCl 0.5 10 1500 9.5 ー29.2 △ 90.8 〃 2 10 75 9.2 -27.3 ◎ 90.2 〃 3 20 85 9 -25.2 ◎ 91.0 〃 3.5 30 105 8.9 -24 ○ 91.2 〃 4.2 32 250 8.2 -23 ○ 90.2 〃 5 35 350 7.9 -22.7 ○ 89.9 〃 5.4 37 500 7.4 -21.8 △ 85.6 Na2CO3 3 20 510 10.7 -29.3 △ 91.2 Na2SO4 3 20 632 9.2 -32.3 ○ 90.9 NaOH 3 20 486 14 -30.3 × 86 KCl 2.5 20 34 8.9 -27.2 ◎ 84 K2CO3 3 20 48 10.8 -26 ○ 86 KOH 3 20 57 13.6 -26.4 × 85.3 CaCl2 1.5 20 86 7.9 -4 ○ 83.6 MgCl2 1.5 20 225 9.4 -7.5 ○ 86.4 Mg2SO4 1.5 20 105 9.1 -11.5 △ 86 BaCl2 1.5 20 110 8.4 -9.5 △ 85.6 ZnCl2 1.5 20 104 6 -8.2 ○ 85.4 ZnSO4 1 20 534 6.4 -18.3 △ 84.7 AlCl3 1 20 79 6.6 -4.8 ○ 84.5 Al2(SO4)3 1 20 218 6.8 -16.3 △ 85.8 FeCl3 1 20 79 6.4 -15.2 ○ 84.4 無添加 0 10 2000 9.7 -34 × 91.1 空試験 0 0 (80.1) ──────────────────────────────────── ────────────────────────────────────
【0076】
【発明の効果】本発明によれば、水膨潤性のベントナイ
ト水性分散系に0.5乃至5重量%の小量の塩化ナトリ
ウム等のナトリウム塩を添加することにより、長期にわ
たりベントナイト粒子の水和膨潤を抑制させてコロイド
化及びゲル化を防止させた低粘度で分散性に優れたNa
型ベントナイトを主成分とする水性スラリーを調製する
ことができた。
【0077】また活性ベントナイト系のスラリーとして
はベントナイト固形分濃度が10乃至30重量%という
高濃度でありながら、長期にわたりゲル化せずにしかも
低粘度で保存されることから、ベントナイト系のスラリ
ーとして従来には見られない分散安定性に優れた高濃度
水性スラリーを提供するものである。
【0078】以上の結果、従来のベントナイト粉末で起
こりがちの粉塵飛散性による作業環境汚染乃至は水系に
おいてママコ状またはフロツク状の分散不良を起こす心
配のない高濃度水性スラリー状のNa型ベントナイトを
提供することができた。
【0079】更には、Na型ベントナイトとして酸性白
土を出発原料にして得られる特定の活性ベントナイトを
用いた上記スラリーは、他のベントナイト系に比べてカ
チオン要求量が低く、且つゼータ電位が大きいことから
従来のベントナイト系に比べて製紙用の歩留り向上剤と
して優れたものである。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 X線回析法で層状構造を有するモンモリ
    ロナイトを主成分とするNa型ベントナイトの水性分散
    体に下記式、 【化1】 NanX 式中nはアニオンの価数で、XはCl、CO3、SO4等
    のアニオン、で表されるナトリウム塩が0.5乃至5重
    量%の範囲で含有し、該水性分散体中のベントナイト固
    形分濃度が10乃至30重量%であつて、且つ該水性分
    散体のB型粘度計で測定した粘度(回転数60rpm、
    温度20℃)が2000c.p.以下であることを特徴
    とする分散性及び長期保存性に優れた高濃度ベントナイ
    ト系水性スラリー。
  2. 【請求項2】 上記ベントナイト系水性分散体のpHが
    7乃至11の範囲で、且つ上記分散体のゼーター電位が
    マイナスでその絶対値の大きさが20乃至45の範囲に
    あることを特徴とする請求項1に記載するベントナイト
    系水性スラリー。
  3. 【請求項3】 上記Na型ベントナイトが酸性白土を出
    発原料とする少量のクリストバライトを含有し且つモル
    比で表して、 Na2O/SiO2 =0.8×10−2乃至4.5×
    10−2 Al2O3/SiO2 =0.095乃至0.16 MO/SiO2 =4.5×10−2乃至9.5×1
    0−2 (式中MはCa、Mg等の金属イオン)の化学組成を有
    し、且つカチオン要求量が3乃至20meq/100g
    の範囲にある活性ベントナイトから成ることを特徴とす
    る請求項1乃至2に記載するベントナイト系水性スラリ
    ー。
  4. 【請求項4】 上記水性分散体に含有するナトリウム塩
    が塩化ナトリウムであって、且つ該分散体のpHが7乃
    至9.5である請求項3に記載するベントナイト系水性
    スラリー。
  5. 【請求項5】 上記水性分散体中の活性ベントナイト粒
    子のハンター白色度が70%以上で、且つマスタ・サイ
    ザー法で得られるその平均粒子径が3乃至20μmの範
    囲にあって、且つ粒子径2μm以下のコロイド粒子を含
    むことを特徴とする請求項3乃至4に記載するベントナ
    イト系水性スラリー。
  6. 【請求項6】 紙を抄紙するパルプスラリーに添加して
    紙質や填料の歩留りを向上させることに用いる請求項3
    乃至5の何れかに記載する水性分散体から成る製紙用歩
    留り向上剤組成物。
  7. 【請求項7】 紙を抄紙するパルプスラリーに対しパル
    プ固形分の重量基準でベントナイト固形分として2×1
    0ー4乃至1×10ー2重量%で、且つナトリウム塩と
    して2×10ー3重量%以下になるように上記水性分散
    体を添加することを特徴とする請求項6に記載する製紙
    用歩留り向上剤組成物の添加方法。
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